1.当四半期決算に関する定性的情報 ……………………………………………………………………………2
(1)経営成績に関する説明 ……………………………………………………………………………………2
(2)財政状態に関する説明 ……………………………………………………………………………………8
(3)連結業績予想などの将来予測情報に関する説明 ………………………………………………………8
(4)継続企業の前提に関する重要事象等 ……………………………………………………………………8
2.中間連結財務諸表及び主な注記 ………………………………………………………………………………9
(1)中間連結貸借対照表 ………………………………………………………………………………………9
(2)中間連結損益計算書及び中間連結包括利益計算書 ……………………………………………………11
中間連結損益計算書 ……………………………………………………………………………………………11
中間連結包括利益計算書 ………………………………………………………………………………………12
(3)中間連結キャッシュ・フロー計算書 ……………………………………………………………………13
(4)中間連結財務諸表に関する注記事項 ……………………………………………………………………14
(継続企業の前提に関する注記) ……………………………………………………………………………14
(株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記) ……………………………………………………17
(重要な後発事象) ……………………………………………………………………………………………18
1.当四半期決算に関する定性的情報
当社は、創薬事業においてはアンメット・メディカル・ニーズの高い未だ有効な治療方法が確立されていない疾患を中心に、特にがん、免疫・炎症疾患を重点領域として画期的な新薬の開発を目指して研究開発に取り組み、また、創薬支援事業においては新たなキナーゼ阻害薬創製のための製品・サービスを製薬企業等へ提供するため営業活動に取り組んでおります。
セグメント別の事業活動の概況は以下のとおりです。
① 創薬事業
創薬事業においては、がん領域でベストインクラスの可能性を有する次世代非共有結合型BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763)に注力し、現在、患者を対象とした臨床試験を米国で実施しています。docirbrutinibは、現在までの非臨床試験の結果及び臨床試験の途中結果において、ブロックバスター(年間売上1,000億円以上の医薬品)となるポテンシャルを十分に有していると考えており、着実に臨床試験を進めることによりパイプラインの価値を高め、大型のライセンス契約に繋げてまいりたいと考えております。本剤については、2026年中の導出を目指しており、症例数を追加してデータパッケージのさらなる充実を図ることでパイプライン価値の向上に取り組み、大型契約の獲得を目指してまいります。
免疫・炎症疾患領域では、当社が創出した、もう1つの非共有結合型BTK阻害剤sofnobrutinib(AS-0871)の開発を進め、健康成人を対象としたフェーズ1試験を完了しています。sofnobrutinibについては、これまで重要な標的疾患としてCSU(慢性特発性じん麻疹)を想定するとともに、腎疾患領域への応用可能性にも着目して、導出交渉を進めてまいりました。こうした中、2026年6月にEverest Medicines社が、BTK阻害剤を腎疾患を対象としてTravere社に導出し、契約一時金1.12億ドル(約160億円、為替レート150円換算)、契約総額11.4億ドル(約1,700億円、為替レート150円換算)の契約を締結したことにより、BTK阻害剤の腎疾患領域における価値があらためて認識されました。これを契機に、sofnobrutinibに対する製薬企業等からの関心が高まっています。当社としては、フェーズ2試験以降をライセンス契約の締結または共同開発先との提携により進めることを目指しており、導出・提携機会の拡大が期待される中、引き続きパートナリング活動を推進してまいります。
また、ファーストインクラスを目指して、CDC7阻害剤monzosertib(AS-0141)の開発も進めております。日本で実施したフェーズ1試験における全ての投与を終了し、現在は急性骨髄性白血病(AML)患者を対象に米国における医師主導治験としてフェーズ1b試験の開始に向けた準備を進めています。本剤については、医師主導試験(フェーズ1b試験)のスキームを活用して有効性を確認したのちに導出する想定ですが、並行して、製薬企業等とのパートナリング活動も積極的に行う方針です。
当社は、これらのパイプラインの価値向上に継続して取り組むことで導出を促進し、企業価値の最大化につながる導出契約の締結を目指してまいります。
さらに、当社は、米国ギリアド・サイエンシズ社(以下「ギリアド社」)に、当社が創出した新規脂質キナーゼDGKα阻害剤の創薬プログラムを導出しており、住友ファーマ株式会社(以下「住友ファーマ」)とは、精神神経疾患を標的とした創薬プログラムの共同研究を行っています。
臨床開発段階のパイプライン
導出済みパイプライン
※本パイプラインの状況につきましては、後述の「ギリアド社に導出した創薬プログラム(DGKα阻害剤)」をご参照下さい。
