2【財務諸表等】

(1)【財務諸表】

①【貸借対照表】

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

資産の部

 

 

流動資産

 

 

現金及び預金

575,347

316,672

売掛金

367,220

375,568

有価証券

159,970

20,000

商品及び製品

88,406

49,582

原材料

191,455

271,599

前払費用

3,717

4,322

短期貸付金

14,786

24,501

未収入金

28,232

49,606

その他

68,910

148,887

貸倒引当金

2,974

2,937

流動資産合計

1,495,071

1,257,803

固定資産

 

 

有形固定資産

 

 

建物

56,809

54,260

構築物

1,692

1,694

機械及び装置

321

452

車両運搬具

0

0

工具、器具及び備品

10,340

15,020

土地

16,473

16,474

建設仮勘定

1,363

3,692

有形固定資産合計

87,000

91,595

無形固定資産

 

 

特許権

201

135

ソフトウエア

1,432

2,920

その他

26,751

35,331

無形固定資産合計

28,385

38,387

投資その他の資産

 

 

投資有価証券

61,240

49,122

関係会社株式

310,035

495,181

関係会社出資金

154,505

220,613

長期貸付金

138,043

163,788

前払年金費用

31,445

37,409

繰延税金資産

113,807

150,547

その他

144,580

192,847

貸倒引当金

134

91

投資その他の資産合計

953,523

1,309,419

固定資産合計

1,068,909

1,439,402

資産合計

2,563,981

2,697,206

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

負債の部

 

 

流動負債

 

 

買掛金

53,742

53,912

短期借入金

27

未払金

206,073

249,551

未払費用

30,077

42,178

未払法人税等

36,673

50,136

未払消費税等

1,665

273

預り金

70,065

60,987

契約負債

56,259

77,086

環境対策引当金

6,624

1,385

その他

48,892

55,119

流動負債合計

510,101

590,631

固定負債

 

 

社債

100,000

100,000

長期未払金

1,835

2,732

契約負債

678,519

867,956

環境対策引当金

13,015

11,583

その他

155,988

185,636

固定負債合計

949,360

1,167,908

負債合計

1,459,461

1,758,539

純資産の部

 

 

株主資本

 

 

資本金

50,000

50,000

資本剰余金

 

 

資本準備金

179,858

179,858

その他資本剰余金

254,156

117,613

資本剰余金合計

434,014

297,471

利益剰余金

 

 

その他利益剰余金

 

 

固定資産圧縮積立金

4,378

4,039

繰越利益剰余金

625,099

711,770

利益剰余金合計

629,478

715,810

自己株式

36,629

147,321

株主資本合計

1,076,863

915,959

評価・換算差額等

 

 

その他有価証券評価差額金

27,328

22,281

繰延ヘッジ損益

232

評価・換算差額等合計

27,096

22,281

新株予約権

560

424

純資産合計

1,104,519

938,666

負債純資産合計

2,563,981

2,697,206

 

②【損益計算書】

 

 

(単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

売上高

1,214,732

1,357,334

売上原価

305,414

248,478

売上総利益

909,317

1,108,855

販売費及び一般管理費

 

 

販売促進費

268,663

332,225

広告宣伝費

424

429

給料及び手当

45,521

46,585

退職給付費用

1,838

2,180

福利厚生費

7,314

7,514

減価償却費

1,498

2,222

賃借料

8,338

9,045

旅費及び交通費

5,057

5,894

業務委託費

37,666

36,153

研究開発費

387,022

450,493

その他

41,889

56,986

販売費及び一般管理費合計

805,236

949,731

営業利益

104,081

159,123

営業外収益

 

 

受取利息

9,379

14,012

有価証券利息

42

76

受取配当金

69,677

27,327

受取賃貸料

4,118

3,847

為替差益

2,932

その他

1,229

2,296

営業外収益合計

87,380

47,560

営業外費用

 

 

支払利息

3,948

679

社債利息

984

907

為替差損

1,031

賃貸収入原価

1,612

1,106

休止固定資産減価償却費

4

14

その他

2,181

726

営業外費用合計

8,731

4,465

経常利益

182,730

202,218

特別利益

 

