第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)経営方針

当社グループは、企業理念「キョーリンは生命を慈しむ心を貫き、人々の健康に貢献する社会的使命を遂行します」の具現に向けて、長期ビジョン「HOPE100(Aim for ealth eople and our nterprises)」のもと、中長期的な企業価値向上の視点で、医療用医薬品事業とヘルスケア事業※1を複合的に組み合わせ、事業リスクの分散を図り、健全かつ持続的に成長する「健康生活応援企業」への進化を目指しています。

 

 (2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、中核子会社である杏林製薬㈱の創業100周年に当たる2023年を見据えた長期ビジョン「HOPE100」を策定し、対象期間(2010年度~2023年度)を3つのステージに分け、現在、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-(2016年度~2019年度)」のもと、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めています。

近年、医療用医薬品事業を取り巻く外部環境は、ジェネリック(以下、GE)80%時代の到来、薬価制度の抜本改革等により市場構造が急速に変化しつつあり、一層厳しさを増しています。さらにその中で、当社グループは、2016年度に主力品の特許満了を迎え、これまでに経験したことのない大きな経営環境の変化に直面しました。

このように変動が大きい環境のもとでは、既存の考え方だけで課題に対応することは困難であり、これまでの業務遂行の仕組みをダイナミックに創り変え、過去の延長線上にはない新たな取り組みを創造・実行していくことが必要となります。長期ビジョン実現に向けたセカンドステップと位置付ける中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」では、ステートメントを「長期ビジョン実現に向けて、変革(変化と革新)を行い、持続成長を図る」としています。2019年度は、当年度の成果と課題を踏まえ引き続き以下の事業戦略と組織化戦略に取り組み、目標とする経営指標の達成に邁進いたします。

①事業戦略(Strategy)

医療用医薬品事業では持続成長を可能とする医薬事業モデルの進化を図り、ヘルスケア事業※1では核となる事業作りに向け、4つの重点戦略、2つの育成戦略を推進いたします。

(a)重点戦略

・創薬力の強化:ファースト・イン・クラス創薬への取り組み

・新薬群比率の向上:新薬群の普及の最大化による新薬群比率の大幅な向上

・特色を活かしたGE事業の推進

・ローコスト強化:グループ内最適化によるコスト構造の変革

(b)育成戦略

・海外進出:自社で創出した革新的な新薬の展開(欧米への早期導出)、アジアを中心に将来の直接的進出(医療用医薬品及びヘルスケア事業※1)の礎を築く

・ヘルスケア事業※1:環境衛生の事業成長と既存事業との連携強化により核となる事業を作る

 

②組織化戦略(Organization)

当社グループは長期ビジョンにおいて、社員を大切にし、人と組織を活力化することが事業戦略を遂行し、成果を具現するための最重要課題と位置付けています。「ステージ2」においても、社員にとって「働きがいNo.1企業」の実現を目指し、人材マネジメントの基本方針のもと、グループ各社の人材マネジメントシステム(採用、配属、育成、評価、異動、報酬、福利厚生等)の再構築と人材育成の強化に取り組みます。

 

③目標とする経営指標(Performance)

2019年度を最終年度とする中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」では、連結売上高 年平均成長率3%以上、連結営業利益率15%以上を数値目標としていますが、キノロン系合成抗菌剤「KRP-AM1977X」の開発における進捗の遅れ、導出先による免疫調節剤「KRP-203※2」の開発中止、及びデザレックスの一時供給停止による売上減少により業績推移は想定を下回り、売上高1,141億円、営業利益91億円を2019年度の連結業績予想の数値といたしました。

「ステージ2」における資本政策については、業績回復を一定程度見通すことの出来る状況を迎えたこと、及び当社グループの財務基盤の現状を考慮して、2018年度に資本の効率化及び株主価値のさらなる向上を図る政策に転換しました。健全な財務基盤を維持しつつ、成長投資と株主還元を通じて資本効率の向上を図ることを基本方針とし、株主還元につきましては、DOE(株主資本配当率)を勘案して、安定した配当を継続します。詳細は、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

[中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」の進捗と2019年度の取り組み]

