第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム事業、バイオCDMO事業、ライフサイエンス事業等のヘルスケア領域を中心に売上を伸ばし、1,860,902百万円(前年同期比18.3%増)となりました。営業利益は、186,453百万円(前年同期比54.8%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、207,240百万円(前年同期比18.5%増)、当社株主帰属四半期純利益は157,106百万円(前年同期比24.2%増)となりました。

 当第3四半期連結会計期間末では、総資産は棚卸資産の増加等により176,816百万円増加し、3,726,019百万円(前年度末比5.0%増)となりました。負債は社債及び借入金の減少等により2,723百万円減少し、1,324,323百万円(前年度末比0.2%減)となりました。純資産は当社株主帰属四半期純利益の計上等により179,539百万円増加し、2,401,696百万円(前年度末比8.1%増)となりました。

 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(事業セグメント別の連結売上高)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ヘルスケア

388,121

576,728

188,607

48.6

マテリアルズ

417,251

464,885

47,634

11.4

ビジネスイノベーション

549,416

559,124

9,708

1.8

イメージング

218,646

260,165

41,519

19.0

連結合計

1,573,434

1,860,902

287,468

18.3

 

(事業セグメント別の営業利益)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ヘルスケア

36,213

75,317

39,104

108.0

マテリアルズ

45,968

57,881

11,913

25.9

ビジネスイノベーション

46,660

42,172

△4,488

△9.6

イメージング

14,130

34,703

20,573

145.6

全社費用及び

セグメント間取引消去

△22,503

△23,620

△1,117

連結合計

120,468

186,453

65,985

54.8

 

① ヘルスケア部門

本部門の連結売上高は、576,728百万円(前年同期比48.6%増)となりました。営業利益は、75,317百万円(前年同期比108.0%増)となりました。

メディカルシステム事業では、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)に有用な製品の需要拡大や内視鏡製品の販売が伸長したこと等により、売上が大幅に増加しました。2021年3月31日に㈱日立製作所の画像診断関連事業を承継し、新しいグループ会社としてスタートした「富士フイルムヘルスケア㈱」との連携も順調に進展しており、当事業の好調な業績に寄与しています。X線画像診断分野では、日本でCOVID-19関連の需要増を取り込んだことに加え、インドや中南米等の新興国を中心にクリニック層へX線画像診断システム「FCR(Fuji Computed Radiography)」の販売が好調に推移する等、売上が増加しました。超音波診断分野では、POC(Point of Care)向け超音波診断装置「Sonosite PX」や据置型超音波診断装置「ARIETTA 750」の販売が米国、欧州を中心に好調に推移しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」や3次元画像解析システム(3D)「SYNAPSE VINCENT」を中心としたシステム・サービス販売が日本や中国、欧州を中心に好調に推移しました。2021年8月には、AI技術を活用して胸部単純X線画像の肺がん・肺炎・気胸診断を支援する胸部X線画像病変検出ソフトウェア「CXR-AID」を発売しました。内視鏡分野では、特殊光観察が可能な「7000システム」等の販売が欧州、米国を中心に伸長しました。体外診断(IVD)分野では、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドや、富士フイルム和光純薬㈱の生化学試薬の販売が好調で、売上が大幅に増加しました。CT・MRI分野では、新たに製品ラインアップに加わった富士フイルムヘルスケア㈱の製品を、富士フイルム㈱の販路を活用して拡販を進めたことや、COVID-19関連の需要増等により、売上が増加しました。

バイオCDMO事業では、欧米各拠点でのバイオ医薬品のプロセス開発受託及び製造受託が好調に推移したことや、COVID-19用ワクチン候補の原薬製造が寄与する等、売上が大幅に増加しました。事業成長を一段と加速させるため、総額約900億円を投じ、米国拠点における遺伝子治療薬及びワクチンの原薬製造設備や、英国拠点の抗体医薬品及び遺伝子治療薬の原薬製造設備について増強を行うことを2021年6月に決定しました。当増強設備の稼働は、2023年後半を予定しています。

ライフサイエンス事業では、FUJIFILM Irvine Scientific, Inc.(米国)が展開するバイオ医薬品製造向けの培地等の販売が好調に推移し、売上が大幅に増加しました。2021年12月には、中国における培地ビジネスを拡大するため、蘇州高新区に培地のカスタマイズサービス拠点「Innovation & Collaboration Center」の開設を発表しました。また、同月に、培地の生産能力を増強するため、オランダで新工場を稼働させました。日米欧3拠点のグローバル生産体制で、顧客の創薬・医薬品製造をより強力にサポートしていきます。

