第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の総括

当連結会計年度における外部環境は当社にとって厳しいものとなり、半導体供給のひっ迫、物流輸送期間の長期化・物流コスト増により、主にデジタルワークプレイス事業のオフィスユニットとプロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニットの収益が影響を受けました。加えて内部要因として、当社グループ会社のトナー工場における二度にわたる爆発事故、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による当社生産拠点の散発的な稼働率低下といった要因が重なり、価格対応等の回復施策の実施でも全ての影響を吸収することはできず、オフィスユニットとプロダクションプリントユニットの業績は大きく悪化しました。これら事業業績の悪化に加え、過去の買収により生じたのれんの減損損失の計上及びヘルスケア事業のプレシジョンメディシンユニットにおける売掛金回収見込額の修正による利益影響により、通期では222億円の営業損失となりました。

このような経営状況下、当年度に達成できた点・達成できなかった点については以下のように認識しております。

達成できた事項として、インダストリー事業においては、センシング分野、材料・コンポーネント分野が成長をけん引し、期初計画どおり増収増益を達成しています。また、プロフェッショナルプリント事業では産業印刷ユニット、ヘルスケア事業ではヘルスケアユニット(モダリティ、医療IT)も期初計画どおり進捗し、増収増益を達成しています。オフィスユニットとプロダクションプリントユニットにおいては、前連結会計年度に実施した構造改革の効果を予定どおり顕在化させるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で前連結会計年度に大きく減退した需要の回復を捉え、受注は拡大しました。全社費用構造としては、収益構造改善のための目線として設定している四半期販管費1,000億円の水準を維持することができております。

一方で、達成できなかった事項としては、主にオフィスユニットとプロダクションプリントユニットにおいて、前連結会計年度から回復基調にある需要に対し、半導体供給ひっ迫・物流輸送期間の長期化・当社グループ会社のトナー工場事故の影響により十分な製品の供給ができず、売上減少、受注残の増加、輸送中在庫の増加につながりました。また、空輸費用を含む物流費や部材費の高騰による費用増に対し、一部で価格対応を実施いたしましたが、全てを吸収することができず利益減少となりました。プレシジョンメディシンユニットでは、米国での新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により病院や健康診断での遺伝子検査の需要が停滞し、製薬会社での治験の再開も遅延していることから、売上成長が計画に対し遅延しております。また、当社の事業ポートフォリオにおいて「低収益事業」と位置付ける事業では外部資本の活用も含めた収益構造改革を進めておりましたが、当連結会計年度中の完遂には至らず遅延しております。

当社としては、2020年度に続き2期連続での営業損失という結果に終わったことを真摯に受け止め、2022年4月に刷新した経営体制のもと、キャッシュ・フローの創出を重視し、早期の業績改善に注力してまいります。また、社外のステークホルダーの皆さまからの信頼の回復を実現していくべく、等身大の経営状況をお示しし、率直な対話を行うことを重視してまいります。経営目標の設定に際しては、実行力向上のために適度なストレッチは必要と考えますが、あくまで達成可能な目標を設定し、確実に実行・達成することに注力してまいります。足元の業績は非常に厳しいながら、当社には、過去にも祖業であるカメラ・写真フィルム事業からの撤退等、業容転換を行いながら幾度もの困難を乗り越えてきた実績があり、現下の経営状況においても速やかな業績改善と成長軌道への回復を実現していく所存です。

 

(2)翌連結会計年度の経営方針

当社を取り巻く外部環境は翌連結会計年度も厳しい状況が続くと想定され、半導体の供給ひっ迫や物流輸送期間の長期化、新型コロナウイルス感染症の中国での再拡大によるロックダウン、ウクライナ情勢など中期経営計画「DX2022」策定時には想定していなかった要因の影響を踏まえ、「DX2022」で掲げた2022年度の営業利益目標550億円は大きく見直さざるを得ない状況にあります。外部要因の影響を大きく受けるオフィスユニットを中心に更なる構造改革による迅速な収益性の立て直しを重要な経営課題として進める一方で、インダストリー事業やヘルスケアユニットなど、中期経営計画「DX2022」の計画どおりに進捗している事業においては引き続き計画どおりの目標の達成を目指します。将来のコア事業として育成・確立していく新規事業については、更に踏み込んだ選択・集中を進めながら、早期の収益貢献に向けて加速していきます。

 

具体的には、当社の事業ポートフォリオ上の位置付けに応じ、翌連結会計年度において下記のような重点施策に取り組みます。

 

①安定収益事業(オフィス/プロダクションプリント 各ユニット)

オフィスユニットとプロダクションプリントユニットでは、中期的な収益構造改善へ向け、販売面を中心とする効率化・高質化を目的とした組織構造の簡素化を含む構造改革、及び、地政学的リスクを考慮したモノづくり戦略の見直しをパートナー戦略も含めて実施していきます。

 

②コア事業(センシング/機能材料/IJコンポーネント/ヘルスケア 各ユニット)

各ユニットにおいて市場の変化を見定めながら、設定している成長領域での事業展開を継続します。具体的には、センシングユニットにおける自動車外観計測ビジネスやリサイクル・ESG用途へのHSI(ハイパースペクトルイメージング)技術適用の拡大、機能材料ユニットにおける高付加価値製品、IJコンポーネントユニットにおける工業用途、ヘルスケアユニットにおける動態解析/AI診断支援、といった商材の拡大を進めます。中長期的な成長も見据えた戦略的な施策として、センシングユニットにおける計測対象のアプリケーション拡大のための戦略的提携またはM&A、機能材料ユニットでは成長市場として当社が注力する大型ディスプレイやモバイルディスプレイ領域での販売拡大のための設備投資、ヘルスケアユニットにおける戦略的提携の効果出しを進めるとともに、各事業の展開に不可欠となる人的資本の形成へ向けた人財投資を実施していきます。

 

③戦略的新規事業(プレシジョンメディシン/画像IoTソリューション/DW-DX/産業印刷 各ユニット)

前中期経営計画「SHINKA2019」から実施してきた新規事業創出のための人財・開発投資の成果出しを進めるとともに、先行開発投資のより一層の厳選化により費用先行を抑制します。

その上で、プレシジョンメディシンユニットは今後の成長に向けた投資資金の調達力を自ら備えるべく、引き続き資本政策を進めます。産業印刷ユニットではデジタル印刷の需要拡大を捉えた販売の拡大、画像IoTソリューションユニットではパートナー戦略の成果出しおよびグループ間シナジーの最大化に取り組みます。

 

④低収益事業(光学コンポーネント/マーケティングサービス 各ユニット)

外部資本活用も視野に収益構造の抜本的な改革を進めるとともに、新たなポジショニング・ビジネスモデルの確立を加速します。

 

(3)2025年度に実現する事業構造

中期経営計画「DX2022」の策定以後の環境変化を受け止め、翌連結会計年度の目標は見直しを行いましたが、「二つのポートフォリオ転換」を2025年度に完遂するという中期的ゴールについては変更ありません。具体的には、オフィス事業を、ペーパーレス化の進展により事業環境が厳しさを増す中でも利益を生み出し続ける構造へ変革するとともに、オフィス事業の顧客基盤を活用して業種業態に合わせた業務変革ソリューションを提供していくデジタルワークプレイス事業への転換を進めます。また、インダストリー事業を中心とする計測・検査・診断領域の成長加速も進め、厳しい事業環境に耐え、持続的な成長を可能とする事業構造を確立します。

 

(4)中長期での成長に向けて

当社は、2020年度に2030年を見据えた長期の経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」を策定しました。中長期には世界の人口増加や人口構成変化、デジタル革命の進行、バイオテクノロジーの産業利用拡大、世界構造の多極化、気候変動・温暖化、といったトレンドが加速的に進行していくものと当社は考えております。このようなマクロ環境認識のもと、「組織や個人が、爆発的に増加するデータを活用して多様な価値を創造し、持続的に発展する自律分散型の社会」を当社が考えるこれからの世界観として定義しました。このような世界においては、組織や個人が求める豊かさが個別化・多様化し、それぞれの充足ニーズの加速的な高まりとともに、資源不足や気候変動による影響、社会保障費の増大、雇用や創造への機会格差といった社会課題の顕在化も進んでいきます。

 

当社は創業以来、イメージング技術をコアに世界中の顧客の「みたい」というニーズに応えてきました。当社の原点でもあり、DNAでもあるイメージング技術を用いて、顧客自身も気づかない課題を可視化することで顧客の様々な「みたい」欲求に応えて最適な解決策を見いだし、顧客のワークフローやバリューチェーンを俯瞰し継続的に顧客価値を提供していく「as a Service」モデルにより、様々な個人・社会の「みたい」に応え続けることで、「人間中心の生きがい追求(個別化・多様化への対応)」と「持続的な社会の実現(顕在化した社会課題の解決)」を高次に両立させるところに当社の社会的意義がある、という結論にたどり着きました。こうした考えを集約したのが長期の経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」です。

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また、当社は長期の経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」策定に併せて、フィロソフィー体系の再整理を行いました。当社は、コニカミノルタ発足以来不変の「経営理念」の下、価値創造の源泉としての企業文化・風土である「6つのバリュー」を基盤に経営ビジョンステートメント「Imaging to the People」の実現を目指します。

さらに当社は2030年を見据えて当社が重視する解決すべき重要課題を5つのマテリアリティとして特定しています。「働きがい向上及び企業活性化」、「健康で高い生活の質の実現」、「社会における安全・安心確保」、「気候変動への対応」及び「有限な資源の有効活用」の5つです。これらのマテリアリティを軸に、当社の強みである無形資産(顧客接点、技術、人財)と最新のIoTやAI技術を組み合わせた独自のプラットフォームビジネスを確立し、顧客課題解決へ貢献します。また、顧客課題解決につながる価値提供を通じて社会課題解決に貢献するとともに事業活動で得られた財務・非財務資本は当社のガバナンスを通して無形資産を含む成長投資、株主様を始めとする様々なステークホルダーの皆様に長期的還元などを行っていきます。このようなコニカミノルタ流の価値創造プロセスにより、社会課題と向き合い、DX(デジタルトランスフォーメーション)により無形資産と事業の競争力を強化することで中長期の企業価値向上につなげていきます。

 

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(5)経営戦略を支える無形資産

持続的な企業価値向上を支える基盤として、当社は無形資産(顧客接点・技術・人財)を重要視しています。保有する無形資産を継続的に磨き続けるとともにDXにより進化させることで競争優位を確立し、当社の企業価値向上につなげていきます。

 

①顧客接点強化

デジタルワークプレイス事業ではオフィス事業で培った約200万社の顧客基盤を有する強みを活かし、顧客のDX実現に向けて、継続的かつ長期的に価値を提供する仕組みを構築し、顧客との関係性を高めていきます。「計測・検査・診断」の領域ではバリューチェーンに深く突き刺さる顧客との関係性を活用して産業バリューチェーン全体の価値創出を推進します。また、顧客のDX体験レベル、顧客にDX体験を提供する自社の能力、顧客との関係性などを独自のDX推進指標によって可視化し、フィードバックすることで、継続的な顧客関係性強化を実現します。当社が培ってきた豊富な顧客接点は今後の成長の源泉となるものであり、業種によらない共通サービスのパッケージ化と各地域で強みのある業種に特化した業種・業態別の価値提供能力の強化により、さらに大きな顧客価値の創出を図っていきます。

②技術強化

当社は創業以来150年近くにわたってカメラ、写真事業で培ってきた4つのコア技術(材料・光学・微細加工・画像)を活用した独自のイメージング技術を、時代とともに変化・多様化する顧客の様々な「みたい」に応えてきました。これら独自のコア技術を高度化・融合化するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで創出した新たな価値を顧客に提供します。また、他社には実現できないレベルの高品位・高精度かつリアルタイムな価値を創出する画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を画像IoT分野において立ち上げるとともに画像IoT人財の育成と採用強化を進めています。知財面では、精密機器業界で世界トップクラスの知的財産を保有しており、各事業戦略・技術戦略と連動した知財戦略の策定、画像IoT技術領域での知財ジャンルトップ戦略により事業の成長を支えていきます。なお、全社の研究開発費については、注力事業の成長を支える技術開発へと重点配分することで、持続的な企業価値向上・競争優位を実現します。

 

③人財強化

不確実性が高く未来予測が困難な状況のなか、人財の重要性はますます高まっています。当社は、このような時代において、自律的に考え、能動的に動き、あらゆる環境の下で、当社の強みを活かして多様な顧客価値を迅速に創出できる人財を求められる人財像と定義しました。当社は、その定義した人財の獲得・育成のための場と機会を提供し、当社をプロフェッショナル人財の集団へと変貌させ、持続的成長のエンジンとします。場と機会の提供については若手層の海外派遣や自己啓発支援、副業解禁、職域を越えた行動を奨励するチャレンジ加点制度など、様々な観点から人財投資を実施しており、今後もこれを継続します。さらにこれまで各国・各地域の内部に限定されがちであった人財活用機会をグローバルレベルへ展開し、居住地、国籍、使用言語によらない適材適所の人財配置により、当社が持つ多様な人財の能力最大化と有効活用を推進します。DXビジネスの拡大に際して重要となるDXリーダーの育成については、既に専任部署を設けて選抜を行い、グローバルに社内外のプログラムを活用した育成を開始しています。

 

これらの無形資産は二つのDXレイヤー(オペレーショナルDXとビジネスDX)の調和を通じて経済価値と社会価値の創出につなげます。オペレーショナルDXは、無形資産を基盤とする現場力にDXを掛け合わせる組織・プロセスの全社共通・事業横串でのDXです。ビジネスDXは、顧客のプロセス・産業を俯瞰し、課題を見える化したうえで、それを解決するサービスを継続的に提供するために事業ごとにつきつめるDXです。将来の財務情報との関連では、ビジネスDXは付加価値の訴求として粗利額の絶対値に帰結され、オペレーショナルDXは生産性の向上として原価率、販管費率やキャッシュ・フローに反映されるものと想定しています。

DXを進める上で当社は「社員の実践と実感」、「顧客課題を解決する価値提供」及び「顧客価値の最大化」の3つが重要な要素であると捉えています。当社は3つの重要要素を軸とした当社独自の8つの推進指標の成熟度を可視化し、協調した推進を行うことにより、2つのDXレイヤーを調和させながら全社DX基盤の構築を加速します。なお、経済産業省が策定したDX推進指標の成熟度(レベル0からレベル5の6段階の定性評価指標)を当社に当てはめた場合、レベル2(一部での戦略的実施。2021年3月現在)に位置すると自己診断しており、当社は中期経営計画「DX2022」の最終年度である2022年度には、この成熟度をレベル4(全社戦略に基づく持続的実施)に引き上げることを目標に、各領域でのDX施策に取り組んでいます。

 

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(6)マテリアリティ特定プロセス

持続可能な開発目標(SDGs)やマクロトレンドから、2030年に想定される社会・環境課題を洞察し、「解決すべき社会・環境課題」と「当社グループの事業成長」の両評価軸でマテリアリティ分析を行い、当社が取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を設定しています。

 

