第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当社グループは、日本に軸足を置いた国際的なバイオ企業になることをビジョンに掲げ、新薬の提供を通じて世界中の人々の健康・生活の質の向上に寄与することを目指し、グローバルな研究開発活動やライセンス活動などの事業展開を推進しています。

当社グループのビジネスモデルの根幹を担うのは、複数の創薬基盤技術を活用した画期的な新薬の研究開発です。

まず、子会社であるHeptares Therapeutics Ltd.(以下「Heptares社」)は、熱力学的に安定化したGPCRを作成させることができる世界初となるStaR技術を活用したGPCR構造ベース創薬技術を有しています。GPCRは、細胞膜に埋まっているタンパク質であり、細胞外から細胞内へ生化学的情報伝達の役割を担い、味覚、視覚、嗅覚、行動、自律神経系機能、免疫機能等、様々な生理学的及び生物学的反応に関与しているため、GPCRは、薬物治療上、最も重要な標的分子であるとされています。しかし、細胞膜から抽出されると分子構造が不安定となるためその構造が明らかとなっていないものが多く、立体構造に基づく創薬研究は難しいとされてきました。StaR技術の応用によりGPCRの構造解析が進み、これまで難しいとされてきた分子構造設計に基づいた強力かつ選択性の高い候補物質の創製が可能となります。Heptares社は神経疾患領域、がん免疫から代謝疾患、希少疾患領域まで充実したパイプラインを有しており、研究開発において複数のパイプラインの開発を着実に推進しています。同時に、基盤技術を用いた提携、自社パイプラインの導出に積極的に取り組んでいます。当期においてはAstraZeneca UK Limited(以下「AstraZeneca社」)、Teva Pharmaceutical Industries Ltd.(以下「Teva社」)等大手製薬企業へパイプライン(開発品)を導出、また同社とPfizer Inc.(以下「Pfizer社」)との新規医薬品に係る戦略的な提携等、大きな成果を得ることができました。

次に、子会社アクティバスファーマ株式会社は、不純物の混入を最小限に防ぎつつ、難溶性の医薬品原料を50-200nm(ナノメートル)レベルの結晶粒子径に粉砕することが可能であるナノ粉砕化技術(APNT:Activus Pure Nano-particle Technology)を活用し、これまで開発が困難、不可能であった難溶性薬物の注射、点眼、吸入製剤等への応用に取り組んでいます。

また、子会社JITSUBO株式会社は、ペプチド合成を高効率かつ低コストで実現可能とする革新的な液相合成法技術であるMolecular Hiving™、ペプチドの立体構造を改変することにより有効性や安全性の向上、更に薬剤の安定性の改善にも役立つとされるペプチド修飾の新たな要素技術であるPeptune™を有しています。

既にNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)に導出している慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬である「シーブリ(NVA237)」及び「ウルティブロ(QVA149)」については、当期の販売が順調に推移したことにより、前期を上回るロイヤリティ収入を計上し、世界最大の医薬品市場である米国において、両剤が承認されることに伴うマイルストン収入も受領しました。加えて、NVA237を含有する新規3剤配合型吸入喘息薬QVM149の第Ⅲ相臨床試験が開始され、これによりマイルストン収入を受領しました。

これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益8,151百万円、営業利益1,075百万円、当期損益△1,547百万円となりました。

当連結会計年度における、事業セグメント別の業績は次のとおりです。当社は国内医薬品事業・海外医薬品事業にセグメントを区分しております。

 

① 国内医薬事業

当期における国内医薬事業の売上収益は197百万円となりました。これは前連結会計年度に比べてノルレボ錠に関するロイヤリティが増加したことによるものです。また営業損益は192百万円減少し、537百万円の営業損失となりました。

 国内医薬事業に係る製品及び主要開発品の主な進捗は、SO-1105(適応:口腔咽頭カンジダ症)の有効性及び安全性を検証する第Ⅲ相臨床試験を実施しています。販売については既に富士フイルムファーマ株式会社と独占販売契約を締結しています。

 その他、ナノ粉砕化技術(APNT:Activus Pure Nano-particle Technology)を用いた開発品は、APP13002 (適応:感染性眼疾患)、APP13007 (適応:炎症性眼疾患) があり、現在、前臨床試験を実施しています。Molecular Hiving:新規ペプチド液相合成法を用いた開発品は、後発品であるJIT-2001(適応:循環器系疾患)及びJIT-1007(適応:希少性疾患)の前臨床試験を実施しています。

