第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第31期

第32期

第33期

第34期

第35期

決算年月

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

売上高

(千円)

670,428

729,030

717,661

741,525

経常損失(△)

(千円)

99,758

139,084

81,797

1,170,355

親会社株主に帰属する
当期純損失(△)

(千円)

114,693

158,480

31,898

2,094,467

包括利益

(千円)

112,659

158,565

31,898

2,094,467

純資産額

(千円)

2,794,736

2,619,566

2,786,374

1,341,441

総資産額

(千円)

3,147,094

3,138,040

3,356,321

3,425,900

1株当たり純資産額

(円)

422.69

398.99

411.84

180.23

1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

17.99

24.20

4.86

287.52

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

87.9

83.2

82.8

39.0

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

12,161

108,999

16,984

55,886

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

136,903

21,835

607,709

458,490

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

464,540

163,736

286,671

2,145,528

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,135,786

1,232,210

891,915

2,522,102

従業員数
[ほか、平均臨時雇用
人員]

(名)

52

55

54

56

[-]

[11]

[13]

[12]

[11]

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第32期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

3.第32期、第33期、第34期及び第35期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

4.第32期、第33期、第34期及び第35期の自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失が計上されているため記載しておりません。

5.第32期、第33期、第34期及び第35期の株価収益率については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

6.平成25年10月1日付で普通株式1株につき普通株式10株の割合で株式分割を行っておりますが、第32期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純損失金額を算定しております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第31期

第32期

第33期

第34期

第35期

決算年月

平成25年3月

平成26年3月

平成27年3月

平成28年3月

平成29年3月

売上高

(千円)

800,081

547,149

595,437

595,057

653,477

経常利益又は経常損失
(△)

(千円)

80,448

112,198

41,247

29,681

1,131,250

当期純利益又は当期純
損失(△)

(千円)

153,077

126,528

110,317

55,321

2,109,157

持分法を適用した場合
の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

1,571,810

1,846,099

1,846,099

1,946,344

2,271,815

発行済株式総数

(株)

616,400

6,547,590

6,547,590

6,752,590

7,419,590

純資産額

(千円)

2,247,202

2,763,270

2,658,428

2,801,813

1,342,190

総資産額

(千円)

2,614,078

3,070,932

3,163,071

3,359,296

3,392,596

1株当たり純資産額

(円)

364.57

420.88

404.93

414.13

180.33

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

5.00

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益
金額又は1株当たり当
期純損失金額(△)

(円)

24.83

19.85

16.84

8.42

289.54

潜在株式調整後1株当
たり当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

86.0

89.7

83.8

83.2

39.4

自己資本利益率

(%)

7.1

株価収益率

(倍)

116.0

配当性向

(%)

20.1

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

228,703

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

34,362

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

185,664

現金及び現金同等物の
期末残高

(千円)

793,694

従業員数
[ほか、平均臨時雇用人員]

(名)

44

41

45

45

47

[10]

[9]

[11]

[10]

[9]

 

(注)1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.第32期については、主に、売上の減少が大きかったことから、経常損失及び当期純損失を計上しております。

  第33期については、前事業年度に引き続き、売上が低調であったことや特別損失の計上により、経常損失及び当期純損失を計上しております。

  第34期については、利益率が前事業年度に比較して改善しましたが、営業外費用及び特別損失の計上等により、経常損失及び当期純損失を計上しております。

  第35期については、売上高は順調に増加しましたが、前橋研究所の固定資産を一括で研究開発費に計上したことや、特別損失に減損損失を計上したこと等により経常損失及び当期純損失を計上しております。

3.第31期の持分法を適用した場合の投資損益については、関連会社はありますが損益等からみて重要性が乏しいため記載しておりません。

4.第31期の1株当たり配当額5円は全額記念配当であります。

 

5.第31期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

第32期、第33期、第34期及び第35期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

6.第32期、第33期、第34期及び第35期の自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりません。

7.第32期、第33期、第34期及び第35期の株価収益率については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

8.第32期、第33期、第34期及び第35期の配当性向については、1株当たり当期純損失金額であるため記載しておりません。

9.第32期より連結財務諸表を作成しているため、第32期、第33期、第34期及び第35期の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フローおよび現金及び同等物の期末残高は記載しておりません。

10.平成25年10月1日付で普通株式1株につき普通株式10株の割合で株式分割を行っておりますが、第31期期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額、1株当たり配当額及び1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額を算定しております。

 

2 【沿革】

年月

事項

昭和57年9月

医薬品及び医薬部外品の免疫学的研究、開発、製造及び販売を目的として、東京都千代田区に資本金5,000千円をもって株式会社免疫生物研究所を設立。
同時に、群馬県高崎市に研究所を設置。

