当連結会計年度における世界経済は、米国において個人消費や住宅投資が堅調に推移するとともに、欧州においても緩やかな回復基調で推移したものの、中国をはじめとする新興国の景気減速が一段と顕著となるなかで、停滞感が強まりました。わが国における経済も、原油価格の下落や円安の為替相場により緩やかな景気回復基調にあったものの、設備投資や個人消費が伸び悩むなど先行き不透明な状況で推移しました。
当社グループが属する製薬業界におきましては、大型医薬品の特許切れに伴いジェネリック医薬品による代替が進み、大手製薬企業におけるオープンイノベーションが創薬研究(*)の分野において主流となるなかで、次世代の収益の柱を広く社外から導入する動きが一段と激しさを増しております。さらに、わが国では、日本医療研究開発機構(AMED)が設立され、国を挙げての医療・医薬分野の英知を結集し、画期的な成果の創出を後押しする動きとして期待されております。
このような状況下、当社グループは、キナーゼ阻害薬(*)の創薬に係る創薬基盤技術の強化を図るなかで、創薬事業において、免疫疾患分野の当社創薬プログラムを、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に導出することができました。さらに創薬支援事業においては、小野薬品工業株式会社との大規模委受託契約を締結するなど、新規顧客の開拓や既存顧客への深耕に取り組むとともに、新製品、新サービスの開発および学術支援の強化に取り組むなかで、売上の拡大を目指してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は過去最高の1,569,205千円(前連結会計年度比156.5%増)となりました。地域別の売上では、国内売上高は584,683千円(前連結会計年度比90.3%増)、海外売上高は984,521千円(前連結会計年度比223.4%増)となりました。損益面につきましては、売上高の大幅増加により創業以来初の営業利益472,781千円(前連結会計年度は634,949千円の損失)を計上することとなり、経常利益は492,233千円(前連結会計年度は607,177千円の損失)、当期純利益は456,388千円(前連結会計年度は846,717千円の損失)となりました。
セグメントの状況は次の通りです。
①創薬支援事業
キナーゼタンパク質(*)の販売、アッセイ(*)開発、プロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は、954,355千円(前連結会計年度比56.0%増)、営業利益は412,610千円(前連結会計年度比720.4%増)となりました。
売上高の内訳は、国内売上が584,683千円(前連結会計年度比90.3%増)、北米地域は258,988千円(前連結会計年度比33.8%増)、欧州地域は86,151千円(前連結会計年度比11.2%減)、その他地域が24,531千円(前連結会計年度比76.4%増)であります。なお、国内の大幅な売上増加の主な要因は、平成27年2月に締結した小野薬品工業株式会社との大規模委受託契約に基づくスクリーニング(*)サービスの売上が好調だったこと等によるものであります。北米地域での売上の増加は、主にキナーゼタンパク質販売及びプロファイリング(*)・スクリーニングサービスが好調だったこと等によるものであります。また、営業利益の大幅な増加は、創薬支援事業全体の売上高の増加と、プロファイリング・スクリーニングサービスの売上増加に伴い生産性が大幅に向上したこと等によるものであります。
②創薬事業
創薬事業においては、平成27年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門のひとつである米国ヤンセン・バイオテック社に対して当社が創出した医薬品候補化合物を導出することに成功し、契約一時金を売上高に計上しました。その他の創薬テーマについても積極的に導出交渉に取り組むとともに、前臨床試験を始めとする研究開発に積極的に取り組んでまいりました。その結果、創薬事業の売上高は614,850千円(前連結会計年度は売上計上なし)、営業利益は60,171千円(前連結会計年度は685,240千円の損失)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により401,645千円増加し、投資活動により3,000千円減少し、財務活動により602,938千円増加した結果、前連結会計年度末に比べ998,198千円増加し、1,624,941千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は401,645千円(前年は468,976千円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益486,090千円、売上債権の増加96,028千円、未払金の減少46,871千円及び減価償却費19,219千円の計上の差し引きによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は3,000千円(前年は41,826千円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出2,768千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は602,938千円(前年は66,574千円の増加)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入543,932千円によるものであります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
創薬支援事業 | 1,127,469 | 144.2 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、生産を行っていないため記載しておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
