(1)業績
当連結会計年度における経済情勢を振り返りますと、米国では雇用の改善などを背景に回復傾向が持続しました。一方、金融緩和など景気刺激策によって緩やかな回復を示した欧州は、当連結会計年度終盤に入って回復基調にやや陰りがみられ、中国は過去に行った過剰な設備投資の影響により投資が縮小し、新興国でも資源価格の下落などの影響を受け、成長鈍化の傾向が続きました。わが国の経済は、企業業績が改善傾向にあるものの、新興国経済減速の影響を受け、企業の生産活動は伸び悩みました。このように、世界経済全体としては、中国や新興国での経済成長の鈍化の影響が大きく、景気の足踏み状態が続く1年となりました。
こうした経営環境の下、当連結会計年度における当社グループの連結売上高は、1兆317億円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。事業セグメント別では、情報機器事業は商業印刷向けに上位機種のカラー機の販売が伸長したことに加え、企業買収や対ドルの円安効果も寄与して増収となりました。産業用材料・機器事業は、産業用光学システム分野では計測機器での買収効果もあり増収となりましたが、機能材料分野ではディスプレイ製品の市況悪化の影響を受け減収となりました。ヘルスケア事業は米国での企業買収も寄与し増収となりました。
営業利益は、600億円(同8.7%減)となりました。情報機器事業は、競争環境が厳しい中で進める業容転換の費用増とともに、当連結会計年度後半には損益影響が大きい対ユーロでの円高が進行、加えて、次年度に向けての事業構造改善費用の引当も行ったことから、小幅ながら減益となりました。ヘルスケア事業は国内外でのデジタル製品の販売増で増益基調が鮮明になりましたが、産業用材料・機器事業は主力製品の販売減により減益となりました。これらに加えて、当連結会計年度前半に実施した構造改革費用もあり、グループ全体でも減益となりました。税引前利益は、580億円(同11.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、翌連結会計年度以降の税制改正に伴う法人税率等の引下げが行われることとなった影響等により319億円(同21.9%減)となりました。
当社は、2014年度より中期経営計画「TRANSFORM 2016」を始動させました。既存事業の高付加価値化を進める一方、お客様に密着してお客様や社会が抱える課題を解決する新たなビジネスを創出する取り組みを加速しています。
日本、アジアにおける高齢化社会の進行に伴う要介護者の増加と介護スタッフ不足という社会的な課題を解決する「ケアサポートソリューション」は、日本において第一号の受注を獲得しました。
また、独自のビデオマネジメントシステムを強みとする監視カメラメーカーMOBOTIX AG(本社:ドイツ)の株式の65.5%を取得する契約を締結しました。当社独自の3Dレーザーレーダーをはじめとする産業用光学システムと組み合わせた高品質なセキュリティシステムなど、幅広い業種業態に向けたソリューション提供につなげていきます。
更に、日本では当社グループの総合力を結集して、製造業としての自社実践で培った当社独自のデジタルマニュファクチュアリングやデジタルマーケティングによるノウハウを活用したデジタルワークフロー改革の支援や、業種業態別ソリューションを提供するため、国内事業を再編し、2016年4月よりコニカミノルタジャパン株式会社として活動を開始しました。また、顧客体験に基づくデジタルマーケティング施策の立案、コンテンツ制作で実績のあるネットイヤーグループ株式会社(本社:東京都中央区)と資本業務提携契約を締結し、デジタルマーケティングの提供力を高めました。
当社グループへの外部評価について
当社は、中期経営計画「TRANSFORM 2016」で掲げた諸施策を確実に実行し、業容の転換による持続的な成長を目指すとともに、企業の社会的責任(CSR)の取り組みを経営の根幹として位置づけ、環境、人権、労働、ガバナンスなど幅広い側面での活動に取り組むことで、グローバル社会から支持され、必要とされる会社を目指します。
こうした活動が外部機関によって高く評価を受けております。2015年度は日本経済新聞社が実施した第19回「環境経営度調査」において、製造業総合ランキング1位を2年連続で獲得しました。「JPX日経インデックス400」に3年連続で選定されたほか、経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に2年連続で選ばれました。また、世界的に権威のある社会的責任投資(SRI)指標である米国の「Dow Jones Sustainability World Index」に4年連続で採用されました。SRI分野の調査・格付機関であるRobecoSAM社からは「シルバークラス」に選定されました。
このように、当連結会計年度は世界経済の停滞に伴う企業の投資抑制や競争環境の激化の影響を受け、単年度の業績としては厳しい1年となりましたが、中期経営計画「TRANSFORM 2016」の中間年度として中長期の成長を目指した施策では多くの成果を挙げました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
①情報機器事業
<オフィスサービス分野>
主力のA3カラー複合機においては、米欧市場での競争環境が激化する中、当社は利益重視の販売方針に沿い、中高位機種を中心に販売拡大に努めました。モノクロ機でも、前年を上回る販売台数となりました。大企業におけるグローバル調達に対応した大口商談では、当社の重要顧客であるBMWグループやAllianz社(ともに本社:ドイツ)から当社の出力環境最適化サービスが高く評価され、複数年にわたるグローバルサービスの契約更新を獲得しました。また当社が中堅・中小企業向けに展開する入出力機器とITサービスを組み合せた「ハイブリッド販売」においては、紙文書を当社の複合機からスキャンし、必要な情報を自動的に抜き出して基幹システムに連携させるといったお客様のワークフローの改善にむけた提案、またお客様のIT環境を一括で保守、運用までを請け負うMIT(Managed IT)サービスといった複合的なサービスの提供による成約事例を積み上げています。
