第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

  (1) 会社の経営の基本方針

  当社グループは、生物の生命維持に不可欠である免疫機構「抗体」について研鑽することによって、人類が病気から安全に免れるような治療用医薬品、診断用医薬品の開発や生活習慣病領域での検査サービスができるよう、独自の研究開発と大学・研究機関などとの共同研究の成果を製品の品質向上に結びつけるべく、研究開発活動を行っております。また、当社グループの成長戦略の柱とするカイコ繭中に、抗体を始めとした様々な安全性の高いタンパク質を発現させる技術を用いた、新しい生産系の確立に向けた研究開発活動を行っております。本技術では高い安全性を有する抗体医薬品等の生産開発など、医療に直接貢献できる事業を目標にしております。

  このように、世界で難病に苦しむ人々が、1日も早く病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献することを経営理念としております。

 

  (2) 目標とする経営指標

  当社グループは、医薬品開発を目標とする創薬系バイオベンチャーであり、研究開発費が先行して発生いたしますが、当社グループの技術力から生産される独創的な製品の販売やサービスを国内外に提供し、安定的に黒字化を継続できる経営を目指してまいります。

 

  (3) 中長期的な会社の経営戦略

  当社グループのセグメント別中長期経営戦略は、次のとおりであります。

抗体関連事業

(診断試薬サービス)

製薬企業や大学等の研究用で使用する試薬サービスの領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域ですが、eマーケティング(SNS等)を活用した情報戦略を構築し、当社の独自技術について、日本をはじめ世界へ広め、販売拡大を目指してまいります。また、安定した収益を生み出すため、体外診断用医薬品領域の製品化に注力しており、有用な診断薬企業との協業も視野に入れ、企業価値の拡大を目指してまいります。

(検査サービス)

当サービスにおいては、2021年11月1日付で株式会社スカイライト・バイオテック(SLB社)を吸収合併いたしました。本合併により、「LipoSEARCH」を始めとするSLB社のサービスを当社が取扱うこととなりました。従来からの弊社代理店ネットワークを活用した販促活動によって、LipoSEARCHを始めとするSLB社商材をこれまで以上に広く宣伝し、売上増加に貢献してまいります。一方、営業・管理部門における人的、物的資源の効率化により、経費削減を進めております。また、国内外での学会展示、対面訪問などの営業活動が制限される中、Webを活用した情報発信などに努めてまいります。さらに、株式会社フェニックスバイオ(以下「PXB社」)との業務提携(2022年3月15日公表の「株式会社フェニックスバイオとの業務提携契約締結に関するお知らせ」を参照)により、当社とPXB社は双方の技術や販売経路を活用することにより、国内外のユーザーに対して「PXB-cells LA」細胞の製造・販売から薬効薬理試験の受託サービスまでを提供することで、当該製品の特長・価値を最大限に生かし、大きな市場に向けた新たなビジネスをグローバル展開していくことを目指してまいります。

(TGカイコサービス)

  当サービスでは、遺伝子組換えカイコにより生産された抗体においては、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、数年前から大手診断薬メーカーで使用する診断薬原料として採用されており、今後は販路拡大により製造数の増加が見込まれております。また、培養足場材として用いる研究用試薬の販売についても安定した収益が見込まれております。

 

・ 遺伝子組換えカイコ開発事業

  当事業においては、当事業の技術の有用性が発揮でき、売上規模が比較的大きいと見込まれるタンパク質や抗体の製造・開発を進めてまいります。

『今後生産拡大が見込まれる製品ラインナップ』

  ・化粧品原料(ネオシルク®-ヒト型コラーゲン)

  ・ラミニン 511-E8(iMatrix-511 Silk)

  ・体外診断用医薬品原料(大手診断薬メーカーへの原料供給)

『技術の有用性が発揮でき、売上規模が比較的大きいと見込まれるタンパク質』

  ・開発中(今期中の製品化を目指す)     

  また、将来の利益拡大を目指し、現在製造されている抗体・タンパク質や新規開発しているタンパク質の生産コストの低減が、利益拡大の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中してまいります。

