第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、経営環境

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 当社グループは、写真フィルム需要が激減した2000年以降、積極的な事業構造の転換を進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を再構築し、新たな成長戦略を推進しています。2017年8月に2030年度を目標とした新CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定。革新的技術・製品・サービスの提供等事業活動を通じて「新たな価値」を創出することで、社会課題の解決に取り組んできました。当社は、持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けます。また、「SVP2030」で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして実行した中期経営計画「VISION2019」では、各事業を「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置づけ、成長過程に合わせた施策を適切に展開し、個々の事業の収益力の強化を図ることで、事業ポートフォリオをより強固なものにし、一層の飛躍へとつなげてきました。2020年度は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の世界的な流行による各国での非常事態宣言や入国禁止措置、東京オリンピック・パラリンピック延期等に伴う実体経済の停滞等、これまで経験したことのない事態に直面しています。各国で推進される金融緩和や景気対策が、COVID-19流行終息後の景気押し上げに寄与すると期待される一方で、感染拡大が長期化した場合の、もう一段激しい世界経済の落ち込みも危惧される等、国内外問わず極めて先行き不透明な社会経済状況が続くことが予想されます。この様な状況の中、当社グループは全事業の収益力向上に努め安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、特に「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長」と「ドキュメント事業の新たな成長戦略とさらなる収益力向上」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものとし、この難局を乗り越えていきます。

 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の予想値につきましては、COVID-19が世界規模で流行拡大している影響により、現段階では合理的な予想の算出が困難であるため、未定とさせていただきます。

 

(2)対処すべき課題

「ヘルスケア・高機能材料領域の着実な事業成長」

 ヘルスケア領域では、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業が売上成長を牽引し、増収・増益を確保します。医薬品事業と再生医療事業は、研究開発の効率化・パートナーとの提携を推進することで、事業を育成していきます。また、COVID-19感染拡大抑止や流行終息に貢献するべく、早期の「アビガン®錠」提供や、各製薬会社の治療薬等のプロセス開発・製造受託を進めていきます。

 メディカルシステム事業では、医療IT領域で“REiLI(レイリ)”というブランド名称のもと、医療現場のワークフローを支援するAI技術の開発と実用化を進めています。同技術を活用し、X線画像診断機器、内視鏡、超音波、体外診断(IVD)の幅広い製品ラインアップを活かしたソリューション提案を一層強化します。最大市場の北米においては、主要病院への内視鏡システム導入の促進や外科用処置具の販売強化に加えて、手術室のシステムインテグレーション市場へのビジネス展開を加速し、事業拡大を図ります。また、㈱日立製作所から買収する画像診断関連事業とのシナジー最大化を図ることで、メディカルシステム事業のさらなる成長に向けた、強固な事業基盤の構築を進めていきます

 高い市場成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発・製造受託事業では、2019年8月にBIOGEN (DENMARK) MANUFACTURING ApSを買収しました。従来のFUJIFILM Diosynth Biotechnologiesの米国・英国拠点と併せて、設備投資・技術開発による生産能力の拡大、スケールメリットによる収益力強化を進めます。また、最先端医療の遺伝子治療薬CDMOに本格参入し事業成長を加速します。

 医薬品事業では、抗菌剤、放射性医薬品、アンメットメディカルニーズが高い領域の新薬等において、研究開発を効率的に推進します。ドラッグ・デリバリー・システム分野においては、当社独自技術を活用したリポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」(抗がん剤)の臨床第Ⅰ相試験を米国で進めています。また、富士フイルム富山化学㈱のリポソーム工場(GMP対応)を2020年2月に稼働させました。治験薬製造や商業生産の体制を構築するとともに、核酸内包リポソームの開発・製造受託サービスも開始していきます。

 再生医療事業では、細胞治療分野においては、FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.が治療用iPS細胞の生産施設「i-FACT」(cGMP対応)を2020年3月に稼働させました。自社での再生医療製品の開発を加速させるとともに、開発・製造受託サービスも展開していきます。創薬支援分野においては、国内では2019年9月にヒトiPS 細胞由来腸管上皮細胞 「F-hiSIEC™」を販売開始しました。米国ではFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.がFUJIFILM Irvine Scientific, Inc.と協業し、細胞・培地・試薬のキット販売や、顧客の実験プロセスにおける細胞・培地・試薬の最適な使用方法の確立をサポートするソリューション販売を進めていきます。製薬企業やアカデミアとの協業を推進することで、画期的な製品の開発・提供を加速し、医薬品開発の効率化や再生医療の産業化に貢献していきます。

 高機能材料領域の各事業では、独自の技術力を生かし現在の競争優位性を維持して、市場のニーズにあった高収益の製品をタイムリーに投入することで売上・利益ともに拡大していきます。

 電子材料事業では、イメージセンサー用「WCM(Wave Control Mosaic)」や後工程材料を中心に新製品開発・ラインアップ拡充を行います。また、レジスト材料は、先端領域にターゲットを絞り新規材料の開発を進め、事業成長を加速させます。AI・IoTや5Gの普及等により、半導体は需要拡大とともに、高性能化に必要とされる処理能力アップ・微細化が進むとみられており、当社はこうした新たな顧客ニーズに応えていきます。主に半導体の高性能化を支える材料開発及び安定供給を目的とした設備投資を継続的に実施し、さらなる需要拡大に対応していきます。

 ディスプレイ材料事業では、液晶パネル向けの既存タック製品におけるマーケットポジションの維持に加え、薄膜・積層塗布技術を活用し、有機ELや車載ディスプレイ向け等新規用途材料のビジネス拡大を進めます。

 産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルムの「エクスクリア」等、当社独自技術を活用した高機能製品を拡販していきます。また、橋梁やトンネル等のひび割れ検出サービス「ひびみっけ」等、AIを活用した画像解析によってソリューションビジネスへの展開を行い、事業を拡大します。

 

「ドキュメント事業の新たな成長戦略とさらなる収益力向上」

 2019年11月に「戦略の自由度と意思決定のスピード向上」を狙いとして、富士ゼロックス㈱の完全子会社化を実施しました。さらに、2021年3月31日にゼロックスコーポレーションとの技術契約の終了により、富士フイルムブランドでのグローバル展開が可能となります。2021年4月からは新社名「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」として、新たなブランドのもと、ドキュメント機器のグローバル市場への展開を加速します。

 オフィスプロダクト&プリンター事業では、セキュリティ機能を強化したカラー複合機「ApeosPort」「DocuCentre」新シリーズを核として日本・中国をはじめとするアジア・オセアニア地域で、さらなるシェア拡大を目指します。加えて新たな戦略として、品質・堅牢性を高く評価されている当社複合機のOEM供給拡大を軸にグローバル市場への展開を加速し、売上成長を目指します。

 プロダクションサービス事業では、富士フイルム㈱のグラフィックシステム事業とのシナジーを最大化し、商業印刷分野でのオフセット印刷機からデジタル印刷機までの幅広いラインアップや有力な顧客基盤を梃子に、グローバル市場攻略を進めます。

