当連結会計年度における世界経済は、米国においては所得環境の改善に伴い個人消費が堅調に推移するとともに、株価上昇が景気を牽引しました。欧州においても輸出の拡大が設備投資を後押ししたことなどから堅調に推移しました。わが国における経済も、雇用環境の改善や企業業績の回復などにより、緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループが属する製薬業界におきましては、ここ数年の大手製薬企業におけるオープンイノベーションへの急速なシフトならびに重点領域の絞り込みが顕著となるなかで、政府による医療費抑制方針に基づき薬価制度の大幅な見直しが決定される等、新薬メーカーを取り巻く環境は厳しさを増しております。
このような外部環境の中、当社グループは、キナーゼ阻害薬(*)の創薬に関する創薬基盤技術を核とした創薬事業ならびに創薬支援事業を積極的に展開し、事業の拡大を図ってまいりました。その結果、当連結会計年度において、当社の創薬基盤技術を駆使して創製したBTK阻害剤の2つのプログラムが前臨床段階へステージアップしました。一つはリウマチなどの免疫炎症疾患領域の医薬品候補化合物AS-871で、GLP基準に基づく前臨床試験を開始するためのプロセス検討及びキログラムレベルの大量合成を実施しています。当社BTK阻害薬ポートフォリオ戦略として、血液がんを始めとするがん領域を対象としたBTK阻害剤CB-1763も、当社創薬基盤技術を駆使して、短期間で前臨床研究段階へステージアップさせることができました。その他の研究テーマについても、重点疾患領域であるがん及び免疫炎症疾患領域を中心に、キナーゼ阻害薬の研究開発を積極的に推進してまいりました。さらに、当社の創薬基盤技術を駆使して、脂質キナーゼ(*)を中心とした新しいキナーゼタンパク質(*)関連製品の品揃えの拡充に取り組んでまいりました。また、創薬支援事業においては、売上の拡大を図り安定的な収益を確保するべく、主力市場である北米地域において、当社のみが全10種類を取り揃え優位性が高いDGKタンパク質のアッセイキット(*)を中心に大型案件の獲得を目指し取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は657,516千円(前連結会計年度比19.0%減)となりました。地域別の売上では、国内売上高は352,355千円(前連結会計年度比15.8%減)、海外売上高は305,161千円(前連結会計年度比22.3%減)となりました。損益面につきましては、営業損失が699,060千円(前連結会計年度は423,977千円)、経常損失が711,496千円(前連結会計年度は440,657千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は737,264千円(前連結会計年度は289,940千円)となりました。
セグメントの状況は次の通りです。
①創薬事業
創薬事業においては、当連結会計年度中に、リウマチなどの免疫炎症疾患を対象とした医薬品候補化合物AS-871および血液がん等のがん領域を対象とした化合物CB-1763という2つのBTK阻害薬プログラムが前臨床段階にステージアップし、AS-871ではGLP基準に基づく前臨床試験用の化合物の大量合成がすでに進められています。また、平成28年5月に、当社がSierra Oncology社に導出したがん領域のCDC7阻害剤AS-141(Sierra社の開発番号:SRA141)は、同社における臨床試験の開始に伴うマイルストーン収入を当期中に予定しておりましたが、順調に前臨床試験が進んでいるものの、臨床試験の開始が翌期以降になったことから、創薬事業における売上高はなく(前連結会計年度は98,928千円)、営業損失は841,864千円(前連結会計年度は616,036千円)となりました。
②創薬支援事業
キナーゼタンパク質(*)の販売、アッセイ(*)開発、プロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は、657,516千円(前連結会計年度比7.7%減)、営業利益は142,804千円(前連結会計年度比25.6%減)となりました。
売上高の内訳は、国内売上が352,355千円(前連結会計年度比15.8%減)、北米地域は210,678千円(前連結会計年度比5.4%増)、欧州地域は65,435千円(前連結会計年度比9.2%減)、その他地域が29,047千円(前連結会計年度比31.7%増)であります。なお、国内の売上高減少は、主に小野薬品工業株式会社向けの売上が減少したことによるものであります。北米地域での売上増は、主にセルベースアッセイ(*)サービスの売上の増加によるものであります。また、営業利益の減少は、主に売上高が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ304,967千円減少し、1,856,218千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は561,055千円(前年は452,967千円の減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失733,380千円、売上債権の減少29,531千円、未払金の増加67,168千円、減価償却費12,114千円及び減損損失21,884千円の計上の差し引きによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は38,131千円(前年は248,004千円の増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出38,013千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は295,814千円(前年は754,897千円の増加)となりました。これは主に新株予約権の行使による株式の発行による収入361,611千円によるものであります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
|
創薬支援事業 |
832,514 |
84.7 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、生産を行っていないため記載しておりません。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
|
創薬支援事業 |
76,734 |
94.4 |