 

② 海外医薬事業

当期おける海外医薬事業の売上収益は、前連結会計年度に比べ4,464百万円増加し、7,954百万円となりました。前連結会計年度との差は、主にシーブリ(NVA237)及びウルティブロ(QVA149)のマイルストンの発生とロイヤリティ収入が増加したこと、Heptares社のパイプラインを導出したことに伴う一時金を受領したことによるものです。また営業利益は、前連結会計年度に比べ698百万円減少し、1,665百万円となりました。

 海外医薬事業の主な進捗は、次のとおりです。

 

■QVA149 適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)ノバルティス社により上市済み(欧州・日本)

 QVA149(一般名:グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩、製品名:Ultibro Breezhaler(欧州)、ウルティブロ吸入用カプセル(日本))は、1日1回吸入のLAMA(グリコピロニウム臭化物)とLABA(インダカテロールマレイン酸塩)の固定用量の配合剤であり、慢性閉塞性肺疾患(以下、「COPD」)の諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。ウルティブロは、欧州、日本、カナダ、メキシコ、オーストラリア等を含む80ヵ国以上において1日1回吸入のLAMA/LABA配合剤として初めて承認され、現在は、日本、ドイツ、カナダを含40ヵ国以上において販売されております。また、米国においては、QVA149(グリコピロニウム15.6μg/インダカテロール27.5μg)は2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法として、2015年10月にUtibron™Neohalerの製品名で承認されました。

 

■NVA237 適応:慢性閉塞性肺疾患(COPD)ノバルティス社により上市済み(欧州・日本)

 NVA237(一般名:グリコピロニウム臭化物、製品名:Seebri Breezhaler(欧州)、シーブリ吸入用カプセル50μg(日本))は、1日1回吸入の長時間作用性抗コリン薬(以下、LAMA)であり、COPDの諸症状を緩和するための気管支拡張剤です。当社とベクチュラ・グループは2005年4月にノバルティス社に全世界の独占的開発・販売権を導出しております。現在は、欧州、日本、カナダ、南米、アジア、オーストラリア、中東を含む90ヵ国以上において承認されています。また、米国におけるNVA237(グリコピロニウム15.6μg)は、2015年10月に慢性気管支炎や肺気腫を含むCOPDに基づく気道閉塞性障害の新規1日2回吸入の長期維持療法として、2015年10月にSeebri™ Neohalerの製品名で承認されました。

 当社はノバルティス社との契約に基づき、両剤の全世界の売上に対する一定率のロイヤリティ収入を受領できることになっています。当期においては、米国における両剤の承認を契機に、ノバルティス社より22.5百万ドルのマイルストン収入も受領しました。

 

※「ウルティブロ」、「シーブリ」、「ブリーズヘラー」及び「Neohaler」はノバルティス社の登録商標です。
「UtibronTM」及び「SeebriTM」はノバルティス社の商標です。

 

■QVM149(適応:喘息)

 2015年12月、当社NVA237(グリコピロニウム臭化物)の導出先であるノバルティス社が、NVA237を含有する新規3剤配合型吸入喘息治療薬QVM149の第Ⅲ相臨床試験を開始したことを発表しました。ノバルティス社とのライセンス契約に基づき、当社は2015年12月に本臨床試験における最初の被験者への投与を契機に、3.75百万ドルのマイルストン収入を受領しました。

 ノバルティス社はQVM149の承認申請を2018年に予定しています。

 

■StaR技術を活用したGPCR構造ベース創薬

 当連結会計年度の主な進捗は、次のとおりです。

・AstraZeneca社とのがん免疫療法開発に関する提携契約の締結

 Heptares社は、2015年8月に英国AstraZeneca社とがん免疫療法開発に関する提携契約を締結しました。この提携により、Heptares社は10百万ドルの契約一時金を受領し、加えて、早期達成が見込まれる前臨床研究結果及び臨床試験開始に応じて相当額のマイルストン収入を受領することになっています。さらに、予め定められた開発及び販売の目標の達成に応じて、総額500百万ドルを超える開発及び販売マイルストンや、販売高に応じた最大二桁比率の段階的ロイヤリティ収入を受領することが可能となります。

