文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、生物の生命維持に不可欠である免疫機構「抗体」について研鑽することによって、人類が病気から安全に免れるような治療用医薬品、診断用医薬品の開発や生活習慣病領域での検査サービスができるよう、独自の研究開発と大学・研究機関などとの共同研究の成果を製品の品質向上に結びつけるべく、研究開発活動を行っております。また、カイコ繭中に、抗体を始めとした様々な安全性の高いタンパク質を発現させる技術を用いて製品化を行っております。
このように、世界で難病に苦しむ人々が、1日も早く病気を克服し、明るく豊かな暮らしを営めるよう社会に貢献することを経営理念としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、40年以上抗体を開発し抗体作製のノウハウが蓄積され、当社のコア技術として確立されており、国内外の研究用試薬市場において製造・販売を行ってまいりました。
当社グループは、以下の取り組みにより、収益の拡大をはかり財務を安定化し、株主の皆様への還元の早期実現を目指してまいります。
① 市場規模が大きい診断用医薬品市場へ本格参入
② 海外における研究用試薬市場の開拓
③ 医薬品シーズ関連の開発コストの削減
④ 不採算事業の黒字化
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループのセグメント別中長期経営戦略は、次のとおりであります。
・ 抗体関連事業
(診断試薬サービス)
製薬企業や大学等の研究用で使用する試薬サービスの領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域ですが、Digital Marketingの強化をおこない、SNS等を活用した情報戦略を構築し、当社の独自技術について、日本をはじめ世界へ広め、販売拡大を目指してまいります。また、安定した収益を生み出すため、有用な協業先との連携により、体外診断用医薬品領域の製品化に注力してまいります。
当事業の研究開発の状況につきましては、下記の通りです。
〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発
・ABCONTEK社と、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」の共同開発について
⇒予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力してまいります(2023年3月14日公表の「連結持分法適用会社株式会社 AIBio の子会社化に関するお知らせ」を参照)。また、SFTSにおける動物用(ネコやイヌ等のペット)体外診断用医薬品について、検討を進めております。
・国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品の研究開発について
⇒提携先と抗体医薬品および体外診断用医薬品の研究開発について、協議を進めております。
〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)
・学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡し、2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、2020年6月に体外診断用医薬品承認されたCTP ELISA「コスミック」が、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました。
さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。なお、上市の時期は未定です。
・グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきましたが、両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。
当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2024年3月期の承認、申請に向けて研究開発を行っております。
・筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、筋ジストロフィーの病気診断・病態のモニタリングマーカーとして測定系を開発し、研究用試薬として販売を開始いたしました。また、対象疾患を「筋ジストロフィー」から「神経筋疾患」へ変更し、体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。なお、体外診断用医薬品として承認されるまでの間、研究用試薬として販売をするために、認定試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定試薬として販売を開始しております。
・赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2024年3月期第1四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しております。
・シスメックス株式会社との業務提携
本業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し 全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。
(検査サービス)
当サービスにおいては、「LipoSEARCH」において、大手製薬企業等からまとまった案件の引き合いがあることや自社ELISAキットを使用した受託測定サービスの売上高が順調に増加していることにより、前年を上回ることを予想しております。一方、営業・管理部門における人的、物的資源の効率化により、経費削減を進めてまいります。
