文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、生物の生命維持に不可欠である免疫機構「抗体」について研鑽することによって、人類が病気から安全に免れるような治療用医薬品、診断用医薬品の開発や生活習慣病領域での検査サービスができるよう、独自の研究開発と大学・研究機関などとの共同研究の成果を製品の品質向上に結びつけるべく、研究開発活動を行っております。また、当社グループの成長戦略の柱とするカイコ繭中に、抗体を始めとした様々な安全性の高いタンパク質を発現させる技術を用いた、新しい生産系の確立に向けた研究開発活動を行っております。本技術では高い安全性を有する抗体医薬品等の生産開発など、医療に直接貢献できる事業を目標にしております。
このように、世界で難病に苦しむ人々が、1日も早く病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献することを経営理念としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、医薬品開発を目標とする創薬系バイオベンチャーであり、研究開発費が先行して発生いたしますが、当社グループの技術力から生産される独創的な製品の販売やサービスを国内外に提供し、安定的に黒字化を継続できる経営を目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループのセグメント別中長期経営戦略は、次のとおりであります。
・ 試薬・診断事業
研究用関連においては、積極的に海外プロモーションを実施するとともに、信頼出来る海外パートナーを獲得し、自社ブランドの抗体製品やキット製品の海外での販売ネットワークの拡大を目指してまいります。
医薬用関連については、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キットの販売が縮小していく中、認知症関連タンパク質として、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発を進めておりましたが、体外診断用医薬品「Tauタンパク-IBL」「pTauタンパク-IBL」をリリース(2019年11月7日付)致しました。今後につきましては、診断・試薬事業のさらなる基盤強化を図ることを目的に、新規体外診断用医薬品・研究用試薬の開発における臨床研究を実施するために認可を取得した衛生検査所において、自社で開発した抗体を研究用試薬に留めることなく、診断薬や医薬品としての有用性を検証し、有用性が高いシーズについては自社での診断薬開発に着手してまいります。また、グローバルパートナーとの連携を強化し、広く世界で使用される診断薬製品の上市を目指してまいります。
・ 遺伝子組換えカイコ事業
遺伝子組換えカイコ事業においては、カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術を改善・改良し、診断薬や化粧品原料への利用を拡大します。さらに医薬品への実用化を目指し、前橋研究所におけるGMP製造技術の開発に注力してまいります。
・ 検査事業
当事業の主な検査領域は、生活習慣病関連であり、そのユニークな技術を利用した詳細な検査に対する需要は、国内にとどまらず、海外においても今後も増加するものと予想されます。当事業は、現在、株式会社スカイライト・バイオテックの秋田ラボにおいて検査業務を行っておりますが、海外展開を視野に入れ、検査業務自体の海外導出を図ってまいります。また、当事業は、診断・試薬事業における研究開発の推進及び開発製品の需要拡大を目的とし、臨床検査事業の設立も視野に入れた、設備投資及び人材の育成を実施してまいります。
・ 化粧品関連事業
当事業は、遺伝子組換えカイコ事業により開発された化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」を使用した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。製品開発におきましては、動物由来原料を一切使用しない「今までにない安心・安全を提供し、消費者の皆様が満足できる化粧品」をモットーに基礎化粧品をはじめ、消費者の皆様の要望される化粧品の開発を順次進めてまいります。販売におきましては、消費者の皆様へ直接お届けする通信販売により展開しておりますが、さらに、北関東・信州・東北を中心とするドラッグストアへのテスト販売も開始され、海外への展開も視野に入れ、世界中の化粧品業界及び消費者の皆様に向けて展開してまいります。また、今後につきましては、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」の安全性を周知徹底し、化粧品業界に新風を吹き込み「すべての化粧品にネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」を実現していく所存です。
(4) 当社グループをめぐる業界や市場の動向等の経営環境
・ 医薬品業界
世界の医薬品関連事業を取り巻く環境は大きく変化し、高齢化社会、高ストレス社会の進展により、医薬品や診断薬に対する需要が伸び続けております。さらに、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)や重症熱性血小板減少症候群などの、治療法がない、もしくは治療満足度の低い疾患が多数あり、そのような疾患に対する治療薬の開発が待たれており、医薬品事業の重要性は、ますます高まっているといえます。
しかしながら、創薬技術の高度化や医薬品承認要件の厳格化などにより、治療用医薬品あるいは診断用医薬品の開発には、多額の研究開発費と長い年月が必要であり、経営環境は厳しさを増しています。従って、これら医薬品や診断薬の開発には、当社グループの人的資源と効率を鑑み、自社では製品化するまでの全過程を行うことが可能かどうか注意深く検討し、製品開発においては、選択と集中により積極的な投資によって、抗体に付加価値を付け、パイプラインを充実させることで企業価値の最大化を追求いたします。