STEP1:課題のリストアップ

GRIスタンダードやSDGsなどの国際的なフレームワークやガイドライン、各専門分野のマクロトレンドなどを参照しながら環境・社会・経済面での課題を広範囲にリストアップしました。ストックホルム・レジリエンス・センターの「SDGsウェディングケーキモデル」をベースとし、「ECONOMY(経済)」「SOCIETY(社会)」「BIOSPHERE(環境)」の関係性を念頭に置きながら、課題を抽出しました。当社が関連する、あるいは関連する可能性がある事業領域、そのサプライチェーン/バリューチェーンを範囲として、社会・環境変化や規制・政策動向、ステークホルダーからの要請事項などを考慮して進めています。

 

STEP2:課題の抽出と重要度評価

リストアップした課題のなかから、特に当社に関連性の高い分野を抽出した上で、マテリアリティ分析(重要度評価)を行いました。当社のマテリアリティ分析は、リスクと機会の側面をそれぞれ評価している点に特徴があります。リスクと機会をそれぞれ評価することで、SDGsを進めるにあたり、企業に期待されている「社会課題を機会と捉えビジネスを通じて解決することで事業成長を図る」ことを実践しています。マテリアリティ分析は、それぞれ「ステークホルダーにとっての重要度(顧客、取引先、株主・投資家、従業員など)」と「事業にとっての重要度(財務的な影響度)」の2軸で5段階評価し、優先順位を付けました。

 

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STEP3:妥当性確認、特定

グループサステナビリティ推進会議で議長を務めるグループサステナビリティ責任者(サステナビリティ担当役員)は、これらのマテリアリティの評価プロセス及び評価結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを特定します。特定したマテリアリティは、経営層による審議の上、取締役会による承認を受けます。今後も、マテリアリティを定期的にレビューし、必要に応じて見直すことにより、課題設定と計画の妥当性を担保していきます。

 

(7)気候関連財務情報開示の新しいフレームワークへの対応

TCFDの提言に基づく4つのテーマに関する開示

当社の環境経営は、「環境課題を解決していくことで、事業を成長させ、さらには新しい事業を創出していくこと」をコンセプトとし、気候変動をはじめとした地球環境課題の解決に貢献するとともに、会社の成長を図ることで、世の中から必要とされる会社になることを目指しております。地球規模での気候変動問題を解決するには、自社だけの取組みでは限りがあります。当社は、顧客、取引先を中心とするステークホルダーとの連携によって地球上のCO2削減に積極的に関わっていく「カーボンマイナス」の実現を目指しております。カーボンマイナスとは“自社責任範囲と定められるCO2排出量に比べて、責任範囲外でのCO2削減の貢献量を多くすること”と当社が定義しています。当社の製品・事業に直接かかわるCO2排出量(スコープ1,2,3排出量)よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する状態の早期実現を目指しております。自社の社会的責任を果たすだけでなく、ステークホルダーが社会的責任を果たす活動の支援をすることで、脱炭素化の効果を加速するとともに、当社とステークホルダーの結びつきを広げ、ともに事業成長していくことを目指します。

また当社では、低炭素社会の実現に向けて、科学的根拠に基づくCO2削減の2030年中期目標(SBT:Science Based Target)を設定しております。目標達成に向けた移行計画として、省エネ生産技術開発、再生可能エネルギー由来電力の導入、ペーパーレス事業へのビジネス転換、CO2フリー燃料の導入検討などのCO2削減施策を、短期・中期・長期で設定し、自社責任範囲のCO2排出量を削減する計画を策定しています。また、製品サービスの“as a Service”化の需要変化を見込み、DXを中心としたビジネスへの転換を推進しており、売上創出とCO2削減貢献の両立を目指す経営計画を策定しています。具体的には、企画・開発段階で製品やサービスに脱炭素化に向けた価値を盛り込む「サステナブルソリューション活動」、生産時の脱炭素を目指す「サステナブルファクトリー活動」、サプライヤーとともに脱炭素を目指す「カーボンニュートラルパートナー活動」、販売・サービスにおいてお客様の脱炭素を支援する「サステナブルマーケティング活動」や「環境デジタルプラットフォーム」などを進めます。また、オンデマンド生産、働き方改革、エッジコンピューティングなどにより、大量生産・大量廃棄の事業モデルを変革、そしてデジタル社会でのエネルギー抑制を支援していきます。

当社は、G20金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の最終報告書「気候関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に2018年に賛同しました。TCFDのフレームワークに沿って、気候変動問題への取組みを開示します。

 

〔ガバナンス〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織のガバナンス

当社は、2008年に「2050年までに自社製品のライフサイクル全体におけるCO2排出量を2005年度比で80%削減する」という目標を設定し取締役会で承認しました。2017年には、顧客、取引先を中心とするステークホルダーとともに、当社の製品・事業に直接かかわるCO2よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する「カーボンマイナス」を目標に追加しました。そして2020年には、長期の経営ビジョンにおいて当社が取り組むべき5つのマテリアリティの1つとして「気候変動への対応」を設定すること、気候変動への対応の目標としてカーボンマイナスの達成時期を2030年へ前倒しすることを取締役会で承認しました。

また、当社では、代表執行役社長が気候変動問題に対する最高責任と権限を有し、気候変動を含む環境マネジメントの有効性について責任を負うものとしています。そして代表執行役社長から任命された役員(グループサステナビリティ責任者)が気候変動問題を含む環境マネジメントを推進し、中期計画を作成するとともに、その進捗状況について課題検討会、経営執行会議および取締役会へ定期的に報告し、経営課題として審議しています。またグループサステナビリティ責任者は、環境マネジメントの進捗状況や気候変動問題を含む課題について、代表執行役社長及び取締役会議長、取締役会に設置された監査委員会へ毎月報告しています。監査委員会は代表執行役社長を中心とした環境マネジメント全体の執行状況を継続的に監視・検証しております。2021年度は、5月に開催した取締役会で、サステナビリティ経営の中期的な取組みとして、5つのマテリアリティの1つである「気候変動への対応」のゴールと重点活動について報告しました。また、12月に開催した監査委員会で、「気候変動への対応」を含めたサステナビリティ経営の仕組みと管理プロセスについて報告しました。取締役会の監督のもと、中期サステナビリティ計画の推進を実施しています。

 

〔戦略〕 気候関連のリスク及び機会に係る組織の事業・戦略・財務に対する影響

気候変動の物理的影響が顕在化し地球環境が破壊されれば、経済や金融に混乱を引き起こす可能性があると言われております。これは、当社の事業にとってもリスクであると認識しています。一方、ビジネスを通じて環境課題を解決することで機会を創出することができ、企業の持続的な成長へつながると考えています。当社は、最先端の技術を積極的に取り込み、強みとする画像IoT技術とデジタル入出力の技術を融合させることで、気候変動を含む社会課題の解決に寄与するソリューションを生み出すデジタルカンパニーへの業容転換を進めています。

そして、2020年度に策定した長期の経営ビジョンにおいて「気候変動への対応」をマテリアリティとして特定し、2030年までに「カーボンマイナス」を実現することを目標に設定しました。モノからコトへ、顧客への提供物が変化していく中で、製品プロダクツに関わるCO2排出量だけではなく、サービスを加えてCO2を削減し事業成長につなげることを目指します。この目標をバックキャスティングし、気候変動対策に関わる中期目標及び年度計画を、製品の企画・開発、生産・調達、販売などの事業中期計画と連動させることで、ビジネスを通じてカーボンマイナス目標の達成を目指しています。

 

<気候変動シナリオ分析の実施と結果>

地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定の合意のもと、世界全体が加速的かつ野心的に低炭素社会へ移行する可能性があります。一方、移行が思うように進まず世界各地で気候変動の著しい物理的影響が顕在化してしまうおそれもあります。当社では、この2つのシナリオを想定し、将来にわたり当社グループの業績に影響を及ぼす事業リスクと、気候変動における課題の解決に先手を打って対応することで創出できる事業機会を、それぞれ特定しています。

シナリオ分析を行う際の枠組みとして、気候シナリオ分析の対象事業分野の特定、重要な気候関連リスク及び機会の特定、気候変動に関する既存の科学的シナリオの検討、シナリオに対するリスク及び機会とその財務影響の検討と明確化、今後の対応の方向性・方針・戦略の検討のプロセスを経て実施しています。

 

●気温上昇が2℃以下に抑えられ、世界全体が低炭素社会へ移行した場合

 

気候変動の「リスク」への対処

当社への影響

財務

影響

時間軸

対処

調達・製造コストの上昇

・ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求

短期

生産・研究開発・販売拠点における再生可能エネルギー由来電力の導入

・化石資源・化石燃料の代替化

長期

CO2フリー燃料の導入検討

・新たな排出規制・税制への対応

短~中期

省エネ生産技術開発

製品開発コストの上昇

・新たな製品エネルギー効率規制と市場への対応

短期

環境ラベル新基準相当の製品省エネ設計、公共調達・入札要件への対応

製品サービスの需要変化による売上減少

・オフィスにおける紙への出力機会の減少

短~中期

ペーパーレス事業へのビジネス転換

・非持続的な資源利用、非再生利用設計による製品競争力の低下

中期

再生材の利活用、製品3R設計

 

気候変動の「機会」への対処

当社への影響

財務効果

時間軸

製品サービスの需要変化による売上増加

・データセンターの利用を最小化するエッジコンピューティング

中期

・無駄な生産を抑えるオンデマンド生産プロセス

短~中期

・多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス

短~中期

・エネルギーを削減する材料加工プロセス変革ソリューション

短~中期

・シェールガスなどパイプラインの漏えい検査システム

短~中期

・企業の環境・サステナビリティ経営を支援するエコシステム

短~中期

・使用済み樹脂の再生材化技術

短~中期

 

●気温上昇が2℃を超え、気候変動の物理的影響が顕在化した場合

 

気候変動の「リスク」への対処

当社への影響

財務

影響

時間軸

対処

生産能力減少による収益減

・気候パターンの変化にともなう自然資源の供給量不足・供給停止

長期

特定の自然資源に依存しない製品開発

・大規模気候災害の発生にともなうサプライチェーン分断

中期

事業継続管理(BCM)の構築、消耗材の域別分散生産及び供給、人・場所・国・変動に依存しない生産体制

・水資源の枯渇・取水制限

長期

生産・調達拠点の水リスク評価、水使用量の削減

製品サービスの需要変化による売上減少

・異常気象および森林火災の発生にともなう森林資源へのアクセス制限

長期

ペーパーレス事業へのビジネス転換

 

 

気候変動の「機会」への対処

当社への影響

財務効果

時間軸

製品サービスの需要変化による売上増加

・急性的な異常気象・自然災害への防災・減災に貢献する画像IoT・センシングソリューション

中期

・災害医療現場における画像診断を活用したヘルスケアソリューション

中期

 

これらのシナリオ分析結果を踏まえ、売上比率の高い複合機を中心とした従来のモノ売りから“as a Service”モデルへ転換しDXを中心とした事業成長を見込める経営計画を策定しました。そして、長期の経営ビジョンにおいてコニカミノルタが取り組むべき5つのマテリアリティの1つとして「気候変動への対応」を設定すること、気候変動への対応の目標としてカーボンマイナスの達成時期を2030年へ前倒しすることを取締役会で承認しました。また、低炭素社会への移行を実現するべく、製品ライフサイクルCO2排出量の削減、カーボンマイナス貢献量、及び再生可能エネルギー由来電力利用率の各目標のさらなる前倒し達成を検討しております。

 

なお、当社の気候変動に関するリスクと機会の詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

〔リスク管理〕 気候関連のリスクを識別・評価・管理するために用いるプロセス

当社は、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置づけ、中長期的な視点でリスクを評価しています。短期・中期的には、気候変動を含む環境リスクをグループ全体の経営リスクの一つとして位置づけ、リスクマネジメント委員会において管理しています。また、中長期的な観点から、「低炭素社会へ移行した場合」と「気候変動の物理的影響が顕在化した場合」の2つのシナリオで気候変動リスクの影響度と不確実性を評価し、管理しています。

気候変動への対応に関する計画や施策について、四半期ごとにグループサステナビリティ推進会議において審議するほか、リスクの変化度合いを見直すローリング作業を同会議にて毎年2回行い、リスクを再評価しています。計画の進捗状況については、グループサステナビリティ責任者から代表執行役社長に毎月報告されています。また重要な環境課題についても、グループサステナビリティ責任者から執行の経営会議、リスクマネジメント委員会等に報告されています。取締役会では、気候変動への対応に関する経営計画の進捗について定期的に報告を受け、その執行状況を監督しています。

 

なお、当社のリスク管理体制・リスクマネジメントプロセスの詳細は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

〔指標と目標〕 気候関連のリスク及び機会を評価・管理するために使用する指標と目標

当社では、気候変動のリスクと機会を管理する指標として、製品ライフサイクルCO2排出量、及びカーボンマイナス目標を「エコビジョン2050」で定めています。製品ライフサイクルCO2排出量には、スコープ1,2のすべて(生産段階、販売・サービス段階のCO2排出量)と、主要なスコープ3(調達段階、物流段階、製品使用段階のCO2排出量)が含まれます。長期的には2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減、中期的には2030年までに60%削減(科学的根拠に基づく目標としてSBTイニシアチブから認定取得)、短期的には2022年度に53%削減することを目標としています。2021年度は約79万トン、2005年度比で61%削減となりました。また、自社の製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する「カーボンマイナス」を2030年までを期限として実現することを目標としています。また、化石燃料を利用できなくなる将来予測を踏まえ、自社の事業活動で使用する電力の調達を2050年までに100%再生可能エネルギー由来に、中期的には2030年までに30%、短期的には2022年度に10%以上に高める目標を設定しています。2021年10月に発表されたTCFD改訂および補足ガイダンスの内容につきましては、2022年度に検討を進めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

(1)当社のリスクマネジメント体制

 当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメント委員会規則に従い、取締役会で任命された執行役及び執行役員が以下のリスク管理体制の構築と運用にあたっております。

 当社グループの事業活動に関する事業リスク及びオペレーションリスクについては、執行役及び執行役員の職務分掌に基づき各執行役及び執行役員が、それぞれの担当職務ごとに管理することとし、リスクマネジメント委員会はそれを支援しております。また、リスクマネジメント委員会は、グループ経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。

 

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(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況

 当社は、リスクマネジメント委員会を定期的(年2回)及び必要に応じて臨時に開催しております。この委員会では、企業活動に関して抽出されたリスクとその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。2021年度は、同委員会を2回開催し、主に米中摩擦に起因するグローバルでの保護主義的な潮流及び米中のハイテク冷戦に対し、事業に影響度の高い国・地域に適用される制裁や新たな法規制等の定期的なモニタリングを実施しました。2019年度末から影響が拡大した新型コロナウイルス感染症に関しては、感染拡大による経営環境への影響を同委員会で体系的に整理し情報を共有し、各リスク項目の対応状況を確認しました。