 

・ 化粧品関連事業

  当事業は、遺伝子組換えカイコ開発事業が開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、高品質を求めるユーザーに幅広く提供できる製品を開発し、販売拡大を目指してまいります。

〇海外販売(中国)

  中国市場へのBtoB販売につきましては、コロナ禍における規制やロックダウン等の問題により直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりませんが、SNSを利用した販路拡大の準備を進めており、2023年3月期第1四半期より販売を開始する予定であります。

〇海外販売(欧州・その他)

  欧州現地代理人は、オンライン販売会社「PolyNeo GmbH」を設立し、eマーケティング (SNS)やAmazonへの出店、さらに国際展示会での展示を行い、販売網を拡大し売上増加を目指しております。

 

  (4) 当社グループをめぐる業界や市場の動向等の経営環境

・ 医薬品業界

  世界の医薬品関連事業を取り巻く環境は大きく変化し、高齢化社会、高ストレス社会の進展により、医薬品や診断薬に対する需要が伸び続けております。さらに、重症熱性血小板減少症候群やコロナウイルスなどの、治療法がない、もしくは治療満足度の低い疾患が多数あり、そのような疾患に対する治療薬の開発が待たれており、医薬品事業の重要性は、ますます高まっているといえます。

  しかしながら、創薬技術の高度化や医薬品承認要件の厳格化などにより、治療用医薬品あるいは診断用医薬品の開発には、多額の研究開発費と長い年月が必要であり、経営環境は厳しさを増しています。従って、これら医薬品や診断薬の開発には、当社グループの人的資源と効率を鑑み、自社では製品化するまでの全過程を行うことが可能かどうか注意深く検討し、製品開発においては、選択と集中により積極的な投資によって、抗体に付加価値を付け、パイプラインを充実させることで企業価値の最大化を追求いたします。

   ・ 化粧品業界

  近年の化粧品業界は、新型コロナ感染症の影響により、訪日外国人が著しく減少したことによりインバウンド消費による恩恵は消滅し、厳しい状況となりました。また、カテゴリー別に見てみると、テレワークや外出自粛などが、口紅やアイメークアップなどのメイク用品が大きく減少する一方、洗顔・スキンケアに関係する製品は、化粧品関連全体が落ちる中で、増加しております。当社グループが販売する化粧品「フレヴァン」シリーズにつきましては、スキンケア製品を中心に安全・安心をコンセプトに製造販売を行っております。

  一方で、高齢社会や人口縮小の日本では今後市場の縮小が懸念されていることから、日本の化粧品メーカーは生き残りを賭けて海外進出を図っておりますが、当社グループにおきましても中国や欧州を中心に海外販路の開拓を行っております。

 

  (5) 会社の対処すべき課題

・ 研究開発の重点投資

 当社グループは、治療用医薬品及び診断用医薬品のさらなるパイプラインの充実が、事業の安定化のためには必要となります。そのため、資源投入の集中と研究開発の効率化を図り、また、現行の共同研究先である大学などに加え、優秀な人材を採用し、研究開発のスピードアップを図ってまいります。さらに、海外企業が保有する有用なシーズの発掘も積極的に行ってまいります。

   ・ 体外診断用医薬品への取り組み

 診断・試薬事業の領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域となっております。安定した収益を生み出すためには、体外診断用医薬品の領域の製品化が必要であると認識し、体外診断用医薬品の研究開発に注力してまいります。

   ・ 遺伝子組換えカイコ開発事業への取り組み

 カイコの繭中に目的タンパク質を産生する生産技術による、遺伝子組換えカイコの繭に産生される抗体やタンパク質は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことから、短期的には、研究用試薬・体外診断用医薬品にて使用する抗体をはじめとした目的タンパク質の置換え利用や化粧品原料等への産業利用を推進し、具体的な生産拡大を目指してまいります。しかしながら、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減が、利益創出の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中しております。