創薬支援事業 | 82,272 | 101.5 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、商品仕入を行っていないため記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高 | 前年同期比 | 受注残高 | 前年同期比 |
創薬支援事業 | 971,130 | 159.5 | 44,475 | 160.6 |
創薬事業 | 614,850 | ― | ― | ― |
合計 | 1,585,980 | 260.5 | 44,475 | 160.6 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
創薬支援事業 | 954,355 | 156.0 |
創薬事業 | 614,850 | ― |
合計 | 1,569,205 | 256.5 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成26年1月1日 至 平成26年12月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年1月1日 至 平成27年12月31日) | ||
販売高(千円) | 割合(%) | 販売高(千円) | 割合(%) | |
Janssen Biotech, Inc. | ― | ― | 614,850 | 39.2 |
小野薬品工業株式会社 | ― | ― | 317,478 | 20.2 |
(注) 前連結会計年度におけるJanssen Biotech, Inc.及び小野薬品工業株式会社の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(1)会社としての課題
継続的な業績の黒字化について
当社グループとして創業以来はじめて経常損益が黒字となり、当面の最優先目標を達成することができました。今後の課題は継続的に経常利益を計上する事業基盤を構築することであると認識しております。そのために、創薬支援事業の売上をさらに伸ばすことで当該事業の利益の上積みを図るとともに、創薬事業においては研究開発をさらに推し進め、複数の創薬パイプラインを製薬企業等に導出し、損益の変動要因を最小化するべく取り組んでまいります。
(2)事業別課題
①研究開発・創薬
(創薬事業)
当社の創薬事業では、平成27年12月末現在でCDC7阻害薬、TNIK阻害薬の計2テーマが前臨床段階にあります。前臨床試験では、化合物の薬効評価のほか、医薬品としての安全性及び毒性の評価が必要となります。また、医薬品原体の製造までに、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討が必要です。このような評価・検討は当社と外部委託先との連携を図りながら、最速で前臨床試験を進め、早期の臨床試験開始を目指します。さらに、創薬基盤技術の更なる強化に取り組むなかで、次世代の研究ターゲットを確立してまいります。
(創薬支援事業)
当社グループは、キナーゼタンパク質(*)に関する創薬基盤技術から創り出した製品・サービスを国内外の製薬企業等に提供しております。今後、更なる売上シェアや顧客層の拡大を図るためには、顧客ニーズに基づいた製品・サービスメニューの拡充・改良が課題であると認識しております。そのために、当社グループは、学術営業を通じた顧客ニーズの的確な把握に努めるとともに、当社グループがこれまで蓄積してきたキナーゼタンパク質の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを活用して、顧客特注案件への対応を強化するとともに、新規キナーゼ製品の開発ならびに新たな評価系の確立に取り組んでまいります。
また、子会社であるProbeXのスプリットルシフェラーゼ技術(*)を活用し、タンパク質間相互作用(*)などをリアルタイムで可視化できる安定発現細胞株の開発、拡充に取り組み、早期の収益化と基盤技術の強化に取り組んでまいります。
②事業開発
当期におけるメガファーマへの導出実績を基に、当社が創製した医薬品候補化合物の導出に積極的に取り組んでまいります。また、さらなる創薬基盤技術の強化を図るなかで、オンリーワンの技術を中心とした新たな製品・サービスメニューの拡充に取り組むとともに、社外の様々なネットワークを駆使し、大学等のアカデミアとの連携、関係強化をさらに推進してまいります。
③製品・サービスの開発・製造・提供体制
多様な顧客ニーズに対応するとともに、さらに品質を向上させるため、品質管理体制の強化並びに生産性の向上に努めてまいります。
④販売体制
創薬支援事業において、国内の販売では高いシェアを占めているものの、世界の主要な市場である米国及び欧州市場でのシェアはいまだ低く、その拡大が課題であると認識しております。当社及び米国子会社による欧米の既存顧客との関係強化並びに新規顧客の開拓が重要であるという認識から、顧客の潜在的な需要を創出する提案型営業を推進するとともに、顧客サポートの充実を目的とした学術支援体制の強化に継続的に取り組んでまいります。さらに、当社グループの顧客はがん疾患の研究グループの比重が高いと思われることから、免疫炎症、中枢神経等、他の疾患領域の研究者に対しても拡販を図っており、売上の拡大を目指します。特に、自社製品などの利益貢献度の高い製品・サービスの積極的なPR及び提案を通じて、顧客への訴求を図るとともに、大規模な受託試験等の受託により安定的な売上確保を目指してまいります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。当社グループとして必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業に関するリスクについて
①創薬支援事業
a.キナーゼ阻害薬に係る製品・サービスに特化するリスク
当社グループの創薬支援事業は、主としてキナーゼタンパク質(*)に関する製品、サービスを提供しているため、キナーゼ阻害薬(*)の研究開発を進める製薬企業等の減少により、当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性、又は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの予想どおり製薬企業等によるキナーゼ阻害薬の研究開発に関連したアウトソースの市場が拡大しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