 また、リスクマネジメント委員会の協議内容は定期的に監査委員会に報告しております。

 なお、取締役会へは必要に応じて報告が行われ、取締役会を構成するメンバーに月次の報告が行われております。

 地震・台風などの自然災害や火災・爆発などの災害が発生した場合、あるいは、事件・事故などの不祥事案件が発生した場合の対応を誤ると、企業価値の毀損につながる可能性があります。また、インターネットやSNS上の書き込みなどで、企業が批判を受けるリスクが高まっており、ウイルス感染などは一企業のみならず、社会への影響が懸念され、また伝播する速度も速いために、一刻も早い情報収集と、速やかな対応が必要です。さらに、当社の事業領域が製品の販売からITサービスへも広がる中、上記リスクは高まる傾向にあります。

 当社では、リスクが顕在化し企業価値に大きな影響を及ぼす状況を「危機(クライシス)」と定義し、クライシス発生時には上長経由で担当役員と危機管理担当役員へ報告し、さらに担当役員と危機管理担当役員は、代表執行役へ報告を行います。様々なリスクによって発生するクライシスに対し、当社は迅速・適切に対応するためにクライシス発生時の報告ルールを設け、執行役及び執行役員や当社子会社役員等に周知しております。その報告ルールに沿って、世界各地で発生した災害事故、その他のクライシスに関する情報を危機管理担当役員が集中管理しております。

 2021年度は、当社グループ会社である株式会社コニカミノルタサプライズの辰野工場における爆発事故について、最高責任者である代表執行役のもと、危機管理担当役員を委員長とする危機管理委員会及び社内臨時体制により、事故発生の原因究明を第三者機関も交え徹底的に行い、確実に安全な生産体制を実現すべくリスクアセスメントを行った上で、問題がないことを確認し、新工程によるトナー生産を再開しております。

 

(3)事業等のリスク

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクとして、以下で記載しておりますが、これらのリスクは必ずしも全てのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 また、当社は、リスクを「組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と捉えております。リスクを単にマイナスの側面からだけではなく、「機会」としてのプラスの側面からも捉えたうえで、リスクマネジメントを「リスクのマイナス影響を抑えつつ、リターンの最大化を追求する活動」と位置付けております。

 リスクへの対応と機会の考え方は、以降、個々のリスクの項目の中に記載しております。

 記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断したものであります。また「新型コロナウイルス感染症の影響」に関する事項については、本記載項目の最後にセグメントごとにまとめて記載をしております。なお、当該事項のうち将来に関する記載事項は2022年4月末現在において当社グループが判断したものであります。

 最初に、各リスク項目をリスクマップ上にプロットした図を掲載いたします。

 なお、「発生可能性」については、3年以内に発生する頻度・確率より評価。「影響度」については、発生した際に営業利益へ与える影響より評価しております。

 また、「発生可能性」と「影響度」について、前年度より評価が変更されているリスクは、評価欄に矢印を用い、2020年度と2021年度の評価を記載しております。

 

 

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①経済環境に関するリスク

1)経済動向・市場環境

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、複合機やデジタル印刷システム、ヘルスケア用機器製品や遺伝子診断・創薬支援等、計測機器や光学部材、ディスプレイ材料及び関連サービス等を世界中の顧客に向けて提供しております。これらの事業の売上及び損益は各国の景気動向や事業環境に大きく影響を受けます。

 当連結会計年度は、各国の経済政策やワクチン接種者の増加により、世界経済は回復基調を維持しているものの、世界的な経済活動の本格的な再開に伴い、半導体を中心に電子部品が不足するなど、グローバルサプライチェーン上の問題が発生し、また、2021年末にかけて物価上昇圧力が一段と強まりました。

 米国経済は、雇用・所得環境の改善により総じて回復基調を維持しましたが、経済活動回復に伴う需要増加による資源価格の高騰、供給網の混乱による需給の不均衡や労働市場の人手不足などの影響によりインフレ率の上昇が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑制に向けて金融緩和の縮小ペースを加速させています。

 また、欧州連合(EU)では、感染対策と経済活動を両立する動きが続けられ、変動を繰り返しながらも景気回復基調は維持されましたが、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、ロシアからの天然ガス供給は不安定な状況が続きました。

 中国は、不動産市場の冷え込み、ゼロコロナ政策下の経済活動抑制から成長減速が継続しています。特に、2022年3月より中国の主要都市で実施されたロックダウンは、供給面での制約となり、中国内外の物流にも悪影響を与えています。

 昨今のウクライナ情勢が、世界各国の安全保障並びに経済活動に大きく影響し、ロシアが主な輸出国である天然ガスなどの資源エネルギー、ウクライナが主な輸出国である半導体製造用ネオンガスなどの物資の供給が滞ることにより、今後、エネルギー価格の高騰、更なる半導体不足が加速するリスクがあります。また、ウクライナ情勢による欧州を中心とした物流ルートの変更及びロシア産原油の禁輸措置による原油の高騰は、物流コストの高騰につながります。このような地政学的リスクが継続した場合、当社事業に影響を及ぼす可能性があります。

 今後の世界経済は、防疫と経済活動の両立が進む中で景気回復を持続するとみられますが、世界経済の回復ペースは、ウクライナ情勢前と比べて大幅に鈍化し、同情勢のもたらす経済損失は、2022年に世界の経済成長が減速する要因となるほか、欧米での高い物価上昇圧力や米国金融政策、中国のゼロコロナ対策などが引き続きリスク要因として懸念されます。

 また、新型コロナウイルス感染症は、国・地域によって差はあるものの、変異株が出現するなど依然として感染拡大の懸念を残しており、米中の覇権争いに起因するハイテク冷戦の影響なども引き続き懸念されます。

 各国の経済活動が停滞した場合、顧客の投資抑制や経費削減、消費低迷を引き起こし、結果として当社の予想を超えた在庫増加や競争激化に伴う販売価格の下落、新たな機器設置数の減少等、将来にわたり当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、④「新型コロナウイルス感染症に関するリスク」に詳細を記載しております。

 

2)為替レートの変動

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、高い海外売上高比率が示すようにグローバルに事業活動を展開しており、為替レート変動の影響を大きく受ける状況にあります。また、外貨建ての取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する在外営業活動体の換算差額も変動するおそれがあります。ユーロにつきましては、為替レートが1円円安に変動した場合、欧州での利益増により、営業利益に約4億円のプラスの影響を与えます。人民元も同様に、1円円安に変動した場合、中国での利益増により、営業利益に約13億円のプラスの影響を与えます。一方、米ドルについては、1円円安に変動した場合、調達・製造コスト増等により、営業利益に約3億円のマイナスの影響を与えます。

 ●対応策

 為替レート変動の影響を軽減するため、米ドル、ユーロ等の主要通貨では為替予約を中心としたヘッジを行っております。米ドルにつきましては、米ドル建ての調達と米ドル建ての売上を相殺することにより影響を軽減しております。また、2020年10月に、グループ間決済の一部について、金融機関が提供するネッティングシステムの利用を開始し、2022年3月までに全世界への拡大をほぼ完了しました。グループ間決済における支払タームを統一することにより為替エクスポージャーを削減し、子会社が持つ為替変動リスクを当社へ集約することにより為替リスクの集中管理及び効率的なヘッジを行うことを目的としております。

②事業活動に関するリスク

1)デジタルワークプレイス事業 プリント環境の変化に関連するリスク

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 先進国を中心としたオフィスにおいては、紙に代わる情報共有の手段としてタブレット端末やスマートフォン等のデジタル機器の普及加速に加えて、ワークスタイルの変化により、オフィスにおける紙への出力機会が徐々に減少するリスクがあります。それに加えて、新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの普及が、このリスクの顕在化を加速させることも懸念されます。こうした顧客の変化に対応ができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 先進国を中心に紙文書のデジタル化が進み、複合機のスキャン需要やプリント出力のセキュリティ対応や管理強化等のオフィスソリューションのニーズが高まっております。加えてマネージドITサービスや、情報の管理・編集を支援するコンテンツマネジメントサービスの市場も拡大基調にあります。

 また、日本市場においては電子帳簿保存法の改正に伴う中小企業の文書電子化やデジタル庁創設に伴う自治体のDX推進などの機会が増え紙文書のデジタル化に対するIT投資が活性化すると予想しております。

 ●対応策

 当社グループでは先進国オフィスでの出力機会の減少リスクに対処するために、複合機を活用したスキャンサービス、ドキュメントマネジメントサービスの拡大に努めてまいります。またプリント管理サービスにおいても従来のオンプレミス型からクラウド型の対応を行うことでシステム構築のコストを抑えることが可能となり、中小の顧客に対してもサービス導入が容易になります。また、中国・インドをはじめとするまだ成長余力のある国・地域においては、引き続きカラー複合機の設置拡大に取り組んでおります。これらの活動を通じてオフィスでの出力減少による収益減少を最小化する取組みを展開しております。

 また、自治体のDX推進にも取り組んでおり、コア業務とノンコア業務の識別、ノンコア業務のワークフロー改善にAI-OCRやRPAの導入による自動化やプロセスの標準化を提案し、自治体職員の方々の生産性向上に貢献しております。2021年10月に子会社を設立し、さらに2022年3月には株式会社チェンジとの合弁に向けた会社を設立し、当該領域の事業拡大に取り組んでおります。

 以上のようなオフィスにおける出力減少のリスクに対するデジタルワークプレイス事業としての対応に加えて、当社グループとしてオフィスユニットと並ぶ収益の柱を構築していくために、プレシジョンメディシン、計測機器、産業印刷、画像IoT分野への積極的な投資を展開しております。

 

2)各国・各地域の規制

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:中

 ●リスク

 当社グループの事業活動の多くの部分は、北米、欧州及びアジア諸国といった日本国外で行われており、その国や地域固有の法制、規制や承認手続きの影響を受けております。米国と中国の貿易摩擦に端を発する相互関税の引き上げ、技術輸出規制などの経済措置の動向には常に十分な注意を払っておりますが、将来、各国の政府や国際的枠組による規制、例えば税制、輸出入規制、通貨規制、個人情報保護規制、デジタル関税、その他各種規則等が新規に導入される、又は変更された場合には、これらに対応するための費用が発生し、事業活動に支障をきたす可能性があります。特に、個人情報保護規制については、巨大IT企業でのターゲティング広告への規制法案や欧州GDPRなど、各国で法制化、罰則が強化され、当社で推進しているDX関連事業への影響が高くなります。

 さらに、主要国における予期せぬ戦争状態等の発生により、それに対する各国の制裁措置が発動された場合、当社グループが予期しない法制、規制や承認手続きなどの変更に直面するリスクがあります。

 また、当社グループのヘルスケア事業では、事業活動を行っている各国の様々な医療制度や許認可の手続きの影響を受けております。医療制度改革等によって、予測できない大規模な医療行政の方針変更が行われ、その環境変化に速やかに対応できない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 新制度導入や制度改定による市場参入要件の新設・変更に迅速に対応することで、当社にとって販売機会創出あるいは事業継続強化の可能性があります。特に、環境法規制への対応、個人情報保護や情報セキュリティに関する規制への対応は、当社が強みとする環境経営やITサービス・ソリューションに追い風になるものと認識し、対応を進めております。

 ヘルスケア事業では、各国医療政策の情報収集、専門学会等との連携により対応を行なっております。医療政策による先端技術の導入は新たな市場創出へとつながります。

 ●対応策

 各国・各地域の法律・規制の動向、及び地政学的リスクの変化には、常に十分な注意を払い、情報の収集に努めております。各エリアの法務担当者と連携し、海外各地域の実情を把握し、必要に応じ、弁護士、コンサルタント等、専門機関の協力を得て、国あるいは地域ごとにリスクを判断し、対策を講じております。

 ヘルスケア事業は、近年では、診断向上や医師の負担軽減に役立つAIを用いた画像診断の利用が、新型コロナウイルス感染症をきっかけに増大し、かつ、医師偏在の課題解決につながる遠隔医療、未病・個別化医療のニーズを背景にした遺伝子検査等への期待が高まっております。また、がん領域、アルツハイマー病などの新薬開発においては画像診断の活用が重要であり、高度な創薬支援技術(イメージングCRO)が必要とされております。当社のグローバルな顧客基盤を活用し、先進国、新興国の各国の医療事情に応じた対応を進め、最先端の医療サービス実装に向けた取組みを進めてまいります。

 

3)次世代技術変化

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:中

 ●リスク

 温暖化による気候変動・長期化する新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命といったグローバル規模での中長期トレンドの進行に伴い事業環境が大きく変貌する中で、革新的な技術は企業間の競争優位性に大きな影響を持つことが予想されます。当社グループにとって他社に先んじた技術革新は重要な競争優位の源泉ですが、競合他社が先行して類似技術や代替技術を開発し事業活用する可能性があります。グローバルかつ広範な視点で競争優位になり得る革新的技術を開発対象として見定め、迅速・柔軟に市場に提供できなければ、長期にわたり市場でのポジションを喪失する等、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 はじめに、グローバルかつ広範な技術理解に基づいて、競争優位を確立し得るコア技術を的確に見定める能力が重要と考えられます。次に、対象となるコア技術にデジタル技術を駆使して迅速に開発する能力が、開発競争に先んじるためには必要です。さらに、事業に必要な技術を全て自社で用意するのではなく、社外と連携しエコシステムを自ら迅速に再編し柔軟に対応する能力が欠かせないと認識しております。

 当社グループの技術開発力と、各事業において優れた技術を持った企業との連携により、多様化する顧客課題に対応し解決策を導き出す機会を通して、社会に価値を提供できる企業への変革に取り組んでおります。

 ●対応策

 当社グループは、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術とIoT・AIに代表されるデジタル技術というユニークで幅広い技術ポートフォリオを有しております。研究開発拠点が相互に連携して、幅広い技術横断視点で競争優位を確立するためのコア技術を見定め、マテリアルズ・インフォマティクス等データ駆動型の開発手法を駆使して迅速にコア技術を開発してまいります。コア技術とIoT・AIを融合した「見えないものを見える化する技術」をプロダクトとして具現化、デジタルワークプレイス、プロフェッショナルプリント、ヘルスケア、インダストリー各事業を通じて顧客に提供します。また、当社の技術戦略やコア技術資産を外部に積極的に発信し、環境デジタルプラットフォームや画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を介して大学、研究機関、スタートアップ等の幅広いパートナーとエコシステムを構築してまいります。

 これらの対応によって当社グループは気候変動・新型コロナウイルス感染症の拡大・デジタル革命に伴う社会課題の解決に向けたイノベーションを起こし、次世代技術変化のもたらすリスクに対応してまいります。

 

 

 

4)新製品への移行

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループが事業展開する分野は、ハードウエア・ソフトウエアの急速な技術的進歩による製品・サービスに求められる機能の汎用化が早く、製品ライフサイクル期間内であっても性能・サービスの内容・機能の改善が求められる事業分野です。このため、顧客・市場ニーズに対応するため常に革新的な技術開発に挑戦し、多くのリソースを投入し研究開発を行っておりますが、新製品・新サービスへの移行には多くのリスクが内在しております。開発又は生産の遅延、量産初期段階での品質問題、製造原価の変動、新製品導入に伴う現行製品への販売影響、半導体・部品・材料の調達影響など当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、競合他社から当社新製品・新サービスと類似製品・サービスが先行投入されるなど競合他社の新製品・新サービス市場導入時期により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 新製品への移行にとらわれず、取り組んだ技術開発成果を順次、バージョンアップという形式でリリースするプロセス実行比率が増加しております。単に機能の向上や重要問題の対策に留まらず、バージョンアップを起点に製品コストダウン、製造中止を含めた調達困難な部品・材料の切り替え、メンテナンス性の改善を積極的に進め、既存製品であっても常に競争力を失わない取組みを実施しております。