事業戦略の中の重点戦略において、最重要課題と位置づけ推進している創薬力の強化では、わたらせ創薬センターとActivX社の連携による自社創薬に、国内外の製薬企業・アカデミア・ベンチャー企業とのオープンイノベーションを加えて、既存創薬プラットフォームの活性化、新技術(ペプチド、遺伝子治療など)の活用に努めました。今後も創薬テーマの選択と集中を進め、重層的なプログラム開発に取り組むと共に、外部創薬テーマの積極的な探索・導入を行い、ファースト・イン・クラス創薬に向けて、確実に歩みを進めます。

新薬群比率の向上では、2018年度に定量噴霧式アレルギー性鼻炎治療剤「ナゾネックス」及び自社開発の新薬である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」の販売を開始しました。それに加え、2019年度はキノロン系合成抗菌剤「KRP-AM1977X」の上市を目指します。今後は、主力製品である喘息治療配合剤「フルティフォーム」と併せて、新薬群による市場創造に取り組み、成長軌道の獲得に最大限、注力いたします。

特色を活かしたGE事業の推進では、2016年度に販売を開始したモンテルカスト(キプレス)オーソライズド・ジェネリックのGE内シェア50%以上の継続と共に、次なるAGの展開を推進していきます。

ローコスト強化では、新生産子会社キョーリン製薬グループ工場㈱に当社グループの生産機能を集約し、2018年4月1日より、本格稼働いたしました。工場稼働率の平準化と資産の効率活用に取り組み、引き続き高品質の製品を安定的かつ低コストで供給する競争力のあるグループ生産体制の構築に努めてまいります。

育成戦略として推進するヘルスケア事業では、環境衛生領域の主要製品「ルビスタ」の売上が増加しました。今後も、環境衛生に関わる事業の拡大と収益力の向上に努めます。また2018年度に参入した診断事業では、感染症の起炎菌及びウイルスを特定する体外診断用医薬品の開発を進め、次の核となる事業への成長を推進いたします。

 

※1:環境衛生、一般用医薬品他

※2:2006年、ノバルティス(本社:スイス)に導出。同社が開発戦略上の視点から開発の中止を決定し、開発権を返還しました。

 

 

 

2【事業等のリスク】

現在、当社グループの経営成績および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。当社グループでは、これら事業等のリスクに関し、組織的・体系的に対処することとしておりますが、影響を及ぼすリスクや不確実性はこれらに限定されるものではありません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当社グループの事業に係わる法的規制

当社グループの事業は、日本国内における薬機法、医療保険制度、薬価制度などの規制および海外における各国の各種関連規制の影響を受けます。また、医薬品の開発、製造、輸入、流通等の各段階において様々な承認・許可制度等が設けられています。今後、予測できない大規模な医療行政の方針転換が行われました場合、当社グループの営業成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

②医薬品の研究開発に係わる活動

医療用医薬品の開発には、多額の研究開発投資と長い期間が必要なうえ、新規性の高い化合物を発見し医薬品として上市できる確率は決して高くありません。現在、杏林製薬㈱では、数品目の医療用医薬品の臨床試験を実施中ですが、期待する臨床効果が確認できない場合や予測できない副作用の発現等により研究開発を中止する可能性があります。

③他社との競合激化

医薬品業界は、技術革新など進歩が急速に進む環境下にあり、より有用性の高い医薬品の開発や同種の効能を有する医薬品の上市が当社グループの主要製品の売上動向に影響を及ぼす可能性があります。

④医療制度改革の影響

日本国内におきましては、医療用医薬品の薬価改定を含む医療制度改革が実施されております。当社グループで

は、予測可能な範囲でその影響を業績予想に織り込んでおりますが、予想可能な範囲を超えた薬価改定や医療保険制度の改定が実施された場合、営業成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤副作用の発現

新医薬品の安全性に関する情報は、限られた被験者を対象に実施した臨床試験から得られたものであり、必ずしも副作用の全てを把握することは出来ません。市販後、汎用された中でそれまでに報告されなかった未知の副作用によりその医薬品の使用方法が制限されることや、場合によっては発売中止になる可能性があります。

⑥製造の停滞・遅延

技術的・規制上の問題もしくは自然災害・火災などの要因により生産活動の停滞・遅滞もしくは操業停止などが起こった場合、当社の営業成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦製品回収等