 ソリューション&サービス事業では、富士ゼロックス㈱が培ってきた先進テクノロジーやAI技術を駆使し、働く人の知的生産性を向上させる環境を構築するとともに、紙文書業務プロセスの効率化を可能とするDocuSign, Inc.やEsker SAをはじめとしたさまざまなITサービス提供企業との戦略提携を拡大することで、クラウド上のセキュアな環境で新たなドキュメントソリューションを提供し、事業成長を拡大していきます。

 COVID-19感染対策としてリモートワークが浸透することで、お客様の業務プロセス・働き方が変化することが予想されます。お客様の働き方改革の鍵となる、ドキュメント・業務プロセスのデジタル化を促進するソリューション&サービス事業へのシフトを加速し、新たな事業の柱としていきます。オフィスに縛られない働き方や、デジタルトランスフォーメーションにつながるような、お客様の働き方やビジネスに変革を起こしていくソリューションの提供により、事業成長と収益力向上を目指します。

 

 当社は、「SVP2030」の下、「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」と「事業を通じた社会課題の解決」の2つの側面から、当社が取り組むべき重点分野を「環境」「健康」「生活」「働き方」「サプライチェーン」「ガバナンス」の6つに定め、各分野で設定した目標達成に向けて取組みを進めています。かかる取組みを着実に遂行すべく、2019年6月に、これまでのCSR部門を発展的に改組し、社長直下の組織として「ESG推進部」を新設しました。

 6つの重点分野のうち、「環境」においては、国際社会共通の重要課題である気候変動への対応として、CO2排出削減に積極的に取り組んでいます。具体的には「自社の事業プロセスにおける排出削減」を実現するため、省エネ化に加え、2019年1月に再生可能エネルギー使用率の目標を設定、100%再生可能エネルギー化を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しました。「製品・サービス・技術を通じた排出削減」としては、環境配慮製品のさらなる創出に向け、製品の環境価値を明確化し、優れた製品を開示する社内認定制度「Green Value Products」を導入。当連結会計年度までに121件を認定しました。今後も、自社の排出削減と社会への貢献の両面でCO2排出削減に向けた取組みを加速させていきます。「ガバナンス」においては、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、強化に取り組んでいます。誠実かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指していきます。

 

 当社グループは、前年度まで取り組んだ中期経営計画「VISION2019」で、重点領域を中心として各事業のビジネスを拡大・成長させてまいりました。当社グループの2020年度の基本方針は「“All-Fujifilm”でたゆまぬ挑戦を!」と掲げました。新規市場創出・拡大に向けて、マーケットニーズを的確に捉えることで新たな価値を持つ製品・サービスの開発・提供を推進します。社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、持続可能な社会の発展に貢献するために、富士フイルムホールディングス傘下の全ての会社・組織・従業員の力を結集した“All-Fujifilm”で挑戦してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントの基本方針及びリスクマネジメント体制を「リスクマネジメント規程」において定め、その基本方針及び体制に基づき、事業を取り巻くさまざまなリスクに対して適切な管理を行っております。また、当社及びその子会社は、個別の業務遂行において発生するリスク案件についてリスクマネジメント規程に基づいて適切に判断・対処するとともに、重要なリスク案件については、定められた手続きに従い、ESG委員会に報告され、リスク重点課題の設定及びリスク事案発生時の対応を議論し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。さらに、当社グループとしての企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図っております

 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経済情勢・為替変動による業績への影響に係るリスク

 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、連結ベースでの海外売上高比率は当連結会計年度において約57%です。当社の連結財務諸表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成していることから、世界各地の経済情勢、とりわけ為替レートの変動は業績に大きく影響を及ぼすリスクがあります。

 為替レートの変動が連結営業利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間約8億円、ユーロに対して円が1円変動した場合は年間約8億円と試算しております。

 当社グループでは、為替変動による業績への影響を軽減するため、米ドル、ユーロにおいて先物予約を中心としたヘッジを行う等で対策を行っておりますが、為替の変動の程度によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)イメージング分野における環境変化・競合に係るリスク

 イメージング分野においては、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落、製品ライフサイクルの短縮化、代替製品の出現等を主なリスクとして考えております。また、スマートフォンの普及による画像ショット数の増加とプリントニーズの拡大によって、フォトイメージングの分野では事業機会が拡大している一方で、光学・電子映像の分野では、スマートフォンのカメラ性能の向上に対して、当社のデジタルカメラの優位性を訴求できない場合、当社の地位が相対的に低下するリスクが考えられます。

 当社グループでは、入力(撮影)から出力(プリント)までのサービスを提供できる総合力や、高度な光学技術・精密加工・組み立て技術等を保有しているという競争優位性を活かして、ユーザーのニーズをとらえたイノベーティブな新たな製品・サービス等を提供してまいりますが、その成否によっては売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)ヘルスケア&マテリアルズ分野における環境変化・競合に係るリスク

 ヘルスケア分野においては、画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場での高齢化の進展や医療従事者の不足等による、診療支援や業務効率化に貢献するソリューションニーズが高まっており、事業機会が拡大している一方で、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更や医療機器における法規制の強化等を主なリスクと考えております。その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、マテリアルズ分野においては、ディスプレイ材料・半導体プロセス材料等の高機能材料市場での競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や代替製品の出現等を主なリスクとして考えております。

 当社グループでは、高度な画像処理技術、化合物合成・設計力やナノテクノロジー、製膜・塗布技術等の先進・独自の技術を保有しているという競争優位性を活かして、今後も技術に裏付された新たな製品・サービスの研究開発とこれをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)ドキュメント分野における環境変化・競合に係るリスク

 ドキュメント分野においては、顧客企業の業務プロセスのデジタル化や新型コロナウイルス感染防止のためリモートワークが拡大することによるオフィスでのプリント需要の減少、オフィス機器市場の競争激化等による市場環境の大きな変化がリスクと考えます。

 当社グループでは、お客様の複雑化・多様化する経営課題の解決を支援できる強力な営業力、オフィスの課題解決のためのソリューションを提供する製品ラインアップの充実と、それを支えるドキュメント分野の独自技術の研究開発、ITサービス企業との提携を進めて競争優位性を維持してまいりますが、こうした市場動向に対応した製品やサービスを提供できない場合、売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)生産活動に係るリスク

 当社グループでの生産に必要な原材料・部品等について、急激な価格高騰や、自然災害又は人災、サプライヤーの不測な事態による製造中止等がリスクと考えます。

 当社グループでは、急激な原材料価格高騰時には適切な売価への反映を検討するとともに、製品開発及び量産化検討時において、代替材料の探索や可能な限り複数調達先の検討を行うことでリスク分散化の対策を行っておりますが、想定を上回る市況の変化や不測の事態が発生した場合には、収益性の低下や販売機会の消失等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)製品品質・製造物責任に係るリスク

