【注記事項】

(継続企業の前提に関する事項)

当社は、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:慢性リンパ性白血病(CLL)などの血液がん)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)のフェーズ1臨床試験を実施しており、臨床試験関連費用を中心に多額の先行投資を必要としております。翌事業年度以降に必要となる臨床試験実施のための費用と今後の資金計画を検討した結果、翌事業年度以降に先行投資として実施する研究開発に必要な資金が当事業年度末時点の手許資金では十分でない可能性があることから、当事業年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。

当社は、当該状況を解消するため、以下の課題に取り組んでおります。

 

(1)  開発段階のパイプラインの臨床試験の推進並びにライセンス契約締結による導出一時金及びマイルストーン収入の獲得

当社は、開発段階の創薬パイプラインとして、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:CLLなどの血液がん)、BTK阻害剤 sofnobrutinib (AS-0871、対象疾患:免疫・炎症疾患)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・AMLなどの血液がん)を保有しております。

BTK阻害剤 docirbrutinib については、CLLを含む成熟B細胞腫瘍(血液がんの一種)の治療を目的として開発しており、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科教授 Nitin Jain医師を治験主導医師として、米国においてフェーズ1b試験を実施中です。また、CDC7阻害剤 monzosertib については、固形がん・AMLなどの血液がんを対象とするフェーズ1試験を日本で実施しております。当社の事業価値を高めるために、これらの臨床試験を着実に進めていくことが最も重要であると認識しております。なかでも、docirbrutinibは、現在までの非臨床試験の結果及び臨床試験の初期結果において、ブロックバスター(年間売上1,000億円以上の医薬品)となるポテンシャルを十分に有していると考えており、着実に臨床試験を進めることによりパイプラインの価値を高め、大型のライセンス契約に繋げてまいりたいと考えております。docirbrutinibおよびmonzosertibについては、最大フェーズ2試験まで実施して有効性を確認したのちに導出する方針ですが、臨床試験を継続しながらライセンス活動などのパートナリング活動も積極的に行ってまいります。

また、BTK阻害剤 sofnobrutinib(AS-0871、免疫・炎症疾患対象)については、フェーズ1試験を完了し、導出先あるいは共同開発によるフェーズ2試験の実施を目指して、パートナリング活動を推進しております。

当社は、これらのパイプラインについて新たなライセンス契約の締結に注力しており、導出一時金の獲得に努めてまいります。

なお、当社は、米国ギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)に、当社が創出した新規脂質キナーゼDGKα阻害剤のプログラムを導出しており、ギリアド社は現在、本プログラムから見出された開発中のDGKα阻害剤GS-9911について、固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を計画通り進めております。当該導出契約においては、特定の開発段階を達成した場合に、当社の今後の成長と収益の拡大に資するマイルストーン収入を受領することが予め定められております。

 

(2)  創薬支援事業における営業キャッシュ・フローによる資金確保

当社の創薬支援事業は、当社の創薬基盤技術に基づくキナーゼ関連製品およびサービスの高い品質を強みとし、その創薬基盤技術を基にして顧客の要望に的確に応える学術サポートを通じて、世界的なシェアを拡大し、安定的な収益を獲得することを基本方針としています。

地域別には、米国は市場が大きく、バイオベンチャーが次々と誕生していることから、重点的に、新規顧客へのリーチ、獲得に注力しています。製品別では、当社が品ぞろえや品質において圧倒的な競争優位性を有するビオチン化タンパク質や変異体キナーゼタンパク質の開発に注力し、品ぞろえをさらに強化してまいります。また、プロファイリング・サービスにおいては、次世代アッセイ機器によるプロファイリングシステムの開発に成功し、当社は信頼性の高いMobility Shift Assay System を使用したキナーゼのアッセイサービスを提供できる唯一の企業となり、現在当該新サービスの訴求に注力しております。

以上の通り、キナーゼに関する深い専門知識を生かし、品質の高いキナーゼ関連の製品サービスの訴求、きめ細やかな営業サポートを継続するとともに、新規顧客の獲得に注力し、売上の拡大に取り組み、資金確保に努めてまいります。

 

 

(3)  新たな資金調達の実施

当社は、前述の通り、パイプラインの導出による導出一時金の獲得および創薬支援事業による営業キャッシュ・フローによる資金確保に努めてまいります。さらに、先行投資として実施する研究開発は資金の状況を勘案しながら実施してまいります。しかし、docirbrutinibの臨床試験関連費用を中心に、多額の投資を必要としていることから、資金が不足する場合には、必要に応じて資金調達を実施してまいります。調達方法については、金融機関と継続的に協議を行っており、その時点で最適、最善の方法を選択してまいります。

 

以上の通り、当社は上記課題に取り組みますが、現時点において、これらの取り組みによる資金流入は未確定であるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと判断しております。

なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

 

(重要な会計方針)

1 資産の評価基準及び評価方法

 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法

①子会社株式

移動平均法による原価法

②その他有価証券

市場価格のない株式等以外のもの

時価法(評価差額は、全部純資産直入法により処理し、売却原価は移動平均法により算定しております。)

市場価格のない株式等

移動平均法による原価法

 

 (2) 棚卸資産の評価基準及び評価方法

評価基準は原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。

①商品、製品及び仕掛品

個別法

②原材料

先入先出法

③貯蔵品

先入先出法

 

2 固定資産の減価償却の方法

 (1) 有形固定資産(リース資産を除く)

