(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や在庫投資が増加し、回復が続きました。欧州では、英国の景気が回復し、ユーロ圏の景気も緩やかな回復が続きました。また、中国やアジア各国の景気は持ち直しの動きが見られました。日本の景気は、雇用・企業収益が改善する等、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループは当期が最終年度の中期経営計画「VISION2016」(平成27年3月期~平成29年3月期)を達成すべく、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長ドライバーとし、拡販活動や新製品の市場投入により、売上、シェア及び利益の拡大を加速しました。また、重点領域を中心に積極的にM&Aを行い、次の成長に向けて必要な技術や資産を獲得しました。平成28年度は、「新規事業の利益貢献」「グローバル展開の加速」「効率的な経営」の三つを重点課題とし、全事業における収益性向上に向けた取り組みを加速しました。
当社グループの当連結会計年度における連結売上高は、光学・電子映像事業の電子映像分野や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響(152,617百万円)やドキュメント事業の売上減少等により、2,322,163百万円(前年度比5.6%減)となりました。営業利益は、172,281百万円(前年度比4.6%減)となりました。営業外収益及び費用で投資有価証券売却益等を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は194,775百万円(前年度比6.9%増)、当社株主帰属当期純利益は131,506百万円(前年度比13.0%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
①イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売が欧米を中心に好調に推移しました。平成29年1月に、お気に入りの写真をパネル加工や額装し、部屋のインテリアとして楽しめる「WALL DECOR(ウォールデコ)プリントサービス」のインターネット注文の受付を開始する等付加価値プリントビジネスも堅調に推移しましたが、為替の円高影響により、売上は減少しました。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、平成28年9月より順次販売を開始した「FUJIFILM X-T2」や「FUJIFILM X-A3」及び交換レンズの販売が好調に推移しました。加えて、平成29年2月に発売した大型サイズ(43.8mm×32.9mm)のイメージセンサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50S」、独自の色再現技術で卓越した写真画質を実現した「Xシリーズ」の最新モデル「FUJIFILM X-100F」「FUJIFILM X-T20」の販売が伸長したこと等により、売上が増加しました。光学デバイス分野では、スマートフォン用カメラモジュールの販売を縮小しましたが、平成29年2月に発売したシネマカメラ用レンズ「FUJINON MK18-55mm T2.9」は、高い光学性能、圧倒的な小型軽量化、優れたコストパフォーマンスが、市場から高い評価を受けており、ワールドワイドでのシェア拡大に取り組んでいます。
本部門の連結売上高は、為替の円高によるマイナス影響(31,921百万円)等により、341,744百万円(前年度比3.2%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少の影響を受けたものの、各事業の収益性が改善し、36,847百万円(前年度比15.1%増)となりました。
②インフォメーション ソリューション部門
メディカルシステム事業では、成長分野である体外診断(IVD)システム、内視鏡等の販売が好調に推移したものの、為替の円高影響等により、売上は減少しました。X線画像診断分野では、DR方式・カセッテ型デジタルX線画像診断装置「CALNEO(海外名称:D-EVO)」シリーズ等の販売が好調に推移しました。平成28年11月に小型化と従来機比約1/5の軽量化を実現した超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」の販売を開始しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が堅調に推移しました。平成28年4月から国内で販売を開始した統合アーカイブシステム「SYNAPSE VNA」や、従来と比べて画像処理・表示スピードを2倍に高速化し、医師の診断効率の向上に貢献するPACS「SYNAPSE 5」等の提供を通じて、今まで以上に効率的で、診断に寄与するソリューションの提案を強化しています。内視鏡分野では、レーザー光源搭載の内視鏡システム「LASEREO」や、平成28年10月に欧州から販売を開始した消化器内視鏡の新シリーズ等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、平成28年1月から各国で順次販売を開始した、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」、小型・軽量なタブレットタイプの超音波画像診断装置「SonoSite iViz」等一連の新製品の販売が堅調に推移しました。特に「SonoSite iViz」は、国内での販売が好調に推移し、売上増に貢献しました。また、体外診断(IVD)分野では、ウイルスや細菌等の抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノエージーワン)」専用の体外診断薬として、平成28年10月にマイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco(マイコ)」の販売を開始しました。簡便・迅速かつ高感度な検査で、マイコプラズマ肺炎の早期診断に貢献していきます。