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.創薬事業については、商品仕入を行っていないため記載しておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高 |
前年同期比 |
受注残高 |
前年同期比 |
|
創薬支援事業 |
683,968 |
99.0 |
49,099 |
216.8 |
|
創薬事業 |
― |
― |
― |
― |
|
合計 |
683,968 |
86.6 |
49,099 |
216.8 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
創薬支援事業 |
657,516 |
92.3 |
|
創薬事業 |
― |
― |
|
合計 |
657,516 |
81.0 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成28年1月1日 至 平成28年12月31日) |
当連結会計年度 (自 平成29年1月1日 至 平成29年12月31日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
小野薬品工業株式会社 |
194,677 |
24.0 |
144,483 |
22.0 |
|
Sierra Oncology, Inc. |
98,928 |
12.2 |
― |
― |
(注) Sierra Oncology, Inc.は、2017年1月に、ProNAi Therapeutics, Inc.から社名変更しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、経営の基本理念である「人々の生命を守り、健康に貢献することを目指します。」を基に、人々の生命を守り、そして人々の健康に資する「創薬」に貢献することを経営の基本方針としております。
また、「創薬」に貢献することにより、ステークホルダーとの深い信頼関係のもと、企業価値向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
創薬支援事業については、安定的に収益を獲得する基盤事業として、継続的な事業成長と収益基盤の拡大を図るため、売上高伸び率と売上総利益率を重要な経営指標としております。
創薬事業については、医薬品候補化合物の導出後の安定的な収益を獲得するまでには期間を要するため、短期的な経営指標で業績評価を行うことは適切でありません。当社が導出した創薬パイプラインの医薬品候補化合物が承認を受け上市(*)されて患者のもとに届けられるまでの今後の見通しが公表できる段階で、株主資本の効率的活用を重視する観点からROE(株主資本利益率)などを経営指標として用いて、事業計画、経営成績ならびに企業価値の周知に努めてまいります。
(3)中長期の経営戦略および財務戦略について
当社グループは、創薬事業において創製した医薬品候補化合物が、導出先の製薬企業等による製造販売承認を経て医薬品として上市(*)され、その売上に係るロイヤリティ収入により安定的な財務基盤を構築し、画期的な医薬品を永続的に世に送り出すことを通して人々の健康に貢献することを目指しております。
そのために当社は、現在前臨床段階にあるパイプラインを早期に臨床試験段階へステージアップを図り、自社臨床試験を実施することで創薬パイプラインの価値を最大化し、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなり、当社の企業価値を高めてまいります。当社は、これまで早期に大手製薬企業等へ導出することを基本方針としておりましたが、今後は当社で臨床試験を実施して創薬パイプラインの価値を最大限に高めたうえで導出することを中期的な経営の基本方針として掲げています。しかしながら、競合状況や導出先製薬企業とのタイミングを見計らいながら、当社にとって最大価値を生み出せるよう戦略的かつ臨機応変に導出交渉に取り組んでまいります。
当社グループの財務戦略においては、長期にわたる研究開発を行うための強固な財務基盤を保つために、手元資金については高い流動性と厚めの資金量を確保及び維持することを基本方針としております。当社グループにおいて必要な資金を生み出すセグメントである創薬支援事業において安定的な収益が計上できるよう、キナーゼ関連製品・サービスの市場規模が大きい北米地域の売上拡大に注力するとともに、当社製品・サービスの品質向上ならびに生産性向上に取り組み収益力の強化を図ってまいります。さらに、現在実施している新株予約権を用いた資金調達を行使期限までに完了させるとともに、必要に応じて金融機関等からの借入を実施し、当社の企業価値を高めるための資金の確保に努めてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社は創薬ベンチャーとして、画期的な新薬を一日も早く世に送り出すことを目指して事業を行っております。そのために必要な資金を確保し、迅速かつ効率的に研究開発を進め、当社の創薬パイプラインを早期に臨床試験段階へステージアップを図り、自社臨床試験を実施して、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなることで、当社の企業価値を高めてまいります。
当社の創薬事業では、平成29年12月末現在でTNIK阻害薬(NCB-0846)ならびに2つのBTK阻害薬(AS-871:リウマチ、CB1763:血液がん)の3つのプログラムが前臨床研究段階にあります。前臨床試験では、化合物の薬効評価のほか、医薬品としての安全性及び薬物動態の評価が必要となります。また、医薬品原体の製造までに、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討が必要です。このような評価・検討は当社と外部委託先との連携を図りながら、最速で前臨床試験を進め、早期の臨床試験開始を目指します。また、創薬基盤技術のさらなる強化に取り組むなかで、次世代の研究ターゲットを確立してまいります。
さらに、当社創薬パイプラインの価値の最大化を目指して、自社で臨床試験を実施し、臨床試験段階のパイプラインを創出することを通じて、当社の事業価値をさらに高めることができるよう取り組みを進めてまいります。
また、これまでの製薬企業等への導出実績を基に、当社が創製した医薬品候補化合物の導出に積極的に取り組んでまいります。
