第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』」の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態の状況については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

(1)経営成績の状況

当期における国内医薬品業界は、社会保障費の財源確保を背景とする医療費・薬剤費の効率化に向けた諸施策が推進される中、平成30年4月に薬価制度の抜本改革(薬価改定率 業界平均7.5%)が実施された影響により、市場成長は引き続き低位で推移しました。

このような環境下、当社グループは長期ビジョン「HOPE100(~2023年度)」の実現に向けて、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-(平成28年度~平成31年度)」のもと、平成30年度は経営方針に「スピーディな変革の実行」を掲げ、成長基盤の強化と収益力の向上に邁進しています。中核事業である医療用医薬品事業では、グローバルを見据えたオリジナル新薬の創製、切れ目のない新薬の創出、新薬による市場の創造に、これまで以上のスピード感を持って取り組んでいます。さらに周辺事業における成長加速化・収益力向上、及びグループ全社でのローコストオペレーション推進により、成果目標の達成とステークホルダーの皆様からの支持・評価の向上に努めます。

 

当第3四半期連結累計期間における売上高は、平成30年4月に実施された薬価改定(杏林製薬㈱7%台)の影響はあったものの、主力製品の普及の拡大、新製品の発売により新医薬品(国内)が前年を上回る実績で推移しました。また後発医薬品の売り上げも増加しましたが、新医薬品(海外)の売り上げが導出品の開発進展に伴う一時金収入の反動減により減少し、医療用医薬品事業合計としては減収となりました。ヘルスケア事業の実績は横ばいとなり、全体の売上高は前年同期比9億06百万円減(前年同期比1.1%減)の820億17百万円となりました。

利益面では、薬価改定による売上原価率の上昇等により売上総利益が前年同期に対して36億48百万円減少しました。他方、販売費及び一般管理費は、費用の削減に取り組み、前年同期に対して26億37百万円減少(内、研究開発費23億16百万円減)し、営業利益は67億94百万円と前年同期比10億11百万円の減益(前年同期比13.0%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、51億12百万円(前年同期比16.5%減)となりました。

 

当第3四半期連結累計期間の業績

売上高        820億17百万円(前年同期比  1.1%減)

営業利益        67億94百万円(前年同期比 13.0%減)

経常利益        71億24百万円(前年同期比 13.6%減)

親会社株主に帰属する

四半期純利益      51億12百万円(前年同期比 16.5%減)

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

①医療用医薬品事業

〔新医薬品(国内)〕

国内医療用医薬品の市場構造が急速に変化する中、杏林製薬㈱は特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)の医師、医療機関に営業活動を集中するFC(フランチャイズカスタマー)戦略をベースとして、独自のエリアマネジメントを積極的に展開しました。当第3四半期連結累計期間におきましては、中期経営計画の重点戦略に掲げる「新薬群比率の向上」の実現に向けて、主力製品の普及の最大化に取り組み、喘息治療配合剤「フルティフォーム」は順調に伸長しました。またMSD㈱の関連会社と国内独占販売権に関する契約を締結して、平成30年8月より販売開始した定量噴霧式アレルギー性鼻炎治療剤「ナゾネックス点鼻液」及び、同11月に新発売した待望の新薬選択的 βアドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤「ベオーバ」の売り上げが新医薬品の実績拡大に寄与しました。他方、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少しましたが、売上高は555億35百万円(前年同期比1.3%増)と前年を上回る実績で推移しました。

なお、杏林製薬㈱が独占販売している持続性選択H1受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」につきまして、製造販売元であるMSD㈱が自主回収を決定したことから、平成31年1月7日より、販売元の杏林製薬㈱が本剤の回収を実施しております。

 

〔新医薬品(海外)〕

前年度、計上した「FPR2作動薬プログラム(導出先:米国ブリストル・マイヤーズスクイブ社)」の開発進展に伴う一時金収入の反動減等により、前年同期に対して24億75百万円減少し、売上高は6億29百万円(前年同期比79.7%減)となりました。

 