*受領済の契約一時金及びマイルストーンは受領時の為替レート、マイルストーン総額は150円/ドルで換算。
各パイプラインの概況は以下のとおりです。
BTK阻害剤 docirbrutinib (AS-1763、対象疾患:慢性リンパ性白血病(CLL)などの血液がん)
docirbrutinib(AS-1763)は、慢性リンパ性白血病(CLL)を含む成熟B細胞腫瘍(血液がんの一種)の治療を目的として開発中の経口投与可能なBTK阻害剤です。
現在までの臨床試験の途中結果及び非臨床試験の結果は、docirbrutinib(AS-1763)の高い安全性と幅広い薬剤耐性変異型BTKに対する効果を示唆しており、既存のBTK阻害薬に対して不耐(副作用により投与継続が困難な状態)の患者及び薬剤耐性の発生により既存のBTK阻害薬が効かなくなった患者の新たな治療の選択肢となることが期待されます。また、既存のBTK阻害薬市場は2024年時点で約120億ドル*(約1.8兆円、為替レート150円換算)に達しており、非常に大きな市場を形成していることから、docirbrutinib(AS-1763)は、3次治療での早期承認で、ブロックバスター(年間売上1,000億円以上の医薬品)となるポテンシャルを十分に有していると考えております。さらに2次治療、1次治療での承認の可能性も有していると考えており、着実に臨床試験を進めることによりパイプラインの価値を高め、大型のライセンス契約に繋げてまいりたいと考えております。
*Source: Clarivate
<docirbrutinib(AS-1763)臨床試験の流れ>
docirbrutinib(AS-1763)の臨床試験は、ヒトでの安全性、薬物動態等の検討を早期に行うため、まず健康成人を対象としたフェーズ1試験をオランダにおいて実施しました。その後、フェーズ1試験の結果を基にして、米国において患者を対象としたフェーズ1b試験を計画し、2023年8月に投与を開始、現在用量拡大パートを実施中です。本剤については、2026年中の導出を目指しており、症例数を追加してデータパッケージのさらなる充実を図ることでパイプライン価値の向上に取り組み、大型契約の獲得を目指してまいります。
<フェーズ1b試験の状況>
本剤のフェーズ1b試験は、2ライン以上の全身治療歴を有する慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)及びB細胞性非ホジキンリンパ腫(B-cell NHL)の患者を対象としており、用量漸増パートと用量拡大パートから構成されています。用量漸増パートについては、2023年8月に投与を開始し、2024年12月に全ての患者登録を完了しました。
用量拡大パートは、当初、用量漸増パートで計画していた最大用量(600mg BID*)の評価を行い、最大耐用量を確定した後に開始する予定でしたが、用量漸増パートの途中経過において、docirbrutinib(AS-1763)の高い安全性と忍容性、並びに治療効果の期待できる十分な血中薬物濃度と高い全奏効率を確認することができたことから、治験責任医師の合意のもと、6用量目(600mg BID*)の開始を待たずに、用量拡大パートへ移行することを決定し、2024年10月に投与を開始しました。用量拡大パートは、CLL・SLL患者を対象としたコホート1、B-cell NHL患者を対象としたコホート2、及びpirtobrutinib投与歴のある患者を対象としたコホート3の3つのコホートで構成されており、用量漸増パートの結果に基づき、コホート1及びコホート2については3用量(300、400、500 mg BID*)、コホート3については2用量(400、500mg BID*)を選択しています。現在までの進捗として、コホート1については、300 mg BID* および 400 mg BID* において、当初計画に基づく各10名の患者エントリーを完了しました。現在、400 mg BID* を暫定的な第2相試験推奨用量(RP2D)とし、より信頼性の高いデータを取得するため、400 mg BID* を中心に症例を追加しています。コホート2については、300 mg BID* への患者エントリーが完了し、400mg BID*へ移行しています。コホート3については、400 mg BID* への患者エントリーを実施中です。
また、本治験は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターをはじめとする全米13施設において実施されています。
*BID : 1日2回
<学会発表>
2026年6月開催の欧州血液学会(European Hematology Association 2026 Congress)において、フェーズ1b試験の途中結果に関する発表が行われました。
本発表は、治験主導医師であるテキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科教授Nitin Jain医師により行われ、docirbrutinib(AS-1763)が、症例数の拡大後も、良好な安全性プロファイルおよび有効性が一貫して確認されていることが報告されました。
発表の概要
■ 安全性
・用量漸増パートにおいて良好な忍容性が確認されました。
・因果関係のあるグレード3以上の有害事象は10%と概して高い安全性を示しました。
■ 有効性
