第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、これまでオフィス、プロダクションプリント、ヘルスケア、産業用材料・機器分野でグローバルに製品を提供し、業種・業態別に業務課題を解決するITサービスを製品の提供価値に付加することで事業の拡大と高付加価値化を図ってきました。

 

一方で今、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボティックス、などの技術進展により、あらゆる産業でデジタル変革のスピードが加速しています。また、持続可能な世界の実現に向けて、社会的課題を解決する企業としての役割、重要性が高まっています。

 

このような環境の中、当社グループが今後更なる成長を実現するためには、当社の強みである既存事業領域における競争優位性及び収益性をさらに強固にするとともに、成長・新規事業で取組んでいる新たな分野での事業規模の拡大に挑戦していく必要があると考えています。

 

既存事業においては、使い勝手や魅力品質を追求した競争力のある大型新製品の市場投入、自動化の促進による製造コスト削減、故障予知・遠隔サポート拡大によるサービス費用低減、情報・デジタル技術活用による管理・間接業務の生産性向上など品質を重視しながら効率化に取り組み、更なる収益性の向上を目指します。

 

また、成長・新規事業においては、当社グループが強みとする画像にこだわり、独自のデジタル技術で「見えないものを見える化」することに軸足を置いています。また、それらによって得られるデータや画像を業務の現場で集積し解析することでよりセキュリティの高い新しい価値を生み出していきます。

具体的には、「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」による働き方改革、産業印刷による印刷プロセスの革新とジャンルトップ戦略の強化、製造現場での技術・技能の継承と安全の確保、科学的介護の追求、個別化医療の促進などに本格的に取り組んでおります。当期においては、当社が提供する顧客価値が想定通りに評価され、競争優位性を確立できると確信を得ました。2019年度は成長・新規事業の規模拡大のための経営資源の投入を優先します。そのため、中期経営計画「SHINKA 2019」で営業利益750億円以上としていた2019年度の経営目標は営業利益660億円に見直しますが、成長・新規事業を将来の収益の柱とするための道筋を確かなものといたします。

そして、これらの事業を通じて業務の大幅な効率化に留まらず、働く人の創造性発揮、高齢化社会の生活の質の向上に寄与し、ビジネス社会・人間社会の進化への貢献を目指します。

 

持続可能な世界の実現には、企業のたゆまないイノベーション創出とそれを社会的課題解決の価値に昇華させる人財力の強化が欠かせません。当社グループでは、グローバルな視点で多様性ある人財を発掘・育成し、若手世代への人的投資を怠らず、行動指針である「6Values」の浸透を図り、グループ一丸となって経営理念である「新しい価値の創造」に引き続き挑戦してまいります。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済、市場、競合環境

 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品、産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中のお客様に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国市場の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。

 世界経済においては、欧州におけるポピュリズム勢力の台頭、米国による保護主義政策の流れ、特に米中貿易摩擦の影響、中東を中心とした地政学的要因や中国・新興国経済成長の停滞、広域経済圏の枠組や主要国での金融政策の見直し等が引き続きリスク要因として懸念されます。各国市場の景気後退は顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、販売数量の減少に伴う新規設置減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 複合機やプリンター、デジタル印刷システム等の情報機器、ヘルスケア用機器の領域においては、ネットワーク化、多機能化等に対応した高付加価値製品への需要が拡大し、あわせてソリューションやサービスへのニーズも高まっています。特に情報機器業界においては、チャネル再編や業容拡大のための買収・提携が進んでおり、このようなメーカーや流通を巻き込んだ業界内の競争が想定以上に激化した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 産業用光学システム製品・部材やディスプレイ材料を提供する液晶テレビ・DVD・デジタルカメラ等のデジタル家電市場では、各メーカー間の熾烈な競争に伴い市場価格は低下傾向を続け、その影響は当社を含む部材・機器メーカーへも及んでおります。同時に、短命化した製品のライフサイクルの中で各社とも大量に生産した製品を短期間に販売しようとする傾向が強く、市場競争の結果、生産調整に伴う急激な需給変化が当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、パソコン、タブレット、スマートフォン等の情報端末市場において今後の成熟化の進展次第では、製品のライフサイクルの変化が起こる可能性があり、それに伴う急激な需給変化は販売数量の減少を招く恐れもあります。

