第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、経営環境

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 当社グループは、先進・独自の技術をもって、最高品質の商品やサービスを提供することにより、「事業を通じた社会課題の解決」に取り組み、持続的な社会に貢献する企業であり続けることを目指しています。

 2017年8月に長期CSR計画「サステナブル バリュー プラン(Sustainable Value Plan)2030」(以下、「SVP2030」と記載します。)を策定し、中期経営計画を「SVP2030」の目標を実現するための具体的なアクションプランとして位置づけ、事業活動を通じて「新たな価値」を創出することで、社会課題の解決に取り組んでいます。中期経営計画「VISION2019」を実行し、2021年4月15日に新たな中期経営計画「VISION2023」を発表しました。「VISION2023」では、「事業ポートフォリオマネジメント」と「キャッシュフローマネジメント」の強化等により、成長投資原資の確保と、重点・新規/将来性事業への経営資源の集中投下の循環の加速・強化を図ることで、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速と、持続的な成長を可能とする強靭な事業基盤の構築」を進めていきます。

 2021年度は、各国で積極的に推進される拡張的な財政政策と緩和的な金融政策に支えられた景気回復が期待され、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)のワクチン普及により「コロナ後」の視界も開けつつあります。一方で、変異株の拡大による感染ペースの再加速等により感染拡大が長期化した場合には、もう一段厳しい世界経済活動の抑制につながるおそれもあり、国内外問わず、先行き不透明な社会経済状況が続くことが予想されます。この様な状況の中、当社グループは全事業の収益力向上に努め、安定的なキャッシュ創出を進めるとともに、「ヘルスケア・高機能材料の成長加速」を実現することで、事業ポートフォリオをより強固なものとし、この難局を乗り越えていきます。

 経営方針・経営戦略又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の予想値につきましては、次のとおりであります。

 

(単位:億円)

 

2020年度

2021年度

(次期の見通し)

対前年度

 

 

2023年度

(中期経営計画)

売上高

21,925

24,400

2,475

 

27,000

営業利益

1,655

1,800

145

 

2,600

当社株主帰属当期純利益

1,812

1,300

△512

 

2,000

ROE

8.7%

6.2%

2.5ポイント減

 

8.4%

ROIC

4.3%

4.6%

0.3ポイント増

 

6.1%

 

(2)対処すべき課題

「ヘルスケア事業領域の成長戦略」

 ヘルスケア領域では、メディカルシステム事業・バイオCDMO事業が売上成長を牽引し、増収・増益を確保します。また、ライフサイエンス分野では、全体戦略(事業ポートフォリオ、M&A・提携、技術・R&D等)を立案・推進し、関連事業をリードする「ライフサイエンス戦略本部」を新設するとともに、創薬支援関連ビジネス強化のため、細胞・培地等の再生医療事業とファインケミカル事業の試薬ビジネス等を統合した「ライフサイエンス事業部」を2021年4月1日に設立しました。中長期的に高い成長が見込めるバイオ医薬品のプロセス開発及び製造受託(CDMO)を重点事業化するとともに、最先端の治療薬創出を支援する企業としてワンストップで価値を提供し、ライフサイエンス分野における事業拡大を目指します。また、COVID-19感染拡大抑止に貢献すべく、超軽量移動型デジタルX線撮影装置や超音波機器等の各種医療機器の提供や、各製薬会社の治療薬・ワクチン等のプロセス開発・製造受託を進めていきます。

 メディカルシステム事業では、㈱日立製作所の画像診断関連事業買収を完了し、事業規模を大きく拡大していきます。当社は医療IT領域で“REiLI(レイリ)”というブランドのもと、医療現場のワークフローを支援するAI技術の開発と実用化を進めています。このAI/IT技術を活用し、X線画像診断機器、内視鏡、携帯型超音波、体外診断(IVD)、及び今回の買収により新たに加わったCT、MRI、据え置き型超音波を含めた幅広い製品ラインアップを活かした「AI・ITソリューションビジネス」のさらなる事業拡大を図ります。また、最大市場の北米においては、主要病院への内視鏡システム導入の促進や外科用処置具の販売強化に加えて、手術室のシステムインテグレーション市場へのビジネス展開を加速することで、メディカルシステム事業のさらなる成長に向けた、強固な事業基盤の構築を進めていきます。

 バイオCDMO事業では、デンマーク及び米国での大型投資によって、原薬の生産能力を大幅に増強するとともに、顧客からの要望が強い、拠点内で原薬製造から製剤化・包装までを一貫して対応できる「ワンサイト・ワンストップ」体制を整備します。さらに、最先端の研究開発施設が集積する米国ボストン市には、遺伝子治療薬のプロセス開発及び原薬製造の拠点を新設するとともに、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学等とともに、最先端治療分野の産学共同研究開発コンソーシアム「The Massachusetts Center for Advanced Biological Innovation and Manufacturing, PBLLC」に参画することを決定しました。

 バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州の受託能力拡張によって事業の成長基盤を固めるとともに、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチン等様々なバイオ医薬品の生産プロセス開発や、少量から大量生産までのあらゆるニーズに対応していくことで、成長するバイオ医薬品市場を上回る成長率で事業を拡大していきます。

 ライフサイエンス事業(再生医療、培地・試薬等の創薬支援を含む)では、再生医療分野において提携パートナーと細胞治療薬の開発を加速させるとともに、再生医療製品の製造受託ビジネスを推進していきます。創薬支援分野においては、新たな「ライフサイエンス事業部」のもとでFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.、富士フイルム和光純薬㈱のグループ会社3社がさらに連携し、細胞・培地・試薬をセットでグローバルに供給・販売することで、顧客に対してソリューションをワンストップで提供していきます。

 医薬品事業では、ナノ分散技術や解析技術、プロセス技術等を活用し、リポソーム製剤「FF-10832」「FF-10850」の開発を推進するとともに、脂質ナノ粒子製剤の製造設備を活用し、次世代医薬品の核酸医薬品やmRNAワクチンのプロセス開発・製造受託ビジネスを展開していきます。

 

「マテリアルズ事業領域の成長戦略」

 マテリアルズ領域では、各事業で培ってきた波長(光等)コントロール等の技術を融合し、5G等の高速通信網の整備やセンサー・通信デバイスの高機能化による様々な分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)加速に貢献する新規ビジネスを創出し続け、現在の競争優位性を維持して市場ニーズにあった高収益製品をタイムリーに投入することで売上・利益ともに拡大していきます。

 電子材料事業では、AI、IoT、5G/6Gの普及やDXの加速等により半導体需要は拡大し、さらに半導体の高性能化に必要とされる処理能力アップ・微細化・高集積化が進むとみられており、当社はこうした顧客ニーズに応えるために、高性能化を支える材料開発や安定供給を目的とした設備投資をタイムリーかつ継続的に実施していきます。また、イメージセンサー用材料「WCM(Wave Control Mosaic)」や後工程材料を中心に新製品開発・ラインアップ拡充を行い高シェア維持と収益増を加速させ、レジスト材料は先端領域にターゲットを絞って新規材料の開発を進め、事業成長を加速させます。

 ディスプレイ材料事業では、液晶パネル向けの既存タック製品における強いマーケットポジションの維持に加え、薄膜・積層塗布技術を活用した差別化製品の開発と導入を進め、有機EL用材料の高シェア維持や車載ディスプレイ向け等新規用途材料のビジネス拡大を推進していきます。

 産業機材事業では、タッチパネル用センサーフィルムの「エクスクリア」等、当社独自技術を活用した高機能製品の拡販を継続するとともに、光センサー、通信関連材料、AIを活用した画像解析によるソリューションビジネス等、積極的に新規ビジネスへの展開を行い、事業を拡大します。

 グラフィックコミュニケーション事業では、当社グループ内でのシナジー創出を加速し、デジタル印刷領域でさらなる価値をグローバルに提供していくため、本年7月1日付で富士フイルム㈱の「グラフィックシステム事業部」と富士フイルムビジネスイノベーション㈱の「グラフィックコミュニケーションサービス事業本部」を統合し「グラフィックコミュニケーション事業部」を設置します。本統合により、商業印刷・パッケージ印刷を中心に富士フイルム㈱が有する広範な顧客基盤と、デジタル印刷技術に強みを持つ富士フイルムビジネスイノベーション㈱の販売力、技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルまでワンストップのソリューションを展開し、デジタル印刷市場を牽引します。

 