b.ProbeX社の事業に関するリスク
当社の完全子会社である株式会社ProbeXは、主要な商品としてGPCR(*)阻害薬研究分野をはじめとするスプリットルシフェラーゼ技術(*)を応用した安定発現細胞株の開発・提供を行っておりますが、同社における安定発現細胞株等の製品開発及び販売が計画通りに進展しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
c.競合リスク
競合他社が提供するキナーゼタンパク質(*)の種類の増加により、当社グループのみが販売している製品の数が減少又は無くなる可能性があります。また、同業他社の参入等に伴い価格競争が激しくなる可能性があります。さらに、競合他社が画期的な技術で先行した場合、当社グループの優位性が低下する可能性があります。これらの競争により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
d.パートナー及びサプライヤー等に影響されるリスク
当社グループの提携先とのシナジー効果を創出するには、技術面での補完関係を前提としますが、双方の技術開発の進捗に大きな差が生じた場合、当社グループの製品・サービスの開発が遅れ、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、パーキンエルマー社の経営方針の変更等により、当社グループがプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスを提供するにあたり使用する同社製造の測定機器であるLabChip® EZ Readerの安定稼動ならびに使用するチップの購入に支障が生じる場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
e.製薬企業の研究部門を顧客とするリスク
当社グループは製薬企業の研究部門を主要な顧客としております。製薬企業の創薬研究(*)は、秘匿性が高く、その進捗により研究テーマ自体の変更が起こり得るなど不確定要素が多いため、当該進捗状況により、予定通り当社グループに対しての発注が行われない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に欧米の製薬企業は、日本の製薬企業と比較して研究テーマが多いことから、市場規模が大きい反面、個々の製薬企業において大きな変化が生じる可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
f.海外での事業展開に関するリスク
当社グループは、海外での事業展開において、北米では米国の子会社による販売を行っておりますが、その他の地域においては主に代理店契約および販売代理人契約に基づく販売体制を構築しております。しかしながら、海外での代理店等による販売体制が機能しない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
g.提携先の製品・サービスに依存するリスク
当社グループは、提携先である独クレラックス社、米ACD社、米CAI社及び蘭NTRC社の製品・サービスを代理店として特定地域に提供しておりますが、提携先の事情及び当社グループと関係の変化等により取り扱うことができなくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬事業
a.キナーゼ阻害薬の候補化合物の導出に関するリスク
予定よりも早い段階でキナーゼ阻害薬(*)の候補化合物を導出する場合(例えば前期第2相臨床試験(フェーズⅡa)での導出を計画していたが、前臨床段階や第1相臨床試験(フェーズⅠ)での導出を行った場合等)は、契約締結時に受領する契約一時金の金額が比較的小さくなることが考えられます。また、候補化合物の導出には、導出先の製薬企業と諸条件について取り決めた上で契約を締結する必要があるため、双方の条件に隔たりがあり、当社グループの想定どおりに契約が締結できない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.創薬事業の導出スケジュール等に関するリスク
製薬企業等に対するキナーゼ阻害薬(*)の候補化合物の導出交渉において、交渉相手先企業等における経営方針、研究開発方針の変更等により導出スケジュールが遅れる可能性があります。また、当社グループで研究開発を行ったキナーゼ阻害薬候補化合物に対する交渉相手先企業等による評価が想定を下回る場合は、導出スケジュール及び導出交渉の成否に影響を及ぼす可能性があります。
c.創薬支援事業と創薬事業を同時に手掛ける事業展開に関するリスク
当社グループは創薬支援事業と創薬事業を同時に手がける事業展開により、創薬支援事業で売上による収入を計上しながら、研究開発投資の先行する創薬事業を同時に推進しておりますが、創薬支援事業における収益の確保が計画通りに行えない場合は、創薬事業に関する事業方針の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.導出した創薬パイプラインの開発に関するリスク
当社が大手製薬企業等に導出した創薬パイプラインは、主に導出先企業において導出後の医薬品開発を実施し、その開発(*)の進捗に応じて、導出先企業よりマイルストーンを受領することで売上を計上するとともに、上市後は当該医薬品の売上高に応じたロイヤリティ収入を計上します。しかしながら、導出先企業における開発スケジュールが変更になった場合、また、当該医薬品開発が中断された場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)研究開発活動について
①研究開発の進捗リスク及び大学、公的研究機関、企業等との共同研究リスク
