当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間連結会計期間における国内医療用医薬品業界は、2024年4月に薬価改定が実施される等、継続的な医療費抑制策の推進によって一層厳しい環境下にあり、医療用医薬品市場の成長率は横ばいで推移しました。
当社グループは、2023年度に策定した長期ビジョン「Vision 110(2023年度~2032年度)」及び中期経営計画「Vision 110 -Stage1-(2023年度~2025年度)」の達成に向けて邁進しています。その2年目となる2025年3月期は、経営方針に「変革を成し遂げる」と掲げ、事業活動として①創薬の変革を成し遂げる、②パイプラインの拡充、③新薬の普及最大化、④コスト競争力の向上等に積極的に取り組んでいます。
当中間連結会計期間における売上高は、薬価改定(杏林製薬㈱7%台)の影響はあったものの、新薬の伸長により、新医薬品等(国内)の売上高は前中間連結会計期間を上回る実績で推移しました。後発医薬品の売上高は減少しましたが、全体の売上高は55,139百万円と前年同期比202百万円(前年同期比0.4%増)の増収となりました。
利益面では、売上原価率が上昇したことにより、売上総利益は前中間連結会計期間に対して272百万円減少しました。他方、販売費及び一般管理費は前中間連結会計期間に対して485百万円の減少(研究開発費は1百万円増加)となり、その結果、営業利益は、1,549百万円と前年同期比213百万円(前年同期比16.0%増)の増益となりました。経常利益は、為替差益が生じた影響等により2,050百万円(前年同期比29.9%増)となりました。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は、1,255百万円(前年同期比33.6%減)となりました。これは前中間連結会計期間に投資有価証券売却益を計上した反動等によるものです。
なお、当中間連結会計期間より棚卸資産の評価方法について変更を行っており、前中間連結会計期間及び前連結会計年度については、遡及適用後の数値で比較分析を行っています。
当中間連結会計期間の業績
売上高の状況につきましては、以下のとおりです。
〔新医薬品等(国内)〕
2024年4月の薬価制度改革では、薬価改定の実施とともに新薬のイノベーション評価を推進するための薬価上の措置が取られる等、国内医療用医薬品事業を取り巻く環境は大きく変化しています。このような環境に対応し持続成長を図るべく、杏林製薬㈱は新薬比率の最大化を中期経営計画の重点戦略の一つに掲げており、営業部門では「新薬の普及最大化」を目指して、積極的な活動を展開しています。当中間連結会計期間におきましては、各医療機関の意向に沿ってMRによる訪問面談を行うとともに、デジタルプロモーションの効果的な活用により複合的な情報提供を実施することで営業力の補完・強化を図り、新薬の普及最大化に取り組みました。その結果、主力製品である過活動膀胱治療剤「ベオーバ」、ニューキノロン系抗菌剤「ラスビック」、喘息治療配合剤「フルティフォーム」、アレルギー性疾患治療剤「デザレックス」の売り上げが増加しました。他方、長期収載品である気管支喘息・アレルギー性鼻炎治療剤「キプレス」、気道粘液調整・粘膜正常化剤「ムコダイン」等の売り上げは減少しました。
診断事業に関わる取り組みとしては、体外診断用医薬品(SARSコロナウイルス核酸検出キット、インフルエンザウイルス核酸キット)の拡販に注力するとともに、百日咳菌検出キットを2024年6月に発売する等、GeneSoC専用の研究用試薬及び体外診断用医薬品の開発を推進しています。さらに、2024年10月に既存の「遺伝子解析装置 GeneSoC mini」に改良を加えた「遺伝子解析装置 GeneSoC mini 2」を発売しました。今後とも呼吸器・性感染症領域等において、GeneSoC関連製品を通して感染症の予防・診断・治療への貢献に取り組みます。
以上の結果、新医薬品等(国内)の売上高は39,029百万円(前年同期比3.0%増)となりました。
〔新医薬品(海外)〕
当中間連結会計期間に「ガチフロキサシン」に関わる一時的な収入を計上したことから、新医薬品(海外)の売上高は424百万円(前年同期比153.8%増)となりました。
〔後発医薬品〕
安定供給問題への対応に最大限注力するとともに売り上げ拡大に努めましたが、オーソライズド・ジェネリックの売り上げが前中間連結会計期間を下回り、後発医薬品の売上高は15,686百万円(前年同期比7.2%減)となりました。
