当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した「事業の状況」、「経理の状況」等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生または有価証券報告書(2025年3月26日提出)に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(単位:百万円)
(注) 1 コア営業利益は、営業利益から構造改革に伴う費用・減損損失・買収関連費用等、非経常的な要因により発生した損益(非経常項目)を除いて算出しています。
2 EBITDAは、コア営業利益に、減価償却費(使用権資産の減価償却費を除く)および償却費を加算しています。
3 売上高における実質増減率は、為替影響、当中間連結会計期間・前中間連結会計期間におけるすべての事業譲渡影響および譲渡に係る移行期間中のサービス提供に関わる影響、「Dr. Dennis Gross Skincare」の買収前に係る期間の当中間連結会計期間の売上による影響(以下「事業譲渡影響および買収影響」という。)を除いて計算しています。
4 親会社の所有者に帰属する中間利益の対前年中間期増減率は、1,000%以上となるため、「-」と記載しています。
当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における世界経済は、地政学リスクの高まりや経済成長の鈍化に加え、米国の関税政策により先行きへの不透明感が強まりました。
国内化粧品市場は、緩やかな成長となりました。訪日外国人旅行者数の増加の一方、旅行者の消費行動変化や円高等に伴う内外価格差の縮小を受けた購買意欲の低下により、インバウンド消費は減速が見られました。
海外化粧品市場は全体として厳しい状況が継続しました。中国では回復基調はみられたものの、景況感の悪化に伴う低調な消費が継続し、中国海南島などの免税市場では、厳しい市場環境が続きました。欧米化粧品市場では想定以上の成長鈍化となりました。
当社グループは、企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD (美の力でよりよい世界を)」のもと、環境問題やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを中心とした社会課題の解決に向けてイノベーションに積極的に取り組みながら、「Personal Beauty Wellness Company」として、スキンビューティーとウェルネスを融合し、一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業を目指します。そして2030年のビジョン「美の力を通じて人々が幸福を実感できるサステナブルな社会の実現」に取り組んでいます。
当社は2023年より中期経営戦略「SHIFT 2025 and Beyond」をスタートし、グローバルコスト削減のための構造改革主要アクションの完遂と、グロスプロフィット最大化を追求する体制の構築を進めてきました。そして、早期の収益性改善と、その後の持続的な成長をより確実なものとするために、2025年と2026年で実行する「アクションプラン 2025-2026」を策定しました。変化の激しい市場でも安定的な利益拡大を実現するレジリエントな事業構造を目指し、「ブランド力の基盤強化」、「高収益構造の確立」および「事業マネジメントの高度化」に取り組んでいます。その1年目である当期は、2026年のコア営業利益率7%の達成に向けて、優先課題を確実に進めています。
当中間連結会計期間の売上高は前年比7.6%減の4,698億円、現地通貨ベースでは前年比6.1%減、為替影響、事業譲渡影響および買収影響を除く実質ベースでは前年比5.8%減となりました。実質ベースの売上高は、景況感の悪化に伴う消費低下の影響が継続した中国・トラベルリテール事業や、「Drunk Elephant」の苦戦が継続している米州事業を中心に減収となりました。
コア営業利益は、前年に対し41億円増益の234億円となりました。中国・トラベルリテール、欧州、米州事業などの減益を、日本事業での構造改革効果および全社を挙げたコストマネジメントにて一部相殺しました。また、「調整額」は為替変動の影響などにより、増益となりました。
親会社の所有者に帰属する中間利益は、95億円増益の95億円となりました。コア営業利益の増益に加え、前年に非経常項目において主に日本事業の早期退職支援プランに係る構造改革費用を計上したことによる反動も影響しました。
なお、EBITDAマージンは10.3%となりました。
当中間連結会計期間における連結財務諸表項目(収益および費用)の主な為替換算レートは、1ドル=148.5円、1ユーロ=162.1円、1中国元=20.5円です。
また、中間包括利益は、円高による在外営業活動体の換算差額の変動影響により、前年に対し713億円減益し、157億円の損失となりました。
各報告セグメントの経営成績は次のとおりです。なお、報告セグメントの区分方法の変更については「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記」の「5. 事業セグメント」をご参照ください。
(単位:百万円)
(注) 1 当中間連結会計期間より、報告セグメントを従来の「中国事業」「トラベルリテール事業」から「中国・トラベルリテール事業」に変更し、従来「その他」に計上していた㈱イプサの国内販売機能、およびヘルスケア事業の美容食品等の販売機能に係る業績を「日本事業」に計上しています。また報告セグメントの利益又は損失の算定方法を変更しています。変更内容の詳細は「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記」の「5. 事業セグメント」をご参照ください。なお、前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。
2 売上高における実質増減率は、為替影響、事業譲渡影響および買収影響を除いて計算しています。
3 「その他」は飲食業等を含んでいます。
4 コア営業利益又は損失における売上比は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高に対する比率です。
5 コア営業利益又は損失の「調整額」は、主に各報告セグメントに配分していない本社費用、各報告セグメントへの配賦額と実際発生額との差額および原価差額等です。本社費用は、従来「その他」に含めていましたが、当中間連結会計期間より「調整額」に含めており、主に本社機能部門および基礎研究開発部門等に係る費用です。
① 日本事業
日本事業では、経営改革プラン「ミライシフト NIPPON 2025」の実行を通じ、成長性・収益性の高いブランド・商品・お客さま接点へ活動を集中させることで成長の加速に取り組むとともに、固定費低減を進め、収益性改善を着実に進めています。「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「エリクシール」を中心としたコアブランドで力強い成長を実現しました。また、3月に販売を開始した「SHISEIDO」新アルティミューンなど最新技術を搭載した商品が好調に推移しました。一方、インバウンド消費は、訪日外国人旅行者数の増加の一方、旅行者の消費行動変化や円高等に伴う内外価格差の縮小を受けた購買意欲の低下による減速が見られました。
以上のことから、売上高は1,459億円となりました。前年比は0.6%減、事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比0.4%減となりました。コア営業利益は195億円、構造改革効果などにより、前年に対し132億円の増益となりました。