<商業・産業印刷分野>
プロダクションプリントでは、デジタルカラー印刷システムの最上位機種「bizhub PRESS(ビズハブ プレス)C1100」が欧米を中心に販売を伸ばしました。従来の中小印刷企業中心の顧客基盤から大量の出力ボリュームが見込める中堅及び大手商業印刷企業へと顧客層の拡大に努めました。
企業のマーケティング部門における印刷物コスト最適化及び業務プロセス改善を支援するMPM(Marketing Production Management)サービスでは、既存顧客に対してサービス提供地域を拡大する取り組みを進めました。
産業用インクジェットでは、インクジェットヘッドなどコンポーネント製品が大判プリンタ向けに堅調に推移しました。株式会社小森コーポレーション(本社:東京都墨田区)と共同開発したUVインクジェット枚葉印刷機「KM-1」は、発売に向けた準備が完了し、2016年度より本格販売を開始いたします。また、2014年度に資本・業務提携を開始したMGI Digital Technology(本社:フランス)への出資比率を高め、同社が持つデジタル印刷機器に関する高いマーケティング力と独創的な製品開発力を活用し、産業印刷市場への事業拡大を図ります(効力発生日:2016年4月1日)。
生産面では、国内外でデジタルマニュファクチュアリングを進めています。既に2015年5月から本格稼働を開始したマレーシアの生産拠点では、最先端のICTを活用した工程の自動化・効率化への取り組みが成果を挙げ、デジタル複合機生産において継続的に製造原価を低減する体制を強化しました。
これらの結果、当事業の外部顧客に対する売上高8,321億円(前連結会計年度比3.0%増)、営業利益は702億円(同3.4%減)となりました。売上高は企業買収効果に対ドル円安の為替効果も加わり、増収となりました。利益面では北米での有形固定資産売却益がありましたが、損益影響が大きい対ユーロでの円高傾向が続いたことに加えて、サービス提供力強化をはじめとした業容転換のための費用増や事業構造改善費用の引当もあり、小幅な減益となりました。
②ヘルスケア事業
国内は超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1」が、整形領域で高い評価を受け、大幅に販売を拡大しました。一方、2015年10月に買収したViztek社(本社:米国)が、当連結会計年度後半以降当社の連結対象に加わり、米国での売上は前連結会計年度から増加しました。
主力製品では、医療ITサービスとしてPACS(医療用画像保管・転送システム)が好調を持続、カセッテ型デジタルⅩ線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール)」は海外を中心に販売を拡大しました。
これらの結果、当事業の外部顧客に対する売上高は898億円(前連結会計年度比14.4%増)、営業利益は39億円(同85.0%増)となりました。主力製品の販売増及び海外での増収に伴う粗利増と、それら製品・機器の設置台数を基盤とした保守契約の件数増が収益性の改善に貢献しました。
③産業用材料・機器事業
<機能材料分野>
TACフィルムは、当連結会計年度半ばから新興国市場における需要減退によるサプライチェーンでの在庫調整が長引き、大型液晶テレビ向けの販売が減速しました。中小型パネル向けは当社が得意とする薄膜製品の販売が当連結会計年度後半には回復に転じましたが、テレビ向け販売の減少を補い切れず、販売は前連結会計年度から減少しました。
<産業用光学システム分野>
計測機器は、主力の光源色計測機器が当連結会計年度の後半に販売を伸ばすとともに、2015年8月に買収したRadiant社(本社:米国)が連結対象に加わったことも寄与し、増収となりました。また、産業・プロ用レンズではプロジェクションマッピングなどイベント向けプロジェクター用光学ユニットが好調を持続し、増収となりました。
これらの結果、当事業の外部顧客に対する売上高は1,059億円(前連結会計年度比6.0%減)、営業利益は170億円(同13.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フロー592億円の創出と、設備投資やM&Aを中心とした投資活動によるキャッシュ・フロー1,107億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは515億円のマイナスとなりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは205億円のマイナスとなりました。
その他に、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額54億円の減少があり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比775億円減少の999億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前利益580億円、減価償却費及び償却費513億円等によるキャッシュ・フローの増加と、法人所得税の支払い169億円、営業債務及びその他の債務の減少による減少103億円、営業債権及びその他の債権の増加による減少62億円、棚卸資産の増加による減少47億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは592億円のプラス(前連結会計年度は1,019億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主として情報機器事業における設備投資等の結果、有形固定資産の取得による支出は383億円、無形資産の取得による支出は119億円となりました。