第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)中長期での成長に向けて

当社は、2030年、さらにその先を見据えた長期的視点に基づき、そこからバックキャスティングする形で「今何を成すべきか」を明確にしております。中長期には世界の人口増加、デジタル革命の進行、バイオテクノロジーの産業利用拡大、世界構造の多極化、気候変動・温暖化、といったトレンドが加速的に進行していくものと当社は考えております。このようなマクロ環境認識のもと、「組織や個人が、爆発的に増加するデータを活用して多様な価値を創造し、持続的に発展する自律分散型の社会」を当社が考えるこれからの世界観として定義しました。このような世界においては、組織や個人が求める豊かさが個別化・多様化し、それぞれの充足ニーズの加速的な高まりとともに、資源不足や気候変動による影響、社会保障費の増大、雇用や創造への機会格差といった社会課題の顕在化も進んでいきます。

当社は創業以来、イメージング技術をコアに世界中の顧客の「みたい」というニーズに応えてきました。当社の原点でもあり、DNAでもあるイメージング技術を用いて、顧客自身も気づかない課題を可視化することで顧客の様々な「みたい」欲求に応えて最適な解決策を見いだし、顧客のワークフローやバリューチェーンを俯瞰し継続的に顧客価値を提供していく「as a Service」モデルにより、様々な個人・社会の「みたい」に応え続けることで、「人間中心の生きがい追求(個別化・多様化への対応)」と「持続的な社会の実現(顕在化した社会課題の解決)」を高次に両立させるところに当社の社会的意義がある、という結論にたどり着きました。こうした考えを集約したのが「Imaging to the People」という新たな経営ビジョンステートメントです。

 

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また、当社は長期の経営ビジョン「Imaging to the People」の策定に伴い、フィロソフィーの再整理を行いました。当社は、コニカミノルタ発足以来不変の「経営理念」の下、価値創造の源泉としての企業文化・風土である「6つのバリュー」を基盤に経営ビジョン「Imaging to the People」の実現を目指します。

 

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さらに当社は経営ビジョン実現に向け10年後の社会課題を想定し、当社が重視する解決すべき重要課題を5つのマテリアリティとして特定しました。「働きがい向上及び企業活性化」、「健康で高い生活の質の実現」、「社会における安全・安心確保」、「気候変動への対応」及び「有限な資源の有効活用」の5つです。このような将来的な社会課題を見据え、当社の強みである無形資産(顧客接点、技術、人財)と当社独自の画像IoTプラットフォームを組合せ、4つの事業領域を通して、世界中の顧客の「みたい」に応える顧客価値を提供します。顧客への価値提供を通じて社会課題を解決するとともに得られた財務・非財務資本は当社のガバナンスを通して無形資産を含む成長投資、株主様への還元につなげます。このようなコニカミノルタ流の価値創造プロセスにより、社会課題と向き合い、DX(デジタルトランスフォーメーション)により無形資産と事業の競争力を強化し、持続的な価値提供で企業価値を高めていきます。

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(2)新中期経営戦略「DX2022」

当社は当連結会計年度に2020年度から2022年度までの3カ年を対象にした新たな中期経営戦略「DX2022」を策定しました。当社は、前中期経営計画「SHINKA2019」において、基盤事業の収益最大化及び成長事業・新規事業の拡大に取り組んできました。個々の事業はそれぞれ意義・役割を持ち、その完遂に向けた取り組みを進めましたが、それぞれ出来たこと・出来なかったことがありました。新たな中期経営戦略「DX2022」ではこれまでの取組みを振り返り、事業ごとの意義・役割を更に先鋭化しつつ、長期ビジョンからバックキャスティングして、今なすべきことを目標に設定しています。

また、2019年度末に生じた新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は、人々の働き方や生活様式、価値観に大きな変容をもたらしました。具体的にはテレワークの定着、非対面ワークフローの拡大といった働き方の変化を加速し、従業員や顧客の安全の確保、健康を守る動きや巣ごもり消費によるニーズの変容と個別化・多様化が生じました。特に働き方の変化はオフィス出社率の低下に伴うプリントレス化の加速、デジタルシフトによる販促・イベント印刷需要の減少を招き、当社が脅威として予測していたプリントボリューム減少の到来時期を早めました。しかしながら働き方の変化は、セキュリティ強化、ワークフロー効率化、デジタルコミュニケーションニーズ向上という当社にとっての機会も同時にもたらしました。さらに人々の生活様式の変容は、行動モニタリング、バイタルセンシング、検査の自動化といった現場での密回避ニーズをもたらし、安全・安心のための早期・個別診断ニーズの高まりなど、新たな機会の到来を早めました。このような社会の変容に伴い新たに顕在化した機会には「安全・安心」、「リモート・非接触」及び「個別化・分散化」といった共通する特徴があり、これらはイメージングやセンシングなどの当社が培ってきた技術が大きく活きる領域です。このように新型コロナウイルス感染症の拡大による社会の変容は、より多くの新たな機会をもたらしたものと捉えています。また、今後、ワクチンの普及とともに経済活動の回復は進むものの、従来の行動様式に戻るのではなく、新たな行動様式がその背景にある価値観の変容とともに社会に定着するものと想定しています。新たに定着するニューノーマルな行動様式と価値観は、個別化・多様化への対応による人間中心の生きがい追求と持続的な社会の実現の両立に貢献するという当社の存在意義、社会的意義とも合致するものと捉えています。

このような環境認識のもと、当社は中期経営戦略「DX2022」においてDXによる業容転換と事業ポートフォリオ転換を加速し、高収益ビジネスへと飛躍させていくとともに、真の社会課題解決企業へと転換をしてまいります。

 

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当社は中期経営戦略「DX2022」目標達成に向け、コニカミノルタ流DXの「as a Service」へのビジネスモデル転換を進めます。顧客のビジネスプロセスを俯瞰し、顧客自身も気づかない課題を見える化し、最適な解決策を共創するためには、継続的なデータの取得が必要です。当社の強みであるイメージング技術とAIやIoT技術を組み合わせた画像IoT技術により、顧客から継続的に取得するデータを解析し、顧客の課題解決を継続的に支援することで、顧客とその先の社会の人々の生きがい・幸せの追求と環境・社会課題の解決につなげていきます。

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「オフィス事業につづく柱となる事業の構築」

デジタルワークプレイス事業では、当社がこれまでに培ってきた顧客基盤を活用し、業種業態ごとのワークフローを見える化し、DX化、分散化を支援するデジタルソリューションを継続的に提供することで高収益ビジネスへの転換と事業拡大を進めます。加えて、プロフェッショナルプリント事業・ヘルスケア事業・インダストリー事業では、独自のイメージング技術を進化させることで、「計測・検査・診断」の領域での事業基盤を確立します。この領域では、業界のキープレーヤである顧客との密な関係性を活用して、産業・業界の変曲点を洞察することにより先回りした価値提供を行うことで顧客との信頼関係を深め、ビジネスの継続性と収益性を高めます。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

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「DXによるビジネスモデル進化」

人行動・検査・先端医療の領域にこだわった画像AI・IoT技術によりエッジ-クラウド型のプラットフォームをデジタルワークプレイス事業、インダストリー事業及びヘルスケア事業のそれぞれで立ち上げました。これらプラットフォームをベースに、多様な顧客・パートナーがつながるエコシステムを構築し、「as a Service」モデルでの価値提供を行うことで顧客ワークフローの変革を継続的に支援するビジネスへと進化させます。

 

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「事業評価の強化」

また、当社は資本効率を重要な経営指標と位置付け、事業ユニットごとのハードルレートを設定した資本効率の軸と成長性の軸を用いることで、各事業ユニットの位置づけを明確化し、改善、撤退・縮小などの事業評価を強化しました。このようなポートフォリオに基づく事業評価判断と新たな成長戦略の推進により、コア事業と安定収益事業の確実な事業成長に加え、DXによるビジネスモデルの進化をけん引する戦略的新規事業に投資・リソース投入を継続して行うことで全社として高収益ビジネスへの転換を進めていきます。

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「事業ポートフォリオ転換により当社が目指す姿」

中期経営戦略「DX2022」期間において、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ事業の売上回復、インダストリー事業やプレシジョンメディシンといった高付加価値事業の売上拡大、コロナ禍で需要が顕在化した事業の拡大による、収益力の強化により最終年度である2022年度には営業利益550億円の創出を目指します。また、2か年で得られた営業キャッシュ・フローは積極的な事業ポートフォリオ転換と株主還元を中心に配分します。このような各事業の拡大と柔軟な資本政策の実行により、全社営業利益を拡大させることで2019年度に全社営業利益の半分を占めていたオフィス事業(2020年度よりデジタルワークプレイス事業にセグメント区分を変更)への営業利益依存度を25%以下へ低減させていく考えです。