「ビジネスイノベーション事業領域の成長戦略」

 富士ゼロックス㈱は、2021年4月1日に社名を変更し「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」として新たに始動しました。社名には「常にビジネスに革新をもたらす存在であり続ける」という思いが込められています。イノベーションをもたらす先進技術によって、顧客のビジネスを革新していきます。国内では、今回の社名変更に伴い、国内直販営業と31の販社を統合し、新たに「富士フイルムビジネスイノベーションジャパン㈱」を発足しました。日本全国を効果的にカバーする営業体制と強力な営業力により、今後も複合機を中心としたオフィス機器と関連ソリューションビジネスの展開を加速していきます。

 ブランドも新たに「FUJIFILM」とし、グローバルに拡販展開を進めていきます。加えて、ITソリューションとサービスビジネスにさらに力を注ぎ、顧客企業の働き方改革や業務効率化、デジタル化の支援を通じて、継続的な成長と事業ポートフォリオの変革を加速します。具体的には、オフィスでの顧客基盤を活かした在宅勤務需要の取り込みと文書管理、中小企業向けのIT/セキュリティサービス強化を軸とした提供価値の拡大、及び2020年9月に設立した「富士フイルムRIPCORD合同会社」による紙文書の電子化・処理を基盤としたデジタル業務プロセスサービスの拡大等で顧客企業のDXに貢献していきます。

 

「イメージング事業領域の成長戦略」

 イメージング領域では、多様化する画像・映像ニーズに対して、新しい価値・商品を提供し続けていくために「イメージング事業部」「光学・電子映像事業部」を統合し、「イメージングソリューション事業部」を2021年4月1日に設立しました。

 スマートフォン等撮影デバイスの多様化、5G/6G高速ネットワーク化、AIの進化、データ社会の進行等、様々な技術が飛躍的に進歩する中で、生活や社会における「画像・映像」ニーズは多様化しています。マーケットを広く捉え直し、今般、両事業部を統合することで、総合映像メーカーとしてのブランド力、及び撮影デバイスからプリンティングまで対応する幅広い技術アセットをベースとした、新たな商品・サービスの創出を加速していきます。

 

「SVP2030の下での重点分野と取組み」

 当社は、「SVP2030」の下、「事業プロセスにおける環境・社会への配慮」と「事業を通じた社会課題の解決」の2つの側面から、4つの重点分野「環境」「健康」「生活」「働き方」と、事業活動の基盤となる「サプライチェーン」「ガバナンス」における各分野で設定した目標達成に向けて取組みを進めています。「環境」においては、国際社会共通の重要課題である気候変動への対応として、CO2排出削減に積極的に取り組んでいます。2020年7月には、当社グループによるCO2排出削減の目標として、製品ライフサイクルでの2030年度の排出量を、従来目標の2013年度比30%削減から45%削減に上方修正しました。また、製品・サービス・技術を通じたCO2排出削減として、環境配慮製品のさらなる創出に向け、製品の環境価値を明確化し、優れた製品を認定する社内制度「Green Value Products」を導入しており、2021年3月までに166件を認定しました。「健康」においては、2020年度に57ヶ国まで導入している医療AI技術を活用した製品・サービスを、2030年度には世界196の全ての国と地域に導入することを目標にしています。「働き方」においては、ビジネスに革新をもたらすソリューション・サービスの提供により、働く人の生産性向上と創造性発揮を支援する働き方を5,000万人に提供します。「ガバナンス」においては、コーポレート・ガバナンスを経営上の重要な課題と位置づけ、その強化に取り組んでいます。当社は誠実かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指していきます。

 

「2021年度グループ基本方針」

 当社グループの2021年度の基本方針は「“All-Fujifilm”でたゆまぬ挑戦を!」と掲げています。新規市場創出・拡大に向け、マーケットニーズを的確に捉えることで新たな価値を持つ製品・サービスの開発・提供を推進します。社会課題の解決を事業成長の機会と捉え、持続可能な社会の発展に貢献するために、NEVER STOPの精神の下、富士フイルムホールディングス傘下の全ての会社・組織・従業員の力を結集した“All-Fujifilm”で挑戦していきます。

2 【事業等のリスク】

 当社グループは、グループ全体のリスクマネジメントの基本方針及びリスクマネジメント体制を「リスクマネジメント規程」において定め、その基本方針及び体制に基づき、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行っております。また、当社及びその子会社は、個別の業務遂行において発生するリスク案件についてリスクマネジメント規程に基づいて適切に判断・対処するとともに、重要なリスク案件については、定められた手続きに従い、ESG委員会に報告され、リスク重点課題の設定及びリスク事案発生時の対応を議論し、リスク発生の回避及びリスク発生時の影響の極小化に努めております。さらに、当社グループとしての企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図っております

 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクには以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)経済情勢・為替変動による業績への影響に係るリスク

 当社グループは、世界の様々なマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、連結ベースでの海外売上高比率は当連結会計年度において約58%です。当社の連結財務諸表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成していることから、世界各地の経済情勢、とりわけ為替レートの変動は業績に大きく影響を及ぼすリスクがあります。

 為替レートの変動が連結営業利益に与える影響は、米ドルに対して円が1円変動した場合は年間約3億円、ユーロに対して円が1円変動した場合は年間約8億円と試算しております。

 当社グループでは、為替変動による業績への影響を軽減するため、米ドル、ユーロにおいて先物予約を中心としたヘッジを行う等で対策を行っておりますが、為替の変動の程度によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)イメージング領域における環境変化・競合に係るリスク

 イメージング領域においては、スマートフォンの普及による画像ショット数の増加とプリントニーズの拡大やインスタントフォトシステムの需要拡大、IoT化や映像の4K、8K化によるレンズ需要の増加により事業機会が拡大している一方で、ハイエンドミラーレスデジタルカメラ市場の競争環境の激化、競合他社の技術向上による高性能産業用レンズ市場の競争環境の激化、スマートフォンのカメラ性能の向上等をリスクとして考えております。

 当社グループでは、入力(撮影)から出力(プリント)までのサービスを提供できる総合力や、高度な光学技術・精密加工・組み立て技術等を保有しているという競争優位性を活かして、ユーザーのニーズをとらえたイノベーティブな新たな製品・サービス等を提供してまいりますが、その成否によっては、製品販売単価の下落、代替製品の出現等による売上の減少、製品ライフサイクルの短縮化による研究開発コストの増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)ヘルスケア&マテリアルズ領域における環境変化・競合に係るリスク

 ヘルスケア領域においては、画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場での高齢化の進展や医療従事者の不足等による、診療支援や業務効率化に貢献するソリューションニーズが高まっており、事業機会が拡大している一方で、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更や医療機器における法規制の強化等を主なリスクと考えております。その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、マテリアルズ領域においては、ディスプレイ材料・半導体プロセス材料等の高機能材料市場での競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や代替製品の出現等を主なリスクとして考えております。

 当社グループでは、高度な画像処理技術、化合物合成・設計力やナノテクノロジー、製膜・塗布技術等の先進・独自の技術を保有しているという競争優位性を活かして、今後も技術に裏付された新たな製品・サービスの研究開発とこれをサポートするマーケティング活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)ドキュメント領域における環境変化・競合に係るリスク

 ドキュメント領域においては、顧客企業の業務プロセスのデジタル化や新型コロナウイルス感染防止のためリモートワークが拡大することによるオフィスでのプリント需要の減少、オフィス機器市場の競争激化等による市場環境の大きな変化がリスクと考えます。

 当社グループでは、お客様の複雑化・多様化する経営課題の解決を支援できる強力な営業力、オフィスの課題解決のためのソリューションを提供する製品ラインアップの充実と、それを支えるドキュメント分野の独自技術の研究開発、ITサービス企業との提携を進めて競争優位性を維持してまいりますが、こうした市場動向に対応した製品やサービスを提供できない場合、売上の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)生産活動に係るリスク

 当社グループでの生産に必要な原材料・部品等について、急激な価格高騰や、自然災害又は人災、サプライヤーの不測な事態による製造中止等がリスクと考えます。

 当社グループでは、急激な原材料価格高騰時には適切な売価への反映を検討するとともに、製品開発及び量産化検討時において、代替材料の探索や可能な限り複数調達先の検討を行うことでリスク分散化の対策を行っておりますが、想定を上回る市況の変化や不測の事態が発生した場合には、収益性の低下や販売機会の消失等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)製品品質・製造物責任に係るリスク

 当社グループは、厳しい品質管理基準に従い各種製品を生産しておりますが、将来にわたり製品に欠陥が発生する可能性がないとは言えず、重大な製品事故や製品に対する安全性や環境問題において懸念が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、新製品開発にあたっては、品質の到達度だけでなく、法規制を遵守し、環境・安全に配慮した製品開発を行うとともに、製品安全情報のお客様への周知や製品安全に関する従業員への教育を徹底する等の対策を図り、万一、製品事故等が発生した場合の体制構築等を整えておりますが、実際にこうした事態が発生した場合には、その対応費用が発生するだけでなく、企業ブランドや製品ブランドが毀損され当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)医薬品事業・再生医療事業に係るリスク