一方で、主として北米の資産を売却したことにより、有形固定資産の売却による収入は95億円となりました。情報機器事業におけるDactyl Buro du CentreとOMR Impressionsの2社、産業用材料・機器事業におけるRadiant社、ヘルスケア事業におけるViztek社等の買収をした事により、子会社株式の取得による支出575億円、事業譲受による支出33億円、持分法で会計処理されている投資の取得による支出26億円となり、投資活動によるキャッシュ・フローは1,107億円のマイナス(前連結会計年度は540億円のマイナス)となりました。
この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは515億円のマイナス(前連結会計年度は479億円のプラス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債の発行及び長期借入れによる収入387億円によるキャッシュ・フローの増加と、社債の償還及び長期借入金の返済による支出277億円、配当金の支払による支出124億円、自己株式の取得による支出100億円、短期借入金の純減少額94億円等によるキャッシュ・フローの減少により、財務活動によるキャッシュ・フローは205億円のマイナス(前連結会計年度は621億円のマイナス)となりました。
(3)IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却)
日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において販売費及び一般管理費が12,327百万円減少しております。
(表示組替)
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSではその他の収益、その他の費用、金融収益及び金融費用に表示しております。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) |
前年同期比 |
|
情報機器事業 |
百万円 354,218 |
% 98.1 |
|
ヘルスケア事業 |
16,989 |
115.9 |
|
産業用材料・機器事業 |
99,557 |
91.6 |
|
報告セグメント計 |
470,765 |
97.2 |
|
その他 |
596 |
187.4 |
|
合計 |
471,361 |
97.3 |
(注1)金額は、売価換算値で表示しております。
(注2)上記金額には、消費税等は含んでおりません。
(2)受注実績
当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。
(3)販売実績
販売状況については、「1 業績等の概要」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。
(1)当社グループの目指す姿
社会・経済状況の変化や技術革新がかつてないスピードで起こる変革の時代において、社会や顧客の要望はますます複雑化・多様化しており、そのニーズに応える破壊的創造をもたらす新しいビジネスモデルが、業界の垣根を越え次々と興っています。
このような環境の下、コニカミノルタグループは、「新しい価値の創造」の経営理念のもと、経営ビジョンとして「グローバル社会から支持され、必要とされる企業」・「足腰のしっかりした進化し続けるイノベーション企業」を掲げております。
その実現に向け、中期経営計画「TRANSFORM 2016」を策定し、「顧客・社会の課題をしっかりと見つめ、イノベーションを通じて、社会の質の向上に貢献する『価値』を創造し続ける会社」へと、変革を進めております。
イノベーションを生み出すためには、多様な価値観を持った人財が、お互いの違いを認め、切磋琢磨し、化学反応を起こすこと、すなわち「ダイバーシティ(多様性)の推進」が必要不可欠です。グローバルでのM&Aやキャリア採用により加わった、異なる経験や価値観を持った人財を含め、国籍や年齢、性別を問わず、当社グループ4万3千人の全員が一体感を持って"One Konica Minolta"として活躍できる場を創り出してまいります。
多様な課題に対して、技術革新や事業革新を通じた解決策を提案し、新たな価値を創造していくことこそ、コニカミノルタの成長戦略です。
(2)中長期的な経営戦略と対処すべき課題
中期経営計画「TRANSFORM 2016」では、当社を取り巻く経営環境の変化の中で、グローバル競争に勝ち抜くため、当社がお客様を知り尽くし、高い付加価値をお客様に提供できるパートナーとなることを目指し、次の3項目を基本方針として定めました。
1.持続的な利益成長の実現
2.顧客密着型企業への変革
3.強靭な企業体質の確立
この基本方針のもと、当該計画の最終年度となる2016年度は、それ以降の中長期での成長も見据え、「稼ぐ力」の抜本的強化に取り組みます。
1.持続的な利益成長の実現
当社は、複合機をお客様企業の総務・調達部門に提案する従来の製品中心の販売形態から、お客様企業のさまざまな部門の業務課題の解決手段を能動的に提案する多接点型の販売形態へと進化させていきます。具体的には、当社から提供可能なサービスメニューの拡大や“One Konica Minolta”としてグループの総合力を生かした付加価値提案型営業により、既存のお客様との取引期間全体を通した収益を増大させるとともに、このような非価格競争力によって新規のお客様を開拓してまいります。
加えて、2014年度よりプロダクトライフサイクルマネジメントの経営手法を導入して、開発から生産、製品の販売終了まで製品の生涯稼働期間の中で収益極大化を目指す取り組みを進めています。