・ 化粧品業界
近年の化粧品業界は、訪日外国人の増加により好調な業績が続いています。また、カテゴリー別に見てみると、スキンケア市場が半数を占める主要マーケットとして化粧品業界を牽引する存在となっております。当社グループが販売する化粧品「フレヴァンシリーズ」につきましては、スキンケア製品を中心に安全・安心をコンセプトに製造販売を行っております。
一方で、高齢社会や人口縮小の日本では今後市場の縮小が懸念されていることから、日本の化粧品メーカーは生き残りを賭けて海外進出を図っておりますが、当社グループにおきましても中国や欧州を中心に海外販路の開拓を行っております。
・ コロナウイルス感染症の影響について
今般、新型コロナウイルス感染症が世界規模で感染拡大しております。こういった状況の中、我が国における緊急事態宣言は解除されてはおりますが、状況は予断を許さない状況にあります。また、国内及び海外の経済状況についても、影響が見通すことがむずかしい中、当社グループの業績への影響額を合理的に見積もることが困難な状況となっております。
(5) 会社の対処すべき課題
・ 研究開発の重点投資
当社グループは、治療用医薬品及び診断用医薬品のさらなるパイプラインの充実が、事業の安定化のためには必要となります。そのため、資源投入の集中と研究開発の効率化を図り、また、現行の共同研究先である大学などに加え、優秀な人材を採用し、研究開発のスピードアップを図ってまいります。さらに、海外企業が保有する有用なシーズの発掘も積極的に行ってまいります。
・ 体外診断用医薬品への取り組み
診断・試薬事業の領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域となっております。安定した収益を生み出すためには、体外診断用医薬品の領域の製品化が必要であると認識し、体外診断用医薬品の研究開発に注力してまいります。
・ 遺伝子組換えカイコ事業への取り組み
カイコの繭中に目的タンパク質を産生する生産技術は、現在の生産方法に比較して製造コストを低減させることが可能です。短期的には、研究用試薬・体外診断用医薬品にて使用する抗体をはじめとした目的タンパク質の置換え利用や化粧品原料等への産業利用を推進し、具体的な生産受注を目指してまいります。中長期的には、動物用医薬品等の原料の実用化や株式会社CUREDとの抗HIV抗体の共同研究等、医薬品原料の研究開発を積極的に進めております。今後の課題として、研究開発項目の製品化や製品化されているラミニン及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠの生産に必要な遺伝子組換えカイコの飼育頭数が劇的に増加するため、大量飼育による人工飼料のコスト増が予想され、桑の葉の確保及び人工飼料のコスト低減を図るための事業化に向けた取り組みを進めてまいります。また、現在、進めている抗HIV抗体の医薬品原薬の商業化へ向けた取り組みにおいては、GMP等の高度な規制への対応に関し、当事業が十分な設備やノウハウを保有しているとは言えない状況で、製造コストの削減が課題となっております。
・ 化粧品関連事業における中国向け販売の取り組み
当事業は、中国に向けて、遺伝子組換えカイコ事業により開発された新規化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ」及び同原料配合化粧品「フレヴァン」シリーズを完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品で販売しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染の影響により、中国での商標登録問題の解決及び化粧品市場へのアプローチが出来ませんでしたが、徐々に社会活動も再開され、現地代理人との情報交換も始まっております。
なお、商標(フレヴァン)につきまして、中国向け販売代理店により、フレヴァンの中国語名の商標登録が完了(一度は拒絶されましたが、再審請求の結果、取得)しました。一方、アルファベット名「frais vent」の商標につきましては、現地代理人より連絡があり、下期中の取得を目指してまいります。さらに、化粧品の本格的な販売活動につきましては、第4四半期の開始に向け準備を進めてまいります。
・ 人材の確保及び教育
当社グループは、各事業に精通した研究員及びプロジェクトを推進できる人材の確保が必要不可欠と考えており、研究開発の効率を上げるため、ハード面とソフト面の両面から研究開発に適した環境作りを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。
研究開発型企業である当社グループにおいては、自由な発想が生み出される柔軟な組織がふさわしいと考えております。組織が硬直化し、研究開発活動が滞ることがないように、常に問題意識をもって物事に対処する集団として組織を維持運営いたします。
・ 財務安定性の確保
当社グループは、研究開発型企業として、積極的かつ継続的に研究開発に投資していく方針であります。投資の源泉は事業からの収益をもって行われることが望ましいと考えておりますが、研究開発テーマにより多額の先行投資が見込まれる場合には、株式の発行等により資金を調達してまいります。当社グループは、引き続き、収益確保のため、現製品の見直しや間接部門コストの削減に努めてまいります。また、研究テーマの選択を行い、経営資源を集中して効率的な経営を行うことが重要であると認識しております。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの事業活動において、リスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から開示いたします。
当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループで想定される範囲で記載したものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。
