第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、バイオCDMO事業、電子材料事業等で売上を伸ばしましたが、ドキュメント事業、フォトイメージング事業、グラフィックシステム事業等の売上減少により1,573,434百万円(前年同期比9.0%減)となりました。営業利益は、120,468百万円(前年同期比20.6%減)となりました。税金等調整前四半期純利益は174,821百万円(前年同期比5.0%増)、当社株主帰属四半期純利益は126,489百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

 当第3四半期連結会計期間末では、総資産は現金及び現金同等物の増加等により48,227百万円増加し、3,369,919百万円(前年度末比1.5%増)となりました。負債は社債及び借入金の減少等により82,214百万円減少し、1,245,721百万円(前年度末比6.2%減)となりました。純資産は当社株主帰属四半期純利益等により130,441百万円増加し、2,124,198百万円(前年度末比6.5%増)となりました。

 セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

(事業セグメント別の連結売上高)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

266,164

218,646

△47,518

△17.9

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

741,170

736,954

△4,216

△0.6

ドキュメント ソリューション

721,063

617,834

△103,229

△14.3

連結合計

1,728,397

1,573,434

△154,963

△9.0

 

(事業セグメント別の営業利益)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

イメージング ソリューション

27,431

14,130

△13,301

△48.5

ヘルスケア&マテリアルズ

ソリューション

70,818

82,630

11,812

16.7

ドキュメント ソリューション

80,469

46,211

△34,258

△42.6

全社費用及び

セグメント間取引消去

△27,083

△22,503

4,580

連結合計

151,635

120,468

△31,167

△20.6

 

 

① イメージング ソリューション部門

 イメージング ソリューション部門の連結売上高は、218,646百万円(前年同期比17.9%減)となりました。営業利益は、14,130百万円(前年同期比48.5%減)となりました。

 フォトイメージング事業では、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)流行拡大によるイベント自粛・中止の影響等により、売上は減少しましたが、第3四半期では撮影したその場で写真をプリントして楽しめるインスタントフォトシステムが前年を上回る売上となりました。インスタントフォトシステムでは、自宅での時間を充実させる“チェキ”の新たな楽しみ方を、SNSを通じて提案し、オンライン販売を強化しており、欧米、中国を中心に販売が回復しました。スマートフォン用プリンター「instax mini Link」の販売が好調で、2020年5月には、スマートフォンで撮影した画像の中からイラスト等を抜き出し別の画像と合成して“チェキプリント”できる新機能「Sketch, edit & print」をアプリに追加搭載し、新たな楽しみ方・付加価値を提供しています。2020年3月に発売したインスタントカメラ「instax mini 11」も順調に売上を伸ばし、2020年11月には人気のスクエアフォーマットのフィルムに対応したエントリーモデルである「instax SQUARE SQ1」を発売しました。また、プリントサービスでは、2020年4月に、フォトブック「Year Album」に、AI技術を活用しユーザーの趣味嗜好に合った画像選択とレイアウトを自動作成、提案するパーソナライズ機能等を新たに搭載し、好評を得ています。今後も多様化するお客様のニーズにお応えし、便利で付加価値の高い製品・サービスを提供するとともに、「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の価値を世界中で伝え続けていきます。

 光学・電子映像事業の電子映像分野では、COVID-19影響による需要減を受けて売上が落ち込んでいた上期に対して、第3四半期は前年並みまで回復しました。ミラーレスデジタルカメラの販売は、2020年4月に発売した「FUJIFILM X-T4」が引き続き好調に推移したことに加え、2020年11月に発売した「FUJIFILM X-S10」が、小型・持ち易いグリップ・強力手振れ補正の評価が高く、日本・中国を中心に好調でした。また、2020年7月には「GFXシリーズ」用交換レンズとして、圧倒的な描写力を実現するコンパクトな単焦点広角レンズ「フジノンレンズ GF30mmF3.5 R WR」を発売しました。「Xシリーズ」用交換レンズのラインアップとして、2020年9月に大口径中望遠単焦点レンズ「フジノンレンズ XF50mmF1.0 R WR」、2020年11月には超広角ズームレンズ「フジノンレンズ XF10-24mmF4 R OIS WR」を発売する等、豊富なレンズラインアップでシステムとしての魅力を高めてきました。今後も特長ある魅力的な製品を供給して市場の活性化を図るとともに、写真を撮る悦びを提供していきます。

 光学デバイス分野では、スポーツ・イベント及びドラマ・映画の撮影中止に伴う放送・シネマ用レンズの販売減がありましたが、監視ズームレンズ・一体型監視カメラの販売は好調に推移しました。同分野では、超短焦点プロジェクターや長焦点監視カメラの開発・発売のほか、マルチスペクトルカメラシステムを新たに開発する等、事業の領域拡大を進めており、多様な市場ニーズに応える画期的な製品を開発し続けることで、事業成長を図っていきます。

 

② ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門

 ヘルスケア&マテリアルズ ソリューション部門の連結売上高は、736,954百万円(前年同期比0.6%減)となりました。営業利益は、82,630百万円(前年同期比16.7%増)となりました。