当社グループは、創薬支援事業において、キナーゼタンパク質(*)ならびにキナーゼ阻害薬(*)の創製研究に関する創薬基盤技術から産み出した製品・サービスを国内外の製薬企業等に提供しております。今後、さらなる売上シェアや顧客層の拡大を図るためには、顧客ニーズに基づいた独自性の高い製品・サービスメニューの拡充が重要であると認識しております。そのために、当社グループがこれまで蓄積してきたキナーゼタンパク質の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などの技術的ノウハウを活用して、オンリーワンの新規キナーゼ製品の開発ならびに新たな評価系の確立に取り組んでまいります。さらに、キナーゼに関する専門知識に基づく学術営業を通じた顧客ニーズの的確な把握に努め、顧客特注案件への対応を強化してまいります。加えて、作業工程の改善を図り生産性の向上に努め、収益力を強化してまいります。
また、売上拡大のための販売戦略として、地域的には北米の市場規模が大きいことから、米国子会社であるCarnaBio USAにおける販売体制の強化を図り、売上拡大に注力します。さらに当社グループの顧客はがん疾患の研究グループの比重が高く、免疫炎症、中枢神経等、他の疾患領域の研究者に対しても拡販を図ることが課題です。当社グループのオンリーワン製品を中心に積極的に顧客への提案を行い売上拡大に取り組むことで、安定的な売上確保を目指してまいります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しています。当社グループとして必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)当社グループの事業に関するリスクについて
①創薬事業
a.キナーゼ阻害薬の医薬品候補化合物の導出に関するリスク
予定よりも早い段階でキナーゼ阻害薬(*)の医薬品候補化合物を導出する場合(例えば前期第2相臨床試験(フェーズⅡa)での導出を計画していたが、前臨床段階や第1相臨床試験(フェーズⅠ)での導出を行った場合等)は、契約締結時に受領する契約一時金の金額ならびにマイルストーン収入総額が比較的小さくなることが考えられます。また、本化合物の導出には、導出先の製薬企業と諸条件について取り決めた上で契約を締結する必要があるため、双方の条件に隔たりがあり、当社グループの想定どおりに契約が締結できない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.創薬事業の導出スケジュール等に関するリスク
製薬企業等に対するキナーゼ阻害薬(*)の医薬品候補化合物の導出交渉において、交渉相手先企業等における経営方針、研究開発方針の変更等により導出スケジュールが遅れたり、中止を含め変更される可能性があります。また、当社グループで研究開発を行った本化合物に対する交渉相手先企業等による評価が想定を下回る場合は、導出スケジュール及び導出交渉の成否に影響を及ぼす可能性があります。
c.創薬支援事業と創薬事業を同時に手掛ける事業展開に関するリスク
当社グループは創薬支援事業と創薬事業を同時に手がける事業展開により、創薬支援事業で売上による収入を計上しながら、研究開発投資の先行する創薬事業を同時に推進しておりますが、創薬支援事業における収益の確保が計画通りに行えない場合は、創薬事業に関する事業方針の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.導出した創薬パイプラインの開発に関するリスク
当社が大手製薬企業等に導出した創薬パイプラインは、主に導出先企業において導出後の医薬品開発を実施し、その開発(*)の進捗に応じて、導出先企業よりマイルストーンを受領することで売上を計上するとともに、上市後は当該医薬品の売上高に応じたロイヤリティ収入を計上します。しかしながら、導出先企業における開発スケジュールが変更になった場合、また、当該医薬品開発が中断された場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬支援事業
a.キナーゼ阻害薬に係る製品・サービスに特化するリスク
当社グループの創薬支援事業は、主としてキナーゼタンパク質(*)に関する製品、サービスを提供しているため、キナーゼ阻害薬(*)の研究開発を進める製薬企業等の減少により、当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性、又は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの予想どおり製薬企業等によるキナーゼ阻害薬の研究開発に関連したアウトソースの市場が拡大しない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
b.競合リスク
競合他社が提供するキナーゼタンパク質(*)の種類の増加により、当社グループのみが販売している製品の数が減少又は無くなる可能性があります。また、同業他社の参入等に伴い価格競争が激しくなる可能性があります。さらに、競合他社が画期的な技術で先行した場合、当社グループの優位性が低下する可能性があります。これらの競争により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
c.パートナー及びサプライヤー等に影響されるリスク
当社グループの提携先とのシナジー効果を創出するには、技術面での補完関係を前提としますが、双方の技術開発の進捗に大きな差が生じた場合、当社グループの製品・サービスの開発が遅れ、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。また、パーキンエルマー社の経営方針の変更等により、当社グループがプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスを提供するにあたり使用する同社製造の測定機器であるLabChip® EZ Readerの安定稼動ならびに使用するチップの購入に支障が生じる場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.製薬企業の研究部門を顧客とするリスク
当社グループは製薬企業の研究部門を主要な顧客としております。製薬企業の創薬研究(*)は、秘匿性が高く、その進捗により研究テーマ自体の変更が起こり得るなど不確定要素が多いため、当該進捗状況により、予定通り当社グループに対しての発注が行われない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に欧米の製薬企業は、日本の製薬企業と比較して研究テーマが多いことから、市場規模が大きい反面、個々の製薬企業において大きな変化が生じる可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
