第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

2【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

当期における国内医薬品業界は、薬価改定の実施はなかったものの、社会保障費の財源確保を背景とする薬剤費抑制策等の実施により市場は低調に推移しました。また、当社グループにおきましては、主力製品の特許満了による売り上げへの影響が本格化するなど、これまでにない企業行動が必要な局面を迎えました。

このような中で、当社グループは、長期ビジョン「HOPE100」の実現に向けて、平成28年度を初年度とする中期経営計画「HOPE100-ステージ2-(平成28年度~平成31年度)」のもと、平成29年度は経営方針に「多様な知の結集による変革の推進」を掲げ、医療用医薬品事業では持続成長を可能とする医薬事業モデルの進化に取り組み、ヘルスケア事業※1では核となる事業づくりを推進し、成果目標の達成とステークホルダーの皆様からの支持・評価の向上に努めました。

※1:環境衛生、一般用医薬品他

 

当第1四半期連結累計期間における売上高は、主力製品の特許満了による売り上げ減少を主因として新医薬品(国内)が減収となり、モンテルカスト(キプレス)のオーソライズド・ジェネリック(以下、AG)の販売拡大により後発医薬品は増収となったものの医療用医薬品事業の売り上げは前年を下回る実績で推移しました。微増となったヘルスケア事業と併せて、全体の売り上げは前年度を下回り、264億58百万円と前年同期比12億49百万円(前年同期比4.5%減)の減収となりました。

利益面では、新医薬品(国内)の売り上げ減少等により売上総利益は前年同期に対して15億01百万円減少しました。他方、販売費及び一般管理費につきましてはコスト削減を推進し、前年同期に対して8億52百万円減少(内、研究開発費5億37百万円減)しました。これらの結果、営業利益は、25億95百万円と前年同期比6億48百万円(前年同期比20.0%減)の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、ドクタープログラム㈱の株式譲渡に伴う特別利益約6億円を計上したこともあり23億93百万円(前年同期比7.3%減)となりました。

 

当第1四半期連結累計期間の業績

売上高       264億58百万円(前年同期比  4.5%減)

営業利益       25億95百万円(前年同期比 20.0%減)

経常利益       28億05百万円(前年同期比 19.5%減)

親会社株主に帰属する

四半期純利益     23億93百万円(前年同期比  7.3%減)

 

①医療用医薬品事業

〔新医薬品(国内)〕

国内医療用医薬品の市場構造が変化する中、杏林製薬㈱は特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)の医師、医療機関に営業活動を集中するFC(フランチャイズカスタマー)戦略の進化及び、エリアマネジメントを軸とした営業戦略の実行をベースとして、中期経営計画の重点戦略「新薬群比率の向上」の達成に向けて、主力製品の普及の最大化並びに新製品の早期浸透に取り組みました。当第1四半期連結累計期間におきましては、喘息治療配合剤「フルティフォーム」及び、平成28年11月に新発売したアレルギー性疾患治療剤「デザレックス」等の処方拡大に努め両製品は想定どおり伸長したものの、特許満了を迎えた気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」及び、長期収載品である気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」等の売り上げは減少し、新医薬品(国内)の売上高は179億99百万円(前年同期比17.2%減)となりました。

〔新医薬品(海外)〕

広範囲抗菌点眼剤「ガチフロキサシン(導出先:米国アラガン社)」のロイヤリティ収入の増加により、売上高は2億42百万円(前年同期比278.3%増)となりました。

〔後発医薬品〕

杏林製薬㈱の主力製品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」の特許満了に対応し、平成28年9月にキョーリン リメディオ㈱より「モンテルカスト錠10㎎・5㎎「KM」」(杏林製薬㈱及びMSD㈱が販売している「キプレス」及び、「シングレア」のAG)を発売しました。その結果、同剤の売り上げが大幅な増加要因となり、後発医薬品全体の売上高は68億70百万円(前年同期比49.1%増)となりました。

なお、キョーリン リメディオ㈱は、高岡オフィスパーク内に新研究所「高岡創剤研究所」を設置し、平成29年7月3日より本格稼動いたしました。中期経営計画の重点戦略「特色を活かしたジェネリック(GE)事業の推進」の達成に向けて、同研究所に於いてGE医薬品の製剤開発力の強化及び、魅力ある自社開発品目数の増加に取り組みます。