 ●対応策

 当社グループは、新製品・新サービスへの移行・展開において、開発初期の段階から量産に至る各ステップで、試作品、量産前製品、量産品それぞれに対する製品仕様、要求品質、製造コスト、各種規制準拠(安全・環境・セキュリティなど)を中心とした検証とゲート管理を徹底し、最大限の取組みを行っております。特に新製品への切替時期におきましては、開発・生産・品質保証の各部門が一体となった管理体制を敷き、顧客に不利益が生じないことを第一に、その後のサービスを含め顧客価値を高める活動を行っております。

 また、各事業分野において顧客満足度を継続的に高め、顧客ロイヤリティを向上させる一方、競合に対して競争力のある新製品・新サービスの計画的な市場導入を進めております。市場変化の激しい状況下を考え、常に市場動向を観察・分析しタイムリーな計画変更を実施してまいります。例えば、デジタルワークプレイス事業では、複合機を中心に顧客のワークフローの診断・改善につながるソリューションを、プロフェッショナルプリント事業では、デジタル印刷をけん引しジャンルトップとなる競争力の高い商材・サービスを提供してまいります。

 

5)他社との協業、企業買収等について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、事業競争力の強化あるいは効率化の観点から、他社との協業、資本提携・企業買収等を進めております。

 企業買収等に伴い、のれん及び無形資産を計上しており、定期的に減損テストを実施しております。事業環境の変化に伴い、買収対象会社に係る将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合などでは、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 当社グループが実施する他社との協業や企業買収等は、事業競争力強化や効率化を目的とするものであり、事業ポートフォリオ強化にとって有効な手段であると考えております。双方が有する技術、製品、顧客基盤、人財等の経営資源を有効活用していくことにより、持続的な事業成長の機会が得られると認識しております。

 ●対応策

 当社グループは、他社との協業や企業買収等に際して、当社との戦略的適合性、計画の蓋然性、投資額の妥当性、リスク対応等の観点から投資評価を行った上で、投資の可否を見極めております。具体的には、投資回収期間及び投資額等の妥当性判断のため、投下資本に対する期待収益指標として事業別のハードルレート及び中期経営計画ごとの全社加重平均資本コストを基準の一つとして設定しております。

 また、投資実施後のモニタリングとして定期的に投資レビューを実施し、上記の加重平均資本コスト及びハードルレートの達成状況に加え、収益性、市場成長等の観点から投資案件ごとの当社企業価値への貢献状況を見極め、投資時点の計画からの変化に対しても迅速に対策を講じられるようにしております。

 

 

 

6)生産・調達等

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業及びインダストリー事業では、コスト競争力強化と市場への迅速な製品供給のために海外での生産活動を継続しており、重要な活動拠点の一つに中国があります。中国におきましては経済発展とともに法制面改革やインフラ整備等も進んでおりますが、法的な変化、労務政策の難しさ、人件費の上昇、人民元の切上げ、輸出入規制や税制、環境規制の変更等予測困難な事態が発生する可能性があります。主力事業の生産活動の一部を中国で行っている当社グループにとって、これらのリスクに対処できない場合は、当社グループの業績及び成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、特定の製品、部品や材料、及びエネルギーを世界中の複数のサプライヤーから調達する方針を取っております。それらのサプライヤーに不測の事態が発生した場合、当社グループの生産及び供給能力に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの生産活動において使用する鉄やアルミニウム等の金属製品、原油を原料とする石油化学製品、レアアース等の希少天然資源等の原材料価格、及びエネルギー価格の高騰により業績に影響を及ぼす可能性があります。特にウクライナ情勢によって、原材料価格・エネルギー価格に加え物流費の高騰が顕在化しており、その長期化によって影響がさらに大きくなる可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の局所的又は全世界的な感染拡大は、当社グループ内の生産、サプライヤー生産、物流網に至るサプライチェーン全体に影響を与えたことから、今後も新型コロナウイルス感染症の拡大状況によっては、サプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。

 さらに世界的なインフレによる生活費上昇等の影響により、各国の最低賃金切り上げによる労働者の賃金上昇リスクが高まっており、生産コストの上昇につながる可能性があります。

 

(株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場における爆発事故について)

 トナーを生産しているグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場で発生した爆発事故によりトナー供給リスクが顕在化しました。その後、事故原因の究明・再発防止策を実施し、確実に安全な生産体制を実現した上で生産と供給を再開し、現在、事故前の水準までトナー生産能力は順調に回復しております。今後、事故によって減少したトナー在庫を安全水準まで回復させるべく、生産効率の向上など、更なる能力増強策を進めてまいります。

 ●対応策

 当社グループは、生産に関するリスクへの対応及び事業環境の変化に対する柔軟性を向上させるため、日本、中国、マレーシアにおいて製品組立の生産拠点を展開しており、特に近年様々な面で高まりを見せる中国のカントリーリスクへの対応として、生産規模の大きい主力製品を中心に中国外生産の比率を高めております。

 主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの充填を行う拠点として、欧州、北米にも自社生産拠点を展開し、消費地生産による需要変動への柔軟性を確保しております。

 また、主力調達地域である日本、中国、ベトナム、マレーシアにその活動に特化した部門を設置し、調達に関わる各地域の規制、制限、変化などの情報を収集することで、対応の迅速化を図っております。また、サプライヤーでの品質、生産性向上を含めたコストの競争力を高めるためのコラボレーション活動を推進しております。具体的には、品質改善活動をサプライヤーと協業して行うこと、また、当社が保有する生産工程の自動化などの生産技術をサプライヤーに導入することで、生産性の向上と品質、コストの競争力を高めております。

 さらに、主要原材料、電子部品に対し集中的な調達を行い、市況、市場、業界変動の中でも品質、供給、コスト競争力を維持する活動を行っております。ウクライナ情勢に起因する原材料価格・エネルギー価格高騰に対しては商社・サプライヤーとの連携を密にして先読み対応し、調達リスクを回避するとともに価格高騰影響を最小化するよう取り組んでまいります。

 BCP管理体制を開発・品質保証・調達・生産で連携して構築し、活動を継続しております。サプライヤーの材料調達状況、生産稼働状況、出荷などの物流状況を迅速に把握し、早期の課題対応を推進しております。

 また、部品のエリア調達へのシフト加速と代替品の評価・検証から生産投入に至る一連の活動を、開発、生産、品質保証において最優先課題として対応し、リスク回避を継続しており、これらによる事業への影響を抑制しております。

 

 

 

7)グローバルサプライチェーン

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 ●リスク

 当社グループの生産、販売活動の多くの部分は日本国外で行われており、サプライチェーンもグローバルに展

開しております。各国・各地域の物流上の問題が当社グループのグローバルサプライチェーン全体に波及し、供給遅延により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは中国・ASEANでの生産が多く、その拠点からグローバルに供給を行っております。欧米を中心とした新型コロナウイルス感染症の感染拡大下における経済活動優先策により輸出物量は増加しており、各国・各港でコンテナ船のスペース不足、輸送コンテナ不足が発生、長期化しています。さらに各国港湾における新型コロナウイルス感染症拡大の影響により不定期に荷役作業が停滞し、輸送遅延が発生、継続しており、影響の拡大リスクがあります。

 製品の到着地である欧米各港では、輸入物流増加により港湾の作業が追い付かず、コンテナ船の到着遅延が慢性化しております。また、各港でコンテナヤードの混雑が発生しており、当社グループ販売拠点の倉庫への入荷も遅延が発生しております。今後、更なる輸出入物量の増加、並びに、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキが発生すると、これまで以上に国際輸送リードタイムが長期化する可能性があります。結果、販社拠点での在庫不足が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、ウクライナ情勢により、欧州向け航空輸送サービス減少の懸念があり、長期化した場合、航空便を利用した緊急出荷に影響するリスクがあります。さらに中国のゼロコロナ政策による活動制限、特に上海市での影響から、港湾、空港での混雑により輸出物流が滞り、販売拠点への供給に大きなリスクがあります。

 ●対応策

 当社グループの主力事業であるデジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業では、物流実態に応じた販売拠点の在庫見通しシミュレーションを適宜実施しております。将来の在庫見通しに応じて、各地域への供給量の振り分け、物流ルートを柔軟に変更するなど、販売への影響を回避しております。

 また、物流上の問題に対しては、従来取引があるフォワーダーに加えて、各地域のフォワーディング会社と新規の取引を開始し、船のスペース、輸送用コンテナの確保に努めております。また、欧州ではギリシア、北米ではカナダ、メキシコの港を荷揚げ地として新規に設定することにより、輸送リードタイムの短縮を図ると共に、米国西海岸労使交渉決裂によるストライキリスクを最小化しております。

 ウクライナ情勢の影響の回避策として、欧州向けの航空貨物用スペースの一部をチャーターしており、定期的に航空輸送できる体制を構築しております。

 また、上海市における活動制限の影響を受けた港湾課題についても、フォワーディング会社の拡大、上海以外の輸出港の利用、生産拠点からの貨物の優先付けを行い、物流上のリスク回避に努めております。

 当社グループでは、必要なものを必要な時に必要なだけ必要なところへ供給できる、柔軟な物流体制を構築し、引き続き、顧客の満足度向上に努めてまいります。

 

 

 

8)製造物・品質責任

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 当社グループは、国内外のグループ会社や生産委託先にて厳格な品質保証体制を構築し、顧客に対して高い性能と信頼性を備えた製品及びサービスを提供しております。万が一、当社グループの製品あるいはサービスに欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害に対して当社グループは賠償責任を負う可能性があり、またその欠陥に対して多大な対策費用が発生する可能性があります。さらに当該問題により、企業ブランドや製品ブランドが毀損され経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応策

 重大品質問題を起こさない仕組み・取組みとして、品質に関する責任と権限を担う執行役又は執行役員を議長とする「品質保証責任者会議」を設置し、グループ全体の品質マネジメントを統括しております。品質に起因するリスク極小化と顧客満足度向上に向けた方針・計画の推進・進捗確認、情報共有及び是正・改善を行います。さらに各事業では、品質課題についてPDCAサイクルを徹底することで継続的な品質向上に取り組んでおります。

 製品品質に関わる問題が発生した場合、全世界グループ統一の「市場品質速報データベース」に情報を登録することが義務づけられており、登録された情報は即座に品質担当役員と事業責任者へ伝達され、関連部門で共有、必要な対策・情報開示が迅速に行えるようになっております。また、過去に発生した品質問題に対し、原因の解析、対策の実施及び技術・評価基準への反映を行い、再発防止に努めております。また、法的基準よりも厳しい独自の製品安全基準を設けて、製品の様々な箇所について詳細に規定し確認を行っております。これらの施策をより確実に実施するために、「製品安全教育」をグループ展開し、品質マインドの定着に努めております。

 さらに、品質不正を起こさない仕組みとして、当社グループにおいて「品質不正予防ガイドライン」の策定・運用と定期的診断・監査を実施しております。継続的に、ガイドラインの内容や運用の見直し・強化、グループ本社としての指示や教育・啓蒙、各所における好事例共有などを実施し、運用徹底を図っております。

 また、デジタル社会の進展や当社IoTサービス関連事業の拡大に伴い、セキュリティ事故のリスクも高まります。当社グループではリスクの極小化に向け、サービス事業及びセキュリティ対応に関連する社内規程の運用を強化しております。製品セキュリティ事故発生時の対応と脆弱性への対策・予防として、製品の脆弱性に関する情報を全社で一元管理し必要な対応を推進するとともに、公的機関等とも連携するための全社共通組織として「KONICA MINOLTA PSIRT(注)」活動を展開しております。

 

 (注)KONICA MINOLTA PSIRT (Product Security Incident Response Team)、当社グループの製品脆弱性対応チーム

 

 

③その他のリスク

1)大地震・自然災害・感染症等

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、研究開発・調達・生産・販売等の拠点を世界各国に置き、グローバルに事業活動を展開しております。地震、火災、気候変動に伴う大規模な台風、洪水、森林火災等の災害、新型コロナウイルスや新型インフルエンザのような大規模な感染症の発生、また戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合、当社グループの設備等が被害を受け、一時的に操業が停止し生産及び出荷の遅れにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 特に、首都直下、南海トラフ等における巨大地震の発生においては、その影響度を検討して策定した「コンティンジェンシープラン」においても、被害想定を超えた規模で発生する可能性があり得ると考えられます。

 当社グループは、防災対策や事業継続マネジメントを今後も継続して推進してまいりますが、このような事態が発生した場合、機能停止、設備の損壊、電力・水・ガス等の供給停止、公共交通機関や通信手段の停止、サプライチェーンへの被害等により、顧客へのサービスの提供や製品出荷等の停止など、当社グループの事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。

 ●対応策

 当社グループは、災害や、感染症の発生、戦争、テロ行為、サイバー攻撃等が起こった場合の情報を、危機管理担当役員が集中管理し、従業員の安全を最優先として適切な対応をとる体制を構築しております。

 巨大地震をはじめとした日本国内での災害に対しては防災中期計画に基づき、予防・減災対策、応急対策・初動対応、復旧・復興対策の観点でハード・ソフト両面からの対応実践力の向上を図っております。具体的には建物の耐震対策、通信・データ関連の主要サーバーの海外設置、安否確認システム・緊急時情報データベースなどのITによる被災時情報共有基盤の整備等を進めております。大規模災害時には国内に有する約300のグループ拠点について緊急時の情報ネットワークを構築し、被害情報の迅速な収集と、必要な支援や対策を実施できる体制を構築しております。さらに、各拠点で従業員が災害時に命を守るための自律的行動をとれるよう、定期的に実践的な防災訓練や教育を実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による働き方の変化に対応すべく、ITツールを活用し、テレワーク時においても防災体制が機能するよう整備しております。

 また、当社グループでは、事業を継続し企業としての社会的責任を遂行するとともに、顧客が必要とする製品やサービスを安定的に供給するために「コンティンジェンシープラン」を策定し、主要消耗品の生産拠点の分散化によるリスクの低減、調達リスクの高い品目については代替手段の検討、在庫の確保等、対応策の有効性の確認と改善を図っております。各拠点においては、地域の自治体と連携し、自然災害時の避難場所や水及び物資の提供等、地域貢献にも努めております。

 

 

 

2)気候変動・環境規制

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

 ●リスク

 世界全体が低炭素社会へ移行した場合、当社グループは、温室効果ガス排出規制、エネルギー効率規制、欧州サーキュラーエコノミー(循環型経済)に関する規制、炭素税等、新規・追加の環境関連の法規制が厳格化するおそれがあり、追加的義務及び費用が発生する可能性があります。ステークホルダーからの再生可能エネルギー調達の要求が高まることにより、適時及び適切に対応できなければ、投融資及び販売機会の逸失、企業ブランドの低下につながる可能性があります。