e.海外での事業展開に関するリスク
当社グループは、海外での事業展開において、北米では米国の子会社による販売を行っておりますが、その他の地域においては主に代理店契約および販売代理人契約に基づく販売体制を構築しております。しかしながら、海外での代理店等による販売体制が機能しない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
f.提携先の製品・サービスに依存するリスク
当社グループは、提携先である海外のACD社、CAI社、NTRC社、SARomics社、IniXium社、AssayQuant社及びEpiBiome社の製品・サービスを代理店として特定地域に提供しておりますが、提携先の事情及び当社グループとの関係の変化等により取り扱うことができなくなった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
g.ProbeXの事業に関するリスク
当社の完全子会社である株式会社ProbeXは、主要な商品としてGPCR(*)阻害薬研究分野をはじめとするスプリットルシフェラーゼ技術(*)を応用した安定発現細胞株の開発・提供を行っておりますが、同社における安定発現細胞株等の製品開発及び販売が計画通りに進展しない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)研究開発活動について
①研究開発の進捗リスク及び大学、公的研究機関、企業等との共同研究リスク
当社グループの創薬事業及び創薬支援事業における研究開発が予定通り進捗しない場合、並びに、当社グループが大学、公的研究機関及び製薬企業等と実施している共同研究開発において、共同研究先の研究及び開発の進捗が想定通りに進捗しない場合、又は共同研究開発契約が何らかの事情により中断もしくは終了した場合は、当社グループの事業方針、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
②大学及び公的研究機関との顧問契約リスク
当社グループは、大学の研究者(教授等)との間でアドバイザーとしての研究顧問契約を締結しておりますが、当該研究者は、教授等と当社グループの研究顧問の兼業を行っていることから、利益相反等の行為が発生しないように法的規制等を遵守してまいります。当社グループは、教授等との研究顧問契約を継続していく考えでありますが、法令改正等、何らかの事情により当該契約が解消された場合、助言・指導が受けられなくなり、当社グループの事業活動に支障をきたす可能性があります。
(3)社内体制について
①小規模であることの人材リスク
限られた人材により業務執行を行っていますが、取締役及び従業員が持つ専門知識・技術・経験に負う部分があり、当該者の退職等により当社グループの業務に影響を及ぼす可能性があります。
②事業拡大に伴う人材確保のリスク
今後、当社グループが事業を積極的に展開する上で、優秀な人材を確保することが重要でありますが、人材の採用が順調に進まない場合、計画している事業拡大に支障をきたす恐れがあります。
(4)為替変動リスクについて
当社グループの平成29年12月期における総売上高に対する海外売上高の割合は46.4%と高くなっております。当社グループは、国内だけではなく北米及び欧州等の製薬企業等を顧客とするグローバルな販売および導出活動を展開しており、これに伴い、米ドルやユーロ等の外貨で売上が計上された場合は、大幅な為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権について
①創薬事業における知財リスク
当社グループが創製した医薬品候補化合物について、第三者によって既に特許出願されている等の理由により当社グループの想定どおりに特許が取得できない場合、又は第三者より特許侵害があるとして訴訟を提起された場合は、当社グループの事業方針及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②創薬支援事業における知財リスク
当社グループの保有する多くの技術的ノウハウが、技術革新等により陳腐化した場合、また、第三者によって技術的ノウハウが先行的に特許出願され、権利化された場合は、当社グループが保有する技術の優位性が損なわれ、創薬支援事業の業績に影響が生じる可能性があります。
③特許に関わる訴訟リスク
創薬支援事業に関し、当社グループが販売したキナーゼタンパク質(*)、アッセイ(*)用キット等の製品、もしくは、当社グループが提供したプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービス及びセルベースアッセイ(*)サービス等の中に、第三者が特許を保有するキナーゼ(*)や技術等があった場合、特許侵害訴訟を提起され、当該製品の販売差止や当該サービスの提供禁止のほか、多額の賠償金の支払いを求められる可能性があります。
(6)業界(バイオテクノロジー)
技術革新リスクについて
急激な技術革新等により、新技術への対応に遅れが生じた場合は、当社グループが保有する技術・ノウハウが陳腐化する可能性があります。また、必要な技術進歩を常に追求するためには、多額の研究開発費用と時間を要すること等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(7)法的規制について
遺伝子組換え生物等規制法について
平成16年2月に「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(遺伝子組換え生物等規制法)が施行されています。当社グループのキナーゼタンパク質(*)は遺伝子組み換え(リコンビナント)タンパク質(*)であり、当社グループの施設の一部は当該法律が適用されています。今後、法改正等により規制が強化された場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)損失計上の見通しと資金の確保について
医薬品候補化合物の創製には、前臨床・臨床試験を含め多額の研究開発資金を、中長期的に先行投資する必要があります。そのため、当面、損失の計上が継続する可能性があり、資金の確保が課題であります。
資金調達についてその最適な方法やタイミング等を適宜検討してまいりますが、必要な資金調達を円滑に実施できない場合には、当社グループの事業が計画通りに進捗しない、あるいは事業継続が困難となる可能性があります。
(9)その他のリスク