 メディカルシステム事業では、COVID-19の流行拡大影響により売上は減少しましたが、抗菌材料分野では、アルコールによる除菌効果に加えて、銀系抗菌剤と超親水コートによる持続除菌を兼ね備えた当社独自技術「Hydro Ag+(ハイドロ エージー プラス)」を応用した薬用ハンドジェルや抗菌シート等の販売が急増し、売上が大幅に増加しました。X線画像診断分野では、病室内の病床を移動しながら撮影可能な回診用デジタルX線撮影装置「FUJIFILM DR CALNEO AQRO」及び「FUJIFILM DR CALNEO Go PLUS」の旺盛な需要が継続し、欧米・アジアでの販売が好調に推移しました。超音波診断分野では、2020年7月に米国、同8月に欧州で販売を開始したハイエンド超音波画像診断装置「Sonosite PX」の販売が好調に推移したことに加え、日本を含むCOVID-19流行下での需要増に対応し、売上は増加しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」を中心としたシステムの販売が日本と中国を中心に好調に推移しました。2020年12月に、内視鏡情報管理システム「NEXUS」をバージョンアップし、AI技術を活用し設計した内視鏡診断レポート作成支援機能の販売を開始しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な7000システム等の販売が中国において堅調に推移しました。また、2020年11月には、日本にてAI技術を活用して大腸ポリープ等の病変のリアルタイム検出・鑑別を支援する内視鏡診断支援機能「CAD EYE™(キャド アイ)」を発売しました。体外診断(IVD)分野では、COVID-19影響を受けたものの、海外市場では動物向け検査需要の増加等により、血液生化学検査システム「ドライケムシリーズ」の販売が堅調に推移しました。

 医薬品事業では、2020年6月に、COVID-19治療薬として期待されている抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の海外展開に向けて、インド大手製薬企業Dr. Reddy's Laboratories Ltd.、及び世界的な医療物資・医薬品提供会社Global Response Aidとの提携を行い、当提携によるライセンス収入等により、売上は増加しました。COVID-19患者を対象とした「アビガン®錠」については、国内臨床第Ⅲ相試験や増産対応を進めました。当社グループは、高付加価値な医薬品の提供を通じて、医療のさらなる発展に貢献していきます。

 バイオCDMO事業では、バイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託が好調に推移し、売上が増加しました。事業成長を一段と加速させるため、米国に2,000億円を超える大規模投資を行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を新設することを2021年1月に発表しました。原薬の大量製造受託のみならず、原薬から製剤・包装までワンサイト・ワンストップで対応できる体制を米国に構築します。新拠点の稼働は2025年春を予定しています。また、今後の市場拡大が見込まれている遺伝子治療分野において、米国ボストンに約40億円を投じて遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造受託拠点を新設します。2021年秋より順次稼働予定です。今後も、高品質な医薬品の安定供給を通じて、アンメットメディカルニーズへの対応等社会課題の解決、及びヘルスケア産業の発展に貢献していきます。

 再生医療事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開するバイオ医薬品製造用途の培地がCOVID-19用ワクチンや抗体医薬品の急速な量産化に伴い需要が増加し、販売が好調に推移しました。また、FUJIFILM Cellular Dynamics, Inc.(米国。以下、「FCDI」と記載します。)が展開する、次世代がん免疫治療薬に使用する他家iPS細胞の開発受託事業が好調でした。2020年11月に、FCDIは治療用iPS細胞の提供、及びiPS細胞作製技術に関する特許ライセンスの供与を本格的に開始しました。その第一弾として、再生医療製品の開発を対象に、iPS細胞作製技術に関する特許ライセンスを全世界で非独占的に使用できる権利をLonza Walkersville, Inc.に許諾しました。今後も、当社グループ各社の技術・ノウハウを活用し、COVID-19感染拡大の早期収束及び再生医療の早期産業化に貢献していきます。

 ライフサイエンス事業では、店舗販売はCOVID-19の流行拡大影響を受けましたが、通信販売を中心にサプリメント「メタバリアEX」等が好調に推移し、全体の売上が増加しました。2020年4月には、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」機能を持つ、機能性表示食品「アスタリフト サプリメント ホワイトシールド」と「アスタリフト ドリンク ホワイトシールド」を、2020年9月には、水分を保持し肌のうるおいをキープする成分を配合したベースメイクアイテム「アスタリフト ルミナス エッセンス」、弾ける泡で肌を引き締める美容液「アスタリフト スパークル タイト セラム」を発売しました。今後もお客様のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。

 ディスプレイ材料事業では、COVID-19の流行下でモニター及びタブレット向け需要が増加したことや、TVの販売が好調に推移したことに伴い、全体の売上が増加しました。

 産業機材事業では、COVID-19の流行拡大影響を受けて非破壊検査用機器・材料等の販売が減少しましたが、在宅勤務・在宅学習向けのモバイルPC需要が増加したことにより、タッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売が好調に推移しました。