   ・ 化粧品関連事業における中国向け販売の取り組み

 中国市場においては、中国における商標登録問題が解決しましたが、中国市場へのBtoB販売につきましては、コロナ禍における規制やロックダウン等の問題により直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりません。また、国内市場におきましては、遺伝子組換えカイコ開発事業で開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を配合した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。

   ・ 人材の確保及び教育

  当社グループは、各事業に精通した研究員及びプロジェクトを推進できる人材の確保が必要不可欠と考えており、研究開発の効率を上げるため、ハード面とソフト面の両面から研究開発に適した環境作りを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。

  研究開発型企業である当社グループにおいては、自由な発想が生み出される柔軟な組織がふさわしいと考えております。組織が硬直化し、研究開発活動が滞ることがないように、常に問題意識をもって物事に対処する集団として組織を維持運営いたします。

   ・ 財務安定性の確保

  当社グループは、研究開発型企業として、積極的かつ継続的に研究開発に投資していく方針であります。投資の源泉は事業からの収益をもって行われることが望ましいと考えておりますが、研究開発テーマにより多額の先行投資が見込まれる場合には、株式の発行等により資金を調達してまいります。当社グループは、引き続き、収益確保のため、現製品の見直しや間接部門コストの削減に努めてまいります。また、研究テーマの選択を行い、経営資源を集中して効率的な経営を行うことが重要であると認識しております。

   ・ 経営管理体制の強化

  既存事業に加え、新規事業やサービスの展開が加速し、多角期を迎える当社グループにおきましては、経営の公正性・透明性・継続性を確保するための更なる管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。特に昨今におきましては、世界情勢の悪化や新型コロナウイルス感染症の影響により、物流の停滞・各種コストの増大・急激な為替の変動等、社会環境が不安定・不透明な状況となっております。その状況下においても着実に事業を継続するため、各種社内規程や関係法令等の遵守を積極的に推進し、内部統制に資する業務プロセスの整備・運用、必要に応じた是正活動を定常的に行うことで、より透明性が高く健全な経営管理体制を構築してまいります。

   ・ グロース市場の選択について

  当社は、2022年4月4日に株式会社東京証券取引所の新市場区分において、グロース市場を選択し同市場に上場となりました。同市場は高い成長可能性を有する企業向けの市場として開設されております。当社はベンチャー企業として高い成長を目指すとともに、経営理念である、「世界で難病に苦しむ人々が、1日も早く病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献する」ことを目指し、株主の皆様や投資家の皆様の期待に応えるべく、さらなるチャレンジをしてまいります。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

  当社グループの事業活動において、リスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から開示いたします。

  当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループで想定される範囲で記載したものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

 (1) 遺伝子組換えカイコ開発事業への投資ついて

当社グループは、企業価値の最大化を追求するため、遺伝子組換えカイコ開発事業に対し積極的に投資していく方針ですが、商業化へ向けた取り組みにおいては、下記のリスクが存在します。

 ・製造コストの高騰が課題となっております。

 ・遺伝子組換えカイコ開発事業を軌道に乗せるための開発において、現状確立されたノウハウが不十分な情況です。

  当事業においては、研究開発費を先行投資することになりますが、研究開発の成否リスクが高い反面、短期間での収益が保障されるものではないため、取り組んでいる研究開発が遅れたり、中断した場合は、将来の業績及び財政状態におおきな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) のれんの減損損失のリスク

  当社グループは、抗HIV抗体の医薬品原薬の商業化を目指し、㈱CUREDへ投資を行い、関係会社となっております。そのため、同社ののれんについては、少なくとも年に一度、あるいは減損の兆候が認められる場合に減損テストを行っております。その結果、必要な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合には、減損損失を認識する必要が生じます。多額の減損損失を計上した場合、当社グループの業績および財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新型コロナウイルス感染症の影響について