 当社グループにおける一部のグループ会社では、医薬品及び再生医療等製品の研究開発及び製造販売を行っております。新規の医薬品及び再生医療等製品の開発・薬効追加等には多額の研究開発投資を行う必要があり、承認・販売までには長期間を要するとともに、研究開発が計画通りに進行せず、開発の遅延や中止等のリスクがあります。また、販売後に予期せぬ重大な副作用その他の安全性に関する問題が発生する可能性もあります。

 当社グループでは、開発の不確実性のリスクに対しては、複数のパイプラインを保有することによりリスクの分散化を図っております。また、医薬品は開発段階において必要な安全性の試験を実施し、監督官庁の審査を経て承認されておりますが、万一、販売後に予期せぬ重大な副作用等が見つかった場合には、損害賠償の負担や社会的信頼の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)物流に係るリスク

 当社グループの事業活動において、原油価格の高騰等を原因とする運賃の高騰は、当社グループの物流コストの増加をもたらす可能性があります。また、地震・津波・洪水等の大規模災害の発生により、人的・物的被害や物流機能の麻痺、インフラ機能断絶等が生じ、当社グループの生産・販売活動に支障が生じるリスクがあります。

 当社グループでは、生産拠点を複数の地域に分散化する等の対策を図り、不測の事態により一部の地域で生産・販売活動が停止した場合でも影響を軽減できるような体制をとっておりますが、完全に影響をゼロにすることはできず、こうした事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)特許及びその他の知的財産権に係るリスク

 当社グループは、様々な特許、ノウハウ等の知的財産権を保有し、競争上の優位性を確保していますが、将来、特許の権利存続期間の満了や代替技術等の出現に伴って、優位性の確保が困難となることが起こり得ます。

 当社グループが関連する幅広い事業分野においては、多数の企業が高度かつ複雑な技術を保有しており、また、かかる技術は著しい勢いで進歩しています。事業を展開する上で、他社の保有する特許やノウハウ等の知的財産権の使用が必要となるケースがありますが、このような知的財産権の使用に関する交渉が成立しないことのリスクがあります。

 当社グループでは、他社の知的財産権の調査を行い、他社の権利を侵害することがないよう常に注意を払って事業展開をしておりますが、訴訟に巻き込まれるリスクを完全に回避することは難しいのが実情です。このような場合、係争費用や敗訴した場合の賠償金等の負担により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)企業買収・業務提携等に係るリスク

 当社グループは、持続的な成長のため、これまでに複数の企業買収を実施しており、今後も実施する可能性があります。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社グループの成長のための施策として重要なものであります。

 当社グループでは、企業買収にあたって慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ企業買収を実行するとともに、重要な投資案件に対しては業績が当初計画から大きく乖離していないかを確認し、必要に応じて業績改善のための対策を講じておりますが、景気動向の悪化や政情不安、法令や規則の変更、対象会社もしくはパートナーの業績不振、業務統合に想定以上の時間を要する等により、期待していた買収効果や利益を実現することができなくなる可能性があります。また、当社グループは、企業買収に伴う営業権及びその他の無形固定資産を貸借対照表に計上しておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、投資に対する回収可能性が低下した場合には減損損失を認識することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)人材の確保に係るリスク

 当社グループの将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きく、それらの人材を採用・育成し、良好な関係を維持していくことが重要になります。一方、当社グループの事業領域での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきており、研究開発、製造、マーケティング及び販売、ICT、マネジメント分野等に関する高度な専門性を持った人材を確保していく必要がありますが、そのような人材には高い需要があり、必要な人材を確保できない可能性があります。

 当社グループでは、人材を企業価値の源泉の一つと位置付け、社会の変化に対応し、自らイノベーションを起こすことのできるグローバル人材や基幹人材の育成に長期的な視点で注力するとともに、多様な人材が能力を発揮できる環境作りに努めておりますが、そうした人材が育成できなかった場合や社外に流出してしまった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)内部統制に係るリスク

 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性並びに業務の有効性と効率性を確保するため、内部統制体制を構築・整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、想定外の問題が発生して内部統制が有効に機能しなかった場合、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動等、様々な要因により内部統制システムが適切に機能しない可能性があります。

 当社グループでは、富士フイルムグループ企業行動憲章・行動規範を定め、法令及び社会倫理に則った活動、行動の徹底を図るとともに、当社グループ内外にコンプライアンスに関連した相談・連絡・通報を受ける窓口を設置して、違反行為の早期発見に努めております。また、内部監査体制を整え、自ら問題の早期発見を行っておりますが、このような対策が適切に機能しなかった場合、法令違反や当社グループの財務報告に関する投資家の信頼低下による当社株価の下落、当社グループの社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(13)情報システムに係るリスク

 当社グループは、様々な情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やICT人材の確保、セキュリティ対策等を行っておりますが、サイバー攻撃等による不正アクセス、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動や、停電、災害等の要因により、データの改ざん、破壊、個人情報の漏洩、情報システムの障害、事業活動に支障をきたす等の事態が起こる可能性があります。

 当社グループでは、ソフトウェアや機器によるセキュリティ対策の実施や、定期的に従業員への教育及び訓練を実施し、本件リスクが顕在化しないよう努めておりますが、万一、こうした事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(当社グループへのサイバー攻撃によるシステム障害について)

 2021年6月1日夜に当社子会社である富士フイルム㈱が利用しているサーバーに対する、外部からの不正なアクセスを確認し、同月2日に影響可能性のある全てのサーバー・パソコンの停止、ネットワークの遮断を行いました。その後、同月4日より、安全が確認されたサーバー・パソコンを稼働させ、遮断していたネットワークの通信も順次再開しました。さらに同月8日までに製品・サービスの問い合わせ等全ての窓口が復旧し、同月14日までに当社製品の受注等の通常業務が復旧しました。
 本件に関しては、代表取締役社長を委員長とする「総合危機管理委員会」及び外部専門家を含む「特別対策チーム」にて調査を行い、復旧までに完了した調査では、外部への情報流出の痕跡は認められませんでした。また、今回の不正アクセスへの対策も完了しております。引き続き、監視を継続するとともに、今後も当社グループ全体の情報セキュリティの強化を進めていきます。

(14)公的規制に係るリスク

 当社グループが事業を展開している地域においては、事業・投資等の許認可、輸出入、通商、公正取引、知的財産、消費者保護、租税、為替管理、環境、薬事等の法規制の適用も受けており、万一、規制に抵触した場合、制裁金等が課される可能性があります。

 当社グループでは、国内外の法的規制に関する情報収集を行うとともに、事業活動に係る法規制の遵守を徹底すべく各種ガイドライン・マニュアル等を制定し、定期的な従業員への教育等を通じてコンプライアンス徹底を図っておりますが、今後規制が強化・大幅な変更等なされた場合、当社グループの活動の制限や、規制遵守のため、あるいは規制内容の改廃に対応するためのコストが発生する等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(15)環境規制に係るリスク

 当社グループは、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用制限、土壌・地下水・大気汚染防止及び廃棄物処理等に関する様々な環境関連法令の適用を受けており、これらの規制により法的又は社会的責任の観点から、環境に関する費用負担や賠償責任が発生するリスクがあります。

 当社グループでは、製品の企画・開発の段階から環境負荷の低減を考慮し、生産、物流、使用、リサイクル又は廃棄に至るライフサイクル全体を対象とし、CO2の排出削減、資源循環の促進、製品・化学物質の安全確保等に取り組んでおります。さらには、各事業場において環境マネジメントシステムを活用し、所在国・地域の法規制順守、環境汚染の防止、化学物質の適正使用、生物多様性の保持を徹底しております。しかし、将来、環境に関する規制の厳格化や義務の拡大等の変化が生じた場合、あるいは社会的な環境意識の高まりに伴い当社グループが環境問題への取組みをより一層推進する場合には、かかる取り組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)気候変動に係るリスク

 気候変動に伴う移行リスクとして、今後各国・地域における脱炭素社会に向けた政策の強化、炭素排出に関連する法令等の改訂・新規制定が想定外の急速なスピードで実施された場合に、かかる取組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があります。

 当社グループは、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き等、気候変動への対応に対して世界的に関心が高まるなか、いち早くその重要性を受け止め、1990年代から生産プロセスでエネルギー利用効率を高める活動を開始しました。現在も、「2050年度までに当社が使用するエネルギーによるCO2排出ゼロ」を目標に掲げ、エネルギー利用効率の最大化及び再生可能エネルギーの導入・活用によるCO2排出削減を進めております。