・慢性リンパ性白血病(CLL)・小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)及びワルデンシュトレーム・マクログロブリン血症(WM※)患者において、良好な奏効率が確認されました。
※WMは血中IgMレベルで抗腫瘍効果を評価
・暫定的な第2相試験推奨用量(RP2D)として、400 mg BIDが選択されました。
・有効性の検証に向けて、さらなる症例数の追加を進めています。
■ docirbrutinibは、良好な安全性とともに、2ライン以上の全身的治療を受けたCLL/SLL、MCLおよびWM患者において、有望かつ持続的な奏功を示し、新たな治療の選択肢となることが期待されます。
<論文発表>
docirbrutinib(AS-1763)の非臨床研究に関する論文が、血液がん領域のハイインパクトジャーナル「Blood Cancer Journal」に掲載されました。本論文では、14種類の異なる耐性変異を有するBTK変異体を作製し、これらの変異体に対するdocirbrutinibの活性を評価しました。その結果、docirbrutinibは、評価した全ての耐性変異体に対して阻害効果を示し、さらに複数の耐性変異体において、既存の共有・非共有結合型BTK阻害剤を上回る効果を示しました。加えて、臨床で用いられているBCL-2阻害薬ベネトクラクスなどとの併用効果についても検証を行い、今後の併用療法開発に向けた科学的根拠となる成果が得られています。これらの結果は、docirbrutinibが、ベストインクラスのBTK阻害剤となる可能性を示唆するものです。
BTK阻害剤 sofnobrutinib (AS-0871、対象疾患:免疫・炎症疾患)
sofnobrutinib(AS-0871)は、BTKキナーゼを阻害してB細胞、マクロファージ、マスト細胞などの免疫細胞の活性化を抑制することにより、免疫・炎症疾患の治療を目指す経口剤として開発を進めています。
本剤については、オランダにおいて、健康成人を対象としたフェーズ1試験を実施しました。本フェーズ1試験は、2021年中に完了したSAD試験及び2021年12月から開始した反復投与用量漸増(MAD)試験の2つの試験として実施し、2023年11月にMAD試験の臨床試験報告書が最終化されました。フェーズ1試験の結果から、sofnobrutinib(AS-0871)の安全性、忍容性、並びに良好な薬物動態プロファイルと薬力学作用が確認され、フェーズ2への移行が支持されました。
sofnobrutinib(AS-0871)の重要な標的疾患の一つとして、慢性突発性蕁麻疹(CSU)を想定しております。CSUは全世界の約1%が罹患していると考えられており、その市場規模は2023年で約22億ドル(約3,300億円、為替レート150円換算)とされています。さらに2032年には約54億ドル(約8,100億円、為替レート150円換算)に達すると予想されています*。既存のBTK阻害剤の多くは、催奇形性が認められるため妊娠可能な女性への使用が制限されていますが、sofnobrutinib(AS-0871)は、胚・胎児発生毒性試験において、催奇形性が認められなかったことから、皮膚疾患治療薬として多くの患者の治療の選択肢となることが期待されます。
また、2026年6月にEverest Medicines社が、BTK阻害剤を腎疾患を対象としてTravere社に導出し、契約一時金1.12億ドル(約160億円、為替レート150円換算)、契約総額11.4億ドル(約1,700億円、為替レート150円換算)の契約を締結したことにより、BTK阻害剤の腎疾患領域における価値があらためて認識されました。これを契機に、sofnobrutinibに対する製薬企業等からの関心が高まっています。当社としては、フェーズ2試験以降をライセンス契約の締結または共同開発先との提携により進めることを目指しており、導出・提携機会の拡大が期待される中、引き続きパートナリング活動を推進してまいります。
* https://www.credenceresearch.com/report/chronic-spontaneous-urticaria-market
CDC7阻害剤 monzosertib (AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)
monzosertib(AS-0141)は、CDC7キナーゼを阻害することにより細胞増殖を抑制し、悪性腫瘍の治療を目指して開発を進めている経口投与剤です。
国立がん研究センター等において、固形がんおよび血液がんを対象としたフェーズ1試験を実施し、現在までに全ての投与を終了しています。また、非臨床研究において、monzosertib(AS-0141)と急性骨髄性白血病(AML)治療薬であるDNAメチル基転移酵素(DNMT)阻害薬及びB細胞リンパ腫因子-2(BCL-2)阻害薬との3剤併用により優れた抗腫瘍効果が確認されました。この成果は、2025年4月に開催されたアメリカ癌学会年次総会(AACR2025)において発表しています。さらに、2026年4月に開催されたAACR2026では、がん細胞株を用いた解析により明らかとなった、monzosertibによる細胞死誘導メカニズムに関する新たな知見を発表しました。