(TGカイコサービス)
遺伝子組換えカイコにより生産された抗体は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、大手診断薬メーカで使用する診断薬原料として採用されております。しかしながら、当該メーカの市場への供給スケジュールが、申請等の理由から数年先を予定しており、来期については、前年並みを予想しております。一方、培養足場材として開発した、組換えヒトフィブロネクチンの販売が開始され、国内外からの問い合わせが増加しており、安定した収益を見込んでおります。
また、ヒト型コラーゲンは、欧州の医療用品メーカでの使用が注目され、海外の医療機器メーカ等からの問い合わせが増加しており、収益の拡大を見込んでおります。
・ 化粧品関連事業
〇国内販売
国内通信販売においては、直接個人ユーザーへの販売から代理店販売に切り替え、販売代理店との情報共有を綿密に行い、販売拡大を目指してまいります。また、群馬県の温泉地において、高級旅館とコラボレーションし、SNSを活用した販売活動を行ってまいります。
〇海外販売(中国)
中国市場へのBtoB販売につきましては、依然として直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりませんが、中国への越境ECの構築をおこない、販売を開始しております。今後につきましては、SNSを活用して、中国国内のバイヤーの方々に直接情報発信し、販路拡大の準備をすすめてまいります。
〇海外販売(欧州・その他)
欧州現地代理人は、Eマーケティング (SNS)やAmazonへの出店、さらに国際展示会での展示をおこない、販売網を拡大し売上増加を目指しております。
当事業は、遺伝子組換えカイコ開発事業が開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、高品質を求めるユーザーに幅広く提供できる製品を開発し、販売拡大を目指してまいります。
(4) 当社グループをめぐる業界や市場の動向等の経営環境
・ 医薬品業界
世界の医薬品関連事業を取り巻く環境は大きく変化し、高齢化社会、高ストレス社会の進展により、医薬品や診断薬に対する需要が伸び続けております。さらに、重症熱性血小板減少症候群やコロナウイルスなどの、治療法がない、もしくは治療満足度の低い疾患が多数あり、そのような疾患に対する治療薬の開発が待たれており、医薬品事業の重要性は、ますます高まっているといえます。
しかしながら、創薬技術の高度化や医薬品承認要件の厳格化などにより、治療用医薬品あるいは診断用医薬品の開発には、多額の研究開発費と長い年月が必要であり、経営環境は厳しさを増しています。従って、これら医薬品や診断薬の開発には、当社グループの人的資源と効率を鑑み、自社では製品化するまでの全過程を行うことが可能かどうか注意深く検討し、製品開発においては、選択と集中により積極的な投資によって、抗体に付加価値を付け、パイプラインを充実させることで企業価値の最大化を追求いたします。
・ 化粧品業界
化粧品市場は、コロナ禍においてマスク着用の定着やテレワークの普及により化粧品の消費が減少しましたが、外出規制緩和に伴い口紅などのメイク用品の需要が伸びつつあります。さらに、訪日外国人の受け入れが再開され、インバウンド消費に期待が高まっています。また、新たなビジネスチャンスとして、ECサイトへのシフトチェンジやインフルエンサーマーケティングを活用して、異業種参入が増えております。
当社グループが販売する化粧品「フレヴァン」シリーズにつきましては、スキンケア製品を中心に安全・安心をコンセプトに製造販売を行っております。
一方で、高齢社会や人口縮小の日本では今後市場の縮小が懸念されていることから、日本の化粧品メーカーは生き残りを賭けて海外進出を図っておりますが、当社グループにおきましても中国や欧州を中心に海外販路の開拓を行っております。
(5) 会社の対処すべき課題
当社グループは、遺伝子組換えカイコによる医薬品原料生産に向けた新規開発を中止することといたしましたが、治療用医薬品及び診断用医薬品のさらなるパイプラインの充実が、事業の安定化のためには必要となります。そのため、資源投入の集中と研究開発の効率化を図り、また、現行の共同研究先である大学などに加え、優秀な人材を採用し、研究開発のスピードアップを図ってまいります。さらに、海外企業が保有する有用なシーズの発掘も積極的に行ってまいります。
・ 体外診断用医薬品への取り組み
診断・試薬事業の領域は、非常に流動的であり、競争が激しいグローバル社会において、安定した収益を生み出すことが困難な領域となっております。安定した収益を生み出すためには、体外診断用医薬品の領域の製品化が必要であると認識し、体外診断用医薬品の研究開発に注力してまいります。
・ シスメックス株式会社との取り組み
当社とシスメックス株式会社は、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。当社は、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックス株式会社のHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。また当社の強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックス株式会社への供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。
・ 遺伝子組換えカイコへの取り組み
遺伝子組換えカイコによる医薬品原料生産に向けた新規開発を中止することといたしましたが、カイコの繭中に目的タンパク質を産生する生産技術は、遺伝子組換えカイコの繭により産生される抗体やタンパク質は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことから、短期的には、研究用試薬・体外診断用医薬品にて使用する抗体をはじめとした目的タンパク質の置換え利用や化粧品原料等への産業利用を推進し、具体的な生産拡大や製造方法の改良を目指してまいります。
