第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度の世界経済は、アジア新興国等において弱さがみられたものの、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費を中心に回復が続きました。欧州では、英国で景気の回復が続いたことに加え、ユーロ圏の景気も緩やかな回復が続きました。中国の景気は緩やかに減速、アジア全体でも弱い動きとなりました。日本の景気は、雇用・所得環境が改善する等、緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループは中期経営計画「VISION2016」(平成26年度~平成28年度)を達成すべく、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長ドライバーとし、拡販活動や新製品の市場投入により、売上、シェア及び利益の拡大を進めています。また、その他の事業においてもビジネス規模と市場での優位性を維持するとともに、あらゆる企業活動において生産性向上と効率化を進め、全事業における収益性向上に向けた取組みを加速しています。

 当社グループの当連結会計年度における連結売上高は、フォトイメージング事業、メディカルシステム事業、産業機材事業、電子材料事業等で売上を伸ばしたものの、光学・電子映像事業やフラットパネルディスプレイ材料事業等の売上が減少し、前年度並みの2,460,383百万円(前年度比0.1%減)となりました。営業利益は、各事業における収益性の改善等により、180,626百万円(前年度比9.9%増)となりました。前連結会計年度に㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの連結子会社化による評価益21,224百万円を営業外収益に計上したため、税金等調整前当期純利益は前年度から減少し、182,242百万円(前年度比3.6%減)となりましたが、当社株主帰属当期純利益は、日本の税制改正に伴う法人税率引き下げ影響等により116,402百万円(前年度比4.9%増)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

①イメージング ソリューション部門
 フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズや多種多様なチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売が欧米を中心に大きく伸長しました。平成28年3月には、大人気キャラクター「ハローキティ」デザインの新製品として、“チェキ”「instax mini ハローキティレッド」と、“チェキ”用絵柄フィルム「ハローキティ」を発売し、ラインアップを強化しました。また、多くの写真データから良い写真を自動でレイアウトし1冊のアルバムにする「Year Album」や複数の写真を1枚にまとめてプリントする「シャッフルプリント」等の付加価値プリントビジネスが拡大したこと等により、売上が増加しました。
 光学・電子映像事業の電子映像分野では、コンパクトデジタルカメラのラインアップ縮小により売上は減少したものの、小型軽量ボディながら卓越した写真画質と快適な操作性を実現するミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T10」、平成28年3月に販売を開始した「Xシリーズ」史上最高の画質と機動性を実現したフラッグシップモデル「FUJIFILM X-Pro2」等の高級機へのシフトが進んだことや、アジア地域での拡販が進んだことにより、「Xシリーズ」の販売が好調に推移しました。光学デバイス分野では、スマートフォン用カメラモジュールの売上が大幅に減少しました。他社に先駆けて発売した4Kカメラ対応の放送用ズームレンズは、画質面で高い評価を受けており、ワールドワイドでのシェア拡大を図ります。

 本部門の連結売上高は、フォトイメージング事業で売上を伸ばしたものの、光学・電子映像事業の売上が減少し、352,922百万円(前年度比2.0%減)となりました。営業利益は、フォトイメージング事業の売上高の増加に伴う売上総利益の増加等により、32,013百万円(前年度比57.3%増)となりました。

②インフォメーション ソリューション部門
 メディカルシステム事業では、医療ITシステム、内視鏡、超音波診断装置等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、DR方式・カセッテ型デジタルX線画像診断装置「CALNEO(海外名称:D-EVO)」シリーズや、乳がん検査用デジタルX線撮影装置「AMULET」シリーズの販売が好調に推移しました。医療IT分野では、医療情報統合による診療支援のため、医用画像情報システム(PACS)を中心に診療分野での事業拡大を進めています。平成27年5月に米国医療ITシステムメーカー TeraMedica, Inc.を連結子会社化したことで、PACSの診断画像等病院内の診療情報を効率的に管理・保管する同社の統合アーカイブシステムを当社グループのシステムと組み合わせ、今まで以上に効率的で、診断に寄与するソリューションを提案していきます。内視鏡分野では、高解像度CMOSセンサー搭載のレーザー光源内視鏡システム「LASEREO」や新超音波内視鏡システム等の販売が好調に推移しました。超音波診断装置分野では、ハイエンド超音波画像診断装置「X-Porte」の販売が北米を中心に好調に推移しました。