医薬品事業では、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託が堅調に推移したものの、低分子医薬品において後発医薬品の影響を受けたこと等により、売上は減少しました。また、平成29年3月に抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」の日本での国家備蓄が決定され、供給を開始しました。研究開発においては、平成29年3月に血液がんの一つである骨髄異形成症候群に対する抗がん剤「FF-10501」の米国における臨床第Ⅱ相試験を開始する等、パイプラインの開発を着実に推進しています。さらに、高い市場成長が見込めるバイオ医薬品を中心とする医薬品のプロセス開発・製造受託の事業拡大を図るため、平成29年3月にバイオCDMO(Contract Development & Manufacturing Organization)事業部を新設しました。バイオ医薬品は、副作用が少なく、高い効能が期待できることから、医薬品市場に占める割合は高まっており、今後もますます市場が拡大すると予想されています。 独立した組織の下で、意思決定のさらなるスピードアップを図り、よりタイムリーな経営資源の投入を行うことで、事業成長を加速させていきます。
再生医療事業では、平成28年6月にiPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.(以下、「CDI社」と記載します。)が、米国国立眼科研究所(National Eye Institute)と、他家iPS細胞を用いた加齢黄斑変性の治療に関する共同研究開発契約を締結しました。平成28年9月には、網膜疾患治療の世界的権威であるDr. David Gammと他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法を開発する新会社を米国に設立しました。また、平成28年9月に、CDI社はiPS細胞を安全かつ効率的に作製する技術に関する特許を米国やオーストラリアに続き、日本でも取得しました。今回の特許取得を契機に、富士フイルムのエンジニアリング技術やジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)の品質マネジメントシステム等、当社グループ内でのシナジーを発揮し、iPS細胞の受託生産ビジネスを拡大させていきます。
ライフサイエンス事業では、平成28年9月にリニューアルした高機能化粧水「アスタリフト モイストローション」や平成29年3月に発売した美白化粧水「アスタリフト ホワイト ブライトローション」等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。
フラットパネルディスプレイ材料事業では、「WVフィルム」やVA用フィルム、IPS用フィルムの販売が堅調に推移し、売上が増加しました。液晶テレビ向けの販売を維持しつつ、中小型ハイエンド品向けの拡販を推し進めるとともに、タッチパネル関連等新規分野への展開を積極的に行っていきます。
産業機材事業では、新規事業分野のタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調に推移したものの、為替の円高影響や工業用X線フィルム等既存事業分野の販売減少等により、売上は減少しました。
電子材料事業では、先端フォトレジスト及び現像液・処理剤等先端フォトリソ周辺材料やCMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も前年度に連結子会社化した米国溶剤製造販売会社 Ultra Pure Solutions, Inc.を含め、幅広い製品群を大手顧客中心に拡販し、事業をさらに拡大していきます。
記録メディア事業では、「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの販売が好調に推移し、売上が増加しました。デジタルデータの増大に伴いデータアーカイブ分野へのBaFe製品の拡販を進めるとともに、アーカイブサービス「d:ternity(ディターニティ)」のさらなる普及によって、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、デジタル印刷機器や産業用インクジェットヘッド等の販売が伸長しましたが、為替の円高影響等により、売上は減少しました。インクジェット技術で世の中の多様なニーズに応え、事業のさらなる拡大を図るため、平成29年1月にインクジェット事業部を新設しました。「ヘッド」「インク」「画像処理」、すべてを自社グループ内で一貫して開発・製造できる強みを活かし、商業印刷、サインディスプレイ分野に加え、今後成長が見込まれる布地や壁紙・床材への印刷を始めとする産業用途や3Dプリンティング等の新規分野でも新たなビジネスを創出し、売上拡大を目指します。
本部門の連結売上高は、フラットパネルディスプレイ材料事業や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響(63,553百万円)等により、899,543百万円(前年度比4.5%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少等の影響により、82,969百万円(前年度比8.5%減)となりました。
③ドキュメント ソリューション部門
オフィスプロダクト事業では、アジア・オセアニア地域において特に中国での販売が好調に推移したことに加え、平成28年12月より国内、アジア・オセアニア地域で販売を開始した、各種クラウドサービスと連携するA3フルカラー複合機「ApeosPort- VI C/DocuCentre- VI C」シリーズの販売が堅調に推移しました。国内では前年度の国内大手コンビニエンスストアでのマルチコピー機の入れ替えに対する反動等から販売台数が減少、欧米向け輸出においてはモノクロ複合機を中心として販売台数が減少しましたが、オフィスプロダクト事業全体の販売台数は前年度並みとなりました。
オフィスプリンター事業では、主に欧米向け輸出で販売台数が減少しました。
プロダクションサービス事業では、アジア・オセアニア地域及び欧米向け輸出台数が減少したため、全体としては販売台数が減少したものの、国内では基幹業務出力向けプリンターの販売が好調に推移し、販売台数が増加しました。