 電子材料事業では、COVID-19流行下での在宅勤務拡大を背景としたデータセンター用サーバーや、需要の回復が見られるスマートフォンをはじめとする先端ロジック向けを中心に、CMPスラリーや先端レジスト、現像液等の販売が好調に推移し、売上が増加しました。拡大する半導体需要に対し、当社は先端プロセス用材料を軸として更なる事業成長を図るとともに、5G/IoT時代における社会価値創造に貢献していきます。

 ファインケミカル事業では、COVID-19の流行拡大影響により大学や企業の研究活動が停滞し、試薬の需要減少等の影響を受けましたが、需要が増加した消毒用エタノール等の販売が堅調に推移し、売上は増加しました。

 記録メディア事業では、COVID-19の流行拡大に伴う企業活動の停滞に加え、テレワーク等に対応する通信インフラの能力増強が優先され、データアーカイブへの投資が延期されたこと等を背景にテープ需要が減少し、売上は減少しました。中長期的なデータ量の増加傾向及びテープの優位性に変化はなく、ビッグデータ時代の顧客ニーズに対応する製品やサービスの拡充によって、事業成長を図っていきます。

 グラフィックシステム事業では、刷版材料分野において、COVID-19の流行拡大影響による需要の減少を受けて売上が減少しました。今後、無処理CTPプレートを中心とした環境対応品の拡販を推進します。デジタル印刷分野では、商業印刷向けインクジェットデジタルプレス「Jet Press 750S」を中心に、デジタル化が進む商業印刷及びパッケージ印刷市場に対して、引き続き画期的な製品を開発・提供し、事業成長を図っていきます。

 インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売は中国のセラミック市場での需要増により回復基調にありますが、インクの販売は主に欧州でのワイドフォーマット市場での需要減により大きく落ち込み、全体の売上は減少しました。用途が拡大する産業用インクジェット市場に対して今後も画期的な製品を開発・提供し、さまざまな産業の発展に貢献していきます。

 

③ ドキュメント ソリューション部門

 ドキュメント ソリューション部門の連結売上高は、617,834百万円(前年同期比14.3%減)となりました。営業利益は、46,211百万円(前年同期比42.6%減)となりました。

 オフィスプロダクト&プリンター事業では、オフィスプロダクト分野で、日本・中国及びアジアパシフィック地域のそれぞれで販売台数が前年を上回りました。オフィスプリンター分野は、販売台数が減少しました。

 プロダクションサービス事業では、COVID-19流行拡大影響による経済の先行き不透明感からお客様が投資を抑制したことで、販売台数は前年から減少しました。

 ソリューション&サービス事業では、COVID-19流行拡大影響を受けて、営業活動が制限されたこと等により、全体の売上が減少しました。

 COVID-19の流行拡大により、在宅勤務を始めとする新たな働き方が広がっており、それらを支援するソリューションの販売が好調に推移しています。国内では、全国のセブン-イレブン店頭に設置されたマルチコピー機を利用した「ネットプリント®サービス」の需要が拡大しました。また、電子文書を紙文書と同じような操作性で扱うことができる、ドキュメント・ハンドリングソフトウェアの「DocuWorks®」は、国内外でこれまで累計770万ライセンスの販売をしています。さらに、強固なセキュリティと簡単・便利なネットワーク環境を実現するサービス「beat」や、オフィスに届くファクス文書を自宅で確認出来るペーパーレスファクスソリューション、電子署名サービス等、今後も新しいソリューション&サービスメニューを順次提供し、お客様の多様化する働き方を支援していくとともに、当領域でのさらなる成長を目指します。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より98,676百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末においては494,767百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は292,409百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して130,011百万円80.1%増加しておりますが、これは「(5)その他」に含まれる、前払費用及びその他の流動資産が減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は79,922百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して122,480百万円60.5%)減少しておりますが、これは前第3四半期連結累計期間においてBIOGEN(DENMARK)MANUFACTURING ApSを買収したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は117,655百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して32,296百万円21.5%)減少しておりますが、これは前第3四半期連結累計期間において非支配持分との資本取引による支出があったこと等によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間においては、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、110,749百万円(前年同期比6.1%減)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 従業員の状況

 ① 連結会社の状況

 当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数の著しい増減はありません。

 ② 提出会社の状況

 当第3四半期累計期間において、提出会社の従業員数は前事業年度末から420名増加し、648名となりました。この従業員数の増加は、富士フイルム㈱及び富士ゼロックス㈱間でのポリシー・業務プロセスの統一、重複業務廃止・人材相互活用による当社グループ全体視点でのガバナンス強化等の更なる推進を目的に、両社のコーポレート部門について富士フイルムホールディングス㈱へ統合する組織改定を実施したためです。

 

(7) 設備の状況

 当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設として、2,000億円を超える大規模投資を米国で行い、バイオ医薬品の大型製造拠点の建設を計画しております。2025年春の稼働を予定しております。

 

(8) 重要な会計上の見積り

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。