 さらに、当社グループは、2018年12月に「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同を表明し同提言に則った情報開示を進めており、2019年4月には事業活動での100%再生可能なエネルギー利用を目指す国際的なイニシアチブ「RE100」に加盟しております。

 また、当社グループでは、気候変動が顕在化した場合の物理リスクへの対応として、調達・生産拠点の分散、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を行っているものの、異常気象による原材料・部品の供給停止・価格高騰や、工場操業停止、サプライチェーンの寸断による製品サービスの中止等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)大規模災害等に係るリスク

 当社グループは、世界各地で生産・販売等の事業活動を行っております。このため、地震、津波、洪水等の大規模な自然災害に見舞われた場合や、火災、テロ、戦争、感染症の蔓延といった要因により、事業活動に支障をきたすリスクがあります。

 当社グループでは、自然災害が発生した際にいち早く従業員の安否を確認できるよう安否確認システムを導入するとともに、定期的に地震・火災に備えた訓練を実施しております。また、実際に災害が発生した際には早急に被災地の被害状況を把握した上で対策を講じられるように事業継続への影響を軽減できる体制を整えておりますが、事業活動の復旧までに長期の時間を要した場合や施設等の改修に多額の費用が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(18)新型コロナウイルス感染症の拡大に係るリスク

 COVID-19の世界的な流行拡大によって、当初は当社グループの工場における操業率低下による一部新製品の発売延期、消費活動の停滞やイベント等の自粛、オフィス閉鎖等による当社グループ製品の需要減といった影響が生じました。2021年度は、各国で積極的に推進される拡張的な財政政策と緩和的な金融政策に支えられた景気回復が期待され、COVID-19ワクチンの普及により「コロナ後」の視界も開けつつあります。一方で、変異株の拡大による感染ペースの再加速等により感染拡大が長期化した場合には、もう一段厳しい世界経済活動の抑制につながるおそれもあり、当社グループの事業活動が制限されるリスク、及び消費停滞のリスクがあります。

 当社グループでは、新型コロナウイルス対策室を設置し、顧客、取引先及び従業員の安全第一を考え、またさらなる感染拡大を防ぐために、WHO並びに各国保健行政の指針に従った感染防止策の徹底をはじめとして、国内外問わず不要不急の外出・出張の原則禁止、工場見学や販売促進企画等の多くのお客様にお集まりいただくイベントの休止や制限、在宅勤務の実施等の対策を実施しております。

 また、医薬品・医療機器の製造やワクチン開発支援を通じた「予防」「診断」「治療」の各領域での医療現場の支援や、新しい生活様式とリモートワークを始めとする新たな働き方を支援するソリューションの提案・提供、事業ポートフォリオの強化による「コングロマリット・プレミアム」のさらなる発展をさせてまいります。今後、事態が長期化又はさらなる感染拡大が進行した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における連結売上高は、バイオCDMO事業、医薬品事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、フォトイメージング事業、光学・電子映像事業、ドキュメント事業の売上減少等により2,192,519百万円(前年度比5.3%減)となりました。営業利益は、165,473百万円(前年度比11.3%減)となりました。税金等調整前当期純利益は235,870百万円(前年度比36.3%増)、当社株主帰属当期純利益は181,205百万円(前年度比45.0%増)となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(事業セグメント別の連結売上高)

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

332,603

285,236

△47,367

△14.2

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

1,024,209

1,052,593

28,384

2.8

ドキュメント ソリューション

958,329

854,690

△103,639

△10.8

連結合計

2,315,141

2,192,519

△122,622

△5.3

 

 イメージング ソリューション部門の連結売上高は、前年度の332,603百万円に対し、カラーペーパー等の販売の減少やCOVID-19の影響による店舗の休業や外出規制により47,367百万円減少し、285,236百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、前年度の1,024,209百万円に対し、バイオCDMO事業、医薬品事業、電子材料事業等で売上を伸ばしたことにより28,384百万円増加し、1,052,593百万円となりました。ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、前年度の958,329百万円に対し、COVID-19の影響や為替の円高影響等により103,639百万円減少し、854,690百万円となりました。

 

(事業セグメント別の営業利益)

セグメント

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

25,076

15,591

△9,485

△37.8

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

92,402

107,507

15,105

16.3

ドキュメント ソリューション

105,045

73,284

△31,761

△30.2

全社費用及び

セグメント間取引消去

△35,953

△30,909

5,044

-

連結合計

186,570

165,473

△21,097

△11.3

 

 イメージング ソリューション部門の営業利益は、前年度の25,076百万円に対し、COVID-19や為替の影響等により9,485百万円減少し、15,591百万円となりました。ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の営業利益は、前年度の92,402百万円に対し、バイオCDMO事業、ディスプレイ材料事業等で売上を伸ばしたことにより15,105百万円増加し、107,507百万円となりました。また、ドキュメント ソリューション部門の営業利益は、前年度の105,045百万円に対し、COVID-19や為替の影響等により31,761百万円減少し、73,284百万円となりました。

 

 当連結会計年度末では、総資産は営業権の増加等により、227,511百万円増加し3,549,203百万円(前年度末比6.8%増)となりました。負債は社債及び借入金の減少等により889百万円減少し、1,327,046百万円(前年度末比0.1%減)となりました。純資産は当社株主帰属当期純利益等により228,400百万円増加し、2,222,157百万円(前年度末比11.5%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、為替変動による影響等を合わせて、前連結会計年度末より1,296百万円減少し、当連結会計年度末において394,795百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動により得られた資金は420,861百万円となり、前連結会計年度と比較して165,194百万円64.6%増加しておりますが、これは前払費用及びその他の流動資産が減少したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動に使用した資金は279,381百万円となり、前連結会計年度と比較して34,531百万円14.1%増加しておりますが、これは事業の買収による支出や固定資産の購入等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動に使用した資金は163,093百万円となり、前連結会計年度と比較して87,850百万円35.0%減少しておりますが、これは前連結会計年度において非支配持分との資本取引による支出があったこと等によるものです。

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は多種多様であり、同種の製品であっても、その容量・構造・形式等は必ずしも一様ではなく、また、受注生産形態は基本的にとっておらず、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことは行っておりません。

 販売の実績につきましては、「① 財政状態及び経営成績の状況」の記載に含めております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 ① 資本の財源及び資金の流動性

ⅰ)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(連結キャッシュ・フロー指標)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

株主資本比率(%)

58.8

62.1

時価ベースの株主資本比率(%)

65.4

74.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.5

1.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

110.4

163.3

 

(注)株主資本比率

:株主資本/総資産

時価ベースの株主資本比率

:株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数*)/総資産

*自己株式を除く

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

:有利子負債(社債、短期・長期借入金)/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ

:営業キャッシュ・フロー/利払い(支払利息)

 

ⅱ)財務政策

 当社グループの資金需要には、運転資金需要及び投資を目的とした資金需要、株主還元のための資金需要が含まれます。

 運転資金需要のうち主なものは、原材料等の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費、研究開発費等の営業費用によるものであり、投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収を含む投融資等によるものであります。また、株主還元の方針は次のとおりであります。

 

(株主還元方針)

 配当につきましては、連結業績を反映させるとともに、成長事業のさらなる拡大に向けたM&A、設備投資、研究開発投資等、将来にわたって企業価値を向上させていくために必要となる資金の水準等も考慮した上で決定いたします。また、その時々のキャッシュ・フローを勘案し、株価推移に応じて自己株式の取得も機動的に実施していきます。株主還元方針については、配当を重視し、配当性向25%以上を目標としております。

 

 これらの資金は、主として内部資金により充当し、必要に応じ金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。

 なお、当連結会計年度末の残高の内訳は、短期の社債及び借入金63,729百万円、長期の社債及び借入金439,351百万円となっております。

 

 ② 経営成績

 ⅰ)売上高、営業費用及び営業利益

 当連結会計年度の売上高は、前年度の2,315,141百万円に対し、122,622百万円減少し、2,192,519百万円(前年度比5.3%減)となりました。国内売上高は927,910百万円(前年度比7.6%減)、海外売上高は1,264,609百万円(前年度比3.5%減)となりました。実績為替レートは106円/米ドル(前年度比3円高)、124円/ユーロ(前年度比3円安)となりました。

 販売費及び一般管理費は、前年度の610,043百万円に対し57,975百万円減少し、552,068百万円(前年度比9.5%減)となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は25.3%となりました。

 研究開発費は、前年度の157,880百万円に対し5,730百万円減少し、152,150百万円(前年度比3.6%減)となりました。研究開発費の売上高に対する比率は6.9%でした。