 

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(3)経営戦略を支える無形資産

持続的な企業価値向上を支える基盤として、当社は無形資産(顧客接点・技術・人財)を重要視し、継続的に磨き続けるとともにDXにより進化させることで競争優位を確立し、企業価値を高めていきます。

 

顧客接点強化

デジタルワークプレイス事業ではオフィス事業で培った200万社の顧客基盤を有する強みを活かし、顧客のDX実現に向けて、継続的かつ長期的に価値を提供する仕組みを構築し、顧客との関係性を高めていきます。「計測・検査・診断」の領域ではバリューチェーンに深く突き刺さる顧客との関係性を活用して産業バリューチェーン全体の価値創出を推進します。また、顧客のDX体験レベル、顧客にDX体験を提供する自社の能力、顧客との関係性などを独自のDX推進指標によって可視化し、フィードバックすることで、継続的な強化を実現します。当社が培ってきた豊富な顧客接点は今後の成長の源泉となるものであり、今後はさらに事業の枠を越えたOne Konica Minoltaで当社ならではのソリューションを提供し、より大きな顧客価値の創出を図っていきます。

 

技術強化

当社は4つのコア技術(材料・光学・微細加工・画像)をベースとした独自のイメージング技術を時代とともに変化する顧客の「みたい」に応えてきました。これら独自技術を継続的な価値提供モデルに変革するため、他社には実現できないレベルの高品位・高精度かつリアルタイムな価値を創出する「画像IoTプラットフォーム」を立ち上げます。また知財面では、精密機器業界で世界トップクラスの知的財産を保有しており、加えて画像IoT技術領域での知財ジャンルトップ戦略により成長事業の育成を支えていきます。また、全社の研究開発費を注力事業の成長を支える技術開発へと重点配分することで、持続的な企業価値向上・競争優位を実現します。

 

人財強化

不確実性が高く未来予測が困難な状況のなか、人財の重要性はますます高まっています。当社は、このような時代に求められる人財像を、自律的に考え、能動的に動き、あらゆる環境の下で、多様な顧客価値を迅速に創出できる人財と定義し、獲得・育成のための場と機会を提供し、当社をプロフェッショナル人財の集団へと変貌させ、持続的成長のエンジンとします。場と機会の提供については自己啓発支援、副業解禁、職域を越えた行動を奨励するチャレンジ加点制度など、様々な観点から人財投資を実施しており、今後もこれを継続します。さらにこれまで各国・各地域の内部に限定されがちであった人財活用機会をグローバルレベルへ展開し、居住地、国籍、使用言語によらない適材適所の人財配置により、当社が持つ多様な人財の能力最大化と有効活用を推進します。DXビジネスの拡大に際して重要となるDXリーダーの育成については、既に専任部署を設けて選抜を行い、グローバルに社内外のプログラムを活用した育成を開始しました。また事業ポートフォリオ転換の実現に向けた育成プログラムとして、別職種転換のためのRe-Skillプログラムと同一職種内でのスキルレベルアップのためのUp-Skillプログラムを体系的に整備し、基盤領域から新規事業領域やDX領域への人財シフトを加速させます。

これらの無形資産は二つのDXレイヤー(オペレーショナルDXとビジネスDX)の調和を通じて経済価値と社会価値の創出につなげます。オペレーショナルDXは、無形資産を基盤とする現場力にDXを掛け合わせる組織・プロセスの全社共通・事業横串でのDXです。ビジネスDXは、顧客のプロセス・産業を俯瞰し、課題を見える化したうえで、それを解決するサービスを継続的に提供するために事業ごとにつきつめるDXです。将来の財務情報との関連では、ビジネスDXは付加価値の訴求として粗利額の絶対値に帰結され、オペレーショナルDXは生産性の向上として原価率、販管費率やキャッシュ・フローに反映されるものと想定しています。

 

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DXを進める上で当社は「社員の実践と実感」、「顧客課題を解決する価値提供」及び「顧客価値の最大化」の3つが重要な要素であると捉えています。当社は3つの重要要素を軸とした当社独自の8つの推進指標の成熟度を可視化し、協調した推進を行うことにより、2つのDXレイヤーを調和させながら全社DX基盤の構築を加速します。なお、2021年3月現在、経済産業省が策定したDX推進指標の成熟度(レベル0からレベル5の6段階の定性評価指標)を当社に当てはめた場合、レベル2(一部での戦略的実施)に位置すると自己診断しております。当社は中期経営戦略「DX2022」の最終年度である2022年度には、この成熟度をレベル4(全社戦略に基づく持続的実施)に引き上げることを目標としています。

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(4)翌連結会計年度の重点方針

当連結会計年度は2019年度末から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、世界的な経済活動の制限が継続される状況が続きました。当第4四半期連結会計期間にはワクチン接種による改善の兆しも見えてきましたが、現時点では新型コロナウイルス感染症の完全な収束時期の見通しは立っておりません。当社は、翌連結会計年度においても局地的なロックダウンなどにより人々の行動が一定の制約を受けながらも、地域や業種業態によって異なる速度で経済活動が回復していくことを前提とし、当連結会計年度に実行した施策の継続と中期経営戦略「DX2022」の完遂に向けたDXによる業容転換と事業ポートフォリオ転換の加速により、収益構造の変革を行っていきます。このような観点で、翌連結会計年度の重点方針として、以下の4点に取り組みます。

 

①オフィスユニットの営業利益を2018年度レベルまで一気に回復:

最新機種「bizhub-i(ビズハブアイ)シリーズ」の全機種上市を完了する一方、オフィスでの印刷需要減少を前提に、構造改革や複合機開発テーマの選択と集中による成長事業へのリソースシフトを2020年度中におおむね完了しました。2021年度にこれらの成果を出すことにより営業利益率水準を9%まで回復させます。

②新規事業の収益改善を加速:

ワークプレイスハブは、戦略変更により開発費を低減し、販売サービスの容易性と顧客提案の受容性の拡大を両立することで、売上の拡大と費用の抑制を行います。プレシジョンメディシンは、RNA検査や中枢神経系画像解析など当社の強みとする高精度な診断サービスに加え、健常者向けDNA検査やがん治験分野を強化することで売上の拡大を図るとともに、次世代シーケンサーやクラウド活用による検査コスト削減を進めます。

③2020年度の総固定費の水準を維持:

2019年度に実施した構造改革の効果により販売管理費を4,000億円未満に抑制したことなどにより損益分岐点を大幅に低下させました。更に2020年度に追加で実施した構造改革や各機能におけるDX化推進による生産性向上により、2021年度も総固定費水準の維持を図ります。

オフィスユニットに続く柱となる事業を構築:

当社の強みであるイメージング技術を発展させ、センサーデバイス・画像AI・IoTプラットフォームを三位一体とした当社独自の画像IoT技術として、人行動・検査・先端医療の領域で多様なサービス展開を進めます。

 

上記重点方針の実行により収益性を大幅に改善すると同時に、ポートフォリオの転換を進めることにより、翌連結会計年度の営業利益はポートフォリオ転換に係る一過性の費用40億円を含み、360億円と予想しています。

 

(5)マテリアリティ特定プロセス

持続可能な開発目標(SDGs)やマクロトレンドから、2030年に想定される社会・環境課題を洞察し、「解決すべき社会・環境課題」と「当社グループの事業成長」の両評価軸でマテリアリティ分析を行い、当社が取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を新たに設定しました。

 

STEP1:課題のリストアップ

GRIスタンダードやSDGsなどの国際的なフレームワークやガイドライン、各専門分野のマクロトレンドなどを参照しながら環境・社会・経済面での課題を広範囲にリストアップしました。ストックホルム・レジリエンス・センターの「SDGsウェディングケーキモデル」をベースとし、「ECONOMY」「SOCIETY」「BIOSPHERE」の関係性を念頭に置きながら、課題を抽出しました。当社が関連する、あるいは関連する可能性がある事業領域、そのサプライチェーン/バリューチェーンを範囲として、社会・環境変化や規制・政策動向、ステークホルダーからの要請事項などを考慮して進めています。

 

STEP2:課題の抽出と重要度評価

リストアップした課題のなかから、特に当社に関連性の高い分野を抽出した上で、マテリアリティ分析(重要度評価)を行いました。当社のマテリアリティ分析は、リスクと機会の側面をそれぞれ評価している点に特徴があります。リスクと機会をそれぞれ評価することで、SDGsを進めるにあたり、企業に期待されている「社会課題を機会と捉えビジネスを通じて解決することで事業成長を図る」ことを実践しています。マテリアリティ分析は、それぞれ「ステークホルダーにとっての重要度(お客様、お取引先、株主・投資家、従業員など)」と「事業にとっての重要度(財務的な影響度)」の2軸で5段階評価し、優先順位を付けました。