当社グループの創薬事業及び創薬支援事業における研究開発が予定通り進捗しない場合、並びに、当社グループが大学、公的研究機関及び製薬企業等と実施している共同研究開発において、共同研究先の研究及び開発の進捗が想定通りに進捗しない場合、又は共同研究開発契約が何らかの事情により中断もしくは終了した場合は、当社グループの事業方針、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②大学及び公的研究機関との顧問契約リスク
当社グループは、大学の研究者(教授等)との間でアドバイザーとしての研究顧問契約を締結しておりますが、当該研究者は、教授等と当社グループの研究顧問の兼業を行っていることから、利益相反等の行為が発生しないように法的規制等を遵守してまいります。当社グループは、教授等との研究顧問契約を継続していく考えでありますが、法令改正等、何らかの事情により当該契約が解消された場合、助言・指導が受けられなくなり、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。
(3)クリスタルゲノミクス社株式価値の変動リスク
当社は韓国クリスタルゲノミクス社の株式を保有しています。そのため、同社が経営破綻した場合、又は同社株式の評価額が大きく下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、同社への出資は外貨(ウォン)で行われているため、ウォンが円に対して大きく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)社内体制について
①小規模であることの人材リスク
限られた人材により業務執行を行っていますが、取締役及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分があり、当該者の退職等により当社グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
②事業拡大に伴う人材確保のリスク
今後、当社グループが事業を積極的に展開する上で、優秀な人材を確保することが重要でありますが、人材の採用が順調に進まない場合、計画している事業拡大に支障をきたす恐れがあります。
(5)為替変動リスクについて
当社グループの平成27年12月期における総売上高に対する海外売上高の割合は62.7%と高くなっております。当社グループは、国内だけではなく北米及び欧州等の製薬企業等を顧客とするグローバルな販売および導出活動を展開しており、これに伴い、米ドルやユーロ等の外貨で売上が計上された場合は、大幅な為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)知的財産権について
①創薬事業における知財リスク
当社グループが創製した化合物(*)について、第三者によって既に特許出願されている等の理由により当社グループの想定どおりに特許が取得できない場合、又は第三者より特許侵害があるとして訴訟を提起された場合は、当社グループの事業方針及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬支援事業における知財リスク
当社グループの保有する多くの技術的ノウハウが、技術革新等により陳腐化した場合、また、第三者によって技術的ノウハウが先行的に特許出願され、権利化された場合は、当社グループが保有する技術の優位性が損なわれ、創薬支援事業の業績に影響が生じる可能性があります。
③特許に関わる訴訟リスク
創薬支援事業に関し、当社グループが販売したキナーゼタンパク質(*)、アッセイ(*)用キット等の製品、もしくは、当社グループが提供したプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービス等の中に、第三者が特許を保有するキナーゼ(*)等があった場合、特許侵害訴訟を提起され、当該製品の販売差止や当該サービスの提供禁止のほか、多額の賠償金の支払いを求められる可能性があります。
(7)業界(バイオテクノロジー)
技術革新リスクについて
急激な技術革新等により、新技術への対応に遅れが生じた場合は、当社グループが保有する技術・ノウハウが陳腐化する可能性があります。また、必要な技術進歩を常に追求するためには、多額の研究開発費用と時間を要すること等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(8)法的規制について
遺伝子組換え生物等規制法について
平成16年2月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(遺伝子組換え生物等規制法)が施行されています。当社グループのキナーゼタンパク質(*)は遺伝子組み換え(リコンビナント)タンパク質(*)であり、当社グループの施設の一部は当該法律が適用されています。今後、法改正等により規制が強化された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)その他のリスク
①特定の仕入先への依存について
当社のキナーゼ製品・サービスの提供ならびに研究開発に用いる試薬、器具等において、当社グループが継続的に取引をしている主要な仕入先である八洲薬品株式会社および和研薬株式会社への依存度が高い状態が続いております。同社とは取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針でありますが、自然災害や不測の事態、又は同社の経営方針が変更となった場合等により、同社から安定的な商品供給が受けられなくなり、かつ、速やかに代替先を確保することができなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②資金調達について