 当社グループの主要事業分野や今後当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的な技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性もあります。また、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に充分に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、これらの当社グループの成長を支える有能な人財の確保が一層重要になってきております。人財に対する企業間の獲得競争が激化し、これらの有能な人財の確保及び雇用の維持ができない場合、当社グループの成長戦略の遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。

 この影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。また米ドルにつきましては、米ドル建て調達と米ドル建ての販売地域での売上を相殺することにより影響を軽減しております。しかしながらユーロにつきましては、為替レートの1円の変動が営業利益に与える影響は約6億円であり、直接損益に影響を与える状況となっております。他の主要通貨においても円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。

 

(3)各国、各地域の規制

 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。2018年度に入り顕在化した米国通商法301条に基づく制裁措置による米国と中国の貿易摩擦の動きをはじめ、それらの動向には常に充分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 グループ会社間の国際的な取引価格につきましては、当社グループ税務方針に基づき、適用される日本及び相手国の移転価格税制を遵守しておりますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や、協議が不調となった場合に二重課税や追徴課税を受ける可能性があります。

 当社グループのヘルスケア事業、バイオヘルスケア分野では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、当事業がその環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)環境規制等

 当社グループは、大気汚染、水質汚濁、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。加えて、環境関連の法規制が将来さらに厳格化した場合には、遵法のための追加的義務及び費用が発生する恐れがあり、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性があります。特に気候変動による事業影響については、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に当社は賛同しております。

 

(5)他社との提携、協力関係、企業買収等について

 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、技術提携や業務提携、合弁、企業買収等、他社との協業を進めております。

 お客様のニーズに対応した新しい製品やサービスをタイムリーに提供するためには、他社との提携や買収によって相互に技術やノウハウを補完し合うことは極めて有用な手段ではありますが、経営上あるいは財務等の要因によってこのような協業関係を継続できない場合や、期待した成果が得られない場合には、当社グループの成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、企業買収に伴うのれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)調達・生産等

 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。調達品目によっては仕入先の代替が難しいものがありますが、これらの資材につきましては適切なバックアップ体制を整えております。しかしながら、それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰が業績に影響を及ぼす可能性があります。このような原材料価格の上昇分につきましてはコストダウンと製品価格への転嫁に努めておりますが、全てをカバーできる保証はなく、また販売価格の値上げは販売数量の減少を招く恐れもあります。

 当社グループの主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業及び産業用材料・機器事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動の拡充に注力しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報セキュリティ

 当社グループは、様々な事業活動を通じてお客様やお取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等を防ぐために適切な技術的対策や社内管理体制の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、不測の事情により外部へ流出する可能性があります。万が一、情報漏洩が発生した場合には、被害を受けた関係者に対する賠償責任が発生する恐れがあり、当社グループの信用やイメージにも悪影響が及ぶ可能性があります。

 また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏洩、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権等

 当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、製品開発の中で多くの差別化技術あるいはノウハウを蓄積し、それら知的財産権の保護に努めております。しかしながら、一部の地域では法的な制約のために知的財産として充分に保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。

 また、当社グループでは、他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが事業上重要な技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。

 さらには、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更されるという可能性があります。

 

(9)製造物・品質責任

 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、お客様に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題に関する報道により、当社グループの事業やイメージに悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(10)自然災害・戦争・テロ・事故等

 当社グループは研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水等の災害や新型インフルエンザのような大規模な疫病の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷が遅れる可能性があります。また、電気・ガス・水道等ライフラインの寸断又は使用制限、サプライヤー被災による部品や原材料の供給不足、物流の停滞、及び市場の混乱が発生する可能性があります。また当社グループでは、自然災害が発生した場合に備えて「コンティンジェンシープラン」を策定し、社員安否確認システムの構築、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害による被害を完全に排除できるものではなく、そのような状況においては、売上が当初計画から減少し、さらには損害を被った設備の修復のため多額の費用が発生する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