  新型コロナウイルス感染拡大により、顧客や仕入先等の事業所の臨時休業により、売上、仕入両面において影響を受けております。一方、当社グループにおいても、従業員が罹患した場合、研究業務や製造業務、さらには営業業務等の事業活動に大きな支障をきたし、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 このような異常事態に対応するため、当社グループにおいては、テレワークを取り入れた勤務体制の見直しや外部取引先等との会議は可能な限りTV会議等を利用して不急な出張を控える等、罹患リスクを最小限にする施策を推進しております。

 

(4) 知的財産権に関連するリスクについて

  当社グループの事業を遂行していく中で、他者が所有している知的財産権を使用する場合、ライセンス契約等の締結を行い、当該知的財産権を使用する事としておりますが、当社の認識外で他者の知的財産権を侵害してしまうこともあります。当該侵害に対して訴訟が提起された場合は、当社の事業戦略や業績に重大な影響を与える可能性があります。

  そのため、当社グループでは、他者の知的財産権への抵触が判明した時は、遅滞なく当該抵触について検討の上、当該他社とライセンス契約を締結する等の対応策を講じております。また、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われますので、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針であります。

 

(5) 機密情報の流出について

  当社グループの事業を遂行する上で、社外の研究者や研究機関との情報交換は有益であると考えております。今後も積極的に情報交換を行っていく方針であり、商品・サービスの提供や営業活動に必要となる顧客氏名・性別・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上、必要となる各種情報をシステム上で管理しております。第三者に当該機密情報を窃取された場合、企業にとって致命傷となりかねません。そのため、当社グループでは、基幹システムやサーバーのセキュリティー強化に加え、情報を外部に開示する際の手続を明確化して組織の末端まで周知徹底させております。しかしながら、万が一機密情報が流出した場合には、多大な損害を被るおそれがあります。

 

(6) 個人情報に対する漏洩リスク

  当社グループは、個人情報を保有しておりますが、個人情報の漏洩防止のため社内規程を整備し、セキュリティー対策を行っております。 

 しかしながら、昨今の企業情報漏洩に関しては、悪質化する犯罪の増加に伴い個人情報が流出するなどの不測の事態が起こっております。このような場合企業の信用は失墜し、社会的制裁を受ける事となり、「個人情報漏洩保険」に加入していますが、当社グループの業績の悪化と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 特定人物への依存について

  代表取締役である社長清藤勉は、当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しています。また、当社グループは、小規模な組織であり、人的資源に限りがあるため、個々の役職員の働きに依存している面があります。こうした属人的な事業体制を見直すために、権限の委譲や業務分掌に取り組んでおります。今後の事業展開に必要な役職員が、不慮の事故等何らかの理由により当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業および業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(8) 海外展開による影響について

  当社グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。

・政治的又は経済的要因

・事業・投資許可、租税、為替管制、独占禁止、通商制限など公的規制の影響

・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響

・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、コンピューターウイルス、その他の要因による社会的混乱の影響

・地震、津波、台風等の自然災害の影響

  これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・ 回避に努めてまいりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(9) 他社との業務提携、合弁会社設立等について

  当社グループは、戦略を実行していく上で、合弁企業の設立や子会社化(持分法適用会社化を含む)を行うなど、他社の買収やその他の株式投資を行う可能性があります。その際、各投資の実行の検討に際し、リスクの大きさに応じ、必要十分なデュー・ディリジェンスを実施した上で、定められた承認プロセスを経て投資判断を行っております。

  当社グループの業務提携先や合弁先と共同事業を行う場合には、当局の許認可が必要となったり、当該業務提携先や合弁先と共同事業の内容について合意できることが前提となります。また、当社グループの業務提携先や合弁先に対して当社グループが支配権を有するとは限らず、これらの会社が、当社グループの意向にかかわらず、事業戦略を大幅に変更する可能性があります。さらに、第三者割当増資や当社グループ以外の株主がコールオプションを行使したことにより当社グループの持株比率が低下したり、その経営成績や財政状態が大幅に悪化する可能性もあります。これらの場合、その業務提携、合弁事業などが期待通りの成果を生まない可能性や、継続が困難となる可能性があります。また、特定の第三者との業務提携や合弁事業などを実施したことにより、他の者との業務提携や合弁事業などが制約される可能性もあります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