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

イメージング ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、285,236百万円(前年度比14.2%減)となりました。営業利益は、15,591百万円(前年度比37.8%減)となりました。

 フォトイメージング事業では、COVID-19流行拡大によるイベント自粛・中止の影響等により、売上は減少しましたが、撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムが下期では前年を上回る売上となりました。インスタントフォトシステムは、自宅での時間を充実させる新たな楽しみ方についてのSNSを通じた提案や、オンライン販売を強化したことで、欧米、中国を中心に販売が回復しています。スマートフォン用プリンター「instax mini Link」やインスタントカメラ「instax mini 11」の販売が好調に推移し、2020年11月に発売した人気のスクエアフォーマットのフィルムに対応したエントリーモデル「instax SQUARE SQ1」も売上の増加に寄与しました。プリントサービスでは、2020年4月に、フォトブック「Year Album」に、AI技術を活用し、ユーザーの趣味嗜好に合った画像選択とレイアウトを自動作成、提案するパーソナライズ機能等を新たに搭載し、好評を得ています。今後も多様化する顧客のニーズに応え、便利で付加価値の高い製品・サービスを提供するとともに、「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の価値を世界中で伝え続けていきます。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、COVID-19影響による需要減を受けて売上が減少した上期に対して、下期は前年実績を上回る水準まで回復しました。2020年11月に発売したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-S10」が、小型ボディながら高性能手振れ補正と大型グリップ搭載が好評を得て、Xマウントのユーザー層拡大に貢献しました。また、2021年2月に発売した「FUJIFILM GFX100S」は、同時発売のレンズ「フジノンレンズGF80mmF1.7 R WR」と合わせて、ラージフォーマットによる最高画質を小型ボディで楽しめることから世界各地で高い評価を受け、想定を上回る販売となりました。今後も特長ある魅力的な製品を供給して市場の活性化を図るとともに、写真を撮る悦びを提供していきます。

 光学デバイス分野では、各種イベント・撮影中止に伴い包装・シネマ用レンズの販売が減少しましたが、監視ズームレンズ・一体型監視カメラの販売は第2四半期以降前年を上回る販売を続けています。同分野では、超短焦点プロジェクターや長焦点監視カメラの開発・発売のほか、マルチスペクトルカメラシステムを新たに開発する等、事業領域の拡大を進め、多様な市場ニーズに応える画期的な製品を開発し続けることで、事業成長を図っていきます。

 

「ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、1,052,593百万円(前年度比2.8%増)となりました。営業利益は、107,507百万円(前年度比16.3%増)となりました。

 メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大により病院への営業活動自粛や商談遅延等一部影響を受けたものの、COVID-19関連の検査に有用な製品(超軽量移動型デジタルX線撮影装置、超音波画像診断装置)の需要拡大等により、第3四半期に続き、第4四半期の売上も前年を上回りました。抗菌材料分野では、銀系材料と超親水ポリマーを組み合わせることにより、長時間にわたり高い抗菌・抗ウイルス性能が持続する独自の抗菌技術「Hydro Ag+(ハイドロ エージー プラス)」を活用したアルコール製剤、薬用ハンドジェル、抗菌フィルムの販売が急増し、売上が大幅に増加しました。X線画像診断分野では、欧米・アジアを中心に病室内の病床を移動しながら撮影可能な超軽量移動型デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」及び「FUJIFILM DR CALNEO Go PLUS」の旺盛な需要が継続し、販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、欧州や日本を中心としたCOVID-19流行下での需要増にタイムリーに対応したことに加え、2020年7月に米国、同8月に欧州、2021年1月に日本で販売を開始した超音波画像診断装置「Sonosite PX」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。医療IT分野では、3次元画像解析システム(3D)「SYNAPSE VINCENT」等医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステム販売が日本を中心に堅調に推移しました。2021年2月に、放射線治療計画支援ソフトウェア「SYNAPSE Radiotherapy」の販売を開始しました。これまで提供してきた放射線診療科向けソリューションに放射線治療科向けソリューションを加え、放射線科全体のワークフローを支援していきます。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な「7000システム」等の販売が中国において堅調に推移しました。体外診断(IVD)分野では、上期に国内外ともにCOVID-19流行の影響を受けたものの、下期は海外の動物市場を中心に血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドの販売が好調に推移しました。また、2021年3月31日には㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収が完了し、当該事業を継承した「富士フイルムヘルスケア㈱」が新しいグループ会社としてスタートしました。

 医薬品事業では、期首より、COVID-19治療薬としての承認が期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の増産に向けて、富士フイルム和光純薬㈱や国内外の協力企業と新たなサプライチェーンを構築しました。日本政府から要請のあった国家備蓄積み増し(164百万錠)や、提携先であるインド大手製薬企業Dr. Reddy's Laboratories Ltd.、及び世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aidからのライセンス収入、海外への提供等により、売上は増加しました。当社グループは、高付加価値な医薬品の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。事業成長を一段と加速させるため、2020年6月には、約1,000億円を投じてデンマーク拠点に製造設備を増強することを発表しました。2021年1月には、米国ノースカロライナの第2サイトとしてバイオ医薬品の大型製造拠点を新設するため、2,000億円を超える大規模投資を行うことを発表しました。原薬の大量製造受託のみならず、製剤・包装までワンサイト・ワンストップで対応できる体制を米国に構築し、2025年春に稼働させる予定です。また、今後の市場拡大が見込まれている遺伝子治療分野において、米国ボストンに約40億円を投じて遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造受託拠点を新設し、2021年秋より順次稼働させる予定です。今後も、高品質な医薬品の安全供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、及びヘルスケア産業の発展に貢献していきます。

 再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開するバイオ医薬品製造用途の培地販売が好調に推移し、売上が増加しました。また、FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国)が展開する医薬品候補化合物の評価試験等に使用するiPS細胞由来分化細胞を、製薬企業やアカデミアに提供する創薬支援事業、及び次世代がん免疫治療薬に使用する他家iPS細胞の開発受託事業が好調でした。2021年3月には、バイオ医療領域の事業ポートフォリオ最適化の一環として、㈱ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングの全保有株式を、帝人㈱へ譲渡しました。自社の強みを最大化できる細胞・培地にフォーカスして、創薬支援事業のさらなる強化を図るとともに、今後、市場が立ち上がり大きな成長が見込まれる細胞治療薬において、パートナーと連携した効率的な研究開発や、開発受託事業の拡大を進めていきます。

 ライフサイエンス事業では、新製品を中心に化粧品の販売が好調だったことに加え、サプリメント「メタバリアEX」等が好調に推移し、全体の売上が増加しました。2020年4月には、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ、機能性表示食品「アスタリフト サプリメント ホワイトシールド」と「アスタリフト ドリンク ホワイトシールド」を、2020年9月には、水分を保持し肌のうるおいをキープする成分を配合したベースメイクアイテム「アスタリフト ルミナス エッセンス」、弾ける泡で肌を引き締める美容液「アスタリフト スパークル タイト セラム」を発売しました。さらに2021年3月には、2010年9月の発売以来、ロングセラー商品となっているジェリー状先行美容液「アスタリフト ジェリー アクアリスタ」に美白有効成分と独自の美容成分を配合した「アスタリフト ホワイト ジェリー アクアリスタ」を発売しました。今後も顧客のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。

 ディスプレイ材料事業では、COVID-19流行下でのモニター及びタブレット需要の増加や、TVの販売好調に加えて、スマートフォン需要の回復に伴い、各種の高機能フィルム製品の販売が好調に推移し、全体の売上が増加しました。

 産業機材事業では、COVID-19流行拡大の影響を受けて非破壊検査用機器・材料等の販売が減少しましたが、在宅勤務・在宅学習向けのモバイルPC需要が増加したことにより、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調に推移しました。

 電子材料事業では、COVID-19流行下での在宅勤務拡大を背景としたデータセンター用サーバーや、スマートフォンをはじめとする先端ロジック向けを中心に、CMPスラリーや先端レジスト、現像液等幅広い製品群で販売が好調に推移し、売上が増加しました。拡大する半導体需要に対し、当社は先端プロセス用材料を軸としてさらなる事業成長を図るとともに、5G/IoT時代における社会価値創造に貢献していきます。

 ファインケミカル事業では、COVID-19の流行拡大により大学や企業の研究活動が停滞し、試薬の需要減少等の影響を受けた一方で、需要が増加した消毒用エタノール等の販売が堅調に推移し、全体の売上が増加しました。