これらの結果を踏まえ、急性骨髄性白血病(AML)の治療薬としてより効果が期待される3剤併用のフェーズ1b試験(医師主導治験)の開始を目指しています。本試験は、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科のDr. Abhishek Maitiが責任医師として実施する医師主導治験(IIT)であり、現在、覚書(2025年12月17日付)に従い、本試験への協力に関するClinical Trial Agreement(CTA)の締結並びに試験開始に向けた準備を進めています。
また、本剤については、2026年7月に、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)より、急性骨髄性白血病(AML)を対象としたオーファンドラッグ指定(Orphan Drug Designation:ODD)を取得しました。
当社は、本剤について、医師主導試験(フェーズ1b試験)のスキームを活用して有効性を確認したのちに導出する想定ですが、並行して、製薬企業等とのパートナリング活動も積極的に行う方針です。
また、急性骨髄性白血病(AML)治療薬の市場規模については、2023年には約38億ドル(約5,700億円、為替レート150円換算)と見込まれており、今後も継続的な拡大が予測されています*。
* https://www.bccresearch.com/market-research/pharmaceuticals/acute-myeloid-leukemia-market.html
ギリアド社に導出した創薬プログラム(DGKα阻害剤 GS-9911)
2019年6月に、米国のギリアド社と、当社が創製したDGKα阻害剤の創薬プログラムの開発・商業化にかかる全世界における独占的な権利を供与するライセンス契約を締結しています。本契約の対象には、本創薬プログラムから創出されるすべての化合物が含まれます。
本ライセンス契約に基づき、ギリアド社は本創薬プログラムからGS-9911を見出し、2023年12月に固形がん患者を対象としたフェーズ1試験を開始しましたが、2025年8月に、ギリアド社におけるポートフォリオの優先付けに基づく決定により、当該フェーズ1試験への新規患者登録が中止されました。
一方で、本ライセンス契約は、引き続き有効に存続しており、本プロジェクトチームが同プログラムの研究開発を引き続き主導しているとの連絡を受けております。
なお、本ライセンス契約においては、契約一時金20百万ドルのほか、開発状況や上市などの進捗に応じて最大で450百万ドル(約675億円、1ドル150円で換算)のマイルストーン・ペイメント、さらに、本プログラムにより開発された医薬品の上市後の売上高に応じたロイヤリティを受け取ることが定められています。
これまでに当社は、ギリアド社から契約一時金及び2回のマイルストーン・ペイメントを受領しており、合計で35百万ドル(約40億円)を受領しております。
住友ファーマとの共同研究プログラム
2018年3月に住友ファーマと共同研究契約を締結しており、精神神経疾患領域における新規キナーゼ阻害剤の創出を目指して共同研究を実施しています。本契約の共同研究期間は2025年3月27日まででしたが(2021年12月に延長)、当該研究期間において新薬候補化合物が見出されたことから、当該化合物のさらなる評価を行うため、共同研究期間を2027年3月27日までさらに延長し、共同研究を継続することで両社が合意いたしました(2025年3月)。現在、開発候補化合物の選定中です。
本共同研究により見出されたキナーゼ阻害剤のうち住友ファーマが事業化を進めると判断したもの(以下「本剤」)について、住友ファーマが臨床開発および販売を全世界で独占的に実施する権利を有します(がんを除く全疾患)。また、本契約に基づき、住友ファーマは当社に対して契約一時金および研究マイルストーンとして最大8千万円を支払うこととなっており、このうち契約一時金(50百万円)を2018年12月期第2四半期に受領しています。今後、住友ファーマが本剤の臨床開発・販売への移行を決定した場合、住友ファーマは当社に対して、開発段階、販売額目標達成に応じた開発・販売マイルストーンとして総額で最大約106億円を支払う可能性があります。さらに、販売後、住友ファーマは本剤の販売額に応じた一定のロイヤリティを当社に支払います。
以上の結果、臨床試験費用を中心に研究開発へ引き続き積極的に投資したことにより、当中間連結会計期間の同事業の研究開発費は876百万円(前中間連結会計期間比1.4%増)となりました。また、創薬事業の売上計上はなく(前中間連結会計期間は売上の計上はなし)、営業損失は1,020百万円(前中間連結会計期間は1,001百万円の営業損失)となりました。
② 創薬支援事業
当社の創薬支援事業は、キナーゼに関する深い専門知識を生かした技術営業と、品質の高い製品・サービスを強みとしており、これらを基盤に、信頼性の高い製品・サービスの提供および顧客に対するきめ細かなフォローを継続しております。また、新規顧客の発掘、獲得に注力しており、特に多くのメガファーマやバイオベンチャーが集積する米国において、新規顧客へのリーチを重点的に進めています。さらに、当社製品・サービスの認知度向上および高品質であることの訴求を目的として、Webサイトや各種デジタルプラットフォームを活用した情報発信に取り組んでおります。加えて、当社のプレゼンス向上を図るため、キナーゼに関する研究成果に基づく学会発表を、一層積極的に実施していく計画です。
