第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響については、「2[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績の状況」を参照ください。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当期における国内医薬品業界は、消費税引上げに伴う薬価改定(2019年10月、業界平均:2.40%)、薬価制度改革に沿った薬価改定(2020年4月、業界平均:4.38%)の実施、また新型コロナウイルス感染症の拡大による受診抑制等により市場は低位で推移しました。

このような環境の中、当社グループは長期ビジョン「HOPE100」の実現に向けて、今年度、新中期経営計画「HOPE100 -ステージ3-(2020年度~2023年度)」をスタートしました。ステートメントとして「オリジナリティーの追求による成長トレンドの実現」を掲げ、事業戦略及び組織化戦略を推進し成果目標の達成とステークホルダーの皆様からの支持・評価の向上に努めています。その初年度となる2021年3月期は、経営方針「オリジナリティーの追求に向けた挑戦」のもと、新薬群の成長加速、開発パイプラインの拡充、創薬プロジェクトの拡充、コスト競争力の向上に積極的に取り組み、成長トレンドへの転換に邁進しています。

 

当第2四半期連結累計期間における売上高は、薬価改定及び新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により当社グループに関連する医療用医薬品市場はマイナス成長で推移し、新医薬品等(国内)は前年を下回る実績となりました。一方で、後発医薬品の売り上げは増加しましたが、全体の売り上げは前年同期比5億63百万円減(前年同期比1.2%減)の477億35百万円となりました。

利益面では、売り上げは減少したものの売上原価率が改善したことにより売上総利益は前年同期に対して2億73百万円増加するとともに、コスト削減の取り組み及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関に対するMR活動の自粛等により、販売費及び一般管理費が、前年同期に対して4億45百万円減少(内、研究開発費は9百万円増)し、営業利益は15億02百万円と前年同期比7億18百万円の増益(前年同期比91.7%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、国立研究開発法人科学技術振興機構から借入れておりました長期借入金に対する返済義務の一部免除による債務免除益10億73百万円を特別利益に計上したことから、21億18百万円(前年同期比154.0%増)となりました。

 

当第2四半期連結累計期間の業績

売上高        477億35百万円(前年同期比  1.2%減)

営業利益        15億02百万円(前年同期比 91.7%増)

経常利益        18億13百万円(前年同期比 68.5%増)

親会社株主に帰属する

四半期純利益      21億18百万円(前年同期比154.0%増)

 

当社グループは、第1四半期連結累計期間より、報告セグメント(「医療用医薬品事業」「ヘルスケア事業」)を集約し、単一セグメントに変更しております。これに伴い売上高の区分を変更し、従来の新医薬品(国内)とヘルスケア事業を合わせて「新医薬品等(国内)」といたしました。「新医薬品(海外)」及び「後発医薬品」に変更はありません。以下の説明では前年同期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。報告セグメントの統合については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」を参照ください。

 

売上高の状況につきましては、以下の通りです。

〔新医薬品等(国内)〕

国内医療用医薬品の市場構造が急速に変化する中、杏林製薬㈱は特定領域(呼吸器科・耳鼻科・泌尿器科)の医師、医療機関に営業活動を集中するFC(フランチャイズカスタマー)戦略をベースとして、ソリューション提供型の営業スタイルへの変貌を推進しつつ事業を展開しています。当第2四半期連結累計期間におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、医療機関へのMR活動を自粛する一方で、訪問面談の支援施策としてデジタルチャネルを多面的に活用した情報提供を積極的に行い、新薬群の成長加速に取り組みました。主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」は伸長しましたが、2020年1月に新発売したキノロン系経口抗菌剤「ラスビック錠」は、医療機関へのMR活動自粛等により市場浸透に課題を残す状況となりました。また長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」等の売り上げが減少するとともに、キョーリン リメディオ㈱よりオーソライズドジェネリック(以下、AG)を発売した定量噴霧式アレルギー性鼻炎治療剤「ナゾネックス」、過活動膀胱治療剤「ウリトス」の売り上げも減少しました。

なお診断事業に関わる取り組みとして、杏林製薬㈱はマイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoC®」及び2020年4月に発売した新型コロナウイルス検出試薬「SARS‐CoV‐2 GeneSoC ER 杏林」の普及とともに専用自動前処理デバイス、及びPOCTモデル「GeneSoC® mini」の発売を目指しています。

以上の結果、売上高は328億57百万円(前年同期比2.6%減)となりました。

*POCT:Point Of Care Testingの略、ベッド(患者)サイドで医療従事者が行う検査

 

〔新医薬品(海外)〕

広範囲抗菌点眼剤「ガチフロキサシン(導出先:米国アラガン社)」に関わる収入が前年を下回る一方で、Priothera社(プリオセラ、本社:アイルランド)に免疫調節薬「KRP-203」に関わる知的財産等を譲渡したことが寄与し、売上高は5億27百万円(前年同期比35.1%増)となりました。

 

〔後発医薬品〕

2019年8月に発売したナゾネックスのAGの売り上げが増加するとともに、2020年6月に発売したウリトスのAGが寄与し、売上高は143億51百万円(前年同期比1.3%増)となりました。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況