当社グループは、創薬研究(*)を積極的に推し進めているため、研究開発資金としての資金調達が課題であります。このため、株式上場以降においても公募増資、新株および新株予約権の第三者割当等によって資金調達を行ってまいりました。今後も研究開発投資を中心とする事業基盤強化のための資金調達について、事業計画上での必要性を始め、その最適な方法やタイミング等を適宜検討してまいりますが、必要性があるにもかかわらず円滑に実施できない場合には、当社グループの事業の進捗が計画通りに進まない可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社の役員、従業員及び社外協力者に対して新株予約権を付与しており、また、今後も優秀な人材を確保するため、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を高めるため、そして、当社グループの中長期的な企業価値の向上を図るために、新株予約権を付与する可能性があります。今後、既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、平成27年12月31日現在、発行済みの新株予約権の目的である株式数は899,400株であり、同日現在の発行済株式総数8,892,700株の10.1%に相当します。
④事業所の一極集中について
当社グループは、本社機能及び研究開発機能を神戸市のポートアイランドの神戸バイオメディカルセンター(BMA)内に構えております。BMAは平成7年の阪神淡路大震災の教訓をもとに平成16年に建設された十分な耐震性、防火体制、自家発電機能を備えたビルディングで、24時間の警備体制が取られています。当社グループのビジネスの鍵になるキナーゼ(*)遺伝子すべてについては、それらが失われることがないよう、BMA内の異なる部屋で二重に保管されており、ビジネスに必要な機器及び装置等については、損害保険がかけられております。また、緊急時に被害を最小限にすべく対応できるように緊急時の社内連絡体制を整えています。しかしながら、大規模な地震、台風や風水害その他の自然災害等の発生により、本社機能及び研究開発機能が同時に災害等の甚大な被害を受けた場合は、当社グループの研究開発設備等の損壊あるいは事業活動の停滞によって、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループの設備に関わる長時間の停電等による業務遅滞及び製品への影響について
当社グループが創薬支援事業の営業・物流拠点及び研究開発機能を有する神戸市において、長時間の停電等によりキナーゼタンパク質(*)の製造及び保管並びに化合物(*)の評価設備の稼動等を中断する事象が発生した場合は、キナーゼタンパク質の製造等の遅れにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、長時間の停電によりキナーゼタンパク質を保管している冷凍庫が停止し、これに伴うキナーゼタンパク質の失活等により製品として出荷できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに長時間の停電は、化合物の評価設備(測定機器、分注機器等)の稼動を止めることから、顧客への製品の納入、サービスの提供の遅延を招く恐れがあり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
⑥当社グループの技術の情報漏洩について
当社グループが保有するキナーゼタンパク質(*)の製造技術やアッセイ(*)開発に関する技術等は、何らかの理由により人材の流出が起こった場合、技術情報等が流出する可能性があり、製品開発や製造に影響を及ぼす可能性があります。また、人材の流出により社外へノウハウが流出した場合は、当社グループの製品等の模倣製品が出現する可能性も考えられます。これらのことにより、万一当社グループの技術的な優位性が維持できなくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦営業機密の漏洩について
当社グループが行う創薬支援事業におけるプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスは、顧客である製薬企業等から化合物(*)の情報を預かる立場にあります。従って、当社グループは、当社グループのすべての従業員との間において顧客情報を含む機密情報に係る秘密保持契約を締結しており、さらに退職後も個別に同契約を締結して、顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの信用低下を招き、当社グループの経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧創薬研究と創薬支援事業を同時に行うことで制約を受ける可能性について
当社グループのプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの提供を望む顧客(製薬企業等)が当該サービスに係る契約を締結する際、当社グループが自ら創薬研究(*)を行っていることが、顧客にとって顧客情報の秘匿性確保についての懸念材料となる可能性があり、その場合、契約条件に制約事項が増え、その結果、当該サービスの採算性の悪化、又は事業別に分社せざるを得ない等の影響を受ける可能性が考えられます。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
契約書名 | LICENSE AGREEMENT |
相手先の名称 | Janssen Biotech, Inc. |
相手先の所在地 | 米国 |
契約締結日 | 平成27年6月11日 |
主な契約の内容 | ①当社は、Janssen Biotech, Inc.に対し、当社のキナーゼ阻害薬プログラムから創出された化合物の開発・商業化に係る全世界における独占的な権利を供与する。 ②当社は、上記権利の供与の対価として、導出時一時金、開発の進展に伴うマイルストーンを受け取る。 ③本契約に基づき上市された医薬品の純売上高の一定比率を、ロイヤリティとして受け取る。 |
当社グループは、キナーゼタンパク質(*)を標的とした経口の分子標的薬(*)であるキナーゼ阻害薬(*)の創製研究(*)および開発(*)を行いつつ、このキナーゼ阻害薬を創製するための基盤となる技術「創薬基盤技術」をさらに強化するための研究開発を行っております。さらに長年培ってきたこの創薬基盤技術を活用し、他の製薬企業やアカデミア等に対し顧客ニーズの高いキナーゼ関連製品・サービスを提供するための研究開発活動を続けております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は417,249千円であり、項目別には以下のとおりであります。