 記録メディア事業では、COVID-19流行下で在宅勤務等に対応する通信インフラの能力増強が優先され、データアーカイブへの投資が抑制されたこと等を背景にテープ需要が落ち込み、売上は減少しました。中長期的なデータ量の増加傾向及びテープの優位性に変化はなく、足元のアーカイブ需要も回復基調にある中で、ビッグデータ時代の顧客ニーズに対応する製品やサービスの拡充によって、事業成長を図っていきます。

 グラフィックシステム事業では、刷版材料分野において、COVID-19流行拡大の影響による需要の減少を受けて売上が減少しました。デジタル印刷分野では、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、インクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心とした画期的な製品を今後も開発・提供することで事業成長を図っていきます。

 インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が中国のセラミック市場での需要増により堅調に推移しました。インクの販売は、COVID-19流行拡大の影響で需要が減少していましたが、ワイドフォーマット市場向けUVインクを中心に下期から回復してきました。また、用途が拡大する産業用インクジェット市場の需要拡大を見据え、水性顔料インクジェットインク用色材である顔料分散液の製造設備を米国に新設することを決定しました。インクジェット市場のニーズにあわせたグローバルな生産体制を構築し、事業成長を一段と加速させていきます。

 

「ドキュメント ソリューション部門」

 本部門の連結売上高は、854,690百万円(前年度比10.8%減)となりました。営業利益は、73,284百万円(前年度比30.2%減)となりました。

 オフィスプロダクト&プリンター事業のオフィスプロダクト分野で、日本・中国及びアジアパシフィック地域のそれぞれで販売台数が前年を上回りました。オフィスプリンター分野は、販売台数が前年から減少しました。国内では、全国のセブン-イレブン店頭に設置されたマルチコピー機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。また、「FUJIFILM」ブランドによるグローバル展開に当たって、2021年4月にはデザインを一新し、セキュリティ機能を強化したデジタルカラー複合機及びプリンター「Apeos」の新製品を発売しました。

 プロダクションサービス事業では、COVID-19流行拡大の影響による経済の先行き不透明感から顧客が投資を抑制したことで、販売台数は前年から減少しました。

 ソリューション&サービス事業では、COVID-19流行拡大の影響を受けて、営業活動が制限されたこと等により、全体の売上が減少しましたが、在宅勤務を始めとする新たな働き方を支援するソリューションの販売が好調に推移し、第4四半期では前年を上回る売上となりました。電子文書を紙文書と同じような操作性で扱うことができる、ドキュメント・ハンドリングソフトウェアの「DocuWorks®」は、国内外でこれまで累計777万ライセンスの販売をしています。また、外出先や移動中のスキマ時間を活用し、安全・快適にテレワークを行える個室型ワークスペース「CocoDesk」の利用も増加しています。今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、顧客の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。

 

 ⅱ)営業外損益及び税金等調整前当期純利益

 営業外収益及び費用は、前年度13,499百万円の営業外費用に対し、70,397百万円の営業外収益となりました。

 税金等調整前当期純利益は、前年度の173,071百万円に対し62,799百万円増加し、235,870百万円となりました。

 

 ⅲ)法人税等

 法人税等は、前年度の36,114百万円に対し19,497百万円増加し、55,611百万円となりました。

 

 ⅳ)持分法による投資損益及び非支配持分帰属損益

 持分法による投資損益は、前年度1,341百万円の利益に対し1,857百万円増加し、3,198百万円の利益となりました。

 非支配持分帰属損益は、前年度の13,311百万円に対し11,059百万円減少し、2,252百万円となりました。

 

 ⅴ)当社株主帰属当期純利益

 当社株主帰属当期純利益は、前年度の124,987百万円に対し56,218百万円増加し、181,205百万円となりました。基本的1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の306.18円に対し、453.28円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主帰属当期純利益は、前年度の305.22円に対し、451.75円となりました。

 

③ 次期の見通し

(単位:億円)

 

2021年度

(次期の見通し)

2020年度

(実績)

増減率

(%)

売上高

24,400

21,925

11.3%

営業利益

1,800

1,655

8.8%

税金等調整前当期純利益

1,850

2,359

△21.6%

当社株主帰属当期純利益

1,300

1,812

△28.3

ROE(%)

6.2

8.7

2.5ポイント減

ROIC(%)

4.6

4.3

0.3ポイント増

為替レート(円/米ドル)

104円

124円

106円

124円

△2円

0円

為替レート(円/ユーロ)

 

 2021年度業績は、連結売上高は2兆4,400億円(前年度比11.3%増)、営業利益は1,800億円(前年度比8.8%増)、税金等調整前当期純利益は1,850億円(前年度比21.6%減)、当社株主帰属当期純利益は1,300億円(前年度比28.3%減)を予想しております

 通期での対米ドル円為替レートを104円、対ユーロ円為替レートを124円で想定しております

 

④ 重要な会計上の見積り

 当社の連結財務諸表は、米国において一般に公正妥当と認められた会計基準に準拠して作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす見積り及び仮定を行う必要があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。

 COVID-19の影響については、依然として収束の時期は見通せず、今後の当社への影響を予測することは極めて困難であります。最善な見積りを行う上での一定の仮定として、2021年度は各国で積極的に推進される拡張的な財政政策と緩和的な金融政策に支えられた景気回復が期待されるものの、当連結会計年度に大きく影響を受けた事業においてCOVID-19流行前までの需要が完全に回復しない状況や、変異株による感染拡大が長期化した場合のリスクを踏まえ、一部事業においては一定期間にわたり当該影響が継続する可能性があるとの前提で、会計上の見積りを行っております。

 なお、COVID-19による経済活動への影響は不確実性が高いため、上記仮定に変化が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。

ⅰ)企業結合

 企業結合は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての資産及び引き受けた全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。

 企業結合の処理における公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化に伴い公正価値が修正され、取得した資産の将来における減損損失の計上、引き受けた負債の増加につながる可能性があります。

 なお、当事業年度に実施した事業買収については、連結財務諸表注記「22 事業買収及び子会社株式の売却」に記載しております。

 

ⅱ)営業権の減損

 営業権は償却せず、毎年1月1日時点で減損の有無を検討しております。営業権の減損テストは、当社の報告単位毎に見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値に基づいて行われており、使用される割引率は、報告単位のWACC(加重平均資本コスト)に基づいて算出しております。また、客観的事実や状況の変化により当該資産の公正価値が帳簿価額を下回る可能性がある場合には、その都度減損の有無を検討しております。

 見積将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく公正価値の算定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率及び永久成長率等の、重要な見積りを伴います。

 営業権の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において営業権の減損損失を認識することになる可能性があります。

 なお、オペレーティングセグメント毎の営業権の残高については、連結財務諸表注記「8 営業権及びその他の無形資産」に記載しております。

 

ⅲ)長期性資産の減損

 営業権及び耐用年数を確定できないその他の無形固定資産を除く、保有及び使用予定の長期性資産について、客観的事実や状況の変化により当該資産の帳簿価額の回収可能性に疑いのある場合には、減損の有無を検討しております。減損の兆候があると判断されるときは、その資産に関連する見積割引前将来キャッシュ・フローとその資産の帳簿価額を比較し、帳簿価額の減額が必要かどうかを検討しております。この結果、帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを超過すると判断される場合は、当該資産の帳簿価額を見積公正価値へ減額処理しております。公正価値を決定するにあたり、当社は市場取引価格又はその他の評価方法を使用しております。市場取引価格を利用できない場合には、主に資産の使用や最終的な処分から生じる見積将来キャッシュ・フローに基づく割引現在価値法、ロイヤルティ免除法又は超過収益法を使用しております。

 これらの手法は、将来見積利益又はキャッシュ・フローの予測及び割引率等の、重要な見積りを伴います。

 長期性資産の減損判定に使用した公正価値の算定に用いられた見積りは合理的であると考えていますが、見積りの根拠となる前提条件の予測不能な変化によって公正価値が減少し、将来において長期性資産の減損損失を認識することになる可能性があります。

 

ⅳ)退職給付引当金及び退職給付費用

 当社の一部の子会社は確定給付企業年金制度を採用しており、当該制度に係る退職給付引当金及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待収益率、予想再評価率、退職率、死亡率等が含まれております。

 数理計算上の仮定は、最善の見積りにより決定しておりますが、見直しが必要となった場合には、退職給付引当金及び退職給付費用が増加する可能性があります。

 なお、数理計算上の仮定については連結財務諸表注記「10 退職給付制度」に記載しております。

 

ⅴ)貸倒引当金

 営業債権、リース債権及びその他の債権に対する貸倒引当金は、過去の貸倒実績、延滞状況及び問題が生じている取引先の財政状態に基づき決定しております。裁判所による決定等によって、回収不能であることが明らかになった場合は、その時点で帳簿価額を直接減額しております。