①特定の仕入先への依存について
当社のキナーゼ(*)製品・サービスの提供ならびに研究開発に用いる試薬、器具等において、当社グループが継続的に取引をしている主要な仕入先である八洲薬品株式会社および和研薬株式会社への依存度が高い状態が続いております。また、当社は協力会社であるACD社、SARomics社、NTRC社等の代理店として特定地域でこれら企業からの仕入商品として各種サービス等を提供しております。これらの企業とは、取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針でありますが、自然災害や不測の事態、又は当該企業の経営方針が変更となった場合等により、安定的な商品供給が受けられなくなり、かつ、速やかに代替先を確保することができなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②資金調達について
当社グループは、創薬研究(*)を積極的に推し進めているため、研究開発資金としての資金の確保が課題であります。当社事業におけるキャッシュ・フローの獲得のみならず、公募増資、新株および新株予約権の第三者割当等によって資金調達を行ってまいりました。今後も研究開発投資を中心とする事業基盤強化のための資金調達について、事業計画上での必要性を始め、その最適な方法やタイミング等を適宜検討してまいりますが、必要性があるにもかかわらず円滑に実施できない場合には、当社グループの事業の進捗が計画通りに進まない可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループの役員、従業員等に対して、業績向上に対する意欲や士気を高めるため、そして、当社グループの中長期的な企業価値の向上を図るために、新株予約権を付与しております。また、メリルリンチ日本証券株式会社に対して行使価額修正条項付き第16回及び第17回新株予約権を第三者割当てしており、今後、既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が権利行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。なお、平成29年12月31日現在、発行済みの新株予約権の目的である株式数は1,609,800株であり、同日現在の発行済株式総数9,551,300株の16.85%に相当します。
④事業所の一極集中について
当社グループは、本社機能及び研究開発機能を神戸市のポートアイランドの神戸バイオメディカルセンター(BMA)内に構えております。BMAは平成7年の阪神淡路大震災の教訓をもとに平成16年に建設された十分な耐震性、防火体制、自家発電機能を備えたビルディングで、24時間の警備体制が取られています。当社グループのビジネスの鍵になるキナーゼ(*)遺伝子すべてについては、それらが失われることがないよう、BMA内の異なる部屋で二重に保管されているとともに、一部の重要な生物資源については別地方の保管サービスを利用し、バックアップ体制を整えております。ビジネスに必要な機器及び装置等については、損害保険がかけられております。また、緊急時に被害を最小限にすべく対応できるように緊急時の社内連絡体制を整えています。しかしながら、大規模な地震、台風や風水害その他の自然災害等の発生により、本社機能及び研究開発機能が同時に災害等の甚大な被害を受けた場合は、当社グループの研究開発設備等の損壊あるいは事業活動の停滞によって、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社グループの設備に関わる長時間の停電等による業務遅滞及び製品への影響について
当社グループが創薬支援事業の営業・物流拠点及び研究開発機能を有する神戸市において、長時間の停電等によりキナーゼタンパク質(*)の製造及び保管ならびに化合物(*)の評価設備の稼動等を中断する事象が発生した場合は、キナーゼタンパク質の製造等の遅れにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、長時間の停電によりキナーゼタンパク質を保管している冷凍庫が停止し、これに伴うキナーゼタンパク質の失活等により製品として出荷できず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。さらに長時間の停電は、化合物の評価設備(測定機器、分注機器等)の稼動を止めることから、顧客への製品の納入、サービスの提供の遅延を招く恐れがあり、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
⑥当社グループの技術の情報漏洩について
当社グループが保有するキナーゼタンパク質(*)の製造技術やアッセイ(*)開発に関する技術等は、何らかの理由により人材の流出が起こった場合、技術情報等が流出する可能性があり、製品開発や製造に影響を及ぼす可能性があります。また、人材の流出により社外へノウハウが流出した場合は、当社グループの製品等の模倣製品が出現する可能性も考えられます。これらのことにより、万一当社グループの技術的な優位性が維持できなくなった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦営業機密の漏洩について
当社グループが行う創薬支援事業におけるプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスは、顧客である製薬企業等から化合物(*)の情報を預かる立場にあります。従って、当社グループは、当社グループのすべての従業員との間において顧客情報を含む機密情報に係る秘密保持契約を締結しており、さらに退職後も個別に同契約を締結して、顧客情報を含む機密情報の漏洩の未然防止に努めております。しかしながら、万一顧客の情報が外部に漏洩した場合は、当社グループの信用低下を招き、当社グループの経営に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧創薬研究と創薬支援事業を同時に行うことで制約を受ける可能性について
当社グループのプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの提供を望む顧客(製薬企業等)が当該サービスに係る契約を締結する際、当社グループが自ら創薬研究(*)を行っていることが、顧客にとって顧客情報の秘匿性確保についての懸念材料となる可能性があり、その場合、契約条件に制約事項が増え、その結果、当該サービスの採算性の悪化、又は事業別に分社せざるを得ない等の影響を受ける可能性が考えられます。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