グローバルサービス事業は、アジアローカル通貨安の影響を受け売上が減少したものの、国内及びアジア・オセアニア地域ともにマネージド・プリント・サービス(MPS)ビジネスが堅調に推移しました。
本部門の連結売上高は、欧米向け輸出の売上がオフィスプリンター事業を中心に減少したことに加え、アジアローカル通貨安によるマイナス影響(57,143百万円)等により、1,080,876百万円(前年度比7.2%減)となりました。営業利益は、欧米向け輸出の減少や為替の円高によるマイナス影響等により、82,683百万円(前年度比6.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、投資活動による116,439百万円の減少や、為替変動による影響等があったものの、営業活動により288,619百万円、財務活動により111,290百万円増加したことにより、前連結会計年度末より275,061百万円増加し、当連結会計年度末におきまして875,958百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動により得られた資金は288,619百万円となり、前連結会計年度と比較して65,140百万円(29.1%)増加しておりますが、これは受取債権の回収額が増加したことや未払法人税等及びその他負債の支払額が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に使用した資金は116,439百万円となり、前連結会計年度と比較して40,881百万円(26.0%)減少しておりますが、これは前連結会計年度においてCDI社の事業買収があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動により得られた資金は111,290百万円となり、前連結会計年度と比較して282,955百万円(前連結会計年度は171,665百万円の支出)増加しておりますが、これは長期債務による調達を行ったことや自己株式の取得による支出が減少したこと等によるものです。
当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。
販売の状況につきましては、「1 業績等の概要」の記載に含めております。
(1)当面の対処すべき課題の内容
当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益やキャッシュを創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。平成26年には、中期経営計画「VISION2016」を策定し、重点領域である「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」事業分野を中心に成長戦略を展開するとともに積極的にM&Aを行い、次の成長に向けて必要な技術や資産を獲得しました。
平成29年度は、英国のEU離脱や移民問題等数々の課題を抱える欧州市場、新政権の今後の政策やその影響に留意が必要な米国市場、中国をはじめとした新興国経済の動向等、地政学的リスクも含め先行きの見えない不安定な状況が続き、厳しい経済環境の一年となることが予想されますが、これまで蓄積した技術やノウハウ、人材等の資産を活用し、さらに戦略的な飛躍を遂げるために、「新規事業の利益貢献」「グローバル展開の加速」「効率的な経営」の三つを重点課題として取り組み、企業価値を向上していきます。
「新規事業の利益貢献」について、戦略的なM&Aと社内組織・リソースの柔軟な再編を組み合わせ、新たなビジネス領域に進出し、その成長を加速していきます。特にヘルスケア分野では、再生医療、創薬の領域を中心に積極的にM&Aを進めていきます。平成29年4月に再生医療で重要な役割を果たす「培地・サイトカイン」に高い技術を持つ和光純薬工業㈱を当社グループに加えました。これにより、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるCellular Dynamics International, Inc.や自家培養軟骨や皮膚を提供する㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、そして「足場材」で強みを持つ富士フイルム㈱とあわせ、再生医療の重要な三要素である「細胞」「培地・サイトカイン」「足場材」を当社グループ内で一体として開発できる体制が整いました。再生医療製品の開発加速、再生医療の事業領域の拡大を図るとともに、官・学との連携も強化し、再生医療の産業化に貢献していきます。創薬の分野では、開発中の抗がん剤「FF-10501」をはじめ、アルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」等、アンメットメディカルニーズに対応した新薬の開発を加速させるとともに、高い市場成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発・製造受託を強化し、早期に収益化を図ります。また、経営の意思決定のさらなるスピードアップと、変化が激しい市場ニーズに迅速に対応するため、バイオCDMO事業部等新しい事業部を富士フイルム㈱に設置しました。独立した組織の下で、よりタイムリーな経営資源の投入を行い、事業成長を加速させ、新規事業の利益貢献を目指します。
「グローバル展開の加速」について、当連結会計年度に、当社は中国有数の複合企業である華潤(集団)有限公司と、また、富士フイルム㈱はロシア有数の製薬企業であるJSC R-Pharm(アールファーム)と事業提携を進めることを合意しました。今後協業を加速し、両社が持つ販売網や物流網等を活用することで、巨大な中国、ロシア市場でのビジネスを拡大していきます。研究・開発の領域では、日米欧に開設した「Open Innovation Hub」を通じて、ビジネスパートナーとともに新たな価値を「共創」し、画期的な製品・技術・サービスを生み出していきます。
