当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2019年4月1日~12月31日)の世界経済を概観すると、米国の景気は、個人消費や政府支出が増加し、着実に回復が継続しました。欧州の景気は、一部に弱さがみられるものの、消費は緩やかながら増加し、回復基調が継続しました。アジア地域については、中国では、製造業を中心に一段と弱い動きが見られ、景気は緩やかに減速しています。その他アジア地域は、景気回復は緩やかになっています。日本では、個人消費が消費増税等の影響を受け、一時的に減少しました。
当社グループは、コア事業であった写真フィルムの需要が激減した2000年以降、事業構造の転換を積極的に進め、安定的に利益を創出できる経営基盤を構築し、新たな成長フェーズに入りました。2017年8月に2030年度を目標とした新CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定。革新的技術・製品・サービスの提供等、事業活動を通じた社会課題の解決により一層取り組み、サステナブル社会の実現に貢献する企業であり続けます。また、「SVP2030」で示した目指す姿を実現するための具体的なアクションプランとして、中期経営計画「VISION2019」を策定。それぞれの事業を「収益力の向上」「さらなる成長の加速」「未来を創る投資」の3つのステージに位置づけ、成長過程に合わせた施策を適切に展開することにより、個々の事業の収益力のさらなる強化を図ることで、事業ポートフォリオをより強固なものにし、一層の飛躍へとつなげていきます。
2019年度は、米中貿易摩擦、欧州における英国のEU離脱や、中国をはじめとした新興国経済の動向、北朝鮮や中東情勢等の地政学的リスク等、先行きの見えない不安定な状況が続くことが予想されますが、当社は各事業のさらなる収益力の向上で安定的にキャッシュを創出するとともに、特に「ヘルスケア・高機能材料領域の事業成長の加速」と「ドキュメント事業の抜本的強化」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものにしていきます。
当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、再生医療事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、光学・電子映像事業、ドキュメント事業の売上減少等により1,728,397百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
営業利益は、151,635百万円(前年同期比4.2%減)となりました。税金等調整前四半期純利益は166,530百万円(前年同期比7.7%増)、当社株主帰属四半期純利益は120,658百万円(前年同期比19.4%増)となりました。
当第3四半期連結会計期間末では、総資産はオペレーティング・リース使用権資産の計上等により36,205百万円増加し、3,450,897百万円(前年度末比1.1%増)となりました。負債は社債及び短期借入金の増加等により185,600百万円増加し、1,355,451百万円(前年度末比15.9%増)となりました。純資産は、非支配持分との資本取引等により149,395百万円減少し、2,095,446百万円(前年度末比6.7%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
① イメージング ソリューション部門
イメージング ソリューション部門の連結売上高は、266,164百万円(前年同期比12.4%減)となりました。営業利益は、27,431百万円(前年同期比42.8%減)となりました。
フォトイメージング事業では、カラーペーパーの販売減等の影響により売上は減少しました。撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムでは、2019年6月に発売したハイブリッドインスタントカメラ「instax mini LiPlay(インスタックス ミニ リプレイ)」や、2019年10月に発売した、スマートフォンで撮影した画像をチェキプリントにできるスマートフォン用プリンター「instax mini Link」等の販売を通じて、スマートフォンからのプリント需要のさらなる拡大に取り組んでいます。また、2019年11月に黒白フィルム「ネオパン100 ACROSⅡ」を発売。黒白フィルム独特の風合いを好むフィルム愛好家を中心に支持を得ています。今後も“アナログからデジタルまで”幅広い分野において多様化するお客さまのニーズにお応えし、より良い製品・サービスを提供し続けます。
光学・電子映像事業の電子映像分野では、デジタルカメラのエントリーモデルの販売減等により売上は減少しました。2019年6月に発売した、世界最高1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」や、「Xシリーズ」のフラッグシップモデルとして、2019年11月に発売したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-Pro3」の販売は堅調に推移しました。
光学デバイス分野では、主に中国景気の減速による車載レンズ等産業用レンズの需要減の影響を受け、売上は減少しました。独自の二軸回転レンズで投写の自由度を広げる新プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」や、2020年3月より販売開始予定の、世界で初めて※AF機能を搭載した4K対応放送用レンズ「FUJINON UA107×8.4BESM AF」等、事業成長に向けた新製品の展開を強化していきます。
※4K対応放送用レンズとして。2019年11月13日時点。当社調べ。
② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、741,170百万円(前年同期比2.3%減)となりました。営業利益は、70,818百万円(前年同期比1.1%増)となりました。
