第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2018年4月1日~12月31日)の世界経済を概観すると、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や設備投資が増加し、着実な回復が継続しました。欧州の景気は、消費や設備投資の増加により、緩やかな回復基調が継続しました。中国では、景気回復の動きに足踏みがみられますが、その他アジア地域の景気は持ち直しの動きが続きました。日本では、雇用・所得環境の改善により個人消費が持ち直しており、緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。2017年8月に2030年度を目標としたCSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定。革新的技術・製品・サービスの提供等、事業活動を通じた社会課題の解決により一層取り組み、サステナブル社会の実現に貢献する企業であり続けます。また、SVP2030で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして、中期経営計画「VISION2019」を策定。2年目となる2018年度は「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の強化」と「ドキュメント事業の抜本的強化」の実現を推進しており、 事業ポートフォリオをより強固なものとし、企業価値を向上していきます。

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、ドキュメント事業の売上減少等により1,799,816百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

 営業利益は、ドキュメント事業における収益性の改善や構造改革効果等により、158,347百万円(前年同期比28.6%増)と大幅増となりました。税金等調整前四半期純利益は、投資有価証券評価損の計上等により、154,565百万円(前年同期比11.4%減)、当社株主帰属四半期純利益は101,052百万円(前年同期比18.8%減)となりました。

 当第3四半期連結会計期間末では、総資産は現金及び現金同等物の減少等により79,557百万円減少し、3,413,383百万円(前年度比2.3%減)となりました。負債は未払費用や営業債務の減少等により22,968百万円減少し、1,171,266百万円(前年度比1.9%減)となりました。純資産は自己株式の取得等により56,589百万円減少し、2,242,117百万円(前年度比2.5%減)となりました。

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

① イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、インスタントカメラ“チェキ”シリーズやチェキ用フィルム等、撮影したその場で写真プリントが楽しめるインスタントフォトシステムの販売を中心に売上が増加しました。プリント前の画像編集・加工が可能な新製品のハイブリッドインスタントカメラ「instax SQUARE SQ20」や、instaxのグローバルパートナー契約を締結した「テイラー・スウィフト」さんを起用したグローバルプロモーションが売上増加に寄与しました。付加価値プリントビジネスでは、スマホ向け写真整理アプリ「かぞくのきろく」の提供や、オリジナルのフォトカレンダーが簡単に作成できるサービス「FUJIFILM フォトカレンダー COYOMI(こよみ)」のスマホ注文の受付開始に加えて、日本全国のセブン-イレブン店舗に設置されたマルチコピー機で写真をプリントできるサービスが好調に推移する等、プリント市場の裾野拡大を推進しています。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、2018年9月に販売を開始した「FUJIFILM X-T3」が、小型軽量ボディや、高速・高精度のオートフォーカス機能、高い動画性能が評価され、売上の増加に貢献しました。また、2018年11月には、中判ミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」に、レンジファインダースタイルを採用することで、さらなる小型・軽量化を実現した「FUJIFILM GFX 50R」をラインアップに追加。面積比でフルサイズの約1.7倍、5140万画素の大型センサーによる超高画質と、機動性の両立を実現したことで、高い評価を得ています。

 光学デバイス分野では、車載用等各種産業用レンズを中心に販売が堅調に推移しました。2018年10月に製造ラインの製品検査・計測で使用するマシンビジョンカメラ用レンズの超高解像度モデル「CF-ZA-1S シリーズ」の新発売、遠望監視用カメラ「FUJIFILM SX800」開発による監視カメラ市場への新規参入等を相次いで発表。ビジネス領域を拡大し、さらなる事業成長を図っていきます。

 本部門の連結売上高は、全ての事業の売上が堅調に推移し、303,833百万円(前年同期比2.1%増)となりました。営業利益は、販促・宣伝費や研究開発の投資等により、47,977百万円(前年同期比3.8%減)となりました。

 

② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門

 メディカルシステム事業では、X線画像診断、医療IT、内視鏡、超音波、体外診断(IVD)等全ての分野で販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、手軽に持ち運ぶことができる携帯型X線撮影装置「CALNEO Xair(カルネオ エックスエアー)」の販売を2018年10月より開始。軽量・小型で携帯性に優れており、在宅医療での撮影等、スペースが限られた場所での簡便なX線検査と画像確認をサポートします。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本・米国を中心に堅調に推移しました。内視鏡分野では、当社独自の特殊光観察が可能なLASEREO等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」や携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等一連の製品の販売が、米国で堅調であったほか、欧州や中国でも好調に推移しました。体外診断(IVD)分野は、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が、国内外ともに好調に推移しました。

 医薬品事業では、低分子医薬品における後発医薬品の影響などを受け、売上は減少しました。2018年10月1日に、低分子医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富山化学工業㈱と、放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富士フイルムRIファーマ㈱を統合しました。社名を富士フイルム富山化学㈱として、業務の効率化、及び治療薬・診断薬の新薬開発を加速します。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移しました。昨年度に稼働開始した米国テキサス州の生産設備や、英国の生産プロセス開発拠点の設備増強が、売上増加に寄与しています。また、2019年1月より2年間で総額約100億円の設備投資を決定する等、今後も生産能力の増強を継続するとともに、高効率・高生産性技術の開発により、事業拡大を図っていきます。