 医薬品事業では、バイオ医薬品受託製造が好調に推移したこと等により、売上が増加しました。研究開発においては、平成28年1月に抗がん剤「FF-21101」「FF-10502」の臨床第Ⅰ相試験を米国で開始する等、抗がん剤やアルツハイマー型認知症治療薬等のパイプラインの開発を着実に推進しています。

 再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.を平成27年5月に連結子会社化するとともに、平成27年10月に国内でiPS細胞ビジネスを展開するセルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン㈱を設立しました。当社の連結子会社である㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングとともに、シナジーを発揮し、製品開発の加速及び事業領域の拡大を進めていきます。

 ライフサイエンス事業では、平成27年9月にリニューアルしたジェリー状美容液「アスタリフト ジェリー アクアリスタ」の販売が好調に推移し、売上が大幅に増加しました。また美白美容液「アスタリフト ホワイト エッセンスインフィルト」を平成28年3月にリニューアル発売しました。

 フラットパネルディスプレイ材料事業では、液晶パネル市況減速による生産調整の影響等により売上が減少しました。液晶テレビ向けの販売を維持しつつ、中小型ハイエンド品向けの拡販を推し進めるとともに、タッチパネル及び液晶パネルディスプレイ用バックライト等に関連する新規分野への展開を積極的に行っていきます。

 産業機材事業では、スマートフォン・タブレット・ノートPC等に搭載されるタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」や太陽電池用バックシート等新規事業での販売が好調に推移したこと等により、売上が大幅に増加しました。

 電子材料事業では、フォトレジスト及び現像液・処理剤等のフォトリソ周辺材料の先端製品の販売が好調に推移し、売上が増加しました。平成27年12月に連結子会社化した、半導体関連の製造プロセス等で使用する溶剤を高純度で製造できる米国溶剤製造販売会社 Ultra Pure Solutions, Inc.の幅広い製品ラインアップ、製造設備及び有力顧客基盤を活用することで、電子材料事業をさらに拡大していきます。

 記録メディア事業では、「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの販売が好調に推移したものの、業務用ビデオテープの総需要減少の影響を受け、売上が減少しました。世界中で生成されるデータ総容量が急激に増大する中、今後も独自技術によるテープ高容量化で業界をリードするとともに、大容量データのバックアップ、アーカイブに使用される磁気テープメディア「LTO Ultrium規格」の第7世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium7データカートリッジ」の拡販や、データアーカイブサービス「d:ternity(ディターニティ)」のさらなる展開等により、長期保存分野への一層の高付加価値製品とサービスの提供を進め、売上拡大を図ります。

 グラフィックシステム事業では、刷版分野において中国を始めとする景気の減速及び価格競争激化の影響を受けたものの、デジタルプリンティング機器や産業用インクジェットヘッドの販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も、主力のCTPプレートにおいて省資源ソリューションの提案によって差別化を図っていくとともに、需要拡大が見込まれるデジタルプリンティング機器や産業用インクジェットヘッドのさらなる拡販により、事業ポートフォリオの転換を推進し、売上拡大を図ります。

 本部門の連結売上高は、フラットパネルディスプレイ材料事業の売上が減少したものの、メディカルシステム事業や産業機材事業、電子材料事業等で売上を伸ばし、942,100百万円(前年度比0.6%増)となりました。営業利益は、売上高の増加に伴う売上総利益の増加や収益性改善等により、90,701百万円(前年度比3.9%増)となりました。

 

③ドキュメント ソリューション部門
 オフィスプロダクト事業では、米国ゼロックス社向け輸出においては販売台数が減少したものの、国内大手コンビニエンスストアでの機械代替等によりカラー複合機の販売が好調に推移したことに加え、アジア・オセアニア地域においてモノクロ複合機の販売が好調に推移し、全体では販売台数が増加しました。

 オフィスプリンター事業では、アジア・オセアニア地域におけるモノクロ機の販売が好調に推移したものの、全体では販売台数が減少しました。

 プロダクションサービス事業では、カラー・オンデマンド・パブリッシング・システムの販売が中高速機から低速機まで好調に推移したことに加え、モノクロ・プロダクション・プリンターの販売も好調に推移し、販売台数が増加しました。

 グローバルサービス事業では、オフィスのドキュメント出力環境を最適化するため、出力機器の管理・運用を請け負うマネージド・プリント・サービスビジネスが好調に推移し、国内及びアジア・オセアニア地域ともに売上が増加しました。