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STEP3:妥当性確認、特定

グループサステナビリティ推進会議で議長を務めるグループサステナビリティ責任者(サステナビリティ担当役員)は、これらのマテリアリティの評価プロセス及び評価結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定します。特定したマテリアリティは、経営層による審議の上、取締役会による承認を受けます。今後も、マテリアリティを定期的にレビューし、必要に応じて見直すことにより、課題設定と計画の妥当性を担保していきます。

(6)気候関連財務情報開示の新しいフレームワークへの対応

①TCFDの提言に基づく4つのテーマに関する開示

当社は、事業運営における気候関連のリスクと機会を的確に評価し、投資家をはじめとする幅広いステークホルダーへ積極的に情報開示することが、持続的に成長できる企業の必須要件であると考えています。こうした考えから、G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に賛同し、TCFDのフレームワークに沿って気候変動問題への取り組みを開示します。

 

項目

活動内容

ガバナンス

当社は、2008年に「2050年までに自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を2005年度比で80%削減する」という目標を設定し取締役会で承認しました。2017年には、パートナー企業とともに社会のCO2排出量をマイナスにしていくコミットメントとして「カーボンマイナス」を目標に追加しました。そして2020年には、長期の経営ビジョンにおいて当社が取り組むべき5つのマテリアリティの1つとして「気候変動への対応」を設定すること、気候変動への対応の目標としてカーボンマイナスの達成時期を2030年へ前倒しすることを取締役会で承認しました。また、当社では、代表執行役社長が気候変動問題に対する最高責任と権限を有し、気候変動を含む環境マネジメントの有効性について責任を負うものとしています。そして代表執行役社長から任命された役員(グループサステナビリティ責任者)が環境マネジメントを推進し、中期計画を作成するとともに、環境マネジメントの進捗状況や気候変動問題を含む課題について、代表執行役社長及び取締役会議長、取締役会に設置された監査委員会へ毎月報告します。監査委員会は代表執行役社長を中心とした環境マネジメント全体の執行状況を継続的に監視・検証しております。

戦略

気候変動の影響が顕在化し地球環境が破壊されれば、経済や金融に混乱を引き起こします。これは、当社の事業にとってもリスクであると認識しています。一方、ビジネスを通じて環境課題を解決することで機会を創出することができ、企業の持続的な成長へつながると考えています。当社は、最先端の技術を積極的に取り込み、強みとする画像IoT技術とデジタル入出力の技術を融合させることで、気候変動を含む社会課題の解決に寄与するソリューションを生み出すデジタルカンパニーへの業容転換を進めています。そして、2020年度に策定した長期の経営ビジョンにおいて「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、2030年までに「カーボンマイナス」を実現することを目標に設定しました。モノからコトへ、お客様への提供物が変化していく中で、製品プロダクツに関わるCO2排出量だけではなく、サービスを加えてCO2を削減し事業成長につなげることを目指します。この目標をバックキャスティングし、気候変動対策に関わる中期目標及び年度計画を、製品の企画・開発、生産・調達、販売などの事業中期計画と連動させることで、ビジネスを通じてカーボンマイナス目標の達成を目指しています。

気候変動に関するリスクと機会の詳細は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

リスク管理

当社は、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置づけ、中長期的な視点でリスクを評価しています。短期・中期的には、気候変動を含む環境リスクをグループ全体の経営リスクの一つとして位置づけ、リスクマネジメント委員会において管理しています。また、中長期的な観点から、「低炭素社会へ移行した場合」と「気候変動の影響が顕在化した場合」の2つのシナリオで気候変動リスクの影響度と不確実性を評価し、管理しています。気候変動への対応に関する計画や施策について、四半期ごとにグループサステナビリティ推進会議において審議するほか、リスクの変化度合いを見直すローリング作業を同会議にて毎年2回行い、リスクを再評価しています。計画の進捗状況については、グループサステナビリティ責任者から代表執行役社長に毎月報告されています。また重要な環境課題についても、グループサステナビリティ責任者から執行側の基幹会議、リスクマネジメント委員会等に報告されています。取締役会では、気候変動への対応に関する経営計画の進捗について定期的に報告を受け、その執行状況を監督しています。

指標と目標

当社では、気候変動のリスクと機会を管理する指標として、製品ライフサイクルCO2排出量、及びカーボンマイナス目標を「エコビジョン2050」で定めています。2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減することを目標としています。2020年度は、約82万トンで60%削減まで到達しております。また、当社が考えるカーボンマイナス目標とは、顧客や取引先の環境課題解決の支援を通じてスコープ1・2・3のCO2排出量の範囲を超えるCO2排出量を削減し、自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を上回るCO2削減貢献量を生み出していくコミットメントです。当社は2030年にカーボンマイナスを実現することを目標としています。また、気候関連リスク対応として、化石燃料を利用できなくなる将来予測を踏まえ、自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギー由来にすること、再生可能エネルギー利用率を2050年までに100%、2030年までに30%とすることも目標として設定しています。

 

 

当社の気候関連リスクと機会

地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定の合意のもと、世界全体が加速的かつ野心的に低炭素社会へ移行する可能性があります。一方、移行が思うように進まず世界各地で気候変動の著しい影響が顕在化してしまうおそれもあります。当社では、この2つのシナリオを想定し、将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす事業リスクと、気候変動における課題の解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しています。

なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

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2【事業等のリスク】

(1)当社のリスクマネジメント体制

 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。

 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。

 

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(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況

 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2020年度は、同委員会を2回開催し、主に米中貿易摩擦に端を発したグローバルでの保護主義的な潮流ならびに米中のハイテク冷戦に対し、事業に影響度の高い地域・国に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。2019年度末から影響が拡大した新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大によるリスクマネジメントへの影響を同委員会で体系的に整理し情報を共有し、各リスク項目の対応状況を確認しました。

 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告されております。

 

 様々なリスクによって発生するクライシスに対して、当社はクライシスに迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当執行役が集中管理しております。2020年度は、新型コロナウイルス感染症について、最高責任者たる代表執行役のもと、危機管理担当執行役を危機管理委員長とする社内臨時体制により国内外の対応にあたりました。

 

(3)事業等のリスク

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置づけております。

 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。

 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2021年4月末現在において当社グループが判断したものであります。

 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。

 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価。「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。

 また、「発生可能性」と「影響度」について前年度より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、2019年度と2020年度の評価を記載しております。

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①経済環境に関するリスク

1)経済動向・市場環境

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。

 当事業年度は、新型コロナウイルス感染症が世界各地域へ拡大し、経済活動に大きく影響しました。当社も、特に欧米でのロックダウンにより機器の設置やサービス提供、新規受注などの販売活動が制約を受け、当事業年度の業績に大きな影響が出る結果となりました。

 欧州では2020年3月以降に実施された大規模なロックダウンが緩和され経済が回復に向かったものの、感染症の再拡大を受けて再び行動規制が強化され景気回復のペースが鈍化しました。

米国でもロックダウンの実施により経済活動が大幅に落ち込み、大規模な経済対策が実施されましたが、行動規制が再び強化され、回復は緩やかにとどまりました。一方、バイデン新政権により2021年3月に大規模な追加経済政策が成立し、景気の早期回復期待は高まりつつあります。中国では他国に先行して経済活動が再開され、当第1四半期連結会計期間に回復後、経済成長が持続しております。

 かかる状況の中で、2021年3月以降欧米を中心にワクチン接種が進み感染者数が減少する等、改善の兆しも見えてきましたが、新たな変異株の発生により、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大が収束する見通しの不透明さは継続しております。各国の経済政策やワクチン接種者の増加により、世界経済は改善の途上にありますが、国や地域により異なる回復状況下にあります。

 さらに世界的な経済活動の再開にともない、半導体を中心に電子部品が不足するなどのサプライチェーン上の問題が発生しております。また、昨年度から続く米中の覇権争いに起因するハイテク冷戦の影響、中東を中心とした地政学的要因やワクチン普及が遅れる新興国の経済成長の停滞などが引き続き懸念されます。各国経済政策がどれほど効果的に未曽有の危機による長期的な損失を抑え込めるのか、金融環境はどう変化してゆくか、などにも経済動向は左右されます。

 各国市場の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格下落、新規設置数減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。

 

 

2)為替レートの変動

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。ユーロにつきましては、為替レートの1円の変動が営業利益に与える影響は約4億円になり、直接損益に影響を与える状況となっております。他の主要通貨においても、円高の状況は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は好影響を与えることになります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動する恐れがあります。