重要な会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要な会計方針及び「同 注記4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」)における経済情勢を振り返りますと、欧州では中国向けなど製造業の輸出が減少し、英国のEU離脱をめぐる先行き不透明感の継続なども影響して経済成長が鈍化しました。米国では中国への輸出が年度後半に減少したものの、旺盛な個人消費を背景に内需は成長を持続し、設備投資も堅調に推移しました。中国は米国との貿易摩擦の影響を受けた製造業の設備投資が落ち込み、経済成長が減速しました。我が国経済は不透明感が継続する世界経済の影響も受け、輸出や設備投資が伸び悩みましたが、全体としては緩やかな成長を持続しました。

 

こうした経営環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、1兆591億円(前期比2.7%増)となりました。事業セグメント別では、オフィス事業はカラー複合機の販売台数が高速機を中心に伸びたことに加えて、ITサービスが売上を拡大したことも寄与し、増収となりました。プロフェッショナルプリント事業はデジタル印刷システムの販売がカラー機とモノクロ機共に高速機を中心に伸長し、成長事業と位置付ける産業印刷ユニットの販売も拡大したことにより増収となりました。ヘルスケア事業は一部仕入商品の販売を終了した影響もあり減収となりました。産業用材料・機器事業は機能材料ユニットやIJコンポーネントユニットの売上が伸長し、需要が落ち着いた計測機器ユニットの減収を補って、前期並みとなりました。

営業利益は624億円(前期比16.0%増)となりました。中期経営計画において注力してきた基盤事業の収益力強化の施策が奏功して、オフィス事業やプロフェッショナルプリント事業が増益となったことにより、前期比で増益となりました。

税引前利益は601億円(前期比22.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は417億円(同29.3%増)となりました。

 

当社は高収益企業になることを目指し、中期経営計画「SHINKA 2019」において次の3領域での事業育成に積極的に取り組んでおります。

 

 1.モノとモノがつながるIoT時代にふさわしい高付加価値サービス

 2.本格的な商業・産業印刷のデジタル化推進

 3.プレシジョン・メディシン(個別化医療)分野への本格参入

 

本中期経営計画の中間年度である当期におきましては、特に次の2項目に注力することにより、お客様の業務上の課題や社会的課題の解決に積極的に取り組んでまいりました。

 

1.基盤事業における抜本的な収益力強化

2.新規分野における着実な事業成長

 

「基盤事業における抜本的な収益力強化」につきましては、オフィス事業やプロフェッショナルプリント事業では、当社独自の付加価値型販売を推進し、高速機の販売増につなげました。また、お客様の使い勝手や魅力品質を追求し、2019年度に発売を予定している新製品の開発・生産準備が順調に進みました。産業用材料・機器事業では、機能材料ユニットでの新樹脂フィルムの開発・量産準備が進み、本格販売の準備が整いました

「新規分野における着実な事業成長」につきましては、当社の提供するエッジIoTプラットフォームである「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の販売を欧米から開始しました。期待していた顧客価値(ニーズ)や価格設定が想定通りであったことを確認し、販売地域は9カ国に拡大しました。プレシジョン・メディシン(個別化医療)分野におきましては、国内事業会社を設立し事業を開始すると共に、米国にグローバル本社を設立し、買収した米国の2社を含めた一体運営によるシナジー戦略を推進しています。

これらの取り組みにより、「SHINKA 2019」の最終年度となる2019年度、更にはその先に向けての事業展開を確かなものとすることが出来ました。

 

セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

①オフィス事業

オフィスユニットでは、A3複合機の販売台数は、モノクロ機が減少したもののカラー機が大幅に伸長したことにより、全体では前期比で増加しました。カラー機は欧米や日本などの先進国においては前期に投入した高速機の販売が拡大し、中国やASEAN、インドなどの成長国においては低速機から高速機まで大幅に伸長するなど、当期の重点施策として取り組んできた地域戦略の成果が現れました