 本部門の連結売上高は、アジア・オセアニア地域の売上は増加したものの、国内オフィスプリンターの需要減少の影響等により、1,165,361百万円(前年度比0.1%減)となりました。営業利益は、前連結会計年度と比較し米ドルが円安基調となったことによる売上原価アップに加え、アジアローカル通貨安による売上総利益のマイナス影響等があったものの、各事業における収益性の改善等により、87,954百万円(前年度比0.4%増)となりました。

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、営業活動により223,479百万円増加したものの、財務活動により171,665百万円減少したこと、投資活動により157,320百万円減少したこと、為替変動による影響により、前連結会計年度末より125,991百万円減少し、当連結会計年度末におきまして600,897百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動により得られた資金は223,479百万円となり、前連結会計年度と比較して44,299百万円(16.5%)減少しておりますが、これは未払法人税等及びその他負債が減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動に使用した資金は157,320百万円となり、前連結会計年度と比較して32,765百万円(26.3%)増加しておりますが、これは事業買収を行ったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動に使用した資金は171,665百万円となり、前連結会計年度と比較して126,072百万円(276.5%)増加しておりますが、これは自己株式を取得したこと等によるものです。

2 【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。

 販売の状況につきましては、「1 業績等の概要」の記載に含めております。

3 【対処すべき課題】

(1)当面の対処すべき課題の内容

 当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、迅速果敢に事業構造の転換を進め、安定的に利益やキャッシュを創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。この強固な経営基盤をベースに、「①中長期的に安定成長できるビジネスポートフォリオの充実」と「②株主還元の強化」を図ることで過去最高益の達成とROEの向上を目指して策定した中期経営計画「VISION2016」は最終年度を迎えました。中国をはじめとした新興国経済の減速等、不安定な状況が続き厳しい経済環境の一年となることが予想されますが、将来の成長に向けた重要な節目である中期経営計画「VISION2016」の達成に向け、全社一丸となり邁進していきます。
 「①中長期的に安定成長できるビジネスポートフォリオの充実」に向けて、「ヘルスケア」「高機能材料」「ドキュメント」の3事業分野を成長ドライバーとし、拡販活動や新製品の市場投入に加え、戦略的M&Aも活用し、売上、シェア及び利益の拡大を加速します。
 「ヘルスケア」事業分野は、今後大きな成長が見込まれ、当社グループは「予防」「診断」「治療」の領域をカバーするトータル・ヘルスケア・カンパニーを目指し事業を拡大しています。中でも、「診断」領域では、医療IT、内視鏡、超音波診断の各分野をさらに強化し、成長を実現していきます。医療IT分野では医用画像の効率的な管理や診断をサポートする高付加価値システムの提供、内視鏡分野では経鼻内視鏡やレーザー光源搭載モデル等特長ある製品の導入、超音波診断分野ではさらなる市場拡大が期待される携帯型診断装置の拡販等によって、それぞれ年率2桁の売上拡大を目指します。「治療」領域の医薬品事業では、バイオ医薬品受託製造の拡大等により、成長を実現していきます。また、抗がん剤「FF-10501」をはじめ、アルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」等、「アンメットメディカルニーズ」に対応した新薬の開発を加速させ、早期に収益化を図ります。再生医療事業では、創薬支援向け等にiPS細胞を提供する世界最大手の米国Cellular Dynamics International, Inc.を当社グループに加え、業界をリードするポジションにあります。引き続き、再生医療製品の開発加速、再生医療の事業領域の拡大を図るとともに、官・学との連携も加速させ再生医療の産業化に貢献していきます。
 「高機能材料」事業分野は、フラットパネルディスプレイ材料事業において、液晶テレビ向けの販売を維持しつつ、中小型ハイエンド品向けの拡販を推し進めるとともに、液晶パネルディスプレイ用バックライト等に関連する新規分野への展開を積極的に行っていくことで、引き続き収益性を確保していきます。さらに、マーケットが拡大しているタッチパネル分野や環境・エネルギー分野等での製品の拡販や、好調な電子材料事業の売上規模を拡大することにより、成長を持続させます。
 「ドキュメント」事業分野では、成長領域であるグローバルサービス事業及びプロダクションサービス事業の拡大やソリューションビジネスの展開を加速するとともに、中国及びその他の新興国への販売強化により、さらなる成長を実現していきます。また、グローバル市場の需要拡大に対応した生産体制を強化し、生産量の拡大による機器の原価低減や部品調達コストの削減をさらに進める等、収益性の向上を図ります。
 その他の事業においても、当社グループの独自技術を活かした新製品の市場投入とともに、市場に密着したマーケティング活動による拡販を進め、ビジネス規模と市場での優位性を維持します。加えて、日米欧に開設した、ビジネスパートナーとともに新たな価値を「共創」する施設「Open Innovation Hub」を通じて、パートナーが持つ課題やアイデア・潜在的なニーズと、当社グループが持つ技術や機能性材料の開発力を結びつけることにより、イノベーションを創出し、画期的な製品・技術・サービスを生み出していきます。さらに、「リードタイム半減で成果を出す」を基本方針に掲げ、現場の業務プロセスを抜本的に見直し、イノベーションを起こすことで、あらゆる企業活動において生産性向上と効率化を進め、全事業における収益性向上に向けた取組みを加速します。
 また、利益成長に応じた配当や自己株式の取得を実施する等、「②株主還元の強化」を図っています。

