第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

なお、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大が世界的に継続した場合、当社の創薬支援事業の売上および外部に委託している臨床試験等の実施に影響を与える可能性があります。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。

(1) 業績の状況

当社は、創薬事業においては、アンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては、新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため、営業活動に取り組んでおります。

当社の2つのBTK阻害剤ポートフォリオのうち、免疫・炎症疾患を対象として開発を進めているBTK阻害剤AS-0871につきましては、健常人を対象としたフェーズ1試験の単回投与用量漸増試験(SAD)の投与が2020年中に完了し、全ての用量で安全性および忍容性を確認し、薬物動態も良好でした。また、AS-0871が炎症・免疫をどの程度抑えることができるのかという予備検討を実施するため、AS-0871投与後の被験者の血液を用いて、抗体の産生に関わるB細胞及び炎症反応に関わる好塩基球の活性化を検討した結果、AS-0871の用量依存的にB細胞及び好塩基球の活性化が抑制され、100mg以上の用量で薬効を得るのに十分な抑制効果が示されました。これらの結果から、AS-0871は、経口投与においてB細胞及び好塩基球の作用を抑制し、炎症性免疫疾患の治療薬として効果が期待できることを示唆しています。2021年下期から、反復投与用量漸増(MAD)試験のうち、新たに開発したカプセル製剤を用いたバイオアベイラビリティ(BA)パートを開始予定であり、その結果に基づきMADパートを開始する予定です。AS-0871の製剤についてはタブレット製剤も開発中であり、今後、タブレット製剤もヒトBAパートを実施し、上記カプセル製剤と比較する予定です。

イブルチニブを代表とする第1世代の共有結合型BTK阻害薬耐性の血液がんを治療標的とした次世代BTK阻害剤AS-1763については、2021年4月末より健常人を対象としたフェーズ1試験のSADパートにおける投与を開始しました。7月中に用量漸増パートの全ての投与が完了し、安全性、忍容性および良好な薬物動態プロファイルを確認しています。2021年中に新製剤を用いたBAパートを開始し、当該結果を基に、米国にて慢性リンパ性白血病およびB細胞リンパ腫の患者を対象としたフェーズ1b試験を実施する予定にしており、当該試験の実施に必要なIND(新薬臨床試験開始届)提出に向けて、Pre-IND(FDA、Food and Drug Administrationとの事前相談)の準備を開始しました。AS-1763は、中華圏(中華人民共和国および台湾)における開発・商業化の権利を中国バイオノバ・ファーマシューティカルズ(以下「バイオノバ社」)に供与する契約を締結しています。バイオノバ社が今後中国で実施する臨床試験データを収集・利用することで、AS-1763の治験を加速できると考えております。

CDC7阻害剤AS-0141につきましては、2021年上期に、日本国内において切除不能進行・再発又は遠隔転移を伴う固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を開始しました。フェーズ1試験は、用量漸増パート及び用量拡大パートの2段階に分かれており、用量漸増パートでは、薬剤の投与量を増やしながら安全性と忍容性を評価し、また薬物動態や薬力学についても調べます。本パートで決定した最大耐用量と推奨用量に基づき、拡大パートでは、より多くの患者で本剤の推奨用量での安全性及び有効性を評価いたします。これまでの症例で用量制限毒性は認められておらず、コホート3(用量レベル3)に移行しています。

創薬支援事業においては、当第3四半期連結累計期間の売上高は636,512千円(前年同期比19.9%減)となりました。2019年6月に創薬事業において締結した米国のギリアド・サイエンシズ社との新規がん免疫療法の創薬プログラムに関するライセンス契約に関連し、同社による当該プログラムの開発をサポートするため、当社の脂質キナーゼ阻害剤に関する創薬基盤技術を一定期間、独占的に同社に供与することとなり、当第3四半期連結累計期間の売上には、これに関連した売上も含まれています。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は636,512千円(前年同四半期比24.9%減)、営業損失は1,169,016千円(前年同四半期は615,684千円の営業損失)、経常損失は1,171,814千円(前年同四半期は625,604千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,178,075千円(前年同四半期は649,138千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

  セグメント別の業績は次の通りです。

①創薬事業

当第3四半期連結累計期間において、創薬事業における売上高の計上はなく(前年同四半期の売上高は53,025千円)、臨床試験費用を中心に研究開発へ積極的に投資したことにより、営業損失は1,368,300千円(前年同四半期は963,376千円の損失)となりました。

②創薬支援事業

キナーゼタンパク質の販売、アッセイ開発、プロファイリング・スクリーニングサービス及びセルベースアッセイサービスの提供等により、創薬支援事業の売上高は636,512千円(前年同四半期比19.9%減)、営業利益は199,283千円(前年同四半期比42.7%減)となりました。売上高の内訳は、国内売上が139,963千円(前年同四半期比26.8%減)、北米地域は387,600千円(前年同四半期比22.4%減)、欧州地域は62,054千円(前年同四半期比13.6%増)、その他地域は46,894千円(前年同四半期比5.2%減)であります。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末における総資産は4,211,341千円となり、前連結会計年度末と比べて624,015千円減少しました。その内訳は、現金及び預金の減少508,537千円等であります。
  負債は731,616千円となり、前連結会計年度末と比べて279,729千円減少しました。その内訳は、1年内返済予定の長期借入金の減少21,857千円、未払金の減少200,568千円、社債の減少28,000千円、長期借入金の減少105,033千円等であります。
  純資産は3,479,725千円となり、前連結会計年度末と比べて344,285千円減少しました。その内訳は、株式の発行による資本金及び資本剰余金の増加810,573千円、親会社株主に帰属する四半期純損失1,178,075千円の計上等であります。
  また、自己資本比率は82.4%(前連結会計年度末は79.0%)となりました。

 

(3) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は1,310,305千円であります。

また、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の研究開発費は以下のとおりであります。

創薬事業

1,216,557

千円

創薬支援事業

93,748

千円

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。