収益の主力であるタンパク質販売に関しては、昨年、顧客の利便性向上を目的として、タンパク質を用いた実験(アッセイ)に不可欠な試薬(アッセイバッファー、基質)の販売を開始するとともに、当社ホームページ上に、実験系の立ち上げをサポートする情報をまとめた「キナーゼアッセイサポートポータル」を公開しました。同ポータルは、日本語、英語に加え、著しく拡大した中国市場への訴求のため、中国語においても公開しており、今後も継続的に、情報の拡充を図る予定です。これらの試薬及び情報を活用することで、顧客は限られたリソースの中でも、当社タンパク質製品を用いて、簡便かつ効率的に、かつ迅速に信頼性の高い実験系を構築することが可能となり、当社製品のさらなる利用促進が期待されます。
また、顧客ニーズにきめ細かく対応するため、ビオチン化タンパク質及び変異体タンパク質の品揃えの強化を進めており、加えて、キナーゼ分野に強みを有する企業として、市場ニーズは存在するものの作製が困難で市販されていないキナーゼや、キナーゼ研究・評価に用いられる関連タンパク質の製品化に向け、研究開発を推進しております。
プロファイリングサービスにおいては、当社は、信頼性の高いMobility Shift Assay System を使用した試験を受託・実施できる唯一の企業として、現在、安定的にサービスを提供しております。さらに、顧客層の拡大を目指し、顧客ニーズの高いアッセイプラットフォームを使用したプロファイリングサービスの開発を進めております。
また、近年では、プロファイリングデータを創薬プロセス上必要とするAI創薬企業からの受注が売上に貢献しております。2025年末には新規案件を獲得し、当中間連結会計期間の売上に寄与しました。
さらに、受注が大幅に拡大したNanoBRETTMサービスについては、幅広い顧客ニーズを取り込むため、サービスメニューの拡充を進めております。
また、タンパク質販売、プロファイリングサービスともに、顧客の多様なニーズに精度高く対応した特注製品の開発や特注試験の受注を積極的に行っております。特注タンパク質の開発からアッセイまで一貫したサービスの提供も行っており、キナーゼにおける高度な技術力を生かした高付加価値のサービスを提供しております。
当中間連結会計期間において、国内ではタンパク質販売が好調な受注を継続するとともに、主要顧客向けのプロファイリングサービスが堅調に推移しました。また、バイオベンチャー向けの特注タンパク、特注アッセイおよびNanoBRETTMサービスの中規模案件が売上に寄与し、前中間連結会計期間比で大幅な増収となりました。
米国においては、タンパク質販売、プロファイリングサービスともに、第1四半期は低調に推移したものの、第2四半期に回復しました。また、NanoBRETTMサービスが好調に推移し、売上高は前中間連結会計期間と同水準で推移しました。
欧州においては、創薬バイオベンチャーから受注したプロファイリングサービスの大型案件が引き続き売上に大きく寄与するとともに、タンパク質販売も好調に推移したことから、前中間連結会計期間比で大幅な増収となりました。
その他の地域においては、主要顧客である中国CRO向けのタンパク質販売が引き続き高水準で推移し、前中間連結会計期間比で大幅な増収となりました。
以上の結果、当中間連結会計期間における創薬支援事業の売上高は401百万円(前中間連結会計期間比59.8%増)、営業利益は66百万円(前中間連結会計期間は51百万円の営業損失)となりました。売上高の内訳は、国内売上が111百万円(前中間連結会計期間比111.0%増)、北米地域は124百万円(前中間連結会計期間比1.2%増)、欧州地域は59百万円(前中間連結会計期間比163.0%増)、その他地域は105百万円(前中間連結会計期間比100.7%増)です。
これら創薬事業及び創薬支援事業の活動の結果、当中間連結会計期間の連結売上高は401百万円(前中間連結会計期間比59.8%増)となりました。地域別の売上は、連結ベースで国内売上高が111百万円(前中間連結会計期間比111.0%増)、海外売上高は289百万円(前中間連結会計期間比46.1%増)となりました。損益面につきましては、営業損失が954百万円(前中間連結会計期間は1,052百万円の営業損失)、経常損失は1,005百万円(前中間連結会計期間は1,055百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する中間純損失は1,039百万円(前中間連結会計期間は1,056百万円の親会社株主に帰属する中間純損失)となりました。
当中間連結会計期間末における総資産は1,765百万円となり、前連結会計年度末と比べて535百万円増加いたしました。その内訳は、現金及び預金の増加583百万円等であります。
負債は2,173百万円となり、前連結会計年度末と比べて1,252百万円増加いたしました。その内訳は、第2回無担保普通社債の発行による社債の増加1,734百万円、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の買入消却および第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の株式への転換等による転換社債型新株予約権付社債の減少450百万円等であります。