ITサービスユニットでは、米国、欧州共に買収による新規連結効果に加えて、エッジIoTプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の販売体制を構築する一環としての、マネージドITサービスの販売及び提供能力強化が成果を上げ、前期比での増収をけん引しました

これらの結果、当事業の売上高は5,878億円(前期比0.7%増)、営業利益は471億円(同5.1%増)となりました

 

②プロフェッショナルプリント事業

プロダクションプリントユニットでは、カラー機、モノクロ機共に販売台数が前期比で大幅に増加しました。カラー機は欧州が販売をけん引し、中国やインド、ASEANなどの成長国でも販売台数が大幅に伸長しました。モノクロ機は米国や成長国で販売が増加しました

産業印刷ユニットでは、インクジェットデジタル印刷機の「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1」の販売台数は前期から大幅に増加、ラベル印刷機、MGI社製のデジタル加飾印刷機の販売でもターゲットとする市場でトップクラスのシェアを獲得しました。販売地域も従来の欧米に加え中国やASEAN、インドなど成長国に拡大、専門性を持った人材を増やし販売体制を強化しました

マーケティングサービスユニットでは、大口顧客の需要回復による増収に加え、高付加価値サービスへのシフトを加速したことにより、収益性も改善しました

これらの結果、当事業の売上高は2,277億円(前期比6.3%増)、営業利益は138億円(同49.2%増)となりました

 

③ヘルスケア事業

ヘルスケアユニットでは、DR(デジタルラジオグラフィー)の販売数量は日本で伸長したものの米国の病院向けが落ち着いた影響で前期を下回りました。Ⅹ線診断の高度化を目指すデジタルⅩ線動画撮影システムを11月に販売開始し、導入した医療機関から高い評価を得ています。超音波診断装置は整形外科分野でのジャンルトップ維持と前期に譲受した産婦人科対象の事業が貢献し、日米を中心に販売数量を堅調に伸ばしました。医療ITユニットでは、PACS(医用画像保管・管理システム)の販売数量は減少したものの、医療ITサービスプラットフォーム「infomity(インフォミティ)」を中心としたサービス事業の売上高が伸長しました

当事業全体では、収益性の低い仕入商品の販売を終了したこともあり前期比減収、また前期に計上した資産流動化による収益などの一過性要因の影響に加えて、米国でのDRの販売減もあり、減益となりました

これらの結果、当事業の売上高は、909億円(前期比5.8%減)、営業利益は23億円(同57.0%減)となりました

 

④産業用材料・機器事業

材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは伸長市場を中心に位相差フィルムなどの高付加価値製品の販売が引き続き堅調に推移し、前期比で大幅な増収となりました。今後の戦略を担う新樹脂製品の開発も順調に進捗し、市場での認知も進みました。光学コンポーネントユニットはプロジェクター用光学部材とカメラ用交換レンズの販売が堅調でしたが、その他の光学部品の販売減少により前期比減収でした。IJコンポーネントユニットはアジアでの既存顧客からの受注が当期を通じて堅調に推移し増収となりました

産業用光学システム分野では、計測機器ユニットでの需要の波を捉えたビジネスチャンス拡大傾向は継続しているものの、前期の増収をけん引した顧客のディスプレイ関連投資の反動もあり、減収となりました

これらの結果、当事業の売上高は、1,167億円(前期比1.3%減)、営業利益は産業用光学システム分野の減収の影響も受け209億円(同10.7%減)となりました

 

(3)財政状態の状況

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産合計             (億円)

12,039

12,189

150

負債合計             (億円)

6,683

6,530

△153

資本合計             (億円)

5,355

5,659

303

親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)

5,245

5,556

311

1株当たり親会社所有者帰属持分    (円)

1,060.72

1,123.39

62.67

親会社所有者帰属持分比率     (%)

43.6

45.6

2.0

 

 当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比150億円(1.3%)増加し1兆2,189億円となりました。これは主に、有形固定資産の増加141億円、のれん及び無形資産の増加134億円、営業債権及びその他の債権の増加121億円、現金及び現金同等物の減少250億円によるものであります。