 また、気候変動の影響を抑えようと社会・顧客の志向が変化すると、オフィスにおける紙への出力機会の減少、化石燃料や化石資源の代替化による製造・調達コストの増加など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、世界各地で気候変動による物理的影響が顕在化した場合、当社グループは、極端な異常気象や大規模な森林火災等の発生により森林資源の保護に関する規制や社会要求が強まることで、紙原材料の調達が不安定になり事業機会の損失につながる可能性があります。また、気候パターンの変化など気候変動の慢性的な影響が発現すると、自然資源の調達が不安定化し、原材料等の供給量が制限又は一時停止して工場の稼働に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な台風や洪水などの急性的な気候災害が発生すると、当社グループの設備や労務環境が被災し、従業員の就業が困難になる可能性があります。その結果、自社拠点及びサプライヤーで一時的に操業が停止してサプライチェーンが寸断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。

 気候変動をはじめとした地球環境問題の進行は、これら緩和及び適応の局面において将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、大気汚染、水質汚染、有害物質の除去、廃棄物処理、製品含有化学物質、製品リサイクル、容器包装、土壌・地下水汚染等に関する様々な環境法及び規則の適用を受けており、それらの遵守のために必要な経営資源を投入しておりますが、現在及び過去の生産活動、及び開発・販売活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。

 ●機会

 低炭素社会への移行が加速すると、顧客の気候変動に関する課題の解決に貢献できれば、事業機会を生み出す可能性があります。当社グループが培ってきた画像技術とIT技術を融合させ、社会・顧客の移行計画の実現へ貢献する新たなサービスやソリューションを提供することで、売上増大を図ることが期待できます。

 中長期的には、紙に代わる情報共有の手段の需要拡大を見込み、既存の複合機の事業から“as a Service”モデル(プロダクトとDXによる高付加価値サービス)へ変容してまいります。当社の強みである無形資産(顧客接点、技術、人財)と最新のIoTやAI技術を組み合わせた独自のプラットフォームビジネスを確立し、エネルギー負荷や温室効果ガス排出を大きく低減させ、社会全体で高まる脱炭素社会への期待に応えてまいります。

 中期的には、大量生産・大量廃棄など無駄な生産を抑え事業モデルを変革するオンデマンド生産プロセス、紙出力への依存を無くし多様な働き方を支えるコネクテッドワークプレイス、エネルギー及び資源使用量を抑制する材料加工プロセス変革ソリューション、シェールガスなど温室効果ガスのパイプラインからの漏えいを非破壊で検査する画像IoTソリューション、企業の環境・サステナビリティ経営を支援するエコシステム、新たな資源採掘の抑制に貢献する再生プラスチック、バイオ材料の製造・活用技術を提供してまいります。

 短期的には、継続的な省エネルギー活動は、積極的に推進することで自社工場での原価低減に留まらず、取引先やビジネスパートナーと連携することで新たなビジネス機会を創出できる可能性があると考えております。

 一方で、気候変動の影響が発現する場合においても、事業機会を生み出す可能性があると考えております。

 中長期的には、急性的な自然災害への安全・安心への期待から、異常気象・自然災害による影響を未然防止し予防保全型インフラメンテナンスを実現する画像IoT・センシングソリューション、被災時にニーズが高い災害医療現場で活用できるヘルスケアソリューションなど、社会の新たな需要を取り込むことができると考えております。当社グループでは、こうした社会課題の解決に直結した事業を強化しております。

 

 

 ●対応策

 当社グループでは、2050年までに自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量を2005年度比で80%削減するとともに、自社の製品ライフサイクルの範囲外において、私たちが排出するCO2よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する「カーボンマイナス」を実現することを目指しております。2021年度には、自社の製品ライフサイクルにおけるCO2排出量は約79万トン、2005年度比で61%削減まで到達しております。

 低炭素社会への移行に向けて、当社グループでは生産工程の効率化を徹底して追求するとともに、生産技術の開発・改善を進め、CO2排出削減とコストダウンを同時に実現する「サステナブルファクトリー活動」を推進しております。また、自ら培った省エネ技術・ノウハウをデジタル化により提供し、サプライヤーと一体となってエネルギー削減に取り組む「DXグリーンサプライヤー活動」を通じて、サプライチェーン全体でのエネルギーコスト削減とCO2排出削減の最大化を目指しております。また、化石燃料に依存しない再生可能エネルギー社会へいち早く適合し事業運営することが、持続的に成長できる企業の必須要件であるとの考えから、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際リーダーイニシアチブ「RE100」に加盟しております。2050年までに当社グループの事業活動で使用する電力の調達を100%再生可能エネルギー由来にする目標を設定しております。

 気候変動による物理的影響が顕在化した場合への適応策として、主力事業であるオフィス事業、プロフェッショナルプリント事業の消耗品における部品生産及び印刷用トナーの生産及び充填を行う拠点として、日本、欧州、北米に自社生産拠点を複数展開し、消費地で生産して供給するレジリエンスの高いサプライチェーン体制を確保するよう努めております。また、原材料の供給ルートを粗原料まで遡り把握を行い、安定供給リスクが高い原材料は、調達先の複数確保や代替材料検討に取り組んでおります。人・場所・国・変動に依存しない生産方式を確立するデジタルマニュファクチャリング構想に沿って、調達先を選定しております。

 当社グループは、気候変動をリスクとしてだけではなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題を解決していくことを目指しております。また、気候変動による事業影響、機会及びその影響の評価に取り組んでいく姿勢を明確にするため、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、継続的に気候変動の影響の評価及びその情報の開示に取り組んでまいります。

 

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (7)気候関連財務情報開示の新しいフレームワークへの対応」に関連事項を記載しております。

 

 

3)知的財産権

発生可能性:低

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:小

 ●リスク

 当社グループは、製品やサービスの開発の中で多くの技術あるいはノウハウを蓄積し、それらを保護するための知的財産権の取得に努めております。しかしながら、一部の地域・国では、知的財産権を保護する制度やその適正な運用が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似製品を製造、販売することを防止できない可能性があります。

 また、当社グループでは他社の権利を侵害しないように製品等の開発を進めておりますが、見解の相違等により他社の知的財産権を侵害しているとされ、製品等の開発や販売に支障をきたす可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。さらに、現在当社グループがライセンスを受けている第三者の知的財産権の使用が将来差し止められる、あるいは不当な条件に変更される可能性があります。

 ●機会

 当社グループの事業、製品、サービス等により提供される顧客価値の源泉となる独自のビジネスモデル、技術、データ等の知的財産について、特許権等の知的財産権の取得、不正競争防止法によるノウハウ・データの保護要件を満たす管理等、その特性に応じた適切な保護・活用を行うことにより、知的財産を当社グループの持続的な競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。なお、各国の産業構造や事業ライフサイクルに鑑み、当社グループで事業継続するよりも他社で事業化又は事業強化した方がよい場合については、当該事業に関連する特許権等の知的財産権を他社に譲渡又はライセンスすることにより、産業界全体への貢献及び当社グループの収益向上を図っております。

 さらに、知的財産による社会貢献にも積極的に取り組み、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する持続可能な社会の実現を目指す技術移転のための国際的なプラットフォーム「WIPO GREEN」にパートナー企業として参画し、環境技術関連特許群をWIPO GREENに登録することでSDGsの推進に知的財産面から貢献しております。

 また、2020年4月には、新型コロナウイルス感染症の対策支援に向けた企業及び大学間の知的財産面でのプロジェクト「COVID対策支援宣言」に発起人として参画し、新型コロナウイルス感染症の診断、予防、治療等を目的とする行為について、特許権等の権利行使を一定期間行わないことを宣言しました。かかるプロジェクトを通じて新型コロナウイルス感染症のまん延終結へ向けた社会全体の取組みを知的財産面から支援しております。

 ●対応策

 当社グループは、技術等を保護する知的財産権(例えば特許権)を適切に取得・執行することが困難な国・地域においては、商標権等に基づいて、行政機関と協力し模倣品の押収や輸入差し止めを行う、運営業者と連携し模倣品取扱業者の電子商取引(EC)サイトへの出店差し止めを行うなど、様々な方法により類似製品の流通阻止に努めております。

 また、他社の知的財産権に関しては、製品開発の各フェーズにおいて入念な調査・確認を実施し、他社の知的財産権を侵害していないことを商品化の要件としております。万一、見解の相違等により他社から知的財産権の侵害を指摘された場合やライセンス条件の変更等に備え、非侵害の主張やライセンス条件等の交渉・訴訟対応を行うための専門人財を社内知的財産部門に配置するとともに、経験豊富な国内外の弁護士と連携し、事案の内容に応じて適切に対応する体制を整えております。

 これらのリスク対応に加え、知的財産が他社参入障壁の有効なツールであるとの認識に基づき、当社グループの事業成長及び事業ポートフォリオ転換を知的財産面から推進するため、各事業の特性や事業ポートフォリオ上の位置付けに対応して事業ごとに知財戦略を構築し、戦略に沿った知財投資及び知財活動を実行しております。また、これらの知財戦略構築や知財活動の実効性を高めるため、知財人財育成のための戦略と施策を策定・実行し、専門知識・スキルとビジネスセンスを兼ね備えた知財プロ人財の育成に努めております。

 

 

4)人財確保

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:3年以内

影響度:中

 ●リスク

 当社グループの新規事業を中心とした将来的な成長には、優秀な人財の継続的な獲得が欠かせないと認識しております。特に、IoT、AIに代表されるデジタル技術の普及に伴うデータの活用領域が拡大することによる様々なビジネスモデルの変化に対応するためには、DX/IoT人財の強化が必要となります。計画どおりに人財の強化が進まない場合は、当社グループの目指すソリューションビジネスへの転換に影響を及ぼす可能性があります。

 ●機会

 当社グループの強みである約200万の顧客基盤は、優秀な人財を獲得できる機会につながると考えております。すなわち、この顧客基盤から得られる特徴的なデータを分析できるという点が、「仕事の面白さ」を大事にするデータサイエンティストなどのIT人財獲得の上でアドバンテージになります。また、副業やテレワーク等、柔軟な働き方を認めている点も、当社の魅力として訴求できる点となります。

 ●対応策

 IoT人財の獲得にあたり、長期インターンシップを実施しております。この中で、社内研究開発テーマに取り組みジョブマッチングを向上させるとともに、当社の魅力付けを強化しております。

また、2019年、大阪梅田に「Innovation Garden OSAKA Front」を新設、2020年10月、高槻に「Innovation Garden OSAKA Center」を新設し、画像IoT開発の本格的な拠点展開を図り、関西地区での人財獲得を進めております。

 さらに、海外大学での専門性の高い外国籍IT人財を獲得することを目的として、インド工科大学へのリクルート活動を約10年の期間、続けております。これにより優秀エンジニアの獲得につなげるとともに、日本人の技術者にも大きな刺激となっております。

 次に、人財育成においては、今年度より「ファーム戦略」を開始しております。これは、新卒採用において、学生時代に必ずしも即戦力というレベルでなくとも、IT系の素養ある学生に対し、IT専門部門でリアルテーマを通した専門教育を、1年程度の短期集中で実施します。その後、適性を見た上で事業部門に配属するものです。

 また、社内におけるIT人財の認定制度を設けております。各人財がめざすべきハードルを明確にした上で、それに対して必要となるスキル教育プログラムを用意し、社内人財の育成強化を図っております。

 さらに、人事制度を見直し管理職制度の中に「エキスパート」職を新設しました。これにより、ITを含めた専門人財のキャリアアップの道を明確化しております。

 

 

5)情報セキュリティ

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

 ●リスク

 当社グループは、様々な事業活動を通じて、顧客や取引先の個人情報あるいは機密情報を入手することがあります。これらの情報管理につきましては、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏えい等が不測の事情により発生する可能性があります。また、技術、契約、人事等に関する当社グループの機密情報が第三者に漏えい、不正使用された場合も、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 企業を狙ったサイバー攻撃が多発しておりますが、当社グループにおいても、2022年3月に英国の子会社が第三者によるサーバーへの不正アクセスを受けました。この事案を受け、当社グループ全てに対してセキュリティ運用ルールの再徹底を実施しております。

 ●機会

 当社グループは顧客のセキュリティ対策強化の支援にも注力しております。IT管理のサービスとしてネットワークやアプリケーションの脆弱性の監視・管理サービス、リスクアセスメントを行うとともに、複合機からの情報漏えいを防止するためのデータの暗号化、パスワード設定やログ管理の機能、設定状況の監視と通知サービスを行う「bizhub(ビズハブ)SECURE」をグローバルに展開しております。新製品の「bizhub iシリーズ」には、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、全ての文書・FAXデータのウイルスをチェックする機能を搭載しております。オフィス内のITシステムを統合管理する「Workplace Hub(ワークプレイス・ハブ)」には、Sophos社のファイアウォール機能が搭載されており、ネットワークのリスクや脅威の検知と排除、情報漏えいに対応しております。

 ●対応策

 情報管理について、適切な技術対策や社内管理体制の整備、従業員への教育等の対策を講じております。

 また、サイバー攻撃を含むセキュリティインシデントに対応する組織としてCSIRT(注)を全グループで運用し、定期的な訓練を全グループで実施しております。さらに、2020年度に発足させた包括的セキュリティマネジメント体制(Security Management Office)を強化拡大すべくアメリカ、ヨーロッパ、中国、ASEANの各地域にRegional Security Management Officeを設立いたしました。事業の枠を越えて、リスクマネジメントを各地域で実施することによりグループ全体でのセキュリティレベル向上を実現しております。

 新型コロナウイルス感染症の影響によるテレワーク実施者の増加に合わせて、よりセキュリティに配慮した勤務環境を提供する必要があり、暗号化通信による安全なネットワーク環境の提供と、会社指定デバイス以外からの社内環境への接続を制限しております。

 

 (注)CSIRT(Computer Security Incident Response Team)、当社のセキュリティ事故対応チーム

 

④新型コロナウイルス感染症に関するリスク

1)新型コロナウイルス感染症拡大の影響

発生可能性:高

発生する可能性のある時期:1年以内

影響度:大

 当社グループは、グローバルな事業を展開しており、売上高における日本以外の地域の構成比は、80%以上を占めます。そうした事業環境下において、2019年度から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、欧米地域では当社グループの顧客企業の事業活動が停滞し大きく需要が減少したため、当社グループの販売活動の停滞を余儀なくされました。新型コロナウイルス感染症の影響は、感染の規模や収束の時期について、2022年4月末現在において入手可能な情報等に基づいて、当社グループが判断し一定の想定をしております。

 一方、新型コロナウイルス感染症と闘いながら経済活動を再開していく過程においては、医療従事者への一層の支援が必要とされるとともに人々の価値観や働き方にも変化が生じております。パルスオキシメーターの増産による感染者の在宅療養への対応、胸部X線のAI診断支援、遠隔診断支援や「Workplace Hub」を活用した多拠点連携による働き方改革支援、自社実践から得られたテレワークのノウハウ提供等は、これらの社会課題の解決を通じ事業機会拡大も想定されます。