 ●対応

 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、2020年10月に、グループ間決済の一部について、金融機関が提供するネッティングシステムの利用を開始しました。グループ間決済における支払タームを統一することにより為替エクスポージャーを削減し、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行うことを目的としております。ネッティングシステムを利用したグループ間決済は、2022年3月までに全世界へ拡大することを予定しております。

 

②事業活動に関するリスク

)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうした顧客の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、以前より、オフィスユニットの顧客に対して出力以外にもマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスを提供することで、顧客のワークフロー改善に資する価値の提供に取り組んでおります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。

 さらに、中堅・中小規模のオフィスユニットの顧客を主なターゲットとして、新プラットフォームとなる「Workplace Hub(ワークプレイス ハブ)」とクラウドサービスとの連携や種々のアプリケーションソフトを通じて、顧客の業務の効率化や意思決定を支援する新たな価値の提供にも取り組んでおります。

また、自治体のDX推進にも取り組んでおり、コア業務とノンコア業務の層別、ノンコア業務のワークフロー改善にAI-OCRやRPAの導入による自動化やプロセスの標準化を提案して自治体職員の方々の生産性向上に貢献しております。

 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、プレシジョンメディシン、計測機器、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。

 

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ②デジタルによる顧客価値創出」にも関連事項を記載しております。

 

 

2)各国・各地域の規制

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:中

 ●リスク

 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本の国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入されたり、変更されたりした場合には、これらに対応するための費用が発生したり、事業活動に支障をきたす可能性があります。また、このような予期しない事態に対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 ●対応・機会

 各国・地域の法律・規制の動向には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ外部の弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て対応を行っております。また、新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出の可能性があります。特に、環境法規制への対応、セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。

 ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。プラスの面として、医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出につながります。

 近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。弊社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国、新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。

 

 

3)次世代技術変化

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:中

 ●リスク

 今後、当社グループが展開すべき新たな事業分野においては、他社に先んじた技術革新が重要な競争優位の源泉となっており、常に革新的な技術開発に挑戦し、そのための研究開発投資及び設備投資も積極的に行っておりますが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を出してくる可能性もあります。

 また、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴いデータの活用領域が拡大することで、様々な産業分野、ビジネスモデルに変化がもたらされることが想定されます。これらの変化に対応できない場合、将来にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループの材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともにIoT、AI技術と組み合わせることで、当社独自のデータの源泉となる「見えないものをみえる化する技術」をさらに発展させ、オフィス、ヘルスケア、インダストリー事業のDXを顧客と連携して進めてまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業においては、顧客とともに販売と開発が一体となって顕在化していない顧客ニーズを抽出し、デジタル技術を駆使して短期間での開発、検証を繰り返すことで、新型コロナウイルス感染症禍で拡大している、働き方改革、テレワーク等を支援するサービスを提供する体制を構築してまいります。

 また、自前主義に陥らず、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとのオープンイノベーションを推進することでエコシステムをリードする、あるいは一員として協力するなど様々な形で社会に貢献する技術開発を加速してまいります。

 

 

4)新製品への移行

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発または生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響等、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループでは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期段階から量産に至るまでの各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、環境対応を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切り替え時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。

 また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの診断・改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷を牽引しジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。

 

5)他社との協業、企業買収等について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、資本提携・企業買収等、他社との協業を進めております。

 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合等には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応

 当社グループでは、他社との協業・企業買収に際しては、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画毎の全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。

 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件毎の当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じるようにしております。

 

 

6)生産・調達等

発生可能性:中→高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:中→大

 ●リスク

 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点のひとつに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の局所的または全世界的な感染拡大において、当社内生産、サプライヤー生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えたことから、今後も新たな感染症の拡大状況によっては、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応

 当社グループでは、生産に関するリスク対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めている状況にあります。また主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。

 また、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、その対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。さらに主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。

 BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産が連携し整えております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握するため各サプライヤー間の連絡網を整備しております。また、部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価、検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証で最優先課題として対応しリスク回避を進めており、これらにより事業への影響の抑制を図っております。

 

7)製造物・品質責任

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響が及ぼす可能性があります。

 

 

 ●対応・機会

 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役または執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質計画の推進・進捗確認とともに、品質保証に関する情報共有及び是正・改善を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。

 製品品質に関わる問題が発生した場合、全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。その結果、過去5年間、重大事故の発生はありません。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、「製品安全教育」をグループ展開し、品質マインドの定着に努めております。

 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まります。当社ではリスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の改善により運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、社外の公的機関等と連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。

 

 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社の製品脆弱性対応チーム

 

③その他のリスク

1)大地震・自然災害・感染症等

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応

 当社グループは災害や、感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等があった場合の情報を危機管理担当執行役又は執行役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。その中でも巨大地震をはじめとした災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベース等ITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めています。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、事業拠点で従業員が災害時に自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練を実施するとともに、コロナ禍による働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用しテレワーク時においても防災体制が機能するよう整備いたしました。

 また、当社グループでは、事業を継続し、企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。地域においては、各拠点の自治体と連携し、自然災害時の避難場所や水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。

 

 

 

2)気候変動・環境規制

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、当社グループは、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等、新規・追加の環境関連の法規制が厳格化する恐れがあり、過去に起因する追加的義務及び費用が発生する可能性があります。

また、気候変動の影響を抑えようと顧客の志向が変化し、オフィスにおける紙への出力機会の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加など当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方、世界全体で温暖化が進行した場合、当社グループは、異常気象や大規模な森林火災により紙原材料の調達が不安定になる恐れがあります。また、気候パターンの変化に伴う自然資源の供給量不足や供給停止、自然災害の大規模化によるサプライチェーン寸断が発生する可能性があります。

 気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、その緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品リサイクル、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を80%削減するとともに、その排出量を上回る社会・顧客でのCO2排出量削減を生み出し、「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2020年度には、製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約82万トンで60%削減まで到達しております。

 また、気候関連の機会については、本格的な低炭素社会の到来に備え、当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、エッジ(現場)でデータを活用できるビジネスへ転換してまいります。必要なデータを効率的に利用することで、エネルギー負荷の少ないビジネスが成立します。短中期的には、印刷工程のオンデマンド生産プロセス、多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、エネルギー使用やCO2排出量が少ない材料加工プロセスの変革ソリューションを提供してまいります。中長期的には、紙に代わる情報共有の手段の需要拡大を見込み、既存の複合機の事業から“as a Service”モデル(プロダクトとDXによる高付加価値サービス)へ変容してまいります。また異常気象・自然災害への備えとしての画像IoT・センシングソリューション、予測せぬ疾病等への遺伝子検査・画像診断等の技術を活用したヘルスケアソリューションなど、社会課題の解決に直結した事業を強化しております。

人為的なCO2排出の主要因となる化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに自社の事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギーにする目標を設定しております。

 当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指します。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。

 

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期での成長に向けて ③地球環境への貢献」に関連事項を記載しております。

 

 

3)知的財産権

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:小

 ●リスク

 当社グループは、製品開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。

 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、当社グループが技術を使用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域において、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し電子商取引(EC)サイトからの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。

 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。また、万一見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。

 これらのリスク管理に加え、当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社で事業継続するよりも他社で事業化または事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡またはライセンスすることにより、産業界全体への貢献及び当社の収益向上を図っております。

 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。

また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知財面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症の蔓延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。

 

 

4)人財確保

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:中

 ●リスク

 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、DX/IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応・機会

 当社グループでは、IoT人財の育成・獲得を重要戦略と位置づけ重点的に施策を進めております。人財育成では、全社員へのIT教育を必須にするとともに、DX推進へ人財シフトを進めるためのIoT転換教育等のRe-skillプログラム、高度専門職(プロ人財)への育成を加速するためのITスキル認定等のUp-skillプログラムの整備を進めております。海外開発拠点や共同研究機関との連携によるグローバル育成プログラムも充実させております。人財獲得では、長期インターンシップや大学との連携強化を行い、IoT分野の優秀な学生を当社に惹きつけております。2019年には大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設し、2020年10月には高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」を新設、画像IoT開発の本格的な拠点展開をはかり関西地区での人財獲得・人財育成強化を進めております。

 また、ニューノーマルにおける働き方としてテレワークを積極的に展開するなど、ワークライフバランスを支える各種制度を整備し、多様な働き方に対応できる仕組みを強化しております。

 

5)情報セキュリティ

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応・機会

 情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。

 また、サイバー攻撃を含むセキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(注)を全グループで運用し、定期的な訓練を全グループで実施しております。さらに、製品・サービスに関して開発・設計・製造・販売・保守の全てのフェーズにおいて委託先を含めてサプライチェーン全体を一貫したセキュリティポリシーにてリスク管理を行うための包括的セキュリティマネジメント体制を2020年度より発足いたしました。これらを通してセキュリティの強化に努めてまいります。

