第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第2四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間(2019年4月1日~9月30日)の世界経済を概観すると、米国の景気は、個人消費や政府支出が増加し、着実な回復が継続しました。欧州の景気は、一部に弱さがみられるものの、消費の増加により、緩やかな回復基調が継続しました。アジア地域については、中国では、消費の伸びの低下や輸出の減少等の影響で、景気は緩やかに減速しています。その他アジア地域は、景気は緩やかに回復しているものの、一部に弱い動きもみられます。日本では、雇用・所得環境の改善により個人消費が持ち直しており、緩やかな回復基調が続きました。

 当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。2017年8月に2030年度を目標としたCSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定。革新的技術・製品・サービスの提供等、事業活動を通じた社会課題の解決により一層取り組み、サステナブル社会の実現に貢献する企業であり続けます。また、「SVP2030」で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして、中期経営計画「VISION2019」を策定。それぞれの事業を「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置づけ、成長過程に合わせた施策を適切に展開することにより、個々の事業の収益力のさらなる強化を図ることで、事業ポートフォリオをより強固なものにし、一層の飛躍へとつなげていきます。

 2019年度は、米中貿易摩擦、欧州における英国のEU離脱や、中国をはじめとした新興国経済の動向、北朝鮮や中東情勢等の地政学的リスク、国内においては消費増税の影響等、先行きの見えない不安定な状況が続くことが予想されますが、当社は各事業のさらなる収益力の向上で安定的にキャッシュを創出するとともに、特に「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の加速」と「ドキュメント事業の抜本的強化」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものにしていきます。

 当社グループの当第2四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、ドキュメント事業の売上減少等により1,132,134百万円(前年同期比3.5%減)となりました。

 営業利益は、92,039百万円(前年同期比9.7%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、97,532百万円(前年同期比1.3%減)、当社株主帰属四半期純利益は61,145百万円(前年同期比6.6%減)となりました。

 当第2四半期連結会計期間末では、総資産はオペレーティング・リース使用権資産の計上等により66,095百万円増加し、3,480,787百万円(前年度末比1.9%増)となりました。負債はオペレーティング・リース負債の計上等により65,147百万円増加し、1,234,998百万円(前年度末比5.6%増)となりました。純資産は、為替換算調整額が減少したものの当社株主帰属四半期純利益の計上により948百万円増加し、2,245,789百万円(前年度末比0.0%増)となりました。

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

 

 

① イメージング ソリューション部門

イメージング ソリューション部門の連結売上高は、154,070百万円(前年同期比12.4%減)となりました。営業利益は、10,144百万円(前年同期比53.0%減)となりました。

フォトイメージング事業では、カラーペーパーの販売減等の影響により売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2019年6月に発売したハイブリッドインスタントカメラ「instax mini LiPlay(インスタックス ミニ リプレイ)」の販売が国内外で好調に推移しました。小型・軽量の優れた携帯性やスマートフォンからのプリント機能、写真とともに音声を記録できるサウンド機能が好評を博しています。2019年10月には、スマートフォンで撮影した画像をチェキプリントにできるスマートフォン用プリンター「instax mini Link」を発売しました。付加価値プリントビジネスでは、2019年5月から写真クラウドサービス「FUJIFILM PhotoBank(フォトバンク)」のサービスを開始しました。

光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減等により売上は減少しましたが、2019年6月に発売した、世界最高1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」をはじめ、ミドル・ハイエンドモデルの販売が好調に推移しました。2019年9月には、「GFXシリーズ」用交換レンズとして、335gのコンパクトな単焦点タイプ「フジノンレンズ GF50mmF3.5 R LM WR」をラインアップに追加。計10本のレンズラインアップで幅広い撮影範囲をカバーし、「GFXシリーズ」で撮影する悦びを提供していきます。

光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。屈曲型レンズの効果で設置の自由度が大幅に拡大するプロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、2019年8月に発売した、ラージフォーマットセンサー対応のシネマカメラ用ズームレンズ「Premista」シリーズ等、事業成長に向けた新製品の展開を強化しています。

 

② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門

 ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、492,745百万円(前年同期比1.3%減)となりました。営業利益は、45,025百万円(前年同期比20.0%増)となりました。

 メディカルシステム事業では、X線画像診断、医療IT、内視鏡、体外診断(IVD)等の分野で販売が好調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、中東・アフリカ、東南アジア等の新興国を中心としたDR販売が好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本・米国を中心に好調に推移し、売上が大幅に増加しました。また、2019年7月より日本国内において、CT画像からの臓器自動抽出等、AI技術を活用し診断を支援するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプス サイ ビューワ)」の販売を開始しました。AI技術を活用することで、画像診断における医師の診断支援やワークフローの改善に取り組んでいきます。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、透析用途に自動血流量測定機能を新たに搭載した携帯型超音波画像診断装置「FC1-X」の販売が日本で大幅に増加したほか、中国や新興国でも携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」を中心に販売が好調に推移しました。また、米国を中心に、フルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」の販売も増加しています。体外診断(IVD)分野は、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売や、国内動物向け受託検査が好調に推移しました。