 

固定資産売却益

37

2

投資有価証券売却益

9,831

14,848

関係会社株式売却益

※2 7,230

※2 5,061

関係会社清算益

※3 4,960

補助金収入

※4 1,385

※4 3,911

事業譲渡価格調整金

710

その他

22

165

特別利益合計

18,505

29,658

特別損失

 

 

固定資産処分損

730

1,209

環境対策引当金繰入額

4,571

損失補償金

1,343

1

その他

383

1,406

特別損失合計

7,029

2,618

税引前当期純利益

194,206

229,259

法人税、住民税及び事業税

33,035

63,110

法人税等調整額

22,951

34,590

法人税等合計

10,084

28,519

当期純利益

184,122

200,740

【製造原価明細書】

 

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

区分

注記

番号

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

構成比

(%)

Ⅰ.原材料費

 

 

75,960

63.4

 

117,385

63.7

Ⅱ.経費

 

 

43,885

36.6

 

66,749

36.3

(うち外注加工費)

 

 

(43,885)

(36.6)

 

(66,749)

(36.3)

当期総製造費用

 

 

119,846

100.0

 

184,135

100.0

  合計

 

 

119,846

 

 

184,135

 

他勘定振替高

※1

 

62,246

 

 

110,304

 

当期製品製造原価

 

 

57,599

 

 

73,830

 

※1 原材料への振替及びその他の振替高であります。

 

(原価計算の方法)

 原価計算の方法は、組別総合原価計算(標準原価計算)であります。

 

③【株主資本等変動計算書】

前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

株主資本

 

資本金

資本剰余金

利益剰余金

自己株式

株主資本合計

 

資本準備金

その他資本剰余金

資本剰余金合計

その他利益剰余金

利益剰余金合計

 

固定資産圧縮積立金

繰越利益剰余金

当期首残高

50,000

179,858

252,284

432,142

4,669

507,795

512,464

36,808

957,798

当期変動額

 

 

 

 

 

 

 

 

 

固定資産圧縮積立金の取崩

 

 

 

 

290

290

-

 

-

剰余金の配当

 

 

 

 

 

67,109

67,109

 

67,109

当期純利益

 

 

 

 

 

184,122

184,122

 

184,122

自己株式の取得

 

 

 

 

 

 

 

25

25

自己株式の処分

 

 

156

156

 

 

 

204

360

その他株主資本の変動

 

 

1,716

1,716

 

 

 

 

1,716

株主資本以外の項目の当期変動額(純額)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当期変動額合計

-

-

1,872

1,872

290

117,303

117,013

178

119,064

当期末残高

50,000

179,858

254,156

434,014

4,378

625,099

629,478

36,629

1,076,863

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

評価・換算差額等

新株予約権

純資産合計

 

その他有価証券評価差額金

繰延ヘッジ損益

評価・換算差額等合計

当期首残高

18,749

403

19,152

608

977,560

当期変動額

 

 

 

 

 

固定資産圧縮積立金の取崩

 

 

 

 

-

剰余金の配当

 

 

 

 

67,109

当期純利益

 

 

 

 

184,122

自己株式の取得

 

 

 

 

25

自己株式の処分

 

 

 

 

360

その他株主資本の変動

 

 

 

 

1,716

株主資本以外の項目の当期変動額(純額)

8,579

635

7,943

48

7,894

当期変動額合計

8,579

635

7,943

48

126,959

当期末残高

27,328

232

27,096

560

1,104,519

 

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

株主資本

 

資本金

資本剰余金

利益剰余金

自己株式

株主資本合計

 

資本準備金

その他資本剰余金

資本剰余金合計

その他利益剰余金

利益剰余金合計

 

固定資産圧縮積立金

繰越利益剰余金

当期首残高

50,000

179,858

254,156

434,014

4,378

625,099

629,478

36,629

1,076,863

当期変動額

 

 

 

 

 

 

 

 

 

固定資産圧縮積立金の取崩

 

 

 

 

339

339

-

 