 新型コロナウイルスの影響によるテレワーク者増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。

 また、当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理サービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏洩を防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、すべての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏洩に対応しております。

 

 (注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)セキュリティ事故対応チーム

 

④新型コロナウイルス感染症に関するリスク

1)新型コロナウイルス感染拡大の影響

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、欧米地域では当社の顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社の販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルスによる感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、4月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしております。

 一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じております。パルスオキシメーターの増産による感染者の在宅療養への対応、胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。

 以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面から説明いたします。

 

 ●リスク・機会

(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)

顧客企業のテレワークや事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社の経営成績においてもマイナスの影響がでています。

一方、テレワークなどの新しい働き方を支援する当社のITサービス・ソリューションや「Workplace Hub」は、主要顧客である中堅・中小企業や官公庁に強固な情報セキュリティを確立しながら、遠隔での協働を実現するソリューションとして販売機会の拡大を推し進めています。

営業活動においては、非対面営業による顧客への提案力向上のためのウェブセミナー開催やデータを活用したマーケティング等の顧客への科学的アプローチ、複合機に加えたIT商材の重ね売りなど、営業力の強化を推進してまいります。

プロダクションプリント事業では、企業内印刷等のオフィスドキュメント印刷は減少しますが、中大手印刷領域において、ポストコロナの印刷機器購買の変化をデジタル化拡大の追い風と捉え、自社で培った強みを更に差別化につなげることで、デジタル印刷市場の規模とシェアの拡大を実現してまいります。

また、テレワークの導入について悩まれている顧客へ、安全に社内の情報にアクセスできるテレワーク環境の整備、在宅勤務時でも社内に届くFAXを確認できるソリューション、稟議書等の社内ワークフローの電子化など、テレワーク環境を整備するための支援、個々の課題を解決するソリューションを多数、提供しております。

(ヘルスケア事業)

病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の減少がワクチン接種による集団免疫獲得までは継続することが想定されます。

一方、新型コロナウイルス感染症の収束後には、これらの需要は戻ってくるものと見ており、加えて感染症対応も含めた持続可能な医療環境を支援するX線動態解析、AI読影支援システムや遠隔画像診断システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、医療従事者の安全と作業効率向上に貢献する生体情報モニタリングシステム、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。

なお、米国のAmbry社では、2020年7月より開始した地域・企業・医療機機関に対するPCR・抗体検査について、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策への支援として取り組んでまいります。

(インダストリー事業)

顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。

一方、新しい働き方の広がりに伴って、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。

画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションの需要が高まり、販売機会が拡大しております。

(生産・調達)

新型コロナウイルス感染拡大とその後の需要回復局面では、当社生産に加え、サプライヤーの企業活動や物流網に至るサプライチェーン全体に影響が及んでおります。サプライヤーでの需要回復に向けた過剰稼働による事故や局所的なロックダウンによる生産停止などの発生により、当社への供給不足、生産への影響に繋がる可能性が高まっております。また、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは事業継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。

対策として、BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産の連携で整え、調達リスク回避を進めるとともに、社内生産及びサプライヤーにおける労働環境整備(感染症防止策の徹底、リモート生産支援などニューノーマルへの対応)も継続しております。

 

 

 ●対応

 当社では、新型コロナウイルス感染拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、顧客、取引先を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会や顧客への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。

特に、生産では以前より自社生産のデジタル化(DX化)に取組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。

 日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。

 従業員が新型コロナウイルスに「感染しない・うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、小まめな手洗いや勤務中のマスク着用等)を継続し徹底しております。さらには、在宅のテレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活リズムの変化などの従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点でも、上記のとおり各国政府など行政の要請に基づいた適切な対応を継続しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

重要な会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要な会計方針及び「同 注記4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」)における経済情勢を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症が世界各地域へ拡大し、経済活動に大きく影響しました。欧州では2020年3月以降に実施された大規模なロックダウンが緩和され経済が回復に向かったものの、感染症の再拡大を受けて再び行動規制が強化され景気回復のペースが鈍化しました。米国ではロックダウンの実施で当第1四半期連結会計期間の経済活動が大幅に落ち込み、大規模な経済対策が実施されましたが、行動規制が再び強化され、回復は緩やかにとどまりました。中国では2020年3月には他国に先行して経済活動が再開され、当第1四半期連結会計期間に回復後、経済成長が持続しています。日本経済は2020年5月の緊急事態宣言解除後に回復の兆しが見られ、緊急事態宣言の再発出後も非製造業の経済活動は弱まる一方、製造業は中国向けを中心とした輸出の増加を受けて回復傾向が続きました。2021年3月には欧米を中心にワクチン接種が進み感染者数が減少する等、改善の兆しも見えてきました。

 

こうした経営環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、8,633億円(前期比13.3%減)となりました。売上高は5月に底を打って以降回復傾向を維持し、四半期ごとに前年同期比の減収率が縮小し、当第4四半期連結会計期間(以下「当会計期間」)の売上高は前期同期間並みとなりました。事業ユニット別では、ITサービス・ソリューション、ワークプレイスハブ、計測機器、画像IoTソリューション、機能材料が当期で増収となり、加えて当会計期間では、産業印刷、ヘルスケア、IJコンポーネントが増収となりました。地域別では、当第3四半期連結会計期間で中国に加え日本やその他アジア地域が増収に転じましたが、欧州では9割弱、米国では8割強の回復となり、また当会計期間では中国、日本、その他アジアは増収基調を継続し、欧州と米国は9割強までの回復となりました。

オフィスユニットは、欧米での販売台数は回復が遅延していますが、中国での販売台数は大きく伸長し前期を上回り、当会計期間にハード売上は増収に転じました。一方、消耗品やサービスなどのノンハードは欧米での回復が遅れ、前期比で減収となりましたが、ITサービス・ソリューションユニット、ワークプレイスハブユニットは、欧米でのITサービス等の需要拡大を捉えて、前期比で増収となりました。プロダクションプリントユニットは、中国では販売台数が前期から大きく伸長し、欧米でも販売台数は当会計期間に大きく回復しましたが、消耗品やサービスなどの回復が遅延し前期比で減収となりました。ヘルスケアユニットは、前期比では減収となりましたが、日本の病院への販売が第3四半期連結会計期間に続き好調を維持し、当会計期間でも増収となり回復傾向となっています。また、プレシジョンメディシンユニットは、ほぼ米国市場が中心で、病院への来院者や治験参加者の減少により前期比で減収となりましたが、遺伝子検査サービスの受領サンプル数は当会計期間に新型コロナウイルス感染拡大以前の水準まで回復しました。インダストリー事業は、主要顧客が中国に多い機能材料ユニットや計測機器ユニットが需要の拡大を確実に捉え前期比で増収となり、事業全体の売上高は前期並みとなりました。

営業損失は162億円(前期は82億円の営業利益)となりました。構造改革関連費用として約80億円を計上したことも影響しました。前期からは大幅な減益となりましたが、売上高を回復しながらも、当第1四半期連結会計期間に抑制した販売費及び一般管理費の水準を維持した結果、当会計期間の営業利益は83億円となり、当第3四半期連結会計期間から更に利益が増加しました。オフィスユニットの収益力を2018年度水準に戻すための構造改革や製造原価低減などの施策を実施し、商品の高付加価値化による販売の競争力強化を狙いとして投入した新製品への切り替えは、計画通りに進捗しました。構造改革につきましては、当期に投じた費用を上回る利益押し上げ効果が翌期に発現すると見込んでおります。

税引前損失は200億円(前期は2億円の税引前利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は152億円(前期は30億円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

当社は中期経営戦略「DX2022」を策定し、スタートしております。この「DX2022」の最大の課題は、前中期経営計画「SHINKA 2019」の期間に仕込んできたこと、あるいはやり残したことを、しっかりと実行し、確実に成果につなげていくことです。「DX2022」の基本方針は「デジタルトランスフォーメーション(DX)により高収益のビジネスへと飛躍する」こと、そして「真の社会課題解決企業へと転換していく」ことです。顧客価値をさらに高めていくために、これまで「基盤・成長・新規」の3つに区分していた事業区分を見直すとともに、報告セグメントについても戦略に従って見直しました。