生産部門では、平成29年5月11日開催の当社取締役会において、グループ内生産体制の統合を目的に新生産子会社を設立し、当社グループの生産機能を集約する方針を決議しました。平成30年4月を目処に、当社連結子会社である杏林製薬㈱の能代工場及び、キョーリン リメディオ㈱の生産本部を吸収分割により新生産子会社へ承継させ、当社連結子会社であるキョーリン製薬グループ工場㈱を吸収合併により新生産子会社に統合する予定です。

以上の結果、当セグメントの売上高は251億12百万円(前年同期比4.9%減)となり、セグメント利益は25億12百万円(前年同期比21.8%減)となりました。

 

②ヘルスケア事業

ドクタープログラム㈱の全株式を大正製薬㈱に平成29年4月1日付けで譲渡したことから、スキンケア製品の売り上げは減少しました。他方、中期経営計画の育成戦略に掲げる「ヘルスケア事業における核となる事業づくり」に向け、環境衛生における製品ラインアップ拡充に努めました。環境衛生・一般用医薬品他の売り上げは、主要製品である環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」、哺乳びん・乳首・器具等の消毒剤「ミルトン」の伸長に加えて、日本エア・リキード㈱との平成29年1月の販売業務提携により、取り扱いを開始した手指衛生製品群の売り上げが寄与し、前年を上回る実績で推移しました。

この結果、当セグメントの売上高は13億46百万円(前年同期比3.9%増)となり、セグメント利益は15百万円(前年同期はセグメント損失35百万円)となりました。

なお、杏林製薬㈱は㈱ジェイタスの全株式を取得する契約を平成29年6月23日に締結しました。同社は国立研究開発法人 産業技術総合研究所が開発した技術を産業活用することを目的に設立された産総研発ベンチャーで、PCR装置※2を独自技術で改良し、短時間で細菌・ウイルス等を同定することができる超高速遺伝子定量装置「GeneSoC」を開発しました。当社グループは、同技術を活用することで感染症の治療、診断に関わる事業を強化できるものと期待しております。株式取得につきましては、平成29年7月3日に完了しました。

※2:Polymerase Chain Reactionの略。ポリメラーゼ連鎖反応のことで、遺伝子を増幅させる技術

 

財政状態の状況

当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して7億94百万円減少し、

1,918億73百万円となりました。このうち、流動資産は1,218億98百万円と前連結会計年度末と比較して43億68百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の減少7億60百万円、受取手形及び売掛金の減少45億82百万円、商品及び製品の増加5億94百万円、原材料及び貯蔵品の増加8億53百万円、流動資産のその他の増加6億89百万円等によるものです。また、固定資産は699億74百万円と前連結会計年度末と比較して35億74百万円の増加となりました。主な増減要因は、投資有価証券の増加37億29百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して14億54百万円減少し、333億76百万円となりました。主な増減要因は、未払法人税等の減少7億01百万円、賞与引当金の減少14億00百万円、流動負債のその他の増加9億66百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して6億60百万円増加し、1,584億97百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少4億45百万円、その他有価証券評価差額金の増加8億49百万円等によるものです。

 

3)経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における研究開発費は24億88百万円(前年同期比17.8%減)となりました。

医療用医薬品に関わる新薬メーカーにとっては、未だ数多く存在するアンメットメディカルニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する革新的な新薬を継続的に創出し、届けることが使命です。杏林製薬㈱では、オリジナル新薬の創製こそが真の成長の原動力であり、新薬事業の強化が当社グループの存在意義を高め、持続成長に結びつくとの認識に基づき、自社創薬及び導入品の開発等を進め、特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)における開発パイプラインの拡充、新薬の早期開発に最大限、注力しています。

医療用医薬品事業における国内開発の進捗状況としましては、喘息治療配合剤「KRP-108P」のPhⅢ臨床試験を平成29年6月より開始しました。同試験は、成人喘息を対象として販売中の「フルティフォーム」の小児適応拡大を目的とするものです。

また、平成29年4月、厚生労働省に製造販売承認申請を提出したキノロン系合成抗菌剤「KRP-AM1977X」につきましては、追加の非臨床試験が必要となり実施することにしました。

創薬研究におきましては、オープンイノベーションの一環として、京都大学との共同研究講座を平成29年4月に開設し共同研究を開始しました。京都大学が持つ病態研究力(肺線維症等の臓器線維化プロセス)及び基礎研究力(iPS細胞を用いた技術基盤の応用)と杏林製薬㈱が有する創薬力を融合させ、呼吸器疾患の病態因子を同定し創薬ターゲットとしての可能性を検証研究することで、新規創薬ターゲットの創出、低分子化合物候補の発見等を目指します。