  ① 経営成績の状況 

  当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策による緊急事態宣言の発出や各自治体によるまん延防止等重点措置の実施が繰り返し行われたことや世界情勢の悪化等による半導体供給不足やエネルギー価格上昇等の影響があり、引き続き予断を許さない状況となっております。

  こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも当社グループ独自の技術を活用した抗体関連製品群が販売を伸ばし、前年の業績を上回ることが出来ました。その結果、連結売上高は647,576千円(前年同期比7.4%増)となりました。営業損益につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策を踏まえ、国内外の出張を抑制したこと等により営業諸経費が減少したことや遺伝子組換えカイコ開発事業における研究開発の選択と集中等により販売費及び一般管理費が減少いたしました。その結果、営業損失は122,219千円(前年同期は240,984千円の営業損失)となりました。また営業外損益につきましては、持分法による投資損失152,733千円を計上した一方、保険解約返戻金23,083千円を計上したこと等により、経常損失は243,472千円(前年同期は310,511千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は258,767千円(前年同期は318,827千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

  セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、当期より報告セグメントの区分を変更しております。

セグメント

売上高

営業損益

金額

(千円)

前年同期比

金額

(千円)

前年同期比

増減額

(千円)

増減率

(%)

増減額

(千円)

増減率

(%)

抗体関連事業

634,223

+45,621

7.8

△14,958

+40,443

 

診断試薬サービス

503,813

+21,569

4.5

58,448

+35,014

149.4

検査サービス

86,084

+9,523

12.4

△8,707

+8,336

TGカイコサービス

44,325

+14,528

48.8

△64,699

△2,907

遺伝子組換えカイコ開発事業

△95,255

+77,466

化粧品関連事業

13,352

△794

△5.6

△12,565

+1,254

 

※遺伝子組換えカイコ開発事業は、研究開発のコスト管理を行っている事業のため、売上高はありません。

 

  <抗体関連事業

当事業の売上高は、以下のとおりです。

・診断試薬サービスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響があるものの、企業や大学等における研究開発活動が活発となってきたこと、また、eマーケティング(SNS等)を活用した販促活動を進めてきた結果、主力のEIA測定キットや抗体は、国内外からの受注が順調に推移し、販売が増加しております。また、動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が前年に比べ減少した一方、IBL-International向けアミロイドβ診断薬の原料販売が増加いたしました。その結果、当サービスにおける売上高は前年を上回ることが出来ました。

・検査サービスにおいては、計画していた自由診療への展開が新型コロナウイルス感染症の影響により停滞いたしましたが、検査センターの新規立ち上げにより、自社キットを用いた検査受託サービスのニーズをとらえ、売上高増加となりました。また、2021年11月1日付で株式会社スカイライト・バイオテック(SLB社)を吸収合併し、「LipoSEARCH」を始めとするSLB社が行ってきたサービスを一元管理できるようになり、当社代理店ネットワークを活用し、当該SLB社サービスの販売活動を拡充しております。その結果、当サービスの売上高は、前年に比べ増加いたしました。

・TGカイコサービスにおいては、培養足場材として用いる研究用試薬の販売が増加したことにより、売上高は前年に比べ増加いたしました。

 

  以上により、当事業の売上高は、前年に比べ増加いたしました。営業損益につきましては、体外診断用医薬品及び体外診断用医薬品原料の開発に注力しているため、開発費は増加したものの、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策により、国内外の出張諸経費が抑制されたことや、SLB社との吸収合併により人的、物的資源の効率化等で経費が減少いたしました。その結果、営業損失は前期に比べ大幅に改善することができました。

遺伝子組換えカイコ開発事業

  当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減を事業化の課題とし、当該課題の基礎研究に集中しております。研究開発費については、GMP準拠による医薬品原料の生産を中止し、基礎研究に集中することにより前年に比べ大幅に減少しております。