従来のオフィス事業では、顧客の働き方が変化することによりオフィスでの紙出力減少が加速する中、環境変化に強い収益構造に向けた改革を当期中に実行し、今まで培った顧客基盤を活用して、ITサービス・ソリューションやワークプレイスハブと合わせたデジタルワークプレイス事業として顧客価値を高めます。プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、及びインダストリー事業では、当社の強みであるイメージングの技術とAIを組み合わせ、計測・検査・診断の領域での顧客価値の提供を拡大することで、これらの事業を今後の成長の柱としていきます。

 

以下の前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

 

(自 2019.4.1

(自 2020.4.1

 

 

 

 

至 2020.3.31)

至 2021.3.31)

 

 

 

 

億円

億円

億円

デジタルワークプレイス

売上高

5,490

4,652

△838

△15.3

事業

営業利益

177

△27

△204

プロフェッショナル

売上高

2,100

1,695

△405

△19.3

プリント事業

営業利益

43

△78

△122

ヘルスケア事業

売上高

1,185

1,090

△94

△7.9

 

営業利益

△43

△64

△20

インダストリー事業

売上高

1,171

1,182

10

0.9

 

営業利益

144

156

11

8.2

小計

売上高

9,947

8,620

△1,326

△13.3

 

営業利益

321

△13

△335

「その他」及び調整額

売上高

13

12

△0

△1.8

(注2)

営業利益

△239

△148

90

連結損益計算書計上額

売上高

9,961

8,633

△1,327

△13.3

 

営業利益

82

△162

△244

(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。

(注2)売上高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。

(注3)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

①デジタルワークプレイス事業

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オフィスユニットでは、A3複合機の当期における販売台数は前期比で90%、当会計期間では107%まで回復したことでハード売上は増収に転じました。A3カラー機の販売台数は当期で86%、当会計期間では92%と堅調に回復し、モノクロ機は10月に販売を開始した新製品効果も出始めたことでそれぞれ97%、140%と当会計期間には大きく増加に転じました。地域別では、前期にロックダウンの影響を大きく受けた中国での販売台数が大きく伸長し、前期比では123%、当会計期間では260%となり、日本はそれぞれ84%、95%と回復が進みました。ロックダウンの影響が継続する欧米においては、欧州はそれぞれ76%、85%、北米では73%、84%と回復が遅延しています。一方、消耗品やサービスなどのノンハード売上は、顧客先の従業員出社率低下が継続していることでハード売上に比べて回復が遅れていますが、特に欧米での回復が想定を下回ったことで前期比では減収となりました。オフィスユニット全体としては、当期では前期比で減収減益となりましたが、当第1四半期会計期間を底に売上・利益ともに四半期ごとに回復し、当会計期間では増益となりました。

ITサービス・ソリューションユニットでは、売上高の9割を新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きい欧米が占める状況ではありますが、顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスや脆弱性診断なども含むセキュリティサービス、デジタルワークフローソリューションなどの需要拡大と、リモートでの商談や導入活動、オフィスユニットとの連携による見込み顧客創出などにより、四半期ごとに増収幅を拡大し、前期比で増収増益となりました。

ワークプレイスハブユニットでは、7年振りにフルモデルチェンジした複合機「bizhub-i(ビズハブ アイ)シリーズ」をベースとした後継機を「Workplace Hub Smart(ワークプレイス ハブ スマート)」として日本では5月に、欧米では11月に販売を開始したことも寄与して堅調に拡大し、前期比で増収となりました。利益については前期比で減益となり赤字が継続していますが、増収による売上総利益の増加に加え、開発リソースの再配分による販売管理費の適正化を行ったことで、当会計期間には赤字幅を大幅に縮小しました。また、日本では都道府県や政令指定都市を始めとする自治体へのDX支援サービスを展開しており、連携協定を締結するなど50以上の自治体で業務量調査を実施し、そのデータをAIで解析してデジタルトランスフォーメーション(DX)提案を進め、案件を獲得し始めています。

これらの結果、当事業の売上高は4,652億円(前期比15.3%減)、営業損失は27億円(前期は177億円の営業利益)となりました。

 

②プロフェッショナルプリント事業

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プロダクションプリントユニットでは、各地でのロックダウンなどの継続により企業のマーケティング活動やイベント開催が延期又は減少し、印刷需要の回復やそれに伴う印刷企業の投資判断が遅れたことで、当期における販売台数は前期比で72%となりましたが、当会計期間では99%まで回復しました。2020年2月に発売した当社初のヘビープロダクション機「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000シリーズ」はオンラインデモンストレーションなどにより中堅・大手の印刷会社からの受注・販売が好調に推移し、2020年12月に発売したライトプロダクション機の新製品「AccurioPress(アキュリオプレス)C4080シリーズ」の販売への寄与が始まったことなどで、カラー機の販売台数は当期では前期比73%でしたが、当会計期間は100%となりました。また、モノクロ機も当会計期間では95%と堅調な回復となりました。地域別では、前期にロックダウンの影響を大きく受けた中国での販売台数が大きく伸長し、前期比で128%、当会計期間では200%となりました。ロックダウンの影響により回復が遅れていた欧米でも、欧州はそれぞれ67%、87%、北米では71%、108%と当会計期間で大きく回復しました。一方、消耗品やサービスなどのノンハード売上は、四半期ごとに減収幅が縮小していますが、ハード売上に比べて回復が遅延しています。当会計期間に販売・設置したプロダクション機は翌期以降のノンハード売上に貢献する見込みであり、アナログ印刷も含めた総印刷需要は減少する中、当社の提供するデジタル印刷の需要は今後も拡大するという見込みに変更はありません。

産業印刷ユニットでは、機器本体などのハード売上は顧客への設置における制約などにより当期の販売台数は減少しましたが、当会計期間では「AccurioJet(アキュリオジェット)KM-1e」や「AccurioLabel(アキュリオラベル)230」がけん引して販売台数が増加したことにより、増収に転じました。消耗品やサービスなどのノンハード売上は、当第2四半期会計期間以降継続して増収となっており、今後も売上の拡大を見込んでいます。

マーケティングサービスユニットでは、マーケティング・プロダクション・マネジメントにおいては、欧州で企業のマーケティング関連印刷の減少の影響を受けましたが、日本・アジア地域では増収となり、前期並みの売上となりました。日本でオンデマンドプリントサービスを提供するキンコーズでは、緊急事態宣言などにより法人顧客における販促イベントの中止や延期、研修のオンライン化による受注の減少傾向、店頭では来客数の減少傾向が続きましたが、3月には企業の研修資料や学生の利用回復などにより前年並みの売上高となりました。当期及び当会計期間ともに減収となりましたが、構造改革などの効果も含む販売管理費の抑制などにより、増益となりました。

これらの結果、当事業の売上高は1,695億円(前期比19.3%減)、営業損失は78億円(前期は43億円の営業利益)となりました。

 

③ヘルスケア事業

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ヘルスケアユニットでは、DR(デジタルラジオグラフィー)は、当期の販売数量は前期並みとなりました。当会計期間では地域によって新型コロナウイルス感染症の影響は異なりますが、日本の病院への販売が引き続き好調であったことをはじめ、欧州、中国、インド等でも販売数量を回復しました。超音波診断装置は、当期の販売数量は前期を上回り、当会計期間の日本での整形外科、透析、産科領域の販売は堅調に推移しました。医療ITは、日本では医療画像管理や施設間連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が当期にわたり伸長しましたが、米国では新型コロナウイルス感染症拡大による医療機関の経営環境の悪化と投資抑制の影響を受けPACS(医用画像保管・管理システム)の販売が伸び悩みました。この結果、ヘルスケアユニット全体では、販売効率を向上するために仕入れ商材の販売を抑制した影響もあり前期比では減収となりましたが、当会計期間では当第3四半期連結会計期間に引き続き増収でした。

プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査サービスは、米国での新型コロナウイルス感染症拡大による病院への来院者数減により検査数が減少していましたが、当第3四半期連結会計期間より継続して検査数は回復し、3月には新型コロナウイルス感染症拡大以前の検査数にまで増加しました。また、新型コロナウイルス検査サービスは米国内でのワクチン接種加速により検査数は減少していますが、カリフォルニア州オレンジ郡からの受託は継続しています。創薬支援サービスは、米国では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、治験参加者の減少による製薬会社の治験開始遅延が継続しているものの、受注残が大きく拡大しており、翌期でのサービス提供が見込まれます。この結果、プレシジョンメディシンユニット全体で前期比では減収となりましたが、遺伝子検査サービスは当第3四半期連結会計期間より黒字を継続しています。

これらの結果、当事業の売上高は1,090億円(前期比7.9%減)、営業損失は64億円(前期は43億円の営業損失)となりました。

 