純資産は、前連結会計年度末と比べて717百万円減少し、407百万円のマイナスとなりました。これは、親会社株主に帰属する中間純損失1,039百万円の計上、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の株式への転換およびdocirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の権利行使等に伴う資本金及び資本準備金の増加294百万円を主な要因とするものであります。
自己資本比率は△23.9%(前連結会計年度末25.1%)となりました。
2026年2月10日公表の「2025年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)」に記載の2026年12月期の連結業績予想に変更はありません。
(4)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:慢性リンパ性白血病(CLL)などの血液がん)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)のフェーズ1臨床試験を実施しており、臨床試験関連費用を中心に多額の先行投資を必要としております。当連結会計年度の下半期以降(2026年7月1日以降)に必要となる臨床試験実施のための費用と今後の資金計画を検討した結果、当連結会計年度の下半期以降(2026年7月1日以降)に先行投資として実施する研究開発に必要な資金が当中間連結会計期間の末日時点の手許資金では十分でない可能性があります。また、当社は、多額の研究開発への先行投資に伴う損失の計上を主因として、当中間連結会計期間末において債務超過の状況にあります。
これらの状況から、当中間連結会計期間の末日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。
なお、継続企業の前提に関する詳細につきましては、「2.中間連結財務諸表及び主な注記(4)中間連結財務諸表に関する注記事項(継続企業の前提に関する注記)」に記載しております。
当社は、BTK阻害剤docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:慢性リンパ性白血病(CLL)などの血液がん)およびCDC7阻害剤monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)のフェーズ1臨床試験を実施しており、臨床試験関連費用を中心に多額の先行投資を必要としております。当連結会計年度の下半期以降(2026年7月1日以降)に必要となる臨床試験実施のための費用と今後の資金計画を検討した結果、当連結会計年度の下半期以降(2026年7月1日以降)に先行投資として実施する研究開発に必要な資金が当中間連結会計期間の末日時点の手許資金では十分でない可能性があります。また、当社は、多額の研究開発への先行投資に伴う損失の計上を主因として、当中間連結会計期間末において債務超過の状況にあります。
これらの状況から、当中間連結会計期間の末日において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象が存在していると判断しております。
当社は、当該状況を解消するため、以下の課題に取り組んでおります。
(1) 開発段階のパイプラインの臨床試験の推進並びにライセンス契約締結による導出一時金及びマイルストーン収入の獲得
当社は、開発段階の創薬パイプラインとして、BTK阻害剤 docirbrutinib(AS-1763、対象疾患:CLLなどの血液がん)、BTK阻害剤 sofnobrutinib (AS-0871、対象疾患:免疫・炎症疾患)およびCDC7阻害剤 monzosertib(AS-0141、対象疾患:固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がん)を保有しております。
BTK阻害剤 docirbrutinib については、CLLを含む成熟B細胞腫瘍(血液がんの一種)の治療を目的として開発しており、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター白血病科教授 Nitin Jain医師を治験主導医師として、米国においてフェーズ1b試験を実施中です。
また、CDC7阻害剤 monzosertib については、固形がん・急性骨髄性白血病(AML)などの血液がんを対象とするフェーズ1試験を日本で実施し、現在までに全ての投与を終了しております。さらに、急性骨髄性白血病(AML)の治療薬としてより効果が期待される3剤併用のフェーズ1b試験(医師主導治験)を計画しております。本フェーズ1b試験は、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンター、白血病科のDr. Abhishek Maitiが責任医師として実施する医師主導治験(IIT)であり、現在、Clinical Trial Agreement(CTA)の締結並びに試験開始に向けた準備を進めております。
