第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営上の重要な契約等】

 当社は、2018年1月31日開催の取締役会において、当社子会社である富士ゼロックス㈱(以下「富士ゼロックス」という。)とゼロックスコーポレーション(米国ニューヨーク証券取引所に上場する米国法人。以下「ゼロックス」という。)との間で、ゼロックスが富士ゼロックスを完全子会社化すること、及び、富士ゼロックスを完全子会社化した後にゼロックスの第三者割当増資を当社が引き受けることによりゼロックス株式の50.1%を取得する旨の契約を締結することについて決議し、当該契約を締結しました。

 詳細は、第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 四半期連結財務諸表に対する注記17「重要な後発事象」に記載のとおりです。

 

3【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2017年4月1日~12月31日)の世界経済を概観すると、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や設備投資が増加し、着実な回復が継続しました。欧州の景気は、消費や設備投資の増加により、緩やかな回復基調が継続しました。中国や他のアジア地域の景気は持ち直しの動きが続きました。日本では、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループは、事業構造の転換で確立した強靭な経営基盤から生み出す利益を効率的に活用して安定成長できる事業ポートフォリオを構築して参りました。これらをさらに深化させ、持続的な成長を実現するために2017年8月に中期経営計画「VISION2019」(2017年度~2019年度)を策定しました。本中期経営計画では、イメージング・インフォメーション・ドキュメントソリューションに属する各事業を、「収益力の向上」、「さらなる成長の加速」、「未来を創る投資」の3つのステージに位置付け、現在の各事業のステージを明確化し、「各事業の収益力の向上によるキャッシュの安定的創出」、「主要事業の成長加速による売上・利益の拡大」、「未来の柱となる収益貢献事業の育成」を推進することで、戦略的飛躍へと繋げていきます。また、既存事業で築いた海外販売基盤の強化を進めつつ、ヘルスケア製品や新規高機能製品等の海外展開を加速させて、さらなる成長を図ります。

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、電子映像事業、メディカルシステム事業、電子材料事業等で売上を伸ばし、1,809,682百万円(前年同期比6.9%増)となりました。

 営業利益は、各事業において収益性の改善を進めたことにより、128,587百万円(前年同期比8.7%増)となりました。これに加えて、有価証券売却益や和光純薬工業の連結子会社化による評価益により、税金等調整前四半期純利益は174,539百万円(前年同期比33.7%増)、当社株主帰属四半期純利益は124,510百万円(前年同期比58.1%増)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

① イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムを中心に年末商戦が好調に推移し、売上が増加しました。2017年11月に発売したスマートフォン用プリンター「instax SHARE SP-3」は、SNS等で好評なスクエアフォーマットを採用。新たな楽しみ方を提案することで、スマートフォンユーザーのプリント需要を開拓していきます。また、付加価値プリントビジネスでは、写真をパネル加工や額装し、部屋のインテリアとして楽しめる「WALL DECOR(ウォールデコ)プリントサービス」やお気に入りの写真でつくる卓上カレンダーの新製品「COYOMI」、AIを活用した独自技術で写真を自動的にレイアウトしアルバムを作成するサービス「Year Album(イヤーアルバム)」等の各種サービスが成長を続けており、売上の拡大に貢献しています。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、2017年9月に発売した「Xシリーズ」最小・最軽量ボディ(2018年1月時点、ファインダー搭載のミラーレスカメラにおいて)に快適な操作性を実現した「FUJIFILM X-E3」、2017年2月に発売した「FUJIFILM X-T20」「FUJIFILM X100F」を中心としたXシリーズ、大型サイズ(43.8mm×32.9mm)のイメージセンサーを搭載した中判ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX 50S」、及び各種交換レンズの販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。光学デバイス分野では、車載用やプロジェクター用等各種産業用レンズや、市場が拡大しているWeb映像等の動画撮影向けの新シリーズであるシネマカメラ用レンズ「MKレンズ」シリーズの販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、2017年9月に、24倍の高倍率ズームを備え、小型軽量と4K高画質を両立した「UA24×7.8BE」を発表。4K対応放送レンズのラインアップは8機種となり、先進の4K分野をリードしていきます。

 本部門の連結売上高は、電子映像事業が大きく売り上げを伸ばし、297,727百万円(前年同期比15.6%増)となりました。営業利益は、各事業の収益性改善等により、50,027百万円(前年同期比76.1%増)となりました。

 