-

剰余金の配当

 

 

 

 

 

114,408

114,408

 

114,408

当期純利益

 

 

 

 

 

200,740

200,740

 

200,740

自己株式の取得

 

 

 

 

 

 

 

245,975

245,975

自己株式の処分

 

 

503

503

 

 

 

960

456

自己株式の消却

 

 

134,323

134,323

 

 

 

134,323

-

その他株主資本の変動

 

 

1,716

1,716

 

 

 

 

1,716

株主資本以外の項目の当期変動額(純額)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当期変動額合計

-

-

136,543

136,543

339

86,671

86,331

110,691

160,903

当期末残高

50,000

179,858

117,613

297,471

4,039

711,770

715,810

147,321

915,959

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

評価・換算差額等

新株予約権

純資産合計

 

その他有価証券評価差額金

繰延ヘッジ損益

評価・換算差額等合計

当期首残高

27,328

232

27,096

560

1,104,519

当期変動額

 

 

 

 

 

固定資産圧縮積立金の取崩

 

 

 

 

-

剰余金の配当

 

 

 

 

114,408

当期純利益

 

 

 

 

200,740

自己株式の取得

 

 

 

 

245,975

自己株式の処分

 

 

 

 

456

自己株式の消却

 

 

 

 

-

その他株主資本の変動

 

 

 

 

1,716

株主資本以外の項目の当期変動額(純額)

5,046

232

4,814

135

4,950

当期変動額合計

5,046

232

4,814

135

165,853

当期末残高

22,281

-

22,281

424

938,666

 

【注記事項】
(重要な会計方針)

1.資産の評価基準及び評価方法

(1) 有価証券

① 満期保有目的の債券

 …償却原価法(定額法)

② 子会社株式及び関連会社株式

 …移動平均法による原価法

③ その他有価証券

 市場価格のない株式等以外のもの

 …決算日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動

  平均法により算定)

 市場価格のない株式等

 …主として移動平均法による原価法

(2) 棚卸資産

通常の販売目的で使用する棚卸資産

…総平均法による原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)

 

2.固定資産の減価償却の方法

(1) 有形固定資産

 定額法によっております。

 なお、主な耐用年数は次のとおりであります。

  ・建物        : 15~50年

  ・機械及び装置    : 4~17年

  ・工具、器具及び備品 : 2~15年

(2) 無形固定資産

 定額法によっております。

 なお、将来の費用削減効果が確実な自社利用のソフトウエアについては、社内における利用可能期間(5年)に基づいております。

 

3.引当金の計上基準

(1) 貸倒引当金

 売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

(2) 退職給付引当金

 従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき退職給付引当金又は前払年金費用を計上しております。なお、退職給付債務の算定にあたり、退職給付見込額を当事業年度末までの期間に帰属させる方法については、給付算定式基準によっております。

 過去勤務費用は、発生時から1年(12ヶ月)で費用処理しております。

 数理計算上の差異は、各事業年度の発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(10年)による定額法により按分した額をそれぞれ発生の翌事業年度から費用処理しております。

(3) 環境対策引当金

 土壌浄化対策に係る損失に備えるため、土地の一部における浄化対策費用等の見積額を計上しております。

 

4.外貨建の資産及び負債の本邦通貨への換算基準

 外貨建金銭債権債務は、決算時の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しております。

 

5.ヘッジ会計の方法

(1) ヘッジ会計の方法

 原則として繰延ヘッジ処理によっております。

 なお、振当処理の要件を満たしている為替予約については、振当処理によっております。

 また、金利スワップの特例処理の要件を満たしている金利スワップについては、特例処理によっております。

(2) ヘッジ手段とヘッジ対象

 ヘッジ手段:為替予約、金利スワップ

 ヘッジ対象:外貨建金銭債権債務、借入金、外貨建予定取引

(3) ヘッジ方針

 輸出入取引等に係る為替変動リスク及び金利変動リスクをヘッジし、投機目的によるデリバティブ取引は行わない方針であります。

(4) ヘッジ有効性評価の方法

 為替予約及び特例処理によっている金利スワップは取引の重要な条件が同一であり、ヘッジ効果が極めて高いことから、有効性の評価を省略しております。

 (「LIBROを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」を適用しているヘッジ関係)