・ 化粧品関連事業における販売の取り組み
中国市場におけるBtoB販売は、コロナ過の鎮静化により、販売を見込んでおりましたが、依然として、中国市場への展開が進まず、直接現地代理人との情報交換が出来ず、目途がついておりません。今後は、SNSを活用して、中国国内のバイヤーの方々に直接情報発信し、販路拡大の準備をすすめてまいります。国内市場におきましては、群馬県の温泉地において、高級旅館とコラボレーションし、SNSを活用して地域に密着した販売活動を行ってまいります。本事業については、既存製品での利益創出を重要課題ととらえ、販売拡大を目指してまいります。また、販売拡大の目途が立ち次第、遺伝子組換えカイコ事業が開発した、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。
・ 人材の確保及び教育
当社グループは、各事業に精通した研究員及びプロジェクトを推進できる人材の確保が必要不可欠と考えており、研究開発の効率を上げるため、ハード面とソフト面の両面から研究開発に適した環境作りを行い、企業価値の最大化を目指してまいります。
研究開発型企業である当社グループにおいては、自由な発想が生み出される柔軟な組織がふさわしいと考えております。組織が硬直化し、研究開発活動が滞ることがないように、常に問題意識をもって物事に対処する集団として組織を維持運営いたします。
・ 財務安定性の確保
当社グループは、研究開発型企業として、積極的かつ継続的に研究開発に投資していく方針であります。投資の源泉は事業からの収益をもって行われることが望ましいと考えております。当社グループは、引き続き、収益確保のため、現製品の見直しや間接部門コストの削減に努めてまいります。また、研究テーマの選択を行い、経営資源を集中して効率的な経営を行うことが重要であると認識しております。
・ 経営管理体制の強化
既存事業に加え、新規事業やサービスの展開が加速し、多角期を迎える当社グループにおきましては、経営の公正性・透明性・継続性を確保するためのさらなる管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。特に昨今におきましては、世界情勢の悪化や新型コロナウイルス感染症の影響により、物流の停滞・各種コストの増大・急激な為替の変動等、社会環境が不安定・不透明な状況となっております。その状況下においても着実に事業を継続するため、各種社内規程や関係法令等の遵守を積極的に推進し、内部統制に資する業務プロセスの整備・運用、必要に応じた是正活動を定常的に行うことで、より透明性が高く健全な経営管理体制を構築してまいります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
・基本的な考え方
IBLグループは「世界で難病に苦しむ人々が1日も早く病気を克服し明るく豊かな暮らしを営めるように貢献する」を企業理念に掲げ、社会に貢献することを目指しております。
当社は、日々進歩する新しい科学技術を積極的に取り入れながら、創業以来40年以上、抗体の有する価値の最大化を追求し、柔軟な創造力と自由闊達な意欲を持った研究開発活動により、「抗体」に関連する新たな製品の実用化はもとより新たな事業化を目指しております。
そのような中、当社グループは、製品の安定供給、厳密な品質管理や適正な廃棄物処理など、持続可能な企業活動が求められていることから、真摯に持続可能な社会へ貢献してまいりました。また、IBLグループ全体で物を大事にする考えや、環境への取り組み、人材への投資や育成、社会との共存共栄への考えや取り組みは、企業と社会、それぞれの持続可能性を高めていくと考えております。
・SDGs基本方針
IBLグループは、生物の生命維持に不可欠である免疫機構「抗体」について研鑽し、がん、自己免疫疾患、脳・神経関連疾患などの難病にかかわるタンパク質に対する抗体の開発を追求し、医薬、診断薬、研究用試薬として供給し、社会に貢献することを目指しております。
企業理念実現のため、法令と倫理を遵守した事業活動を通じて、環境や社会を取り巻く状況の課題に積極的に取り組み、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献することは、非財務価値として企業価値向上につながるものと考えております。
重要課題
環境
IBLグループは、地球環境の保全と事業活動の調和を経営の重要課題のひとつとして、環境法令・条例を遵守するとともに、省資源・省エネルギーに努めます。また、研究開発ならびに原料調達から製造、物流、消費に至る全てのプロセスで発生する環境負荷削減に努めます。
・水資源の効率的な使用
当社グループの主力事業である「抗体関連事業」では、当該製品を安心してご使用いただけるために、製品やサービス提供の製造過程において大量の水資源が必要となるため、水資源の効率的な使用に努めております。今後も将来に向けた事業継続の観点から、水資源の効率的な使用を推進してまいります。
・CO2排出量削減と省エネルギー
当社は、本社・研究所において、蛍光灯からLED照明への切り替えや間引き照明、空調設定温度の適正化を推進し、電気使用量の削減に取り組んでおります。また、本社では太陽光発電を導入し継続的な省エネルギーの実現に取り組んでおります。
・廃棄物や排水の適正管理
当社グループの事業活動において、廃棄物や排水の発生は避けられませんが、廃棄物や排水の処分については、環境法令・条例を遵守し、適正に管理しております。
当社は、ウサギやマウスを飼育し、糞尿が発生しておりますが、接触ばっ気方式による排水処理施設を設け、月2回の保守点検を実施し、年一回の水質分析を行い、適正に管理しております。
・生物多様性の保全
