第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第2四半期連結累計期間における国内医療用医薬品業界は、2023年4月に薬価改定(中間年改定)が実施されたものの、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に移行したことから、患者さんの受診行動が同感染症拡大前の水準に回復し、医療用医薬品市場は1桁台中盤の成長率で推移しました。

当社グループは、創業100周年を迎えた今年度、新たに策定した長期ビジョン「Vision 110(2023年度~2032年度)」及び中期経営計画「Vision 110 -Stage1-(2023年度~2025年度)」を開始しました。その初年度となる2024年3月期は、経営方針に「事業体制の刷新と新たな取り組みによる成長」を掲げ、事業活動のポイントとして①創薬体制の刷新、②パイプラインの拡充、③新薬の普及最大化、④コスト競争力の向上に積極的に取り組んでいます。

当第2四半期連結累計期間における売上高は、薬価改定(杏林製薬㈱7%台)の影響はあったものの、新薬の成長により、新医薬品等(国内)の売り上げは前年同期を大幅に上回る実績で推移しました。後発医薬品の売り上げも増加し全体の売り上げは54,937百万円と前年同期比5,844百万円(前年同期比11.9%増)の増収となりました。

利益面では、売上原価率は上昇したものの売上増加により売上総利益が前年同期に対して2,033百万円増加しました。他方、販売費及び一般管理費は前年同期に対して1,666百万円の増加(研究開発費は656百万円減少)となり、その結果、営業利益は1,144百万円と前年同期比366百万円(前年同期比47.2%増)の増益となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期に計上した特別利益(保険差益、受取損害賠償金等)の減少はあったものの、投資有価証券の売却益969百万円を特別利益に計上した結果、1,757百万円(前年同期比514百万円増)となりました。

当第2四半期連結累計期間の業績

売上高        54,937百万円(前年同期比 11.9%増)

営業利益       1,144百万円(前年同期比 47.2%増)

経常利益       1,387百万円(前年同期比 18.4%増)

親会社株主に帰属する

四半期純利益     1,757百万円(前年同期比 41.4%増)

 

売上高の状況につきましては、以下の通りです。

〔新医薬品等(国内)〕

薬剤費の抑制を目的として継続的に実施される薬価改定等により、国内医療用医薬品事業を取り巻く環境は一層厳しさを増しています。このような環境に対応すべく、杏林製薬㈱は新薬比率の最大化を中期経営計画の重点戦略に掲げ、2024年3月期は本部方針「ソリューション提供型営業(課題解決策の提案)による新薬の普及最大化」のもと、積極的な事業活動を展開しています。当第2四半期連結累計期間においては、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行するなか、各医療機関の意向を確認しつつMRによる訪問面談を拡大するとともに、デジタルプロモーションの効果的な活用により複合的な情報提供を実施することで営業力の補完・強化を図り、新薬の成長加速に取り組みました。その結果、主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、ニューキノロン系抗菌剤「ラスビック」が大幅に伸長し、2023年5月に処方日数制限解除となった咳嗽治療薬「リフヌア」も売上増加に寄与しました。他方、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ」等の売り上げは減少しました。

診断事業に関わる取り組みとしては、2023年3月期に新発売した体外診断用医薬品(新型コロナウイルス核酸検出キット、インフルエンザウイルス核酸キット)の拡販に注力しました。今後とも新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症におけるPCR検査の時間短縮及び迅速な遺伝子検出方法の構築に向け、より一層の貢献を目指します。

以上の結果、新医薬品等(国内)の売上高は37,875百万円(前年同期比16.0%増)となりました。

 

〔新医薬品(海外)〕

新医薬品(海外)の売上高は167百万円(前年同期比46.5%減)となりました。

 

〔後発医薬品〕

安定供給問題への対応に最大限注力するとともに、追補収載品の売り上げ拡大に努めた結果、前年同期を上回る実績で推移し、売上高は16,895百万円(前年同期比4.7%増)となりました。