「効率的な経営」について、研究・開発費の対投資効果の検証、開発・生産体制の再編、機器の原価低減や部品調達コストの削減に継続的に取り組み、収益性の向上を図ります。また、M&Aを通じて子会社化した富山化学工業㈱やFUJIFILM Diosynth Biotechnologies U.S.A., Inc.等の生産ラインに富士フイルム㈱の高い生産技術を導入することで、生産性の向上とコストダウンを実現しています。今後これらの活動を継続強化するとともに、新たに連結子会社化した和光純薬工業㈱へも展開することで事業の収益性を向上させていきます。日米欧に設置されたシェアードサービス拠点を通じて、当社グループ各社の事業推進力を高めるとともに、継続的なコストダウンを実現していきます。働き方の変革活動「Work Style Innovation」を展開し、多様な社員一人ひとりが能力を発揮し、効率的な働き方で成果を出す風土に変革することを目指します。
加えて、平成29年6月に制定した「コーポレートガバナンス・ガイドライン」に基づいた活動により、コーポレートガバナンスをさらに充実させ、コンプライアンス・リスクマネジメントの強化を図るとともに、事業活動を通じて社会課題の解決に真摯に取り組むことで企業の社会的責任を果たし、社会全体の発展に貢献していきます。特に、富士ゼロックス㈱の海外子会社に関する不適切な会計処理及び取引に端を発した第三者委員会の調査結果を真摯に受け止め、多面的な施策を実施することで、再発防止に努めてまいります。具体的には、富士ゼロックス㈱の本社・経営管理機能の一部の当社への統合、経営幹部を含めたグループ内人材交流の一層の拡大、当社への報告体制を含めた富士ゼロックス㈱及びその子会社にかかる内部統制の見直し・再構築により、業務プロセスの透明化を図り、グループガバナンスを強化してまいります。
当社グループは、平成29年度の基本方針として「スピーディーにイノベーティブな成果を出す」を掲げました。現場の業務プロセスを抜本的に見直し、イノベーションを起こすことで、あらゆる企業活動において生産性向上と効率化を進め、全事業における収益性向上に向けた取り組みを加速します。
(2)会社の支配に関する基本方針について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。
株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。
当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。
当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)経済情勢・為替変動による業績への影響
当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、連結ベースでの海外売上高比率は当連結会計年度において約59%です。世界各地の経済情勢、とりわけ為替レートの変動は業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
為替変動による業績への影響を軽減するため、米ドル、ユーロにおいて先物予約を中心としたヘッジを行っていますが、為替の変動の程度によって業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)市場競合状況
当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落、製品のライフサイクルの短縮化、代替製品の出現等が考えられます。これらは、売上高に影響を与え、また研究開発コストが増加する、営業権ほか無形固定資産の評価見直しを行う等、結果的に利益の減少に結びついていく可能性があります。今後も、新たな技術に裏付された製品・サービスの研究開発とこれをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては業績に影響を及ぼす可能性が考えられます。
(3)特許及びその他の知的財産権
当社グループは、さまざまな特許、ノウハウ等の知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保していますが、将来、特許の権利存続期間の満了や代替技術等の出現に伴って、優位性の確保が困難となることが起こり得ます。
当社グループが関連する幅広い事業分野においては、多数の企業が高度かつ複雑な技術を保有しており、また、かかる技術は著しい勢いで進歩しています。事業を展開する上で、他社の保有する特許やノウハウ等の知的財産権の使用が必要となるケースがありますが、このような知的財産権の使用に関する交渉が成立しないことで業績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社の権利を侵害することがないよう常に注意を払って事業展開をしておりますが、訴訟に巻き込まれるリスクを完全に回避することは難しいのが実情です。このような場合、係争費用や敗訴した場合の賠償金等の負担により、業績に影響を及ぼす可能性も考えられます。
(4)公的規制
当社グループが事業を展開している地域においては、事業・投資等の許認可、輸出入に関する制限や規制等、さまざまな政府規制を受けています。また、通商、公正取引、特許、消費者保護、租税、為替管理、環境関連、薬事関連等の法規制も受けています。
万一、規制に抵触した場合、制裁金等が課される可能性があり、さらに、今後規制が強化されたり、大幅な変更がされたりすることが考えられ、その場合、当社グループの活動の制限や、規制遵守のため、あるいは規制内容の改廃に対応するためのコストが発生する可能性も否定できません。従って、これらの規制は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)生産活動
当社グループの生産活動において、自然災害又は人災、原材料・部品等の供給元の製造中止、その他要因による混乱等により当社グループ製品の供給が妨げられたり、重大な設備故障が発生したりする可能性があります。また、原材料・部品等の価格高騰により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、厳しい品質管理基準に従い各種製品を生産しておりますが、将来にわたり製品に欠陥が発生する可能性がないとは言えず、万一、リコール等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報システム