2.顧客密着型企業への変革
当社は、社会全体を俯瞰し、社会的課題、お客様の潜在的課題の解決手段としてのサービスを提供するため、お客様の現場に徹底的に密着して、お客様にとって価値のある業務革新を実現していきます。
そうした考えのもと、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代を先取りして、デジタルカンパニーとして新たな事業構想の実現を目指しています。当社が得意とするセンサー技術や光学技術を生かして、現実の事象を入力してデジタルデータ化し、人工知能の深層学習などで解析して、そこからお客様にとって有益な情報を抽出し出力することで、お客様の解決につなげていきます。
具体的には、各事業分野において次世代の成長をけん引する事業の創出に注力します。
<情報機器事業>
オフィスサービス分野では、現在の複合機を、オフィス内の膨大な情報を解析する情報処理基盤として進化させ、お客様の経営・意思決定や新しい働き方を支援します。商業・産業印刷分野では、印刷企業の多様な印刷機器をつないで業務フロー全体を最適化するサービスを提供します。また、企業のマーケティング部門向けにはデジタル媒体と従来の宣伝・販促媒体を融合して費用対効果を最大化するマーケティング・サービスを提供します。
<ヘルスケア事業>
高付加価値X線画像診断へ領域を拡大するとともに、プライマリーケア(かかりつけ医)・介護・在宅医療をつなぐ地域包括医療を支援するサービスを提供します。また、創薬・治験支援領域への参入にも取り組みます。
<産業用材料・機器事業>
産業用光学システム分野では、状態監視ソリューションによる高度なセキュリティやマーケティング、移動体自動運転支援などの付加価値を提供します。
これらを進めていく上では、当社の強みである光学や画像処理等のコア技術、全世界に広がる顧客基盤と直販・サービス網を差別化要素として、デジタルカンパニーとしての能力を強化していきます。また、人工知能やIoTを活用して機器の異常を予防する予知保全の取り組みを事業横断的に進め、顧客満足向上と収益性改善の両立を目指します。併せて、世界5極のビジネスイノベーションセンターを活動拠点に、世界の先端企業との共同開発、戦略的提携を推進することで、当社ならではの付加価値提供を実現する企業間連携を形成してまいります。
3.強靭な企業体質の確立
当社は、生産効率向上に向けて、当社独自のデジタルマニュファクチャリングを軸に進めていきます。既に2015年5月から本格稼働を開始したマレーシアの生産拠点では、自社内の組立工程の自動化や業務フローの改革に留まらず、サプライヤー企業とも情報を共有し、生産リードタイムの大幅な短縮や在庫の最適化を図ります。また、全ての機能・業務においてプロセス改革、標準化推進、敏捷性向上に取り組み、一人当たりの業務生産性を向上することにより、固定費を増やさずに利益及びキャッシュの創出を増大する企業体質を確立します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経済、市場、競合環境
当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、画像入出力コンポーネントやディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。
世界経済においては、地政学的要因や欧州における財政問題、中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組みや主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、自社販売チャネルを強化するための買収・再編及びIT企業との提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
産業用材料・機器事業が部材を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性があります。そのような場合、将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)為替レートの変動
当連結会計年度の海外売上高比率(80.6%)が示すように、当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。
この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの変動が直接損益に影響を与える状況となっております。米ドル、ユーロともに円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。
(3)各国、各地域の規制
当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。
当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)環境規制
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)他社との提携、協力関係について
当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁等、他社との協業を進めております。
お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)調達・生産等