異物の混入等により当社グループの製品に欠陥が認められ製品の回収などの事態が発生した場合、営業成績等に悪影響を及ぼします。

⑧知的財産の保護

当社グループが国内外において知的財産を適切に保護できない場合、第三者が当社の技術を利用して当社グループ製品の市場ないしは関連する市場において悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業活動が他社製品の特許等、知的財産に抵触した場合、事業の中止・係争の可能性があります。

⑨訴訟リスク

当社グループの事業活動において、特許、製造物責任(PL法)、独占禁止法、環境保全、労務関連などの事柄において訴訟を提起される可能性があります。

⑩為替レートの変動

当社グループは、海外との輸出入を行っており、為替レートの変動は当社の売上高等に影響を与えます。

⑪他社との提携解消

当社グループでは、外部資源の有効活用を目的としてアライアンス戦略を推進し、国内外の製薬企業等と販売委

託・共同販売・共同研究等の提携を行っております。今後、何らかの事情によりこれらの提携関係を解消することになった場合、予定している営業成績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑫ITセキュリティ及び情報管理

当社グループでは、業務上、ITシステムを多数利用していることから、システムの不備やコンピューターウイルス等の外部要因により、業務が阻害される可能性があります。また情報等の外部への流出により信用を失うことで業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』」の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における国内医薬品業界は、社会保障費の財源確保を背景とする医療費・薬剤費の効率化に向けた諸施策が推進される中、2018年4月に薬価制度の抜本改革(薬価改定率 業界平均7.5%)が実施された影響により市場成長は低位に推移しました。

このような厳しい環境下、当社グループは長期ビジョン「HOPE100(~2023年度)」の実現に向けて、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-(2016年度~2019年度)」のもと、2018年度は経営方針に「スピーディな変革の実行」を掲げ、成長基盤の強化と収益力の向上に邁進しました。中核事業である医療用医薬品事業においては、グローバルを見据えたオリジナル新薬の創製、切れ目のない新薬の創出、新薬による市場の創造に、これまで以上のスピード感を持って取り組みました。また周辺事業では成長加速化・収益力向上を図ると共に、全社的にローコストオペレーションを推進し、成果目標の達成とステークホルダーの皆様からの支持・評価の向上に努めました。

 

当連結会計年度における売上高は、2018年4月に実施された薬価改定(杏林製薬㈱7%台)の影響はあったものの、続伸した主力製品、販売移管した製品及び新発売した製品の寄与により前期に対して新医薬品(国内)の売り上げが増加しました。他方、新医薬品(海外)は導出品の開発進展に伴う一時金収入の反動減により減少しましたが、後発医薬品の売り上げが前期を上回ったことにより、医療用医薬品事業合計としては増収となりました。ヘルスケア事業※1の実績は微減となりましたが、全体の売り上げは前期比29億79百万円増(前期比2.7%増)の1,136億20百万円となりました。

※1:環境衛生、一般用医薬品他

 

利益面では、薬価改定等による売上原価率の上昇、一時金収入の減少等により売上総利益が前期に対して41億66百万円減少しました。他方、販売費及び一般管理費は、費用の削減に取り組み、前期に対して43億16百万円減少(内、研究開発費34億52百万円減)したことで売上総利益の減少を吸収し、営業利益は89億72百万円と前期比1億50百万円の増益(前期比1.7%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、68億69百万円(前期比4.5%増)となりました。

 

当連結会計年度の業績

売上高        1,136億20百万円(前期比  2.7%増)

営業利益          89億72百万円(前期比  1.7%増)

経常利益          94億38百万円(前期比  1.0%増)

親会社株主に帰属する

当期純利益         68億69百万円(前期比  4.5%増)

 

   セグメントごとの業績は、次のとおりです。

(a)医療用医薬品事業

〔新医薬品(国内)〕

薬価制度抜本改革の進展により国内医療用医薬品の市場構造が急速に変化する中、杏林製薬㈱は特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)の医師、医療機関に営業活動を集中するFC(フランチャイズカスタマー)戦略をベースとして、独自のエリアマネジメントを積極的に展開し、主力製品の普及の最大化に取り組みました。当連結会計年度におきましては、中期経営計画の重点戦略に掲げる「新薬群比率の向上」の実現に向けて、主力製品である喘息治療配合剤「フルティフォーム」では処方獲得の強化による処方患者数の増加に努め、順調に伸長しました。また2018年8月より販売を開始した定量噴霧式アレルギー性鼻炎治療剤「ナゾネックス点鼻液」、及び同年11月に新発売した選択的βアドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤「ベオーバ」の売り上げが新医薬品の実績拡大に寄与しました。他方、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少し、売上高は776億94百万円(前期比5.4%増)となりました。