 当社グループは、厳しい品質管理基準に従い各種製品を生産しておりますが、将来にわたり製品に欠陥が発生する可能性がないとは言えず、重大な製品事故や製品に対する安全性や環境問題において懸念が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、新製品開発にあたっては、品質の到達度だけでなく、法規制を遵守し、環境・安全に配慮した製品開発を行うとともに、製品安全情報のお客様への周知や製品安全に関する従業員への教育を徹底する等の対策を図り、万一、製品事故等が発生した場合の体制構築等を整えておりますが、実際にこうした事態が発生した場合には、その対応費用が発生するだけでなく、企業ブランドや製品ブランドが毀損され当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)医薬品事業・再生医療事業に係るリスク

 当社グループにおける一部のグループ会社では、医薬品及び再生医療等製品の研究開発及び製造販売を行っております。新規の医薬品及び再生医療等製品の開発・薬効追加等には多額の研究開発投資を行う必要があり、承認・販売までには長期間を要するとともに、研究開発が計画通りに進行せず、開発の遅延や中止等のリスクがあります。また、販売後に予期せぬ重大な副作用その他の安全性に関する問題が発生する可能性もあります。

 当社グループでは、開発の不確実性のリスクに対しては、複数のパイプラインを保有することによりリスクの分散化を図っております。また、医薬品は開発段階において必要な安全性の試験を実施し、監督官庁の審査を経て承認されておりますが、万一、販売後に予期せぬ重大な副作用等が見つかった場合には、損害賠償の負担や社会的信頼の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)物流に係るリスク

 当社グループの事業活動において、原油価格の高騰等を原因とする運賃の高騰は、当社グループの物流コストの増加をもたらす可能性があります。また、地震・津波・洪水等の大規模災害の発生により、人的・物的被害や物流機能の麻痺、インフラ機能断絶等が生じ、当社グループの生産・販売活動に支障が生じるリスクがあります。

 当社グループでは、生産拠点を複数の地域に分散化する等の対策を図り、不測の事態により一部の地域で生産・販売活動が停止した場合でも影響を軽減できるような体制をとっておりますが、完全に影響をゼロにすることはできず、こうした事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)特許及びその他の知的財産権に係るリスク

 当社グループは、さまざまな特許、ノウハウ等の知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保していますが、将来、特許の権利存続期間の満了や代替技術等の出現に伴って、優位性の確保が困難となることが起こり得ます。

 当社グループが関連する幅広い事業分野においては、多数の企業が高度かつ複雑な技術を保有しており、また、かかる技術は著しい勢いで進歩しています。事業を展開する上で、他社の保有する特許やノウハウ等の知的財産権の使用が必要となるケースがありますが、このような知的財産権の使用に関する交渉が成立しないことのリスクがあります。

 当社グループでは、他社の知的財産権の調査を行い、他社の権利を侵害することがないよう常に注意を払って事業展開をしておりますが、訴訟に巻き込まれるリスクを完全に回避することは難しいのが実情です。このような場合、係争費用や敗訴した場合の賠償金等の負担により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)企業買収・業務提携等に係るリスク

 当社グループは、持続的な成長のため、これまでに複数の企業買収を実施しており、今後も実施する可能性があります。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といったさまざまな形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社グループの成長のための施策として重要なものであります。

 当社グループでは、企業買収にあたって慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ企業買収を実行するとともに、重要な投資案件に対しては業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、必要に応じて業績改善のための対策を講じておりますが、景気動向の悪化や政情不安、法令や規則の変更、対象会社もしくはパートナーの業績不振、業務統合に想定以上の時間を要する等により、期待していた買収効果や利益を実現することができなくなる可能性があります。また、当社グループは、企業買収に伴う営業権及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、投資に対する回収可能性が低下した場合には減損損失を認識することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)人材の確保に係るリスク

 当社グループの将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きく、それらの人材を採用・育成し、良好な関係を維持していくことが重要になります。一方、当社グループの事業領域での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきており、研究開発、製造、マーケティング及び販売、ICT、マネジメント分野等に関する高度な専門性を持った人材を確保していく必要がありますが、そのような人材には高い需要があり、必要な人材を確保できない可能性があります。

 当社グループでは、人材を企業価値の源泉の一つと位置付け、社会の変化に対応し、自らイノベーションを起こすことのできるグローバル人材や基幹人材の育成に長期的な視点で注力するとともに、多様な人材が能力を発揮できる環境作りに努めておりますが、そうした人材が育成できなかった場合や社外に流出してしまった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)内部統制に係るリスク

 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性並びに業務の有効性と効率性を確保するため、内部統制体制を構築・整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、想定外の問題が発生して内部統制が有効に機能しなかった場合、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動等、さまざまな要因により内部統制システムが適切に機能しない可能性があります。

 当社グループでは、富士フイルムグループ企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図るとともに、当社グループ内外にコンプライアンスに関連した相談・連絡・通報を受ける窓口を設置して、違反行為の早期発見に努めております。また、内部監査体制を整え、自ら問題の早期発見を行っておりますが、このような対策が適切に機能しなかった場合、法令違反や当社グループの財務報告に関する投資家の信頼低下による当社株価の下落、当社グループの社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(13)情報システムに係るリスク

 当社グループは、さまざまな情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やICT人材の確保、セキュリティ対策等を行っておりますが、サイバー攻撃等による不正アクセス、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動や、停電、災害等の要因により、データの改ざん、破壊、個人情報の漏洩、情報システムの障害等の事態が起こる可能性があります。

 当社グループでは、ソフトウェアや機器によるセキュリティ対策の実施や、定期的に従業員への教育及び訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないよう努めておりますが、万一、こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)公的規制に係るリスク

 当社グループが事業を展開している地域においては、事業・投資等の許認可、輸出入、通商、公正取引、知的財産、消費者保護、租税、為替管理、環境、薬事等の法規制の適用も受けており、万一、規制に抵触した場合、制裁金等が課される可能性があります。

 当社グループでは、国内外の法的規制に関する情報収集を行うとともに、事業活動に係る法規制の遵守を徹底すべく各種ガイドライン・マニュアル等を制定し、定期的な従業員への教育等を通じてコンプライアンス徹底を図っておりますが、今後規制が強化・大幅な変更等なされた場合、当社グループの活動の制限や、規制遵守のため、あるいは規制内容の改廃に対応するためのコストが発生する等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(15)環境規制に係るリスク

 当社グループは、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用制限、土壌・地下水・大気汚染防止及び廃棄物処理等に関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、これらの規制により法的又は社会的責任の観点から、環境に関する費用負担や賠償責任が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、製品の企画・開発の段階から環境負荷の低減を考慮し、生産、物流、使用、リサイクル又は廃棄に至るライフサイクル全体を対象とし、CO2の排出削減、資源循環の促進、製品・化学物質の安全確保等に取り組んでおります。しかし、将来、環境に関する規制の厳格化や義務の拡大等の変化が生じた場合、あるいは社会的な環境意識の高まりに伴い当社グループが環境問題への取り組みをより一層推進する場合には、かかる取り組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)気候変動に係るリスク

 気候変動問題において、今後各国・地域における政策の強化、環境関連法令等の変更・新規導入が想定外の急速なスピードで実施された場合に、かかる取り組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受けるリスクがあります。