<当社グループの研究開発体制について>
当社グループの研究開発活動は、研究開発本部並びに創薬支援事業本部(製造部及び受託試験部)が中心となって行っております。平成27年12月末現在、研究開発本部には24名、創薬支援事業本部には11名が在籍しており、そのうち9名が博士号を取得しております。また、ドラッグデザイン、有機合成、薬理、基質(*)探索、遺伝子クローニング(*)、細胞培養、タンパク質精製、アッセイ(*)開発等の専門家を有し、先端技術の蓄積を行っており、今後の事業の拡大に応じて研究開発要員の増加及び研究施設・設備への投資を計画してまいります。
<創薬研究について>
当社の創薬研究(*)は、キナーゼ阻害薬(*)に特化して当社グループの強力なキナーゼ(*)の創薬基盤技術を最大限に活用し、がん及び免疫炎症疾患を重点領域として、効率的な創薬研究を行なっております。がん領域においては、自社研究に加えて国立研究開発法人がん研究センター及び広島大学と共同研究を行っております。また、重点領域以外の疾患についても、自社独自研究や北里大学等と共同研究を行うことで、パイプラインの拡充を図っております。
<外部との連携について>
創薬には、アッセイ(*)開発、化学合成の他、薬理試験、薬物動態試験、毒性試験等に関する様々な技術が必要です。
優れた技術を保有する企業との業務提携を積極的に推進し、創薬の効率化を目指しています。また、新規創薬ターゲットの同定、新規創薬技術の開発などの基礎的な研究については、大阪府立大学、神戸大学、愛媛大学などのアカデミアとの共同研究を中心に推進しております。
<開発研究について>
医薬品の研究開発プロセスにおいて、前臨床試験以降を開発段階といいます。当社の創薬プログラムにおいて、平成27年12月末現在でCDC7キナーゼ阻害薬、TNIK阻害薬の計2テーマが前臨床試験段階にありますが、前臨床試験では、主に動物を用いた試験により医薬品としての安全性及び毒性の評価を行います。さらに、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討などが必要となります。このような評価・検討は、外部委託先を活用することにより、開発研究の効率化、迅速化を図り、早期の臨床試験開始を目指しております。なお、当社の開発研究は、臨床試験の前期第2層(フェーズⅡa)までの開発投資が比較的少額の段階までを対象としており、それ以降の開発は医薬品候補化合物の導出先である製薬企業等において実施することを想定しています。
<導出後の開発について>
当社は、平成27年12月末現在で、免疫疾患を対象とした創薬プログラムをジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に導出しております。本プログラムの開発は同社において実施され、当社は同社による本プログラムの開発(*)の進展に伴い導出契約時に合意したマイルストーン達成時に一時金を獲得できる契約となっております。
<当社グループの特許に係る方針及び当社の技術について>
創薬事業において、特許は知的財産の権利確保だけでなく、導出交渉時に重要な要素となるため、特許公開時期も考慮しながら、特許出願をしていく方針です。
他方、創薬支援事業においては、当社グループの高品質かつ網羅的なキナーゼタンパク質(*)の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを社内に着実に蓄積することで、効率的な製品の生産と製品レベルの向上などを図っております。
<キナーゼ阻害薬を創製するための基盤となる技術「創薬基盤技術」について>
Novartis AGのGlivec®を始めとするキナーゼ阻害剤(*)の成功例により、製薬企業はキナーゼ阻害薬の研究開発を活発に進めており、近年ではそれらの成果として相次いでキナーゼ阻害剤が承認され上市(*)されております。これらキナーゼ阻害薬の研究活動には、高品質かつ網羅的に製品・サービスを揃える当社グループの創薬支援事業ビジネスに対するニーズが依然高いものと考えております。当社グループのキナーゼ阻害薬を創製するための技術(創薬基盤技術)を基盤として、競合他社との更なる差別化を図るべく、積極的な研究開発活動により、顧客要望に応じた製品・サービスの品揃えを拡充してまいります。
当連結会計年度末において、提供可能なキナーゼタンパク質(*)の種類は347種類、また製品数は422種類となり、当社グループは世界で最も多種類のキナーゼタンパク質を製品化し販売しております。また、アッセイ(*)可能なキナーゼ(*)の種類は319製品となり、創薬支援及び創薬に必要なキナーゼアッセイはほぼ実施可能となりました。さらに、表面プラズモン共鳴 (SPR)(*)やバイオレイヤー干渉法 (BLI)(*)といった物質間の相互作用を評価する系(解析機器)で利用可能なビオチン化キナーゼタンパク質の製品数は65種類となりました。また、細胞を用いて薬を評価するセルベースアッセイ(*)では、RPPA(*)セルシグナル解析サービスについて見直しを行っており、より顧客ニーズに沿ったサービス内容となるよう開発に取り組んでまいります。
今後もキナーゼ阻害薬(*)の創薬研究(*)に有用な最新の技術開発を行い、自社研究及び他社との共同研究を通じて、顧客ニーズに応じた創薬基盤技術の強化を図ってまいります。
<スプリットルシフェラーゼ技術を応用した安定発現細胞株の開発について>
完全子会社であるProbeX社が保有する相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術(*)に基づくGPCR(*)阻害及びタンパク質間相互作用(*)を確認することが可能な安定発現細胞株として、当連結会計年度末において26製品が提供可能です。ProbeX社の技術と当社が有する創薬基盤技術を融合し、顧客訴求力の高い製品の開発を進めております。
なお、当社グループは自社並びに他社と共同でキナーゼ阻害薬(*)の創製研究を実施しておりますが、早期のキナーゼ阻害薬(*)の導出並びに創薬事業の収益化を目指しており、このために、優秀な研究者の確保・育成や社内での技術的ノウハウの蓄積並びに最先端の技術への早期対応を図るための積極的な研究開発活動を進め、「創薬基盤技術」の強化に努めてまいります。なお、創薬基盤技術の強化は、当社グループの創薬に係る技術全体の底上げを図る目的で行われることから、セグメント別研究開発費では創薬事業に含めて表示しております。