なお杏林製薬㈱が独占販売をしている持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」につきましては、製造販売元であるMSD㈱が自主回収を決定したことから、2019年1月7日より製品供給を一時停止させていただいております。

 

〔新医薬品(海外)〕

前年度に計上した「FPR2作動薬プログラム(導出先:米国ブリストル・マイヤーズスクイブ社)」の開発進展に伴う一時金収入の反動減等により、売上高は前期に対して25億09百万円減少し、8億30百万円(前期比   75.1%減)となりました。

 

〔後発医薬品〕

モンテルカスト錠「KM」(キプレス及びシングレアのオーソライズド・ジェネリック)の売り上げが増加すると共に、今年度販売を開始した追補収載品が寄与し、売上高は前期に対して16億72百万円増の293億34百万円(前期比6.0%増)となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は1,078億59百万円(前期比3.0%増)となり、セグメント利益は

83億16百万円(前期比0.7%増)となりました。

 

生産部門の取り組みとしましては、当社連結子会社である杏林製薬㈱の能代工場、及びキョーリン リメディオ㈱の生産本部、キョーリン製薬グループ工場㈱(滋賀県甲賀市)※2を新生産子会社キョーリン製薬グループ工場㈱(東京都千代田区)に、2018年4月1日付けで統合し、同日より本格稼働いたしました。中期経営計画の重点戦略である「ローコスト強化:グループ内最適化によるコスト構造の変革」のもと、キョーリン製薬グループ工場㈱に生産機能を集約し、グループ内生産の全体最適化とコスト低減を強力に推進しました。

※2:キョーリン製薬グループ工場㈱(滋賀県甲賀市)は、吸収合併により消滅会社となりました。

 

(b)ヘルスケア事業

中期経営計画に掲げる育成戦略「環境衛生の事業成長と既存事業との連携強化により核となる事業を作る」を推進し、主要製品である環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」は前年を上回る実績で推移しましたが、その他の製品の売り上げが減少し、当セグメントの売上高は57億61百万円(前期比3.0%減)となり、セグメント利益は1億 99百万円(前期比6.6%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、3億40百万円の収入であり、これは主に税金等調整前当期純利益93億

 59百万円、減価償却費29億40百万円、売上債権の増加47億73百万円、たな卸資産の増加21億12百万

 円、法人税等の支払額34億76百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、149億39百万円の収入で、これは主に有形固定資産の取得による支出

 21億70百万円、無形固定資産の取得による支出21億99百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入

 199億97百万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、273億15百万円の支出で、これは主に短期借入れによる収入199億75百万円、長期借入金の返済による支出15億82百万円、自己株式の取得等による支出408億39百万円、配当金の支払額50億68百万円によるものです。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比較して120億57百万円減少し、309億14百万円となりました。

③ 生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

 

新医薬品

61,205

85.8

医療用医薬品事業

後発医薬品

23,351

106.9

 

医療用医薬品事業計

84,557

90.7

ヘルスケア事業

2,750

91.1

合計

87,308

90.7

(注) 上記金額は、消費税等抜きの売価換算によっております。

(b)商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

 

新医薬品

12,429

455.5

医療用医薬品事業

後発医薬品

3,344

98.6

 

医療用医薬品事業計

15,773

257.7

ヘルスケア事業

1,693

95.5

合計

17,467

221.3

(注)1 上記金額は、消費税等抜きの実際仕入れ額によっております。

2 医療用医薬品事業の新医薬品実績が著しく増加しました。これは「ナゾネックス点鼻液」の仕入の増加によるものです。

 

(c)受注実績

当社グループ(当社及び当社の連結子会社)は販売計画に基づいた生産を行っておりますので、該当事項はありません。

(d)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

 

新医薬品

78,525

101.9

医療用医薬品事業

後発医薬品

29,334

106.0

 

医療用医薬品事業計

107,859

103.0

ヘルスケア事業

5,761

97.0

合計

113,620

102.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のと

      おりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額 (百万円)

割合(%)

金額 (百万円)

割合(%)