(1) 遺伝子組換えカイコ事業への投資ついて
当社グループは、企業価値の最大化を追求するため、遺伝子組換えカイコ事業に対し積極的に投資していく方針であります。当事業で、現在進めている抗HIV抗体の医薬品原薬の商業化へ向けた取り組みにおいては、下記のリスクが存在します。
・GMPに準拠した規制に対応するための、設備やノウハウを十分保有しているとは言えない状況です。
・製造コストの高騰が課題となっております。
・遺伝子組換えカイコ事業を軌道に乗せるための開発において、現状確立されたノウハウが不十分な情況です。
当事業においては、研究開発費を先行投資することになりますが、研究開発の成否リスクが高い反面、短期間での収益が保障されるものではないため、取り組んでいる研究開発が遅れたり、中断した場合は、将来の業績及び財政状態におおきな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループにおきましては、人材の確保や他社との提携を含め、ノウハウの蓄積をしております。また、新たなパイプラインの開拓を進めて参ります。
(2) のれんの減損損失のリスク
当社グループは、抗HIV抗体の医薬品原薬の商業化を目指し、㈱CUREDへ投資を行い、関係会社化を実施しております。そのため、同社ののれんについては、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合に減損テストを行っております。その結果、必要な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損損失を認識する必要が生じます。多額の減損損失を計上した場合、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社と㈱CUREDは抗HIV抗体の共同開発を成功させることを目指すとともに、新たなシーズの共同開発を実施して参ります。
(3) 新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染拡大により、顧客や仕入先等の事業所の臨時休業により、売上、仕入両面において影響を受けております。一方、当社グループにおいても、従業員が罹患した場合、研究業務や製造業務、さらには営業業務等の事業活動に大きな支障をきたし、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このような異常事態に対応するため、当社グループにおいては、テレワークを取り入れた勤務体制の見直しや外部取引先等との会議は可能な限りTV会議等を利用して不急な出張を控える等、罹患リスクを最小限にする施策を推進しております。
(4) 知的財産権に関連するリスクについて
当社グループの事業を遂行していく中で、他者が所有している知的財産権を使用する場合、ライセンス契約等の締結を行い、当該知的財産権を使用する事としておりますが、当社の認識外で他者の知的財産権を侵害してしまうこともあります。当該侵害に対して訴訟が提起された場合は、当社の事業戦略や業績に重大な影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループでは、他者の知的財産権への抵触が判明した時は、遅滞なく当該抵触について検討の上、当該他社とライセンス契約を締結する等の対応策を講じております。また、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われますので、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針であります。
(5) 機密情報の流出について
当社グループの事業を遂行する上で、社外の研究者や研究機関との情報交換は有益であると考えております。今後も積極的に情報交換を行っていく方針であり、商品・サービスの提供や営業活動に必要となる顧客氏名・性別・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上、必要となる各種情報をシステム上で管理しております。第三者に当該機密情報を窃取された場合、企業にとって致命傷となりかねません。そのため、当社グループでは、基幹システムやサーバーのセキュリティー強化に加え、情報を外部に開示する際の手続を明確化して組織の末端まで周知徹底させております。しかしながら、万が一機密情報が流出した場合には、多大な損害を被るおそれがあります。
(6) 個人情報に対する漏洩リスク
当社グループは、個人情報を保有しておりますが、個人情報の漏洩防止のため社内規定を整備し、セキュリティー対策を行っております。
しかしながら、昨今の企業情報漏洩に関しては、悪質化する犯罪の増加に伴い個人情報が流出するなどの不測の事態が起こっております。このような場合企業の信用は失墜し、社会的制裁を受ける事となり、「個人情報漏洩保険」に加入していますが、当社グループの業績の悪化と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 特定人物への依存について
代表取締役である社長清藤勉は、当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しています。また、当社グループは、小規模な組織であり、人的資源に限りがあるため、個々の役職員の働きに依存している面があります。こうした属人的な事業体制を見直すために、権限の委譲や業務分掌に取り組んでおります。今後の事業展開に必要な役職員が、不慮の事故等何らかの理由により当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業および業績に大きな影響を与える可能性があります。
(8) 海外展開による影響について
当社グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