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契約書名 |
LICENSE AGREEMENT |
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相手先の名称 |
Sierra Oncology, Inc. |
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相手先の所在地 |
カナダ国ブリティッシュコロンビア州 |
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契約締結日 |
平成28年5月26日 |
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主な契約の内容 |
①当社は、Sierra Oncology, Inc.に対し、当社のキナーゼ阻害薬プログラムから創出された化合物の開発・商業化に係る全世界における独占的な権利を供与する。 ②当社は、上記権利の供与の対価として、90万ドルの導出時一時金、開発の進展等に伴うマイルストーンを含む総額270百万ドルを受け取る。 ③本契約に基づき上市された医薬品の年間の純売上高に応じて段階的に変動する純売上高の一桁の割合を、ロイヤリティとして受け取る。 |
当社グループは、キナーゼタンパク質(*)を標的とした低分子の分子標的薬(*)であるキナーゼ阻害薬(*)の創製研究(*)および開発(*)を行いつつ、このキナーゼ阻害薬を創製するための基盤となる技術「創薬基盤技術」をさらに強化するための研究開発を行っております。さらに長年培ってきたこの創薬基盤技術を駆使し、他の製薬企業やアカデミア等に対し顧客ニーズの高いキナーゼ関連製品・サービスを提供するための研究開発活動を続けております。
当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は670,861千円であり、項目別には以下のとおりであります。
<当社グループの研究開発体制について>
当社グループの研究開発活動は、研究開発本部ならびに創薬支援事業本部(製造部、受託試験部)が中心となって行っております。平成29年12月末現在、研究開発本部には29名、創薬支援事業本部(除く営業部門)には12名が在籍しており、そのうち7名が博士号を取得しております。また、ドラッグデザイン、有機合成、薬理、基質(*)探索、遺伝子クローニング(*)、細胞培養、タンパク質精製、アッセイ(*)開発等の専門家を有し、先端技術の蓄積を行っております。当社は、今後自社で臨床試験を実施する体制を構築中であり、研究開発に積極的に投資を行い、複数の臨床試験段階のパイプラインを有する創薬ベンチャーとなることで、当社の企業価値を高めてまいります。
<創薬研究について>
当社の創薬研究(*)は、当社グループの強力なキナーゼ(*)に関する創薬基盤技術及び子会社の株式会社ProbeXが有するスプリットルシフェラーゼ技術を最大限に活用し、がん及び免疫炎症疾患を重点領域として、効率的な創薬研究を行っております。がん領域においては、自社研究に加えて国立研究開発法人国立がん研究センター、広島大学、岐阜薬科大学及び慶應義塾大学と共同研究を行っております。また、重点領域以外の疾患についても、自社独自研究や北里大学等と共同研究を行うことで、パイプラインの拡充を図っております。
<外部との連携について>
創薬には、アッセイ(*)開発、有機合成、薬理研究、薬物動態試験、毒性試験等に関する様々な技術が必要です。優れた技術を保有する企業を積極的に活用することで、創薬の効率化を図っています。また、新規創薬ターゲットの同定、新規創薬技術の開発などの基礎的な研究については、国立がん研究センターや大阪府立大学、神戸大学、愛媛大学、慶應義塾大学などのアカデミアとの共同研究も活用しながら推進しております。
<開発研究について>
医薬品の研究開発プロセスにおいて、前臨床試験以降を開発段階といいます。当社の創薬プログラムにおいて、平成29年12月末現在でTNIK阻害薬ならびに2つのBTK阻害薬(リウマチ及び血液がん)の3化合物が前臨床研究段階にあります。前臨床試験では、化合物の薬効評価のほか、医薬品としての安全性及び薬物動態の評価を行います。また、塩・結晶多形検討、医薬品原体の製造のためのプロセス検討を行い、医薬品原体が安定して製造できることを検証します。このような評価・検討は、当社と外部委託先との連携を図りながら進めており、開発品目の早期の臨床試験開始を目指しております。なお、当社の開発研究は、臨床試験の前期第2相(フェーズⅡa)までの開発投資が比較的少額の段階までを対象としており、それ以降の開発は医薬品候補化合物の導出先である製薬企業等において実施することを想定しています。
<導出後の開発について>
当社は、平成29年12月末現在で、がんを適応疾患としたCDC7キナーゼ阻害薬AS-141をSierra Oncology社に導出しております。導出後の本プログラムの開発(Sierra Oncology社の開発コード:SRA141)は同社において実施されます。当社は同社による本プログラムの開発(*)等の進展に伴い、導出契約時に合意したマイルストーン達成時に一時金を獲得できる契約となっております。
<当社グループの特許に係る方針について>
創薬事業において、特許による権利確保は製薬企業等との導出交渉時の重要な要素となるため、特許出願時期に加えて、国際出願(指定国及び国内移行)も考慮しながら、知的財産権を確保していく方針です。
他方、創薬支援事業においては、当社グループの高品質かつ網羅的なキナーゼタンパク質(*)の製造方法やキナーゼ活性の測定方法(アッセイ(*)条件)などは、他社が容易に模倣しがたい技術的ノウハウであることから特許出願等はせず、社内に技術力を着実に蓄積することで、効率的な製品の生産と製品レベルの向上などを図っていく方針です。
<キナーゼ阻害薬を創製するための基盤となる技術「創薬基盤技術」について>
ノバルティスファーマ社のグリベック®を始めとするキナーゼ阻害剤(*)の成功例により、製薬企業はキナーゼ阻害薬の研究開発を活発に進めており、近年ではそれらの成果として、がん疾患のみならず、ファイザー社のゼルヤンツ®のように、自己免疫疾患領域においてもキナーゼ阻害剤が承認され上市(*)されております。これらキナーゼ阻害薬の研究活動においては、高品質かつ網羅的に製品・サービスを揃える当社グループの創薬支援事業が提供する製品及びサービスへのニーズが依然高いものと考えております。当社グループのキナーゼ阻害薬を創製するための技術(創薬基盤技術)を基盤として、競合他社とのさらなる差別化を図るべく、積極的な研究開発活動により、顧客要望に応じた製品・サービスの品揃えを拡充してまいります。