アルフレッサ ホールディングス株式会社

19,562

17.7

21,025

18.5

 株式会社スズケン

17,344

15.7

19,020

16.7

株式会社メディパルホールディングス

16,248

14.7

16,979

14.9

 東邦薬品株式会社

13,351

12.1

14,369

12.6

    3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、重要な会計方針及び見積りによる判断をおこなっております報告数値があり、実際の結果は見積りによる不確実性のために異なる結果となる可能性があります。

当社グループにおいては、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成において重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。

(a)その他有価証券で時価のあるものの評価基準及び評価方法

その他有価証券の評価差額は全部純資産直入法により処理しており、損益認識を行う場合とは親会社株主に帰属する当期純利益が異なってまいります。

(b)貸倒引当金

貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収不能見込み額を計上しておりますが、一般債権について

は、過去の貸倒実績率による見積額を計上しております。従いまして、厳しい経済情勢下においては各取引先の財政状態の変化により追加引当が必要となる可能性があります。

(c)退職給付に係る負債

従業員退職給付費用および退職給付債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には認識される費用及び債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(d)繰延税金資産

繰延税金資産については、将来の課税所得見込額等により回収可能性が高いと判断した金額を計上しておりますが、将来の予測に基づくため不可避の不確実性を内包していると認識しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して237億01百万円減少し、1,730億34百万円となりました。このうち、流動資産は1,149億04百万円と前連結会計年度末と比較して50億42百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の減少121億09百万円、受取手形及び売掛金の増加47億72百万円、商品及び製品の増加11億74百万円、仕掛品の増加19億16百万円等によるものです。また、固定資産は581億30百万円と前連結会計年度末と比較して186億59百万円の減少となりました。主な増減要因は、無形固定資産の増加16億51百万円、投資有価証券の減少209億15百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して162億00百万円増加し、496億39百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の増加11億75百万円、短期借入金の増加199億75百万円、未払法人税等の減少15億01百万円、流動負債のその他の減少27億12百万円、長期借入金の減少12億78百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して399億02百万円減少し、1,233億95百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少235億42百万円、自己株式の取得・処分等152億01百万円、その他有価証券評価差額金の減少11億75百万円等によるものです。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

新医薬品(国内)については、喘息治療配合剤「フルティフォーム」では処方獲得の強化による処方患者数の増加に努め、順調に伸長しました。また2018年8月より販売を開始した定量噴霧式アレルギー性鼻炎治療剤「ナゾネックス点鼻液」、及び同年11月に新発売した選択的βアドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤「ベオーバ」の売り上げが新医薬品の実績拡大に寄与しました。他方、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少し、売上高は776億94百万円(前期比5.4%増)となりました。後発医薬品については、モンテルカスト錠「KM」(キプレス及びシングレアのオーソライズド・ジェネリック)の売り上げが増加すると共に、今年度販売を開始した追補収載品が寄与し、売上高は前期に対して16億72百万円増の293億34百万円(前期比6.0%増)となりました。この結果、前連結会計年度に比較して29億79百万円増加(前期比2.7%増)し、1,136億20百万円となりました

(営業損益)

営業利益は、前連結会計年度に比較して1億50百万円増加(前期比1.7%増)し、89億72百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比較して2億94百万円増加し、68億69百万円となりました。

 

(c)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

(資金需要)

当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原料・材料の購入、商品購入のほか、製造費用、研究開発費、人件費の支払いであります。

また、継続的に設備投資を行っておりますが、当連結会計年度において23億06百万円の設備投資を実施いたしました。

(財務政策)

当社グループの運転資金及び設備投資資金の調達は、自己資金及び借入金等により賄っております。

2020年3月期においては、工場設備の拡充等、固定資産取得による支出約41億円を予定しております。

 

(d)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」において、連結売上高年平均成長率3%以上、連結営業利益率15%以上を数値目標としております。当連結会計年度における単年度連結売上高は前期比2.7%増、連結営業利益率は7.9%であり、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」を通した連結売上高年平均成長率は△1.1%、連結営業利益率は8.0%を予想しております。これらの指標に対する取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)外国会社からの技術導入

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

対価

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

レボブノロール

アラガン社

アメリカ

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

1990

発売日から10年

(自動更新)

ブリモニジン

アラガン社

アメリカ

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2004

対象特許満了または発売日から10年のいずれか長い方

フルティフォーム

ベクチュラ社

イギリス

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2008

対象特許満了または発売日から10年のいずれか長い方

COPD治療薬

(単剤)