 上記ヘッジ関係のうち、「LIBROを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(実務対応報告第40号 2022年3月17日)の適用範囲に含まれるヘッジ関係のすべてに、当該実務対応報告に定められる特例的な取扱いを適用しております。当該実務対応報告を適用しているヘッジ関係の内容は、以下のとおりであります。

 ヘッジ会計の方法:金利スワップの特例処理

 ヘッジ手段:金利スワップ

 ヘッジ対象:借入金

 ヘッジ取引の種類:キャッシュ・フローを固定するもの

 

6.収益及び費用の計上基準

 当社は、医薬品等の製造販売を主な事業内容としており、顧客との契約に基づく主な履行義務の内容及び収益を認識する通常の時点は次のとおりであります。

(1) 製商品の販売

 当社が顧客に移転を約束した財又はサービスの内容は、医療用医薬品の販売であります。このような販売については、顧客へ製商品を引き渡し、検収が完了した時点で、製商品への支配が顧客に移転し、履行義務が充足されることから、当該時点で収益を認識しております。

 対価については、履行義務の充足時点から概ね3ヶ月以内に支払を受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。

 契約条件によっては、当社は割引、値引、割戻、返品等に応じる義務を負っております。この場合の取引価格は、顧客との契約において約束された対価からこれらの見積りを控除した金額で算定しており、顧客に返金すると見込んでいる対価を返金負債として計上しております。当該返金負債の見積りにあたっては、契約条件や過去の実績などに基づき計算しております。

(2) 技術料収入

 当社は、第三者に製品の研究開発、製造や販売、技術の使用等を許諾する契約を締結することにより、契約一時金、マイルストーン収入、ランニング・ロイヤリティー等の対価を得ております。

 契約一時金は、履行義務が一時点で充足される場合には、ライセンスを付与した時点で収益を認識しており、マイルストーン収入は、事後に収益の重大な戻入が生じる可能性を考慮し、規制当局への承認申請等の当事者間で合意したマイルストーンが達成された時点で収益を認識しております。履行義務が一時点で充足されないものについては、当該対価を契約負債として計上し、個々の契約に関連する製造及び供給サービスや研究開発協力等の履行義務の充足に従い一定期間にわたって収益として認識しております。ランニング・ロイヤリティーは、契約相手先の売上等を算定基礎として測定し、その発生時点を考慮して収益を認識しております。

 対価については、対価の受領要件を満たした後、概ね3ヶ月以内に支払を受けております。なお、重大な金融要素は含んでおりません。

 

7.その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

 該当事項はありません。

 

(重要な会計上の見積り)

引当金及び偶発債務

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

(単位:百万円)

 

前事業年度

当事業年度

環境対策引当金

19,639

12,969

 

(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

 引当金は、将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合に計上しております。また、債務の保証、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものについては、偶発債務として開示しております。

 引当金の計算及び偶発債務の判断は、期末日における将来の経済的便益の流出時期及び流出金額に関する最善の見積りに基づいて行っております。見積りに使用した仮定と異なる結果が生じることにより、翌事業年度の財務諸表において引当金の金額に重要な修正を行う可能性があります。

 

(貸借対照表関係)

1.関係会社に対する金銭債権、債務

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

 短期金銭債権

254,093百万円

220,869百万円

 長期金銭債権

138,581

164,057

 短期金銭債務

199,550

226,561

 

2.偶発債務

(1) 債務保証

 関係会社の事業所等賃貸契約に対する保証並びに関係会社及び従業員の金融機関からの借入金に伴う支払債務に対して債務保証を行っております。

 

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

 第一三共Inc.

10百万円

-百万円

 プレキシコンInc.