 以下、セグメントごとに、リスク(マイナス側面)と機会(プラス側面)の両面から説明いたします。

 

 ●リスク

(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)

 デジタルワークプレイス事業では、顧客企業のテレワーク導入や事業活動の制限により、製品購入判断や設置の遅延、商談機会の制約や長期化、印刷量の減少が想定され、当社グループの経営成績においてもマイナスの影響がでております。

 プロフェッショナルプリント事業では、企業内印刷等のオフィスドキュメント印刷が減少しております。また

リアルイベントの中止などにより、店頭における販促用の印刷物の需要回復が遅れております。

(ヘルスケア事業)

 病院における一般患者や被検者の減少、当社グループからの病院や製薬企業への訪問が制約されることなどにより、販売の減少がワクチン接種による集団免疫獲得までは継続することが想定されます。

(インダストリー事業)

 顧客企業のFPD(フラットパネルディスプレイ)製造ライン増設の遅延や最終製品の需要増減の影響が想定されます。特に中国の「ゼロコロナ政策」によるロックダウンが発生した場合、当該地区に工場を構える偏光板メーカー、パネルメーカーの工場稼働率に大きな影響が生じます。

(生産・調達)

 新型コロナウイルス感染症拡大とその後の需要回復局面では、当社グループの生産に加え、サプライヤーの企業活動や物流網に至るサプライチェーン全体に影響が及んでおります。サプライヤーの需要回復に向けた過剰稼働による事故や局所的なロックダウンによる生産停止などの発生により、当社グループへの部材類の供給不足、生産への影響が断続的に発生しており、特に中国の「ゼロコロナ政策強化」等により、その影響範囲が拡大・長期化する可能性があります。また、サプライヤーの事業継続コストによる調達品目の価格高騰、もしくは調達の継続が困難と判断された場合の代替品調達に伴う追加費用の発生などが生じる可能性があります。

 ●機会

(デジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業)

 デジタルワークプレイス事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、リモートによる商談や保守サービスに対する顧客の抵抗感が減り、デジタル技術を活用した商談の機会が増加しております。

 例えば、テレワークの導入について悩まれている顧客へ、安全に社内の情報にアクセスできるテレワーク環境の整備、在宅勤務時でも社内に届くFAXを確認できるソリューション、稟議書等の社内ワークフローの電子化等、テレワーク環境を整備するための支援、個々の課題を解決するソリューションを多数、提供しております。

 前期から強化している非対面営業に加えWebinar(ウェビナー)による販売機会の創出や電子商取引サイトを活用した複合機やIT機器、ソフトウエアの拡販に努めております。また、家庭でも使えるコンパクトA4プリンターの商品化を行い、オフィスと家庭でシームレスに印刷・スキャンが可能なサービスを提供してまいります。

 プロフェッショナルプリント事業においては、ニューノーマル時代におけるブランドオーナーによる印刷物購買のオンデマンド化、それに対応するデジタル機活用による効率化推進が、顧客となる印刷会社の経営課題に挙げられており、併せて、アナログ印刷機を稼働するための熟練労働者の確保や後継者育成が新型コロナウイルス感染症拡大以前よりも厳しい状況にあります。このような状況は、スキルレスで印刷を行えるデジタル印刷機の販売に追い風になると考えております。

(ヘルスケア事業)

 ヘルスケア事業においては、ウィズコロナ・ポストコロナのニューノーマル時代において、遠隔医療や分散化診断のニーズが増え、プライマリケアの重要性が高まり、医療施設間連携強化が必要となり、医療サービスデジタル化が加速すると見ております。

 例えば、持続可能な医療環境を支援するX線動画解析、AI読影支援システム、遠隔画像診断システム、医療画像管理と施設間連携をサポートする「infomity(インフォミティ)」、医療従事者の安全確保と作業効率の向上に貢献する生体情報モニタリングシステム、遠隔診療やカウンセリングシステム、従業員健康管理プログラムなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。なお、米国子会社のAmbry社では、2020年7月より開始した地域・企業・医療機関に対するPCR・抗体検査について、2021年度も新型コロナウイルス感染症対策への支援として引き続き取り組んでおります。

(インダストリー事業)

 機能材料の分野においては、新しい働き方の広がりに伴い、需要の拡大が期待されるノートPCやタブレット、スマートフォンなどの中小型ディスプレイ用の部材販売や、中国における大型テレビの需要増に伴う大型ディスプレイ用の部材販売、顧客製造ラインの検査工程の自動化による省人化を支援する当社グループ独自のソリューションなどの販売機会の拡大可能性が想定されます。

 画像IoTの分野においては、AI解析によるサーマルカメラの体表温度測定ソリューションへの高い需要は落ち着いたものの、今後は、製造業、防災、セキュリティ等の領域を中心に、予知保全、安心・安全の確保に向けた遠隔でのモニタリングと人行動のAI解析を組み合わせたソリューションの需要が高まり、販売機会の拡大が想定されます。

 ●対応策

 当社では、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、各国政府・地域の法令・指導に従い、グループで働く人々とその家族、顧客、取引先を始めとする全てのステークホルダーの皆様の健康と安全確保を最優先に考え、感染拡大を防止するとともに、社会や顧客への製品・サービスの提供に支障が生じないよう、生産・物流を含めたサプライチェーン網の維持等にも最大限の努力を続けております。

 特に、生産では以前より自社生産のデジタル化に取り組み、その効果をサプライヤーにも展開することで生産性の向上と品質、コストの競争力強化を進めております。また、BCP管理体制を、開発・品質保証・調達・生産の連携で整え調達リスクの回避を進めるとともに、社内生産及びサプライヤーにおける労働環境整備(感染症防止策の徹底、リモート生産支援などへの対応)も継続しております。サプライヤーと事業環境の共有を継続し、必要な支援をタイムリーに行ってまいります。

 顧客に対しては、特にデジタルワークプレイス事業・プロフェッショナルプリント事業において、顧客ニーズを的確にくみ取り、当社グループが以前から取り組んでいる、自動化、省力化、スキルレスといったデジタル化推進への強みを活かし、顧客の経営課題を解消すべく取組みを進めております。

 日本国内では、従業員に対し以前から推進している在宅のテレワークを引き続き推進し、従業員の高いパフォーマンス発揮のため、きめ細かなITサポートを拡充しております。新型コロナウイルス収束後のニューノーマル時代においても、テレワークとオフィスワークのハイブリッド型の働き方が定着するものと思われ、従業員の様々な労働環境に対応したサポートを進めております。

 従業員が、新型コロナウイルス感染症に「感染しない」、「うつさない」ための行動ガイドラインを作成し、オフィスにおける具体的な取組み(30分単位の室内換気、少人数定員の座席配置、こまめな手洗いやマスク着用等)を継続し徹底しております。さらには、テレワークを続けることで生じる従業員間の意思疎通や生活環境の変化などに起因する従業員のメンタルリスクに対して、相談窓口の設置などのメンタルケアを行っております。グローバル各拠点においても、各国政府など行政の要請に基づいた適切な対応を継続しております。

 

 

(4)継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、当連結会計年度において2期連続して営業損失を計上した結果、当連結会計年度末において、複数の金融機関と締結している一部のシンジケートローン契約等に付されている財務制限条項に抵触しましたが、本書提出日現在において、当該抵触を理由とする期限の利益喪失請求を行わないことについて全ての当該金融機関より承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者の視点による当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びにこれらの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

重要な会計方針及び見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記3 重要な会計方針」及び「同 注記4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績の状況

当連結会計年度(以下「当期」)における経済情勢を振り返りますと、当期第2四半期連結会計期間(以下「当第2四半期」)頃から半導体等の部材不足や物流ひっ迫等が経済活動に大きく影響しました。また、新型コロナウイルスの変異株による感染症が各地域へ再拡大しました。当期第4四半期連結会計期間(以下「当第4四半期」)では感染の影響が徐々に改善され景気は回復傾向でしたが、ウクライナ情勢により経営環境の不確実性が高まっています。米国では個人消費や雇用情勢は堅調に推移し景気はゆるやかな回復基調となりました。中国ではゼロコロナ政策に伴う局地的な活動制限により、継続していた経済成長が鈍化しています。日本では当第4四半期にまん延防止等重点措置の適用に伴い景気回復は鈍化しました。

 

こうした経営環境の下、当期における当社グループの連結売上高は、9,114億円(前期比5.6%増)となりました。当第2四半期から回復基調となり前期比で増収となりました。地域別では、前期比で欧州は約4%、北米は約2%、中国は約12%、日本は約0.3%と全地域で増収となっています。事業別では、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニットは、半導体等の部材不足やマレーシアでの新型コロナウイルス感染症の変異株拡大を受けた工場停止による生産遅延や当第2四半期に発生したグループ会社の株式会社コニカミノルタサプライズ辰野工場の爆発事故、国際的な輸送期間の長期化により製品供給や部材費及び物流費に影響を受けました。この結果、需要に対する製品供給を行うことが出来ず、前期比で約1%の減収となりました。一方で、DW-DXユニットは、欧米でのITサービス等の需要拡大を捉えリカリングビジネスが伸長し、前期比で約5%の増収となりました。プロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニットは、上述のトナー工場事故により、トナーの供給が不足したことが影響しましたが、機器本体と消耗品やサービスなどの需要が回復し前期比で約12%の増収となりました。産業印刷ユニットは、好調な需要により前期比で約46%の増収となりました。ヘルスケア事業のヘルスケアユニットは、日本の病院への販売が好調を維持し前期比で約4%の増収となりました。プレシジョンメディシンユニットは、売掛金の回収見込額を見直したことによる売掛金(及び売上)の減額や、米国内での新型コロナウイルス感染症の再拡大により病院への来院者や治験参加者の減少が生じたため前期比で約8%の減収となりました。今後の成長の柱の1つであるインダストリー事業全体では前期比で約18%の増収となりました。特にセンシング分野では約31%の増収となり、材料・コンポーネント分野は約14%の増収となりました。

 

中期経営計画「DX2022」の最終年度である2023年3月期に向けて、今後の成長に向けた潜在的なリスクを先送りせず、将来の事業計画を保守的かつ慎重に検討した結果、プロフェッショナルプリント事業のマーケティングサービスユニットや、インダストリー事業の画像IoTソリューションユニットにおいて過去の買収により生じたのれんの減損損失109億円を当第4四半期に計上しました。加えて、ヘルスケア事業のプレシジョンメディシンユニットにおける売掛金の回収見込額を見直し、92億円の売掛金(及び売上)を当第4四半期に減額しました。これらの結果、デジタルワークプレイス事業のオフィスユニット、プロフェッショナルプリント事業のマーケティングサービスユニット、ヘルスケア事業のプレシジョンメディシンユニット、インダストリー事業の画像IoTソリューションユニットでは前期比で減益となりました。一方で、「計測・検査・診断」領域であるプロフェッショナルプリント事業のプロダクションプリントユニット、産業印刷ユニット、ヘルスケア事業のヘルスケアユニット、インダストリー事業のセンシング分野、材料・コンポーネント分野は前期比で増益となりました。

これらにより、当期の連結営業損失は222億円(前期は162億円の営業損失)で前期から拡大となりました。税引前損失は236億円(前期は200億円の税引前損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は261億円(前期は152億円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

当社は2020年度から、2030年を見据えた長期の経営ビジョンと3カ年中期経営計画「DX2022」を推進しています。インダストリー事業は当初の計画どおりに進捗しましたが、全社としてはポートフォリオ転換の途上にあります。また、潜在的なリスクを将来に先送りしない考えのもと、過去の買収に関連するのれんの減損を計上したこともあり、2期連続の営業損失となりました。

短期的にはオフィス事業など主力事業の迅速な収益性の立て直しによる安定したキャッシュの創出、中長期的には2025年度までの事業ポートフォリオ転換の完遂、そして、2030年に向けた5つのマテリアリティ(重要課題)、「働きがい向上及び企業活性化」「健康で高い生活の質の実現」「社会における安全・安心確保」「気候変動への対応」「有限な資源の有効利用」に対する価値の創造を実現していきます。

 

セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

 

(自 2020.4.1

(自 2021.4.1

 

 

 

 

至 2021.3.31)

至 2022.3.31)

 

 

 

 

億円

億円

億円

デジタルワークプレイス

売上高

4,652

4,654

2

0.0

事業

営業利益

△27

△62

△34

プロフェッショナル

売上高

1,695

1,947

251

14.8

プリント事業

営業利益

△78

10

89

ヘルスケア事業

売上高

1,090

1,099

8

0.8

 

営業利益

△64

△203

△139

インダストリー事業

売上高

1,182

1,392

210

17.8

 

営業利益

156

185

29

18.7

小計

売上高

8,620

9,093

472

5.5

 

営業利益

△13

△69

△56

「その他」及び調整額

売上高

12

21

8

64.1

(注2)

営業利益

△148

△153

△4

連結損益計算書計上額

売上高

8,633

9,114

480

5.6

 

営業利益

△162

△222

△60

(注1)売上高は外部顧客への売上高であります。

(注2)売上高は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 事業セグメント」に記載の「その他」の外部顧客への売上高、営業利益は同記載の「その他」と調整額の合計であります。

 

①デジタルワークプレイス事業

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オフィスユニットでは、A3複合機の需要は当期第1四半期連結会計期間より継続して回復していますが、半導体等の部材不足とマレーシアでの新型コロナウイルス感染症の変異株拡大を受けた工場停止による生産遅延、また港湾混雑による輸送期間長期化の影響が当第2四半期以降で拡大し、当期末での受注残高は約515億円に増加し、販売台数は前期比でカラー機は84%、モノクロ機は83%、全体では84%になりました。新型コロナウイルス感染症は世界的に拡大と収束を繰り返し、顧客企業での従業員の出社再開状況は、国や地域により異なりますが一定の水準に留まっています。このため、トナー工場の事故によるトナー空輸費用の増加や販売活動の抑制による影響はありましたが、消耗品やサービスなどのノンハードの売上は穏やかに回復が続き、前期をやや上回りました。オフィスユニット全体では、前期比で減収となりました。従来のITサービス・ソリューションユニットとワークプレイスハブユニットをあわせたDW-DXユニットでは、複合機の販売に伴いITサービスを提供するオフィス・ソリューションの分野は、複合機の販売台数減少の影響を受け停滞しました。顧客のIT基盤を一括受託するマネージドITサービスは、米国のセキュリティサービスに対する需要を捉えたことが奏功し、欧米でリカリング収益が好調に推移しました。顧客のビジネスプロセス効率化に貢献するデジタルワークフローソリューションは、米国政府系の顧客向けの売上が伸長しました。ワークプレイスハブは、受注数、顧客平均単価ともに増加しました。この結果、DW-DXユニット全体では、前期比で増収となりました。

これらの結果、当事業の売上高は4,654億円(前期比0.0%増)、営業損失は前述の半導体等の部材不足などによる生産遅延の影響180億円などもあり、62億円(前期の営業損失は27億円)となりました。