 当社グループは、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き等、気候変動への対応に対して世界的に関心が高まるなか、エネルギー利用効率の最大化及び再生可能エネルギーの導入・活用によるエネルギー源の低炭素化を進めております。また、当社グループは、2018年12月に「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同することを表明し、2019年4月には事業活動での100%再生可能なエネルギー利用を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しております。

 当社グループでは、気候変動に伴う物理リスクへの対応として、調達・生産を複数の地域に分散化する等の対策を行っているものの、異常気象による原材料・部品の供給停止・価格高騰や、工場操業停止、サプライチェーンの寸断による製品サービスの中止等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)大規模災害等に係るリスク

 当社グループは、世界各地で生産・販売等の事業活動を行っております。このため、地震、津波、洪水等の大規模な自然災害に見舞われた場合や、火災、テロ、戦争、感染症の蔓延といった要因により、事業活動に支障をきたすリスクがあります。

 当社グループでは、自然災害が発生した際にいち早く従業員の安否を確認できるよう安否確認システムを導入するとともに、定期的に地震・火災に備えた訓練を実施しております。また、実際に災害が発生した際には早急に被災地の被害状況を把握した上で対策を講じられるように事業継続への影響を軽減できる体制を整えておりますが、事業活動の復旧までに長期の時間を要した場合や施設等の改修に多額の費用が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(18)新型コロナウイルス感染症の拡大に係るリスク

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において初めて確認された新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の世界的な流行拡大によって、当社グループのフォトイメージング事業や電子映像事業において、当社グループ中国工場における操業率低下による一部新製品の発売延期や消費活動の停滞によるデジタルカメラ等製品の需要減、グラフィックシステム事業において、イベント等の自粛による印刷需要減、ドキュメント事業において、オフィス閉鎖等によるプリント需要減の影響が生じました。

 当社グループでは、新型コロナウイルス対策室を設置し、顧客、取引先及び従業員の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、感染リスクが高い国や地域への渡航の原則禁止、工場見学や販売促進企画等の多くのお客様にお集まりいただくイベントの休止や制限、在宅勤務の実施等の対策を実施しております。

 また、ヘルスケア分野ではCOVID-19の感染拡大抑止・流行終息に貢献する製品・サービスの提供や、ドキュメント分野ではリモートワークを支援する新たなソリューション提供を推進してまいります。今後、事態が長期化又は更なる感染拡大が進行した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点で2020年度以降の業績に与える影響を予測することは困難であります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度の世界経済を概観すると、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)の世界的大流行の影響により、経済活動が抑制されており、急速に減速しています。日本の景気についても、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にあります。先行きについては、COVID-19の影響による厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済を下振れさせるリスクを十分注視する必要があります。

 当連結会計年度における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、光学・電子映像事業、ドキュメント事業の売上減少等により2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。営業利益は、186,570百万円(前年度比11.1%減)となりました。税金等調整前当期純利益は173,071百万円(前年度比18.7%減)、当社株主帰属当期純利益は124,987百万円(前年度比9.5%減)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(事業セグメント別の連結売上高)

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

386,914

332,603

△54,311

△14.0

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

1,038,966

1,024,209

△14,757

△1.4

ドキュメント ソリューション

1,005,609

958,329

△47,280

△4.7

連結合計

2,431,489

2,315,141

△116,348

△4.8

 

 イメージング ソリューション部門の連結売上高は、前年度の386,914百万円に対し、COVID-19の影響等でインスタントフォトシステムやデジタルカメラ等の販売が減少したことにより54,311百万円減少し、332,603百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,038,966百万円に対し、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、電子材料事業等で対前年増収となるもののCOVID-19の影響等により14,757百万円減少し、1,024,209百万円となりました。ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,005,609百万円に対し、為替の円高影響やCOVID-19の影響等により47,280百万円減少し、958,329百万円となりました。

 

(事業セグメント別の営業利益)

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

51,128

25,076

△26,052

△51.0

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

97,579

92,402

△5,177

△5.3

ドキュメント ソリューション

96,366

105,045

8,679

9.0

全社費用及び

セグメント間取引消去

△35,246

△35,953

△707

-

連結合計

209,827

186,570

△23,257

△11.1

 

 イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の51,128百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により26,052百万円減少し、25,076百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の営業利益は、前年度の97,579百万円に対し、為替やCOVID-19の影響等により5,177百万円減少し、92,402百万円となりました。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の96,366百万円に対し、収益性の改善や構造改革効果により8,679百万円増加し、105,045百万円となりました。

 

 当連結会計年度末では、総資産は現金及び現金同等物の減少等により、93,000百万円減少し3,321,692百万円(前年度末比2.7%減)となりました。負債は社債及び長期借入金の増加等により158,084百万円増加し、1,327,935百万円(前年度末比13.5%増)となりました。純資産は非支配持分との資本取引等により251,084百万円減少し、1,993,757百万円(前年度末比11.2%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、為替変動による影響等を合わせて、前連結会計年度末より258,656百万円減少し、当連結会計年度末において396,091百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動により得られた資金は255,667百万円となり、前連結会計年度と比較して6,324百万円2.5%増加しておりますが、これは受取債権が減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動に使用した資金は244,850百万円となり、前連結会計年度と比較して36,265百万円17.4%増加しておりますが、これは事業買収による支出や固定資産の購入等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動に使用した資金は250,943百万円となり、前連結会計年度と比較して97,421百万円63.5%増加しておりますが、これは非支配持分との資本取引による支出等によるものです。

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。

 販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 ① 資本の財源及び資金の流動性

ⅰ)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(連結キャッシュ・フロー指標)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

株主資本比率(%)

59.7

58.8

時価ベースの株主資本比率(%)

60.3

65.4

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.1

2.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

75.2

110.4

 

(注)株主資本比率

:株主資本/総資産

時価ベースの株主資本比率

:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産

*自己株式を除く

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息)

 

ⅱ)財務政策

 当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。

 運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は以下の通りであります。

(株主還元方針)

 配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定いたします。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向25%以上を目標としております。

 

 これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。また、COVID-19の感染拡大やそれに伴う経済活動停滞による緊急の資金需要に備えるため、短期資金借入枠を設定しています。

 なお、当連結会計年度末の残高の内訳は、短期の社債及び借入金120,998百万円、長期の社債及び借入金503,171百万円となっております。

 

 ② 経営成績

 ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益

 当連結会計年度の売上高は、前年度の2,431,489百万円に対し、116,348百万円減少し、2,315,141百万円(前年度比4.8%減)となりました。国内売上高は1,004,076百万円(前年度比0.2%減)、海外売上高は1,311,065百万円(前年度比8.0%減)となりました。実績為替レートは109円/米ドル(前年度比2円高)、121円/ユーロ(前年度比7円高)となりました。

 販売費及び一般管理費は、前年度の631,557百万円に対し21,514百万円減少し、610,043百万円(前年度比3.4%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は26.3%でした。

 研究開発費は、前年度の156,132百万円に対し1,748百万円増加し、157,880百万円(前年度比1.1%増)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.8%でした。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