当社の事業価値を高めるために、これらの臨床試験を着実に進めていくことが最も重要であると認識しております。なかでも、docirbrutinibは、現在までの非臨床試験の結果及び臨床試験の途中結果において、ブロックバスター(年間売上1,000億円以上の医薬品)となるポテンシャルを十分に有していると考えており、着実に臨床試験を進めることによりパイプラインの価値を高め、大型のライセンス契約に繋げてまいりたいと考えております。docirbrutinibは、2026年中の導出を目指しており、症例数を追加してデータパッケージのさらなる充実を図ることでパイプライン価値の向上に取り組み、大型契約の獲得を目指してまいります。monzosertibについては、医師主導治験(フェーズ1b試験)のスキームを活用して有効性を確認したのちに導出する方針です。
また、BTK阻害剤 sofnobrutinib(AS-0871、免疫・炎症疾患対象)については、フェーズ1試験を完了しております。sofnobrutinibについては、これまで重要な標的疾患としてCSU(慢性特発性じん麻疹)を想定するとともに、腎疾患領域への応用可能性にも着目して、導出交渉を進めてまいりました。こうした中、2026年6月にEverest Medicines社が、BTK阻害剤を腎疾患を対象としてTravere社に導出し、契約一時金1.12億ドル(約160億円、為替レート150円換算)、契約総額11.4億ドル(約1,700億円、為替レート150円換算)の契約を締結したことにより、BTK阻害剤の腎疾患領域における価値があらためて認識されました。これを契機に、sofnobrutinibに対する製薬企業等からの関心が高まっています。当社としては、フェーズ2試験以降をライセンス契約の締結または共同開発先との提携により進めることを目指しており、導出・提携機会の拡大が期待される中、引き続きパートナリング活動を推進してまいります。
当社は、これらのパイプラインについて新たなライセンス契約の締結に注力しており、導出一時金の獲得に努めてまいります。
(2) 創薬支援事業における収益拡大
当社の創薬支援事業は、キナーゼに関する深い専門知識を生かした技術営業と、品質の高い製品・サービスを強みとしており、これらを基盤に、信頼性の高い製品・サービスの提供および顧客に対するきめ細かなフォローを継続しております。また、新規顧客の発掘、獲得に注力しており、特に多くのメガファーマやバイオベンチャーが集積する米国において、新規顧客へのリーチを重点的に進めております。さらに、当社製品・サービスの認知度向上および高品質であることの訴求を目的として、Webサイトや各種デジタルプラットフォームを活用した情報発信に取り組んでおります。加えて、当社のプレゼンス向上を図るため、キナーゼに関する研究成果に基づく学会発表を、一層積極的に実施していく計画です。
製品別では、収益の主力であるタンパク質に関して、昨年、実験に不可欠な試薬の販売を開始するとともに、顧客の実験系の立ち上げをサポートする情報をまとめた「キナーゼアッセイサポートポータル」を、当社ホームページ上に公開しました。今後も、製品利用の促進を図るため、継続的な情報拡充を行う計画です。加えて、ビオチン化タンパク質及び変異体タンパク質等の品揃えの強化を進めるとともに、市場ニーズは存在するものの作製が困難で市販されていないキナーゼや、関連タンパク質の製品化に向けた研究開発を推進しております。
プロファイリング・サービスにおいては、再現性・正確性を備えた信頼性の高いデータを継続して提供することを方針としております。当社のみが提供している、信頼性の高いMobility Shift Assay System を用いたプロファイリングサービスに加え、顧客層の拡大を目指し、顧客ニーズの高いアッセイプラットフォームを用いたプロファイリングサービスの開発にも着手しております。
さらに、タンパク質販売、プロファイリング・サービスともに、顧客の多様なニーズに精度高く対応した特注製品の開発や特注試験の受注を積極的に行っております。
以上のとおり、キナーゼに関する専門性を生かし、高品質な製品・サービスの提供および営業活動を継続することで、売上の拡大に取り組んでまいります。
(3) 資金調達を含む財務基盤強化策の実施
当社は、前述のとおり、パイプラインの導出による契約一時金の獲得および創薬支援事業による営業キャッシュ・フローによる資金確保に努めてまいります。さらに、先行投資として実施する研究開発は資金の状況を勘案しながら実施してまいります。
また、当社は、2026年1月29日に、以下の内容の無担保普通社債(以下「本社債」)、行使価額修正条項付新株予約権(以下「本新株予約権」)及び新株式(以下「本新株式」)の発行による資金調達(以下「本資金調達」)の実施を決議し、2026年2月17日に予定どおり本社債、本新株予約権および本新株式を発行いたしました。
2024年及び2025年においては、臨床開発費用に必要な資金を随時調達する方針のもと、第三者割当増資及び新株予約権付社債の割当により、小規模な資金調達を複数回実施いたしました。一方で、docirbrutinib(AS-1763)の臨床試験関連費用を中心に多額の投資が継続しており、2026年においても引き続きdocirbrutinib(AS-1763)及びmonzosertib(AS-0141)の開発費用を中心とした創薬研究開発に、継続的かつ安定した投資が必要となります。また、2025年12月末において保有する現金及び預金は516百万円であったことから、今後の資金推移を考慮すると、財務基盤の強化を図る必要があると判断し、本資金調達を実施することといたしました。
本社債の概要