 これらの取組みにより、過去最高益の達成とROEの向上を実現することで、企業価値のさらなる向上を目指します。
 このほかにも、平成27年10月に制定した「コーポレートガバナンス・ガイドライン」に基づいた活動により、コーポレートガバナンスを一層充実させていきます。また、コンプライアンス・リスクマネジメントの強化を図るとともに、社会貢献活動や環境課題への対応になお一層真摯に取り組むことで企業の社会的責任を果たし、社会全体の発展に尽力していきます。

 

(2)会社の支配に関する基本方針について

 当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。

 株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。

 当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

4 【事業等のリスク】

 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経済情勢・為替変動による業績への影響

 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、連結ベースでの海外売上高比率は当連結会計年度において約60%です。世界各地の経済情勢、とりわけ為替レートの変動は業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 為替変動による業績への影響を軽減するため、米ドル、ユーロにおいて先物予約を中心としたヘッジを行っていますが、為替の変動の程度によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)市場競合状況

 当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落、製品のライフサイクルの短縮化、代替製品の出現等が考えられます。これらは、売上高に影響を与え、また研究開発コストが増加する、営業権ほか無形固定資産の評価見直しを行う等、結果的に利益の減少に結びついていく可能性があります。今後も、新たな技術に裏付された製品・サービスの研究開発とこれをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては業績に影響を及ぼす可能性が考えられます。

(3)特許及びその他の知的財産権

 当社グループは、さまざまな特許、ノウハウ等の知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保していますが、将来、特許の権利存続期間の満了や代替技術等の出現に伴って、優位性の確保が困難となることが起こり得ます。

 当社グループが関連する幅広い事業分野においては、多数の企業が高度かつ複雑な技術を保有しており、また、かかる技術は著しい勢いで進歩しています。事業を展開する上で、他社の保有する特許やノウハウ等の知的財産権の使用が必要となるケースがありますが、このような知的財産権の使用に関する交渉が成立しないことで業績に影響を及ぼす可能性があります。また、他社の権利を侵害することがないよう常に注意を払って事業展開をしておりますが、訴訟に巻き込まれるリスクを完全に回避することは難しいのが実情です。このような場合、係争費用や敗訴した場合の賠償金等の負担により、業績に影響を及ぼす可能性も考えられます。

(4)公的規制

 当社グループが事業を展開している地域においては、事業・投資等の許認可、輸出入に関する制限や規制等、さまざまな政府規制を受けています。また、通商、公正取引、特許、消費者保護、租税、為替管理、環境関連、薬事関連等の法規制も受けています。

 万一、規制に抵触した場合、制裁金等が課される可能性があり、さらに、今後規制が強化されたり、大幅な変更がされたりすることが考えられ、その場合、当社グループの活動の制限や、規制遵守のため、あるいは規制内容の改廃に対応するためのコストが発生する可能性も否定できません。従って、これらの規制は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)生産活動

 当社グループの生産活動において、自然災害又は人災、原材料・部品等の供給元の製造中止、その他要因による混乱等により当社グループ製品の供給が妨げられたり、重大な設備故障が発生したりする可能性があります。また、原材料・部品等の価格高騰により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、厳しい品質管理基準に従い各種製品を生産しておりますが、将来にわたり製品に欠陥が発生する可能性がないとは言えず、万一、リコール等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)情報システム

