当社グループは、企業理念「香りを原点とする革新的な技術を通して、新しい価値を創造し続ける」を基に、全従業員が共感し目指すことのできる、2040年の当社グループの「ありたい姿」として「Vision 2040」を定めております。「Vision 2040」は「人にやさしく、環境にやさしく」をスローガンとしており、企業としての姿勢、社員としての姿勢を示す4つの理想像を挙げております。
「Vision 2040」
人にやさしく、環境にやさしく
1. 多様な価値観を尊重する
2. 自然と共生し、人々の生活に彩りを与える
3. 夢と誇りを持って未知の世界へ挑戦する
4. 常に高い技術を追求する、かけがえのない会社
この「Vision 2040」の下、社会価値と経済価値を創出し続ける企業グループとなるため、2024年度より中期経営計画「New Global Plan-2(NGP-2)」において3つの基本方針を定め、それに沿った経営を推進しております。
中期経営計画における骨子は次のとおりであります。
NGP-2 3つの基本方針
・ 海外の成長
・ 国内の収益性改善
・ サステナブルな経営
海外での売上高は年々増加傾向にあり、利益面においてもグループ業績全体を支えております。2024年度における海外の香料市場は堅調に伸長し、米州・アジアのフレーバー、欧州のフレグランスの売上高は計画を上回り伸長しました。また、欧米向け医薬品中間体においても出荷が増加しました。事業軸による成長戦略や競争力のある技術を通じて新規顧客やビジネスの拡大へとつなげるとともに、サプライチェーンの最適化を図ることで、引き続き海外の成長を目指してまいります。
2024年度における日本国内の業績は、医薬品中間体の輸出増加や製品構成の最適化を通じて計画を上回り改善しました。フレーバー・フレグランス事業の収益性においても一定の改善がみられたものの、引き続き課題があります。この問題に対応すべく、製品ポートフォリオの適正化、新領域の開拓、費用構造改革などの施策に注力し、日本国内の収益性改善を図ります。
当社グループの持続的な成長や中長期的な企業価値の向上を果たすためには、社会・環境への貢献とともに経営の持続性が重要であると考えております。2021年度より推進しているSustainability2030の実行を通じて社会的課題の解決に取り組むとともに、Vision 2040 に沿った人的資本の価値最大化や業務遂行力の向上により経営基盤の更なる強化を図り、サステナブルな経営を推進してまいります。
NGP-2 3つの基本方針におけるKey Success Factors
各基本方針における重要成功要因として、Key Success Factorsを設定しています。基本方針のもとで、当社が取り組んでいる課題や方向性をステークホルダーに示すとともに、業務との関係性を当社グループの全社員で共有しております。各Key Success Factorsに関連する施策とKPIを設定し、進捗管理を着実に実施してまいります。NGP-2の2年目にあたる2025年度は、初年度の進捗状況を踏まえ、加速度的に施策を進めてまいります。
海外の成長
・ 事業軸の成長戦略
・ 新規顧客の開拓
・ 売上総利益の拡大
・ 海外サプライチェーンの最適化
・ 先端科学による競争力のある技術の創成
国内の収益性改善
・ 売上総利益の最適化
・ 費用の構造改革
・ 新領域の開拓
・ フレーバー・フレグランス製品生産効率性の追求
・ 合成事業生産体制の再構築
・ 国内サプライチェーンの最適化
・ 先端科学による競争力のある技術の創成
サステナブルな経営
・ Sustainability2030の実行
・ コーポレート基盤の強化
・ 人的資本の価値最大化
・ 業務遂行力の向上
・ SDGsへの貢献を意識した製品の開発
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、Vision 2040「人にやさしく、環境にやさしく」に則り、多様な価値観を尊重し、自然との共生を目指しております。そのためにサステナビリティは重要な要素と考えており、グループ全体で戦略的にサステナビリティへの取組みを推進し、公正かつ透明な企業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
取締役会では主に重要な経営課題や戦略についての議論および意思決定が行われており、サステナビリティに関する課題も議題に含まれます。また、当社グループにおけるサステナビリティの方針として、マテリアリティの特定を行っており、取締役会での議論および承認するプロセスとなっています。2018年にはコーポレートとして取り組むべき課題の速やかな解決を推進するため、コーポレート本部を設置いたしました。サステナビリティ諸課題の対応も同本部のミッションの一つとなっており、定期的にサステナビリティ推進会議を開催しております。同会議では、マテリアリティについての評価や議論を行い、その結果は取締役かつ執行役員であるコーポレート本部長より取締役会および経営会議に報告されます。サステナビリティ推進会議にはEHS、人事、品質保証、研究開発、生産・調達・物流の5つの機能を主としたチーム編成のサステナビリティ推進チームが参加しており、各機能は拠点横断的なグローバルな協力体制を構築しております。また、同会議において議論された内容のうち、経営上重要と判断された事項については、取締役会および経営会議に報告され、適切な意思決定および対応がなされています。