(注)本社債の償還には、原則としてdocirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使代金が充当され、社債権者は、docirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使代金の累計額が各本社債の額面金額(4,625万円)の整数倍に達する毎に繰上償還請求を行い、当社はそれに応じて償還を行う予定です。
本新株予約権の概要
本新株式の概要
また、本資金調達に関する決議に併せて、第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下「第1回新株予約権付社債」)の買入消却(以下「本買入消却」)を決議しており、2026年2月17日に予定どおり本買入消却を実施いたしました。なお、本買入消却費用については、本社債の払込金額を充当しております。
本買入消却の内容
本社債、本新株予約権及び本新株式の発行並びに本買入消却の実施日(2026年2月17日)において、1,496百万円(本社債及び本新株予約権の発行価額の総額並びに本新株式の払込金額の総額から、本買入消却費用を控除後の金額)を実質的に調達し、当面の必要資金を確保しました。
また、当中間連結会計期間末までに、本新株予約権880個(88,000株)の行使が完了し、行使価額総額は32,115,600円となっております。また、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債については、全数の転換が完了しております。
しかしながら、当中間連結会計期間末時点の保有資金は11億円である一方、2026年12月期の通期業績予想における当期純損失は20億円を見込んでおり、2026年中間期の当期純損失実績10億円との差額として、下半期の損失見込みは約10億円となっております。当社は、開発パイプラインの早期導出による資金流入を目指しております。一方で、導出には不確実性があります。また、docirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使代金は第2回無担保普通社債の償還に優先的に充当されるため、同社債の償還完了までは、事業運営に必要な資金として活用できる範囲は限定的です。このため、今後の事業運営に必要な資金の確保に向け、資金調達についても検討してまいります。
また、当社は、当中間連結会計期間末において、多額の研究開発への先行投資に伴う損失の計上を主因として、債務超過の状況にあります。当該債務超過につきましては、開発パイプラインの早期導出による収入の計上及びdocirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使による資本の増強により、解消を見込んでおります。一方で、開発パイプラインの導出が想定どおり進捗せず、また、docirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使が株価の動向等により進まない場合には、債務超過の解消に向け、新株発行を含む資本増強策を検討してまいります。
以上のとおり、当社は上記課題に取り組みますが、現時点において、これらの取り組みによる資金流入は確定しているものを除き未確定であるため、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと判断しております。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表に反映しておりません。
前中間連結会計期間(自 2025年1月1日 至 2025年6月30日)
株主資本の著しい変動
当中間連結会計期間において、当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬として新株式の発行を行ったことにより、資本金が996千円、資本剰余金が996千円それぞれ増加しました。
また、2025年3月25日開催の定時株主総会の決議に基づく資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分により、資本金が2,437,707千円、資本剰余金が4,007,137千円減少し、利益剰余金が6,444,844千円増加しました。
この結果、当中間連結会計期間末において、資本金が10,996千円、資本剰余金が2,192,775千円、利益剰余金が△865,172千円となっております。
当中間連結会計期間(自 2026年1月1日 至 2026年6月30日)
株主資本の著しい変動
当中間連結会計期間において、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債の転換及びdocirbrutinib(AS-1763)開発促進新株予約権の行使、第三者割当増資および当社従業員に対する譲渡制限付株式報酬としての新株式発行により、資本金が147,115千円、資本剰余金が147,115千円それぞれ増加しました。
この結果、当中間連結会計期間末において、資本金は161,961千円、資本剰余金は2,343,740千円となっております。
(重要な後発事象)
当中間連結会計期間末後から2026年8月6日までの期間において、転換社債型新株予約権付社債の転換及び新株予約権の行使が行われました。その概要は以下のとおりであります。
転換社債型新株予約権付社債の転換
新株予約権の行使