①財政状態の状況

当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して13億70百万円減少し、

1,697億89百万円となりました。このうち、流動資産は1,138億60百万円と前連結会計年度末と比較して31億97百万円の減少となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加52億13百万円、受取手形及び売掛金の減少156億30百万円、商品及び製品の増加35億67百万円、仕掛品の増加6億35百万円、原材料及び貯蔵品の増加27億61百万円等によるものです。また、固定資産は559億29百万円と前連結会計年度末と比較して18億26百万円の増加となりました。主な増減要因は、投資有価証券の増加18億67百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して20億60百万円減少し、463億89百万円となりました。主な増減要因は、未払法人税等の減少9億68百万円、長期借入金の減少13億77百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して6億89百万円増加し、1,234億00百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少5億03百万円、その他有価証券評価差額金の増加10億22百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1億75百万円等によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、113億00百万円の収入(前年同期比33億52百万円収入の減少)であり、これは主に税金等調整前四半期純利益28億74百万円、減価償却費17億16百万円、売上債権の減少156億30百万円、たな卸資産の増加69億64百万円、法人税等の支払額12億05百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、31億74百万円の支出(前年同期比24億20百万円支出の増加)であり、これは主に有形固定資産の取得による支出24億51百万円、投資有価証券の取得による支出4億02百万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、28億29百万円の支出(前年同期比1億63百万円支出の減少)であり、これは主に配当金の支払額26億07百万円によるものです。

この結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して52億82百万円増加し、357億92百万円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はあ
りません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

当第2四半期連結累計期間の研究開発費は52億00百万円(前年同期比0.2%増)となりました。

新薬メーカーにとって、未だ数多く存在するアンメットメディカルニーズに応え、世界の人々の健康に貢献する新薬を継続的に創出し、届けることが使命だと考えています。杏林製薬㈱は、革新的新薬の創製で世界に認められる企業を目指し、自社創薬に国内外の製薬企業、アカデミア、ベンチャー企業とのオープンイノベーションを加えることで、創薬プラットフォームの活性化を進めるとともに、新技術(核酸、ペプチド等)の応用・育成にも取り組んでいます。また外部創薬テーマの積極的な探索・導入を行い、ファースト・イン・クラス創薬に向けた活動を展開しています。

当第2四半期連結累計期間における国内開発の状況としては、喘息治療配合剤「フルティフォーム」について、2020年6月に、小児適応に係る用法・用量を追加する承認事項の一部変更承認を取得しました。またaTyr(エイタイヤー、本社:米国)社とライセンス契約を締結し同社からライセンスの許諾を受けた間質性肺疾患治療薬「開発コード:KRP-R120(ATYR1923)」について、日本人健常成人男性を対象とする第Ⅰ相臨床試験を同年7月より開始しました。他方、遺伝子治療用医薬品「Ad-SGE-REIC」については、国立研究開発法人科学技術振興機構における産学共同実用化開発事業(NexTEP)に採択され、悪性胸膜中皮腫を対象とする臨床試験(開発ステージ:第Ⅱ相臨床試験)を実施してまいりましたが、この度、当初設定していた製品プロファイルの実現が難しいと判断し、当該開発を中止いたしました。

※NexTEPとは:国立研究開発法人科学技術振興機構が、大学等の研究成果に基づくシーズを用いて企業等が行う開発リスクを伴う規模の大きい開発を支援し、実用化を促進する制度

自社創製品の価値最大化を目指して、杏林製薬㈱は感音難聴を対象とする新規開発候補化合物について、同年8月にOtonomy社(オトノミー、本社:米国)とライセンス契約を締結し、本剤の全世界における開発、製造及び販売に関する独占的権利を供与しました。さらに免疫調節薬「KRP-203」について、同年9月にPriothera社と知的財産等の譲渡契約を締結し、本剤の開発・販売等に関する知的財産及び原薬等を譲渡しました。また開発パイプライン拡充の取り組みとして、同年9月にあすか製薬㈱と前立腺肥大症治療薬「AKP-009」の共同開発及び販売等に関する契約を締結し、本剤の日本国内における共同開発権及び販売権を取得しました。本契約により、杏林製薬㈱はあすか製薬㈱に契約一時金を支払い研究開発費に計上いたしました。今後とも積極的なパートナリング活動を推進し、開発パイプラインの拡充、自社創製品の価値最大化に取り組みます。

 

3【経営上の重要な契約等】

(1)当第2四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

①外国会社への技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

対価

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

感音難聴を対象とした化合物

オトノミー社

アメリカ

契約一時金

開発マイルストーン

販売マイルストーン

一定料率のロイヤルティ

2020

契約締結日からロイヤルティの支払義務が終了するまで

KRP-203

プリオセラ社

アイルランド

株式(プリオセラ社)等

2020

-

 

②内国会社との販売契約(導入)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

契約期間

杏林製薬㈱

(連結子会社)

AKP-009

あすか製薬株式会社

2020

対象製品の後発医薬品が初めて薬価収載された日から2年が経過する日または対象製品の上市10年後のいずれか遅く到来する日まで

(自動更新)

 

(2)当第2四半期連結会計期間において、解約した契約は次のとおりであります。

内国会社との販売契約(導入)

契約会社名

契約品目

相手方の名称

契約年

杏林製薬㈱
(連結子会社)

キョーリン感染症防護対策キット

アゼアス株式会社

2013