 貸倒引当金は、過去の実績や評価時点で利用可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で見積りを行っていますが、相手先の財政状態が悪化した場合等見積りの根拠となる仮定又は条件等が変化した場合には、貸倒引当金を積み増すことになる可能性があります。

 なお、貸倒引当金の残高については、連結財務諸表注記「20 金融債権の状況」に記載しております。

 

ⅵ)繰延税金資産

 資産及び負債の財務会計上の金額と税務上の金額の差異に基づいて繰延税金資産及び負債を認識しており、その算出にあたっては差異が解消される年度に適用される税率及び税法を適用しております。また、繰延税金資産のうち回収されない可能性が高い部分については、評価性引当金を計上しております。

 回収可能性の検討にあたっては、評価時点で利用可能な情報に基づいた最善の見積りを行っておりますが、見積りの前提とした仮定や条件に変更が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性の評価を見直す可能性があります。

 なお、繰延税金資産の残高については、連結財務諸表注記「11 法人税等」に記載しております。

 

ⅶ)棚卸資産

 棚卸資産については、原則として移動平均法による低価法により評価しております。また、当社は定期的に陳腐化、滞留、又は過剰在庫の有無を検討し、該当する場合には正味実現可能価額まで評価減しております。

 評価損の見積りにあたっては、過去の出荷実績や評価時点で入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、市場環境が予測より悪化して正味実現可能価額が下落する場合には、追加の評価損計上が必要となる可能性があります。

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、写真感光材料やドキュメント等の事業で培った材料化学、光学、解析、画像等の幅広い基盤技術のもと、機能性材料、ファインケミカル、エレクトロニクス、メカトロニクス、生産プロセス等の技術領域で多様なコア技術を有しています。現在、様々な分野でビジネスを展開している当社グループでは、これらの基盤技術とコア技術を融合した商品設計によって、重点事業分野への研究開発を進める一方、将来を担う新規事業の創出も進めています。2021年3月31日には㈱日立製作所の画像診断関連事業の買収が完了し、当該事業を継承した富士フイルムヘルスケア㈱が新しいグループ会社としてスタートしました。今後、当社は、ヘルスケア領域の成長を牽引するメディカルシステム事業のさらなる拡大に取り組むとともに、当社グループの持つ技術、製品、サービスを結集して、これまで以上に質の高い豊富なソリューションを提供し、医療の質の向上と人々の健康の維持増進に貢献していきます。

 2021年4月には当社の成長ドライバーであるヘルスケアの事業拡大を一段と加速させるため、ヘルスケアを医療機器等のメディカルシステムとバイオCDMO・創薬支援等からなるライフサイエンス※1に大別し、ライフサイエンス領域をリードする「ライフサイエンス戦略本部」を新設しました。「ライフサイエンス戦略本部」は、同領域におけるさらなるシナジーや新規ビジネスを創出するため、事業横断的な全体戦略(事業ポートフォリオ、M&A・提携、技術・R&D等)を立案・推進します。

 また、富士フイルム㈱では、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(以下、「FDB」と記載します。)のバイオ医薬品の開発・製造受託の事業成長を加速させるため、FDBのデンマーク拠点へ約1,000億円の大型設備投資を行います。さらに、2,000億円を超える大規模投資を米国で行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を米国ノースカロライナに新設します。これにより、FDBはバイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州で、「ワンサイト・ワンストップ」の受託体制を備えた大型製造拠点を構築し、さらなる事業成長を図っていきます。また、FDBでは米国バイオテクノロジー企業Novavax, Inc.より、同社が開発しているCOVID-19のワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託しました。FDBは、COVID-19のワクチンや治療薬の開発が進展する中、顧客ニーズに合った高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していきます。

 このように当社グループでは、富士フイルム㈱、富士ゼロックス㈱及びその他の子会社とのグループシナジーを強化するとともに、他社とのアライアンス、M&A及び産官学との連携を強力に推進し、新たな成長軌道を確立していきます。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は152,150百万円(前年度比3.6%減)、売上高比6.9%となりました。各セグメントに配賦していない汎用性の高い上記基盤技術の強化、新規事業創出のための基礎研究費は23,890百万円です。

 

※1 ライフサイエンス領域は、バイオCDMO事業、ライフサイエンス事業(再生医療、培地・試薬等の創薬支援を含む)、 医薬品事業、コンシューマーヘルスケア事業(化粧品・サプリメント)で構成される。

 

 当連結会計年度の研究開発の主な成果は次のとおりであります。

(1)イメージング ソリューション部門

 フォトイメージング事業では、インスタントカメラinstaxシリーズの新たなラインアップとして、世界中で特に人気の高いエントリーモデルの新製品「instax mini 11」やスクエアフォーマットのフィルムに対応した「instax SQUARE SQ1」、カードサイズのミニフォーマットフィルムに対応した「instax mini 40」を発売しました。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、35mm判の約1.7倍となるラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「GFXシリーズ」の最新モデルとして、「FUJIFILM GFX100S」や465gの小型軽量ボディに、5軸・最大6.0段の手ブレ補正機能を備えるミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-S10」を発売しました。また、独自の色再現技術による卓越した画質と小型軽量を実現する「Xシリーズ」の最新モデルとして、ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-E4」を発売しました。光学デバイス分野では、世界初の2軸方向で回転するレンズを搭載した超短焦点プロジェクター「Zシリーズ」の新たなラインナップとして、明るさを従来機1.6倍の8000ルーメンに高めた「FP-Z8000」を発売しました。本体を動かさずに様々な方向へ映像を投写できるため、商業施設や美術館・博物館等での空間演出の可能性を広げます。また、最先端の光学技術により超高精細8K映像の撮影が可能な放送用レンズ2機種、世界最高66倍ズームのボックスタイプ「FUJINON HP66×15.2-ESM」と世界最広角※27.6mmのポータブルタイプ「FUJINON HP12×7.6ERD-S9」を発売しました。

 本部門の研究開発費は、8,669百万円となりました。

 

※2 8K対応の放送用レンズとして。2021年1月21日時点。当社調べ。

 

(2)ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門
 メディカルシステム事業ではがん検診を中心とした健診センター「NURA」を、インドのベンガルールでオープンしました。「NURA」では、高精細な診断画像を提供する当社の医療機器やAI技術を活用したITシステム等で医師の診断をサポートし、がん検診をはじめ生活習慣病検査サービスを提供します。また、富士フイルム㈱と国立がん研究センターは共同で、医師がAI技術を開発できる研究基盤システム「AI開発支援プラットフォーム」(以下、「本プラットフォーム」と記載します。)を開発しました。今後、国立がん研究センター内の複数の研究テーマで、本プラットフォームの研究活用と有用性の検証を進め、当社が製品化を目指します。加えて、当社の感染症検査装置「富士ドライケム IMMUNO AG」シリーズ用の体外診断用医薬品として、写真の現像プロセスで用いる銀塩増幅反応による高感度検出技術を応用した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原検査キット「富士ドライケム IMMUNO AGカートリッジ COVID-19 Ag」を発売しました。内視鏡診断の分野では、AI技術を用いて大腸内視鏡検査時におけるポリープ等の病変の検出腫瘍性もしくは非腫瘍性の鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE™」を搭載したソフトウェア「EW10-EC02」を発売しました。

 医薬品事業では、バイオテクノロジー企業のVLP Therapeutics Japan合同会社(以下、「VLP Therapeutics社」と記載します。)と、同社が開発するCOVID-19ワクチンの製剤の製造受託契約を締結しました。今後、当社は、保有する脂質ナノ粒子製剤の製造設備・インフラを活用して、VLP Therapeutics社が開発するCOVID-19ワクチンの製剤のプロセス開発から治験薬製造まで受託していきます。また、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)について、COVID-19の患者を対象とした新たな臨床第Ⅲ相試験を国内で開始しました。加えて、放射性医薬品「ルタテラ®静注」(一般名:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu))は、ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍の新たな治療選択肢となる「ペプチド受容体放射性核種療法剤」として、国内で初めて製造販売承認を取得しました。

 バイオCDMO事業では、FDBに約40億円の設備投資を行い、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造拠点を米国ボストンエリアに新設します。今後、当社は、テキサスとボストンの米国2拠点、英国拠点を活用して、遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスをさらに拡大していきます。また、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学等とともに、最先端治療分野の産学共同研究開発コンソーシアム「The Massachusetts Center for Advanced Biological Innovation and Manufacturing, PBLLC」(以下、「CABIM」と記載します。)に参画します。今後、CABIMが研究開発を進める遺伝子改変細胞治療薬※3等の最先端治療薬のプロセス開発及び製造の受託を行います。