 当社グループは、さまざまな情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策を行っておりますが、停電、災害、不正アクセス等の要因により、情報システムの障害や個人情報の漏えい、改ざん等の事態が起こる可能性があります。これらにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)大規模災害

 当社グループは、世界各地で生産・販売等の事業活動を行っております。このため、地震、台風、洪水といった大規模な自然災害に見舞われた場合や、火災、テロ、戦争、新型インフルエンザ等の感染症の蔓延といった要因により、事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)構造改革

 当社グループは、今後も、経営効率の向上に向けて、コスト削減や資産圧縮を図る等の諸施策を講じていく方針です。この進展状況によって組織や事業・業務の見直しにより一時的に多額の経費が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

5 【経営上の重要な契約等】

(1)相互に技術を供与している契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富士ゼロックス㈱(連結子会社)

Xerox Corporation(米国)

ゼログラフィー製品及びその他の製品に関する技術・商標等のクロスライセンス

平成23年4月1日から

平成28年3月31日まで

富士ゼロックス㈱(連結子会社)

Xerox Corporation(米国)

ゼログラフィー製品及びその他の製品に関する技術・商標等のクロスライセンス

平成28年4月1日から

平成33年3月31日まで

(2)外国会社への技術輸出契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富山化学工業㈱(連結子会社)

Merck Sharp & Dohme Corp(注)(米国)

ニュータイプのキノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについての実施契約並びにバルク供給契約

平成16年6月22日から

対象特許の満了日まで

MSD International Holdings GmbH (注)(スイス)

(注)Schering Corporation(米国)はMerck Sharp & Dohme Corp との合併(平成24年5月)により、社名がMerck Sharp & Dohme Corp となっております。
Schering-Plough Limited(スイス)は組織変更により、社名をMSD International Holdings GmbH に変更しております。

(3)国内会社との取引契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富山化学工業㈱(連結子会社)

アステラス製薬㈱

ニュータイプの経口用キノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについて国内における実施権供与、共同開発、並びに販売権の供与

平成18年3月31日から

対象特許の満了日まで

 

 

6 【研究開発活動】

 当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。

 加えて、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及び富山化学工業㈱等のグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。また、これまで富士フイルムグループが開発してきた優れた材料・製品を支える基盤技術やコア技術、開発中の新しい技術・材料・製品を直接触れていただきながら、ビジネスパートナーにソリューションを提案する施設として日・米・欧3拠点に「Open Innovation Hub」を開設しました。ビジネスパートナーが持つ課題やアイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結びつけ、画期的な新しい製品・技術・サービスを生み出し、イノベーションを起こしていきます。さらに、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)といった高度なICT化に対応した情報基盤技術の強化と応用拡大を図るために、新組織「インフォマティクス研究所」を設立しました。ビッグデータ解析等の情報科学の最先端技術やソフトウエアの基盤技術の研究開発を、新規材料や製品、IoT社会に適したソリューションサービスの創出に活用していきます。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は163,027百万円(前年度比1.7%増)、売上高比6.6%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は24,516百万円です。

 当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。

(1)イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、スマートフォンやデジタルカメラ等で撮影した画像を、スマートフォン感覚の快適なタッチ操作で簡単にプリント注文できる次世代店頭プリント受付機「Wonder Print Station(ワンダープリントステーション)」を開発し、発売しました。

 光学・電子映像事業では、卓越した写真画質と多彩な絵作りを実現する「Xシリーズ」のラインアップとして、ミラーレスカメラの「FUJIFILM X-Pro2」「FUJIFILM X-T10」を開発し、発売しました。「FUJIFILM X-Pro2」は、新開発の2430万画素「X-Trans™ CMOS Ⅲ」センサーと超高速の新型画像処理エンジン「X-Processor Pro」を搭載し、「Xシリーズ」史上最高の画質と機動性を実現しています。「FUJIFILM X-T10」は、小型軽量ボディに、動いている被写体の決定的瞬間をとらえる「新AFシステム」と、0.62倍大型表示倍率、世界最短表示タイムラグ0.005秒(平成27年4月現在 富士フイルム㈱調べ)を実現する「リアルタイム・ビューファインダー」を搭載しています。また、「Xシリーズ」の交換レンズラインアップとして、クラス最高となる5.0段分の手ブレ補正と小型・軽量設計により、超望遠領域でも手持ち撮影で「Xシリーズ」の高画質を楽しめる「フジノンレンズ XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR」を開発し、発売しました。また、4K対応の放送用ズームレンズとして世界最高107倍ズーム(平成28年4月14日現在 富士フイルム㈱調べ)を実現した「FUJINON UA107×8.4」を開発し、発売しました。さらに、製造ラインの製品検査や計測等で使用するマシンビジョンカメラ用レンズの最上位シリーズとして、多様な設置条件下で画像の中心部から周辺部まで均一な高い解像性能を実現する「FUJINON HF-12Mシリーズ」を開発し、発売しました。