メディカルシステム事業では、医療IT、内視鏡、体外診断(IVD)等の分野で販売が堅調に推移し、売上が増加しました。X線画像診断分野では、デジタルマンモグラフィシステムの販売が、主要市場である西欧に加え、ロシアや中南米等の新興国で大型入札を獲得する等好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本を中心に好調に推移し、売上が増加しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、中国市場で携帯型超音波画像診断装置「SonoSite EdgeⅡ」やフルフラット型超音波画像診断装置「SonoSite SⅡ」等の販売が好調に推移しました。また、日本市場では、手のひらに収まるコンパクトさと高画質を実現したワイヤレス超音波画像診断装置「iViz air(アイビズ エアー)」の販売を2019年12月に開始しました。体外診断(IVD)分野は、血液検査システム「ドライケムシリーズ」の販売や、国内動物向け受託検査が好調に推移しました。また、2019年12月に㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収を発表しました。本買収により、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上に向けて先進的な役割を果たすとともに、世界屈指の「ヘルスケア・カンパニー」としての事業基盤を確立します。なお、買収完了は、所要の競争法規制当局のクリアランスの取得等を条件とし、2020年7月を予定しています。本件が2019年度の連結業績に与える影響はありません。
医薬品事業では、収益性の改善を目的にジェネリック医薬品販売を縮小したこと等により、売上は減少しました。2019年12月より、軽度認知障害及び軽度アルツハイマー型認知症を対象としたアルツハイマー型認知症治療薬「T-817MA」の臨床第Ⅱ相試験を欧州で開始しました。また、ドラッグ・デリバリー・システム技術の一つであり、薬剤を選択的に送達し薬効を高めるリポソーム製剤専用の新工場が竣工しました。2020年2月の稼働を予定しています。アンメットメディカルニーズが高い「がん」「中枢神経疾患」「感染症」領域で新薬開発を積極的に推進し、革新的かつ高付加価値の医薬品を創出することで、社会課題の解決に貢献していきます。
バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託、及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。2019年11月に、本事業の重点領域の一つである遺伝子治療分野の開発・製造設備に総額約13,000百万円を投資することを発表しました。プロセス開発棟の開設は2021年秋、増設した製造設備の稼働は2021年春以降を予定しています。今後、最先端医療の遺伝子治療分野においても、生産プロセス開発から製造まで一貫して受託できる強みを活かして、更なるビジネス拡大を図っていきます。
再生医療事業では、当社米国子会社のFUJIFILM Irvine Scientific, Inc.が展開するバイオ医薬品向けの培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、当社米国子会社のFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.が展開する、iPS細胞を用いた創薬支援事業も好調に推移しました。今後も富士フイルムグループ各社の技術・ノウハウを活用し、再生医療の早期産業化に貢献していきます。
ライフサイエンス事業では、リニューアル発売したジェリー状先行美容液「ASTALIFT JELLY AQUARYSTA(アスタリフト ジェリー アクアリスタ)」や、サプリメント「メタバリアEX」等の販売が好調に推移しました。また、2019年11月に男性用化粧品市場に参入しました。今後もお客様のニーズをとらえた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。
ディスプレイ材料事業では、パネルメーカーの生産調整や「WVフィルム」の需要減等の影響を受け、全体の売上は減少しましたが、有機EL向けの製品販売が堅調に推移しました。
産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が顧客の在庫調整の影響を受けたこと等により、全体の売上は減少しましたが、非破壊検査用機器の販売が堅調に推移しました。
電子材料事業では、先端フォトリソ周辺材料において半導体市場の低迷、イメージセンサー用カラーレジストにおいて一部顧客における在庫調整の影響を受けたものの、CMPスラリー等の販売が引き続き堅調に推移し、売上が前年並みとなりました。
ファインケミカル事業では、ライフサイエンス分野における試薬販売が堅調に推移し、売上が前年並みとなりました。
記録メディア事業では、2019年9月に発売した、最大記録容量30TBを実現したデータストレージ用磁気テープ「FUJIFILM LTO Ultrium8 データカートリッジ」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も「BaFe(バリウムフェライト)磁性体」等の独自技術を使用したデータストレージ用磁気テープの拡販や、データアーカイブサービスを提供し、ビッグデータ時代の顧客ニーズに確実に対応していきます。
グラフィックシステム事業では、刷版材料の需要減等の影響を受け、売上が減少しました。刷版材料分野では、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、2019年3月に販売を開始した、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズの新ラインアップ「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、今後も画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。
インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国景気の減速等による需要減の影響を受け、売上が減少しました。2019年11月より、商業印刷やパッケージ印刷向け産業用シングルパスインクジェット印刷装置の製品化に必要な基幹部品やソフトウェア等のインクジェットコンポーネントを「Samba(サンバ) JPC」として販売開始しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。
③ ドキュメント ソリューション部門
ドキュメント ソリューション部門の売上高は721,063百万円(前年同期比2.2%減)となりました。営業利益は、業務改革による収益性の改善に加えて、国内販売が好調に推移したことにより80,469百万円(前年同期比20.3%増)となりました。
オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野では、欧米向け輸出の減少等により全体の販売台数は対前年で減少しましたが、国内では主力のカラー複合機の販売が好調に推移しました。
プロダクションサービス事業では、基幹システム向けプリンターの販売が減少したものの、カラー・オンデマンド・パブリッシング機「IridesseTM Production Press」の販売が引き続き好調に推移したことと、国内のDTP(Desktop publishing)向けカラー機も販売が好調で、全体の販売台数は対前年で増加しました。