 負債合計については、前期末比153億円(2.3%)減少し6,530億円となりました。これは主に、社債及び借入金の減少199億円、退職給付に係る負債の減少131億円、引当金の増加150億円によるものであります。

 資本合計については、前期末比303億円(5.7%)増加し5,659億円となりました。

 親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比311億円(5.9%)増加し5,556億円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上417億円、剰余金の配当による減少148億円によるものであります。

 これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,123.39円となり、親会社所有者帰属持分比率は2.0ポイント増加の45.6%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

 当期の連結キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フロー571億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー414億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは156億円のプラスとなりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは402億円の支出となりました。

 そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比250億円減少の1,248億円となりました。

 

 当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税引前利益601億円、減価償却費及び償却費590億円、営業債務及びその他の債務の増加による増加34億円等によるキャッシュ・フローの増加と、有形固定資産及び無形資産除売却損益173億円の調整、営業債権及びその他の債権の増加による減少141億円、棚卸資産の増加による減少59億円、退職給付に係る負債の減少103億円、法人所得税の支払い103億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは571億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出350億円、無形資産の取得による支出162億円、子会社株式の取得による支出99億円、有形固定資産及び無形資産の売却による収入215億円等があり、投資活動によるキャッシュ・フローは414億円の支出となりました。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは156億円のプラス(前期は683億円のマイナス)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 社債の償還及び長期借入金の返済270億円、配当金の支払い148億円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは402億円の支出(前期は1,266億円の収入)となりました。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

  至 2019年3月31日)

前期比

 

百万円

オフィス事業

325,157

101.6

プロフェッショナルプリント事業

ヘルスケア事業

20,305

83.3

産業用材料・機器事業

108,410

96.5

 報告セグメント計

453,874

99.4

その他

8,042

100.0

合計

461,916

99.4

(注1)金額は、売価換算値で表示しております。

(注2)上記金額には、消費税等は含んでおりません。

(注3)オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。

 

②受注実績

 当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。

 

③販売実績

 販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

 

①資金需要

当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。

 

②資金の源泉

当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。

 

③流動性

当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き重要な資金源になると見込んでおります。また、複数の金融機関との間で2023年9月末を期限とする1,000億円のコミットメントライン契約を締結し、効率的な資金の調達を行っている他、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠を有しています。なお、当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しています。

当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。

 

(7)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(のれんの償却)

 日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。

 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度において販売費及び一般管理費が22,256百万円減少しております。

(表示組替)

 日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSではその他の収益、その他の費用、金融収益及び金融費用に表示しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(固定資産の譲渡)

 当社は、2018年6月27日付で以下のとおり譲渡契約を締結し、2018年12月25日付で譲渡完了しました。

 なお、当該資産の譲渡後も譲渡先との賃貸借契約により継続使用するため、本譲渡に伴う当社グループ事業所の移転はありません。

 

(1)譲渡の理由

 経営資源の有効活用による資産の効率化と財務体質の強化を図るものであります。

 

(2)譲渡資産の概要

資産の内容

土地 93,014.25㎡

所在地

東京都八王子市石川町2970-1、

東京都八王子市石川町2970-9及び

東京都八王子市石川町2970-10

現況

東京サイト(八王子)底地

 

(3)譲渡先の名称

 三井住友ファイナンス&リース株式会社

 

(4)譲渡資産の引渡日

引渡日

譲渡資産の所在地

2018年6月28日

東京都八王子市石川町2970-9

2018年9月27日

東京都八王子市石川町2970-1

2018年12月25日

東京都八王子市石川町2970-10

 

5【研究開発活動】

当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び「Giving Shape to Ideas」というお客様への約束を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化し更に複合化・融合化するとともにICT技術と組み合わせることにより、お客様本位の新製品・新技術の開発を進めております。

当連結会計年度においては、中期経営計画「SHINKA 2019」に基づいた中期経営戦略基本方針に対応して、「継続的なイノベーション創出」、「技術競争力の実践的強化」の技術戦略の基本方針を定め推進してまいりました。