・Teva社との研究開発契約締結

 Heptares社とTeva社は、2015年11月に、Heptares社が創出した新規低分子CGRP受容体拮抗薬について、片頭痛治療を目指した独占的開発・製造販売権に係る研究開発契約を締結いたしました。この契約により、Heptares社は契約一時金10百万ドルを受領しました。研究開発支援金さらに最大400百万ドルの開発・販売マイルストン収入を受領することが可能となります。また、本提携によりHeptares社は、販売高に応じたロイヤリティ収入を受領することが可能となります。

・Pfizer社との共同研究開発契約締結

 Heptares社はPfizer社は、2015年11月に、複数の領域における最大10種のGPCRターゲットに関する新規医薬品の戦略的提携契約を締結しました。本提携のもとで、Heptares社はPfizer社が選択した複数のGPCRに対して、独自のGPCR構造ベース創薬プラットフォームを用いて、固定化された受容体(StaR®タンパク質)や高解像度の結晶構造情報、その他新薬の開発をサポートする技術をPfizer社に提供、Pfizer社は本提携から生み出された全てのターゲット(低分子およびStaR®抗原をもととするバイオ医薬品)に関して開発・製造販売の責任を負い、独占的開発・製造販売権を保有します。本契約により、Heptares 社は今後、開発、申請・承認、商業化に伴い、各ターゲット毎に最大189百万ドルのマイルストン収入を受領できる条件となっております。さらに、商業化された全ての製品について売上高に応じた段階的ロイヤリティ収入を受け取る契約となっています。

 

(2)キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについては、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、7 財政状態、経営成績及びキャッ

シュ・フローの状況の分析、(3)財政状態に関する分析」に記載のとおりです。

 

(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(開発費)

日本基準において費用処理している一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べ研究開発費が199百万円減少し、同額の無形資産が増加しております。

 

(のれんの償却停止)

日本基準においてのれんは定額法により償却を行っていましたが、IFRSにおいてはのれんの償却は行わず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べ販売費及び一般管理費が1,814百万円減少しています。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)仕入実績

当社グループの売上収益は、主にマイルストン及びロイヤリティ収入によるものであるため、該当事項はありません。

 

(2)受注状況

当社グループの売上収益は、主にマイルストン及びロイヤリティ収入によるものであるため、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、以下のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

 至 2016年3月31日)

前年同期比(%)

国内医薬事業(百万円)

197

8.6

海外医薬事業(百万円)

7,954

127.9

合計(百万円)

8,151

122.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.海外医薬事業の販売実績は主に開発進捗に伴うマイルストン収入であり、仕入及び受注との関連はありません。

3.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す割合は以下のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2014年4月1日

 至 2015年3月31日)

当連結会計年度

(自 2015年4月1日

 至 2016年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ノバルティス社

3,466

94.4

5,096

62.5

AstraZeneca社

11

0.3

1,319

16.2

Teva社

1,267

15.6

4.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

3【対処すべき課題】

(1)革新的医薬品の早期開発による成長の実現

当社グループの今後の事業成長と安定した収益の維持を図るためには、現在収益の柱となっているCOPD治療薬に続くアンメットメディカルニーズを満たす革新的な大型製品の開発のための先行投資を行うことが重要です。当社は、前期に、画期的な作用機序を持つファースト・イン・クラス又はベスト・イン・クラスの可能性を秘めた開発品を有するJITSUBO株式会社及びHeptares社を買収し、パイプラインの拡充を図っておりますが、各社の持つ独自技術を活用した医薬品の研究開発の促進と製薬企業への開発品導出等の提携の早期実現に取り組んでまいります。

 

(2)資金調達の多様化・安定化

有望な開発候補品を探索・導入し、それらを開発後期段階へ進めることにより企業価値は高まりますが、半面研究開発費は増大します。研究開発投資等の事業基盤強化のため、必要に応じて資金調達を検討すると共に、資金調達の多様化・安定化を図ってまいります。

 

(3)株主価値の創造

当社グループは、有望な研究開発候補品への積極的な投資及び経営基盤の強化を目的とした企業買収等の戦略投資を行うことが企業価値を向上させ、株主価値の創造につながるものと考えております。今後も、財務状況を踏まえつつ、投資対象やその時期、方法等について検討を進める所存です。なお、現在は先行投資のための内部留保を優先させることが必要と考えておりますが、収益の状況に鑑みつつ、株主の皆様への利益還元を図ってまいります。

 