当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
1.創薬事業
当社グループは、がん、免疫炎症疾患を重点領域として創薬研究(*)を進めており、2テーマが前臨床試験段階にあります。がん領域におきましては、国立研究開発法人がん研究センターとの共同研究テーマであるTNIK阻害薬プログラムが、創薬支援推進事業の一環として、日本医療研究開発機構(AMED)が実施する創薬ブースター(創薬総合支援事業)の支援課題として採択され、がん研究センターが中心となり前臨床試験を実施しております。また、そのバックアップ化合物についても、前臨床段階へのステージアップを目指し、がん研究センターと共同で研究を進めております。CDC7キナーゼ阻害薬プログラムについては、当社単独開発テーマとして、外部委託先を活用して前臨床試験を実施しております。また、広島大学と白血病幹細胞を標的とした創薬研究を開始し、リード化合物の最適化を行っております。その他テーマは前臨床候補化合物を獲得するまでの探索研究段階にありますが、重点領域以外でも有望な標的キナーゼを同定したものについては創薬研究を実施しており、次世代の研究テーマとして準備を進めております。
今後も積極的にキナーゼ阻害薬(*)に係る創薬研究を進めていくとともに、自社研究及び他社との共同研究を通じて創薬基盤技術の強化を行い、これまでにない新しい特性を示す化合物(*)の発掘を目指していきます。当事業に係る研究開発費は、403,312千円であります。
2.創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、キナーゼタンパク質(*)の品質向上およびプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質は高品質との評価を得ており、今後さらに顧客からの信頼を獲得していくための研究開発を行っております。さらに、既存技術を応用した新しいアッセイ(*)系の開発や、よりハイスループットなプロファイリングサービスの開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は、13,936千円であります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1.提出会社の代表者による財政状態及び経営成績に関する分析・検討内容
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積もりの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性が存在するため、これらの見積もりと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2)当社グループの損益構造について
当社グループは、キナーゼ阻害薬(*)を創製するための研究開発並びにその基盤となる技術である「創薬基盤技術」を強化するための先行投資として、積極的な研究開発を行っております。会社設立以来、営業損失を計上してまいりましたが、当連結会計年度において、創薬事業におけるジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に対して当社の医薬品候補化合物を導出し契約一時金を計上するとともに、創薬支援事業においても過去最高の売上高及び営業利益を計上することができたことから、会社設立以来初めて連結営業利益が黒字となりました。
しかしながら、創薬事業からの収益は、導出先製薬企業における開発(*)の進捗、導出活動の進捗及び当社の研究開発の進捗等により影響を受け安定的でないことから、当社グループの短期的な損益については不安定な傾向があります。
当社グループは、中長期的な経営方針に基づき、更なる成長軌道に乗せ、事業価値の向上を図るために、創薬支援事業からの収益力を高めるとともに、創薬事業において複数の創薬パイプラインの導出実現を目指し、積極的な導出活動及び研究開発を進めてまいります。
第10期、第11期、第12期及び第13期のセグメントごとの売上、研究開発費及び営業損益は、以下の通りです。
(単位:千円)
回次 | 第10期(連結) | 第11期(連結) | 第12期(連結) | 第13期(連結) |
決算年月 | 平成24年12月期 | 平成25年12月期 | 平成26年12月期 | 平成27年12月期 |
売上高 | 510,829 | 771,464 | 611,760 | 1,569,205 |
創薬支援事業 | 510,829 | 771,464 | 611,760 | 954,355 |
創薬事業 | ― | ― | ― | 614,850 |
研究開発費 | 376,892 | 423,305 | 561,433 | 417,249 |
創薬支援事業 | 2,118 | 9,243 | 29,690 | 13,936 |
創薬事業 | 374,774 | 414,062 | 531,743 | 403,312 |
営業利益(△損失) | △457,842 | △300,700 | △634,949 | 472,781 |
創薬支援事業 | 46,841 | 249,283 | 50,290 | 412,610 |
創薬事業 | △504,684 | △549,983 | △685,240 | 60,171 |
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、2,337,609千円となり、前連結会計年度末に比べて1,116,163千円増加となりました。その内訳は、現金及び預金の増加998,198千円、売掛金の増加96,426千円、投資有価証券の増加45,042千円等であります。
負債は467,107千円となり、前連結会計年度末と比べて75,888千円増加となりました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の増加26,416千円、未払金の減少38,175千円、未払法人税等の増加31,693千円、長期借入金の増加26,325千円等であります。