当社グループは、さまざまな情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策を行っておりますが、停電、災害、不正アクセス等の要因により、情報システムの障害や個人情報の漏えい、改ざん等の事態が起こる可能性があります。これらにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)大規模災害
当社グループは、世界各地で生産・販売等の事業活動を行っております。このため、地震、台風、洪水といった大規模な自然災害に見舞われた場合や、火災、テロ、戦争、新型インフルエンザ等の感染症の蔓延といった要因により、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)構造改革
当社グループは、今後も、経営効率の向上に向けて、コスト削減や資産圧縮を図る等の諸施策を講じていく方針です。この進展状況によって組織や事業・業務の見直しにより一時的に多額の経費が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)相互に技術を供与している契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
富士ゼロックス㈱(連結子会社) |
Xerox Corporation(米国) |
ゼログラフィー製品及びその他の製品に関する技術・商標等のクロスライセンス |
平成28年4月1日から 平成33年3月31日まで |
(2)外国会社への技術輸出契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
富山化学工業㈱(連結子会社) |
Merck Sharp & Dohme Corp(注)(米国) |
ニュータイプのキノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについての実施契約並びにバルク供給契約 |
平成16年6月22日から 対象特許の満了日まで |
|
MSD International Holdings GmbH (注)(スイス) |
(注)Schering Corporation(米国)はMerck Sharp & Dohme Corp との合併(平成24年5月)により、社名がMerck Sharp & Dohme Corp となっております。
Schering-Plough Limited(スイス)は組織変更により、社名をMSD International Holdings GmbH に変更しております。
(3)国内会社との取引契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
富山化学工業㈱(連結子会社) |
アステラス製薬㈱ |
ニュータイプの経口用キノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについて国内における実施権供与、共同開発、並びに販売権の供与 |
平成18年3月31日から 対象特許の満了日まで |
(4)買収に関する契約
当社の完全子会社である富士フイルム㈱(以下、「富士フイルム」と記述します。)は、平成28年12月15日の取締役会において、総合試薬メーカーの和光純薬工業㈱(以下、「和光純薬」と記述します。)の普通株式を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)に基づく公開買付けにより取得することを決定いたしました。
同日において富士フイルムは、武田薬品工業㈱との間で、同社グループが公開買付け開始日において所有する和光純薬の普通株式のすべてを本公開買付けに応募する旨の契約を締結しました。本公開買付けは平成29年2月27日より開始し、平成29年4月3日をもって終了しております。
当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。
富士フイルム㈱は、平成29年4月に総合試薬メーカーである和光純薬工業㈱を連結子会社化しました。今後、和光純薬とのシナジー創出により、既存ビジネスの最大化、競争力の高い新規製品の開発・提供等を通じて、ヘルスケア、高機能材料のさらなる事業成長を図っていきます。また、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及び富山化学工業㈱等のグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。さらに、これまで富士フイルムグループが開発してきた優れた材料・製品を支える基盤技術やコア技術、開発中の新しい技術・材料・製品を直接触れていただきながら、ビジネスパートナーにソリューションを提案する施設「Open Innovation Hub」には、開設以来、日・米・欧3拠点合わせて延べ約1,500社・8,000名が来訪しました。ビジネスパートナーが持つ課題やアイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結びつけ、画期的な新しい製品・技術・サービスを生み出す「共創」活動が活発に行なわれています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は160,232百万円(前年度比1.7%減)、売上高比6.9%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は24,383百万円です。
当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。
(1)イメージング ソリューション部門
フォトイメージング事業では、インスタントカメラinstax“チェキ”シリーズで初めてデジタルイメージセンサーとデジタル画像処理技術を搭載し、写真画質の大幅な向上及びプリント出力前の画像編集・加工を実現したハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE SQ10」を開発し、発売しました。