昭和61年8月

研究設備拡充のため、群馬県藤岡市に藤岡研究所を新設し、研究所を移転。

昭和62年12月

藤岡研究所内に本社を移転。

平成6年4月

生産能力向上のため、藤岡研究所内に工場を新設。

平成11年10月

初の受託製造品となる関節炎発症カクテル抗体の大量生産に成功。

平成13年4月

藤岡研究所内に遺伝子組換え実験施設を備えた新研究棟を建設。

平成16年6月

群馬県高崎市に本社を移転。

平成17年3月

北海道三笠市に医薬シーズの探索を目的とする実験動物飼育施設を備えた三笠研究所を新設。

平成18年12月

当社創製の抗アミロイドβ抗体(82E1)に関して、米国Intellect Neuroscience, Inc.とライセンス契約を締結。

平成19年3月

大阪証券取引所ヘラクレス(現東京証券取引所JASDAQ(グロース))に株式を上場。

平成21年1月

診断薬の品質管理及び品質保証を目的にISO13485認証を取得。

平成22年6月

群馬県藤岡市に本社を移転。

平成25年7月

生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え、予防・診断支援などを強化する目的で、株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社)の株式取得及び簡易株式交換により完全子会社化。

平成25年10月

「ネオシルク-ヒトコラーゲン」含有化粧品の販路拡大を目的として、株式会社エムコスメティックスを子会社化。

平成25年11月

「ネオシルク-ヒトコラーゲン」含有化粧品の通信販売を目的として、当社の完全子会社、株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社)を設立。

平成27年3月

子会社、株式会社エムコスメティックスの株式を全株譲渡。

平成28年7月

群馬県前橋市に遺伝子組換えカイコ事業におけるGMP対応のパイロットプラントである前橋研究所を新設。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

3 【事業の内容】

1.当社グループの事業概要について

  (1) 当社グループの概要

  当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、持分法非適用会社1社で構成されております。

    当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

      ① 診断・試薬事業

  主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。

       ・・・株式会社免疫生物研究所

      ② 遺伝子組換えカイコ事業

  カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。

・・・株式会社免疫生物研究所

      ③ 検査事業

  主にLipoSEARCHを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。

       ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社)

      ④ 化粧品関連事業

  化粧品原料「ネオシルク-ヒトコラーゲン」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。

・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社)

      ⑤ その他の事業

  主に医療用品の販売を行っております。

       ・・・株式会社セルリムーバー(持分法非適用会社)

 

当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。

 


 

2.当社グループの事業セグメントについて

  (1) 診断・試薬事業

  診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。

 

① 研究用関連

  研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、細胞培養関連試薬、合成ペプチドその他を販売しております。

     ・ 抗体関連試薬販売

  主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。

        イ  EIA測定キット

  抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。

        ロ  抗体

  生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。

     ・ その他の試薬販売

        イ  細胞培養関連試薬

  細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。

        ロ  合成ペプチド

  抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。

        ハ  その他

  細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。

     ・ 試薬関連受託サービス

  製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。

        イ  抗体の作製、精製、標識

        ロ  細胞培養によるタンパク質製造

        ハ  抗体による測定系の開発

        ニ  受託試験

 

② 医薬用関連

  医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。

  他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。

 

     ・ 医薬シーズライセンス

  最近の治療用医薬品開発における話題の一つに、病因の物質のみに作用する分子標的治療薬があります。分子標的治療薬の中心は抗体医薬品であり、抗原のみに結合するという抗体の機能を利用し、高い薬効と低い副作用発現率を実現しております。当初、マウスなどで作製されたモノクローナル抗体は、そのままではヒトに対して異種タンパク質となるため、抗体医薬品に対する中和抗体がヒトの生体内で生成されて薬効が発揮できず、治療用医薬品として発売されるには至りませんでした。しかし、抗体作製技術の発達によって、中和抗体の生成が少ないマウス-ヒトキメラ抗体、ヒト化抗体、そして完全なヒト型抗体を作る技術が順次開発されました。これらの技術革新によって、現在では、世界各国でいくつもの抗体医薬品が発売されております。

  一方、診断用医薬品分野においても、テーラーメイド医療の手段あるいは病気の早期発見を目的としたより精度の高い診断用医薬品を開発するという点で、抗体の持つ特異性という特徴が注目されております。

既に契約を締結しているパイプラインを以下に記載いたします。

        治療用医薬候補品抗ヒトアミロイドβ抗体(82E1)

  当事業は、アルツハイマー型認知症との関連が示唆されているアミロイドβタンパク質に対する各種抗体の研究開発を行っております。その中で、当社グループは開発に成功した抗体のうちコード名「82E1」について、平成18年12月に米国Intellect Neurosciences, Inc.とアルツハイマー型認知症治療薬としての独占的開発、製造及び販売権を譲渡する契約を締結いたしました。その後、Intellect社は、本契約の元、アルツハイマー病治療薬としての開発を進めてまいりましたが、より実現可能性の高いターゲットとして、対象疾患を加齢性黄斑変性へ変更いたしました。それにともない、当社とIntellect社は、本契約を解除し、新たにマイルストーン契約を締結いたしました。今後当社グループは、開発の進捗に応じてマイルストーン契約金を、そして製品発売後には売上に対する一定率のロイヤリティーを受領する予定であります。