    <化粧品関連事業>

  当事業の売上高は、「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」配合化粧品「フレヴァン」シリーズにつきまして、国内通信販売の売上は前年同期と比較し減少いたしましたが、欧州市場への販売が計上されました。また、中国市場へのBtoB販売につきましては、コロナ禍における規制やロックダウン等の問題により直接現地代理人との情報交換ができず、目途がついておりません。その結果、当事業の売上高は、前年に比べ微減となりましたが、営業損失は、経費抑制に努め、若干の改善となりました。

 

  ② 財政状態

     ・ 流動資産

  当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して0.4%増の1,129,786千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が95,836千円減少した一方、関係会社等への貸付により流動資産の「その他」が110,109千円増加したこと等によるものであります。

     ・ 固定資産

  当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して19.3%減の575,552千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が114,262千円減少したこと等によるものであります。

     ・ 流動負債

  当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して57.3%増の228,083千円となりました。この主な要因は新規借入により短期借入金が105,000千円増加したこと等によるものであります。

     ・ 固定負債

  当連結会計年度における固定負の残高は、前連結会計年度と比較して70.8%増の108,907千円となりました。この主な要因は、新規借入等により長期借入金が45,990千円増加したこと等によるものであります。

    ・ 純資産

  当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して16.0%減の1,368,348千円となりました。この主な要因は、「親会社株主に帰属する当期純損失」258,767千円の計上等により減少となりました。

 

  ③ キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ102,837千円減少し449,184千円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動により支出した資金は93,204千円(前年は194,145千円の支出)となりました。

  この主な要因は、資金支出項目ではない持分法による投資損失152,733千円といった資金増加要因があった一方、税金等調整前当期純損失250,142千円を計上したことによるもの等であります。

 

    (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動により支出した資金は155,629千円(前年は17,233千円の支出)となりました。

 この主な要因は、関係会社貸付による支出140,000千円等によるものであります。

 

    (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動により獲得した資金は143,998千円(前年は216,000千円の支出)となりました。

 この主な要因は、長期借入金の返済による支出21,002千円があったものの、短期借入金の純増減額105,000千円及び長期借入による収入が60,000千円等によるものであります。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

 

  ④ 生産、受注及び販売の実績

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

抗体関連事業

250,329

9.6

遺伝子組換えカイコ開発事業

化粧品関連事業

合計

250,329

9.6

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

  b. 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

抗体関連事業

18,102

24.5

遺伝子組換えカイコ開発事業

化粧品関連事業

9,609

合計

27,712

90.6

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

 

 

  c. 受注実績

当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

  d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

抗体関連事業

634,223

7.8

遺伝子組換えカイコ開発事業

化粧品関連事業

13,352

△5.6

合計

647,576

7.4

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

(自  2021年4月1日

至  2021年3月31日)

至  2022年3月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

岩井化学薬品㈱

65,922

10.9

69,959

10.8

㈱ニッピ

89,918

14.9

60,659

9.4

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

  ① 経営成績の分析

  当社グループは抗体関連事業、遺伝子組換えカイコ開発事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。

  抗体関連事業は、当社の創業以来の基幹事業であり、製薬企業や医療関係の大学研究所等に対し、研究用試薬や体外診断用医薬品等の製造販売や抗体関連の受託サービス、医薬品原料のシーズ開発、TGカイコサービスさらに検査サービスを行っており、その技術力については顧客からの信頼をいただいております。しかしながら、当社の事業基盤である研究用試薬や受託サービスを展開している国内市場は、その規模に比して競合他社が多数存在し、将来的な収益の伸張に限界があり、また、研究者のテーマにより需要が不安定な要素があります。さらに、体外診断用医薬品や医薬品原料シーズの開発は、資金と時間がかかることが想定されます。そのような状況のなか、コロナ感染症の影響を受けつつも抗体関連製品群が販売を伸ばし、主力のEIA測定キットや抗体の販売は、前年比で大きく増加となっております。一方、動物用体外診断用医薬品の牛海綿状脳症測定キット(BSEキット)の販売が減少いたしました。TGカイコサービスにつきましては培養足場材として用いる研究用試薬の販売が増加したことから前期比では大幅な増加となっております。また、検査サービスにつきましては主力のLipoSEARCHをはじめとするサービスが同サービスを展開していた子会社であった㈱スカイライト・バイオテックを吸収合併しサービスのラインナップの一元管理化の効果があり前期比で増加となっております。

