第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当社の完全子会社である富士フイルム㈱(以下、「富士フイルム」と記述します。)は、平成28年12月15日の取締役会において、総合試薬メーカーの和光純薬工業㈱(以下、「和光純薬」と記述します。)の普通株式を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)に基づく公開買付けにより取得することを決定いたしました。

 同日において富士フイルムは、武田薬品工業㈱との間で、同社グループが公開買付け開始日において所有する和光純薬の普通株式のすべてを本公開買付けに応募する旨の契約を締結しました。本公開買付けは、競争法上要求される手続きの完了を含む一定の前提が満たされていることを条件として、平成29年2月27日より開始する予定です。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間の世界経済を概観すると、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費を中心に回復が続きました。欧州では、英国で景気の回復が続いたことに加え、ユーロ圏の景気も緩やかな回復が続きました。中国の景気は持ち直しの動きが続き、アジア全体でも緩やかな回復が続きました。日本の景気は、雇用・所得環境が改善する等、緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループは平成26年11月に策定した中期経営計画「VISION2016」(平成26年度~平成28年度)に基づき、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長ドライバーとし、拡販活動や新製品の市場投入により、売上、シェア及び利益の拡大に向けた取り組みを加速しています。当社の完全子会社である富士フイルムは、平成28年12月15日の取締役会において、総合試薬メーカーの和光純薬の普通株式を金融商品取引法(昭和23年法律第25号。その後の改正を含みます。)に基づく公開買付けにより取得することを決定いたしました。今後、和光純薬とのシナジー創出により、既存ビジネスの最大化、競争力の高い新規製品の開発・提供等を通じて、ヘルスケア、高機能材料のさらなる事業成長を図っていきます。また、その他の事業においてもビジネス規模と市場での優位性を維持するとともに、あらゆる企業活動において生産性向上と効率化を進め、全事業における収益性向上に向け、全社一丸となり邁進しています。

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、フラットパネルディスプレイ材料事業、電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響等により、1,702,904百万円(前年同期比7.5%減)となりました。国内売上高は705,489百万円(前年同期比2.2%減)、海外売上高は997,415百万円(前年同期比10.9%減)となりました。

 営業利益は、各事業において収益性の改善を進めたものの、為替の円高によるマイナス影響等により、114,139百万円(前年同期比14.8%減)となりました。営業外収益及び費用で、投資有価証券売却益及び為替差益等を計上したことにより、税金等調整前四半期純利益は126,162百万円(前年同期比11.0%減)、当社株主帰属四半期純利益は76,928百万円(前年同期比8.8%減)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

① イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキフィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売が欧米を中心に好調に推移しました。平成28年10月に、新たな楽しみ方の提案として、モノクロ画像がプリントされるチェキフィルム「モノクローム」を発売し、販売拡大を図りました。また、フォトブック等の付加価値プリントビジネスも拡大しましたが、為替の円高影響により、売上は減少しました。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、「Xシリーズ」史上最高の画質と機動性を実現した「FUJIFILM X-Pro2」に加え、平成28年9月に販売を開始した、高速レスポンス性能、高精度AF性能等を実現した「FUJIFILM X-T2」等フラッグシップモデル及び交換レンズの販売が伸長したこと等により、売上が増加しました。光学デバイス分野では、スマートフォン用カメラモジュールの販売縮小等により、売上が減少しました。他社に先駆けて発売した4Kカメラ対応の放送用ズームレンズが画質面で高い評価を受けており、ワールドワイドでのシェア拡大に取り組んでいます。

  本部門の連結売上高は、為替の円高によるマイナス影響等により、256,351百万円(前年同期比5.9%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少の影響を受けたものの、各事業の収益性が改善し、28,055百万円(前年同期比5.9%増)となりました。

 

② インフォメーション ソリューション部門

 メディカルシステム事業では、成長分野である体外診断(IVD)システムの販売が好調に推移したものの、為替の円高影響等により、売上は減少しました。X線画像診断分野では、DR方式・カセッテ型デジタルX線画像診断装置「CALNEO(海外名称:D-EVO)」シリーズ等の販売が堅調に推移しました。平成28年11月に小型化と従来機比約1/5の軽量化を実現した超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」の販売を開始しました。医療IT分野では、病院内の各診療科のシステムや異なるメーカーの医用画像情報システム(PACS)に保管されている診断画像、各種動画等の多様な診療情報を一元的に管理・保管できる統合アーカイブシステム「SYNAPSE VNA」の国内での販売を平成28年4月に開始。さらに5月に、従来と比べて画像処理・表示スピードを2倍に高速化し、医師の診断効率の向上に貢献するPACS「SYNAPSE 5」の販売を開始する等、今まで以上に効率的で、診断に寄与するソリューションの提案を強化しています。内視鏡分野では、高解像度CMOSセンサー搭載のレーザー光源内視鏡システム「LASEREO」や新超音波内視鏡システム等の販売が堅調に推移しました。超音波診断分野では、平成28年5月に、小型・軽量なタブレットタイプの超音波画像診断装置「SonoSite iViz」の国内での販売を開始し、ラインアップを強化しました。また、IVD分野において、ウイルスや細菌等の抗原の有無を自動判定するデンシトメトリー分析装置「富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノエージーワン)」専用の体外診断薬として、マイコプラズマ抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AG カートリッジ Myco(マイコ)」の販売を平成28年10月に開始しました。簡便・迅速かつ高感度な検査で、マイコプラズマ肺炎の早期診断に貢献していきます。