 

 

     ・ 体外診断用医薬品販売

        イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット

  異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、平成16年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、平成18年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をいたしております。

        ロ 診断用医薬品抗体

  当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。

        ハ 新規診断用医薬品キット

  当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。

  その中で、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。この度、体外診断薬申請の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認されることにより、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。また、LPL(リポ蛋白リパーゼ)のラテックス自動化診断薬を開発し製造販売認証を取得いたしました。その他、新規製品の販売開始及び研究開発を進めてまいります。

 

  (2) 遺伝子組換えカイコ事業

  当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子は、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋の中に組み込まれます。次にそのベクターがカイコの卵に注入され、最終的に遺伝子の組み込まれた、目的タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコを選別します。この遺伝子組換えカイコは、目的とするタンパク質を、繭の中に吐き出すように工夫されております。

 


 

  現在、遺伝子組換えによるタンパク質生産技術においては、大腸菌、酵母または動物細胞を用いた生産方法が主に用いられております。これらの方法にはそれぞれ一長一短があり、その目的に応じた生産方法が取られておりますが、当事業の技術は、他の方法と比較して多くの点で有利な点を有しております。下記にそれぞれの遺伝子組換え宿主による比較を行っております。

 

生産コスト

生産できる
タンパク質

精製

大量生産

大腸菌

低い

単純タンパク質

困難

容易

酵母

低い

単純タンパク質

比較的困難

容易

哺乳動物細胞

高い

複雑な構造の
タンパク質も可能

比較的容易

比較的困難

カイコバキュロウイルス系

比較的低い

複雑な構造の
タンパク質も可能

困難

容易

カイコ繭

低い

複雑な構造の
タンパク質も可能

容易

容易

 

 

  最も有利な点は、目的とするタンパク質の精製が非常に簡単なことです。目的タンパク質を発現した繭を溶液中で撹拌するだけで高純度に抽出・精製することが可能なため、その生産コストの低減化を実現できることになります。また、昆虫であるカイコは複雑な構造を有するタンパク質の生産にも有利です。実際に、フィブリノゲンと呼ばれる止血にかかわるタンパク質については、大腸菌や酵母ではこれまで生産出来なかったものが、本技術によって生産が可能になりました。さらに遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。このようにカイコの繭中に目的タンパク質を生産させる本技術は無限の可能性を有しております。

  遺伝子組換えカイコ事業では、実用化を目指した活動を行っております。現在、当社グループ製品に使用している主要なモノクローナル抗体を、遺伝子組換えカイコを用いて繭に生産させることに成功し、現在使用している抗体原料からカイコ由来原料に置き換えた製品製造を開始しております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて製造する技術を確立し、製造したラミニン511-E8フラグメント(ラミニン511-E8)を研究用試薬原料として販売しています。

  また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。

  中長期的には、研究用試薬、診断薬原料などに向けた実用化、さらに将来に向けて動物用医薬品、ヒト型フィブリノゲンや治療用抗体など、バイオ医薬品開発への挑戦をしていく所存であります。

 

  (3) 検査事業

  当事業では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端の脂質代謝解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。

  本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイル全体の変化を視覚的に捉えることを可能としております。 さらに、リポタンパク質の「粒子サイズ」に加え「粒子数」の分析が可能になり、より詳細なデータが取得できるようになりました。また生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、本領域での豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。

 

  (4) 化粧品関連事業

  当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルク-ヒトコラーゲンI」及びネオシルク-ヒトコラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルク-ヒトコラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルク-ヒトコラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金又は
出資金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の所有
(被所有)割合
(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

㈱スカイライト・バイオテック

秋田県秋田市

58,777

検査事業

100%

役員の兼任 3名

製品の売上、仕入

資金の貸付

㈱ネオシルク化粧品

群馬県藤岡市

10,000

化粧品関連事業

100%

役員の兼任 1名

原料品の売上

資金の貸付

 

(注)1. 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

        2. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3. ㈱スカイライト・バイオテックについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

 

主要な損益情報等

① 売上高

102,325千円

 

② 経常損失

△11,410 〃

 

③ 当期純損失

△35,091 〃

 

④ 純資産額

62,483 〃

 

⑤ 総資産額

69,264 〃

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

平成29年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

診断・試薬事業

56

[11]

遺伝子組換えカイコ事業

検査事業

化粧品関連事業

合計

56

[11]

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

   3. 当社グループは従業員数が少ないため、同一の従業員が複数の事業に従事しております。

 

  (2) 提出会社の状況

   平成29年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

47

[9]

42.8

13.1

4,214

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

診断・試薬事業

47

[9]

遺伝子組換えカイコ事業

合計

47

[9]

 

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.従業員数欄の[  ]外書きは、臨時従業員(準社員及びパートタイマー)の年間平均雇用人員(1日8時間換算)であります。

3.当社は従業員数が少ないため、同一の従業員が複数の事業に従事しております。

4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

  (3) 労働組合の状況

      労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。