イメージング ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、332,603百万円(前年度比14.0%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、当社グループ中国工場において、春節休暇の延長による稼働再開の延期や、稼働後の従業員確保の問題等による操業率低下があり、一部の新製品発売が2020年度の販売となりました。また、小売店の来客減や閉鎖等による、インスタントフォトシステム「チェキ」シリーズやミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」等、コンシューマー製品の販売が影響を受けました。営業利益は、25,076百万円(前年度比51.0%減)となりました。

 フォトイメージング事業では、カラーペーパーの需要減や、COVID-19の流行拡大影響により、売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2020年3月より、世界中で特に人気の高いエントリーモデルの新製品「instax mini 11」を欧米等で販売開始しました。今後も“アナログからデジタルまで”幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けます。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減や、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、2019年6月に発売した、世界最高※11億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」や、2020年2月に発売した高級コンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」の販売は好調に推移しました。

 光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。2020年3月より、世界最高※2125倍ズームを実現した4K対応放送用レンズと、世界で初めてAF機能を搭載した4K対応放送用レンズの販売を開始しました。また、独自の二軸回転レンズで投写の自由度を広げる新プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、レンズ一体型の遠望監視カメラ「FUJIFILM SX800」等、事業成長に向けた新製品の展開を強化しています。

※1 民生用ミラーレスデジタルカメラとして。2020年5月18日時点。富士フイルム調べ。

※2 50倍以上のズーム倍率を持つ箱型タイプの放送用レンズとして。2019年11月13日時点。富士フイルム調べ。

 

「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、1,024,209百万円(前年度比1.4%減)となりました。COVID-19の流行拡大影響により、メディカルシステム事業では病院への営業活動自粛や商談遅延、ライフサイエンス事業では店頭イベントの中止や直営店の休止、グラフィックシステム事業ではイベント等の自粛による印刷需要減等の影響を受けました。営業利益は、92,402百万円(前年度比5.3%減)となりました。

 メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、医療IT、内視鏡、体外診断(IVD)等の分野で販売が堅調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、デジタルマンモグラフィシステムの販売が最大市場である米国や、中南米、中東等の新興国で好調に推移しました。また、COVID-19の流行により、複数の病床を移動しながら撮影可能な回診用X線撮影装置の需要が急増し、欧州、米国を中心に販売が伸長しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本を中心に好調に推移し、売上が増加しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が海外を中心に好調に推移しました。超音波診断分野では、COVID-19の流行による肺炎検査や処置の需要が急増し、病床への持ち運びが容易な携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」等の販売が伸長しました。体外診断(IVD)分野では、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。また、2019年12月に㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収を発表しました。本買収により、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上に向けて先進的な役割を果たすとともに、世界屈指の「ヘルスケア・カンパニー」としての事業基盤を確立します。

 医薬品事業では、収益性の改善を目的にジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2020年3月よりCOVID-19の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の国内臨床第Ⅲ相試験を開始しました。米国では2020年4月より臨床第Ⅱ相試験を開始しています。既に増産を開始しており、政府とも連携し、COVID-19の流行拡大抑止や流行の終息、さらには今後の公衆衛生の向上に貢献していきます。また、2020年2月より、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一つであり、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤専用の新工場が稼働を開始し、開発・製造受託サービスをスタートしました。アンメットメディカルニーズに応える新薬開発を進めるとともに、これまで培ってきたDDS技術等を活用し医薬品創出をサポートすることで、医薬品産業のさらなる発展に貢献していきます。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年8月に連結子会社化した、バイオ医薬品大手Biogen Inc.の製造子会社BIOGEN (DENMARK) MANUFACTURING ApSも売上の増加に寄与しました。また、2020年3月に、バイオ医薬品のさらなる生産能力増強を目的に、英国拠点に約90億円を投じ、微生物培養タンクを備えた新規製造ライン等の導入を発表しました。2022年以降の稼働を予定しています。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していきます。

 再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開する培地販売、及びFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国。以下、「FCDI」と記載します。)が展開する、iPS細胞を用いた創薬支援事業が好調に推移しました。また、2020年3月よりFCDIでは、治療用iPS細胞の新生産施設「Innovation Facility for Advanced Cell Therapy(i-FACT)」の稼働を開始しました。今後も富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。

 ライフサイエンス事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けましたが、リニューアル発売したジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」や、サプリメント「メタバリアEX」等の販売が堅調に推移しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。

 ディスプレイ材料事業では、パネルメーカーの生産調整や「WVフィルム」の需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が堅調に推移しました。

 産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機器の販売が堅調に推移しました。

 電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料において半導体市場低迷の影響を受けたものの、CMPスラリー等の販売が引き続き堅調に推移し、売上が増加しました。

 ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における試薬販売が堅調に推移しました。全体の売上は前年並みとなりました。

 記録メディア事業では、2019年9月に発売した、最大記録容量30TBを実現したデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスを提供し、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。

 グラフィックシステム事業では、刷版需要の減少や、COVID-19の流行拡大影響を受け、売上が減少しました。刷版材料分野では、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。

 インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速等による需要減の影響を受け、売上が減少しました。2019年11月より、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェア等のインクジェットコンポーネントを「Samba(サンバ) JPC」として販売開始しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。

 

「ドキュメント ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、アジア通貨安が進んだことによる為替のマイナス影響、欧米向け輸出の減少及びCOVID-19流行拡大影響等により、958,329百万円(前年度比4.7%減)となりました。営業利益は、業務改革による収益性の改善等により、105,045百万円(前年度比9.0%増)となりました。

 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、主にCOVID-19流行拡大影響を受けて全体の販売台数は前年を下回りました。アジア・オセアニア地域や欧米向けの販売は減少し、主力A3カラー複合機「ApeosPort-VII C」シリーズが好調の国内販売も、第4四半期は前年を下回りました。一方で、感染対策としてリモートワークが広がったことで、全国のセブン-イレブン店頭に設置された複合機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。オフィスプリンター分野では低採算のローエンドプリンタービジネスの縮小等により、販売台数が減少しました。

 プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売が減少したものの、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が、豊かな色表現を実現する特殊トナーを追加してお客様のカスタマイズバリエーションを増やし、各地域で好調でした。また、国内ではDTP(Desktop Publishing)向けカラープリンター「DocuColor 1450 GA (Model-NE)」の販売が堅調に推移し、全体の販売台数は対前年で増加しました。

 ソリューション&サービス事業では、オーストラリアで獲得した大型BPO(Business Process Outsourcing)契約に加え、国内市場ではオフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理をサポートするサービスの販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。強固なセキュリティ・簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」等の販売も強化しつつ、今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。

 

 ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益

営業外収益及び費用は、持分証券に関する評価損の計上等により、前年度2,935百万円の営業外収益に対し16,434百万円減少し、13,499百万円の営業外費用となりました。

 税金等調整前当期純利益は、前年度の212,762百万円に対し39,691百万円減少し、173,071百万円となりました。

 