 本部門の研究開発費は、7,986百万円となりました。

 

(2)インフォメーション ソリューション部門
 メディカルシステム事業では、軽量・コンパクトで携帯性に優れ、かつ、診断しやすい7インチ画面を装備したタブレット型超音波画像診断装置「SonoSite iViz(ソノサイト アイビズ)」を開発し、発売しました。本製品は、独自の小型化技術で開発した画像処理回路により、小型ながら鮮明で高精細な画像が得られる画期的な超音波画像診断装置です。また、病院内の各診療科が扱う多様な診療情報を一元的に管理・保管できる統合アーカイブシステム「SYNAPSE VNA(シナプス ブイエヌエー)」を開発し、発売しました。当社は平成27年5月にVNAの先駆者として市場をリードしてきた米国TeraMedica, Inc.を連結子会社化し、VNAの積極的なグローバル展開を推進しています。さらに、レーザー光源搭載の内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」用スコープの新ラインアップとして、高解像度CMOSセンサーを搭載し、低ノイズで高解像度な画像を実現した、下部消化管用拡大スコープ「EC-L600ZP」、上部消化管用拡大スコープ「EG-L600ZW」を、キセノン光源を用いた内視鏡システム「Advancia(アドバンシア)」シリーズ用スコープの新ラインアップとして下部消化管用拡大スコープ「EC-600ZW/M」を、それぞれ開発し、発売しました。
 医薬品事業では、血液がん「再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)及び急性骨髄性白血病(AML)」の患者に対する抗がん剤「FF-10501」の米国臨床第Ⅰ相試験において、高い忍容性が確認され、さらに一部の患者で部分寛解及び骨髄寛解が得られました。今後、富士フイルム㈱は、MDアンダーソンがんセンターでさらなる高用量での忍容性評価を継続していきます。また、この中でみられる有効性も評価して、前期第Ⅱ相の臨床試験へ移行する予定です。また、米国で平成28年1月に抗がん剤「FF-21101」の肺がん等の固形がんを対象とする臨床第Ⅰ相試験を開始、抗がん剤「FF-10502」の膵臓がん等の固形がんを対象とした臨床第Ⅰ相試験を開始する等、着実にパイプラインの臨床開発を進めています。「FF-21101」は、富士フイルム㈱がグループ会社の技術を結集させ、開発したものです。抗体の創出には創薬系バイオベンチャーのペルセウスプロテオミクス㈱、抗体の製造にはバイオ医薬品受託製造会社のFujifilm Diosynth Biotechnologies、抗体にRIを標識するプロセスの開発には放射性医薬品メーカーの富士フイルムRIファーマ㈱の技術を活用しています。また「FF-10502」は、合成に多くのプロセスが必要な独特の化学構造を有するため、生産コストが高く、実用化が困難でしたが、当社が写真フィルムの開発で培ってきた高い化学合成力・設計力を活かして、合成プロセスを効率化することで、コスト低減を成功させたものです。
 再生医療事業では、iPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.を平成27年5月に連結子会社化するとともに、平成27年10月に国内でiPS細胞ビジネスを展開するセルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン㈱を設立し、再生医療分野への取り組みを強化しています。また、再生医療のための細胞培養に必要な細胞外マトリックス「cellnest(セルネスト) ヒトI型コラーゲン様リコンビナントペプチド」を、ラットの頭蓋骨欠損部に移植することで、骨の再生能力を大幅に高めることに成功しました。今後、骨再生の中でも、特に医療ニーズの高い歯槽骨の再生等への活用が期待できます。
 ライフサイエンス事業では、「ヒト型アシルセラミド」を世界最小20nmサイズ(平成27年6月末現在 富士フイルム㈱調べ)で安定分散した「ヒト型ナノアシルセラミド」を開発しました。「ヒト型ナノアシルセラミド」は、「ヒト型アシルセラミド」分散液に比べて、約6倍の角層浸透性を示すことを確認しました。この「ヒト型ナノアシルセラミド」を新たに配合し、肌をすみずみまで潤いで満たす保湿機能をさらに強化したジェリー状美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」をリニューアル発売しました。また、美白有用成分「オリザノール」を世界最小クラス20nmサイズで安定にナノ分散した「ナノオリザノール」を開発しました。この「ナノオリザノール」を新たに配合し、美容効果をさらに強化した美白美容液「エッセンスインフィルト」をリニューアル発売しました。
 高機能材料では、「環境負荷低減と高耐久性を実現する太陽電池用保護フィルム」で、新化学技術推進協会の「第14回(2014年度)グリーン・サスティナブル ケミストリー賞(GSC賞) 環境大臣賞」を受賞しました。また、「写真技術を応用した、タッチパネル用薄型両面センサーフィルムの開発」で、日本化学工業協会の「第48回(平成27年度)日化協技術賞 技術特別賞」を受賞しました。