品質確保の取り組みについては、杏林製薬㈱、キョーリン リメディオ㈱、キョーリン製薬グループ工場㈱の全てのグループ会社が一丸となり、GMP※等の法令遵守の徹底を図るとともに、品質管理体制のより一層の強化に努めています。今後とも信頼性の確保に注力し、高品質で安心・安全な製品を提供していきます。また安定供給の取り組みについても、2024年4月に稼働した高岡工場において、後発医薬品及び当局から増産要請のあった「ムコダイン」を製造する等、安定供給体制のより一層の強化に努めています。
※医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末と比較して1,238百万円増加し、178,865百万円となりました。このうち、流動資産は119,611百万円と前連結会計年度末と比較して370百万円の増加となりました。主な増減要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の減少10,689百万円、有価証券の増加399百万円、商品及び製品の増加2,551百万円、原材料及び貯蔵品の増加5,372百万円、流動資産のその他の増加2,437百万円等によるものです。また、固定資産は59,254百万円と前連結会計年度末と比較して867百万円の増加となりました。主な増減要因は、有形固定資産の増加1,348百万円、投資有価証券の減少741百万円等によるものです。
負債総額は、前連結会計年度末と比較して1,945百万円増加し、48,838百万円となりました。主な増減要因は、支払手形及び買掛金の減少426百万円、短期借入金の減少10,000百万円、流動負債のその他の減少1,471百万円、長期借入金の増加13,899百万円等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較して707百万円減少し、130,027百万円となりました。主な増減要因は、利益剰余金の減少605百万円、その他有価証券評価差額金の減少236百万円、退職給付に係る調整累計額の増加133百万円等によるものです。
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,379百万円の収入(前年同期比4,984百万円収入の減少)であり、これは主に税金等調整前中間純利益1,869百万円、減価償却費2,307百万円、売上債権の減少10,689百万円、棚卸資産の増加8,082百万円、仕入債務の減少426百万円、営業活動によるキャッシュ・フローのその他の減少2,342百万円、法人税等の支払額412百万円によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,235百万円の支出(前年同期比5,563百万円支出の増加)であり、これは主に有形固定資産の取得による支出4,637百万円、無形固定資産の取得による支出425百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,987百万円の収入(前年同期比4,007百万円収入の増加)であり、これは主に短期借入金の返済による支出10,000百万円、長期借入れによる収入14,000百万円、配当金の支払額1,855百万円によるものです。
この結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して130百万円増加し、14,017百万円となりました。
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
当中間連結会計期間における研究開発費は3,844百万円(前年同期は3,842百万円)となりました。
当社グループは、医療ニーズに応える価値の高い新薬を継続的に提供し、人々の健康に貢献することが使命だと考えています。杏林製薬㈱は、疾患研究から見出された新規作用機序による創薬に加え、革新的な技術により新たな価値を創出する創薬にも取り組んでいます。これまで注力してきた低分子創薬のみならず、新たなモダリティとして核酸創薬等、外部技術の活用により創薬基盤の強化に取り組み、疾患研究との組み合わせによって価値の高い新薬を生み出す創薬イノベーションに挑戦しています。
また導入による開発パイプライン拡充を最重要課題と位置付け、資金及び人的資源を最大限投入することによりライセンス・アライアンス機能を強化し、早期に開発パイプラインの拡充を図るべく活動を展開しています。
当中間連結会計期間における国内外開発の進捗状況としましては、臨床試験の相移行はありませんでしたが、間質性肺疾患治療薬「KRP-R120」、過活動膀胱治療薬「KRP-114VP(ベオーバの小児適応)」の各試験、及び耳鳴治療用アプリ「KRP-DT123」の特定臨床研究は着実に進展しています。また前臨床段階の開発候補品についても早期臨床入りを目指しています。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。