当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(2019年4月1日~6月30日)の世界経済を概観すると、アジア及び欧州の中では弱さがみられるものの、全体として緩やかな回復基調が継続しました。米国の景気は、個人消費や設備投資が増加し、着実な回復が継続しました。欧州の景気は、一部に弱さがみられるものの、消費や設備投資の増加により、緩やかな回復基調が継続しました。アジア地域については、中国では、消費の伸びの低下等の影響で、景気は緩やかに減速しています。その他アジア地域は、景気は緩やかに回復しているものの、一部に弱い動きもみられます。日本では、雇用・所得環境の改善により個人消費が持ち直しており、緩やかな回復基調が続きました。
当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。2017年8月に2030年度を目標とした新CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定。革新的技術・製品・サービスの提供等、事業活動を通じた社会課題の解決により一層取り組み、サステナブル社会の実現に貢献する企業であり続けます。また、SVP2030で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして、中期経営計画「VISION2019」を策定。それぞれの事業を「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置づけ、成長過程に合わせた施策を適切に展開することにより、個々の事業の収益力のさらなる強化を図ることで、事業ポートフォリオをより強固なものにし、一層の飛躍へとつなげていきます。
2019年度は、米中貿易摩擦、欧州における英国のEU離脱や、中国をはじめとした新興国経済の動向、北朝鮮や中東情勢等の地政学的リスク、国内においては消費増税による駆け込み需要及びその反動等、先行きの見えない不安定な状況が続くことが予想されますが、当社は各事業のさらなる収益力の向上で安定的にキャッシュを創出するとともに、特に「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の加速」と「ドキュメント事業の抜本的強化」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものにしていきます。
当社グループの当第1四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、ドキュメント事業の売上減少等により535,326百万円(前年同期比5.2%減)となりました。
営業利益は、37,113百万円(前年同期比0.7%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、持分証券評価損の計上等により、26,392百万円(前年同期比42.4%減)、当社株主帰属四半期純利益は14,662百万円(前年同期比48.2%減)となりました。
当第1四半期連結会計期間末では、総資産はオペレーティング・リース使用権資産の計上等により33,084百万円増加し、3,447,776百万円(前年度末比1.0%増)となりました。負債は、オペレーティング・リース負債の計上等により50,412百万円増加し、1,220,263百万円(前年度末比4.3%増)となりました。純資産は為替換算調整額の減少等により17,328百万円減少し、2,227,513百万円(前年度末比0.8%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① イメージング ソリューション部門
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、74,636百万円(前年同期比15.1%減)となりました。営業利益は、4,495百万円(前年同期比63.2%減)となりました。
フォトイメージング事業では、カラーペーパーの販売減等の影響により売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2019年6月に発売したハイブリッドインスタントカメラ「instax mini LiPlay(インスタックス ミニ リプレイ)」の販売が国内外で好調に推移しました。シリーズ史上最小・最軽量の優れた携帯性や、写真とともに音声を記録できる「サウンド機能」が好評を博しています。付加価値プリントビジネスでは、2019年5月から写真クラウドサービス「FUJIFILM PhotoBank(フォトバンク)」のサービスを開始しました。写真の共有やプリント注文に加え、2020年初頭には、保存した写真からAIがユーザーの嗜好性を推測し、興味に合った製品等が購入できるサービスを開始し、写真を活用した新しいライフスタイルを提案していきます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減等により売上は減少しましたが、2019年3月に発売した小型軽量・高性能ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T30」をはじめミドル・ハイエンドモデルの販売が好調に推移しました。また、2019年6月に発売した、世界最高1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」の販売が好調に推移しています。
光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。屈曲型レンズの効果で設置の自由度が大幅に拡大するプロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、2019年4月に発表した世界中で高い評価を得ているラージフォーマットセンサー対応シネマカメラ用ズームレンズ「Premista(プレミスタ)」シリーズ等、事業成長に向けた新製品の展開を強化しています。
② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、227,626百万円(前年同期比3.5%減)となりました。営業利益は、18,857百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
メディカルシステム事業では、医療IT、内視鏡等の分野で販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、中東、アフリカ等の新興国を中心に、デジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO Smart(カルネオ スマート)」シリーズの販売が堅調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本・米国を中心に好調に推移しました。内視鏡分野では、当社独自の特殊光観察が可能な7000システム等の販売が好調に推移しました。また、2019年5月に、内視鏡用処置具の開発・製造・販売を行っているmedwork(メドワーク)社を買収し、内視鏡用処置具事業に本格参入することを発表しました。超音波診断分野では、ハイエンド超音波画像診断装置「SonoSite X-Porte」、携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等の販売が、米国で堅調であったほか、中国でも好調に推移しました。日本市場では、透析施設向けに自動血流量測定機能を新たに搭載した携帯型超音波画像診断装置「FC1-X」等の販売が好調に推移しました。体外診断(IVD)分野は、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売や、国内動物向け受託検査が好調に推移しました。