・政治的又は経済的要因
・事業・投資許可、租税、為替管制、独占禁止、通商制限など公的規制の影響
・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、コンピューターウイルス、その他の要因による社会的混乱の影響
・地震、津波、台風等の自然災害の影響
これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・ 回避に努めてまいりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当社グループの業績につきましては、当連結会計年度を初年度とする中期計画で、売上高を991,000千円、営業損失を391,000千円、経常損失を550,000千円、親会社株主に帰属する当期純損失を565,000千円としておりました。各事業部門において前年度より海外向けの販売増を目標に営業活動をおこなってまいりましたが、世界に新型コロナウイルスの感染が広がり、大学や企業等の研究活動の遅れや事業活動等が制限されたことにより、診断・試薬事業、検査事業及び化粧品関連事業における売上高が大きく落ち込んだことが影響し、売上高は576,692千円(前年同期比26.2%減)となりました。販売費及び一般管理費については、遺伝子組換えカイコ事業において、ヒト型コラーゲンⅠおよびⅢの生産力増強を図り三笠研究所の改修工事をおこなったことや抗HIV抗体をはじめとするバイオ医薬品開発の進捗に伴い研究開発費が増加したことおよび診断・試薬事業部の医薬用体外診断薬の開発・製造・販売の強化を図るため、本社(藤岡研究所)内に管理製品保管庫棟を新設いたしました。その結果、営業損失は595,359千円(前年同期は173,680千円の営業損失)となりました。また営業外損益につきましては、持分法による投資損失94,290千円等を計上いたしました。その結果、経常損失は678,762千円(前年同期は155,747千円の経常損失)となりました。特別損益につきましては、関係会社株式売却益15,917千円の計上や持分法適用会社の持分割合変動による持分変動利益4,390千円を計上しております。以上により、親会社株主に帰属する当期純損失は668,125千円(前年同期は167,319千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
<診断・試薬事業>
研究用試薬関連の売上高につきましては、抗体製品は、脳神経関連の抗体や海外企業向けIVD原料の販売が好調に推移し、国内販売、海外販売ともに前年同期比で増加しております。一方、主力のEIAキットは、海外販売につきましては販売代理店網を充実させ前期までは順調に販売増加となりましたが、当期はCRO向けの大型プロジェクトの終了等により前年に比べ大幅に減少となってしまいました。国内販売におきましても、第4四半期の年度末需要が予想を大幅に下回ったことや試薬市場の停滞、新製品上市の遅れ等の影響により、前年同期と比べ大幅に減少しております。また、試薬受託の売上も前年同期比で減少となっております。また、中期計画で販売を予定していた、体外診断用医薬品「Tauタンパク-IBL」「pTauタンパク-IBL」は、販売を開始することが出来ましたが、学校法人埼玉医科大学が所有する難聴・めまいのバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」につきましては、2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、FDAと協議を行っております。
医薬用関連の売上高につきましては、主力である動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の需要縮小や欧州向けに原料供給をしている製品の販売が減少したこと等により、前年に比べ大幅に減少しております。
その結果、当セグメントの売上高は中期計画では656,000千円のところ471,203千円(前年同期比19.9%減)、営業損失は中期計画では147,000千円のところ124,457千円(前年同期は67,079千円の営業利益)となりました。
<遺伝子組換えカイコ事業>
当事業においては、各種抗体や受託等の売上が前年同期に比べ増加しておりますが、現段階においては遺伝子組換えカイコを用いた医薬品製造を実現させるべく、前期に引き続き抗HIV抗体をはじめとするバイオ医薬品開発ならびに、その製造技術の開発を進めているところであり、事業の重点を研究開発に置いております。また、「抗HIV抗体及びその製造方法」に関する国内特許の共同出願手続きを完了しており(2019年9月17日開示『「抗HIV抗体及びその製造方法」に関する特許出願のお知らせ』参照)、当該研究については、着実にその成果に向けて進捗しております。
その結果、当セグメントの売上高は中期計画では30,700千円のところ25,245千円(前年同期比17.5%減)、営業損失は中期計画では321,000千円のところ391,891千円(前年同期は247,914千円の営業損失)となりました。
<検査事業>
当事業においては、主力事業の血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」において、大型案件が例年受注できておりましたが、当期につきましては中規模から小規模案件が中心となり、受注案件数自体も減少したことから、昨年来の売上を大きく減少させることになりました。また、解析システムの早期海外導出を目指してまいりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、導出予定企業との商談が停止となり、未だ受注には至っておりません。こうしたことから前年同期と比較して売上が大幅に減少しております。一方で、動物向けサービスの「LipoTEST」においては、ほぼ前年並みの売上を維持しております。