当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを外部のサプライヤーから調達しております。これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えておりますが、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、すべてをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少をまねく恐れもあります。
当社グループの主力事業である情報機器事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力を強化するために中国での生産活動の拡充に注力してきました。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。とりわけ主力事業の生産活動において大きな部分を中国に依存する当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)情報セキュリティ
当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。
また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権等
当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。
また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。
(9)製造物・品質責任
当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品並びにサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。
(10)自然災害・戦争・テロ・事故等
当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化することによるお客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。また、持続可能な地球・社会の実現をめざし「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。その結果、日本経済新聞社が実施した第19回「環境経営度調査」において、2年連続で製造業総合ランキング1位を獲得しました。また、次世代に向けた低炭素社会の構築を目的とする「低炭素杯2016」においても、「ベスト長期目標賞」を受賞しました。2050年を見据えた長期環境ビジョンのもと、自社内に留まらずバリューチェーンを通じた環境負荷低減にも積極的に取り組む環境経営が高く評価されました。製品ライフサイクルにおけるCO2排出量の2015年度実績は約108万トンで、2050年に2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、47%削減まで到達しています。
当社グループの研究活動は、中期経営計画「TRANSFORM 2016」に基づいた中期経営戦略基本方針(持続的な利益成長の実現、顧客密着型企業への変革、強靭な企業体質の確立)に対応して、「持続的成長に向けたインキュベーションの加速」、「顧客価値につながる差別化技術の仕込み」、「一流を目指す技術人財、開発組織力の強化」の3つの技術戦略の基本方針を定め推進してまいります。
既存事業の商業・産業用印刷分野では、出力枚数が多く、特に多彩な用紙への対応力と高い生産性が求められるヘビープロダクションプリント領域へ、コニカミノルタ独自のサービス展開と合わせて業容を広げてまいります。さらに、2014年1月に資本・業務提携した、デジタル方式の高付加価値印刷機器メーカーでは業界トップのMGI Technology社に追加出資を行い、ラベル・パッケージ業界のデジタル化を加速させる製品ラインアップの拡充を図り、産業印刷分野の強化を推進してまいります。ヘルスケア領域では、米国のヘルスケアイメージングソリューションプロバイダー Viztek社を買収し、今後、医療ITソリューションサービスを強化してまいります。また、新規に、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの提供を日本市場にて開始しました。コア技術であるナノテクノロジーを駆使した体外診断分野での研究開発を加速し、当該サービスを皮切りに、先進的技術を通じてライフサイエンスにおける社会的課題の解決に貢献してまいります。
新たなビジネスモデルとして、コア技術で差別化されたハードウェア(Input/Output)とソフトウェア(Process)を組み合わせたコニカミノルタのサイバーフィジカルシステムとして、ソリューションサービスをお客様に提供してまいります。その一例として、ICTで介護ワークフローを変革する「ケアサポートソリューション」を開発しています。これは、介護施設において入居者の行動を非接触センサーで検知し、介護スタッフにスマートフォンで知らせるとともに、スマートフォンにアプリケーションを追加することで、ケア記録の入力や情報共有といった機能を付加するサービスであり、高齢化社会による要介護者の増加と、生産年齢人口減少による介護スタッフ不足という大きな社会的課題の解決に貢献してまいります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、前連結会計年度比19億円(2.7%)増加の762億円となりました。また、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりであります。なお、研究開発費については、以下の事業部門に含まれない金額及び基礎研究費用131億円(前連結会計年度比0.5%増)が含まれております。
(1)情報機器事業
情報機器事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。