ソリューション&サービス事業では、オーストラリアで獲得した大型BPO(Business Process Outsourcing)契約に加え、オフィスのIT環境の設計・導入・運用・管理をサポートする役務サービスの販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。今後も、新しいサービスメニューを順次提供することで、お客様の多様化する働き方を支援していくと共に、サービス領域での更なる成長を目指します。
なお、当社は2019年11月に、ゼロックスコーポレーションが保有する富士ゼロックス㈱の株式の全てを取得し、完全子会社化しました。完全子会社化によって、富士フイルムグループ内でのフレキシブルな人的交流や、これまでよりさらに一歩進んだ技術の共有、協働により成長市場への事業拡大を進め、お客様課題への対応力を一層高めていきます。また、新たにプリンターエンジン等のワールドワイドなOEM供給の開始により収益機会を拡大させつつ、ゼロックスコーポレーションへは従来通り製品の安定供給を継続し、キャッシュの創出力を高めます。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」と記述します。)は、前連結会計年度末より197,224百万円減少し、当第3四半期連結会計期間末においては457,523百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は162,398百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して18,837百万円(13.1%)増加しておりますが、これは未払法人税等及びその他負債の支払額が減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は202,402百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して43,004百万円(27.0%)増加しておりますが、これは当第3四半期連結累計期間においてBiogen(Denmark)Manufacturing ApSを買収したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は149,951百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して46,825百万円(45.4%)増加しておりますが、これは非支配持分との資本取引による支出等によるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
株主の皆様から経営を負託された当社取締役会は、その負託にお応えすべく、平素から当社グループの財務及び事業の方針を決定するにあたり、中長期的な視点に基づく持続的な成長を通じて、企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図ることがその責務であると考えております。この考え方に基づき、当社グループの企業理念のもと、「先進・独自の多様な技術力」と「グローバルネットワーク」、これらを下支えする「人材」と「企業風土」という当社グループの企業価値の源泉を伸張させること等により、企業価値の向上に努めてまいりました。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの企業価値の源泉を理解し、中長期的な視点から当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上していくことを可能とする者である必要があると考えております。当社は、当社の支配権の獲得を目的とした買収提案がなされた場合、それを受け入れるか否かは最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。
株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を検討するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社に買収者との十分な交渉機会を提供しないもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものがあります。
当社は、当社株式の大量買付を行おうとする者が現れた場合は、株主の皆様のご判断に資するべく積極的な情報収集と適時開示に努めるとともに、当社の企業価値・株主共同の利益の確保及び向上を図るために、会社法及び金融商品取引法等の関係諸法令の範囲内で可能な措置を適切に講じてまいります。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、117,996百万円(前年同期比1.9%増)であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(1)富士ゼロックス㈱の完全子会社化に関する契約
当社は、2019年11月5日開催の取締役会において、ゼロックスコーポレーション(以下「ゼロックス」と記載します。)が保有する富士ゼロックス㈱(以下「富士ゼロックス」と記載します。)の全株式を取得する旨の契約を締結することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結するとともに、11月8日にゼロックスが保有する全株式を取得し、富士ゼロックスを完全子会社化しました。本取引の概要は以下のとおりです。
・当社グループによるゼロックスに対する総額2,300百万米ドルの支払
・当社グループによるゼロックス保有の富士ゼロックス株式25%ならびにゼロックスと富士ゼロック
スの合弁会社であるXerox International Partnersのゼロックス持分51%の取得
・技術契約終了後のブランド移行期間を2年間に延長、ゼロックスブランド使用の対価としてゼロッ
クスに総額100百万米ドルの支払
・富士ゼロックスとゼロックスの製品供給契約の改定
・当社が2018年6月18日に提起したゼロックスに対する損害賠償請求訴訟の取り下げ
(2)㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収に関する契約
当社の完全子会社である富士フイルム㈱(以下「富士フイルム」と記載します。)は、ヘルスケア領域の更なる事業拡大に向けて、㈱日立製作所(以下「日立製作所」と記載します。)の画像診断関連事業(以下「対象事業」と記載します。)を買収します。本買収にあたり日立製作所が新会社を設立、対象事業を承継し、富士フイルムが新会社の全株式を取得する契約を、2019年12月18日に締結しました。