医薬品事業では、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠」(一般名:ファビピラビル)の海外向け販売が増加しました。2021年9月には、ライフサイエンス領域の事業ポートフォリオ最適化の一環として、富士フイルム富山化学㈱の放射性医薬品事業をペプチドリーム㈱へ譲渡することを決定しました。今後は、現行パイプラインの開発を進めるとともに、ペニシリン等の抗菌剤の製造・販売、製造受託に加え、核酸医薬品や次世代の新型コロナワクチン候補も含むmRNAワクチンのプロセス開発・製造受託等の受託ビジネスに注力していきます。

コンシューマーヘルスケア事業では、「メタバリアEX」等サプリメントの販売が伸長したことに加え、化粧品でもシンプルなステップで効果的なスキンケアを実現するシリーズ「ASTALIFT Opme(アスタリフト オプミー)」の第一弾として発売した新製品「アスタリフト オプミー」の販売が好調に推移し、売上が増加しました。今後も顧客のニーズを捉えた独自性の高い製品を提供し、人々の美容と健康に貢献していきます。

 

② マテリアルズ部門

本部門の連結売上高は、464,885百万円(前年同期比11.4%増)となりました。営業利益は、57,881百万円(前年同期比25.9%増)となりました。

電子材料事業では、旺盛な半導体需要を背景に、フォトレジストやCMPスラリー、ポストCMPクリーナー、ポリイミド等幅広い製品群で販売が好調に推移し、売上が大幅に増加しました。今後も5Gや自動運転等に使用される最先端半導体向けをはじめとして、半導体の微細化・高集積化に対応した幅広い製品を提供することで、成長を加速させていきます。

 ディスプレイ材料事業では、在宅需要を背景にTV、モニター及びタブレット向けの高機能フィルム製品の販売が好調に推移したこと等により、売上が増加しました。

産業機材事業では、非破壊検査用機器・材料で、COVID-19流行拡大の影響を受けていた欧米の航空業界向けの販売が回復基調にあることや、電子部品等の製造に使用される材料の販売が伸長し、売上が増加しました。

ファインケミカル事業では、COVID-19流行拡大の影響を受けていた各産業の景気回復に合わせて重合材料等の化成品の販売が伸長し、売上が増加しました。

記録メディア事業では、COVID-19流行拡大の影響を受けていたデータアーカイブ用のテープ需要が回復傾向にあり、売上が増加しました。2021年9月には、大容量データのバックアップやアーカイブに最適な磁気テープストレージメディア規格「LTO Ultrium」の第9世代に対応した「FUJIFILM LTO Ultrium9 データカートリッジ」を発売しました。磁気テープは、大容量データを低コストで安全に長期保管できることに加え、ハードディスクドライブに比べてデータ保管における消費電力により発生するCO2の排出量を95%削減でき※1、環境負荷を大幅に低減する製品として注目されています。今後も顧客ニーズに対応する高性能・高品質のメディアやサービスの開発・提供を通じて、さらなる事業成長を図るとともに、社会課題の解決に取り組んでいきます。

※1:100PB(ペタバイト)のデータを10年間HDDに保管した場合と磁気テープに保管した場合を比較し、保管で発生するCO2の排出量を95%(約2,400トン)削減できます。(出典:Brad Johns Consulting, LLC “Improving Information Technology Sustainability with Modern Tape Storage”)

グラフィックコミュニケーション事業では、刷版材料分野において、日本、米国を中心にCOVID-19流行拡大の影響を受けていた需要が回復する等、販売を伸ばし、売上が増加しました。デジタル印刷分野では、B2枚葉型インクジェット印刷機で世界最速※2の毎時5,400枚の印刷スピードを実現した「Jet Press 750S High Speed Model」を2021年11月に発売しました。プロダクション関連商品の新たなブランド「Revoria(レヴォリア)」では、ハイエンドプロダクションカラープリンター「Revoria Press PC1120」を2021年7月より国内を皮切りに海外においても順次発売しました。今後もこのような独自の先進技術を用いた画期的な製品を開発・提供することで、事業成長を図るとともに、業界のデジタル化を牽引していきます。

※2:2021年12月時点。富士フイルム調べ。

インクジェット事業では、産業用インクジェットヘッドの販売が欧州、中国の建材印刷市場での需要増により好調に推移しました。インクの販売は、ホーム&オフィス市場向け染料インクを中心に販売を伸ばし、全体で売上が増加しました。今後もインクジェット市場のニーズにあわせたグローバルな生産体制を構築し、事業成長を一段と加速させていきます。