当連結会計年度末において、提供可能なキナーゼタンパク質(*)の種類は367種類、また製品数は446種類となり、当社グループは世界でトップクラスの品揃えを有し、キナーゼタンパク質を製造販売しております。また、プロファイリング(*)可能なキナーゼ(*)の種類は336製品あり、阻害すべきキナーゼと阻害すべきでないキナーゼに対する効果を網羅的検証可能な信頼性の高いキナーゼアッセイをサービスとして提供しております。また、表面プラズモン共鳴 (SPR)(*)やバイオレイヤー干渉法 (BLI)(*)といった物質間の相互作用を評価する系(解析機器)で利用可能なビオチン化キナーゼタンパク質(*)の製品数は82種類となりました。さらに、次世代の創薬ターゲットとして期待される脂質キナーゼ(*)の品揃え拡充に取り組んでおり、すでにDGKやPIPK等の製品・サービスの開発に成功し、提供を開始しています。今後も新製品、新規サービスの拡充に取り組んでまいります。また、細胞を用いて化合物を評価するセルベースアッセイ(*)では、ACD社、CAI社及びNTRC社等の協力会社のサービスを広く提供すること等を通して、より高度化する顧客ニーズに対応したサービス内容となるよう取り組んでまいります。
今後もキナーゼ阻害薬(*)の創薬研究(*)に有用な最新の技術開発を行い、自社研究及び他機関との共同研究を通じて、顧客ニーズに応じた創薬基盤技術の強化を図ってまいります。
<スプリットルシフェラーゼ技術を応用した安定発現細胞株の開発について>
完全子会社である株式会社ProbeXは、細胞内のタンパク質間相互作用(*)を可視化できる相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術(*)を有しており、本技術を用いてGPCR(*)の応答性及びタンパク質間相互作用(*)を測定することが可能な細胞株として、当連結会計年度末において26製品が提供可能です。ProbeXの技術と当社が有する創薬基盤技術を融合し、顧客訴求力の高い製品の開発を進めてまいります。またProbeXの技術を当社の創薬研究(*)に活用する取り組みを進めております。
当連結会計年度における研究開発活動をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
1.創薬事業
当社グループは、がん、免疫炎症疾患を重点領域としてキナーゼ阻害薬(*)を中心に創薬研究開発を行なっています。平成29年12月末現在で、がん領域においては3つの創薬プログラム及び1つの導出済みプログラムがあり、免疫炎症疾患領域では2つの創薬プログラムの研究開発を実施しております。また、重点領域以外にもキナーゼ(*)を標的とした創薬プログラム等の研究を実施しております。
国立研究開発法人国立がん研究センターとの共同研究テーマであるTNIK阻害薬プログラムについては、日本医療研究開発機構(AMED)の支援のもと前臨床試験を継続しております。また、本プログラムのバックアップ化合物についても、前臨床段階へのステージアップを目指し、同研究センターと共同で研究を進めております。CDC7キナーゼ阻害剤AS-141(Sierra Oncology社の開発コード:SRA141)については、導出先である同社が前臨床試験を実施しておりますが、早期の臨床試験開始に向けて、当社も協力していく予定です。また、広島大学との白血病幹細胞を標的とした創薬研究(*)も順調に進んでおり、さらなるリード化合物の最適化(*)を行っております。また、イブルチニブ耐性の血液がんを治療標的として次世代BTK阻害薬の研究を進めてきた結果、CB-1763を臨床開発候補化合物として選択し、前臨床試験段階へステージアップいたしました。
リウマチなどの免疫炎症疾患を標的としたもう一つのBTK阻害剤(AS-871)についても、現在GLP基準での前臨床試験に向けたプロセス検討及びキログラム単位の大量合成を実施しており、早期の臨床試験開始を目指して、外部機関と連携しながら前臨床試験を進めていく予定です。
また、神経変性疾患を標的とした創薬プログラム並びに北里大学北里生命科学研究所との新規マラリア治療薬テーマについては、リード化合物の最適化(*)を実施しており、いずれも早期のステージアップを目指してさらなる最適化研究を継続してまいります。
また、将来のパイプラインを継続的に生み出せるよう次世代の研究テーマの準備を進め、有望な研究テーマが同定された場合は、限られたリソースで効率的に研究開発が行なえるよう、テーマの選択と集中も随時行なっていく予定です。当事業に係る研究開発費は、646,035千円であります。
2.創薬支援事業
創薬支援事業の研究開発では、キナーゼタンパク質(*)およびプロファイリング(*)・スクリーニング(*)サービスの品質および作業効率の向上が主要なテーマとなっております。当社製キナーゼタンパク質は顧客から高品質との評価を得ており、今後さらなる信頼を獲得し売上拡大を図るため、一層の品質の向上に取り組むとともに、収益力の強化を目指して作業工程の見直し等の研究開発を行っております。当事業に係る研究開発費は、24,826千円であります。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
(2)当社グループの損益構造について
当社グループは、キナーゼ阻害薬(*)を創製するための研究開発ならびにその基盤となる技術である「創薬基盤技術」を強化するための先行投資として、積極的な研究開発を行っております。
この研究開発に係る費用は、創薬支援事業が生み出すキャッシュ・フロー及び創薬事業における導出契約に基づく一時金収入等により充当しております。
創薬支援事業の業績は安定的に推移しているものの、創薬事業からの収益は、導出契約の成否、導出先製薬企業における開発(*)の進捗、導出活動の進捗及び当社の研究開発の進捗等により影響を受け安定的でないことから、当社グループの短期的な損益については不安定となる傾向があります。
当社グループは、中長期的な経営方針に基づき、さらなる成長軌道に乗せ、事業価値の向上を図るために、創薬支援事業からの収益力を高めるとともに、創薬事業において複数の創薬パイプラインの導出実現を目指し、積極的な導出活動及び研究開発を進めてまいります。
第12期、第13期、第14期及び第15期のセグメントごとの売上、研究開発費及び営業損益は、以下の通りです。