その結果、当セグメントの売上高は中期計画では152,000千円のところ71,636千円(前年同期比43.8%減)、営業損失は中期計画では25,000千円の利益のところ26,227千円(前年同期は12,847千円の営業利益)となりました。
<化粧品関連事業>
当事業においては、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズにつきまして、国内通信販売の売上は前年同期と比較し微減となりましたが、欧州向け出荷が開始されました。また、中国向けの商標問題および販売は、アルファベット名「frais vent」の商標登録について、当局の情報を継続して収集し対応しておりましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により当局及び取引先との連絡が取れない状況となりました。そのため、中国向け販売が再開出来ず、前年同期と比べ大幅に減少しております。
その結果、当セグメントの売上高は中期計画では153,000千円のところ12,873千円(前年同期比69.9%減)、営業損失は中期計画では52,000千円の利益でしたが、当初中国へ向けて販売を計画していた製品について、中国への出荷時期の目途が立たないため、中国向け製品の評価損を保守的に計上したこともあり53,741千円(前年同期は6,654千円の営業損失)となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して24.6%減の1,592,990千円となりました。この主な要因は、新株予約権行使による増資での資金増加要因はありましたが、営業キャッシュ・フローでの資金の支出の影響が大きかったことにより「現金及び預金」が減少したこと等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して11.0%減の779,999千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が90,982千円減少したこと等によるものであります。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して27.7%減の397,762千円となりました。この主な要因は社債の償還による「1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債」の77,704千円の減少や約定弁済による「1年内返済予定の長期借入金」の42,956千円の減少及び未払債務の減少等による「その他」の35,686千円の減少等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負の残高は、前連結会計年度と比較して90.8%減の26,769千円となりました。この主な要因は、発行している転換社債型新株予約権付社債200.000千円の償還期限が1年以内となったため流動負債へ振り替えたこと、及び返済期限が1年内となった長期借入金66,000千円を流動負債へ振替えたことが大きな要因となっております。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して9.2%減の1,948,457千円となりました。この主な要因は、新株予約権の行使により資本金、資本準備金がそれぞれ236,531千円増加したものの、「親会社株主に帰属する当期純損失」668,125千円の計上等により減少となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ517,351千円減少し974,456千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は608,746千円(前年は243,935千円の支出)となりました。
この主な要因は、当社グループでは当面の間、購入した有形固定資産及び無形固定資産として計上すべき資産を同勘定科目で計上せず、即時費用処理を行っており、キャッシュ・フロー上もその購入に係る支出は営業キャッシュ・フローとして計上しております。こうしたことと相俟って税金等調整前当期純損失を658,691千円計上したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は10,818千円(前年は593,279千円の支出)となりました。
この主な要因は、関係会社株式の売却により17,000千円の収入があったこと等によりものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は81,195千円(前年は126,320千円の支出)となりました。
この主な要因は、長期借入金の返済による支出108,956千円や転換社債型新株予約権付社債の償還により支出277,704千円といった資金支出要因がありましたが、新株予約権の行使による株式の発行による収入での資金獲得が467,855千円あったことによるものであります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(注) 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは診断・試薬事業、遺伝子組換えカイコ事業、検査事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
診断・試薬事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、さらに、医薬品原料のシーズ開発を行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、研究者のテーマにより需要が不安定な要素があります。さらに、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間がかかることが想定されます。そのような状況のなか、当連結会計年度につきましては抗体製品は前年比で若干の増加であったものの、主力のEIAキットや試薬受託サービス及び医薬用関連におきまして、前年比で大きく減少となっております。また、本社のあります藤岡研究所に管理製品保管庫棟を新設したこともあり、費用が大きく増加いたしました。この結果、売上高は471,203千円、営業損失は124,457千円となっております。