 

③ ビジネスイノベーション部門

本部門の連結売上高は、559,124百万円(前年同期比1.8%増)となりました。営業利益は、42,172百万円(前年同期比9.6%減)となりました。

オフィスソリューション事業では、第2四半期に引き続きアジアパシフィック地域でのロックダウンや半導体等の部品供給の逼迫を背景とした機器の供給・設置遅延等の影響を受けましたが、第3四半期累計ではCOVID-19流行拡大影響からの経済回復に伴うノンハードの売上回復や為替影響等により、売上が増加しました。「FUJIFILM」ブランドによるグローバル展開においては、2021年4月にデザインを一新し、セキュリティ機能を強化したデジタルカラー複合機及びプリンター「Apeos」の新製品を発売しました。また、富士フイルム㈱の海外拠点や有望な代理店を活用した販路の拡大を目指しており、第3四半期には、新たな市場でオフィス向け製品の販売を開始しました。今後も、欧州や中東、中南米等の新市場を開拓するとともに、新規のOEM供給を含め、グローバル展開を拡大させていきます。

ビジネスソリューション事業では、国内で自治体向けのビジネスが増加したことや、海外を中心にBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業が好調に推移し、売上が増加しました。2022年1月1日には、買収が完了したHOYAデジタルソリューションズ㈱は「富士フイルムデジタルソリューションズ㈱」として新たに事業活動を開始しました。新会社が提供する基幹システムの販売及び導入支援を含め、今後も、お客様のDXに資するソリューション・サービスメニューを順次提供し、ビジネスソリューション事業のさらなる成長を加速させていきます。

 

④ イメージング部門

本部門の連結売上高は、260,165百万円(前年同期比19.0%増)となりました。営業利益は、34,703百万円(前年同期比145.6%増)となりました。

 コンシューマーイメージング分野では、インスタントフォトシステム、カラーペーパー、ドライプリント機器及び材料の販売が好調に推移し、売上が増加しました。インスタントフォトシステムでは、デバイス・フィルムともに販売が好調に推移しました。2021年10月には、スマートフォンで撮影した画像を、通常のカードサイズのミニフォーマットフィルムの2倍の大きさとなるワイドフォーマットフィルムにプリントができるスマートフォン用プリンター“チェキ”「instax Link WIDE(インスタックス リンク ワイド)」を発売しました。音声・テキストメッセージ、位置情報、WEBページのURLをその場でQRコード化し撮影画像に組み込んでプリントできる機能を加えたことで、個人用途だけではなく、ビジネス用途でも活用できると高い評価を受けています。また、2021年12月にはinstaxシリーズの最上位機種として、カードサイズのミニフォーマットフィルム対応のハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”「instax mini Evo(インスタックス ミニ エヴォ)」を発売し、クラシックなカメラデザインと100通りの撮影エフェクトが好評で、好調に販売台数を伸ばしました。今後も多様化する顧客のニーズに応え、便利で付加価値の高い製品・サービスを提供するとともに、「撮る、残す、飾る、そして贈る」という写真本来の価値を世界中で伝え続けていきます。

プロフェッショナルイメージング分野では、約1億2百万画素で最高画質を実現したラージフォーマットミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100S」の販売が好調に推移しました。加えて、2021年9月に「GFXシリーズ」の最新モデルとして約5,140万画素のラージフォーマットミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX50S II」を発売し、「GFX」ユーザー層を拡大しました。2021年11月には、高画質と小型軽量を両立させた「Xシリーズ」最新モデル、ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM X-T30 II」を発売しました。今後も「GFX」では最高画質を、「Xシリーズ」では画質とサイズのベストバランスを実現し、魅力的な製品を提供していきます。また、放送・シネマ用レンズの販売が、COVID-19流行拡大による需要減から回復基調にあり、工業マシンビジョン用やプロジェクター用等産業用レンズの販売も好調に推移し、同分野全体で売上が増加しました。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より30,253百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末においては425,048百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は213,479百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して78,930百万円(27.0%)減少しておりますが、これは前払費用及びその他の流動資産が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は115,234百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して35,312百万円(44.2%)増加しておりますが、これは固定資産の購入額の増加等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は77,873百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して39,782百万円(33.8%)減少しておりますが、これは短期債務の返済額の減少等によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、111,941百万円(前年同期比1.1%増)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 重要な会計上の見積り

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。