(4)コーポレートガバナンスの強化

当社グループは、日本と英国を拠点としてグローバルな事業展開を進めておりますが、このような事業体制に応じた効果的なコーポレートガバナンス体制の構築が重要な経営課題の一つであると認識しております。社外取締役の活用や監査委員会、会計監査人、内部監査部門の連携を図り、取締役会の経営戦略策定機能・監督機能を十分に発揮するとともに説明責任を果たすことなどで、経営の公正性、透明性を高め、ステークホルダーの皆様からより一層信頼される企業集団となることを目指してまいります。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は、以下のとおりです。当社グループの事業等はこれら以外にも様々なリスクを伴っており、以下に記載したものがリスクのすべてではありません。

なお、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 医薬品の研究開発事業一般に関する事項

①  研究開発の不確実性に関する事項

当社グループは医薬品開発を主な業務としています。一般的に、医薬品の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、多額の研究開発投資が必要となる反面、その成功の可能性は、他産業に比べて極めて低いものです。従って、研究開発活動は不確実性を伴っており、この不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループでは、パイプラインの拡充にあたっては自社研究開発だけではなく、インライセンスの手法も活用していますが、将来当社グループが必要と考える医薬品候補化合物の取得が想定どおりに行われない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

② 医薬品業界の競合関係に関する事項

当社グループの属する医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による競争が激しい状態にあります。また、その技術革新は急速に進歩しています。これら競合相手との研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 副作用に関する事項

医薬品は、臨床試験段階から市販後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。予期せぬ副作用が発現し、製品の回収、製造販売の中止、薬害訴訟の提起などに発展した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 薬事法制その他の規制に関する事項

当社グループの属する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法及び薬事行政指導その他関係法令等により、様々な規制を受けています。

医薬品は、創薬から製造販売承認を取得するまでに、多額の開発コストと長い年月を必要としますが、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない場合には、規制当局の承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出若しくは導出そのものが困難になる可能性があります。

このような事象が生じた場合又は将来各国の薬事法等の諸規制に大きな変化が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 製造物責任に関する事項

医薬品事業においては、事業活動に伴い製造物責任を負う可能性があります。当社グループの医薬品によって健康被害が発生するなどにより、製造物責任を負う場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 当社グループの事業活動に関する事項

① 提携関係に関する事項

当社グループは、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っています。また、将来自社で販売を計画している開発品の販売体制の構築など、今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現などに向けた広範な提携関係の構築が必要となることが予想されます。現在の提携関係に変化が生じた場合や今後の提携関係が期待どおりに構築できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

② 人材の確保及び育成に関する事項

当社グループの事業活動は、現在の経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しています。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めていますが、このような人材確保又は育成が計画どおりに行えない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 知的所有権に関する事項

当社グループは、研究開発活動等において当社グループが所有し又は使用許諾を受けた様々な知的所有権を使用しています。当社グループの事業運営に必要な知的所有権について継続して使用許諾を受けることができない場合や第三者の知的所有権の侵害による係争が生じた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 資金調達に関する事項

医薬品事業においては、多額の研究開発費を要し、その額は研究開発の進捗に応じて増加する傾向にあります。当社グループに資金需要が生じた場合に、市場環境の悪化等により機動的な資金調達を行うことができない可能性があり、その場合には、当社グループの研究開発に係る体制及び計画の見直しを余儀なくされるなど、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 外国為替変動に関する事項

当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外企業とのライセンスや海外からの製品仕入、海外での研究開発活動等において外貨建取引が存在します。為替変動リスクはヘッジ活動によっても完全に取り除くことはできないため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 契約に基づく支払義務の負担に関する事項

当社グループは、開発パイプラインに関する提携企業との契約において、販売に至る前の開発段階及び販売開始後に提携先に対する支払義務を負っている場合があります。また、開発費の共同負担や販売開始後一定額の販売活動経費の投入を行う義務を負う場合もあります。これらの対価の支払形態は、製品開発型バイオ企業としての事業の性質上当然のものと認識していますが、当社グループの資本力に比べ支払額が高額となる場合は、当社グループにとって大きな財務的負担となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 国内販売体制の構築及び技術導出に関する事項

当社グループは、(a)国内市場における自社製品の販売及び(b)自社又は子会社の開発品の技術導出の2つを収益基盤としています。

(a)国内市場における自社製品の販売

当社グループは、国内の販売網の構築にあたっては、自社販売、他社との共同販売等を検討しますが、期待どおりに国内販売体制を構築できない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(b)自社又は子会社の開発品の技術導出