IoTビジネス領域では、中小企業の働き方改革を支援する、複合機に高性能サーバーとITサービスを一体化した新サービス「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」の開発をパートナー企業と実施し、欧州を皮切りにグローバルで順次発売を開始しました。2019年度には日本での販売を予定しております。商業・産業印刷分野では、発売以来高い評価を獲得している自動品質最適化ユニット「IQ-501」に加わる新機能として、業界初の自動リカバリー印刷機能を備えた「自動検品システム」を上市いたしました。これは、当社の欠陥検出技術により、インラインで不適合品を自動検出し排出するだけでなく、不適合品の自動リカバリー印刷まで簡単に実行でき、オペレーターのスキルレベルに依らず検品作業の負荷を低減し、ワークフローを改善いたします。バイオヘルスケア分野では、米国の遺伝子診断技術をもつAmbry社、創薬支援事業を展開するInvicro社の技術と、当社の保有するタンパク質高感度定量検出技術(HSTT)を融合し、がんやアルツハイマーといった疾患に対する個別化医療を国内において本格的に推進するため、新会社「コニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン株式会社」を設立いたしました。今後、製薬企業、学術研究機関、医療機関に向けて、日本で本格的なサービスの提供を始めます。

また、持続可能な地球・社会の実現をめざし、「環境」をメインテーマとして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発も進めております。長年培った多様な環境技術やノウハウを取引先や顧客に提供し、協働で社会全体のCO2排出量削減に努めるとともに、売上拡大やコストダウンといった事業貢献と両立する施策を、ワールドワイドで着実に推進しております。その結果、2050年に製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するという長期環境ビジョン「エコビジョン2050」に対して、2018年度実績は約104万トンで49.6%削減まで到達しております。

また、人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーシップイニシアチブ「RE100」に加盟いたしました。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は783億円となりました。そのうち、オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が409億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が46億円、産業用材料・機器事業に係る研究開発費が125億円、バイオヘルスケア分野を含むその他事業及び基礎研究費用が203億円であります。各事業部門別の研究の目的、主要課題及び研究成果は以下のとおりであります。

 

(1)オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業

オフィス事業及びプロフェッショナルプリント事業においては、主に複合機やデジタル印刷システムの情報機器から資材、各種ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、個々のお客様の働き方に合わせたクラウド利用サービス、ワークフローソリューションのご提案を合わせて行っております。

当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、限られたスペースにも設置可能なA4機の新ラインナップとして、A4モノクロ複合機「bizhub(ビズハブ)4052/3622/3602P」を発売しました。モバイルプリント・クラウドに対応し、より簡単にモバイル端末との連携が可能となりました。また、当社の出力環境最適化サービス(OPS:Optimized Print Services)をご利用いただくことにより、お客様の設置スペースやレイアウトを考慮した上で、A3サイズ対応の複合機bizhubシリーズと組み合わせた最適配置と印刷環境を提供し、これからの新しい働き方に貢献いたします。

プロダクションプリントユニットでは、クラス最高レベルの厚紙対応や長尺印刷などの新機能により用途を拡大し、生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)6136/6136P/6120」を開発・商品化いたしました。従来のライトプロダクションプリント領域でのユーザーに加えて、生産性と用紙対応力を強化して使用用途を広げ、より多様な印刷を志向するユーザーへの展開拡大を推進しております。さらに、デジタル箔押し機やAccurioPro(アキュリオプロ)シリーズのワークフローソフトウェアなどとともに、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。

産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの“三位一体”の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。

 

環境性能面では、「エコビジョン2050」達成に向けて、製品開発活動において省エネ技術、軽量化技術、石油由来資源削減技術、高耐久化技術等を開発しております。その取り組みにより、A3カラー複合機では、再生プラスチックの採用拡大や業界トップクラスのスリープ待機電力0.5Wを実現しTEC値(注)を従来機から大幅に削減しました。2018年7月上市のA4モノクロ複合機「bizhub 4052/3622/3602P」では、省電力性能を強化し、国際エナジースタープログラムVer.2.0のTEC値基準を大幅にクリアしたうえ、「bizhub 4052/3622」では従来機よりもさらに約22-26%の電力削減を実現しました。その結果、CO2排出量の大幅な削減等、環境負荷低減に成功し、お客様のTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)削減にも効果的な製品開発を推進しております。