 医薬品事業では、収益性の改善を目的にジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2019年7月に、中国でキノロン系経口合成抗菌薬「T-3811」について、肺炎等の呼吸器感染症を主な適応症とした輸入医薬品承認を取得しました。今後も、高付加価値な医薬品の開発・製造・販売を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年8月に、バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社であるBiogen(Denmark)Manufacturing ApSの買収手続きを完了しました。本買収を通じて、15,000リットルの動物細胞培養タンク6基等の大量生産設備を取得。生産能力を大幅に向上させるとともに、少量から大量までの幅広い受託ニーズに迅速に対応できる体制を構築しました。今後も生産能力の増強を継続するとともに、高効率・高生産性技術の開発により、バイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業を拡大していきます。

 再生医療事業では、2018年6月に連結子会社化した、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.が展開するバイオ医薬品向けの培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。2019年7月には、当社米国子会社で、iPS細胞の開発・製造のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.と、米国有力ベンチャーキャピタルのVersant Venture Management, LLCが設立したCentury Therapeutics, Inc.が、他家iPS細胞を用いた次世代がん免疫治療薬の開発を開始することを発表しました。本開発には大手製薬企業のBayer AGも参画します。富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。

 ライフサイエンス事業では、リニューアル発売したジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」や、サプリメント「メタバリアEX」等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、2019年11月に男性用スキンケアシリーズ「ASTALIFT MEN(アスタリフト メン)を発売し、男性用化粧品市場へ参入しました。今後もお客様のニーズをとらえた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。

 ディスプレイ材料事業では、「WVフィルム」の需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が好調に推移しました。

 産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機器の販売が堅調に推移しました。

 電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料が半導体市場低迷の影響を受けたものの、イメージセンサー用カラーレジスト、先端パッケージ用ポリイミド等の販売が引き続き堅調に推移し、売上が前年並みとなりました。

 ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における研究機関向け試薬販売や、検査・分析等の受託サービスが堅調に推移し、売上が前年並みとなりました。

 記録メディア事業では、大容量データストレージ用磁気テープ製品の販売が好調に推移し、売上が増加しました。2019年9月には、最大記録容量30TBを実現したデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ」を発売する等、今後も「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスを提供し、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。

 グラフィックシステム事業では、刷版材料の需要減等の影響を受け、売上が減少しました。刷版材料分野では、2019年9月に産業環境管理協会が主催する「エコプロアワード」にて「経済産業大臣賞」を受賞した新聞用完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZN-II」をはじめとする環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、2019年3月に販売を開始した、B2サイズ枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップ「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。

 インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速による需要減の影響を受け、売上が減少しました。これまで注力してきた商業印刷分野、サインディスプレー分野に加え、テキスタイルやパッケージ等、新たな領域へ独自の製品を展開し、事業を拡大していきます。

 

③ ドキュメント ソリューション部門

 ドキュメントソリューション部門の連結売上高は、485,319百万円(前年同期比2.5%減)となりました。当部門の営業利益は、国内販売が好調なことに加えて、低採算商談の縮小等による収益改善や構造改革効果により54,921百万円(前年同期比26.9%増)となりました。

 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、欧米向け輸出の減少等により全体の販売台数は対前年で減少しましたが、国内、アジアパシフィック・中国地域で、カラー複合機の販売が好調に推移しました。

 プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売が減少したものの、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「Iridesse™ Production Press」の販売が引き続き好調に推移したことと、国内のDTP(Desktop publishing)向けカラー機も販売が好調で、全体の販売台数は対前年で増加しました。

 ソリューション&サービス事業では、オーストラリアで獲得した大型BPO(Business Process Outsourcing)契約に加え、オフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理をサポートする役務サービスの販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。今後も、新しいサービスメニューを順次提供することで、お客様の多様化する働き方を支援していくと共に、サービス領域での更なる成長を目指します。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より26,703百万円減少し、当第2四半期連結会計期間末においては628,044百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動により得られた資金は157,552百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して72,281百万円84.8%増加しておりますが、これは受取債権の減少額が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動に使用した資金は163,501百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して32,404百万円24.7%増加しておりますが、これは当第2四半期連結累計期間においてBiogen(Denmark)Manufacturing ApSを買収したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動に使用した資金は2,572百万円となり、前第2四半期連結累計期間と比較して126,065百万円98.0%減少しておりますが、これは長期債務による調達額が増加したこと及び前第2四半期連結累計期間において非支配持分との資本取引による支出があったこと等によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第2四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

 なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。

 株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。

 株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。

 当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。

 

(5) 研究開発活動

 当第2四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、79,684百万円(前年同期比0.2%増)であります。

 なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当社は、2019年11月5日開催の取締役会において、ゼロックスコーポレーションが保有する富士ゼロックス㈱の全株式を取得する旨の契約を締結することを決議し、締結しました。

 詳細は、第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 四半期連結財務諸表に対する注記20「重要な後発事象」に記載のとおりです。