アストラゼネカ社

イギリス

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2011

契約締結日から対象製品の最終販売日まで

OAB治療薬

メルク社

アメリカ

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2014

契約締結日からメルク社に対するロイヤルティーの支払義務が終了するまで

キョーリン

リメディオ㈱

(連結子会社)

モンテルカスト

AG

MSDインターナショナル社

スイス

供給価格

2016

上市日から10年間

 

(2)外国会社への技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

対価

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

ガチフロキサシン点眼液

アラガン社

アメリカ

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2000

対象特許満了または契約日から15年のいずれか長い方

イブジラスト

メディシ・ノバ社

アメリカ

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2004

対象特許満了または市場独占権有効期間のいずれか長い方

イミダフェナシン

エルジー・ライフサイエンス社

韓国

契約一時金

2005

契約締結日からエルジー・ライフサイエンス社の支払義務が終了するまで

イミダフェナシン

スピマコ社

サウジアラビア

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2009

発売日から10年

イミダフェナシン

アールファーム社

ロシア

契約一時金

販売マイルストーン

2014

契約締結日から10年

 

 

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

対価

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

イミダフェナシン

シンモサ社

台湾

契約一時金

販売マイルストーン

一定料率のロイヤルティー

2015

対象特許満了または契約日から15年のいずれか長い方

 

FPR2 作動薬プログラム

ブリストル・マイヤーズスクイブ社

アメリカ

契約一時金

販売マイルストーン

一定料率のロイヤルティー

2015

契約締結日からロイヤルティーの支払義務が終了するまで

 

イミダフェナシン

ファエス・ファルマ社

スペイン

契約一時金

開発マイルストーン

販売マイルストーン

2018

発売日から10年間

(自動更新)

 

(3)販売契約(輸出)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

契約年

契約期間

杏林製薬㈱
(連結子会社)

ノルフロキサシン

杏林新生製薬股份有限公司

台湾

1985

自動更新

キョーリンメディカルサプライ㈱

(連結子会社)

ルビスタ

メイジ・インドネシア・ファーマシューティカル社

インドネシア

2016

契約締結日から2019年12月31日まで

 

(4)販売契約(輸入)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

契約年

契約期間

杏林製薬㈱
(連結子会社)

マクサルト

メルク社

アメリカ

2003

2022年1月31日まで

(自動更新)

デスロラタジン

シェリングプラウ社

アイルランド

2014

再審査期間の満了または製造販売承認取得日から10年のいずれか長い方

 

(5)内国会社との販売契約(導入)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

契約期間

杏林製薬㈱
(連結子会社)

クリノリル

日医工株式会社

1981

自動更新

ロカルトロール

中外製薬株式会社

1986

2019年5月31日まで

ベストロン耳鼻科用

千寿製薬株式会社

1999

自動更新

メサラジン

日清ファルマ株式会社

2008

クルクミン

株式会社セラバリューズ

2011

キョーリンメディカルサプライ㈱
(連結子会社)

キョーリン感染症防護対策キット

アゼアス株式会社

2013

杏林製薬㈱

(連結子会社)

ナノトラップFlu A・B

ロート製薬株式会社

2014

2021年3月31日まで

 

 

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

契約期間

杏林製薬㈱
(連結子会社)

手指衛生製品群

日本エア・リキード株式会社

2017

2019年12月31日まで

(自動更新)

KRP-N118

株式会社三和化学研究所

2018

契約締結日から対象特許満了または発売日から10年のいずれか長い方

(自動更新)

ナゾネックス点鼻液50μg

MSD株式会社

2018

2023年7月31日まで

(自動更新)

ノンアルコール手指消毒剤

(医薬部外品)

吉田製薬株式会社

2019

2022年2月27日まで

(自動更新)

 

 (6)内国会社との販売契約(導出)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

契約期間

杏林製薬㈱
(連結子会社)

ケタス点眼液

千寿製薬株式会社

1999

自動更新

バクシダール点眼液

千寿製薬株式会社

1999

ミロル点眼液0.5%

科研製薬株式会社

2000

マクサルト

エーザイ株式会社

2003

2022年1月31日まで(自動更新)

