第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

なお、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のさらなる拡大は、当社の創薬支援事業の売上および外部に委託している前臨床試験および臨床試験等の実施に影響を与える可能性があります。

 

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 業績の状況

当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。

当第1四半期連結会計期間におきましては、当社の2つのBTK阻害剤ポートフォリオのうち、炎症性免疫疾患を対象として開発を進めているBTK阻害剤AS-0871について、2月にオランダ当局および倫理委員会からCTA(Clinical Trial Application, 臨床試験許認可申請)の承認を受け、臨床試験の開始が可能となりました。当該試験に必要な全ての準備が完了したことから、健康成人を対象とした臨床試験(フェーズ1試験)を当第1四半期連結会計期間に開始する予定でしたが、欧州における新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、治験開始が延期となりました。今後、感染拡大の収束状況を注視しながら、2020年上期中に治験が開始できるよう計画・準備を進めてまいります。

イブルチニブ耐性の血液がんを治療標的とした次世代BTK阻害剤AS-1763については、米国での抗がん剤の臨床試験実施において患者様のリクルートに関する競争が激しくなっている状況を踏まえ、開発戦略を変更いたしました。具体的には、AS-0871のCTAにより欧州での自社臨床試験の基盤がすでに整っていることから、米国での治験から欧州での治験に計画変更して自社フェーズ1開始を加速させるとともに、より多くの患者様をリクルートしやすい中国に注目し、中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利を中国バイオノバ・ファーマシューティカルズ(以下「バイオノバ社」という)に供与する契約を2020年3月に締結いたしました。今後、中国においてバイオノバ社が臨床試験を実施することになり、当社はバイオノバ社が実施したAS-1763に関するより多くの臨床試験データを収集・利用することで、AS-1763の治験を加速できるとともに、その価値をより早期に最大化できると考えております。これに伴い、米国でのIND申請(Investigational New Drug application, 新薬臨床試験開始届)の計画を変更し、欧州でCTAを行うことにいたしました。AS-1763は現在当社が前臨床試験を実施しており、2020年中にCTA申請を行う計画です。また、中華圏における今後のAS-1763の開発進捗に伴い、バイオノバ社から最大で約205 百万ドル(約215 億円)を受け取ることになります。さらに当社は、AS-1763 の中華圏における上市後の売上高に応じた最大2桁の料率の段階的ロイヤリティを受け取ります。

当社が開発し、シエラ・オンコロジー社(以下、シエラ社)に導出した、がんを標的とするCDC7阻害剤AS-141 (シエラ社の開発コード:SRA141)につきましては、導出先のシエラ社が、開発を引き続き前進させるため様々な選択肢を戦略的に検討中と発表しており、当社はSRA141の治験が早期に開始されることを期待しております。

創薬支援事業においては、当第1四半期連結累計期間の売上高は282,018千円(前年同期比65.9%増)となりました。2019年6月に創薬事業において締結した米国のギリアド・サイエンシズ社との新規がん免疫療法の創薬プログラムに関するライセンス契約に関連し、同社による当該プログラムの開発をサポートするため、当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を一定期間、独占的に同社に供与することとなり、当第1四半期連結累計期間の売上には、これに関連した売上も含まれています。当第1四半期連結累計期間における新型コロナウィルス感染症の影響は、国内および欧米では大きくありませんでしたが、中国では1月、2月を中心に受注が減少いたしました。一方、中国ではすでに企業活動が再開しており、3月以降の受注は回復傾向にあります。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は335,043千円(前年同四半期比97.1%増)、営業損失は165,076千円(前年同四半期は233,119千円の営業損失)、経常損失は168,619千円(前年同四半期は235,883千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は184,399千円(前年同四半期は236,814千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

セグメント別の業績は次の通りです。

①創薬事業

当第1四半期連結累計期間において、バイオノバ社とAS-1763の中華圏におけるライセンス契約をしたことにより、契約一時金を受領いたしました。また、前臨床試験等に積極的に投資したことにより、研究開発費は296,879千円(前年同期比41.8%増)となりました。以上の結果、創薬事業の売上高は53,025千円(前年同四半期は売上高の計上なし)、営業損失は297,363千円(前年同四半期は263,614千円の損失)となりました。

②創薬支援事業

  キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービス及びセルベースアッセイサービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は282,018千円(前年同四半期比65.9%増)、営業利益は132,287千円(前年同四半期比333.8%増)となりました。売上高の内訳は、国内売上が70,795千円(前年同四半期比0.6%減)、北米地域は183,012千円(前年同四半期比174.3%増)、欧州地域は14,280千円(前年同四半期比11.1%減)、その他地域は13,929千円(前年同四半期比12.6%減)であります。

 

(2) 財政状態の分析

当第1四半期連結会計期間末における総資産は5,644,519千円となり、前連結会計年度末と比べて267,909千円増加しました。その内訳は、現金及び預金の増加313,987千円等であります。
  負債は1,073,860千円となり、前連結会計年度末と比べて449,227千円減少しました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の減少18,047千円、未払金の減少96,814千円、未払法人税等の減少114,008千円、長期借入金の減少49,696千円等であります。
  純資産は4,570,659千円となり、前連結会計年度末と比べて717,136千円増加しました。その内訳は、新株予約権の行使に伴う株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加907,721千円、親会社株主に帰属する四半期純損失184,399千円の計上等であります。
  また、自己資本比率は80.9%(前連結会計年度末は71.5%)となりました。

 

(3) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は328,865千円であります。

また、当第1四半期連結累計期間におけるセグメント別の研究開発費は以下のとおりであります。

創薬事業

296,879

千円

創薬支援事業

31,985

千円

 

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、当社が新たに締結した重要な契約は、次のとおりであります。

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT

相手先の名称

BioNova Pharmaceuticals Limited

相手先の所在地

中国上海市

契約締結日

2020年3月16日

主な契約の内容

①当社は、BioNova Pharmaceuticals Limitedに対し、当社のキナーゼ阻害薬プログラムから創出された化合物の開発・商業化に係る中華圏における独占的な権利を供与する。

当社は、本契約に基づき、契約一時金および今後の開発状況や上市などの進捗に応じたマイルストーン(最大で約205百万ドル)を受け取る。

③当社は、本契約に基づき上市された医薬品の売上高に応じたロイヤリティを受け取る。