当連結会計年度の主な成果として商業・産業用印刷分野では、産業印刷をターゲットとしたカラーラベル印刷システム「bizhub PRESS(ビズハブ プレス)C71cf」を開発・商品化いたしました。電子写真ならではの高画質と扱い易さを保ち、さらにリーズナブルな導入コストの商品を実現しました。今後も大きな成長が期待できるラベル印刷のデジタル化の流れを早期につかみ、着実に事業の拡大を狙ってまいります。また、企業、官公庁、学校などの集中印刷部門や商業印刷をターゲットとしたモノクロプロダクションプリンター「bizhub PRO(ビズハブ プロ)1100」を開発・商品化いたしました。定評ある信頼性・生産性・堅牢性を継承するとともに、印刷枚数が毎分100枚へと、さらに高速になりました。企業内集中印刷用途に求められる機能を充実させ、より使いやすく進化しています。さらに、新規市場としての新興国での利用を意識したシンプルな排紙トレイを用意するなど、多様な用途に対応することで市場拡大を図ってまいります。これらの商品は、印刷業務における効率化と利便性、機動性を向上させ、印刷に携わるお客様の業容拡大に貢献いたします。
オフィスサービス分野では、モバイル端末、クラウドサービスとの連携をさらに強化したA3カラー複合機「bizhub C368/ C308」、「bizhub C287/C227」、「bizhub C258」及びA3モノクロ複合機「bizhub 287/227」を開発・商品化いたしました。小規模オフィスから大規模オフィスまで、新しいワークスタイルに柔軟に対応すべく、コニカミノルタのクラウドサービス「INFO-Palette(インフォ パレット)Cloud」を活用することで、オフィス外からモバイル端末でオフィスの複合機へ印刷指示やFAX閲覧・送信等も可能であり、ワークフローのさらなる効率化に貢献いたします。
環境性能においては、再生プラスチックの外装全体への採用、スリープ中の待機電力は業界トップクラスの0.5Wを実現、TEC値(注)を従来機から大幅に削減することで同時にCO2排出も大幅に削減する等、環境負荷低減に貢献し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果を発揮いたします。
また、当事業では、「エコビジョン2050」達成に向けて、省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発して参りました。省エネ技術では、トナーと定着部材の両面から低温定着技術を開発しプリント中に大幅な電力削減に加えて、機器のスリープ状態の省エネにも着目し低電力モードやスリープモードの低電力技術を開発し業界トップレベルの低電力化を実現しました。軽量化技術では、質量の大きい製品が主流である高速領域において、低中速製品の高速化・高耐久化技術を使用することにより、高速領域における業界トップレベルの軽量化を実現しました。また、石油由来資源削減技術では、プラスチック素材の外装に当社独自のケミカルプロセッシング技術による複合リサイクル素材「再生PC/PET」(PC:ポリカーボネート PET:ポリエチレンテレフタレート)を開発し日常生活で使われる資源の有効利用の促進に貢献するのに加えて、内装にも高配合の再生プラスチック素材を開発し2015年度に発売したA3カラー複合機「bizhub C368/C308/C258シリーズ」で業界トップレベルの再生プラスチック採用率を実現しました。
また、デザイン面においてはA3モノクロ複合機「bizhub287/227」とスマートフォンアプリ「bizhub Remote Access」が日本のグッドデザイン賞(2015年)を同時受賞しました。bizhubシリーズの統一コンセプトである「INFO-Palette」の複合機として4年連続の受賞となります。
オフィスで働く様々なユーザーに対応して、普段使い慣れているモバイル端末からの遠隔操作や給紙カセットの上下アクセス、画面表示を含めたカラーユニバーサルデザインやフリック操作などの配慮、全体にハード面とソフト面においてバランスよくデザインされている点が高く評価されております。
産業用インクジェットにおいては、微小インクの高精度着弾を実現するMEMS精密加工技術を採用したインクジェットプリントヘッドを開発しました。2016年度中には量産工程へ移行し、様々な出力アプリケーションへの対応を行ってまいります。
またインクジェット出力システムとして、従来の捺染印刷(スクリーン印刷)機の生産速度に匹敵するシングルパス方式採用のインクジェットテキスタイルプリンター「NASSENGER(ナッセンジャー)SP-1」を開発し、市場展開を始めました。さらにB2サイズの両面印刷を可能にした商業印刷用インクジェットプリンター「KM-1」を開発。2016年度より市場展開を始めます。
プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続けるアプリケーションへの対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を推進しております。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比10億円(2.3%)増加の442億円となりました。
(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。
(2)ヘルスケア事業
ヘルスケア事業においては、主にデジタルX線画像読取装置(CR:コンピューテッドラジオグラフィー)「REGIUS(レジウス)」シリーズ及びフラットパネルディテクタ(FPD)搭載のデジタルX線撮影装置(DR:デジタルラジオグラフィー)のラインナップ拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波画像診断装置シリーズの拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。