 電子材料事業では、半導体製造用ネガ型有機溶剤現像リソグラフィープロセス(NTIプロセス)の開発で、日本化学工業協会の第47回(平成26年度)日化協技術賞の最高賞である「総合賞」を受賞しました。

 記録メディア事業では、大容量データのバックアップやアーカイブに使用される磁気テープメディア「LTO Ultrium規格」の第7世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium7 データカートリッジ」(以下、「LTO7」と記述します。)を開発し、発売しました。LTO7は独自の「BaFe(バリウムフェライト)磁性体技術」と「NANOCUBIC技術」をさらに進化させ、前世代のLTO6に比べ記録容量を約2.4倍の15.0TBに拡大し、データ転送速度を約1.9倍の750MB/秒に高速化しました。また、企業や大学で生成されたデータを簡単かつ効率的に磁気テープに記録し、利用者の元で長期保管できるデータアーカイブストレージシステム「d:ternity(ディターニティ) オンサイト アーカイブ」を開発し、発売しました。

 グラフィックシステム事業では、完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZP」「SUPERIA ZN」を開発し、発売しました。「SUPERIA ZN」は、新聞印刷輪転機に適応した環境配慮型の新型刷版として初めて実用化に成功し、国内の新聞社に導入されたこと等から、今後の新聞界の主流となりうる技術として期待されています。また、枚葉インクジェット印刷機としてB1用紙サイズに対応した次世代インクジェットデジタル印刷機を、Heidelberger Druckmaschinen AGと共同で開発しました。

 本部門の研究開発費は、67,295百万円となりました。

 

 当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(平成28年5月現在)

開発番号

薬効・適応症

剤形

地域

状況

T-705

抗インフルエンザウィルス薬

経口

米国

PhⅢ実施中

T-3811

キノロン系合成抗菌薬

経口

中国

承認申請中

T-2307

抗真菌薬

注射

米国

PhⅠ終了

T-817MA

アルツハイマー型認知症治療薬

経口

米国

日本

PhⅡ実施中

PhⅡ実施中

T-4288

マクロライド系抗菌薬

経口

日本

PhⅡ実施中

ITK-1

去勢抵抗性前立腺がん治療薬

注射

日本

PhⅢ実施中

FF-10501

再発・難治性骨髄異形性症候群治療薬

経口

日本

米国

PhⅠ終了

PhⅠ実施中

FF-10502

進行・再発膵がん/卵巣がん治療薬

注射

米国

欧/日

PhⅠ実施中

PhⅠ準備中

FF-21101

進行・再発非小細胞肺がん/膵がん治療薬(Armed抗体)

注射

米国

欧/日

PhⅠ実施中

PhⅠ準備中

F-1311

前立腺がん診断薬(放射性医薬品)

注射

日本

PhⅡ実施中

FF-10101

再発・難治性急性骨髄性白血病治療薬

経口

米国

非臨床試験実施中

 

(3)ドキュメント ソリューション部門

 オフィス市場向けには、モバイル端末への対応とクラウドサービスとの連携を強化したフルカラーデジタル複合機「ApeosPort-V C」シリーズ及び「DocuCentre-V C」シリーズ18機種を発売しました。中小規模事業所市場向けには、エントリーモデルの「DocuCentre-V」シリーズを、中国を含むアジア・オセアニア地域市場と日本で発売しました。ライトプロダクションカラー市場向けには、100V電源で稼働するプリンターとしては世界最高速(平成27年10月8日現在 富士ゼロックス㈱調べ)の「DocuColor 7171 P」を開発し、発売しました。また、印刷会社やサービスビューロー、データセンターなどのプリントサービス提供企業向けに、色の再現性を高めたカラー・オンデマンド・パブリッシング・システム「Xerox iGen 5 150 Press」を発売しました。