   定率法(ただし、2016年4月1日以降に取得した建物附属設備については、定額法を採用しております。)

 (2) 無形固定資産(リース資産を除く)

   定額法

   自社利用のソフトウエアについては、社内における利用可能期間(3~5年)で償却しております。

 (3) リース資産

   所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産

   リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法を採用しております。

 

3 繰延資産の処理方法

株式交付費

支出時に全額費用として処理しております。

新株予約権発行費

支出時に全額費用として処理しております。

 

 

4 外貨建の資産及び負債の本邦通貨への換算基準

外貨建金銭債権債務は、決算日の直物為替相場により円貨に換算し、換算差額は損益として処理しております。

 

5 引当金の計上基準

貸倒引当金

債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 

6 収益及び費用の計上基準

当社の顧客との契約から生じる収益に関する主な履行義務の内容及び当該履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)は以下のとおりです。なお、当社が認識した収益に係る対価の支払条件については、原則として1年を超える契約はなく、重大な金融要素は含まれていません。

(1) ライセンス契約による収益

当社の創薬研究の成果物である医薬品の特許をはじめとする知的財産権等のライセンスを製薬企業等に導出し、契約一時金収入及びマイルストーン収入等を受領しております。

契約一時金収入は、ライセンスを導出した時点で収益を認識しております。

マイルストーン収入は、マイルストーンの受領に不確実性があり、当該契約で定められた開発状況の進捗等に応じて設定した目標が達成されるまでは不確実性が解消されないことから、原則として目標が達成された時点で収益を認識しております。

ロイヤリティ収入は、契約相手先の売上収益等の発生時点で収益を認識することとしております。なお、現時点においてロイヤリティ収入は発生しておりません。

(2) 製品販売及びサービス提供による収益

当社は、製薬企業やバイオベンチャー、大学等の研究機関で実施される創薬研究を支援するための製品販売及びサービス提供を行っております。

製品販売及びサービス提供による収入は、通常、顧客へ製品等を引渡した時点において、顧客が当該製品等に対する支配を獲得し、当社の履行義務は充足されることから、当該時点で収益を認識しております。

 

7 その他財務諸表作成のための基本となる重要な事項

ヘッジ会計の処理

原則として繰延ヘッジ処理によっております。なお、振当処理の要件を満たしている為替予約については振当処理によっております。

 

 

(重要な会計上の見積り)

固定資産の減損

(1) 当事業年度の財務諸表に計上した金額

 

 

(単位:千円)

 

前事業年度

当事業年度

有形固定資産

104,840

無形固定資産

1,091

減損損失

4,562

92,569

 

(2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報

連結財務諸表「注記事項 (重要な会計上の見積り) 固定資産の減損」に記載した内容と同一であります。

 

 

(貸借対照表関係)

※ 関係会社に対する資産及び負債

 

前事業年度
(2023年12月31日)

当事業年度
(2024年12月31日)

短期金銭債権

397千円

13,875千円

 

 

(損益計算書関係)

※1  関係会社との営業取引及び営業取引以外の取引の取引高の総額

 

前事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当事業年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

営業取引(収入分)

269,250千円

182,676千円

営業取引(支出分)

9,730

10,493

 

 

※2  販売費に属する費用のおおよその割合は前事業年度0.8%、当事業年度0.8%、一般管理費に属する費用のおおよその割合は前事業年度99.2%、当事業年度99.2%であります。

   販売費及び一般管理費の主なもののうち主要な費目及び金額は次のとおりであります。

 

前事業年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

当事業年度

(自  2024年1月1日

至  2024年12月31日)

研究開発費

1,903,859

千円

1,886,906

千円

減価償却費

2,736

 

2,918

 

支払手数料

114,485

 

119,195

 

 

 

(有価証券関係)

前事業年度(2023年12月31日

子会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式の時価を記載しておりません。
  なお、市場価格のない株式等の子会社株式の貸借対照表計上額は以下のとおりであります。

区分

前事業年度
(2023年12月31日)

子会社株式

48,874千円

 

 

当事業年度(2024年12月31日

子会社株式は、市場価格のない株式等のため、子会社株式の時価を記載しておりません。
  なお、市場価格のない株式等の子会社株式の貸借対照表計上額は以下のとおりであります。

区分

当事業年度
(2024年12月31日)

子会社株式

48,874千円

 

 

 

(税効果会計関係)

1  繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳

 

前事業年度
(2023年12月31日)

 

当事業年度
(2024年12月31日)

繰延税金資産

 

 

 

減損損失

11,642千円

 

35,417千円

研究開発費

61,952

 

52,602

繰越欠損金

1,911,773

 

2,555,264

未払事業税

7,459

 

7,536

資産除去債務

11,821

 

12,013

譲渡制限付株式報酬

20,022

 

17,439

その他

22,933

 

12,347

繰延税金資産小計

2,047,606

 

2,692,621

税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額

△1,911,773

 

△2,555,264

将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額

△135,832

 

△137,357

評価性引当額小計

△2,047,606

 

△2,692,621

繰延税金資産合計

 

繰延税金負債

 

 

 

資産除去債務に対する除去費用

1,375千円

 

1,270千円

繰延税金負債合計

1,375

 

1,270

差引:繰延税金負債の純額

1,375

 

1,270

 

 

2  法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳

税引前当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

 

(収益認識関係)

顧客との契約から生じる収益を理解するための基礎となる情報は、連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。

 

(重要な後発事象)

連結財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に同一の内容を記載しているため、注記を省略しております。