医薬品事業では、ジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2019年1月に発売した、調剤薬局等での薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D」の販売が堅調に推移しました。また、2019年4月に、新規抗菌薬「T-4288」(一般名:ソリスロマイシン)について、中耳炎や副鼻腔炎等耳鼻咽喉科感染症の治療薬として、日本国内での製造販売承認申請を行いました。今後も、高付加価値な医薬品の開発・製造・販売を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年6月に、バイオ医薬品の開発・製造受託業界で初めて培養から精製までの高性能・高効率な全工程連続生産システムを開発し、今秋よりプロセス開発の受託サービスを開始することを発表しました。今後も生産能力の増強を継続するとともに、高効率・高生産性技術の開発により、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業を拡大していきます。
再生医療事業では、2018年6月に連結子会社化した、培地のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Irvine Scientific, Inc.が展開するバイオ医薬品向けの培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、2019年6月には、再生医療ベンチャーの(株)JUNTEN BIO、及びPuREC(株)に出資を行うことを発表しました。富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウをベースに、ベンチャー企業の先進的な技術を加えて、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、2019年3月に発売したアスタリフトシリーズで最も高い紫外線カット効果を持つ「アスタリフト D-UVクリア ホワイトソリューション」、美容効果をさらに強化しリニューアルした「アスタリフト ホワイト エッセンス インフィルト」の販売が好調に推移しました。また、サプリメントでは2019年5月に発売した機能性表示食品「メタバリアEX(イーエックス)」を中心に販売が堅調に推移しました。
ディスプレイ材料事業では、WVフィルムの需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が好調に推移しました。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機材の販売が堅調に推移しました。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料、イメージセンサー用カラーレジスト、先端パッケージ用ポリイミド等の販売が引き続き堅調に推移しました。
ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における研究機関向け試薬販売や、検査・分析等の受託サービスが堅調に推移し、売上が前年並みとなりました。
記録メディア事業では、高容量データストレージ用磁気テープ製品の販売が堅調に推移し、売上が増加しました。「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスの提供等、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、刷版材料の需要減等の影響を受け、売上が減少しました。2019年3月に販売を開始した、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップ「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が加速する商業印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速による需要減の影響を受け、売上が減少しました。これまで注力してきた商業印刷分野、サインディスプレー分野に加え、テキスタイルやパッケージ等、新たな領域へ独自の製品を展開し、事業を拡大していきます。
③ ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、233,064百万円(前年同期比3.3%減)となりました。営業利益は、収益性の改善や構造改革効果により、21,717百万円(前年同期比45.5%増)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、欧米向け輸出の減少等により全体の販売台数は対前年で減少しましたが、国内、アジアパシフィック・中国地域で、カラー複合機の販売が好調に推移しました。
プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売は減少しましたが、欧米でカラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が引き続き好調に推移したことに加え、国内ではカラー機が、アジアパシフィック・中国地域ではモノクロ機の販売が好調で、全体の販売台数は増加しました。2019年2月より国内で販売を開始したオフセット印刷の画質に迫る商業印刷向け高速ロール紙カラーインクジェットプリンター「11000 Inkjet Press」の販売を強化することで、商業印刷市場のデジタル化を加速し、さらなる成長を目指します。
ソリューション&サービス事業では、オーストラリアでの大型BPO(Business Process Outsourcing)契約の獲得や、オフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理を一括してサポートする役務サービスの販売が好調に推移したことにより、全体の売上が増加しました。今後もお客様の多様化する働き方を支援するサービスを順次提供し、サービス領域でのさらなる成長を目指します。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より47,681百万円増加し、当第1四半期連結会計期間末においては702,428百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は108,415百万円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して21,418百万円(24.6%)増加しておりますが、これは受取債権の減少額が増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は29,067百万円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して77,349百万円(72.7%)減少しておりますが、これは前第1四半期連結累計期間においてIrvine Scientific Sales Company, Inc.(現 FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.)及び㈱アイエスジャパン(※)を買収したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は21,228百万円となり、前第1四半期連結累計期間と比較して4,030百万円(16.0%)減少しておりますが、これは短期債務の返済額が減少したこと等によるものです。
※㈱アイエスジャパンは、2019年4月1日に、当社の完全子会社である富士フイルム和光純薬㈱に統合されました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。
株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。
当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、38,967百万円(前年同期比2.9%減)であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。