④インダストリー事業

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センシング分野(計測機器ユニット)では、物体色向け計測器は中国などの売上好調が継続し、光源色向け計測器も大手顧客の需要が想定以上に伸長した結果、前期比で増収となりました。また、当会計期間において、外観計測では新規受注を複数獲得し、2020年11月に買収したフィンランドのSpecim, Spectral Imaging Oy Ltd.の売上も寄与しました。

材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは液晶テレビ向け位相差フィルムや、PC、タブレット及びスマートフォン用薄膜フィルム等の高付加価値製品に集中してきました。当期はこれらの需要増加に対応することで、市況を上回る販売量となりました。また、新樹脂フィルム「SANUQI」の本質価値も市場に浸透し、販売数量及び顧客裾野の拡大が進んでいます。これらにより前期比で増収となりました。光学コンポーネントユニットは、車載などの産業用途向けは販売を伸ばしているものの、エンターテイメント向けなどの既存用途において新型コロナウイルス感染症が依然需要に影響しており、前期比で減収となりました。IJコンポーネントユニットは、前期比では減収となりましたが、主要となる中国市場の需要が回復し、その他アジア地域の市場も回復傾向にあります。また大判印刷市場に対しては、高速化の需要に対応することでシェアを拡大しており、当会計期間では増収に転じました。

画像IoTソリューションユニットは、当会計期間では新型コロナウイルス感染症による欧州でのロックダウンの影響もあり、減収となりましたが、非接触による体表温度測定を可能にするMOBOTIX社のサーマルカメラソリューションの販売、画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を展開し、画像IoT技術を活用したプラントや倉庫、物流エリアの安全・安心をみえる化するモニタリングサービス開始等を進め、前期比で増収となりました。

映像ソリューションユニットでは、当会計期間に発生した日本国内の緊急事態宣言の発出によってプラネタリウム直営事業が影響を受けましたが、直営店での徹底した感染対策の実施と周知、機器製造における科学館等からの大型案件の受注、ネットワークやクラウドと連携したプラットフォーム型サービス「Connected Dome」ビジネスの開始等により、当会計期間では増収となり、当期の売上高は前年並みとなりました。

これらの結果、当事業の売上高は、1,182億円(前期比0.9%増)、営業利益は156億円(同8.2%増)となりました

 

(3)財政状態の状況

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産合計             (億円)

12,767

12,997

229

負債合計             (億円)

7,430

7,490

60

資本合計             (億円)

5,337

5,507

169

親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)

5,237

5,398

161

1株当たり親会社所有者帰属持分    (円)

1,058.29

1,093.98

35.69

親会社所有者帰属持分比率     (%)

41.0

41.5

0.5

 

 当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比229億円(1.8%)増加し1兆2,997億円となりました。これは主に、現金及び現金同等物の増加339億円、のれん及び無形資産の増加96億円、未収法人所得税の増加28億円、営業債権及びその他の債権の増加19億円、有形固定資産の減少169億円、棚卸資産の減少56億円によるものであります。

 負債合計については、前期末比60億円(0.8%)増加し7,490億円となりました。これは主に、社債及び借入金の増加260億円、営業債務及びその他の債務の増加229億円、リース負債の減少188億円、退職給付に係る負債の減少156億円、その他の金融負債の減少85億円によるものであります。

 資本合計については、前期末比169億円(3.2%)増加し5,507億円となりました。

 親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比161億円(3.1%)増加し5,398億円となりました。これは主に、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加216億円、その他の資本の構成要素から利益剰余金への振替(主に確定給付制度の再測定)による増加123億円、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上152億円によるものであります。

 これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,093.98円となり、親会社所有者帰属持分比率は0.5ポイント増加の41.5%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

301

780

479

投資活動によるキャッシュ・フロー

△500

△343

157

(フリー・キャッシュ・フロー)

△198

437

636

財務活動によるキャッシュ・フロー

△119

△130

△11

 

 当期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー780億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー343億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは437億円のプラスとなりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは130億円の支出となりました。

 そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比339億円増加の1,238億円となりました。

 

 当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税引前損失200億円、減価償却費及び償却費775億円、営業債権及びその他の債権の減少による増加149億円、棚卸資産の減少による増加137億円等によるキャッシュ・フローの増加により、営業活動によるキャッシュ・フローは780億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出256億円、無形資産の取得による支出145億円、子会社株式の取得による支出50億円、投資有価証券の売却による収入86億円等があり、投資活動によるキャッシュ・フローは343億円の支出となりました。

 

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは437億円のプラス(前期は198億円のマイナス)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 社債の償還及び長期借入金の返済427億円、リース負債の返済205億円、配当金の支払99億円等の支出と、短期借入金の純増加額378億円、社債の発行及び長期借入258億円等の収入により、財務活動によるキャッシュ・フローは130億円の支出(前期は119億円の支出)となりました。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

前期比

 

百万円

デジタルワークプレイス事業

238,376

81.0

プロフェッショナルプリント事業

ヘルスケア事業

16,630

77.5

インダストリー事業

109,477

100.7

 報告セグメント計

364,485

85.8

その他

0

8.9

合計

364,485

85.8

 

(注1)金額は、売価換算値で表示しております。

(注2)上記金額には、消費税等は含んでおりません。

(注3)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。

(注4)当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。なお、前期比は、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しております。

 

②受注実績

 当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。

 

③販売実績

 販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

①資本政策の基本的な方針

当社は課題提起型デジタルカンパニーを目指してビジネスモデルの変革に取り組み、中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるための最適な資本政策を実施していきます。

特にキャッシュ・フロー創出力の強化と資本効率(ROE・ROIC)の向上を重視し、その実現に向けて、「成長投資の実施」「株主還元の充実」及び「財務基盤の強化」について、これらの最適バランスを目指した資本政策を推進し、資金効率の向上と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。

1)資本効率の向上

資本コストを重視し、資本コストを安定的に上回るROE・ROICの向上を目指します。このために、KM-ROIC及び投下資本収益(注)を経営管理指標とし、事業ポートフォリオマネージメントの強化を通じて企業価値の最大化を図ります。

2)株主還元の充実

連結業績や成長分野への戦略投資の推進等を総合的に勘案しつつ、積極的に利益還元することを基本とし、配当額の向上と機動的な自己株式の取得を通じて、株主還元の充実に努めます。

3)財務健全性の担保

財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により積極的な成長投資を支える財務基盤の強化を図ります。

(注)KM-ROIC:投下資本収益率。事業利益を投下資本で除した比率。事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標。

投下資本収益:事業利益から投下資本コストを控除した金額。どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標。

投下資本収益の最大化によりROE及びROICの向上を図ります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

②資金需要

当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。

③資金の源泉

当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。

④資金調達についての方針

当社グループは、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針とし、主に金融機関からの短期借入及び長期借入や社債の発行により資金調達を行っております。長期資金の調達に際しては、償還や返済の時期を分散することにより借り換えリスクの低減を図っております。また、資金調達は主に当社が行っており、必要資金を関係会社に主にキャッシュ・マネジメント・システムを通じて供給することで資金調達の一元化や効率化を図っております。

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(注)2018年3月31日以降の残高には、ハイブリッドローンが含まれております。格付機関の評価により、資金調達額1,000億円の50%に対して資本性の認定をうけております。

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(注)ハイブリッドローンは、2022年10月以降の各利払日に元本の全部又は一部を返済期限(2077年10月)前に返済することが可能となっております。

 

⑤流動性

当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き重要な資金源になると見込んでおります。また、複数の金融機関との間で締結した1,000億円のコミットメントライン契約の期限を2024年9月末から1年延長し2025年9月末とするなど、効率的な資金の調達を行っている他、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠を有しています。当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しています。

なお、新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞が当社の営業キャッシュ・フローに悪影響を与えるリスクに備え更なる手元流動性の確保のため、2020年4月にアンコミットメントベースの融資枠の一部を利用し約850億円の短期借入を実行したことに加え、2020年5月に複数の金融機関との間で2021年5月21日を期限とする2,000億円のコミットメントライン契約を締結しました。しかし、2020年夏以降に世界的に経済活動が再開され、売上高の回復・固定費の抑制が営業キャッシュ・フローの改善につながったことから、2020年4月に実行した短期借入約850億円のうち約650億円を2021年3月末までに返済しました。また、2020年5月に締結した2,000億円のコミットメントライン契約は、当初の予定どおり2021年5月21日の期限をもって終了となりました。

また、当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンである「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術に関わる研究開発はもとより、コア技術を高度化・融合化するとともにICT、AI技術と組み合わせることで見えないものを見える化する技術をさらに発展させ、各事業セグメントにおいては、顧客の課題解決に向け、新製品・サービスの開発を進めております。