デザイン面では、フラッグシップモデルであるA3カラー複合機「bizhub C759」を筆頭に「bizhub」シリーズ全体の統一デザインコンセプトである「INFO-Palette(インフォ パレット)」を共通に展開し、シリーズ全体での高い操作性を継承しております。新たに商品化したA4モノクロ機「bizhub 4052/3622/3602P」もbizhubシリーズとして一貫した外観デザインを継承しております。特に「bizhub 4052」では7インチ操作パネルを搭載し、オフィス内でA3機種と混在した利用環境においてもさらなる利便性と効率化の向上を可能にしております。

ユニバーサルデザインの観点においても、モバイル端末による複合機の遠隔操作や操作パネルのカラーユニバーサルデザインなどのソフト面と、給紙カセットの上下アクセス可能などのハード面の取り組みを従来から継続し、オフィスで働く様々なユーザーに配慮しております。また、モバイル端末から複合機にデータを入出力するアプリケーション「KONICA MINOLTA Mobile Print」はモバイルアプリケーションに求められる軽快で明快なUI(ユーザーインターフェース)を提供し、クラウドと連携したプリント、データスキャン操作を実現しております。

プロダクションプリンターのフラッグシップマシンである「AccurioPress C6136/6136P/6120」においては、シリーズ統一デザインコンセプトである「Grid & Solid(グリッドアンドソリッド)」を共通に展開し、商業・産業印刷機シリーズ全体での高いブランド性を継承しております。高品位で力強く、安心して使える製品をデザインすることに加え、商業・産業印刷領域でブランドを強固にし、よりマシンの顧客満足度を高めるよう努めております。いずれの製品も、高い操作性や合理的で無駄のない外観形状が高く評価されております。

アプリケーション面においても、UIを共通展開し、操作性の共通化を図っております。クラウド色管理システム「AccurioPro Cloud Eye」でのインターフェース上の印刷機色再現状態確認を、より簡便でより明確に、「AccurioPro Conductor」では、複数の印刷機を一元管理し、各オペレーションを自動化することで、作業効率の向上、分散印刷処理を可能とし、生産性、印刷稼働率の向上を図っております。

(注)TEC値とは「Typical Electricity Consumption」の略で、財団法人省エネルギーセンターの「国際エネルギースタープログラム」に適合するための基準となる値です。

 

(2)ヘルスケア事業

ヘルスケア事業においては、デジタルX線撮影装置を基盤とした付加価値サービス拡充や電子カルテ、情報システムと連携した医療機関のIT化を図るシステムソリューションビジネスの強化に加え、超音波診断装置のシリーズ拡充等により、大規模病院と地域の診療所等との医療連携、地域連携の実現やヘルスケア事業の中長期的拡大を図る研究開発を実施しております。

当連結会計年度においては、ヘルスケアユニットでは、一般X線撮影装置を用いて動画の撮影を可能とするデジタルX線動画撮影システムを開発いたしました。本システムはX線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」と可搬型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine(エアロディーアール ファイン)」により構成されます。CT(コンピューター断層撮影)やMRI(核磁気共鳴画像装置)が仰向けに寝た状態で撮影を行うのに対して、本システムは体を起こした立位で撮影できるので、日常生活に近い状態を観察することが可能です。さらに、さまざまな画像処理を用いて“動き”の定量化を行い、診断価値の向上に貢献いたします。従来の静止画においては、デジタルX線画像を個別最適化し、画像処理エンジン「REALISM(リアリズム)」の効果(強いノイズ抑制・高鮮鋭化・立体感の付与)を最大化する「REALISM tune」を開発し上市を行いました。従来は、医師が個別にコントラストを調整する必要がありましたが、本技術は被写体ごとにダイナミックレンジ圧縮強度を自動で調整、最適化し、撮影部位の違いや被写体厚の影響を吸収するため、医師の撮影後の調整作業負担を軽減します。付加価値アプリケーションとしては、単純X線画像から病気のおそれがある部分を検出するAI(人工知能)の開発にも着手いたしました。日本人の体に合わせた診断支援プログラムを開発し、医療機器としての申請とあわせて新興国での事業可能性も探ってまいります。