シンセロン錠

株式会社ヤクルト本社

2008

2020年3月末日まで(予定)

ガチフロキサシン 点眼液

千寿製薬株式会社

2009

販売終了までの期間

ウリトス

エーザイ株式会社

2009

2022年1月31日まで(自動更新)

ルビスタ

吉田製薬株式会社

2015

自動更新

キョーリンメディカルサプライ㈱

(連結子会社)

ルビスタ

帝人フロンティア株式会社

2016

自動更新

杏林製薬㈱
(連結子会社)

KRP-114V

キッセイ薬品工業株式会社

2018

対象特許満了または契約日から15年のいずれか長い方

(自動更新)

 

 (7)内国会社との共同開発

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

杏林製薬㈱

(連結子会社)

インジセトロン

株式会社日清製粉グループ本社

1995

モンテルカスト

萬有製薬株式会社

1999

イミダフェナシン

小野薬品工業株式会社

2000

Ad-SGE-REIC製剤

桃太郎源株式会社

2014

Ad-SGE-REIC製剤

国立研究開発法人科学技術振興機構

2015

特殊環状ペプチド

ペプチドリーム株式会社

2015

 

 

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

杏林製薬㈱

(連結子会社)

KRP-114V

キッセイ薬品工業株式会社

2016

ノンアルコール手指消毒剤

(医薬部外品)

吉田製薬株式会社

2018

 

(8)内国会社への技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

対価

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

ガチフロキサシン

千寿製薬株式会社

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

1997

販売終了までの期間

ブリモニジン

千寿製薬株式会社

契約一時金

一定料率のロイヤルティー

2004

対象特許満了または発売日から10年のいずれか長い方

 

(9)その他

契約会社名

契約内容

相手方の名称

契約年

キョーリン製薬グループ工場㈱

(連結子会社)

製造受託

MSD株式会社

2012

杏林製薬㈱

(連結子会社)

株式給付信託

みずほ信託銀行

2016

キョーリン製薬ホールディングス㈱

(当社)

株式給付信託

みずほ信託銀行

2016

杏林製薬㈱

(連結子会社)

ナゾネックス点鼻液50μgのコ・プロモーション契約

MSD株式会社

2016

デザレックス錠5mgのコ・プロモーションに関する基本契約書

科研製薬株式会社

2017

 

 

5【研究開発活動】

新薬メーカーにとっては、未だ数多く存在するアンメットメディカルニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する革新的な新薬を継続的に創出することが使命です。杏林製薬㈱は、オリジナル新薬の創製こそが真の成長の原動力であり、持続成長に結びつくとの認識に基づき、わたらせ創薬センターとActivX社の連携による自社創薬に国内外の製薬企業、アカデミア、ベンチャー企業とのオープンイノベーションを加えることで、既存の創薬プラットフォームの更なる活性化、新技術(ペプチド、遺伝子治療)の応用・育成に努めました。また今年度より創薬テーマの選択と集中を進め、重層的なプログラム開発に取り組むと共に外部創薬テーマの積極的な探索・導入を行うことで、ファースト・イン・クラス創薬に向けた活動を展開しました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は10,790百万円となっております。

(1)医療用医薬品事業

遺伝子治療薬「Ad-SGE-REIC」の悪性胸膜中皮腫を対象とするPhⅡ臨床試験を2018年6月より、夜間多尿による夜間頻尿治療剤「KRP-N118」の後期PhⅡ臨床試験を同年8月より開始しました。選択的βアドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤「ベオーバ(一般名:ビベグロン、開発コード:KRP-114V)」につきましては、厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年11月に新発売いたしました。

創薬研究においては、オープンイノベーションの一環として、杏林製薬㈱が公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所との共同研究を今年度より始動し、重点研究領域の1つである感染症における創薬力の強化に努めました。また同年12月、エルサレム・ヘブライ大学の技術移転会社Yissumと呼吸器領域における疾患治療薬の創製において戦略的パートナーシップを締結いたしました。同大学医学部薬学科医薬品研究所のFrancesca Levi-Schaffer教授が手がける研究プログラムを支援し、喘息等の治療薬に関わる新たな標的を見出すべく研究を進めることにいたしました。

当セグメントの当連結会計年度の研究開発費は10,755百万円であります。

(2)ヘルスケア事業

当セグメントの当連結会計年度の研究開発費は35百万円であります。