② インフォメーション ソリューション部門

 メディカルシステム事業では、X線画像診断、医療IT、内視鏡、超音波、体外診断(IVD)システムの、全ての分野で販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、小型化と従来機比約1/5の軽量化を実現した超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO(カルネオ アクロ)」の販売が好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が好調に推移しました。内視鏡分野では、当社独自の特殊光観察が可能な「LASEREO」シリーズの国内外での販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、救急分野における循環器診断の臨床ニーズに応え、プレミアム機種「SonoSite X-Porte」の販売が米国を中心に中東でも拡大しました。また、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」の販売が引き続き好調に推移。小型・軽量なタブレットタイプの超音波画像診断装置「SonoSite iViz」の販売は、日米欧の先進国に加え、東欧、南米等新興国でも受注が拡大しました。体外診断(IVD)分野は、海外での血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が好調に推移。2017年4月に和光純薬工業㈱の臨床検査薬事業を連結対象に加えたことで、前年に対して売上が大きく伸長しました。

 医薬品事業では、低分子医薬品において後発医薬品の影響等を受け、売上は減少しました。研究開発においては、2017年8月に再発・難治性の急性骨髄性白血病を適応症とする抗がん剤「FF-10101」の臨床第I相試験を米国で開始。また、進行性の固形がんを適応症とする抗がん剤「ゲムシタビン」をリポソームに内包したリポソーム製剤「FF-10832」の臨床試験を2018年より米国で開始することを決定する等パイプラインの開発を着実に推進しています。また、2017年12月に創薬ベンチャーのエディジーン㈱への出資及び遺伝子治療薬の探索を目的とした共同研究契約を締結しました。アンメットメディカルニーズに応える遺伝子治療薬の創出を目指します。

 バイオCDMO事業では、医薬品のプロセス開発・製造受託が堅調に推移しました。顧客からの増産要請や今後のさらなる需要拡大に迅速に応えるため、2017年11月に当初の計画より前倒し、米国拠点のバイオ医薬品の生産能力増強や英国の生産プロセス開発拠点の追加設備投資を決定しました。生産能力の増強を行うとともに、高効率・高生産の技術開発により、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業をさらに拡大していきます。

 再生医療事業では、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(以下、「J-TEC」と記載します。)の自家培養表皮「ジェイス」が、2016年12月より先天性巨大色素性母斑に適応対象を拡大した効果もあり、受注が好調に推移し、売上に貢献しました。また、再生医療で重要な役割を果たす「培地・サイトカイン」に高い技術を持つ和光純薬工業㈱を2017年4月に連結子会社化したことで、iPS細胞の開発・製造の世界的なリーディングカンパニーである米国Cellular Dynamics International, Inc.やJ-TEC、そして「足場材(リコンビナントペプチド)」で強みを持つ富士フイルム㈱と合わせ、グループ内のシナジーを発揮し、再生医療事業の拡大をさらに加速します。

 ライフサイエンス事業では、2017年3月に販売を開始した美白化粧水「アスタリフト ホワイトブライトローション」等の美白シリーズ、「糖の吸収を抑える」と「腸内環境を整える」の2つの機能を持つ機能性表示食品「メタバリアS」等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、9月に販売を開始したアスタリフトのクリーム2製品と乳液のリニューアル品、「アスタリフト」のプレステージ(最上位)シリーズ「アスタリフト イン・フォーカス」の販売も堅調に推移しています。

 ディスプレイ材料事業では、タッチパネル、有機EL関連等新規分野の製品販売が伸長しましたが、既存タック製品の在庫調整等の影響で、売上はほぼ横這いとなりました。

 産業機材事業では、当社グループ会社の洋紙事業とプリンターシステム事業の譲渡等により売上が減少しましたが、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」、工業用X線フィルムや圧力測定フィルム「プレスケール」の販売が好調に推移しました。

 電子材料事業では、先端フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク等の販売が引き続き好調に推移し、売上が大幅に増加しました。

 ファインケミカル事業では、紙おむつ等日用品に使用される高吸水性樹脂の原料となる重合開始材等の高機能化成品の売上が増加しました。事業基盤をさらに強化するため、2018年4月1日付で和光純薬工業㈱と富士フイルムファインケミカルズ㈱を統合し、研究開発・生産・品質保証・営業等の全ての機能を一体化することで体制を強化し、更なるビジネス拡大を図っていきます。

 記録メディア事業では、高容量データストレージ用磁気テープ製品の在庫調整等の影響で売上が減少しました。「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販を進めるとともに、「dternity(ディターニティ)」等のアーカイブサービスを提供することで、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。