当社グループでは、遺伝子組換えカイコの技術を使用し、タンパク質や抗体の生産を行っておりますが、遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(通称カルタヘナ法)に基づく適切な運用と管理を行い、生物多様性の保全に取り組んでおります。
IBLグループは、持続可能な「企業価値向上」の実現に向けて、経営監督機能と業務執行機能の明確化、意思決定の迅速化及び経営の健全性・透明性の確保を目指してコーポレート・ガバナンスの体制を構築しております。
・コンプライアンス
IBLグループは、事業活動において、関連する法令・条例・契約・社内規程等、明確に文章化された社会ルール(法令)を遵守するコンプライアンスの徹底は、当社グループを取り巻く全てのステークホルダーの皆様の信頼を得る上で重要と考え、コンプライアンスを重視した経営を推進しております。
IBLグループは、公正かつ透明な企業活動を目的とすることを経営の基本方針とし、「コンプライアンス・マニュアル」を定め、その遵守について、継続して周知徹底を図ります。また、内部通報制度として「内部通報制度に関する規程」を定め、監査役を通報窓口として設置し、法令違反その他の不正行為の早期発見及び是正を図るとともに、内部通報者の保護を行っております。
下記に当社のガバナンス模式図を示します。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
・人権の尊重
当社グループは、個人の人権と人格を尊重し、個人の尊厳を傷つける不当な行為(ハラスメント)や差別につながる行為を排除することを「社内規程」に記載し、従業員への徹底を図っております。
また、性別・国籍・人種・宗教・年齢・思想・身体上のハンディキャップなどに基づく差別の排除はもちろんのこと、差別の意図がなくても相手に不快感を与える行為を避けるよう徹底しております。また、強制労働や児童労働などの奴隷的な扱いを排除するよう努めております。
・希少疾病用医薬品
当社は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、個別の疾患の患者数が少ない事などにより、十分に研究開発が進まないと言われている希少疾病用医薬品シーズを開発しており、「誰一人取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現」に向けて、取り組んでおります。
・従業員との関わり
当社グループは、従業員の人権・健康・安全衛生を重視し、従業員一人ひとりがやりがいを持って、安心して働ける就労環境の構築を進めております。そして、人材育成・人材教育により、成長とその能力を十分に発揮できる環境をつくることが重要であると考えております。
子育て・介護の支援については、通常の就業が困難な従業員でも安心して就業を継続できるよう、育児休業規程及び介護休業規程に基づく休業・休暇制度や時短勤務制度などを整えております。また、高年齢者の雇用については、60歳定年退職後の再雇用制度を導入し、従業員が長年培ってきた経験やノウハウ、技術を定年後も有効に活かして、各職場で活躍しております。
従業員の健康管理については、年に一回の健康診断を実施し、受診の結果、所見のあった従業員に対して、外部産業医や外部相談員などと連携を取りフォローを行っております。また、全国健康保険協会の実施する特定健診・特定保健指導にも積極的に協力し、従業員の疾病予防、健康維持・増進に努めております。さらに、メンタルヘルス対策については、メンタル不調の予防・早期発見・早期対応を目的に、適時ストレスチェックを行い、従業員のメンタルヘルス対策をサポートしております。
今後も、全国健康保険協会による外部相談窓口を活用しながら、外部産業医とも連携を取り、従業員の健康管理・メンタルヘルス管理に今後も積極的に取り組んでまいります。
当社グループは、企業理念の実現、経営計画を達成するうえで阻害要因となるリスクを適切に管理し、社会的責任を果たし、かつ持続可能な企業価値の向上に資することを目的として、リスクマネジメントに取り組んでおります。
・動物実験における倫理的配慮
当社は、「抗体」の開発においては、安全性や有効性を確認するために動物実験を行うことが必要不可欠です。当社は、「動物の愛護及び管理に関する法律」「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」及び「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」の趣旨を十分に反映し、かつ、動物を用いない代替試験法の活用(Replacement)、使用動物数の削減(Reduction)、苦痛の軽減(Refinement)を十分念頭において、社内規程を作成しております。当社では、動物実験を実施するにあたり、関連法令及び社内規程を遵守し、動物愛護に配慮したうえで、科学的観点に基づき適正に実施されるよう、動物実験委員会による審査を行っております。
女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差について。
当社における女性管理職比率は28.6%、男性の育児休業取得率は、100%となっており、厚生労働省による令和3年度雇用均等基本調査結果における全国の企業平均を上回っております。また、すべての労働者(平均65名)の男女間賃金格差は、69.8%となっております。今後も継続して環境整備をはじめとした取り組みを推進し、維持・向上を目指してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社グループの事業活動において、リスクとなる可能性があると考えられる主な事項について記載しております。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から開示いたします。