5,525

4,762

 従業員(住宅資金等)

137

99

5,672

4,861

 

 

(2) 訴訟

Seagen Inc.保有の米国特許に関する訴訟等

 2020年10月、Seagen Inc.は、エンハーツを含む当社ADCがSeagen Inc.の保有する米国特許10,808,039を侵害するとして特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所に提起しました。2022年4月、同裁判所で陪審審理が行われ、エンハーツが当該米国特許を侵害しているとの陪審評決が下されました。陪審員は、陪審審理に至る前の2020年10月から2022年3月までの期間のSeagen Inc.の損害額が41.8百万米ドルであると判断し、また、当該米国特許の故意侵害があったと認定しました。同年7月、同裁判所は、前記陪審評決を確認する判決を下しましたが、陪審が故意侵害であると認定した一方で、状況を総合的に判断し、損害賠償額を増額しませんでした。2023年10月、同裁判所は、2022年7月の判決を不服とする当社の申立(post-trial motions)を棄却し、当該判決で決定された41.8百万米ドルの損害賠償額に加え、2022年4月1日からSeagen Inc.の当該米国特許が満了する2024年11月4日までのエンハーツの米国売上に対する8%のロイヤリティーの支払を命じる一審判決を下しました。2023年11月、当社は、同年10月の一審判決に対し、米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴を提起いたしました。なお、仮にSeagen Inc.に当該米国特許の侵害に係る賠償金及びロイヤリティーを支払うこととなった場合には、アストラゼネカ社と締結したエンハーツの共同開発及び販売提携に関する契約に基づき、これをアストラゼネカ社と折半して負担いたします。

 一方で、2020年12月、当社らは、Seagen Inc.の当該米国特許が無効であるとして、米国特許商標庁に当該米国特許の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」という。)の請求手続を行いましたが、2021年6月、当該PGRの審理を開始しない旨の決定がなされておりました。当該決定を受け、同年7月、当社らは、米国特許商標庁への再審理請求を行うとともに、同年8月、バージニア州東部地区連邦地方裁判所に行政訴訟を提起し、その結果、2022年4月、米国特許商標庁は上記再審理請求を認めPGRの開始を決定しました。同年7月、米国特許商標庁はSeagen Inc.の再審理請求を認め、PGRを進めないことを決定しましたが、当社の再審理請求を受け、2023年2月、PGRの再開を決定しました。2024年1月、米国特許商標庁は、Seagen Inc.の当該米国特許は無効であるとの決定を下しました。同年2月、Seagen Inc.は、同年1月の米国特許商標庁の決定に対して長官レビューを申請しましたが、同年3月、米国特許商標庁は当該申請を棄却しました。同年5月、Seagen Inc.は米国特許商標庁の決定に対して米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴を提起しました。

 2024年7月、米国連邦巡回区控訴裁判所は、特許侵害訴訟の控訴審とPGRの控訴審を関連する訴訟として同一の裁判官合議体が審理することを決定しました。

 当該米国特許は、米国連邦巡回区控訴裁判所に控訴中の特許侵害訴訟においてSeagen Inc.が主張の根拠としている唯一の特許ですが、当社は、当該米国特許は無効であり、賠償金を支払う可能性は低いと考えているため、当該米国特許の侵害に係る賠償金の引当金を計上しておりません。

 

3.貸出コミットメント契約

 当社は、運転資金の効率的な調達を行うため貸出コミットメントライン契約を締結しておりましたが、契約満了に伴い当該契約は終了しております。

 

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

コミットメントラインの総額

20,000百万円

-百万円

借入実行残高

差引額

20,000

 

(損益計算書関係)

1.関係会社との取引高

 

前事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当事業年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

営業取引による取引高

 

 

 売上高

583,536百万円

681,037百万円

 仕入高

195,721

110,890

 販売費及び一般管理費

369,923

390,000

営業取引以外の取引高

73,809

34,964

 

※2. 関係会社株式売却益

前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 第一三共エスファ株式会社の株式売却に係るものであります。

 

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 第一三共エスファ株式会社の株式売却に係るものであります。

 

※3. 関係会社清算益

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 第一三共RDノバーレ株式会社の清算に伴うものであります。

 

※4. 補助金収入

前事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発に係るものであります。

 

当事業年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの開発等に係るものであります。

 