遺伝子組換えカイコ事業につきましては、前連結会計年度末に関連会社となりました株式会社CUREDとの共同研究(抗HIV抗体)をはじめ様々な共同研究を実施しております。今後もこれまで培ってきたノウハウを基に、遺伝子組換えカイコによる有用タンパク質の特徴を最大限に活かし、社会に貢献し得るターゲットについて研究開発を進めてまいります。当事業は現在の収益を見込むことではなく、次世代の当社グループの新たな根幹を担う事業に成長させることを目標として活動しており、重点的に研究開発に取り組んでおり、研究開発費は前期と比較し46.7%増加し240,964千円となっております。この結果、売上高は25,245千円、営業損失は391,891千円となりました。
検査事業につきましては、当事業の主力サービスであるLipoSEARCHによる血中リポタンパク質の詳細なプロファイリング検査において、例年製薬企業等から大型案件の受注ができておりましたが、当期においては受注が中型の案件が中心となりました。国内製薬企業の開発パイプラインからは脂質異常症関連治療薬の項目が少なくなっており、短期的には大口受注は期待できない状況です。一方、海外では、生活習慣病関連においては国内よりもより深刻な状況であり測定ニーズも高いことが予想されますが、まだまだLipoSEARCHの認知度が低く、また、現状のように検体を海外から日本に送付して測定する体制には限界があります。よって、大きく売上増を求めるためには、測定システム自体を海外へ導出し、海外での測定拠点を増やして測定件数を増やすことが必須であると考えます。現在、そのためのシステムを構築し、検証作業を行っているところであります。この結果、売上高は71,636千円、営業損失は26,227千円となりました。
化粧品関連事業につきましては、国内において、通信販売を中心とした地道な活動を行ってまいりました。当期においては、欧州向けに出荷が開始されました。また、中国向けに本格展開しているところですが、商標に関する問題が発生しており、販売再開には至りませんでした。この結果、当セグメントの売上高は12,873千円となり営業損失53,741千円となりました。
原価、経費等につきましては、引き続き経費削減に努めているところではありますが、一方、遺伝子組換えカイコ事業の共同研究が順調に進捗していることから研究開発費用を重点的に配分しております。また、管理製品保管庫棟の建設等により多額の費用が計上されたこと等により販管費が大幅に増加しております。なお、当社グループでは設備投資した費用は会計上、固定資産には計上しておらず購入時に即時費用処理を行っております。この結果、営業損失は595,359千円、経常損失は678,762千円、親会社株主に帰属する当期純損失は668,125千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、売上高が大きく減少したことや遺伝子組換えカイコ事業における抗HIV抗体等に係る研究開発費が増加したこと、管理製品保管庫棟の新設などによる販売費及び一般管理費の増加が大きかったことなどから現預金の支出が大きくなりました。また、転換社債型新株予約権付社債の一部が償還期限を迎えたため277,704千円の支出がありました。一方、新株予約権の行使により467,855千円の収入がありました。
資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが608,746千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが10,818千円の獲得、財務活動によるキャッシュ・フローが81,195千円の獲得でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は974,456千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウィルス感染症の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(注) 契約期間は、2022年3月31日まで延長となっております。
新たに締結した重要な契約は次のとおりです。
・共同開発契約
当連結会計年度で終了した契約は次のとおりです。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
事業別の研究開発活動
① 遺伝子組換えカイコ事業
当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。
イ 抗HIV抗体
当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できることを示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指しております。本研究開発をテーマとする株式会社CUREDとの共同研究は順調に推移したため、2018年3月には、両者が共同で事業化を推進することを前提とした発展的な共同開発契約を締結しております。
ロ 動物用医薬品原料の生産
当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指しております。
ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体
当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発しております。なお、この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。
ニ ヒト型コラーゲン