例えば、プロダクションプリント機では、熟練作業者でも時間がかかる印刷の色調整と位置ずれ調整を徹底的に効率化、省人・省力化する「IQ-501」ユニットを画像と光学技術を結集して製品化し、作業時間を1/4以下に短縮しました。また新樹脂フィルム「SANUQI」では写真技術で培われた材料と微細加工技術を巧みに融合することでディスプレイのフレキシブル化、高コントラスト化といった顧客ニーズに応えてまいりました。

当連結会計年度においては、中期経営戦略「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。

「画像IoT技術の強化」として、当社の画像IoT技術を、当社センサーデバイスや他社センサーデバイスに、最新のImaging AI技術を組み合わせ、IoT Platformを介して顧客価値を提供する三位一体の技術を、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」として強化してまいります。「FORXAI」を活用することで加速するパートナー連携戦略により、様々な業種業態の顧客の課題に対し、高度な画像AI技術で解決するサービスを素早く提供することが出来るようになり、既に多くのパートナー様との協業検討も進んでいます。

センサーデバイスの強化としては、センシング領域を可視光領域から波長領域を拡大することにより、事業領域を拡大していきます。インダストリー領域においては、物体表面だけでなく、内部構造、成分まで検査可能となり、当社のコア技術である材料解析技術を活用することで、顧客の開発工程までアプローチしていきます。イメージング AIの強化としては、写真フィルムやカメラといった祖業をルーツとした画像、すなわちイメージングにこだわったAIに特化しており、中でも人行動、検査、先端医療の重点3領域のイメージングAIでは世界トップクラスにこだわり研究開発を続けていきます。検査におけるAIでは、クルマのボディや精密部品の欠陥検出、欠陥分類、画像連結などの研究を続けています。これまでの物体表面だけでなく、今後、内部構造、成分までAI認識・分析ができるよう技術レベルを高め、インダストリー事業の拡大に貢献していこうと考えています。

人行動におけるAI技術開発では、ディープラーニングを活用した人検知・姿勢推定・行動認識などのアルゴリズム開発を進めており、介護現場では入居者様の行動を認識する「HitomeQ(ヒトメク)ケアサポート」を展開しております。また昨今、老朽化した化学プラントの漏れた可燃性ガスが原因で起きる火災事故の増加に対し、赤外線カメラとイメージング AIにより、化学プラントのガス漏洩位置、漏洩量を可視化することでガス漏洩による火災事故を未然に防ぐサービスの展開を開始いたしました。

「技術人財のトランスフォーメーション」としては、コロナ影響によるオフィスのプリントボリューム減少を鑑み、現在複合機開発に携わっている開発人財を成長事業強化のためにシフトしていきます。AI/IoT技術力の強化については、前中期経営計画「SHINKA 2019」において500人に達した画像IoT人財を、2023年度末には事業拡大に必要となる1,000人を目指して増強していきます。AIやデータサイエンスの高度技術者に加えて、高度な画像IoT技術を活用したソリューションサービスの提供で力を発揮する、ソリューションアーキテクト/ディベロッパーの増強にも注力していきます。

 

これらの研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。

例えば、上述の「IQ-501」は、熟練作業者でも時間のかかっていた濃度、色調補正、表裏印字の位置などの機器の調整を効率化、省人・省力化することにより、品質の確保や作業時間の短縮を実現しています。これらの「IQ-501」が提供する付加価値を実現するための当社独自技術については、集中的に特許出願を行い、質・量ともに圧倒的な知財資産を形成しており、同製品の競争優位性を知的財産面から強力にサポートしています。

 

「リアルタイムな自動品質最適化装置」に関する2021年3月時点の日本特許(公開+特許)のスコアマップ

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(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher]を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。

 

また、中期経営戦略「DX2022」を支える新たな知財戦略として、当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援します。

持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は650億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が333億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が84億円、インダストリー事業に係る研究開発費が136億円、その他事業及び基礎研究費用が95億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記5 事業セグメント」に記載のとおりであります。

 

(1)デジタルワークプレイス事業

デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、Workplace Hubを組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。

当連結会計年度においては、オフィスユニットでは、A3/A4複合機のラインアップを刷新し「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」の9機種拡充でフルラインアップを完成し発売いたしました。当製品では、強固なセキュリティー機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティー強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスを提供いたします。

「bizhub iシリーズ」は、企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策でも、顧客の事業継続のための「テレワーク」の導入支援を行っており、例えば、複合機のあるオフィスに行かなくても、「bizhub iシリーズ」の受信FAXデータのメール転送機能を利用いただくことでテレワークや外出時でも滞りなく業務を行うことができます。

また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、Intelligent Connected Workplace構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。

 

(2)プロフェッショナルプリント事業

プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。

当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」を欧米より順次発売を開始いたしました。ヘビープロダクションプリント領域では、従来機種の印字画質で出力速度を140ppmまで向上させ、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を搭載可能とし、作業者のスキルレベルに依らない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。

産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求して参ります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。

 

(3)ヘルスケア事業

ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しています。ヘルスケアユニットでは、高付加価値イメージングにより「見えないものをみえる化」し、ITプラットフォームにAI診断支援や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しています。プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献すること、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発することを推進しています。

当連結会計年度においては、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」では、胸部における血流や動き等の新たな解析方法を研究開発し搭載しました。これらの新機能は、診断精度の向上、簡便化、医療費削減に加え、新型コロナウイルスにおける重症化予防への貢献が期待されます。また、整形診断領域においても、その汎用性からアジア地域など新興国への展開も期待されています。X線画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援する機能を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。医療ITソリューションでは、医療機関のDXを支援するサービス「infomity(インフォミティ)」の新メニューとして、オンライン診療では国内トップランナーの一社である株式会社インテグリティ・ヘルスケアのオンライン診療システム「YaDoc Quick(ヤードッククイック)」を搭載しました。本サービスにより、高齢者などの感染時重症化リスクが高い患者も安心して受診できるオンライン診療の普及を支援します。バイタルセンシングでは、新型コロナウイルス感染症の軽症・中等症入院患者において、パルスオキシメーター、体温計、血圧計で測定されたスポットバイタル値やパルスオキシメーターの連続測定データを、ベッドサイドモニターに表示し、Sub-GHz(サブギガ)無線通信で隔離域外のナースステーションで一括管理できる「生体情報モニタリングシステム VS1」を開発、発売により更なる院内感染防止・医療安全に寄与します。

プレシジョンメディシンユニットでは、米国Amazon Web Services, Inc.(以下 AWS)と連携して、個別化医療の事業会社であるKonica Minolta Precision Medicine, Inc.(以下 KMPM)のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想をグローバル展開することになりました。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。「LATTICE」は、KMPMの最先端科学とAWSのサービスを組み合わせることで、「Amazon HealthLake」などを活用し、医療提供の支援、創薬加速に貢献します。また、米国で実績を積んだAmbry社の遺伝子診断サービス「CARE Program」の日本版「CAREプログラム」を開発し日本初の未病プラットフォームとしてQOLの向上や医療費の低減に貢献してまいります。

 

(4)インダストリー事業

インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献する為、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。

センシング分野における計測機器ユニットにおいては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。当連結会計年度にはハイパースペクトルイメージング技術の有力企業、フィンランドのSpecim社を買収、リサイクル・食品分別など、「安全・安心・衛生」領域にも進出しております。また、物体色測定用に色と光沢を同時に測定し 高精度な色管理を実現するベンチトップ分光測色計「CM-36dG」を発売、Radiant社からはICTデバイスなどの外観計測向けに同社の高精度カメラとともに使用される「Inspect R1(インスペクト・アールワン)ソフトウェアツールキット」を発売、製品ラインの拡充を図りました。

材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っており、10μ以下の超薄膜品生産への対応も進めております。これら新樹脂を用いて偏光板保護フィルム以外の市場へも展開できる商品の準備も進めております。

光学コンポーネントにおいては、成長が期待される移動体センシング用レンズや監視観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。今後は光学技術・コンポーネント技術に加え材料開発との連携強化で小型レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。

IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、パナソニックインクジェットヘッド事業買収での技術の獲得により、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。

画像IoTソリューションユニットにおいては、深刻化する新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当社グループであるドイツMOBOTIX社製のネットワークサーマルカメラを用いた非接触・顔部分のリアルタイム検知により体表温度の測定可能なアプリケーションを開発し、2020年5月より提供いたしました。リリース後もグローバルでの顧客の声を取り入れ、温度測定精度の改善やマスク検知AI技術の搭載など更に継続的な価値の向上を進めております。

また、当社独自の画像IoTプラットフォーム「FORXAI」を活用し、モニタリング、検査領域における顧客の課題をパートナー連携で効率的に解決するソリューションの拡充を図ってまいります。