(有価証券関係)

子会社株式及び関連会社株式

前事業年度(2024年3月31日現在)

 子会社株式及び関連会社株式で市場価格のあるものはありません。

 

当事業年度(2025年3月31日現在)

 子会社株式及び関連会社株式で市場価格のあるものはありません。

 

 (注)市場価格のない株式等の貸借対照表計上額

(単位:百万円)

 

 

区分

前事業年度

(2024年3月31日)

当事業年度

(2025年3月31日)

子会社株式

309,790

494,495

関連会社株式

245

686

合計

310,035

495,181

 

(税効果会計関係)

1.繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳

 

前事業年度

(2024年3月31日)

 

当事業年度

(2025年3月31日)

繰延税金資産

 

 

 

前払委託研究費・共同開発費等

20,671百万円

 

19,371百万円

前払費用等

19,444

 

27,484

減価償却費

16,341

 

22,905

棚卸資産評価損等

16,907

 

33,291

税務上の繰越欠損金

948

 

未払賞与

4,539

 

5,512

有価証券等評価損

1,208

 

1,575

投資簿価修正

6,306

 

4,467

未払事業税等

2,942

 

3,477

契約負債

41,884

 

40,069

補助金収入

 

10,980

貸倒引当金

948

 

951

環境対策引当金

5,992

 

4,068

その他

4,352

 

5,938

繰延税金資産小計

142,488

 

180,094

将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額

△3,014

 

△3,397

評価性引当額小計

△3,014

 

△3,397

繰延税金資産合計

139,474

 

176,696

繰延税金負債

 

 

 

その他有価証券評価差額金

△11,998

 

△10,203

前払年金費用

△9,593

 

△11,750

固定資産圧縮積立金

△4,074

 

△3,995

その他

 

△199

繰延税金負債合計

△25,667

 

△26,148

繰延税金資産(負債)の純額

113,807

 

150,547

 

2.法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との間に重要な差異があるときの、当該差異の原因となった主要な項目別の内訳

 

前事業年度

(2024年3月31日)

 

当事業年度

(2025年3月31日)

法定実効税率

30.5%

 

30.5%

(調整)

 

 

 

交際費等永久に損金に算入されない項目

0.2

 

0.2

受取配当金等永久に益金に算入されない項目

△10.6

 

△3.2

評価性引当額増減

△1.2

 

0.3

試験研究費の法人税額特別控除

△11.2

 

△15.5

外国子会社からの配当に係る外国源泉税

0.2

 

0.4

投資簿価修正

△4.6

 

外国子会社合算所得

0.5

 

3.3

税率変更による繰延税金資産の増額修正

 

△0.8

その他

1.4

 

△2.8

税効果会計適用後の法人税等の負担率

5.2

 

12.4

(注)前事業年度において、「交際費等永久に損金に算入されない項目」に含めていた「外国子会社合算所得」は、
      金額的重要性が増したため、当事業年度より独立掲記しております。これに伴い、比較情報の組替えを行って
      おります。

 

3.法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理

 当社は、グループ通算制度を適用しております。また、「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する取扱い」(実務対応報告第42号 2021年8月12日)に従って、法人税及び地方法人税の会計処理又はこれらに関する税効果会計の会計処理並びに開示を行っております。

 

4.法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正

 「所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)」が2025年3月31日に国会で成立したことに伴い、2026年4月1日以後開始する事業年度より、「防衛特別法人税」の課税が行われることになりました。

 これに伴い、2026年4月1日以後開始する事業年度以降に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債については、法定実効税率を30.5%から31.4%に変更し計算しております。

 この税率変更により、当事業年度の繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)は1,519百万円増加し、法人税等調整額が1,812百万円、その他有価証券評価差額金が292百万円減少しております。

 

 

(収益認識関係)

 連結財務諸表注記の「24.売上収益」にて記載しているため、記載を省略しております。

 

(重要な後発事象)

1.第一三共エスファ株式会社の株式の譲渡

 2025年4月1日、当社は、2023年5月16日に締結したクオールホールディングス㈱との株式譲渡契約に基づき、当社が保有する第一三共エスファ㈱の発行済株式総数の29%をクオールホールディングス㈱に譲渡いたしました。