遺伝子組換えカイコ開発事業につきましては、販売は行っておらず、カイコの繭から生産される抗体やたんぱく質の生産コストを低減することを課題としており、当該課題克服をテーマに基礎研究を行っております。従前はGMP準拠による医薬品原料の生産を目標としておりましたが、基礎研究に主眼を置いた取り組みとしたことで、研究開発費が減少しております。

  化粧品関連事業につきましては、国内において、市場は大きいものの競合他社が多数存在し、当事業の製品「フレヴァン」シリーズの優位性をアピールするためには広告宣伝費が膨大にかかるため、日本製品の安全性を前面にアピールできる海外販売に集中しております。国内市場の通信販売は前年同期と比較し減少しましたが、欧州への売上が計上されました。一方、中国への販売につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響により現地代理人との情報交換ができておりません。その結果、当事業の販売は前期比で減少となっております。

 

   ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報

当連結会計年度においては、売上高が前期と比較し増加、遺伝子組換えカイコ開発事業における研究項目の選択と集中や抗HIV抗体等に係る研究開発費や大きな固定資産の購入もなかったことから販売費及び一般管理費の支出は大きなものではありませんでした。一方、関連会社への運転資金の供与のため貸付金の支出が140,000千円ありました。

資本の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資(新株予約権の行使によるものも含む)等によるものも考慮に入れております。

資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが93,204千円の支出、投資活動によるキャッシュ・フローが155,629千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが143,998千円の獲得でありますが、現金及び現金同等物の期末残高は449,184千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。

翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。

 

   ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、持分法適用会社である株式会社CUREDの主要な事業である抗HIV抗体の実用化に向けた研究開発は、概ね計画通りに進行しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

契約
会社名

契約書名

相手先名

契約
締結日

契約内容

契約期間

㈱免疫生物研究所

特許権等実施契約書

国立大学法人三重大学

2018年3月28日

「抗テネイシンCモノクローナル抗体」に係る発明の実施についての契約

2018年4月1日より10年間。但しIBLが本マテリアルの使用中止の申し出をしない限り1年単位で延長される。また、存続期間満了日(2021年2月8日)後およびその後3年毎に一方の申入れにより協議できる。

㈱免疫生物研究所

売買取引基本契約書

㈱ニッピ

2006年9月1日

当社が製造するプリオン病診断キット「ニッピブルBSE検査キット」に関する売買取引基本契約

2006年9月1日から2009年8月31日まで(1年毎の自動更新)

㈱免疫生物研究所

SUPPLY AND
PURCHASE AGREEMENT

BG Medicine,Inc.

2011年6月22日

抗ヒトGalectin-3(87B5)抗体のライセンス譲渡および原料供給

2011年6月22日から2021年6月21日まで(1年毎の自動更新)

㈱免疫生物研究所

COLLABOLATION AND LICENSE
AGREEMENT
 

IBL International GmbH

2013年11月8日

アルツハイマー型認知症診断用のアミロイドβタンパク質に対する測定キットの共同開発とライセンスについての契約

2013年11月8日から2023年11月7日まで(1年毎の自動更新)

㈱免疫生物研究所

賃貸借契約書

マニハ食品㈱

2014年12月19

GMP対応の本格的な遺伝子組換えカイコの生産工場建設を視野に入れたパイロットプラント用土地・建物

2015年1月9日から2035年1月8日まで

㈱免疫生物研究所

研究成果有体物製造販売許諾契約書

㈱生命科学インスティテュート

2018年2月20日

㈱生命科学インスティテュートとの共同開発の成果であるSSEA-3に対する特異的なIgGクラス新規抗体を大学や製薬企業等の研究機関へ販売するための販売許諾契約

2018年2月20日から2023年2月19日まで(自動延長)