 再生医療事業では、米国子会社であるFUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(以下、「FCDI」と記載します。)、Opsis Therapeutics, LLCと、大手製薬企業Bayer AGの子会社であるBlueRock Therapeutics LPは、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発における戦略的提携に合意しました。3社は、今回の戦略的提携により、互いの技術や知見を結集させて、iPS細胞を用いた眼疾患治療法の研究開発を推進していきます。また、FCDI並びにGMPグレードのiPS細胞製造において世界的なリーディングカンパニーであるLonza Walkersville, Inc. は、全世界を対象としたiPS細胞関連技術の利用拡大に関する契約を締結しました。本契約により、医薬品開発企業は、両社が有する専門知識と技術をiPS細胞の製造に活用することが可能となります。

 ライフサイエンス事業では、肌の弾力性を改善する新成分として、黒胡椒に由来し、血行促進効果で知られる成分「テトラヒドロピペリン」をナノ乳化した「ナノテトラヒドロピペリン」を開発しました。本研究では、毛穴の収縮を担う立毛筋をケアすることで、毛穴が目立たないハリのある肌へ導く新しいスキンケアの可能性を示すことができました。当社は、本研究成果を、機能性化粧品に応用する予定です。また、皮膚の最上層である角層にメラニンが滞留するメカニズムを解明しました。さらに、血行促進効果で知られるマロニエエキスに、肌が生まれ変わるターンオーバーの一環である角層剥離※4を促進し、角層に滞留したメラニンの排出を促す効果があることを発見しました。本研究では、角層に滞留したメラニンを排出するという、これまでの美白ケアとは異なる全く新しいアプローチで、透明感のある肌へ導くことができる可能性を見出しました。今後当社は、今回の研究成果を美白化粧品に応用する予定です。また、エイジングケアを目的とした「ASTALIFT(アスタリフト)」ブランドから、最高峰のジェリー状美白先行美容液「アスタリフト ホワイト ジェリー アクアリスタ」(医薬部外品)を新発売しました。本製品には、肌の角層のうるおいを保ち健やかに整える「Wヒト型ナノセラミド」や、肌にハリとうるおいを与える「ナノアスタキサンチン」に加えて、美白有効成分「アルブチン」や独自成分の「ナノAMA+」、「マロニエエキス」、「ビルベリー葉エキス」等の美容成分も配合されています。

 産業機材事業では、AIを活用した画像解析により橋梁やトンネル等の損傷を自動で検出し、点検業務を大幅に効率化する社会インフラ画像診断サービス「ひびみっけ」の機能をさらに拡張し、従来の「ひびわれ」に加え、新たに「剥離・鉄筋露出」「漏水・遊離石灰※5」を自動で検出できる機能を搭載しました。

 ファインケミカル事業では、インド型・カリフォルニア型ウイルスに共通する「L452R」変異を高感度に検出する「L452R 変異検出キット」や、南アフリカ型やブラジル型の変異型ウイルスに共通する遺伝子を検出する「E484K変異検出キット」等、新型コロナウイルス変異株に対応する検出キットを発売しました。当社は、新型コロナウイルス変異株の検出試薬のラインアップを強化し、新型コロナウイルス感染症の実態調査や感染拡大の抑制に貢献していきます。

 記録メディア事業では、新たな磁性体として「ストロンチウムフェライト磁性体」を採用した磁気テープの実走行試験をIBM Researchと共同で行い、塗布型磁気テープにおいて世界最高※6の面記録密度317Gbpsi(ギガビット毎平方インチ)でのデータ記録・再生を実証しました。これは、1巻あたりの記録容量が世界最大※7容量580TB(テラバイト)データカートリッジの実現を可能とする画期的な技術です。

 グラフィックシステム事業では、「新聞用完全無処理型印刷版の開発」で、公益社団法人新化学技術推進協会が主催する第19回「グリーン・サスティナブル ケミストリー(GSC)賞 経済産業大臣賞」を受賞しました。今回の受賞は、新聞用完全無処理型印刷版の開発により、従来現像工程で使用していた化学薬品、水、電気、廃液をゼロ化したことに加え、包装材料の大幅な削減を実現し、新聞印刷業界の課題である環境負荷低減に貢献したことが高く評価されたものです。当社は、これまで培ってきた独自技術を活かして、社会課題解決に繋がる製品・サービスの提供により一層取り組むことで、社会の持続可能な発展に貢献していきます。

 インクジェット事業では、水性インクジェットインク製品を製造、開発する米国子会社であるFUJIFILM Imaging Colorants Inc.に、約20億円の投資を行い、水性顔料インクジェットインク用色材である顔料分散液の製造設備を新設することを発表しました。当社は、インクジェットの市場ニーズに合わせたグローバル生産体制を構築し、事業成長を一段と加速させていきます。

 本部門の研究開発費は、72,066百万円となりました。

※3 低分子医薬品では実現できない作用を持つ、たんぱく質等の生体分子を活用した医薬品。インスリンや成長ホルモンの他に、ワクチン、抗体医薬品、遺伝子治療薬等を含む。

※4 古い角層が剥がれること。

※5 コンクリート内部の水分等とうまく結合できず、単体で残った酸化カルシウム等の成分。ひびわれにより、コンクリート表面に滲み出す。

※6 2020年12月16日発表時点。塗布型磁気テープとして。当社調べ。

 

※7 2020年12月16日発表時点。非圧縮容量。当社調べ。

 

 当社グループにおける新薬開発状況は次のとおりです。(2021年6月現在)

開発番号

薬効・適応症

剤形

地域

開発段階

T-705

抗新型コロナウイルス(COVID-19)薬

経口

日本

米国

PhⅢ

Ph

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)治療薬

経口

日本

PhⅢ

T-817MA

アルツハイマー型認知症治療薬

経口

米国

日本

欧州

PhⅡ

PhⅡ

PhⅡ

脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬

経口

日本

PhⅡ

T-4288

新規フルオロケトライド系抗菌薬

経口

日本

承認申請中

FF-10501

骨髄異形成症候群治療薬

経口

日本

米国

PhⅠ

PhⅡ

FF-10502

進行・再発固形がん治療薬

注射

米国

PhⅡ

FF-21101

進行・再発固形がん治療薬(Armed抗体)

注射

米国

日本

PhⅠ/Ⅱa

PhⅠ

F-1311

前立腺がん診断薬(放射性医薬品)

注射

日本

PhⅡ

FF-10101

急性骨髄性白血病治療薬

経口

米国

PhⅠ

FF-10832

進行性固形がん治療薬(ゲムシタビンリポソーム)

注射

米国

PhⅠ

FF-10850

進行性固形がん治療薬(トポテカンリポソーム)

注射

米国

PhⅠ

F-1614

難治性褐色細胞腫治療薬(放射性医薬品)

注射

日本

承認申請中

 

(3)ドキュメント ソリューション部門

 ドキュメント事業領域では、大容量トナー採用による低ランニングコストでセキュアなプリント環境構築可能なA3カラーレーザープリンター「DocuPrint C2550 d」及び「DocuPrint C3550 d」の2機種を販売開始しました。また、日本初、米国セキュリティ基準「NIST SP800-171」準拠の格付けにて最高評価「AAAis」を取得したデジタルカラー複合機及びプリンター「ApeosPort /ApeosPort-VII /ApeosPort Print」シリーズの9商品・22機種を販売開始しました。

 印刷業務向けには、様々な用紙に対応し、多種多様な印刷物の制作を可能とする「エアーサクション給紙トレイ」を採用した「Versant 3100i Press」と「Versant 180i Press」を販売開始しました。

 ソリューション・サービスについては、米リップコード社と「富士フイルムRIPCORD合同会社」を設立しました。「富士フイルムRIPCORD合同会社」は、当社が国内外で紙文書を電子化し、業務プロセス全般を効率化するビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスにより培ったノウハウと、米リップコード社が持つロボティクス技術とAI(人工知能)を使い、書類を高速で電子化する技術を融合します。これにより、企業の業務プロセスを変革し、デジタルトランスフォーメーションを加速していきます。

 加えて、働き方改革推進に向け、ドキュメント・ハンドリングソフトウェア「DocuWorks®」と電子サインサービス「Adobe Sign」を連携し契約業務プロセスの効率化を実現する「オフィスあんしん クラウドコネクター for Adobe Sign」を販売開始しました。

 富士ゼロックス㈱は、2021年4月1日より社名を「富士フイルムビジネスイノベーション㈱」に変更し、富士フイルムグループのシナジーを加速し、革新的な商品やサービスをさらに多くのお客様にお届けします。

 本部門の研究開発費は、47,525百万円となりました。