開発品を開発の途中段階で他社に導出することにより、一時金や導出先の販売高に連動した収益を受領することが可能となります。しかし、開発の遅延その他の理由により計画どおりの時期に技術導出ができない場合や技術導出を予定している開発品に関して導出そのものが困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑧ M&A等(買収、合併、営業の譲渡・譲受、出資)による事業拡大に関する事項

当社グループは、保有する経営資源の効率的運用と企業価値の最大化のため、M&A等を活用して事業規模の拡大を図ることを経営方針の一つとしていますが、その施策により想定どおりの効果が得られない場合は、のれんの減損損失の計上等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑨ 重要な契約に関する事項

「第一部 企業情報、第2 事業の状況、5.経営上の重要な契約等」に記載した、当社グループの経営上の重要な契約が期間満了、解除その他の理由により終了した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑩ 訴訟等に関する事項

当社グループは、当連結会計年度において訴訟の提起を受けていませんが、訴訟その他の法的手続や当局による調査を受ける可能性があります。多額の支払を命じられた場合や当社グループにとって不利益な決定がなされた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑪ 内部統制の整備に関する事項

当社グループは、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに実施基準に準拠し、財務報告に係る有効な内部統制システムを整備し、その適正な運用に努めています。しかし、内部統制が有効に機能せず、あるいは予期しない内部統制上の問題により、多額の損失が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

⑫ ファンド運営に関するリスク

(a)法的規制

 当社グループはファンドの管理運営を行っており、その活動にあたっては種々の法規制(会社法、独占禁止法、租税法、金融商品取引法、投資事業有限責任組合契約に関する法律、財務会計関連法規等)を受けます。これらの規制によりファンドの活動が制限される場合及びこれら規制との関係で費用が増加する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(b)未上場企業への投資リスク

 当社グループが運営するファンドは未上場株式等を投資対象としています。未上場企業は収益基盤や財務基盤が不安定で経営資源も制約されること、未上場企業の株式等は上場株式等に比べ流動性が著しく劣ることなどから、投資回収に当たり、想定どおりのキャピタルゲインが得られずキャピタルロスが発生する可能性や株式上場や売却の時期、条件等が見込みと大幅に異なる可能性があります。その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(c)その他

 当社グループが管理運営するファンドについては、以下のようなリスクが存在するため、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(ⅰ)無限責任組合員又はゼネラルパートナーとして、その出資額を超える損失を負担する可能性

(ⅱ)無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしての善管注意義務違反により、訴訟等を受ける可能性

(ⅲ)ファンド募集において出資者から十分な資金を集めることが出来ない場合、投資活動に支障をきたす可能性

 

(3) 業績予想に関する事項

当社グループは、連結会計年度毎に業績予想を公表しています。しかし、事業や経済環境の変化及び不確実性などの予測不可能な要因により、これら業績予想や目標を期限内に達成することや、目標を維持することが困難になる可能性があります。また、現在、当社グループの収益基盤は、ノバルティス社に導出したCOPD治療薬のマイルストン及びロイヤリティ収入と、連結完全子会社であるHeptares社からのパイプライン導出に依存しており、ノバルティス社による当該製品の売上やHeptares社によるパイプライン導出が当社の想定と相違する場合は、業績予想の達成が困難となる可能性があります。

 

(4) 新株予約権に関する事項

当社は、優秀な人材確保のためのインセンティブプランとしてストックオプション制度を採用しています。当該制度は、旧商法第280条ノ20及び第280条ノ21の規定に基づき、株主総会決議により、当社取締役、執行役、従業員及び顧問に対して新株予約権を付与したもの並びに会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会決議又は取締役会決議により、当社取締役、執行役及び従業員並びに子会社の取締役、監査役及び従業員に対して新株予約権を付与したものです。これらの新株予約権の目的となる株式数(以下「潜在株式数」という。)の合計は、当連結会計年度末現在で628,700株であり、発行済株式数及び潜在株式数の合計の5%を下回っていますが、これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度における当社グループの経営上の重要な契約は、以下のとおりです。