純資産は1,870,502千円となり、前連結会計年度末と比べて1,040,275千円増加となりました。その内訳は、新株予約権の行使に伴う株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加547,371千円、当期純利益456,388千円の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。
また、自己資本比率は79.7%(前連結会計年度67.2%)となりました。
(4)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して957,444千円増加(156.5%増)し、1,569,205千円となりました。これは、平成27年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社に当社創薬プログラムを導出した際の契約一時金による売上の計上、ならびに同年2月に締結した小野薬品工業株式会社との大規模委受託契約に基づく売上の増加等によるものであります。事業別の売上高は、創薬支援事業が954,355千円(前期比56.0%増)、創薬事業が614,850千円(前期は計上なし)であります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比920,807千円増(243.1%増)の1,299,611千円となりました。この大幅な売上総利益の改善は、創薬事業における売上高の計上ならびに創薬支援事業によるキナーゼタンパク質(*)及びプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの売上増が、当社の売上原価において大きな比重を占める固定費を回収し、利益に寄与したこと等によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度は、当社が創業して以来初めて営業利益を計上し、472,781千円の黒字となりました。これは、上術のとおり売上高が大幅に増加し、売上総利益が大幅に増加したことに加え、当期の営業損益の黒字化必達を目標とした経費の節減等に努めた結果、販売費及び一般管理費が前連結会計年度と比較して186,924千円減少(18.4%減)したこと等によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比較して952千円減少(3.0%減)し、31,190千円となりました。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度と比較して7,367千円増加(168.5%増)し、11,739千円となりました。これは、主に、為替差損の増加並びに株式交付費及び新株予約権発行費が発生したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、492,233千円(前連結会計年度は607,177千円の損失)となりました。
(当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、2,282千円となりました(前連結会計年度は発生なし)。これは、新株予約権戻入益の計上によるものであります。
当連結会計年度の特別損失は、8,425千円となりました(前連結会計年度は237,658千円)。これは、創薬事業の固定資産について、減損損失を計上したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の当期純利益は、456,388千円(前連結会計年度は846,717千円の損失)となりました。
(5)中長期の経営戦略について
当社グループは、創薬事業における新たな新薬候補化合物の早期導出及び早期の臨床試験開始、並びに創薬支援事業における売上拡大及び生産性向上による営業利益の増大を重要な経営課題として取り組んでまいります。
そのために、創薬事業におきましては、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医療用医薬品部門である米国ヤンセン・バイオテック社への導出実績が、製薬企業等からの当社創薬パイプラインへの問い合わせの増加に繋がっていることから、当社にとって最大価値となるよう導出交渉を継続し、早期導出を目指してまいります。研究開発においては、当社研究テーマの早期ステージアップを目指すとともに、革新的新薬を継続的に生み出す新規コア技術の開発に取り組むなかで、次世代の新規創薬研究パイプラインの構築を図ってまいります。さらに、自社で臨床試験を実施するための社内体制を構築してまいります。
創薬支援事業では、欧米地域での売上拡大ならびに自社タンパク質製品や大規模受託サービスの受注拡大を図り、年間10億円の売上高を目指してまいります。営業体制、販売網の整備、拡充に注力し、既存顧客への深耕並びに新規顧客の獲得に取り組んでまいります。
当社グループは創薬支援事業において獲得した収益を創薬事業の研究開発に配分しつつ、早期の臨床試験開始を目指すとともに、新薬候補化合物を大手製薬企業等に導出することで、企業価値の向上に取り組んでまいります。
(6)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
(7)資金の財源について
当社グループは、長期にわたる研究開発を行うための強固な財務基盤を保つために、手元資金については高い流動性と厚めの資金量を確保及び維持することを基本方針としております。
創薬事業を単独事業とした場合に比較して研究開発に係る資金負担が軽減されるよう、創薬支援事業において当社グループ製品・サービスの提供により獲得した資金を創薬事業に融通します。経営戦略上、財務体質の強化や中長期的な成長資金の追加確保等を目的とした資金調達の必要性が生じた場合には、事業の進捗状況や外部環境を勘案し、必要に応じて増資等の資金調達並びに金融機関等からの借入を実施します。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。