 

②プロフェッショナルプリント事業

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プロダクションプリントユニットでは、当期の機器本体の販売台数は、前期比でカラー機は91%、モノクロ機は93%、全体では92%になりました。前述の辰野工場の爆発事故により、当期第3四半期連結会計期間(以下「当第3四半期」)よりトナー供給が不足し、それに伴い既存顧客へのトナー供給を優先するために機器本体の販売を一時的に抑制した影響によるものです。消耗品やサービスなどのノンハードの売上高は、中堅大手の印刷会社を中心に商業印刷需要の回復基調が継続し、新型コロナウイルス感染症が欧米でまん延する以前の水準にまで回復しました。この結果、プロダクションプリントユニットは、前期比で増収となりました。また、ユニット全体での受注残高は当第3四半期末から大きな変化は無く、当第4四半期末も約80億円になりました。

産業印刷ユニットでは、機器本体の販売台数は、日用品の堅調な需要回復や欧州アパレル市場の回復に加え、商業印刷会社でのデジタル印刷へのシフトが進み、インクジェット印刷機、ラベル印刷機、テキスタイル印刷機、デジタル加飾印刷機の全てで増加しました。需要回復による既設機器の稼働率向上に加え、機器本体の好調な販売に伴い稼働台数も増加したことにより、インクジェット印刷機をはじめ全ての分野でノンハードの売上高が伸長しました。これらの結果、産業印刷ユニット全体では前期比で増収となりました。

マーケティングサービスユニットでは、欧州での景気回復、アジアでの新規顧客獲得、及び、主要顧客の販売促進活動の段階的な再開に伴い売上が拡大した結果、前期比で増収となりました。一方、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による販売促進用印刷物需要及び収益性の低下により欧州のKonica Minolta Marketing Services EMEA Limitedの買収により生じたのれんの減損損失15億円を計上しました。

これらの結果、当事業の売上高は1,947億円(前期比14.8%増)、営業利益は10億円(前期の営業損失は78億円)となりました。

 

③ヘルスケア事業

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ヘルスケアユニットでは、DR(デジタルラジオグラフィー)の販売台数は、日本では病院市場を中心に前期を上回り、国外では新型コロナウイルス感染症の診察に用いられる需要の増加を捉え、特にインド、アジア市場で数量が増加しました。また、ベッドサイドでのⅩ線動画撮影を可能にする回診用Ⅹ線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール) TX m01」を世界に先駆けて発売しました。超音波診断装置の販売台数は、国内の整形外科、産科向けを中心に前期を上回るとともに、米州、中国市場でも増加しました。また、新型コロナウイルス感染症の自宅療養者への貸出用途で自治体向けにパルスオキシメーターの販売台数が増加しました。医療ITでは、国内では医療画像管理や施設間連携をサポートするITサービス「infomity(インフォミティ)」の販売が引き続き好調に推移しました。米国ではPACS(医用画像保管・管理システム)の販売の回復基調が継続しています。これらの結果、ヘルスケアユニットは前期比で増収になりました。

プレシジョンメディシンユニットでは、遺伝子検査は、米国での新型コロナウイルス感染症再拡大により病院への来院者数減少の影響を受けていますが、検査数は前期の第3四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症拡大前の水準を超え、以降は回復傾向にあります。また、遺伝子検査の中でも重点施策である生殖細胞系列遺伝子変異を評価するRNA検査は順調に検査数が増えています。検診機関向けサービスの「CARE Program」の検査数は、米国での新型コロナウイルス感染症再拡大に伴い検診機会が減少した影響を受けています。創薬支援サービスは、当第2四半期には新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、製薬会社の治験が再開されましたが、当第4四半期の感染症再拡大の影響により、再度の治験開始と進捗の遅延が生じました。一方で、創薬研究や前臨床の分野では売上が拡大しています。また、子会社であるREALM IDx, Inc.の米国株式市場への上場準備を進めてきた経緯の中で、当期よりREALM IDx社の子会社Ambry Genetics Corporation において、売掛金の回収見込額を、直近回収実績率を基に慎重に見直したことにより、当会計期間末に92億円の売掛金(及び売上)を減額しました。これらにより、プレシジョンメディシンユニットは、前期比で減収となりました。

上記のとおり、ヘルスケアユニットが好調に推移しましたが、プレシジョンメディシンユニットの売掛金の回収見込み額の見直しなどの影響もあり、当事業の売上高は1,099億円(前期比0.8%増)、営業損失は203億円(前期は64億円の営業損失)となりました。

 

④インダストリー事業

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センシング分野(計測機器ユニット)では、光源色向け計測器は大手顧客からの受注やアジアでのディスプレイ需要を着実に捉えて売上が増加しました。物体色向け計測器は中国、米国で売上が好調に推移し、外観計測では自動車製造ライン向け案件が順調に増加しました。また、前期にSpecim社を買収して獲得したHSI(ハイパースペクトルイメージング)技術を活用し、リサイクル向け選別ソリューションの受注を欧州で順調に獲得しました。これらの結果、前期比で増収となりました。

材料・コンポーネント分野では、機能材料ユニットは、大型テレビやIT領域の好調な需要を確実に捉え、液晶テレビ向けの高付加価値製品の販売が堅調に推移しました。年間を通じて新樹脂を含む位相差フィルムや超薄膜フィルムなどの高付加価値製品の販売が伸長し、前期比で増収となりました。IJコンポーネントユニットは、前期から堅調に回復してきた欧州市場において、工業用途及び大判印刷用途の大型注文を獲得しました。また、アジア地域における工業用途等の販売増加により、前期比で増収になりました。光学コンポーネントユニットは、一部の顧客で発生した半導体調達不足により自動車向けなどの販売の伸長が鈍化したものの、プロジェクタレンズや交換レンズなどの販売が堅調に推移し、前期比で増収となりました。

画像IoTソリューション分野では、画像IoTソリューションユニットにおいて、欧州向け監視カメラソリューションの販売が回復していましたが、当第3四半期に新型コロナウイルス感染症の再拡大、また当第4四半期にウクライナ情勢の影響を受けて商談、受注が遅れ、前期比で減収となりました。また、ソリューション開発の遅れ、半導体等の部材の供給制限等が起因し、MOBOTIX AGの買収により生じたのれんの減損損失94億円(同社単体に配分したのれんの減損損失58億円、画像IoTソリューション分野に配分したのれんの減損損失35億円)を当第4四半期に計上しました。一方で、顧客やパートナーと共に社会のDXを加速させていくために、当社の強みであるイメージング技術をベースに最新のIoT、AI技術を融合させた画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」は戦略的パートナー数を約100社に拡大し、ソリューション展開を加速しています。映像ソリューションユニットでは、日本初の8K LEDドームを採用したプラネタリウムを名古屋と横浜にオープンしました。また、デジタル機器販売が好調に推移し、前期比で増収となりました。

これらの結果、当事業の売上高は、1,392億円(前期比17.8%増)、営業利益は185億円(同18.7%増)となりました。

 

(3)財政状態の状況

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

資産合計             (億円)

12,997

13,381

383

負債合計             (億円)

7,490

7,766

275

資本合計             (億円)

5,507

5,615

107

親会社の所有者に帰属する持分合計(億円)

5,398

5,498

99

1株当たり親会社所有者帰属持分    (円)

1,093.98

1,113.71

19.73

親会社所有者帰属持分比率     (%)

41.5

41.1

△0.4

 

 当連結会計年度末(以下「当期末」)の資産合計は、前期末比383億円(3.0%)増加し1兆3,381億円となりました。これは主に、棚卸資産の増加287億円、営業債権及びその他の債権の増加173億円、その他の非流動資産の増加151億円、のれん及び無形資産の増加66億円、その他の金融資産の減少109億円、繰延税金資産の減少67億円、現金及び現金同等物の減少61億円によるものであります。

 負債合計については、前期末比275億円(3.7%)増加し7,766億円となりました。これは主に、社債及び借入金の増加389億円、その他の金融負債の増加84億円、退職給付に係る負債の減少75億円、繰延税金負債の減少64億円によるものであります。

 資本合計については、前期末比107億円(2.0%)増加し5,615億円となりました。

 親会社の所有者に帰属する持分合計は、前期末比99億円(1.8%)増加し5,498億円となりました。これは主に、その他の資本の構成要素(主に在外営業活動体の換算差額)の増加443億円、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上261億円、資本剰余金の減少96億円によるものであります。

 これらの結果、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,113.71円となり、親会社所有者帰属持分比率は0.4ポイント減少の41.1%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

780

374

△406

投資活動によるキャッシュ・フロー

△343

△509

△166

(フリー・キャッシュ・フロー)

437

△135

△572

財務活動によるキャッシュ・フロー

△130

21

152

 

 当期の連結キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー374億円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フロー509億円の支出の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは135億円のマイナスとなりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは21億円の収入となりました。

 そのほかに、現金及び現金同等物に係る為替変動の影響額があり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比61億円減少の1,176億円となりました。

 

 当期における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税引前損失236億円に、減価償却費及び償却費757億円、減損損失及びその戻入益109億円等によるキャッシュ・フローの増加と、棚卸資産の増加による減少173億円等によるキャッシュ・フローの減少により、営業活動によるキャッシュ・フローは374億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出412億円、無形資産の取得による支出197億円、投資有価証券の売却による収入61億円等があり、投資活動によるキャッシュ・フローは509億円の支出となりました。

 

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは135億円のマイナス(前期は437億円のプラス)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 短期借入金の純増加額578億円、社債の発行及び長期借入106億円等の収入と社債の償還及び長期借入金の返済323億円、リース負債の返済192億円、配当金の支払148億円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは21億円の収入(前期は130億円の支出)となりました。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前期比

 

百万円

デジタルワークプレイス事業

251,544

105.5

プロフェッショナルプリント事業

ヘルスケア事業

16,527

99.4

インダストリー事業

129,546

118.3

 報告セグメント計

397,619

109.1

その他

△0

-

合計

397,619

109.1

(注1)金額は、売価換算値で表示しております。

(注2)デジタルワークプレイス事業、プロフェッショナルプリント事業につきましては、共通の設備にて生産を行っておりますので、当該生産拠点における生産実績を記載しております。

 

②受注実績

 当社グループは見込み生産を主としておりますので、記載を省略しております。

 

③販売実績

 販売状況については、「(2)経営成績の状況」において各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

①資本政策の基本的な方針

当社は事業ポートフォリオ転換とDX as a Serviceビジネスモデルの変革に取組み、中長期的な企業価値向上に向けた持続的な成長を支えるための最適な資本政策を実施していきます。

特にキャッシュ・フロー創出力の強化と資本効率(ROIC)の向上を重視し、その実現に向けて、「成長投資の実施」「株主還元の充実」及び「財務基盤の強化」について、これらの最適バランスを目指した資本政策を推進し、資金効率の向上と資本コストを意識した最適な資本・負債構成を目指します。

1)資本効率の向上

資本コストを重視し、資本コストを安定的に上回るROICの向上を目指します。このために、KM-ROIC及び投下資本収益(注)を全社資本効率向上のための両輪と位置付けており、両指標の最大化を通して、継続的な資本効率と企業価値の向上を実現していきます。

2)株主還元の充実

連結業績や成長分野への投資、キャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、配当を基本として利益還元の充実に努めます。自己株式の取得については、当社の財務状況や株価の推移等も勘案しつつ、利益還元策の一つとして適切に判断していきます。

3)財務健全性の担保

当社は、オフィス事業をその顧客基盤を活用したうえで「デジタルワークプレイス事業」へ転換することと、「計測・検査・診断」領域を新たな事業の柱として確立することの『二つの事業転換』を2025年までに完遂させることを最優先課題としておりますが、財務ガバナンスの強化、財務リスクの最小化、資金効率の向上、株主資本の充実により、財務基盤をより強固なものとし、積極的な成長投資を後ろ支えするという考え方そのものに変更はありません。

(注)KM-ROIC:投下資本収益率。事業利益を投下資本で除した比率。事業活動のために投下した資本を使って、どれだけ事業利益を生み出したかを示す指標。

   投下資本収益:事業収益から投下資本コストを控除した収益。どれだけ投下資本コストを上回る価値を創造したかを示す指標。

   投下資本収益の最大化によりROICの向上を図ります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

②資金需要

当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備新設、改修等に係る投資や、将来の成長及び企業価値向上を目的としたM&Aによる投資であります。

③資金の源泉

当社グループの資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行による資金調達であります。

④資金調達についての方針

当社グループは、円滑な事業活動に必要な流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を資金調達の基本方針とし、主に金融機関からの短期借入及び長期借入や社債の発行により資金調達を行っております。社債については、国内社債発行登録枠を有しており、当社の既発行社債の債券格付、発行登録予備格付はともに株式会社格付投資情報センター(R&I)及び株式会社日本格付研究所(JCR)からA格を取得しております。長期資金の調達に際しては、償還や返済の時期を分散することにより借り換えリスクの低減を図っております。また、資金調達は主に当社が行っており、必要資金を関係会社に主にキャッシュ・マネジメント・システムを通じて供給することで資金調達の一元化や効率化を図っております。

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(注)2018年3月31日以降の残高には、ハイブリッドローンが含まれております。格付機関の評価により、資金調達額1,000億円の50%に対して資本性の認定をうけております。

 

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(注)ハイブリッドローンは、2022年10月以降の各利払日に元本の全部又は一部を返済期限(2077年10月)前に返済することが可能となっております。

 

⑤流動性

当社は営業活動によるキャッシュ・フローに加え、複数の金融機関との間で2026年9月末を期限とする1,000億円のコミットメントラインを締結するほか、アンコミットメントベースの融資枠も有しております。

また、当社グループ内の資金の効率化については、日本・北米・欧州・アジアパシフィックの各統括拠点においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、各地域の余剰資金を当社へ集中し一元的に管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化及びガバナンスの向上を図っております。なお、一時的な余剰資金は、安全性が極めて高い金融資産で運用しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、経営理念である「新しい価値の創造」及び経営ビジョンである「Imaging to the People」を掲げ、材料・光学・微細加工・画像の4分野のコア技術を高度化・融合化するとともに、ICT・AI技術を組み合わせることで見えないものを見える化する技術として発展させました。そして、この独自技術を活用することで顧客の課題を解決する新たな製品・サービスを各事業セグメントで開発しております。

当連結会計年度においては、中期経営計画「DX2022」に基づいた基本方針に対応して、「画像IoT技術の強化」、「技術人財のトランスフォーメーション」を技術戦略の基本方針と定め推進してまいりました。

「画像IoT技術の強化」において、Edge Device、Imaging AI、IoT Platformからなる三位一体の技術群で構成される画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を開発・整備し、人行動、検査、先端医療の重点3領域を中心に技術力強化を進めています。「FORXAI」を介してパートナー企業各社が保有するアセットを持ち寄り、Edge DeviceやAI技術をオープンに、かつ素早く顧客にソリューション提供する取組みに多くのパートナー企業に賛同いただき連携が加速しております。