(1) そーせいグループ株式会社を当事者とする契約

① Heptares社の100%子会社化に係る契約

契約書名

Share Purchase Agreement

契約書相手方名

Heptares社株主105名

契約締結日

2015年2月20日

契約期間

期間の定めなし

主な契約内容

当社は、Heptares社の発行済全株式を取得し、その対価として180百万米ドル及び契約に定める一定の事由が発生したことによりHeptares社がマイルストンまたはロイヤリティ収入を受領した場合に支払われる最大220百万米ドルの条件付対価の合計、最大400百万米ドルを支払う

 

② シンジケートローン契約

契約書名

金銭消費貸借契約書

相手方名

株式会社みずほ銀行をアレンジャー兼エージェントとする金融機関

契約締結日

2015年9月28日

借入金額

100億円

借入時期

2015年9月30日

返済期限

2020年9月30日

 

③ 第三者割当増資に係る契約

契約書名

株式総数引受契約書

契約書相手方名

ファイザー製薬株式会社

契約締結日

2015年11月30日

契約期間

期間の定めなし

主な契約内容

ファイザー製薬株式会社は、次のとおり当社株式を引受ける
株式数   普通株式 471,284 株
払込金額  1株につき8,537円
払込期日  2015年12月16日

 

(2) Sosei R&D Ltd.を当事者とする契約

  開発品コードNVA237、QVA149

契約名

License Agreement

相手方名

Novartis International Pharmaceutical Ltd., Vectura Group Plc.

契約締結日

2005年4月12日

契約期間

契約締結日から①Sosei R&D Ltd.及び共同ライセンサーであるベクチュラ社が許諾した最後の特許が満了する日、又は②Sosei R&D Ltd.又は実施権者により商業化された最後の商品の最初の発売日から10年が経過した日のいずれか遅い日まで

主な契約内容

Sosei R&D Ltd.及びベクチュラ社はノバルティス社に対し、NVA237及びQVA149の全世界における開発及び商業化の権利を独占的に許諾する

 

(3) Heptares社を当事者とする契約

 

契約名

Research and License Agreement

相手方名

AstraZeneca UK Limited

契約締結日

2015年8月6日

契約期間

契約発効日(米国独占禁止法令による待機期間満了日)から対象製品及び対象国ごとに、①対象特許権等の特許期間満了日、②法令上の独占期間の終了日又は③市販開始から10年経過後又は後発医薬品の販売日のいずれか早い日のうち、最も遅い日まで

主な契約内容

Heptares社は、AstraZeneca社に対しアデノシンA2A受容体拮抗薬HTL一1O71 の全世界における独占的開発、製造販売権を許諾し、その対価として、契約一時金、マイルストン及びロイヤリティを受領

また、両社は、共同研究プログラムを実施

 

契約書名

Research Collaboration and License Agreement

相手方名

Pfizer Inc.

契約締結日

2015年11月18日

契約期間

契約締結日から対象製品及び対象国ごとに、①対象特許権等の最終の特許期間満了日又は②市販開始から10年経過後のいずれか遅い日まで

主な契約内容

Heptares 社は、複数の領域における最大 10 種の GPCR ターゲットに関する新規医薬品の独占的開発・製造販売権をPfizer 社に許諾し、これによりPfizer 社から開発・販売マイルストン及び売上高に応じたロイヤリティを受領

 

契約書名

Collaboration and License Agreement

相手方名

Teva Pharmaceutical Industries, Ltd.

契約締結日

2015年11月24日

契約期間

契約締結日から対象製品及び対象国ごとに、①対象特許権等の最終の特許期間満了日、②法令上の独占期間の終了日又は③最初の市販開始から10年経過後のうち、最も遅い日まで

主な契約内容

Heptares 社は、片頭痛治療を適応とした新規低分子 CGRP 受容体拮抗薬の独占的開発・製造販売権をTeva 社に許諾し、これによりTeva 社から契約一時金と研究開発支援金並びに開発・販売マイルストン及び売上高に応じたロイヤリティを受領

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、製品開発型のバイオ医薬品企業として、経営資源を医薬品の研究開発活動に集中しています。研究開発費は、当社グループが保有する開発品の開発費、次期開発候補品の探索及び創薬基盤技術の研究に係る費用で構成されています。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は3,916百万円となりました。なお国内医薬事業及び海外医薬事業に係る研究開発費はそれぞれ、453百万円及び3,463百万円になります。

研究開発活動の具体的な内容は、「第一部 企業情報、第2 事業の状況、1 業績等の概要」に記載のとおりです。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況、1.連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりです。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績及び分析は以下のとおりです。