当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項及び本書中の本項以外の記載を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社グループで想定される範囲で記載したものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。
(1) 他社との業務提携、合弁会社設立等について
当社グループは、戦略を実行していく上で、合弁企業の設立や子会社化(持分法適用会社化を含む)を行うなど、他社の買収やその他の株式投資を行う可能性があります。その際、各投資の実行の検討に際し、リスクの大きさに応じ、必要十分なデュー・ディリジェンスを実施した上で、定められた承認プロセスを経て投資判断を行っております。
当社グループの業務提携先や合弁先と共同事業を行う場合には、当局の許認可が必要となったり、当該業務提携先や合弁先と共同事業の内容について合意できることが前提となります。また、当社グループの業務提携先や合弁先に対して当社グループが支配権を有するとは限らず、これらの会社が、当社グループの意向にかかわらず、事業戦略を大幅に変更する可能性があります。さらに、第三者割当増資や当社グループ以外の株主がコールオプションを行使したことにより当社グループの持株比率が低下したり、その経営成績や財政状態が大幅に悪化する可能性もあります。これらの場合、その業務提携、合弁事業などが期待通りの成果を生まない可能性や、継続が困難となる可能性があります。また、特定の第三者との業務提携や合弁事業などを実施したことにより、他の者との業務提携や合弁事業などが制約される可能性もあります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 知的財産権に関連するリスクについて
当社グループの事業を遂行していく中で、他者が所有している知的財産権を使用する場合、ライセンス契約等の締結を行い、当該知的財産権を使用する事としておりますが、当社の認識外で他者の知的財産権を侵害してしまうこともあります。当該侵害に対して訴訟が提起された場合は、当社の事業戦略や業績に重大な影響を与える可能性があります。
そのため、当社グループでは、他者の知的財産権への抵触が判明した時は、遅滞なく当該抵触について検討の上、当該他社とライセンス契約を締結する等の対応策を講じております。また、事業の拡大とともにこのようなリスクは増大するものと思われますので、知的財産権に関する管理体制をより強化していく方針であります。
(3) 機密情報の流出について
当社グループの事業を遂行する上で、社外の研究者や研究機関との情報交換は有益であると考えております。今後も積極的に情報交換を行っていく方針であり、商品・サービスの提供や営業活動に必要となる顧客氏名・性別・住所・電話番号等の個人情報、その他業務上、必要となる各種情報をシステム上で管理しております。第三者に当該機密情報を窃取された場合、企業にとって致命傷となりかねません。そのため、当社グループでは、基幹システムやサーバーのセキュリティー強化に加え、情報を外部に開示する際の手続を明確化して組織の末端まで周知徹底させております。しかしながら、万が一機密情報が流出した場合には、多大な損害を被るおそれがあります。
(4) 個人情報に対する漏洩リスク
当社グループは、個人情報を保有しておりますが、個人情報の漏洩防止のため社内規程を整備し、セキュリティー対策を行っております。
しかしながら、昨今の企業情報漏洩に関しては、悪質化する犯罪の増加に伴い個人情報が流出するなどの不測の事態が起こっております。このような場合企業の信用は失墜し、社会的制裁を受ける事となり、「個人情報漏洩保険」に加入していますが、当社グループの業績の悪化と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特定人物への依存について
代表取締役社長である清藤勉は、当社グループの創業以来の最高経営責任者であり、事業の立案や運営、開発活動の遂行等についてリーダーシップを発揮しています。また、当社グループは、小規模な組織であり、人的資源に限りがあるため、個々の役職員の働きに依存している面があります。こうした属人的な事業体制を見直すために、権限の委譲や業務分掌に取り組んでおります。今後の事業展開に必要な役職員が、不慮の事故等何らかの理由により当社グループの事業展開に関与することが困難になった場合には、当社グループの事業および業績に大きな影響を与える可能性があります。
(6) 海外展開による影響について
当社グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
・政治的又は経済的要因
・事業・投資許可、租税、為替管制、独占禁止、通商制限など公的規制の影響
・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、コンピューターウイルス、その他の要因による社会的混乱の影響
・地震、津波、台風等の自然災害の影響
これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・ 回避に努めてまいりますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(7) 医薬品原料開発における進捗に関するリスク
当社は、社外との連携を構築することにより効率的な研究開発を進めております。しかしながら、当初計画したどおりの研究開発の結果が得られない場合や計画の遅延、中止が生じる可能性があります。当社は、このような事態を極力回避するため、進捗管理や評価をおこない開発内容の優先順位や研究開発資源の変更、あるいは、研究開発の一時中止の決定などの対応を行っております。