 ⅲ)法人税等

 法人税等は、前年度の56,056百万円に対し19,942百万円減少し、36,114百万円となりました。

 

 ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益

 持分法による投資損益は、前年度418百万円の利益に対して923百万円増加し、1,341百万円の利益となりました。

 非支配持分帰属損益は、主として富士ゼロックス㈱及びその子会社の非支配持分に帰属する利益です。前年度の19,018百万円に対し5,707百万円減少し、13,311百万円となりました。

 なお、2019年11月8日付で富士ゼロックス㈱を完全子会社化したため、同日付で富士ゼロックス㈱の非支配持分はなくなっております。

 

 ⅴ)当社株主帰属当期純利益

 当社株主帰属当期純利益は、前年度の138,106百万円に対し13,119百万円減少し、124,987百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の326.81円に対し、306.18円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の325.82円に対し、305.22円となりました。

 

③ 次期の見通し

 2020年度業績につきましては、COVID-19が世界規模で流行拡大している影響により、現段階では合理的な予想の算出が困難であるため、未定とさせていただきます。

 

④ 重要な会計上の見積り

 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 COVID-19の影響については、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、今後の当社への影響を予測することは極めて困難ではありますが、最善の見積りを行う上での一定の仮定として、翌連結会計年度の一定期間に亘り当該影響が継続するとの前提で、会計上の見積りを行っております。

 なお、COVID-19による経済活動への影響は不確実性が高いため、上記仮定に変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。

ⅰ)企業結合

 企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。

 企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。

 なお、当事業年度に実施した事業買収については、連結財務諸表注記「22 事業買収」に記載しております。

 

ⅱ)営業権の減損

 営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。

 見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。

 営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。

 なお、オペレーティングセグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形資産」に記載しております。

 

ⅲ)長期性資産の減損

 営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。

 これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等多くの見積りを伴います。

 長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。

 

ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用

 当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度にかかる退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、退職率、死亡率等が含まれております。

 数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。

 なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。

 

ⅴ)貸倒引当金

 営業債権、リース債権及びその他の債権に対する貸倒引当金は、過去の貸倒実績、延滞状況及び問題が生じている取引先の財政状態に基づき決定しております。裁判所による決定等によって、回収不能であることが明らかになった場合は、その時点で帳簿価額を直接減額しております。

 貸倒引当金は、過去の実績や評価時点で利用可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で見積りを行っていますが、相手先の財政状態が悪化した場合等見積りの根拠となる仮定又は条件等が変化した場合には、貸倒引当金を積み増すことになる可能性があります。

 なお、貸倒引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融債権の状況」に記載しております。

 

ⅵ)繰延税金資産

 資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。

 回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。

 なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。

 

ⅶ)棚卸資産

 棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。

 評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)相互に技術を供与している契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富士ゼロックス㈱(連結子会社)

Xerox Corporation(米国)

ゼログラフィー製品及びその他の製品に関する技術・商標等のクロスライセンス

2016年4月1日から

2021年3月31日まで

(2)外国会社への技術輸出契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富士フイルム富山化学㈱(連結子会社)

Merck Sharp & Dohme Corp.(注)(米国)

ニュータイプのキノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについての実施契約並びにバルク供給契約

2004年6月22日から

対象特許の満了日まで

MSD International Holdings GmbH (注)(スイス)

(注)Schering Corporation(米国)はMerck Sharp & Dohme Corp. との合併(2012年5月)により、社名がMerck Sharp & Dohme Corp. となっております。
Schering-Plough Limited(スイス)は組織変更により、社名をMSD International Holdings GmbH に変更しております。

(3)国内会社との取引契約

契約会社名

相手方の名称

契約内容

契約期間

富士フイルム富山化学㈱(連結子会社)

アステラス製薬㈱

ニュータイプの経口用キノロン系抗菌薬「T-3811」の特許及びノウハウについて国内における実施権供与、共同開発、並びに販売権の供与

2006年3月31日から

対象特許の満了日まで

(4)株式取得に関する契約

①富士ゼロックス㈱の完全子会社化に関する契約

 当社は、ゼロックスコーポレーション(その子会社を含み、以下、「ゼロックス」と記載します。)が保有する富士ゼロックス㈱(以下、「富士ゼロックス」と記載します。)の全株式を取得する旨の株式譲渡契約を2019年11月5日に締結するとともに、11月8日にゼロックスが保有する全株式を取得し、富士ゼロックスを完全子会社化しました。本取引の概要は以下のとおりです。

当社グループによるゼロックスに対する総額2,300百万米ドルの支払

・当社グループによるゼロックス保有の富士ゼロックス株式25%並びにゼロックスと富士ゼロックス

 の合弁会社であるXerox International Partnersのゼロックス持分51%の取得

・技術契約終了後のブランド移行期間を2年間に延長、ゼロックスブランド使用の対価としてゼロッ

 クスに総額100百万米ドルの支払

・当社とゼロックスの合弁契約の解消

・富士ゼロックスとゼロックスの製品供給契約の改定

当社が2018年6月18日に提起したゼロックスに対する損害賠償請求訴訟の取り下げ

 

②㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収に関する契約

 当社の完全子会社である富士フイルム㈱(以下、「富士フイルム」と記載します。)は、ヘルスケア領域の更なる事業拡大に向けて、㈱日立製作所(以下、「日立製作所」と記載します。)の画像診断関連事業(以下、「対象事業」と記載します。)を買収します。本買収にあたり日立製作所が新会社を設立、対象事業を承継し、富士フイルムが新会社の全株式を日立製作所から取得する契約を、2019年12月18日に締結しました。

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、さまざまな分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。2019年11月には富士ゼロックス㈱を100%子会社化しました。この取引により、富士フイルムグループ内での連携を強化し、これまで以上にシナジー創出を加速させます。例えば、富士フイルムグループが保有する画像処理技術と、富士ゼロックス㈱の言語処理技術を組み合わせてメディカル分野の診断レポート生成に活かす等革新的製品・サービスを展開し、成長領域で事業を拡大していきます。

 富士フイルム富山化学㈱では2020年3月よりCOVID-19の患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)(以下、「アビガン」と記載します。)の国内臨床第Ⅲ相試験を開始しました。米国では2020年4月より臨床第Ⅱ相試験を開始しています。本臨床試験でCOVID-19に対するアビガンの有効性と安全性を確認することで、治療薬としての承認取得を進めていきます。また、国内外からの提供要請に応えるべく、既にアビガンの増産を開始しております。加えて、富士フイルム和光純薬㈱では2020年4月よりPCR検査時間の大幅な短縮を実現する遺伝子検出キットの開発・販売も行っております。当社グループはヘルスケア事業を幅広く展開する企業として、政府とも連携しながらCOVID-19の感染拡大防止・流行終息に貢献すべく、取り組んでいます。