連結経営成績

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

売上収益

3,671

8,151

4,480

売上総利益

3,602

8,147

4,544

営業利益

1,043

1,075

32

当期利益

510

△1,547

△2,057

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、2015年3月期の連結財務諸表を遡及修正しています。

 

(売上収益、売上総利益)

当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度と比べ4,480百万円(122.0%)増加し、8,151百万円となりました。これは主にシーブリ(NVA237)及びウルティブロ(QVA149)のマイルストンの発生とロイヤリティが増加したこと、Heptares社のパイプラインを導出したことに伴う一時金を受領したことによるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ32百万円(3.1%)増加し、1,075百万円となりました。これは主に上記の売上収益、売上総利益の増加と、収益増加に応じた研究開発費、販売費及び一般管理費の増加よるものです。

 

(当期利益)

当連結会計年度の当期利益は、前連結会計年度と比べ2,057百万円減少し、1,547百万円の損失となりました。これは主に営業損益の増加と、マイナスの法人所得税費用が発生した一方で、企業結合による条件付対価の公正価値変動による評価損と、借入金に関する利息費用が発生したことによるものです。
 

なお、研究開発費、販売費及び一般管理費の状況は、次のとおりです。

研究開発費、販売費及び一般管理費の内訳

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

研究開発費

557

3,916

3,359

販売費及び一般管理費

2,011

3,293

1,281

(内訳)人件費

425

1,222

796

委託費

1,051

653

△397

その他

534

1,417

882

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、2015年3月期の連結財務諸表を遡及修正しています。

 

(研究開発費、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度の研究開発費は、前連結会計年度に比べ3,359百万円増加し、3,916百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ1,281百万円増加し、3,293百万円となりました。これは主に当連結会計年度においては、Heptares社のパイプライン拡充のための費用が増加したことによるものです

 

当社グループは、各子会社を構成単位とし、国内医薬事業と海外医薬事業にセグメントを区分しています。セグメント別の状況は次のとおりです。

 

(国内医薬事業)

当連結会計年度における国内医薬事業の売上収益は197百万円となりました。これは前連結会計年度に比べてノルレボ錠に関するロイヤリティが増加したことによるものです。また営業損益は192百万円悪化し、537百万円の営業損失となりました。

 

(海外医薬事業)

当連結会計年度における海外医薬事業の売上収益は、前連結会計年度に比べ4,464百万円増加し、7,954百万円となりました。前連結会計年度との差は、主にシーブリ(NVA237)及びウルティブロ(QVA149)のマイルストーンの発生とロイヤリティが増加したこと、Heptares社のパイプラインを導出したことに伴う一時金を受領したことによるものですまた、営業利益は前連結会計年度に比べ698百万円減少し、1,665百万円となりました

 

(3)財政状態に関する分析

当連結会計年度末における財政状態及びキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

財政状態及びキャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

連結会計年度

当連結会計年度

増減額

資産

47,833

47,354

△479

営業活動によるキャッシュ・フロー

92

4,471

4,378

投資活動によるキャッシュ・フロー

△22,018

△337

21,680

財務活動によるキャッシュ・フロー

19,864

863

△19,000

(注)2015年2月において行った企業結合に係る暫定的な会計処理の確定に伴い、2015年3月期の連結財務諸表を遡及修正しています。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産は47,354百万円と、前連結会計年度末と比べ479百万円の減少となりました。これは、主に、前連結会計年度末に比べて現金及び現金同等物が増加した一方で、営業債権及びその他の債権が減少したこと、為替レートの変動によりのれん及び無形資産の評価額が減少したことによるものです。

 

(企業結合による条件付対価に関する事項)

2015年2月に連結子会社化したHeptares社が将来受領するマイルストンやロイヤリティ収入の額に応じて、当社が追加で支払う株式取得の対価の見込額を企業結合による条件付対価として、9,994百万円を非流動負債に計上しています。これは2015年2月に公表した最大220百万米ドルのHeptares社の株式取得に係る条件付対価に時間的価値等を考慮して計算しています。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期損失を3,297百万円計上した一方で、条件付対価に係る公正価値が増加したこと、営業債権が減少したこと等により、前連結会計年度と比較して4,378百万円増加し、4,471百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得及び、研究開発に関連する支出により337百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、みずほ銀行からの資金の借入を返済した一方で、株式の発行による収入があったことにより、863百万円の収入となりました。