当連結会計年度においては、2011年の発売以来多くの医療現場で高い評価をいただいておりますワイヤレスタイプカセッテ型DR「AeroDR(エアロディーアール)」シリーズの特長を継承しながら、筐体及び構成部品の設計を見直すことで2.5kgという更なる軽量化(弊社従来同等品に対し約10%の軽量化)、耐荷重、耐落下性能、防水設計といった堅牢性の向上を実現した「AeroDR PREMIUM 1417S」(14×17インチサイズ)を発売いたしました。「AeroDR PREMIUM 1417S」はスタンダードモデルでありながら、撮影間隔短縮による患者様待ち時間軽減、ストレスフリーな急速充電等を実現し、ご好評をいただいております。また、X線の散乱線の影響を取り除き画像コントラストを改善する「インテリジェントグリッド」、肋骨及び鎖骨の画像信号を減弱させて肺野部の画像視認性を高める「Bone Suppression(ボーンサプレッション)処理」、そして複数枚のAeroDRパネルを組み合わせて一回のX線照射で広範囲の撮影を可能とする「OneShot(ワンショット)長尺システム」を発売いたしました。いずれも長年培ってきた画像処理技術を進化させることにより実現した機能であり、読影精度の向上、診断時間の短縮、ワークフローの改善といった価値をお客様にご提供いたしました。
サービス・ソリューション分野におきましては、「連携BOXサービス」、「遠隔読影支援サービス」等の機能を有するICTサービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」の機能向上開発を継続的に行いました。また製薬会社や医療機関にてイメージングを専門とした臨床試験支援にご利用いただける「臨床試験支援サービス」を実現する「Trial BOX」の販売を開始するなど、ラインナップの拡充を図りました。
超音波画像診断装置では、ハンドキャリー型で最高レベルの分解能を実現した超音波画像診断装置「SONIMAGE(ソニマージュ) HS1」の整形外科向け専用機「SNiBLE(スナイブル)」を発売いたしました。「SNiBLE」では、超音波ビームの送信方向を調整することで穿刺針の視認性および、最浅部描写力の向上を図り、整形外科運動器エコーに必要な機能を強化いたしました。「SONIMAGE HS1」の可搬性高いコンパクトなボディや様々な検査スタイルに対応できるデザインは、多くのご評価をいただき、グッドデザイン賞(2014年度)受賞に続き、2015年度機械工業デザイン賞「日本デザイン振興会賞」を受賞いたしました。
今後も、医療用画像分野において最先端の技術開発に挑戦し、質の高い製品・サービス・ソリューションを通じてお客様へ新たな価値をご提供できるよう取り組んでまいります。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比5億円(10.2%)減少の48億円となりました。
(3)産業用材料・機器事業
機能材料分野においては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用TACフィルムについての薄膜化や視野角拡大といった高機能化・多機能化に関する研究開発や、材料技術を生かした機能性フィルム(遮熱フィルム等付加価値製品)及び有機素材の研究開発を実施しております。
また、偏光サングラス着用下でもディスプレイ本来の色を再現するためのディスプレイ用偏光サングラス対応フィルム「QWPフィルム」を新たに開発いたしました。
当連結会計年度におきまして有機EL用青色りん光材料で一般社団法人近畿化学協会が主催した第67回「化学技術賞」を受賞しております。
産業光学システム分野における計測機器においては、これまでディスプレイ・光源色測定におけるトップメーカーとして、高品質な製品を提供してまいりました。今年度は、米ディスプレイ検査機器メーカーのRadiant社の買収により、総合的な光源色測定分野においてのトップポジションを更に確固たるものとし、ICT・自動車分野製造検査領域向けのソリューション開発力を強化しています。また、新たに印刷業界向けに自由フォーマット機能を有した自動スキャン分光測色計「FD-9」を開発・発売しました。
光学機器につきましては、長年培ってきたコンポーネント技術やユニット技術を活用した、車載関連・光通信関連などの新規事業の創出に向けた取組みを本格化させております。
当事業に係る研究開発費は、前連結会計年度比14億円(11.8%)増加の140億円となりました。
(財政状態の分析)
|
|
当連結会計年度末 |
前連結会計年度末 |
増減 |
|
資産合計 (億円) |
9,763 |
10,018 |
△254 |
|
負債合計 (億円) |
4,613 |
4,647 |
△33 |
|
資本合計 (億円) |
5,149 |
5,370 |
△220 |
|
親会社の所有者に帰属する持分合計(億円) |
5,142 |
5,359 |
△216 |
|
1株当たり親会社所有者帰属持分 (円) |
1,037.96 |
1,067.97 |
△30.01 |
|
親会社所有者帰属持分比率 (%) |
52.7 |
53.5 |
△0.8 |
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比254億円(2.5%)減少し9,763億円となりました。流動資産は744億円(13.0%)減少し4,962億円(資産合計比50.8%)となり、非流動資産合計は489億円(11.4%)増加し4,801億円(資産合計比49.2%)となりました。
流動資産については、現金及び現金同等物が775億円減少し999億円となり、営業債権及びその他の債権は34億円減少し2,494億円となりました。一方、未収法人所得税が26億円増加し32億円となり、棚卸資産は5億円増加し1,213億円となりました。