光学・電子映像事業では、35mmフルサイズイメージセンサーの約1.7倍となる大型サイズ(43.8×32.9mm)のイメージセンサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50S」と、大口径の専用交換レンズ「フジノン GFレンズ」3種を開発し、発売しました。「FUJIFILM GFX 50S」は、有効画素数5140万画素の「FUJIFILM Gフォーマット」センサー、高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」、独自の色再現技術、「フジノン GFレンズ」との組み合わせで、富士フイルム史上最高画質を実現するハイエンドミラーレスデジタルカメラです。また、独自の色再現技術で卓越した写真画質を実現した「Xシリーズ」の最新モデルとして、高い機動性と優れた操作性を発揮する小型軽量ボディに、2430万画素のAPS-Cサイズ「X-Trans™ CMOS Ⅲ」センサーと高速画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T20」を開発、発売しました。さらに、4K対応の放送用ズームレンズとして小型・軽量なポータブルズームレンズ「FUJINON UA18×5.5」と「FUJINON UA14×4.5」を開発し、発売しました。「FUJINON UA18×5.5」は、質量約2.04kgながら、広角5.5mmから望遠100mmまでの焦点距離を1本でカバーし、報道や、各種番組制作のロケ等の機動力が必要とされる撮影現場にも対応します。「FUJINON UA14×4.5」は、全長約238.5mmの小型ボディで、超広角4.5mmの焦点距離を活かし、スポーツ中継や、各種番組制作のロケ等で奥行きのある臨場感溢れる映像を撮影することが可能です。
本部門の研究開発費は、8,190百万円となりました。
(2)インフォメーション ソリューション部門
メディカルシステム事業では、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite Edge II」とフルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SII」の2製品を開発し、発売しました。「SonoSite Edge II」は、圧電素子の周辺設計を工夫することで、高精細な画像を実現する独自のデバイス技術「DirectClear™」をプローブに搭載し、超音波が届きにくい体内深部も鮮明に観察することが可能です。「SonoSite SII」は、モニターと操作部を一体化し、さらにタッチパネルを採用することで、高い操作性を実現しています。また、小型化と従来機比約5分の1の軽量化を実現した画期的な超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」を開発し、発売しました。本製品は、高画質なX線撮影が可能であることに加え、小型・軽量で機動性にも優れ、救急、集中治療室といったスペースが限られる医療現場でも素早い検査や画像確認といった最適なワークフローを提供します。さらに、光源に波長の異なる2種類のレーザーを用いた内視鏡システム「LASEREO」シリーズの新たなラインアップとして、「LASEREO 7000システム」、下部消化管用スコープ「EC-L600MP7」を開発し、発売しました。「LASEREO 7000システム」は、レーザー制御技術をさらに進化させることで、粘膜表層の血管や構造の観察に適したBLI機能を使用して中景・遠景を観察する際の視認性を高め、より精細な観察をサポートします。「EC-L600MP7」は、スクリーニング検査に適した先端部径11.1mmの細径スコープです。スコープ軟性部の硬さを任意に調整できる硬度調整機能を搭載し、スコープ先端部を大腸の深部までスムーズに挿入でき、大腸の内視鏡検査において、患者の身体的苦痛の軽減が期待されます。
医薬品事業では、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業をさらに拡大するために、米国においては、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texas, LLCが、生産能力増強のために、米国政府の助成を得て約100億円をかけて建設を進めてきた生産棟が完成し、今後、約30億円を投じてバイオ医薬品の生産に必要な設備を導入し、平成30年初めに稼動させる予定です。また英国では、FUJIFILM Diosynth Biotechnologies UK Limited に、約10億円をかけてバイオ医薬品の生産プロセスの開発拠点を増設します。新拠点には、医薬品の成分等を高速で自動分析できる最先端機器や培養・精製の小スケール実験が全自動で行える最新鋭設備等を導入し、独自の高生産性細胞作製技術「Apollo™」と組み合せて、顧客ニーズに応じた高効率な生産プロセスをスピーディーに開発します。同拠点の開設は、平成29年夏を予定しています。また、富士フイルムRIファーマ㈱は、悪性腫瘍、虚血性心疾患及びてんかんの診断を目的としたPET検査用放射性医薬品「フルデオキシグルコース(18F)静注「FRI」」の製造販売承認を取得しました。「フルデオキシグルコース(18F)静注「FRI」」は、より柔軟に検査予定時刻を設定でき、また検査に必要な放射能を過不足なく適切に投与することが可能となるよう、製造時に1バイアル中の放射能を一定の範囲内で調整して提供する放射性医薬品です。これにより臨床現場での利便性の向上や不要な被ばくの低減に貢献することが期待されます。
再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.(以下、「CDI社」と記述します。)が、米国国立眼科研究所と、他家iPS細胞由来の網膜色素上皮細胞を用いた加齢黄斑変性の治療に関する共同研究開発契約を締結しました。またCDI社は、世界で初めてiPS細胞から視細胞への分化誘導法を確立した網膜疾患治療の世界的権威であるDr. David Gammと、他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法を開発する新会社Opsis Therapeutics, LLC.(以下、「Opsis Therapeutics」と記述します。)を米国に設立しました。今後Opsis Therapeuticsは、他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法の開発を進め、本治療法に必要となる網膜色素上皮細胞と視細胞を組み合わせた再生医療製品を上市することで、再生医療の事業化を推進していきます。富士フイルム㈱は、他家iPS細胞由来の間葉系幹細胞を効率的に大量生産できる技術を確立しているオーストラリアの再生医療ベンチャーCynata Therapeutics Limited (以下、「Cynata社」と記述します。)への出資を行い、Cynata社は平成29年5月にCDI社が提供した他家iPS細胞由来の間葉系幹細胞を用いた再生医療製品の臨床試験を開始しました。
ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT」、「ASTALIFT WHITE」両シリーズの化粧水をリニューアル発売しました。「ASTALIFT」の化粧水である「アスタリフト モイストローション」には、「アスタキサンチン」と「ビタミンA」を組み合わせ、粒子径を世界最小クラス(平成28年5月16日現在 富士フイルム㈱調べ)にナノ乳化した独自成分「ナノビタミンAx」と、その効果をサポートする「コラーゲンペプチド」で構成された複合成分「CLリフレッシャーⓇ」を配合しました。「ASTALIFT WHITE」の化粧水である「アスタリフト ホワイト ブライトローション」には、美白有効成分「アルブチン」に加え、シリーズ共通の美容成分「ナノAMA」と、くすみをケアする「フェルラ酸」を組み合わせた複合成分「ナノAMA+」を配合しました。また、「飲むアスタキサンチン」シリーズから、「飲むアスタキサンチン すっとねリッチ クロセチンプラス」を発売しました。「アスタキサンチン」に加えて、「クチナシ由来クロセチン」を配合し、健康な睡眠をサポートするだけでなく、肌の潤いも守る機能性表示食品です。
記録メディア事業では、一般財団法人 省エネルギーセンターが主催する平成28年度「省エネ大賞」において、大容量磁気テープを使った省エネルギー型ビジネスモデルである「テープアーカイブアプライアンス」が「製品・ビジネスモデル部門」で「資源エネルギー庁長官賞」を受賞しました。このビジネスモデルをデータアーカイブストレージシステム「d:ternity(ディターニティ) オンサイト アーカイブ」として提供を開始しました。
グラフィックシステム事業では、完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZD」を開発し、発売しました。「SUPERIA ZD」は、支持体表面処理技術「MGZ(Multi Grain Z)」やUVインクに対応するための「HDN(Hyper Dimension Networking)」技術の搭載により耐刷性が向上、「s-HDS(super Hydro Discrimination Surface)」技術により汚れにくさ、水幅の拡大を実現しました。また、超高速四六全サーマルデジタルプレートセッター「Luxel PLATESETTER T-9800HDN E/S/X」を開発し、発売しました。高感度サーマルCTPプレートとの組み合わせにより、「70版/時」の出力スピードを実現しました。
本部門の研究開発費は、66,194百万円となりました。
当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(平成29年6月現在)
|
開発番号 |
薬効・適応症 |
剤形 |
地域 |
状況 |
|
T-705 |
抗インフルエンザウィルス薬 |
経口 |
米国 |
PhⅢ実施中 |
|
T-3811 |
キノロン系合成抗菌薬 |
経口 |
中国 |
承認申請中 |
|
T-2307 |
抗真菌薬 |
注射 |
米国 |
PhⅠ終了 |
|
T-817MA |
アルツハイマー型認知症治療薬 |
経口 |
米国 日本 |
PhⅡ実施中 PhⅡ実施中 |
|
T-4288 |
マクロライド系抗菌薬 |
経口 |
日本 |
PhⅢ実施中 |
|
ITK-1 |
去勢抵抗性前立腺がん治療薬 |
注射 |
日本 |
PhⅢ実施中 |
|
FF-10501 |
再発・難治性骨髄異形性症候群治療薬 |
経口 |
日本 米国 |
PhⅠ終了 PhⅡ実施中 |
|
FF-10502 |
進行・再発膵がん/卵巣がん治療薬 |
注射 |
米国 欧/日 |
PhⅠ実施中 PhⅠ準備中 |
|
FF-21101 |
進行・再発非小細胞肺がん/膵がん治療薬(Armed抗体) |
注射 |
米国 欧/日 |
PhⅠ実施中 PhⅠ準備中 |
|
F-1311 |
前立腺がん診断薬(放射性医薬品) |
注射 |
日本 |
PhⅡ実施中 |
|
FF-10101 |
再発・難治性急性骨髄性白血病治療薬 |
経口 |
米国 |
PhⅠ準備中 |
|
FF-10102 |
自己免疫疾患治療薬 |
経口 |
米/欧/日 |
非臨床試験実施中 |
(3)ドキュメント ソリューション部門
オフィス市場向けには、一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる多様な働き方を可能にする富士ゼロックス㈱の新コンセプト「Smart Work Gateway」を発表しました。コンセプト実現に向け、自社・他社クラウドサービスとの連携や、新たなユーザーエクスペリエンスを提供するデジタルカラー複合機「ApeosPort-VI C」8機種及び「DocuCentre-VI C」シリーズ8機種を、中国を含むアジア太平洋地域と日本で発売開始しました。中小規模事業所市場向けには、モバイル端末と連携し、窓口や店頭で便利に使えるA4カラープリンター複合機「DocuPrint CM310 z/DocuPrint CM210 z」及び、A4カラープリンター「DocuPrint CP310 dw/DocuPrint CP210 dw」を発売しました。エントリープロダクションカラー市場向けには、新開発「フィニッシャーD6」等、新たな後加工オプションをラインナップに追加し、オンデマンドプリントの多彩な製本ニーズと高まる製本品質へのニーズに応える「Versant 3100 Press」「Versant 180 Press」を発売しました。
