文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会
社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当期における国内医薬品業界は、社会保障費の財源確保を背景とした薬剤費抑制策等が推進され、市場成長は低位に推移しました。当社グループにおきましては、主力製品の特許満了による売り上げへの影響が本格化するなど、これまでにない企業行動が必要な局面を迎えました。
このような状況下、当社グループは長期ビジョン「HOPE100」の実現に向けて、平成28年度を初年度とする中期経営計画「HOPE100-ステージ2-(平成28年度~平成31年度)」のもと、平成29年度は経営方針に「多様な知の結集による変革の推進」を掲げ、医療用医薬品事業では持続成長を可能とする医薬事業モデルの進化に取り組み、ヘルスケア事業※1では核となる事業づくりを推進し、成果目標の達成とステークホルダーの皆様からの支持・評価の向上に努めました。
※1:環境衛生、一般用医薬品他
当第2四半期連結累計期間における売上高は、医療用医薬品事業において新医薬品(国内)が主力製品「キプレス」の特許満了を主因として減少し、後発医薬品はモンテルカスト(キプレス)のオーソライズド・ジェネリック(以下、AG)の販売拡大により増加したものの、前年を下回る実績で推移しました。ヘルスケア事業の売り上げは微増となりましたが、全体として507億58百万円と前年同期比38億69百万円(前年同期比7.1%減)の減収となりました。
利益面では、新医薬品(国内)の売り上げ減少及び、棚卸資産の除却損等の増加により売上総利益は前年同期に対して31億67百万円減少しました。他方、販売費及び一般管理費につきましてはコスト削減に取り組み、前年同期に対して9億47百万円減少(内、研究開発費1億48百万円減)しましたが、営業利益は、14億43百万円と前年同期比22億19百万円(前年同期比60.6%減)の減益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、ドクタープログラム㈱の株式譲渡益約6億円を特別利益に計上し、導出品(ガチフロキサシン点眼液)に関する米国反トラスト法違反を理由とした集団訴訟に伴う和解関連費用約4億円を特別損失に計上したことから12億40百万円(前年同期比53.8%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間の業績
売上高 507億58百万円(前年同期比 7.1%減)
営業利益 14億43百万円(前年同期比 60.6%減)
経常利益 16億93百万円(前年同期比 56.8%減)
親会社株主に帰属する
四半期純利益 12億40百万円(前年同期比 53.8%減)
①医療用医薬品事業
〔新医薬品(国内)〕
国内医療用医薬品の市場構造が変化する中、杏林製薬㈱は特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)の医師、医療機関に営業活動を集中するFC(フランチャイズカスタマー)戦略の進化及び、エリアマネジメントを軸とした営業戦略の実行をベースとして、中期経営計画の重点戦略である「新薬群比率の向上」に向けて、主力製品の普及の最大化並びに新製品の早期浸透に取り組みました。当第2四半期連結累計期間におきましては、喘息治療配合剤「フルティフォーム」及び、平成28年11月に新発売したアレルギー性疾患治療剤「デザレックス」の処方拡大に努め、両製品はともに想定どおり伸長したものの、平成28年度に特許満了を迎えた気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」及び、長期収載品である気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」等の売り上げが減少し、新医薬品(国内)の売上高は344億49百万円(前年同期比16.5%減)となりました。
〔新医薬品(海外)〕
広範囲抗菌点眼剤「ガチフロキサシン(導出先:米国アラガン社)」のロイヤリティ収入の増加により、売上高は5億23百万円(前年同期比52.5%増)となりました。
〔後発医薬品〕
杏林製薬㈱の主力製品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」の特許満了に対応し、平成28年9月にキョーリン リメディオ㈱より発売した「モンテルカスト錠10㎎・5㎎「KM」」(杏林製薬㈱とMSD㈱が販売している「キプレス」及び、「シングレア」のAG)の大幅な売り上げ増加を主因として、後発医薬品の売上高は130億05百万円(前年同期比26.0%増)となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は479億77百万円(前年同期比7.6%減)となり、セグメント利益は12億22百万円(前年同期比65.7%減)となりました。
当第2四半期連結累計期間における医療用医薬品事業での取り組みとして、キョーリン リメディオ㈱は、高岡オフィスパーク内に設置した新研究所「高岡創剤研究所」を平成29年7月より本格稼動いたしました。中期経営計画の重点戦略である「特色を活かしたジェネリック(GE)事業の推進」のもと、AGの次なる展開を推進すると共に同研究所に於いてGE医薬品の製剤開発力の強化及び、魅力ある自社開発品目数の増加を目指します。
また、生産部門では、平成29年5月開催の当社取締役会において、平成30年4月を目処に、当社連結子会社である杏林製薬㈱の能代工場及び、キョーリン リメディオ㈱の生産本部、当社連結子会社であるキョーリン製薬グループ工場㈱を新生産子会社に統合し、当社グループの生産機能を集約する方針を決議しました。この方針に沿って、平成29年10月に新生産子会社を設立いたしました。
②ヘルスケア事業
中期経営計画に掲げる育成戦略「環境衛生の事業成長と既存事業との連携強化により核となる事業を作る」の達成に向けて、環境衛生における製品ラインアップ拡充と売り上げ拡大に努めました。環境衛生・一般用医薬品他の売り上げは、主要製品である環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」、哺乳びん・乳首・器具等の消毒剤「ミルトン」の伸長に加えて、日本エア・リキード㈱との販売業務提携によって、平成29年3月から取り扱いを開始した手指衛生製品群の売り上げが寄与し、前年を上回る実績で推移しました。