非流動資産については、有形固定資産は、主として情報機器事業における設備投資等により増加したことにより56億円増加し1,873億円となりました。のれん及び無形資産は、買収等により522億円増加し1,783億円となりました。
負債合計については、前連結会計年度末比33億円(0.7%)減少の4,613億円となりました。営業債務及びその他の債務は146億円減少し1,629億円、未払法人所得税は42億円減少し33億円となりました。一方、社債及び借入金(流動負債と非流動負債の合計額)は社債の償還200億円を行いましたが、合計では26億円増加し1,682億円となり、退職給付に係る負債は58億円増加し679億円となりました。
資本については、前連結会計年度末比220億円減少の5,149億円となりました。利益剰余金は13億円増加し2,585億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加319億円、剰余金の配当による減少124億円、自己株式の消却による減少110億円、確定給付制度の数理計算上の差異の認識による減少69億円等があったことによるものです。
また、自己株式は取締役会決議に基づく取得による増加99億円及び消却による減少110億円等により、13億円減少し94億円となりました。
その他の資本の構成要素は在外営業活動体の換算差額の減少197億円、公正価値で測定する金融資産の純変動の減少38億円等により、243億円減少の232億円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分合計は前連結会計年度末比216億円減少し5,142億円となり、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,037.96円、親会社所有者帰属持分比率は0.8ポイント減少の52.7%となりました。
(経営成績の分析)
|
(単位:億円) |
|
|
当連結会計年度 |
前連結会計年度 |
増減 |
増減率(%) |
|
売上高 |
10,317 |
10,027 |
289 |
2.9 |
|
売上総利益 |
4,955 |
4,896 |
58 |
1.2 |
|
営業利益 |
600 |
657 |
△56 |
△8.7 |
|
税引前利益 |
580 |
654 |
△74 |
△11.4 |
|
親会社の所有者に帰属する当期利益 |
319 |
409 |
△89 |
△21.9 |
(1)売上高
当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均レートは、それぞれ120.14円、132.58円となり、前連結会計年度に比べ米ドルは10.21円(9.3%)の円安、ユーロは6.19円(4.5%)の円高となりました。
当連結会計年度の売上高は、このような対ドル円安影響による為替効果に加えて主力製品の販売増や企業買収効果により、1兆317億円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。情報機器事業は、商業印刷向けに上位機種のカラー機の販売が伸長したことに加え、企業買収や対ドルの円安効果も寄与して増収となりました。
(2)売上総利益
主力製品の販売増があった一方、対ユーロ円高影響による利益率低下により、当連結会計年度の売上総利益は、4,955億円(前連結会計年度比1.2%増)となりました。売上総利益率は、前連結会計年度比0.8ポイント低下の48.0%(但し、為替影響を除くと0.4ポイントの上昇)となりました。
(3)営業利益
その他の収益は、バランスシートのスリム化促進による固定資産の売却により、前連結会計年度比9億円増の77億円となりました。販売費及び一般管理費は、市場環境厳しい中での業容転換の費用増等により、前連結会計年度比187億円増の4,298億円となりました。その他の費用は、前連結会計年度に計上した欧州の販売拠点におけるのれん等の減損損失及び子会社株式売却損の合計37億円、及び当連結会計年度に計上した特別転進支援制度の実施に伴う退職者への退職加算金等29億円の影響により、前連結会計年度比62億円減の133億円となりました。以上により当連結会計年度の営業利益は、600億円(前連結会計年度比8.7%減)となり、営業利益率も前連結会計年度比0.7ポイント低下の5.8%となりました。
(4)税引前利益
金融収益は、前連結会計年度比3億円減の21億円、金融費用は、前連結会計年度比13億円増の41億円となり、金融収支は17億円の悪化となりました。以上により税引前利益は、580億円(前連結会計年度比11.4%減)となりました。
(5)親会社の所有者に帰属する当期利益
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、319億円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。なお、税制改正に伴う繰延税金資産の取崩しによる税金費用の増加が38億円ありました。
また、基本的1株当たり当期利益は64円39銭となり、前連結会計年度に比べて20.5%減少しました。
当連結会計年度のROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は、親会社の所有者に帰属する当期利益の減少により、前連結会計年度の7.9%から悪化し、6.1%となりました。
主な事業の種類別セグメントの業績につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであり、キャッシュ・フローの状況につきましても、「同(2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。