当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、新規化粧品原料として、コラーゲンTypeⅢ(ベビーコラーゲン)「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売を準備しております。なお、当該ヒト型コラーゲンⅢは、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合してまいります。
② 診断・試薬事業(医薬用関連)
当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。
また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。
主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。
イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索
当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。
某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。
ロ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品
当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行ってきましたが、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、PMDAと協議を行っております。また、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。
ハ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発
某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、2016年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することで、病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして有用であると考えられ、2020年10月に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定し、申請準備中であります。
二 クロウ・深瀬(POEMS)症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の異常増殖によっておこる疾患で、国の難病に指定されています(指定難病16)。この疾患においては、血清中VEGF(血管内皮増殖因子)値が異常に高値となることが示されており、血清中VEGF値の測定が疾患の診断補助及び治療・経過モニタリングとして有用であることが報告されています。当社は、 製薬企業と共同で、血清中VEGF値を測定する体外診断用医薬品の開発を行い、終了しております。今後は、製薬企業により、製造販売承認の取得、保険適用申請を行ってまいります。また、本製品の安定的な製造、供給は、当社が担当して参ります。
③ 診断・試薬事業(研究用関連)
研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。
イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発
この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。2016年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進して参ります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。
ロ アルツハイマー型認知症(AD)関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発
アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も進めております。
ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発
これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、その中で、血糖値をコントロールするインスリンに対する高感度測定系を開発し上市いたしました。
これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、研究開発を推進して参ります。
これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究及び治療薬の研究開発などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業におけるLipoSEARCHの測定サービスの提供と並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、当社の存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。
二 Muse細胞に関する開発
株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進め、Muse細胞のマーカーであるSSEA-3という物質に対する抗体の作製に成功し、研究用試薬として販売を開始いたしました。本抗体は世界で初めてのIgGクラスのモノクローナル抗体であり、本抗体を用いた再生医療研究が飛躍的に進歩することが期待されます。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。