これらの決定により、研究開発が計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症拡大における第7波・第8波を経ながらもマスク制限の緩和、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる決定をし、人流は回復傾向にあり、景気についても緩やかな持ち直しの動きがみられました。しかしながら、世界情勢の不安定化や金融引き締め等により、原材料・エネルギー価格の高騰、世界的なサプライチェーンの混乱による部品・半導体不足に加え、各国の高インフレ対策による景気減速の懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
こうした状況のもと、当社グループの業績につきましては、以下の通りとなりました。
(セグメント別の経営成績)
※遺伝子組換えカイコ開発事業は、研究開発のコスト管理を行っている事業のため、売上高はありません。
<抗体関連事業>
当事業の売上高は、以下のとおりです。
・診断試薬サービス
主力製品である、ELISAキット及び抗体は、海外販売におけるeマーケティング(SNS等)を活用した情報戦略の成果により、海外大手CRO企業や製薬企業および大学等の研究者からの引き合いが増加したことにより、大幅に販売数量が増加し、さらに円安の影響により、売上高は、前年に比べ大幅に増加いたしました。また、国内外において、アルツハイマー関連抗体のまとまった売上を計上したことや受託サービス、動物用体外診断用医薬品についても、前年に比べ売上高は大幅に増加いたしました。その結果、当サービスの売上高は、678,780千円(前年同期比34.7%増)となりました。
・検査サービス
臨床検査センターでの自社ELISAキットを使用した受託測定サービスの売上高は増加いたしましたが、血中リポタンパク質プロファイリングサービス 「LipoSEARCH」に関連する検査が停滞し、まとまった案件が減少したことにより、当サービスの売上高は、64,265千円(前年同期比25.3%減)となりました。
・TGカイコサービス
国内で販売している受託製品等の売上は、前年を下回りましたが、一方、欧州の医療用品メーカーが製造販売している、医療用品の原料であるヒト型コラーゲンの販売は増加傾向となっております。その結果、当サービスの売上高は、47,554千円(前年同期比7.3%増)となりました。
以上により、当事業の売上高は、790,600千円(前年同期比24.7%増)となりました。
営業利益につきましては、利益率の高い自社製品であるELISAキット及び抗体の売上高が大幅に増加したことや、コロナ禍における事業活動の最適化をはかり、諸経費を抑制したこともあり、前年に比べ大幅に増加することができました。その結果、当事業の営業利益は、152,132千円(前年同期は14,958千円の営業損失)となりました。
<遺伝子組換えカイコ開発事業>
当事業の研究開発費は、コストを抑制しつつ、有用なタンパク質の開発や当該タンパク質の繭中産生量の改良における基礎研究に徹しており、前年に比べ減少いたしました。なお、研究開発につきましては、ヒト型コラーゲンの繭中産生量の増量については目途が立ちましたが、そのほかの研究開発においては、大きな進展はありませんでした。その結果、当事業の営業損失は、80,414千円(前年同期は95,255千円の営業損失)となりました。
なお、当事業は、医薬品原料生産に向けた、遺伝子組換えカイコによる組換えタンパク質の収量を飛躍的に増加させる研究開発をおこなってまいりましたが、目標達成時期に目途が立たないことや、当社グループが所有する、限りある資金を抗体関連事業における体外診断用医薬品原料等の開発に集中するため、遺伝子組換えカイコによる医薬品原料生産に向けた新規開発を中止することといたしました。なお、すでに遺伝子組換えカイコにより製造をおこなっている組換えフィブロネクチン等の試薬製品や体外診断用医薬品原料、ヒト型コラーゲン等については、今後も「抗体関連事業」において、製造・販売および製造方法の改良を継続してまいります(2023年4月27日公表「報告セグメントの変更に関するお知らせ」を参照)。
<化粧品関連事業>
当事業は、国内通信販売において、直接個人ユーザーへの販売から代理店販売に切り替えたため、販売単価の低下により、売上高は減少しておりますが、国内通信販売に関わる経費につきましては減少いたしました。また、中国への越境ECの構築をおこない、販売を開始しておりますが、現時点においては、中国本土の反応は限定的であり、売上高への影響は軽微となっております。その結果、売上高は、4,021千円(前年同期比69.9%減)、営業損失は、13,344千円(前年同期は12,565千円の営業損失)となりました。
以上の結果、売上高は、794,621千円(前年同期比22.7%増)、営業利益は58,373千円(前年同期は122,219千円の営業損失)となり、目標としていた営業利益の黒字を達成することができました。また、経常損失については、関係会社における投資損失や棚卸資産評価損等(2023年4月27日公表の「営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失の計上に関するお知らせ」を参照)を計上し、149,503千円(前年同期は243,472千円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失については、関係会社における特別損失や特別利益等(2023年4月27日公表の「営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失の計上に関するお知らせ」を参照)を計上し、289,731千円(前年同期は258,767千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② 財政状態
・ 流動資産