Edge Deviceの開発では、光学技術に材料、微細加工、画像技術も組み合わせた独自のセンサーを開発してまいりました。そして、センシングの対象領域は、可視光領域からX線や近赤外領域に拡大することにより、物体表面だけでなく、内部構造や成分まで検査することを可能にしました。今後、更にImaging AI技術と材料解析技術を組み合わせることで事業領域の拡大を進めます。

人行動領域では、人の姿勢推定と物体検知で当社評価における世界最速クラスのAIアルゴリズムを開発しております。ドイツの子会社MOBOTIX社の最新AIカメラを活用することで、人の体表温度や設備の温度を見える化し、測定データを管理・分析できるモニタリング・ソリューションを開発しました。感染症拡大防止のための体表温度測定、設備機器の劣化や故障の予兆発見、材料や製品の品質管理、温度異常による火災の予防など、温度を面データとしてモニタリングすることで現場のDXに貢献しております。

検査領域では、製品の外観検査、労働安全、在庫管理のワークフローを画像AI技術により自動化しております。

先端医療領域では、X線動画解析ワークステーション「KINOSIS(キノシス)」を、回診用X線撮影装置「AeroDR(エアロディーアール) TX m01」やカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine motion」にも展開しております。

「技術人財のトランスフォーメーション」の取組みでは、画像AI専門のエンジニアとデータサイエンティスト、それらの技術を理解して最適なソリューションを開発するソリューションディベロッパー、これら3つのスキル人財を画像IoT人財と定義し、その育成と採用強化を継続的に進めています。2023年までに1000人まで増員することを目指し、現在は計画どおりの650人に達しました。今後は、欧米での専門スキル人財の採用と、国内でのソリューション開発人財育成を強化していきます。

 

研究開発により創出される技術(発明、アイデア、ノウハウ等)については、特許権の取得に加え、著作権法・不正競争防止法等の各種法制度や契約を利用することにより、知的財産として適切な保護・活用を行い、当社グループの競争優位性の維持、成長のドライバーとしております。

また、中期経営計画「DX2022」を知的財産面から推進するべく、事業戦略・技術戦略と連動した知財戦略を策定し、実行しております。

例えば、上述のX線動画解析ワークステーション「KINOSIS」とカセッテ型デジタルX線撮影装置「AeroDR fine」を組み合わせたデジタルX線動画撮影システム(注)については、顧客起点による価値の把握を進め、キーとなる技術に対して早期権利化対応など戦略的な権利化施策を実行することにより、特許ポートフォリオの強化を進めてきました。この結果、下図に示すとおり、特許の数だけでなく特許の質も加味した知財資産の価値が、大きく向上し、顧客への提供価値を実現する独自技術を保護する特許群を着実に形成しております。

(注)一般 X線撮影装置は、株式会社島津製作所「診断用 X線装置 RADspeed Pro」を採用しております。

 

「X線動態領域」に関する日本特許(公開特許+登録特許) 2017年12月時点(左)と2022年4月時点(右)のスコアマップ

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(注)株式会社パテント・リザルトの特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて当社にて作成いたしました。円の大きさが各社の特許件数を、横軸が最も評価の高い特許の評価値を、縦軸が特許群全体の評価値を示しております。

 

このような当社画像IoT技術による新たな競争優位領域への知財リソースの集中に加えて、契約戦略の深化とオープン&クローズ戦略を推進し、DXによる高付加価値サービス(DX as a Service)や顧客・パートナーとの協業の拡大を知的財産面から支援しております。

 

持続可能な社会の実現をめざして、省エネルギー、リサイクル可能な環境配慮型製品の開発、使用済み製品の廃材を高機能材料として再活用する技術、バイオマス由来材料を活用する技術の研究開発を進めています。複合機の本体や消耗品(トナーなど)に使う石油由来材料を再生材料へ転換し、プラスチック由来CO2排出量の削減を進めていきます。バイオマス由来材料や廃材を複合機などの高機能材料として活用するためには、一般的に石油からのバージン材に比べて性能が低下するとともに製品品質が安定しにくいという課題があります。当社グループが長年使ってきたコア技術の1つである材料技術、成形加工技術を発展させ、材料開発、材料選択、加工技術の組み合わせにより、新しい樹脂開発を進めます。複合機への展開だけでなく、様々な企業と本技術を共有し実用化することで、連携の輪をグローバルに広げ、環境価値の効果を飛躍的に大きくしていきます。

 

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は626億円となりました。そのうち、デジタルワークプレイス事業及びプロフェッショナルプリント事業に係る研究開発費が296億円、ヘルスケア事業に係る研究開発費が111億円、インダストリー事業に係る研究開発費が130億円、その他事業及び基礎研究費用が88億円であります。各事業部門別の研究の目的及び研究成果は以下のとおりであります。

 

(1)デジタルワークプレイス事業

デジタルワークプレイス事業においては、複合機、ITサービス・ソリューション、「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を組み合わせ、各種ハードウェア、ソフトウェア、システムソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施しております。

A3/A4複合機「bizhub(ビズハブ) iシリーズ」のフルラインアップによる、強固なセキュリティ機能により、ウイルスやマルウェアを複合機で検知しオフィス内部の感染拡大を防ぐなど、オフィスのセキュリティ強化を支援します。さらに、リモートメンテナンスによる常時監視・保守や自動アップデートにより複合機が最適な状態に維持されるほか、災害時の早期復旧が可能になるなど、将来にわたって顧客の事業継続をサポートするサステナブルな高品質サービスの提供とあわせて企業のDXを促進しオフィスのITサービスとのタッチポイントとなり、効率的なIT活用を支援しております。

また、働き方改革関連法を受けて顧客の抜本的な働き方改革が求められている中で、当社は、「Intelligent Connected Workplace」構想のもと、働き方改革の自社実践で得た知見とノウハウを集約した「いいじかん設計」支援サービスにより、企業のIT基盤構築、業務プロセスの改善による新しい働き方の実現に向けた「創造じかん」を生み出す支援を続けています。働き方改革実現のためには、企業のDXによるIT活用が不可欠ですが、特に中小企業ではITサポート専任者が不在な企業も多く、IT活用が進んでいるとは言えません。当社は、クラウドプラットフォーム「INFO-Palette Cloud(インフォパレット クラウド)」の複合機連携機能「bizhub essentials」や統合サービスプラットフォーム「Workplace Hub」と複合機の統合型サービスとの連携により、このような顧客の課題解決に取り組んでおります。

当連結会計年度においては、Microsoft Global Managed Partner(グローバルマネージドパートナー)としての新しいステータスを発表しました。グローバルマネージドパートナーとして、共同開発、業界別ソリューション/サービス、そして、対象国の大半の中小企業のデジタルワークプレイスにITクラウドサービス/ソリューションを提供することにより、当社のグローバル戦略の方向性に一層の集中をもたらすという目標を強化しております。

クラウド技術を活用したオンラインマニュアル作成・運用サービス「COCOMITE(ココミテ)」にて、エンタープライズに求められるセキュリティ強化・性能向上などの機能拡充を進めています。また、教育現場のDXを実現する教育機関向けソリューション「tomoLinks(トモリンクス)」を開発し、学習支援サービスを自治体へ展開しております。

 

(2)プロフェッショナルプリント事業

プロフェッショナルプリント事業においては、プロダクションプリント/産業印刷の生産性と印刷品質、自動化・省人化・スキルレスを訴求し各種印刷機やサービスソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、顧客のDX支援によるプロセス改善・リモート化・分散印刷を実現してまいります。

当連結会計年度においては、クラス最高レベルの140ppmの印刷速度で生産性を向上させたデジタル印刷システム「AccurioPress(アキュリオプレス)C14000/12000」」に加え、110ppmの印刷速度の「AccurioPress C7100」」を発売いたしました。中速プロダクションプリント領域において「AccurioPress C14000シリーズ」と同等のオプションを装着でき、好評をいただいている自動品質最適化・検品ユニット「IQ-501」を用いた新機能「バリアブル印刷の自動検査機能」、多機能トリマーユニット「TU-510」を用いた多彩で高画質な後加工の自動化を実現します。さらに、作業者のスキルレベルによらない検品作業の負荷を低減したワークフローで、「AccurioPro(アキュリオプロ)シリーズ」のワークフローソフトウェアとともに、さらに高い生産性を提供いたします。

産業印刷ユニットにおいては、プリントヘッドとインクジェット出力に最適なインク、さらにプリンターの三位一体の開発・展開を最大の特長として、拡大し続ける様々なアプリケーション(出力用途)への対応や、各市場からの高画質・高生産性ニーズに対応する研究開発を強化・推進しております。また、ラベル印刷では「AccurioLabel(アキュリオ ラベル)230」において使いやすさと導入コストで好評をいただき、更なる操作性とスキルレスを追求してまいります。さらに、デジタル箔押し機により、高い信頼性に加え、高い付加価値と生産性を実現するソリューションの提案を行っております。

 

(3)ヘルスケア事業

ヘルスケア事業においては、デジタル診断にフォーカスし、データサイエンスの力をフル活用して「早期診断」と「個別化医療」を実現することで、患者様個々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を追求するとともに医療費の削減に貢献するべく研究開発を推進しております。

ヘルスケア分野では、高付加価値イメージングにより「見えないものを見える化」し、IoTプラットフォームにAI技術による診断支援機能や患者ポータル等様々な高付加価値サービスを搭載・展開するための研究開発を推進しております。

プレシジョンメディシン分野では、遺伝子、タンパク質、細胞、臓器に至る全身をデジタル化し、AIを駆使してバイオマーカーを抽出し適切な診断と創薬支援に貢献し、プライマリケア・個別化医療の領域でデータ解析による疾病メカニズム解明のサービスビジネスを展開するための研究開発を推進しております。

当連結会計年度においては、ヘルスケア分野では、X線動画撮影をベッドサイドでも行うことができる回診用X線撮影装置「AeroDR TX m01」の国内販売を開始しました。患者をX線撮影室まで移動させることなく従来の静止画に加えて動画撮影を可能にし、適切な治療や重症化予防に貢献してまいります。カセッテ型デジタルX線撮影装置では、軽量化、低線量・高画質、把持性を向上した「AeroDR swift」を開発しました。X線撮影作業における医療従事者の負担軽減に寄与してまいります。画像診断ワークステーション「CS-7」では、整形領域で再撮影の要否判断を支援するポジショニング判定支援機能「Positioning i」を搭載し、医療安全と業務効率化に貢献してまいります。胸部単純X線検査領域においても、AI技術により医師をサポートする胸部X線画像診断支援ソフトウェア「CXR finding-i」を開発しました。これにより、医師と患者にとって、より安心できる医療の提供に寄与してまいります。乳がん検診領域では、マンモグラフィー画像における乳房構成(乳腺密度)を判定する乳房構成解析ソフトウェア「Breast Density Assessment(Bda)」を開発しました。本ソフトウェアにより、各人の乳房の特性に応じた「個別検診」の普及を支援し、一人ひとりにとって乳がん検診をよりよいものになるよう支援してまいります。

プレシジョンメディシン分野では、米国Amazon Web Services, Inc.と連携して、個別化医療の米国子会社であるREALM IDx, Inc.のマルチオミックスプラットフォーム「LATTICE(ラティス)」構想のグローバル展開を進めています。「LATTICE」は、遺伝子、病理、医療画像のデータと他の重要な医療情報を組み合わせて、新たな臨床的に重要なバイオマーカーを発見し、次世代の診断検査を創出する画期的な統合診断データプラットフォームです。その解析能力を活かし、グローバルな臨床試験の支援や診断ツールの提供方法を開発してまいります。当連結会計年度から早期発見・治療が難しいすい臓がんのグローバルな研究機関のコンソーシアム「PRECEDE」やパーキンソン病のプロジェクトに参画しました。これら特定の疾病のプロジェクトに参画しながら、解析手法を特定し、統合診断への道筋を切り開いていきます。

 

(4)インダストリー事業

インダストリー事業においては、センシング技術、材料コンポーネント技術、画像IoT技術を活かしたソリューションに至るまで幅広く研究開発を実施し、産業界のバリューチェーン変革推進で顧客と社会に貢献するため、産業のモノづくり最適化と安全・安心を提供してまいります。

センシング分野においては、強みである光・色・外観の計測技術を基盤として、ICT領域や自動車領域に向け、高品質な製品・ソリューションを提供しております。

当連結会計年度には需要が拡大しているICT端末の新規計測ニーズに対応するため、高解像度イメージング輝度計Prometric Y61(Radiant社)等を開発し、さらに、VCSEL(面発光レーザー)やAR・VRデバイス測定用ソリューションの拡充も図りました。また、自動車領域に対しては、燃料電池部材の検査や国内外の主要自動車メーカーの外観検査ニーズに対応したソリューションを開発し提供しております。安全安心衛生領域に対しては、前連結会計年度買収したSpecim社とともにリサイクル・食品分別の産業応用を進めるのと並行し、さらなるセンシング分野の技術応用分野拡大に向けて探索を進めております。

材料・コンポーネント分野における機能材料ユニットにおいては、液晶画面の基幹部材となる偏光板用保護フィルム向けに、従来のTAC製品に加え、新樹脂フィルム「SANUQI」(COP系)、「SAZMA」(アクリル系)等を新プラットフォームとする2.5mの超広幅品等の高付加価値商品の販売及び開発を行っています。また原材料の使用量を減らすことができる薄型フィルムや、サプライチェーンの環境負荷やロスの低減が可能な長尺フィルム商品など、環境に配慮した商品の準備を進めています。

光学コンポーネントユニットにおいては、成長領域である移動体に搭載するセンサーデバイス用レンズや観測観察用レンズ等の小型レンズ開発・製品化に取り組んでおります。光学技術・コンポーネント技術に材料技術を掛け合わせた高機能レンズの開発に注力し事業化推進を図ってまいります。

IJコンポーネントユニットにおいては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、サイングラフィック領域からプリントオンデマンドの商業印刷領域、そしてプリント基板などの工業用途への拡大に向けて、さらなる製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。

画像IoTソリューション分野においては、製造業・防災・セキュリティ等の領域を中心に、予知保全や安心・安全確保に向け、人行動等の複数のAI解析を組み合わせたモニタリング・ソリューションの提供を開始しております。

当連結会計年度においては、大規模プラントの保安・予知保全に貢献するガス監視ソリューションとして、オフサイト配管をはじめとする重要設備・重点監視エリアを広範囲に見守る「パンチルト型ガス漏えい監視システム」、また、業界最小・最軽量で手軽に持ち歩きながら日常点検や災害時の初期スクリーニングの効率化等、点検作業の負担軽減を可能とする「ハンディ型ガス漏えい検査システム」を開発いたしました。ガス監視カメラ映像による顧客の保全・保守活動へのサポートを強化してまいります。

さらに、セキュリティ・ソリューションにおいては、物体を三次元データとして検出し、夜間、太陽光やヘッドライト等の屋外のシーンにおいても、高い検知性能を有する3D LiDARに関し、長距離検出機能の搭載と外乱振動に対する耐振動性能を強化いたしました。顧客が望む幅広い活用シーンに対応してまいります。