 ソリューション・サービス関連では、クラウドを活用して事業所、企業間等、移動先でのプリント業務を簡単に行えるプリントサービス「Cloud On-Demand Print」の提供を開始しました。

 本部門の研究開発費は、63,230百万円となりました。

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 資本の財源及び資金の流動性

 営業活動により獲得したキャッシュは、前年度に対し443億円減少し、2,235億円の収入となりました。当連結会計年度では、前年度に比べ、未払法人税等及びその他負債の減少等の減少要因がありました。

 投資活動により使用したキャッシュは、前年度に対し328億円増加し、有形固定資産の購入や事業の買収等に伴う支出により1,573億円となりました。

 財務活動により使用したキャッシュは、前年度に対し1,261億円増加し、配当金の支払及び自己株式の取得等により1,717億円となりました。

 これらの活動の結果に加えて、為替変動による影響で、現金及び現金同等物の残高は、前年度末に対し1,260億円減少し、6,009億円となりました。

・連結キャッシュ・フロー指標

 

前連結会計年度

当連結会計年度

株主資本比率(%)

62.7

60.8

時価ベースの株主資本比率(%)

58.9

60.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

1.3

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

58.6

51.1

 

(注)株主資本比率

:株主資本/総資産

時価ベースの株主資本比率

:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産

*自己株式を除く

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息)

 

(2) 経営成績

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は、前年度の2兆4,634億円に対し、前年度並みの2兆4,604億円(前年度比0.1%減)となりました。国内売上高は9,837億円(前年度比2.3%減)、海外売上高は1兆4,767億円(前年度比1.4%増)となりました。実績為替レートは120円/米ドル(前年度比10円安)、133円/ユーロ(前年度比6円高)となりました。

 イメージング ソリューション部門は、光学・電子映像事業の販売が減少したことにより、売上は減少しました。インフォメーション ソリューション部門は、メディカルシステム事業や産業機材事業、電子材料事業等の販売が増加したことにより、売上は増加しました。ドキュメント ソリューション部門は、アジア・オセアニア地域の売上は増加したものの、国内オフィスプリンターの需要減少等により、売上は前年度並みとなりました。

② 営業費用及び営業利益

 販売費及び一般管理費は、前年度に対し19億円減少し、6,250億円(前年度比0.3%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.4%でした。

 研究開発費は、前年度に対し27億円増加し、1,630億円(前年度比1.7%増)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.6%でした。

 営業利益は、前年度1,644億円に対し、各事業における収益性の改善等により162億円増加し、1,806億円(前年度比9.9%増)となりました。

 イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の203億円に対し117億円増加し、320億円となりました。これは、フォトイメージング事業の売上高の増加に伴う売上総利益の増加等によるものです。インフォメーション ソリューション部門の営業利益は、前年度の873億円に対し34億円増加し、907億円となりました。これは、売上高の増加に伴う売上総利益の増加や収益性改善等によるものです。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の876億円に対し4億円増加し、880億円となりました。これは、前年度と比較し米ドルが円安基調となったことによる売上原価アップに加え、アジアローカル通貨安による売上総利益のマイナス影響等があったものの、各事業における収益性の改善等によるものです。

③ 営業外損益及び税金等調整前当期純利益

 営業外収益及び費用は、前年度に㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの連結子会社化による評価益212億円を計上したこと等により、前年度246億円の営業外収益に対し230億円減少し、16億円の営業外収益となりました。

 税金等調整前当期純利益は、前年度の1,890億円に対し68億円減少し、1,822億円となりました。

④ 法人税等

 法人税等は、日本の税制改正に伴う法人税率引き下げ影響等により、前年度の609億円に対し125億円減少し、484億円となりました。

⑤ 持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益

 持分法による投資損益は、前年度に対し損失が11億円減少し、3億円の損失となりました。

 非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度に対し14億円減少し、171億円となりました。

⑥ 当社株主帰属当期純利益

 当社株主帰属当期純利益は、前年度の1,109億円に対し55億円増加し、1,164億円となりました。1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の230.14円に対し、250.03円となりました。また、潜在株式調整後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の229.44円に対し、249.20円となりました。