当連結会計年度における流動資産の残高は、前連結会計年度と比較して3.1%増の1,165,293千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が105,813千円増加したこと、期末にかけて売上が非常に好調に計上できたこと等により売掛金等の売上債権が49,145千円増加したこと等によるものであります。
・ 固定資産
当連結会計年度における固定資産の残高は、前連結会計年度と比較して53.3%減の269,044千円となりました。この主な要因は、持分法による投資損失等の計上により投資有価証券が304,592千円減少したこと等によるものであります。
・ 流動負債
当連結会計年度における流動負債の残高は、前連結会計年度と比較して10.5%増の252,005千円となりました。この主な要因は、新規借入により短期借入金が5,000千円増加したこと、賞与引当金が7,981千円増加したこと等によるものであります。
・ 固定負債
当連結会計年度における固定負債の残高は、前連結会計年度と比較して4.8%減の103,715千円となりました。この主な要因は、約定弁済等により長期借入金が5,889千円減少したこと等によるものであります。
・ 純資産
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度と比較して21.2%減の1,078,616千円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失289,731千円の計上等により減少となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度に比べ112,813千円増加し、561,997千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は26,458千円(前年は93,204千円の支出)となりました。
この主な要因は、税金等調整前当期純損失を280,611千円計上しましたが、その内容は資金支出項目ではない費用の計上が多く、持分法による投資損失203,844千円、関係会社株式評価損174,468千円といった費用の計上によるものが多かったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は30,036千円(前年は155,629千円の支出)となりました。
この主な要因は、関係会社への貸付による支出55,000千円があったものの、関係会社株式の売却による収入77,787千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は991千円(前年は143,998千円の獲得)となりました。
この主な要因は、短期借入金の純増減額5,000千円によるもの等であります。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
当社グループは、主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績の分析
当社グループは抗体関連事業、遺伝子組換えカイコ開発事業及び化粧品関連事業により構成されており、当連結会計年度の当社グループの業績の分析につきましては、次のとおりであります。
・売上高
抗体関連事業は、主力製品であるELISAキット及び抗体において、特に海外での売上の伸びが大きかったことが主な要因となり前年比24.7%増の790,600千円と大幅に増加しております。この主な要因としては、取り組んできたeマーケティングを活用した情報戦略の効果が現れたことや、当期期央以降の円安、新型コロナウイルス感染症の影響の低下等によるものと考えられます。化粧品関連事業については、国内通信販売における直接販売から代理店販売に切り替えたことによる販売単価の低下等の影響により売上高は前年比69.9%減の4,021千円となっております。
・売上原価、売上総利益
原価面につきましては、諸物価高騰及び円安影響を受け、原材料、経費等にかなり影響を受けておりますが、作業効率の改善や仕入価格低減に向けた活動を絶えず行うこと等、原価低減活動を行っております。その結果、売上原価は前期比1%の微減となり、売上総利益は売上高増加、原価低減と相まって、前年比39.8%増の526,712千円となりました。
・販売費及び一般管理費、営業利益
円安や海外情勢の不安定化をはじめとしたさまざまな要因により物価高が進行しており、製造費用はもとより販売費及び一般管理費においても光熱水道費をはじめとして費用高騰圧力となっておりますが、その中にあって、遺伝子組換えカイコ開発事業において研究項目を基礎研究にシフトしたこと等により販売費及び一般管理費は前年比6.1%減の468,338千円となりました。その結果、売上高増、売上総利益増と相まって営業利益は前年度122,219千円の営業損失から58,373千円の営業利益となり、黒字に転換することができました。
・営業外損益、経常利益
当連結会計年度においては為替相場の動向が期初から期末にかけて円安傾向で推移したことにより外貨建売掛債権等において為替差益が4,559千円発生しております。一方、関係会社の持分法投資損失を203,844千円計上したこと等により経常損失は前期は243,472千円のところ93,968千円改善し、当期は149,503千円の経常損失となりました。
・特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度において、持分法適用会社の株式の一部売却をしたことにより当該持分法適用会社は持分法の適用から除外され45,799千円の関係会社株式売却益を特別利益に計上、及び関係会社株式評価損を174,468千円特別損失に計上しております。これにより親会社株主に帰属する当期純損失は289,731千円(前期は258,767千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源、資金の流動性に係る情報