〔後発医薬品〕

モンテルカスト錠「KM」(キプレス及びシングレアのオーソライズド・ジェネリック)の売り上げ増加及び今年度販売を開始した追補収載品の寄与等により、売上高は214億36百万円(前年同期比4.1%増)となりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は776億01百万円(前年同期比1.1%減)となり、セグメント利益は63億14百万円(前年同期比13.6%減)となりました。

 

②ヘルスケア事業

中期経営計画に掲げる育成戦略「環境衛生の事業成長と既存事業との連携強化により核となる事業を作る」を推進し、主要製品である環境除菌・洗浄剤「ルビスタ」及び哺乳びん・乳首・器具等の消毒剤「ミルトン」は前年を上回る実績で推移しましたが、その他製品の売り上げ減少により、当セグメントの売上高は44億15百万円(前年同期比0.5%減)となり、セグメント利益は1億71百万円(前年同期比26.5%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して242億98百万円減少し、

1,724億37百万円となりました。このうち、流動資産は1,150億00百万円と前連結会計年度末と比較して49億45百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の減少83億88百万円、有価証券の減少5億99百万円、商品及び製品の増加30億17百万円、原材料及び貯蔵品の増加10億96百万円等によるものです。また、固定資産は574億36百万円と前連結会計年度末と比較して193億52百万円の減少となりました。主な増減要因は、無形固定資産の増加17億47百万円、投資有価証券の減少214億74百万円、繰延税金資産の増加6億53百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して177億58百万円増加し、511億97百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の増加26億71百万円、短期借入金の増加199億75百万円、未払法人税等の減少20億33百万円、賞与引当金の減少12億00百万円、流動負債のその他の減少5億46百万円、長期借入金の減少11億41百万円、繰延税金負債の増加7億81百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して420億57百万円減少し、1,212億40百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少254億37百万円、自己株式の取得・処分による減少152億01百万円、その他有価証券評価差額金の減少18億26百万円等によるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当社は平成30年7月31日付の「資本政策の基本方針及び株主還元策の変更について」にて公表しましたとおり、資本の効率化及び株主価値のさらなる向上を図る政策に転換することとし、株主還元を強化することにいたしました。資本政策につきましては、健全な財務基盤を維持しつつ、成長投資と株主還元を通じて、資本効率の向上を図ります。株主還元につきましては、DOE(株主資本配当率)を勘案して、安定した配当を継続いたします。

なお、中期経営計画「HOPE100-ステージ2-」の実現に向けた事業戦略、数値目標に変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費は77億34百万円(前年同期比23.0%減)となりました。

新薬メーカーにとっては、未だ数多く存在するアンメットメディカルニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する革新的な新薬を継続的に創出し、届けることが使命です。杏林製薬㈱は、オリジナル新薬の創製こそが真の成長の原動力であり、持続成長に結びつくとの認識に基づき、わたらせ創薬センターとActivX社の連携による自社創薬に国内外の製薬企業、アカデミア、ベンチャー企業とのオープンイノベーションを加え、さらなる創薬基盤の強化に取り組んでいます。創薬テーマの選択と集中を進め、重層的なプログラム開発に取り組むと共に外部創薬テーマの積極的な探索・導入を行うことで、ファースト・イン・クラス創薬に向けて、確実に歩みを進めます。

創薬研究におきましては、オープンイノベーションの一環として、平成30年12月、エルサレム・ヘブライ大学の技術移転会社Yissumと呼吸器領域における疾患治療薬の創製において戦略的パートナーシップを締結いたしました。同大学医学部薬学科医薬品研究所のFrancesca Levi-Schaffer教授が手がける研究プログラムを支援し、喘息等の治療薬に関わる新たな標的を見出すべく研究を進めてまいります。

当第3四半期連結累計期間における国内開発の進捗状況としましては、平成30年9月に製造販売承認を取得していた選択的βアドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤「ベオーバ(一般名:ビベグロン、開発コード:KRP-114V)」を同11月に新発売いたしました。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、重要な変更のあった契約は次のとおりであります。

内国会社との販売契約(導入)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

ロカルトロール

中外製薬株式会社

1986

2019年5月31日まで

  (注)契約期間を「自動更新」から「2019年5月31日まで」に変更しております。