② 中国・トラベルリテール事業
中国・トラベルリテール事業では、景況感の悪化に伴う消費低下の影響を受けました。中国では、「618」Eコマースプロモーションで「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」を中心に大幅に伸長した一方、オフライン全体は厳しい状況が継続しました。トラベルリテール(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)では、中国海南島・韓国において、中国人旅行者の消費低調による厳しい状況が継続し、減収となりました。
以上のことから、売上高は1,739億円となりました。前年比は12.4%減、現地通貨ベースでは前年比10.1%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比10.0%減となりました。コア営業利益は388億円、売上減に伴う差益減を、固定費低減などの構造改革効果により一部相殺し、前年に対し72億円の減益となりました。
③ アジアパシフィック事業
アジアパシフィック事業の国・地域では、タイを中心とする東南アジアや韓国で成長し、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「アネッサ」で増収した一方で、台湾での市場縮小の影響を受け、減収となりました。
以上のことから、売上高は337億円となりました。前年比は2.3%減、現地通貨ベースでは前年比1.0%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比0.5%減となりました。コア営業損失は1億円、売上減に伴う差益減やインフレに伴う人件費の増加などにより、前年に対し10億円の減益となりました。
④ 米州事業
米州事業では、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」、「Dr. Dennis Gross Skincare」が増収となった一方、「Drunk Elephant」は前年比マイナス成長が継続しました。
以上のことから、売上高は515億円となりました。前年比は10.1%減、現地通貨ベースでは前年比7.3%減、為替影響、事業譲渡影響および買収影響を除く実質ベースでは前年比9.0%減となりました。コア営業損失は58億円、売上減に伴う差益減などにより、前年に対し33億円の減益となりました。
⑤ 欧州事業
欧州事業では、新商品を発売した「Zadig&Voltaire」や「narciso rodriguez」等フレグランスが力強い成長となりました。一方で、「Drunk Elephant」の苦戦継続や、前年のシステム導入前の先行出荷による高い成長からの反動が響き、全体としては減収となりました。
以上のことから、売上高は595億円となりました。前年比は5.3%減、現地通貨ベースでは前年比3.9%減、為替影響および事業譲渡影響を除く実質ベースでは前年比3.8%減となりました。コア営業損失は26億円、マーケティング投資の増加や売上減に伴う差益減などにより、前年に対し46億円の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の985億円に比べ170億円減少し、815億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前中間利益(192億円)、減価償却費及び償却費(354億円)、営業債権の増減額(127億円)などの増加項目があった一方、営業債務の増減額(288億円)などの減少項目があったことにより、前年同期に比べて63億円増加の379億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、ITシステムへの投資等の無形資産の取得による支出(122億円)、工場設備への投資等である有形固定資産の取得による支出(106億円)などにより、前年同期に比べて387億円支出は減少し、204億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加(61億円)があった一方、社債の償還による支出(200億円)、リース負債の返済による支出(116億円)、配当金の支払額(40億円)などにより、前年同期に比べて379億円収入は減少し、314億円の支出となりました。
有価証券報告書(2025年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
有価証券報告書(2025年3月26日提出)の記載から重要な変更または新たな発生はありません。
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、133億円(売上高比2.8%)です。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、従業員数に著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、生産、受注および販売の実績について著しい変動はありません。
当中間連結会計期間において、主要な設備の重要な異動または前連結会計年度末において計画中であったものに著しい変更はありません。
売上高については、貿易摩擦による世界経済鈍化など、先行き不透明感の高まりに伴う市場の減速や、「Drunk Elephant」の回復遅れ、日本におけるインバウンド消費の減速など、当初売上成長予想に対しリスクを見込んでいます。一方で、コア営業利益については、売上減リスクからくる差益減、米国の関税政策による影響等のリスク要因はあるものの、グローバルで推進しているコスト構造改革の前倒しや、全社を挙げてのコストマネジメントで相殺し、365億円の見込み達成に向けて引き続き取り組んでまいります。
なお、当中間連結会計期間の営業利益、税引前中間利益、および親会社の所有者に帰属する中間利益は、既に通期の業績予想の額を超えていますが、非経常項目として構造改革費用の計上を下期に多く見込んでいるため、業績予想の修正は行いません。
(10) 資本の財源および資金の流動性についての分析
資金調達と流動性マネジメントの基本方針は、有価証券報告書(2025年3月26日提出)の記載から変更ありません。なお、当中間連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えています。
ムーディーズ・ジャパン株式会社より取得している2025年7月31日現在の発行体格付けはA3(見通し:ネガティブ)となっています。
総資産は、円高による資産の換算額の減少、営業債務及びその他の債務の支払いなどによる現金及び現金同等物の減少、有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ812億円減の1兆2,506億円となりました。負債は、社債の償還などにより607億円減の6,165億円となりました。資本は、配当金支払いによる利益剰余金の減少や、円高により在外営業活動体の換算差額が減少したことなどから、205億円減の6,341億円となりました。
また、親会社の所有者に帰属する持分に対する現預金を除いた有利子負債(リース負債除く)の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオは0.20倍となりました。
当中間連結会計期間末現在において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。