当社は、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:慢性リンパ性白血病(CLL)などの血液がん)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)のフェーズ1臨床試験を実施しており、臨床試験関連費用を中心に多額の先行投資を必要としております。当連結会計年度の下半期以降(2025年7月1日以降)に必要となる臨床試験実施のための費用と今後の資金計画を検討した結果、当連結会計年度の下半期以降(2025年7月1日以降)に先行投資として実施する研究開発に必要な資金が当中間連結会計期間の末日時点の手許資金では十分でない可能性があることから、当中間連結会計期間の末日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。
当社は、当該状況を解消するため、以下の課題に取り組んでおります。
(1) 開発段階のパイプラインの臨床試験の推進並びにライセンス契約締結による導出一時金及びマイルストーン収入の獲得
当社は、開発段階の創薬パイプラインとして、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:CLLなどの血液がん)、BTK阻害剤 sofnobrutinib (AS-0871、対象疾患:免疫・炎症疾患)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・AMLなどの血液がん)を保有しております。
BTK阻害剤 docirbrutinib については、CLLを含む成熟B細胞腫瘍(血液がんの一種)の治療を目的として開発しており、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科教授 Nitin Jain医師を治験主導医師として、米国においてフェーズ1b試験を実施中です。また、CDC7阻害剤 monzosertib については、固形がん・AMLなどの血液がんを対象とするフェーズ1試験を日本で実施しております。当社の事業価値を高めるために、これらの臨床試験を着実に進めていくことが最も重要であると認識しております。なかでも、docirbrutinibは、現在までの非臨床試験の結果及び臨床試験の初期結果において、ブロックバスター(年間売上1,000億円以上の医薬品)となるポテンシャルを十分に有していると考えており、着実に臨床試験を進めることによりパイプラインの価値を高め、大型のライセンス契約に繋げてまいりたいと考えております。docirbrutinibおよびmonzosertibについては、最大フェーズ2試験まで実施して有効性を確認したのちに導出する方針ですが、臨床試験を継続しながらライセンス活動などのパートナリング活動も積極的に行ってまいります。
また、BTK阻害剤 sofnobrutinib(AS-0871、免疫・炎症疾患対象)については、フェーズ1試験を完了し、導出先あるいは共同開発によるフェーズ2試験の実施を目指して、パートナリング活動を推進しております。
当社は、これらのパイプラインについて新たなライセンス契約の締結に注力しており、導出一時金の獲得に努めてまいります。
なお、当社は、米国ギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)に、当社が創出した新規脂質キナーゼDGKα阻害剤のプログラムを導出しており、ギリアド社は現在、本プログラムから見出された開発中のDGKα阻害剤GS-9911について、固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を計画通り進めております。当該導出契約においては、特定の開発段階を達成した場合に、当社の今後の成長と収益の拡大に資するマイルストーン収入を受領することが予め定められております。
(2) 創薬支援事業における営業キャッシュ・フローによる資金確保
当社の創薬支援事業は、当社の創薬基盤技術に基づくキナーゼ関連製品およびサービスの高い品質を強みとし、その創薬基盤技術を基にして顧客の要望に的確に応える学術サポートを通じて、世界的なシェアを拡大し、安定的な収益を獲得することを基本方針としています。
地域別には、米国は市場が大きく、バイオベンチャーが次々と誕生していることから、重点的に、新規顧客へのリーチ、獲得に注力しています。製品別では、当社が品ぞろえや品質において圧倒的な競争優位性を有するビオチン化タンパク質や変異体キナーゼタンパク質の開発に注力し、継続的に品ぞろえを強化するとともに、顧客の利便性を高めるため、タンパク質製品に関する提供データの充実を集中的に進めています。また、プロファイリング・サービスにおいては、次世代アッセイ機器によるプロファイリングシステムの開発に成功し、当社は信頼性の高いMobility Shift Assay System を使用したキナーゼのアッセイサービスを提供できる唯一の企業となり、現在当該新サービスの訴求に注力しております。さらに、タンパク質販売、プロファイリング・サービスともに、顧客の多様なニーズに精度高く対応した特注製品の開発や特注試験の受注を積極的に行っております。
以上の通り、キナーゼに関する深い専門知識を生かし、品質の高いキナーゼ関連の製品サービスの訴求、きめ細やかな営業サポートを継続するとともに、新規顧客の獲得に注力し、売上の拡大に取り組み、資金確保に努めてまいります。
(3) 新たな資金調達の実施
当社は、前述の通り、パイプラインの導出による導出一時金の獲得および創薬支援事業による営業キャッシュ・フローによる資金確保に努めてまいります。さらに、先行投資として実施する研究開発は資金の状況を勘案しながら実施してまいります。また、当社は、本年7月11日に、新株予約権付社債発行プログラム設定契約を締結し、下表のスケジュールで新株予約権付社債を発行し、合計で最大675百万円の払込を受ける予定です。
注1 第1回新株予約権付社債については予定通り発行を完了し、払込を受けております。
注2 本プログラムによる新株予約権付社債の発行により生じる潜在株式数の上限を4,700,000株とし、当該上限を上回らないように払込金額の減少または本新株予約権付社債の発行を行わないことを定めております。
しかし、docirbrutinibの臨床試験関連費用を中心に、多額の投資を必要としていることから、資金が不足する場合には、必要に応じて資金調達を実施してまいります。調達方法については、金融機関と継続的に協議を行っており、その時点で最適、最善の方法を選択してまいります。