 この結果、2026年3月期の損益計算書において「関係会社株式売却益」約70億円を計上する予定です。

2.第一三共プロファーマ株式会社及び第一三共ケミカルファーマ株式会社の吸収合併

当社は、2024年11月29日開催の当社取締役会において、当社の完全子会社である第一三共プロファーマ㈱及び第一三共ケミカルファーマ㈱を吸収合併することを決定し、2025年4月1日を企業結合日として合併いたしました。

(1) 取引の概要

① 結合当事企業の名称及びその事業の内容

(ⅰ)結合当事企業の名称

当社、当社の完全子会社である第一三共プロファーマ㈱、第一三共ケミカルファーマ㈱

(ⅱ)事業の内容

第一三共㈱(当社):医療用医薬品の研究開発、製造、販売など

第一三共プロファーマ㈱:医薬品製造、治験薬製造

第一三共ケミカルファーマ㈱:医薬品の原薬、中間体、治験原薬等の製造

② 企業結合日

2025年4月1日

③ 企業結合の法的形式

当社を存続会社、第一三共プロファーマ㈱及び第一三共ケミカルファーマ㈱を消滅会社とする吸収合併

④ 結合後企業の名称

第一三共株式会社

⑤ その他取引の概要に関する事項

 第一三共プロファーマ㈱及び第一三共ケミカルファーマ㈱は、当社の医療用医薬品や治験薬などの製造業務を行っております。当社の成長を牽引するADC(抗体薬物複合体)の生産体制の拡充、及び新たなモダリティの開発加速を図るためには、生産機能と生産技術開発機能の機能間連携をさらに深めていく必要があります。今般、3社に分かれていた機能を当社に集約することにより、開発から商用生産までのプロセス及び各社が培ってきた経験を有機的に融合し、抗がん剤の開発と生産に必要不可欠な迅速性や生産性の向上、そして生産体制の強靭化等に繋げてまいります。

(2) 実施した会計処理の概要

「企業結合に関する会計基準」及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」に基づき、共通支配下の取引として会計処理を行う予定であります。当該合併に伴い、2026年3月期の損益計算書において抱合せ株式消滅差益約819億円を特別利益として計上する見込みです。

 

3.自己株式の取得枠設定

 連結財務諸表注記「39.後発事象 (1)自己株式取得枠の設定」をご参照ください。

 

4.自己株式の消却

 連結財務諸表注記「39.後発事象 (2)自己株式の消却」をご参照ください。

 

④【附属明細表】
【有形固定資産等明細表】

(単位:百万円)

区分

資産の種類

当期首残高

当期増加額

当期減少額

当期償却額

当期末残高

減価償却

累計額

有形固定資産

建物

56,809

2,418

56

4,910

54,260

108,358

構築物

1,692

217

27

188

1,694

5,211

機械及び装置

321

272

0

141

452

8,057

車両運搬具

0

           -

           -

          -

0

17

工具、器具及び備品

10,340

10,333

132

5,520

15,020

51,241

土地

16,473

1

           -

          -

16,474

          -

建設仮勘定

1,363

14,824

12,495

          -

3,692

          -

87,000

28,067

12,711

10,760

91,595

172,887

無形固定資産

特許権

201

           -

           -

65

135

           -

ソフトウエア

1,432

2,515

           -

1,027

2,920

          -

その他

26,751

15,478

2,515

4,383

35,331

          -

28,385

17,993

2,515

5,476

38,387

          -

 

 

【引当金明細表】

(単位:百万円)

科目

当期首残高

当期増加額

当期減少額

当期末残高

貸倒引当金

3,108

            -

79

3,029

環境対策引当金

19,639

            -

6,670

12,969

 

(2)【主な資産及び負債の内容】

 連結財務諸表を作成しているため、記載を省略しております。

(3)【その他】

 当社に関する重要な訴訟については、注記事項(貸借対照表関係)「2.偶発債務」に記載のとおりであります。