 グラフィックシステム事業では、製版・刷版材料の総需要減による販売減等により、売上が減少しました。2017年10月に米国Xerox Corporationと北米地域におけるデジタル印刷機Jet Press720Sの販売協業に合意。また、富士フイルム㈱と富士ゼロックス㈱のインクジェットデジタルプレスの国内の販売機能を、富士フイルムデジタルプレス㈱に統合する等販売体制を再編し、デジタル化が進む印刷市場において、最適な製品・ソリューションを提供していきます。

 インクジェット事業では、インク及び産業用インクジェットヘッドの販売が好調に推移しました。これまで注力してきた商業印刷分野、サインディスプレー分野やセラミック分野に加え、テキスタイル等、新たな領域へ独自の製品を展開し、事業を拡大していきます。

 本部門の連結売上高は、メディカルシステム事業、電子材料事業等で大きく売上を伸ばし、728,261百万円(前年同期比13.4%増)となりました。営業利益は、収益性の改善等により、61,227百万円(前年同期比9.8%増)となりました。

 

③ ドキュメント ソリューション部門

 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、国内やオセアニア地域で複合機の販売台数が減少しましたが、中国での販売や欧米向け輸出で新製品の販売が好調に推移し、全体の販売台数は前年並みとなりました。オフィスプリンター分野では、製品ミックスの上位シフトにより、販売台数が減少しました。

 プロダクションサービス事業では、昨年好調だった基幹業務出力向けプリンターや、欧米向けの販売台数が減少したことから全体の販売台数は減少しましたが、2017年11月に販売を開始した、高速、高画質のプロダクションカラー機(IridesseTM Production Press)の販売が好調に推移しました。

 ソリューション&サービス事業では、オセアニア地域で昨年の大型商談の反動で売上が減少しましたが、国内の業種業務別ソリューションの販売が堅調に推移し、全体で売上が増加しました。

 本部門の連結売上高は、低採算のプリンタービジネスの縮小やオセアニア地域での販売減少等により、783,694百万円(前年同期比1.1%減)となりました。当部門の営業利益は、売上減少等の影響により40,505百万円(前年同期比28.5%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より223,767百万円減少し、当第3四半期連結会計期間末においては652,191百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は155,680百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して37,444百万円(19.4%)減少しておりますが、これは営業債務の支払額が増加したことや棚卸資産が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は171,356百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して102,305百万円(148.2%)増加しておりますが、これは当第3四半期連結累計期間において和光純薬工業㈱を買収したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は222,869百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して142,395百万円(176.9%)増加しておりますが、これは長期債務の返済額が増加したこと等によるものです。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当社グループは、コーポレートスローガン「Value from Innovation」の下、世の中にあるさまざまな社会課題を解決することが当社の事業成長の機会であると捉え、社会課題解決のための新たな価値創出に積極的に取り組んでいます。新たに策定したCSR計画「FUJIFILM Sustainable Value Plan 2030」を推進し、革新的な技術・製品・サービスで「環境」「健康」「生活」「働き方」の分野における社会課題の解決に持続的に取り組むことで、よりよい社会の実現に向けて変革をリードする企業を目指します。

 当社は、2019年度を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「VISION2019」を策定しました。「VISION2019」では、これまでの事業構造転換で確立した強靭な経営基盤から生み出す利益を効率的に活用して充実させた事業ポートフォリオを、各事業のさらなる深化でより強固なものとし、持続的な成長を実現していきます。

 「VISION2019」では、イメージング・インフォメーション・ドキュメントソリューションに属する各事業を、「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置付けました。現在の各事業のステージを明確化し、①各事業の収益力の向上によるキャッシュの安定的創出、②主要事業の成長加速による売上・利益の拡大、③未来の柱となる収益貢献事業の育成、を推進。各事業を深化させ、より強固な事業ポートフォリオを実現することで、戦略的飛躍へと繋げていきます。また、既存事業で築いた海外販売基盤の強化を進めつつ、ヘルスケア製品や新規高機能製品等の海外展開を加速させて、さらなる成長を図ります。

 これらの取り組みにより、2019年度には、連結売上高は2兆6,000億円、営業利益は2,300億円、当社株主帰属当期純利益は1,500億円と、営業利益と当社株主帰属当期純利益ともに過去最高となる見込みです。さらに、株主還元を強化し、2017~2019年度の3年間で、配当と自社株買いを通じて3,000億円を株主の皆様に還元いたします。これにより、株主資本利益率(ROE)を2019年度に7.3%まで引き上げます。また、戦略的なM&Aを行う投資枠として3年間で5,000億円を設定し、さらなる売上・利益の成長を目指します。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

 当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。

 株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。

 当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、116,899百万円(前年同期比2.6%減)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。