 医薬品事業では、バイオ医薬品開発製造受託が堅調に推移したものの、低分子医薬品において後発医薬品の影響を受けたこと等により、売上は減少しました。研究開発においては、平成28年12月より新規フルオロケトライド系抗菌薬「T-4288」(一般名:ソリスロマイシン)の日本における臨床第Ⅲ相試験を開始する等、パイプラインの開発を着実に推進しています。

 再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.(以下、「CDI社」と記述します。)が、米国国立眼科研究所(National Eye Institute)と、他家iPS細胞を用いた加齢黄斑変性の治療に関する共同研究開発契約を締結しました。さらに、網膜疾患治療の世界的権威であるDr. David Gammと他家iPS細胞を用いた網膜疾患の治療法を開発する新会社を米国に設立しました。また、平成28年9月に、CDI社はiPS細胞を安全かつ効率的に作製する技術に関する特許を米国やオーストラリアに続き、日本でも取得しました。今回の特許取得を契機に、当社のエンジニアリング技術やグループ会社の㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの品質マネジメントシステム等、グループのシナジーを発揮させ、iPS細胞の受託生産ビジネスを拡大させていきます。

 ライフサイエンス事業では、平成28年9月にリニューアルした高機能化粧水「アスタリフト モイストローション」等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。

 フラットパネルディスプレイ材料事業では、「WVフィルム」やVA用フィルム、IPS用フィルムの販売が好調に推移し、売上が増加しました。液晶テレビ向けの販売を維持しつつ、中小型ハイエンド品向けの拡販を推し進めるとともに、タッチパネル関連等新規分野への展開を積極的に行っていきます。

 産業機材事業では、新規事業であるタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調に推移したものの、為替の円高影響や工業用X線フィルム等既存事業の販売減少等により、売上は減少しました。

 電子材料事業では、先端フォトレジスト及び現像液・処理剤等先端フォトリソ周辺材料やCMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も前年度に連結子会社化した米国溶剤製造販売会社 Ultra Pure Solutions, Inc.を含め、幅広い製品群を大手顧客中心に拡販し、電子材料事業をさらに拡大していきます。

 記録メディア事業では、「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの販売が堅調に推移し、売上が増加しました。デジタルデータの増大に伴いデータアーカイブ分野へのBaFe製品の拡販を進めるとともに、アーカイブサービス「d:ternity(ディターニティ)」のさらなる普及によって、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。

 グラフィックシステム事業では、デジタル印刷機器や産業用インクジェットヘッド等の販売が伸長しましたが、為替の円高影響等により、売上は減少しました。インクジェット技術で世の中の多様なニーズに応え、事業の更なる拡大を図るため、平成29年1月1日付でインクジェット事業部をグラフィック事業から独立させ、新設しました。「ヘッド」「インク」「画像処理」、すべてを自社グループ内で一貫して開発できる強みを活かし、商業印刷に加え、産業用途や3Dプリンティング等の新規成長分野でも新たなビジネスを創出し、売上拡大を目指します。

 本部門の連結売上高は、フラットパネルディスプレイ材料事業や電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、為替の円高によるマイナス影響等により、656,680百万円(前年同期比6.3%減)となりました。営業利益は、為替の円高による売上減少等の影響により、56,767百万円(前年同期比8.0%減)となりました。

③ ドキュメント ソリューション部門

 オフィスプロダクト事業は、販売台数が前年並みとなりました。国内においては、前年度のコンビニエンスストア代替に対する反動等から販売台数が減少しました。アジア・オセアニア地域においては、中国でのモノクロ複合機の販売が好調に推移し、販売台数が増加しました。欧米向け輸出においては、販売台数が前年並みとなりました。各種クラウドサービスと連携するA3フルカラー複合機「ApeosPort- VI C/DocuCentre- VI C」シリーズを平成28年12月より日本、アジア・オセアニア地域で順次販売を開始しました。

 オフィスプリンター事業は、販売台数が減少しました。国内及び欧米向け輸出の販売台数が減少しましたが、アジア・オセアニア地域においては、モノクロ機の販売が好調に推移し、販売台数が増加しました。

 プロダクションサービス事業は、販売台数が減少しました。アジア・オセアニア地域及び欧米向け輸出の販売台数が減少しましたが、国内では基幹業務出力向けプリンターの販売が好調に推移し、販売台数が増加しました。

 グローバルサービス事業は、アジアローカル通貨安の影響を受け売上が減少しましたが、国内及びアジア・オセアニア地域ともにマネージド・プリント・サービス(MPS)ビジネスが堅調に推移しました。

 本部門の連結売上高は、欧米向け輸出の売上がオフィスプリンター事業を中心に減少したことに加え、アジアローカル通貨安によるマイナス影響等により、789,873百万円(前年同期比9.0%減)となりました。営業利益は、為替の円高によるマイナス影響と欧米向け輸出の減少等により、51,789百万円(前年同期比23.7%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より42,815百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末においては643,712百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は189,989百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して46,237百万円(32.2%)増加しておりますが、これは受取債権の回収額が増加したことや未払法人税等及びその他負債の支払額が減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は65,916百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して58,540百万円(47.0%)減少しておりますが、これは前第3四半期連結累計期間においてCDI社の事業買収があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は80,474百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して46,997百万円(36.9%)減少しておりますが、これは自己株式の取得による支出が減少したこと等によるものです。

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

 当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。

 株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。

 当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

 

(4) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、118,966百万円(前年同期比3.0%減)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。