㈱免疫生物研究所

合弁契約書

Abcontek.Inc

2020年12月21日

Abcontek社と、合弁会社「AI Bio」(持分法適用会社)の設立に関する契約

2020年12月21日から

「AI Bio」解散まで

 

 

 

 

  当連結会計年度で終了した契約は次のとおりです。

契約
会社名

契約書名

相手先名

契約
終了日

契約内容

㈱免疫生物研究所

共同開発契約書

㈱CURED

2022年3月31日

遺伝子組換えカイコを用いた治療用抗HIV抗体に関する共同開発契約

㈱免疫生物研究所

共同開発契約書※

Abcontek.Inc

2021年12月31日

Abcontek社と、ダニ媒介性感染症であるSFTSを治療するための抗体医薬品候補「ACT101」の共同開発に関する契約

 

 ※ 本共同開発契約に基づいて実施されている研究は、Abcontek社と設立した合弁会社「株式会社AI Bio」で、継続して実施されております。

 

 

  新たに締結した重要な契約は次のとおりです。

共同開発契約

契約
会社名

契約書名

相手先名

契約
締結日

契約内容

契約期間

㈱免疫生物研究所

業務提携契約書

㈱フェニックスバイオ

2022年3月15日

㈱フェニックスバイオの「PXB-cells LA」に掛かる業務に関する双方の技術提供及び双方の販売経路の相互活用を目的とした業務提携の契約

2022年3月15日から

2027年3月14日まで

 

 

・連結子会社の吸収合併

  当社は2021年6月29日開催の取締役会決議に基づき、当社の100%連結子会社である株式会社スカイライト・バイオテックとの間で同日に合併契約を締結いたしました。

  詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(企業結合等関係)をご参照ください。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。

5 【研究開発活動】

  当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は188,585千円であり、各事業の研究開発費については、抗体関連事業は93,330千円、遺伝子組換えカイコ開発事業は95,255千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。

 

  事業別の研究開発活動

   抗体関連事業

〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発

イ Abcontek社と、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期に承認を目指し、2023年度の販売開始を目標としております。なお、このSFTSの治療には、現在、対症療法しかなく、死亡例も出ておりますが、有効な治療薬やワクチンは開発されていません。

ABCONTEK社と合弁会社「株式会社AI Bio」を設立し、現在、外部リソースを活用し製造に適する生産細胞株の構築を実施しております。今後については、導出を視野に入れた研究開発ならびに導出活動を進めてまいります。

現在の状況につきましては、CDMO(医薬品受託開発製造)企業にてマスターセルバンク(MCB)及びワーキングセルバンク(WCB)を製造し、製造条件の最適化をおこない、非臨床試験薬の製造、及びカニクイザルによる非臨床安全性試験を進めております。

ロ 国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を研究開発し、製薬企業等への導出等を目指して参ります。現在の状況につきましては、動物実験を踏まえ特許出願を完了し、さらに前臨床試験に向けた準備を進めております。(製薬企業等へのシーズ導出等を目指して参ります。)

〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)

イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡し、2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、PMDAと協議を行っております。なお、同製品の製造は、当社が行います。なお、株式会社コスミックコーポレーションは、体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、現在、保険適用の申請を行ったところです。今後につきましては、保険収載を経て、販売を開始する予定です。

さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。

ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っております。2024年3月期の販売承認申請に向けた研究開発を行っております。

ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定試薬として販売を開始しております。

二 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2023年3月期第2四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。

ホ その他

当社グループが所有するアルツハイマー関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。

 

   遺伝子組み換えカイコ開発事業

  当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料としての開発を推進してまいります。また、利益の拡大を目指すために、現在製造されている抗体・タンパク質や新規開発しているタンパク質の生産コストの低減が、利益拡大の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中してまいります。

 

  (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況  4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。