超音波診断装置では、ポータブルエコー装置である「SONIMAGE(ソニマージュ) MX1」「SNiBLE(スナイブル) yb」のベッドサイドで検査や処置を行うPoint of Care領域への本格展開を開始し、小型化・高度化・安全性・使いやすさを実現したデザインが評価され、2018年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。シーメンスヘルスケア株式会社から譲受した国内経腟超音波事業では、産科婦人科領域における多くのお客様からご支持いただいておりました「SONOVISTA(ソノビスタ) FX premium edition」の後継機となる「SONOVISTA GX30」を開発し、2019年4月より発売を開始いたします。本製品は、省スペース設計でありながら高度な画像性能を実現しており、胎児検査、不妊検査の利用にとどまらず、経腹用プローブ、乳腺用プローブにも対応しているため、全妊娠期間を通じた胎児検査や乳がん検査など幅広い検査に利用できます。

医療ITユニットでは、事業統合を行ったパナソニック メディカルソリューションズ株式会社の各種システムソリューション機器とこれまで培ってきた当社製品との統合を行い、ブランドを一新、「FINO.VITA(フィノヴィータ:ラテン語で上質な人生の意味)」として新たな分野にも挑戦しております。2019年4月のITEM(国際医用画像総合展)では、新ビューア「FINO.view」及び2020年4月から義務化される線量管理の効率化、医療安全に貢献する新製品、線量管理システム「FINO.XManage(フィノエクスマネージ)」を展示、販売を開始いたします。本システムは単なる被ばく線量管理にとどまらず、画像と線照射情報を紐づけて管理・分析し、見える化することを目指しました。撮影装置ごとの検査時間や撮影室ごとの稼働率の見える化も可能なため、装置・検査技師の最適な配置計画をサポートする等、放射線業務の総合的マネージメントを支援いたします。

また、クリニックソリューションとしてご好評をいただいている「Uniteaα(ユニティアアルファ)」については、オリンパス株式会社製内視鏡との親和性を高めるとともに、リモート保守・経営支援サービスを提供する「infomity(インフォミティ)」利用によりBone Suppression(胸部骨減弱)処理、Time Subtraction(胸部経時差分)処理が活用でき、見落とし防止や遠隔読影支援サービスも利用可能となり、とくに判断が困難な症例では「Uniteaα」が主軸となって豊富なアプリケーションとサービスにより診断支援に貢献いたします。

ヘルスケア事業は、課題提起型デジタルカンパニーを目指し、ヘルスケア分野の「診断価値向上」、「早期診断」の実現により、人々のQOL向上と医療費削減の両立に貢献してまいります。

 

(3)産業用材料・機器事業

材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする高付加価値商品の開発展開を開始し、2.5mの広幅生産への対応も進めております。更に、これら新樹脂を用い、偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備を進めております。

光学コンポーネントユニットにおいては、新たに車載用レンズユニットやドローン用レンズユニットを開発し、販売開始しました。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で新規事業の事業化推進を図ってまいります。

IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。

産業用光学システム分野における計測機器ユニットにおいては、トップメーカーとしてディスプレイ・光源色測定及び自動車メーカーなど幅広いアプリケーションで使用される物体色測定の分野で高品質な製品を提供しております。当連結会計年度においては、物体色測定用に従来機より測定性能を向上させた新世代の分光測色計「CM-26d/CM-25d」を発売いたしました。また、ドイツのInstrument Systems社からは画素数を倍増させたイメージング色彩輝度計「LumiTop4000」を発売、米国のRadiant社からはイメージング色彩輝度計用にディスプレイの明るさ、色の視野角特性の評価用新レンズを発売し、主たる測定分野において、さらなる製品拡充を図りました。