品質確保の取り組みについては、杏林製薬㈱、キョーリン リメディオ㈱、キョーリン製薬グループ工場㈱の全てのグループ会社が一丸となって、GMPなどの法令遵守の徹底を図るとともに、品質管理体制のより一層の強化に努めています。今後とも信頼性の確保に最大限注力し、高品質で安心・安全な製品を提供していきます。

※医薬品等の製造管理及び品質管理の基準

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況

①財政状態の状況

当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して130百万円増加し、176,175百万円となりました。このうち、流動資産は119,769百万円と前連結会計年度末と比較して739百万円の増加となりました。主な増減要因は、現金及び預金の増加6,837百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少8,945百万円、原材料及び貯蔵品の減少921百万円、仕掛品の増加4,566百万円、流動資産のその他の減少855百万円等によるものです。また、固定資産は56,405百万円と前連結会計年度末と比較して608百万円の減少となりました。主な増減要因は、無形固定資産の減少187百万円、投資有価証券の減少645百万円等によるものです。

負債総額は、前連結会計年度末と比較して635百万円減少し、49,949百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の増加428百万円、未払法人税等の減少1,204百万円、流動負債のその他の増加836百万円、長期借入金の減少100百万円、株式給付引当金の減少466百万円、退職給付に係る負債の減少137百万円等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末と比較して765百万円増加し、126,226百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少103百万円、自己株式の処分等による増加316百万円、その他有価証券評価差額金の増加265百万円、退職給付に係る調整累計額の増加195百万円等によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、8,364百万円の収入(前年同期比2,146百万円収入の増加)であり、これは主に税金等調整前四半期純利益2,349百万円、減価償却費2,172百万円、売上債権の減少8,945百万円、棚卸資産の増加3,695百万円、法人税等の支払額1,751百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、327百万円の収入(前年同期比4,035百万円収入の増加)であり、これは主に有形固定資産の取得による支出937百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入1,968百万円によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、2,020百万円の支出(前年同期比9百万円支出の減少)であり、これは主に配当金の支払額1,853百万円によるものです。

この結果、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して6,767百万円増加し、25,584百万円となりました。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第2四半期連結累計期間の研究開発費は3,842百万円(前年同期は4,498百万円)となりました。

当社グループは、医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続的に提供し、人々の健康に貢献することが使命だと考えています。杏林製薬㈱は、疾患研究から見出された新規作用機序による創薬に加え、革新的な技術により新たな価値を創出する創薬にも取り組んでいます。これまで注力してきた低分子創薬のみならず、新たなモダリティとして核酸創薬や外部の革新的な技術の活用を積極的に展開することで創薬基盤を強化し、疾患研究との組み合わせによって価値の高い新薬を生み出す創薬イノベーションに挑戦しています。

さらに導入による開発パイプラインの拡充を最重要課題と位置付けており、資金及び人的資源を最大限投入することによりライセンス・アライアンス機能を強化し、早期に開発パイプライン拡充を図るべく活動を展開しています。

当第2四半期連結累計期間における国内外開発の進捗状況としましては、臨床試験の相移行などの進展はありませんでしたが、杏林製薬㈱が開発中の治療用アプリ「KRP-DT123」について、医療機関による特定臨床研究が2023年9月に開始されました。

 

(6)従業員の状況

①連結会社の状況

当第2四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

②提出会社の状況

当第2四半期累計期間において、提出会社の従業員数は前事業年度末から1,347名増加し、1,464名となりました。この従業員数の増加は、旧杏林製薬㈱を吸収合併したことによるものです。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当第2四半期連結会計期間において、解約した重要な契約は次のとおりであります。

①技術導出

契約会社名

契約品目

契約先

対価

契約年

契約期間

相手方

国名

杏林製薬㈱

(当社)

ラスクフロキサシン

南京寧和社

中国

契約一時金

開発マイルストーン

販売マイルストーン

一定料率のロイヤリティ供給価格

2022

発売日から15年間

+自動更新

 

②共同研究・開発

契約会社名

内容

契約先

契約年

相手方

国名

杏林製薬㈱

(当社)

スピルリナ遺伝子組み換え技術を活用した開発候補品の開発

ルーメン社

アメリカ

2022