 また、富士フイルム㈱では再生医療や遺伝子治療等バイオ医療分野の研究基盤をさらに強化するため、米国に「バイオサイエンス&エンジニアリング研究所(アメリカ)」(以下、「米バイオ研」と記載します。)を設立し、2019年12月より米バイオ研での研究を本格的に開始しました。米バイオ研は、バイオ医療の基礎研究から生産プロセス開発までを一貫して行うとともに、細胞を用いた新たな創薬支援の基盤研究を担う研究所です。今後、当社は、日本・米国の2拠点体制でバイオ医療の研究を強力に推進し、グループの研究開発力をさらに高めていきます。

 このように当社グループでは、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及びその他の子会社とのグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は157,880百万円(前年度比1.1%増)、売上高比6.8%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は27,540百万円です。

 当連結会計年度の主な研究開発の成果は次のとおりであります。

(1)イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、インスタントカメラinstax“チェキ”シリーズの新たなラインアップとして、伝えたいメッセージ等の音声をQRコード化して写真とともにプリントできる「サウンド機能」や、スマートフォンの画像もチェキフィルムにプリントできる便利な「ダイレクトプリント機能」等の新機能を搭載した「instax mini LiPlay(リプレイ)」を発売しました。また、世界最高水準の粒状性と立体的な階調再現で超高画質を実現し、幅広い分野の撮影に適した、黒白フィルム「ネオパン100 ACROSII」を新たに開発しました。イメージング分野におけるリーディングカンパニーとして今後も“アナログからデジタルまで”幅広い分野において多様化するニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けることで、「一枚の写真の持つ力、素晴らしさ」を伝え続けます。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、世界最高※11億2百万画素のラージフォーマットセンサーや独自の色再現技術等により、世界最高峰の写真画質を実現するミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」を発売しました。また、独自の色再現技術で卓越した写真画質を実現するデジタルカメラ「Xシリーズ」用交換レンズのラインアップとして、世界最高※26.0段手ブレ補正機能と5倍ズームを備えた「フジノンレンズ XF16-80mmF4 R OIS WR」を発売しました。光学デバイス分野では、ラージフォーマットセンサーに対応し、圧倒的な解像力、自然で美しいボケ味、ハイダイナミックレンジを活かした豊かな階調を実現するシネマカメラ用ズームレンズ「Premista(プレミスタ)」シリーズを発売しました。また、世界最高※3の125倍ズームを実現した4K対応放送用レンズ「FUJINON UA125×8BESM」を発売しました。今後も当社は、長年培ってきた光学技術や精密加工・組立技術等により最先端の製品を開発・提供し、多様化する映像制作現場のニーズに応えていきます。

 本部門の研究開発費は、10,085百万円となりました。

 

※1 民生用ミラーレスデジタルカメラとして。2020年5月18日時点。富士フイルム調べ。

※2 デジタルカメラ用交換レンズとして。2019年7月18日時点。当社調べ。

※3 2019年11月13日時点。当社調べ。

 

(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
 メディカルシステム事業では、手の「うるおい」と「清潔」の両方を実現する「薬用ハンドジェルHA(医薬部外品)」を、全国の医療施設向けに発売しました。本製品は、化粧品の開発で培った技術や、アルコールと銀系材料を組み合わせた「Hydro Ag+(ハイドロエージープラス)」技術を生かして開発した製品で、水溶性ポリマーによる高い保湿性を持つとともに、殺菌有効成分及び抗炎症有効成分配合によって手荒れを防ぎ、手の「うるおい」と「清潔」の両方を実現します。超音波画像診断の分野では、携帯性に優れた軽量・コンパクトなワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air (アイビズ エアー)」を開発しました。本製品は5.5インチ画面のスマートフォン型の本体と、ワイヤレスのプローブで構成され、在宅医療や救急、院内回診等での高画質な超音波画像診断を可能にします。また、2019年12月には㈱日立製作所の画像診断関連事業(以下、「対象事業」と記載します。)を買収する契約を締結しました。今後、当社の画像処理技術・AI技術を対象事業の幅広い製品ラインアップに搭載し、新たな付加価値を創出することにより、医療の質の向上に貢献していきます。加えて、当社は日本マイクロソフト㈱と革新的な医療現場支援の実現に向けた協業を開始しました。具体的には、内視鏡予知保全サービスのクラウド基盤に、マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォーム Microsoft Azureを採用します。当社のIoT及びデータ分析AI技術と、Microsoft Azureのリアルタイムでの大容量情報処理能力を組み合わせ、医療機関で稼働している内視鏡の予知保全サービスを実現し、メンテナンス作業の効率を大幅に向上させ、革新的な医療現場支援を推進します。

 医薬品事業では、米国において、進行性の固形がんを対象とする抗がん剤「FF-10850」の臨床第I相試験を開始しました。「FF-10850」は、既存の抗がん剤「トポテカン」を新規開発のリポソームに内包したリポソーム製剤です。リポソームは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質等をカプセル状にした微粒子のことで、体内で必要な量の薬剤を必要な部位に必要なタイミングで送達する技術であるドラッグ・デリバリー・システム技術の一種です。抗がん剤には、がん組織以外の正常組織に対しても作用し、強い副作用を引き起こすケースがありますが、薬剤をリポソームに内包することで、がん組織にのみ薬剤を選択的に送達し、副作用を抑制して、薬効を高めることができると期待されています。また、2020年3月には、リポソーム製剤の開発・製造受託サービスを開始し、核酸を内包するリポソーム製造装置の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるカナダのPrecision NanoSystems Inc.とパートナーシップ契約も締結しました。今後、当社は、低分子医薬品や核酸医薬品をターゲットに、リポソーム製剤の生産プロセス開発や製造の受託を行っていきます。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品の開発・製造受託業界で初めて※4、培養から精製までの高性能・高効率な全工程連続生産システムを開発しました。本システムはバイオ医薬品の開発・製造受託業界で初めて、バイオ医薬品の原薬の製造工程である培養から精製までをシームレスに繋ぎ一貫生産を可能とする画期的なシステムで、連続的かつ効率的に高品質な原薬を製造することができます。

 再生医療事業では、2019年9月に薬物の吸収性の評価に最適なヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞「F-hiSIEC™」を、発売しました。本製品は、ヒトiPS細胞を小腸の腸管上皮細胞に分化誘導した創薬支援用細胞です。ヒト生体に近い機能を有し、薬物の吸収性を高精度に評価できる画期的な細胞であるため、経口剤開発の効率化に大きく貢献します。また、2020年3月には米国子会社で、iPS細胞の開発・製造・販売のリーディングカンパニーであるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス)は、cGM1に対応した、治療用iPS細胞の新生産施設を稼働させます。今後、生産したiPS細胞を用いて自社再生医療製品の開発を加速させるとともに、本施設を活用したiPS細胞及びiPS細胞由来分化細胞の開発・製造受託も展開していきます。