ソリューション・サービス関連では、中小規模事業所の各種申請や報告業務を効率化するため、富士ゼロックス㈱のドキュメントハンドリングソフトウェア「DocuWorks」を活用した「申請・報告ソリューション」の提供を開始しました。また、人材開発システムの構築とコンテンツ制作を支援する中小企業向けクラウドサービス「SkyDesk Mixed Learning」の提供を開始しました。さらに、慶應義塾大学と内部構造・色・材料・接合強度情報を全て保持した世界初の3Dプリント用データフォーマット「FAV」を共同研究し、仕様を公開しました。「FAV」をデファクトスタンダードとすべく、3Dプリンターを活用した新しいものづくり環境をお客様と一緒に実現していきます。
本部門の研究開発費は、61,465百万円となりました。
(1) 資本の財源及び資金の流動性
営業活動により獲得したキャッシュは、前年度に対し651億円増加し、2,886億円の収入となりました。当連結会計年度では、前年度に比べ、受取債権の回収額の増加や未払法人税等及びその他負債の支払額の減少等の増加要因がありました。
投資活動により使用したキャッシュは、前年度に対し409億円減少し、有形固定資産の購入等に伴う支出により1,164億円となりました。
財務活動により獲得したキャッシュは、長期債務による資金調達等により、1,113億円となりました。
これらの活動の結果に加えて、為替変動による影響で、現金及び現金同等物の残高は、前年度末に対し2,751億円増加し、8,760億円となりました。
・連結キャッシュ・フロー指標
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
株主資本比率(%) |
60.8 |
57.8 |
|
時価ベースの株主資本比率(%) |
60.5 |
53.9 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.6 |
1.9 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
51.1 |
60.2 |
|
(注)株主資本比率 |
:株主資本/総資産 |
|
時価ベースの株主資本比率 |
:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産 *自己株式を除く |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息) |
(2) 経営成績
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前年度の2兆4,604億円に対し、1,382億円減少し、2兆3,222億円(前年度比5.6%減)となりました。国内売上高は9,627億円(前年度比2.1%減)、海外売上高は1兆3,595億円(前年度比7.9%減)となりました。実績為替レートは108円/米ドル(前年度比12円高)、119円/ユーロ(前年度比14円高)となりました。
イメージング ソリューション部門は、為替の円高によるマイナス影響等により、売上は減少しました。インフォメーション ソリューション部門は、フラットパネルディスプレイ材料事業や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響等により、売上は減少しました。ドキュメント ソリューション部門は、欧米向け輸出の売上がオフィスプリンター事業を中心に減少したことに加え、アジアローカル通貨安によるマイナス影響等により、売上は減少しました。
② 営業費用及び営業利益
販売費及び一般管理費は、前年度の6,250億円に対し269億円減少し、5,981億円(前年度比4.3%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.8%でした。
研究開発費は、前年度の1,630億円に対し28億円減少し、1,602億円(前年度比1.7%減)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.9%でした。
営業利益は、前年度の1,806億円に対し、各事業における売上高の減少等により83億円減少し、1,723億円(前年度比4.6%減)となりました。
イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の320億円に対し48億円増加し、368億円となりました。これは、為替の円高による売上減少の影響を受けたものの、各事業の収益性が改善したことによるものです。インフォメーション ソリューション部門の営業利益は、前年度の907億円に対し77億円減少し、830億円となりました。これは、為替の円高による売上減少等によるものです。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の879億円に対し52億円減少し、827億円となりました。これは、為替の円高によるマイナス影響や欧米向け輸出の減少等によるものです。
③ 営業外損益及び税金等調整前当期純利益
営業外収益及び費用は、投資有価証券売却益を計上したこと等により、前年度16億円の営業外収益に対し209億円増加し、225億円の営業外収益となりました。
税金等調整前当期純利益は、前年度の1,822億円に対し126億円増加し、1,948億円となりました。
④ 法人税等
法人税等は、前年度の484億円に対し43億円減少し、441億円となりました。
⑤ 持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益
持分法による投資損益は、前年度3億円の損失に対し損失が32億円増加し、35億円の損失となりました。
非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度の171億円に対し14億円減少し、157億円となりました。
⑥ 当社株主帰属当期純利益
当社株主帰属当期純利益は、前年度の1,164億円に対し151億円増加し、1,315億円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の250.03円に対し、296.27円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の249.20円に対し、295.22円となりました。