以上の通り、当社は上記課題に取り組みますが、現時点において、これらの取り組みによる資金流入は未確定であるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと判断しております。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表に反映しておりません。
(「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用)
「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を当中間連結会計期間の期首から適用しております。法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)に関する改正については、2022年改正会計基準第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱い及び「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2022年10月28日。以下「2022年改正適用指針」という。)第65-2項(2)ただし書きに定める経過的な取扱いに従っております。これによる中間連結財務諸表に与える影響はありません。
また、連結会社間における子会社株式等の売却に伴い生じた売却損益を税務上繰り延べる場合の連結財務諸表における取扱いの見直しに関連する改正については、2022年改正適用指針を当中間連結会計期間の期首から適用しております。当該会計方針の変更は、遡及適用され、前中間連結会計期間及び前連結会計年度については遡及適用後の中間連結財務諸表及び連結財務諸表となっております。これによる前中間連結会計期間の中間連結財務諸表及び前連結会計年度の連結財務諸表に与える影響はありません。
(中間連結貸借対照表関係)
※ 資産の金額から直接控除している貸倒引当金の額
※ 販売費及び一般管理費のうち主要な費目及び金額は、次のとおりであります。
なお、研究開発費はすべて一般管理費に計上しており、上記の金額は研究開発費の総額であります。
※ 現金及び現金同等物の中間期末残高と中間連結貸借対照表に掲記されている科目の金額との関係は、次のとおりであります。
前中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
株主資本の著しい変動
当中間連結会計期間において、第三者割当増資により、資本金が181,035千円、資本剰余金が181,035千円、当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬として新株式の発行を行ったことにより、資本金が1,090千円、資本剰余金が1,090千円それぞれ増加しました。
この結果、当中間連結会計期間末において、資本金が2,258,599千円、資本剰余金が6,009,808千円となっております。
当中間連結会計期間(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)
株主資本の著しい変動
当中間連結会計期間において、当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬として新株式の発行を行ったことにより、資本金が996千円、資本剰余金が996千円それぞれ増加しました。
また、2025年3月25日開催の定時株主総会の決議に基づく資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分により、資本金が2,437,707千円、資本剰余金が4,007,137千円減少し、利益剰余金が6,444,844千円増加しました。
この結果、当中間連結会計期間末において、資本金が10,996千円、資本剰余金が2,192,775千円、利益剰余金が△865,172千円となっております。
【セグメント情報】
Ⅰ 前中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
1. 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
(注)セグメント損失の合計は、中間連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
2. 報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
当中間連結会計期間において、創薬事業に係る減損損失4,228千円を計上しております。
Ⅱ 当中間連結会計期間(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)
1. 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報
(注)セグメント損失の合計は、中間連結損益計算書の営業損失と一致しており差額はありません。
2. 報告セグメントごとの固定資産の減損損失又はのれん等に関する情報
当中間連結会計期間において、創薬支援事業に係る減損損失140千円及び創薬事業に係る減損損失174千円を計上しております。
(収益認識関係)
顧客との契約から生じる収益を分解した情報は、次のとおりであります。
前中間連結会計期間(自 2024年1月1日 至 2024年6月30日)
当中間連結会計期間(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)
1株当たり中間純損失及び算定上の基礎は、以下のとおりであります。
(注) 潜在株式調整後1株当たり中間純利益については、潜在株式が存在しないため、記載しておりません。
(新株予約権付社債発行プログラムの締結及び第三者割当による無担保転換社債型新株予約権付社債の発行)
2025年7月11日開催の取締役会決議により、Cantor Fitzgerald Europeとの間で、新株予約権付社債発行プログラムの設定契約を締結致しました。この新株予約権付社債発行プログラムにより、第1回新株予約権付社債第三者割当、第2回新株予約権付社債第三者割当、第3回新株予約権付社債第三者割当の合計3回の割当により最大675,000,000円の新株予約権付社債が発行される予定です。第三者割当による新株予約権付社債の発行は以下の通りです。
(第1回割当)
2025年7月28日に払い込みが完了いたしました。
(第2回、第3回割当)
該当事項はありません。