 再生医療事業では、2018年6月に培地のリーディングカンパニーであるIrvine Scientific Sales Company,Inc.及び㈱アイエスジャパンを連結子会社化しました。両社が展開するバイオ医薬品向けの培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、米国子会社FUJIFILM Cellular Dynamics,Inc. において、総額約25億円を投資して、cGMP*に対応した、治療用iPS細胞の生産施設を新設することを決定しました。日米2拠点で、治療に用いる再生医療製品が生産可能な体制を構築し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。

 ライフサイエンス事業では、2018年11月に、アスタリフトシリーズで最も高い紫外線カット効果を持つ「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」、美容効果をさらに強化しリニューアルした「アスタリフト ホワイト エッセンス インフィルト」を2019年3月より発売することを発表しました。また、サプリメントでは「メタバリアシリーズ」を中心に販売が堅調に推移しました。

 ディスプレイ材料事業では、TAC製品の販売が堅調だったことに加えて、タッチパネル分野の製品販売も好調に推移し、売上が増加しました。

 産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売好調に加えて、圧力測定フィルム「プレスケール」の販売も堅調に推移しました。

 電子材料事業では、先端フォトレジストやフォトリソ周辺材料、CMPスラリー、イメージセンサー用カラーモザイク等の販売が引き続き好調に推移し、売上が増加しました。また、更なる事業拡大に向けて、米国の開発・生産・販売拠点であるFUJIFILM Electronic Materials U.S.A.,Inc.において、最先端半導体材料の開発・生産・品質保証等の設備の増強を決定しました。設備投資の規模は、2018年12月より3年間で総額約100億円を予定しています。

 ファインケミカル事業では、研究機関向け試薬販売や、ライフサイエンス分野における検査・分析等の受託サービスの売上が増加したことに加え、その他化成品の売上も堅調に推移しました。

 記録メディア事業では、高容量データストレージ用磁気テープの在庫調整等の影響で売上が減少しました。「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販を進めるとともに、「dternity(ディターニティ)」等のアーカイブサービスを提供することで、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。

 グラフィックシステム事業では、製版・刷版材料の総需要減による販売減等により、売上が減少しました。刷版材料分野では、新聞印刷用無処理版の新製品「ZN-Ⅱ」の販売を開始する等、環境対応品の拡販を推進します。デジタルプリンティングでは、商業・パッケージ印刷分野にはデジタルプレス、サインディスプレー分野、及び産業印刷分野には大判プリンターの拡販を図ります。

 インクジェット事業の売上は、産業用インクジェットヘッドの販売が顧客の在庫調整等の影響で減少しました。これまで注力してきた商業印刷分野、サインディスプレー分野に加え、テキスタイルやパッケージ等、新たな領域へ独自の製品を展開し、事業を拡大していきます。

 本部門の連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、ディスプレイ材料事業、電子材料事業等で売上を伸ばし、758,854百万円(前年同期比4.2%増)となりました。営業利益は、収益性の改善等により、70,018百万円(前年同期比17.0%増)となりました。

*current Good Manufacturing Practice。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品及び医薬部外品の最新の製造管理及び品質管理規則。

 

③ ドキュメント ソリューション部門

 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、全体の販売台数は対前年で減少しましたが、中国市場向けに開発した複合機の販売が引続き堅調に推移しました。オフィスプリンター分野では低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小により、販売台数が減少しました

 プロダクションサービス事業は、全体の販売台数は対前年で減少しましたが、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が欧米を中心に引続き好調に推移しました。また、2019年1月にオフセット印刷の画質に迫る商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」を発表しました。2019年2月より国内で販売を開始し、商業印刷市場のデジタル化を拡大することで、さらなる成長を目指します。

 ソリューション&サービス事業は、仕入れ商品に対する売上の計上方法を変更した影響により全体の売上は対前年で減少しましたが、BPO(Business Process Outsourcing)契約の売上や業種業務別ソリューション等の売上が堅調に推移しました。新しい価値戦略「Smart Work Innovation」のもと、10月には高品質・高信頼のクラウドセキュリティサービス「Smart Cyber Security」を販売開始。サテライトオフィス等外部からのセキュアな接続や、TV会議時等で必要となる大容量データの安定的な送受信等、お客様の多様化する働き方を支援するサービスを順次提供し、サービス領域でのさらなる成長を目指します。

 本部門の連結売上高は、低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小や仕入れ商品に対する売上の計上方法を変更した影響等により、737,129百万円(前年同期比5.9%減)となりました。営業利益は、収益性の改善や構造改革効果等により、66,915百万円(前年同期比82.2%増)となりました。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より118,612百万円減少し、当第3四半期連結会計期間末においては649,634百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は143,561百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して12,119百万円7.8%減少しておりますが、これは未払法人税等及びその他負債の支払額が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は159,398百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して11,958百万円7.0%)減少しておりますが、これは当第3四半期連結累計期間においてIrvine Scientific Sales Company, Inc.及び㈱アイエスジャパンを買収した一方、前第3四半期連結累計期間において和光純薬工業㈱を買収したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は103,126百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して119,743百万円53.7%)減少しておりますが、これは非支配持分との資本取引による支出があったものの、長期債務による調達額が増加し、長期債務の返済額が減少したこと等によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

 なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。

 株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。

 当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、115,805百万円(前年同期比1.8%減)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。