 ライフサイエンス事業では、「ASTALIFT(アスタリフト)」ブランドのインナーケアシリーズの新ラインアップとして、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ、機能性表示食品「アスタリフト サプリメント ホワイトシールド」と「アスタリフト ドリンク ホワイトシールド」を2020年4月に発売いたしました。これら2製品に配合されている機能性関与成分「アスタキサンチン」は、当社の研究によりヒトが経口摂取することで、一定量の紫外線を照射した際に生じる肌の赤身が低減されること、また、紫外線照射部位の皮膚の水分量の低下が抑制されることが確認されております。さらに、異物の侵入を防ぎ、対外への水分城塞を抑制する、肌のバリア機能を維持するうえで重要な役割を担うセラミドが、ストレスによって減少するメカニズムを解明しました。加えて、生薬として広く使われている「アセンヤクエキス」に肌のバリア機能を改善する作用を見出しました。本研究成果を応用し、当社独自のナノ分散技術により世界最小※520nmに微粒子化し、浸透力を高めた保湿成分「ヒト型ナノセラミド」及び「ヒト型ナノアシルセラミド」を従来に比べて増量配合し、また、植物由来成分「アセンヤクエキス」を新たに配合することで保湿機能を強化した、ジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA (アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」をリニューアル発売いたしました。

 ファインケミカル事業では、当社が開発した実験動物を用いず化学物質の皮膚へのアレルギー反応の有無を評価する皮膚感作性試験代替法「Amino acid Derivative Reactivity Assay」(以下、「ADRA」と記載します。)がOECD(経済協力開発機構)テストガイドラインに収載されました。ADRAは、当社が持つ化学合成力・分子設計力により開発した検出感度が高い試薬を用いることで、従来より幅広い化学物質の皮膚感作性を試験できる評価法です。標準的な評価法として国際的に認められたことを機に、実験動物を用いずに化学物質の安全性を評価する試験法の普及に貢献していきます。

 記録メディア事業では、大容量データのバックアップやアーカイブに最適な「FUJIFILM LTO Ultirum8データカートリッジ」(以下、「LTO8」と記載します。)を発売いたしました。当社は、磁気特性・長期保存性に優れる微粒子「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」を開発し、2011年に世界で初めて「BaFe磁性体」を用いた磁気テープを実用化しております。LTO8においては、当社独自の「NANOCUBIC技術」を進化させ、従来のLTO7に対してさらに微粒子化した「BaFe磁性体」を均一に分散し、テープ表面のうねりや厚みムラのない平滑な薄層磁性層を塗布しています。LTO7の2倍となる最大記録容量30TB(非圧縮時12TB)を実現するとともに、最大750MB/秒(非圧縮時360MB/秒)の高速データ転送も可能で、高い利便性を発揮します。今後は、LTO8をデータアーカイブストレージシステムと組み合わせて活用し、省エネルギーで大容量データを保管したいというニーズに応えます。

 グラフィックシステム事業では、新聞用完全無処理サーマルCTPプレート「SUPERIA ZN-Ⅱ」が、第2回「エコプロアワード」において同アワードの最高位賞となる「大臣賞」のひとつである「経済産業大臣賞」を受賞しました。本受賞は、新聞用完全無処理CTPプレート「SUPERIA ZN-Ⅱ」が、省材料、省エネルギー、省排出、省ウォーターにおいていずれも優れた効果をもたらしていること、また、製品のライフサイクル全体のCO2排出量を製品に表示する仕組みであるカーボンフットプリントにより、主原材料であるアルミニウムのリサイクルシステムやライフサイクルにおけるCO2排出量を把握できる体制を整えている点が高く評価されたものです。当社は、印刷市場において、今後も省資源・省エネ型製品の開発を積極的に推進し、社会の持続可能な発展に貢献していきます。

 本部門の研究開発費は、69,536百万円となりました。

 

※4 当社調べ。

※5 国内外論文、国内特許の自社調査結果。2019年7月2日時点。

 当社グループにおける新薬開発状況は以下のとおりです。(2020年6月現在)

開発番号

薬効・適応症

剤形

地域

開発段階

T-705

抗インフルエンザウィルス薬

経口

米国

PhⅢ

抗新型コロナウイルス(COVID-19)薬

経口

日本

米国

PhⅢ

PhⅡ

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬

経口

日本

PhⅢ

T-817MA

アルツハイマー型認知症治療薬

経口

米国

日本

欧州

PhⅡ

PhⅡ

PhⅡ

脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬

経口

日本

PhⅡ

T-4288

新規フルオロケトライド系抗菌薬

経口

日本

承認申請中

FF-10501

骨髄異形成症候群治療薬

経口

日本

米国

PhⅠ

PhⅡ

FF-10502

進行・再発固形がん治療薬

注射

米国

PhⅡ

FF-21101

進行・再発固形がん治療薬(Armed抗体)

注射

米国

日本

PhⅠ/Ⅱa

PhⅠ

F-1311

前立腺がん診断薬(放射性医薬品)

注射

日本

PhⅡ

FF-10101

急性骨髄性白血病治療薬

経口

米国

PhⅠ

F-1515

神経内分泌腫瘍治療薬(放射性医薬品)

注射

日本

PhⅠ/Ⅱ

FF-10832

進行性固形がん治療薬(ゲムシタビンリポソーム)

注射

米国

PhⅠ

FF-10850

進行性固形がん治療薬(トポテカンリポソーム)

注射

米国

PhⅠ

F-1614

難治性褐色細胞腫治療薬(放射性医薬品)

注射

日本

PhⅡ

 

(3)ドキュメント ソリューション部門

 ドキュメント事業領域ではデジタルフルカラー複合機「ApeosPort-VII C 3372/DocuCentre-VII C 3372」を発売しました。シリーズの低速機ラインアップを拡充する連続複写速度30枚/分の新モデルで、一度のログインでクラウドストレージサービスや移動先での複合機プリントを可能にする認証連携機能を搭載、クラウド連携機能を強化しました。

 オフィス向け小サイズプリンタ「DocuPrint」シリーズでは、ゴールド、シルバー、ホワイトを使った印刷物を出力できる業界初の特殊色専用A4プリンタ「DocuPrint CP310 st」を発売しました。デザインオフィスや小売、サービス業の店舗等、スペースが限られる場所でも、特殊色を使った印刷物の出力を可能とします。

 印刷業務向けには、業務効率化に貢献するソフトウェア商品「Production Cockpit 2.0」を発売しました。他社の機器を含めたワークフロー全体の生産性を向上します。

 働き方改革に向けた取り組みとしては、駅構内やオフィスビルのロビー等に設置する個室型ワークスペース「CocoDesk」によるシェアオフィスサービス事業を開始しました。また、オフィスのセキュアなネットワーク環境を提供する閉域網サービス「Smart Cyber Security」にモバイル機器や海外拠点から接続できる「Smart Cyber Security Mobile SIM」「Smart Cyber Security 海外拠点接続サービス」の提供を開始し、次世代セキュリティサービスを強化しました。

 富士ゼロックス㈱は、2021年に米ゼロックスとの技術契約を終了し、富士フイルムブランドのもとでグループ内の連携を強化して、革新的な価値の提供を目指します。また、米ゼロックスへの商品供給の継続に加え、2021年4月以降、従来の販売テリトリーを超えたワールドワイドなビジネス展開を進めます。

 本部門の研究開発費は、50,719百万円となりました。