(単位:千円)
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回次 |
第12期(連結) |
第13期(連結) |
第14期(連結) |
第15期(連結) |
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決算年月 |
平成26年12月期 |
平成27年12月期 |
平成28年12月期 |
平成29年12月期 |
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売上高 |
611,760 |
1,569,205 |
811,598 |
657,516 |
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創薬支援事業 |
611,760 |
954,355 |
712,670 |
657,516 |
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創薬事業 |
― |
614,850 |
98,928 |
― |
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研究開発費 |
561,433 |
417,249 |
513,430 |
670,861 |
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創薬支援事業 |
29,690 |
13,936 |
2,703 |
24,826 |
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創薬事業 |
531,743 |
403,312 |
510,727 |
646,035 |
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営業利益(△損失) |
△634,949 |
472,781 |
△423,977 |
△699,060 |
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創薬支援事業 |
50,290 |
412,610 |
192,059 |
142,804 |
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創薬事業 |
△685,240 |
60,171 |
△616,036 |
△841,864 |
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は、2,190,386千円となり、前連結会計年度末に比べて375,909千円減少となりました。その内訳は、現金及び預金の減少304,967千円、売掛金の減少30,640千円、有形固定資産の減少14,754千円等であります。
負債は812,477千円となり、前連結会計年度末と比べて14,496千円減少となりました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の増加11,737千円、未払金の増加47,819千円、社債の減少28,000千円、長期借入金の減少57,337千円等であります。
純資産は1,377,908千円となり、前連結会計年度末と比べて361,413千円減少となりました。その内訳は、新株予約権の行使に伴う株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加367,414千円、親会社株主に帰属する当期純損失737,264千円の計上による利益剰余金の減少等によるものであります。
また、自己資本比率は62.2%(前連結会計年度67.6%)となりました。
(4)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比154,081千円減(19.0%減)の657,516千円となりました。これは主に、前連結会計年度は創薬事業において導出契約時の一時金収入を計上していたこと、また創薬支援事業において、主要顧客である小野薬品工業株式会社向けの売上が減少したことによるものであります。事業別の売上高は、創薬支援事業が657,516千円(前期比7.7%減)、創薬事業は計上なし(前連結会計年度は98,928千円)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比122,158千円減(21.9%減)の435,013千円となりました。これは、創薬事業及び創薬支援事業の売上高が上記理由により減少したこと等によるものであります。
(営業損失)
当連結会計年度の営業損失は、699,060千円(前連結会計年度は423,977千円)となりました。これは、売上総利益が減少したこと、および積極的な研究開発活動の結果、研究開発費が前連結会計年度と比較して157,431千円増加(30.7%増)したこと等によるものであります。
(経常損失)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比較して3,798千円減少(36.6%減)し、6,587千円となりました。これは主に、補助金収入の減少によるものであります。
当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度と比較して8,042千円減少(29.7%減)し、19,023千円となりました。これは主に、為替差損の減少によるものであります。
その結果、当連結会計年度の経常損失は、711,496千円(前連結会計年度は440,657千円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
当連結会計年度は特別利益の計上はありませんでした(前連結会計年度は投資有価証券売却益177,543千円を計上)。
当連結会計年度の特別損失は、21,884千円となりました(前連結会計年度は25,811千円)。これは、創薬事業の固定資産について、減損損失を計上したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、737,264千円(前連結会計年度は289,940千円)となりました。
(注) *を付している専門用語については、「第4 提出会社の状況 6 コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に用語解説を設け、説明しております。