当連結会計年度においては、営業活動が好調で抗体関連事業においては営業収支で利益を計上することができました。遺伝子組換えカイコ開発事業においても研究項目の選択と集中等により営業収支が改善しております。親会社株主に帰属する当期純損失は前連結会計年度に比較して悪化しておりますが、この悪化の要因は資金支出を伴わない持分法による投資損失や関係会社株式評価損の計上による影響が大きかったことから、営業活動によるキャッシュ・フローはプラス(資金の獲得)となっております。また、投資活動によるキャッシュ・フローにおいては関連会社への運転資金の供与のため貸付金の支出が55,000千円ありましたが、関係会社株式の売却による収入が77,787千円あったこと等により、こちらもプラス(資金の獲得)となっております。
資金の財源については、自己資金で賄うことを基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入や新株発行による増資等によるものも考慮に入れております。
資金の流動性については、前述のとおり当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローが26,458千円の資金の獲得、投資活動によるキャッシュ・フローが30,036千円の資金の獲得、財務活動によるキャッシュ・フローが991千円の資金の獲得、現金及び現金同等物の期末残高は561,997千円であり、各キャッシュ・フローの規模等を勘案し、十分な手元流動性を確保しているものと考えております。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、運転資金での支出が主なものであり、重要な設備投資は予定しておりませんので、先に述べましたとおり、現金及び現金同等物で十分賄える見込みであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
新たに締結した重要な契約は次のとおりです。
・業務提携契約
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
事業別の研究開発活動
① 抗体関連事業
〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発
イ 当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AIBioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AIBioへの研究開発費 の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAIBioの経営における実質的な支配権が増加したため、AIBio を子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。この度の子会社化により、研究開発資金が縮小されることになりますので、予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力して参ります。
ロ 国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在の状況につきましては、特許出願を完了し、さらに前臨床試験に向けた準備を進めております。
〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)
イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載 (保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。
外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、 外リンパ瘻疑い患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。
さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。
ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っておりますが、先行して研究用試薬としての販売を開始いたしました(2022年8月22日)。さらに、2024年3月期第1四半期の体外診断用医薬品の販売承認申請に向けた研究開発を継続してまいります。
ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。
二 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2024年3月期第1四半期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。
ホ その他
当社グループが所有するアルツハイマー病関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。
② 遺伝子組み換えカイコ開発事業
当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料としての開発を推進してまいります。また、利益の拡大を目指すために、現在製造されている抗体・タンパク質や新規開発しているタンパク質の生産コストの低減が、利益拡大の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中してまいります。
当社は、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました(2023年3月13日)。
フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。
(注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。