他方、ドクタープログラム㈱の全株式を大正製薬㈱に平成29年4月1日付けで譲渡したことから、スキンケア製品の売り上げは減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は27億81百万円(前年同期比3.3%増)となり、セグメント利益は
75百万円(前年同期はセグメント損失27百万円)となりました。
なお、杏林製薬㈱は平成29年6月23日に締結した契約に基づき、㈱ジェイタスの全株式を平成29年7月3日に取得し、同9月30日に吸収合併いたしました。同社は国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)が開発した技術を産業活用することを目的に設立された産総研発ベンチャーで、PCR装置※2を独自技術で改良し、短時間で細菌・ウイルス等を同定することができる超高速遺伝子定量装置「GeneSoC®」を開発しました。当社グループは、同技術を活用することで感染症の治療、診断に関わる事業を強化できるものと期待しております。
※2:Polymerase Chain Reactionの略。ポリメラーゼ連鎖反応のことで、遺伝子を増幅させる技術
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
①財政状態の状況
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して26億74百万円減少し、
1,899億93百万円となりました。このうち、流動資産は1,173億33百万円と前連結会計年度末と比較して89億33百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加6億25百万円、受取手形及び売掛金の減少69億10百万円、有価証券の減少27億06百万円、商品及び製品の増加12億35百万円、原材料及び貯蔵品の増加5億92百万円、流動資産のその他の減少12億23百万円等によるものです。また、固定資産は726億59百万円と前連結会計年度末と比較して62億58百万円の増加となりました。主な増減要因は、投資有価証券の増加57億75百万円等によるものです。
負債総額は、前連結会計年度末と比較して23億38百万円減少し、324億92百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の減少9億53百万円、短期借入金の減少4億48百万円、未払法人税等の減少5億75百万円等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して3億35百万円減少し、1,575億01百万円となりました。主な増減要因はその他有価証券評価差額金の増加6億72百万円等によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、72億60百万円の収入(前年同期比72億54百万円収入の減少)であり、これは主に税金等調整前四半期純利益19億00百万円、減価償却費17億10百万円、売上債権の減少67億37百万円、たな卸資産の増加16億25百万円、仕入債務の減少8億97百万円、法人税等の支払額10億07百万円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、39億28百万円の支出(前年同期比32百万円支出の増加)であり、これは主に有形固定資産の取得による支出17億36百万円、投資有価証券の取得による支出50億99百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入30億00百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、26億85百万円の支出(前年同期比14億29百万円支出の減少)であり、これは主に長期借入れによる収入7億99百万円、長期借入金の返済による支出6億27百万円、配当金の支払額28億31百万円によるものです。
この結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して6億37百万円増加し、431億37百万円となりました。
(3)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における研究開発費は71億79百万円(前年同期比2.0%減)となりました。
医療用医薬品に関わる新薬メーカーにとっては、未だ数多く存在するアンメットメディカルニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する革新的な新薬を継続的に創出し、届けることが使命です。杏林製薬㈱では、オリジナル新薬の創製こそが真の成長の原動力であり、新薬事業の強化が当社グループの存在意義を高め、持続成長に結びつくとの認識に基づき、自社創薬及び導入品の開発等を進め、特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)における開発パイプラインの拡充、新薬の早期開発に最大限、注力しています。
医療用医薬品事業における国内開発の進捗状況としましては、喘息治療配合剤「KRP-108P」のPhⅢ臨床試験を平成29年6月より開始しました。同試験は、成人喘息を対象として販売中の「フルティフォーム」の小児適応拡大を目的とするものです。また、過活動膀胱治療剤「KRP-114V」につきましては、平成29年9月、厚生労働省に製造販売承認申請を提出しました。
なお、平成29年4月、厚生労働省に製造販売承認申請を提出したキノロン系合成抗菌剤「KRP-AM1977X」につきましては、追加の非臨床試験が必要となり、同7月、追加試験の実施を決定いたしました。また、耳鳴治療剤「KRP-209」につきましては、これまでPhⅡ臨床試験を実施してまいりましたが、当該臨床試験を終了し成績を評価した結果、本剤に期待していた有効性が明確に見出せなかったことから、この度、開発中止を決定しました。
創薬研究におきましては、オープンイノベーションの一環として、京都大学との共同研究講座「呼吸器疾患創薬講座」を平成29年4月に開設し共同研究を開始しました。京都大学が持つ病態研究力(肺線維症等の臓器線維化プロセス)及び、基礎研究力(iPS細胞を用いた技術基盤の応用)と杏林製薬㈱が有する創薬力を融合させ、呼吸器疾患の病態因子を同定し創薬ターゲットとしての可能性を検証研究することで、新規創薬ターゲットの創出、低分子化合物候補の発見等を目指します。