① 気候変動
当社グループは、気候変動に対する取組みをマテリアリティの最重要事項に位置づけており、方針や施策について定期的に取締役会で議論しています。なお、エネルギーや温室効果ガスに関する具体的な諸課題については、グローバルEHS委員会で掘り下げた議論・対策の検討を行っています。
当社グループは、サステナビリティにおける重要項目であるマテリアリティを取締役会にて定めています。以下はマテリアリティとそれぞれの戦略になり、中長期計画Sustainability2030にて実行計画を策定しています。
① 気候変動
当社グループは、気候変動に伴うさまざまなリスク・機会を事業戦略上の重要な観点のひとつと認識しており、国際的な枠組みであるパリ協定に沿った事業活動を推進すべく、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿った気候変動戦略を策定いたしました。また、気候変動イニシアチブに賛同し、気候変動に取り組む企業ネットワークにも参加しております。
② 人的資本
当社グループは、世界各地に拠点を有し、多様な人材が活躍するグローバルな企業グループであり、人材の多様性は、事業を行う上で最も重要と考える価値の一つであります。人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針として、グループで共通のダイバーシティ・インクルージョンポリシーを策定し、社内への浸透を進めております。本ポリシーに則り、差別や偏見の排除に努めるとともに、女性、外国籍の方、障がいのある方など、多様な人材の雇用と活躍の推進に取り組んでおります。
当社グループは、環境や社会だけでなく、事業の持続可能性も大切にしております。取締役社長を委員長とし、各本部長によって構成されるリスク管理委員会では、事業継続を阻害する潜在的なリスクを特定し、その予防策を策定・検討しております。特定されたリスクは取締役会で報告され、損失/危険につながるリスクを総合的に評価・判断できるよう、マネジメント体系を強化し継続的な審議、影響の回避や軽減を図る対策を立案しております。
① 気候変動
当社グループは、安定した事業活動を継続するために、重要な事業リスクを定期的に洗い出し、影響の回避や軽減を図る対策に努めています。取締役会が損失・危険につながるリスクを総合的に評価・判断できるよう、リスク管理委員会を設置しており、報告された状況や調査結果を元に事業に伴う経営インパクトの分析・評価と対応策の審議・立案を行っています。
当社グループは、2030年までのサステナビリティの目標・中長期計画として、Sustainability2030を策定しています。以下は戦略とそれぞれの目標になります。
① 気候変動
当社グループは、気候変動に関する目標として、温室効果ガス(GHG)排出量削減目標を下記のとおり設定し、その削減に取り組んでいます。この目標は2021年5月にScience Based Targets initiative (SBTi)からの承認を得ているものです。GHG排出に関しては、2021年5月に取得したSBTi基準に則った目標を下記のとおり設定しております。
・2030年度までに2019年度比でグループ全体のScope1とScope2の合計を27.5%削減する。
・2030年度までに2019年度比でグループ全体のScope3を13.5%削減する。
Scope1とScope2については、エネルギーの効率的利用、再生可能エネルギーの導入、プロセスイノベーション等を通じて、GHG排出量削減を推進しております。Scope3については、バリューチェーン全体でグリーン化を達成するため、サプライヤーとのエンゲージメントや物流の効率化を推進しております。また、気候変動への適応によるビジネスの機会として、グリーンケミストリー、バイオケミストリーにも注力しつつ、イノベーションによる新製品を開発してまいります。
② 人的資本
当社グループは、グループで共通のダイバーシティ・インクルージョンポリシーに基づき、人材の多様性の確保を含む人材育成に取り組み、中核人材の登用においても、ジェンダー・国際性・職歴・年齢等の多様性が確保できるよう努めております。
当社は、仕事と家庭、育児との両立のための制度の充実を図るとともに、女性活躍推進法に基づいて策定した行動計画に従い、女性管理職の育成・意識改革を目的とした研修等を実施しております。管理職に占める女性割合を2025年3月末までに16%以上とするという数値目標を設定しておりましたが、現在18%となっており、目標を達成しております。今後も比率の向上と女性の更なる活躍を推進してまいります。また、グローバルに活躍できる人材育成の一環として、外国籍人材の採用にも積極的に取り組んでおります。現在の外国人管理職は数名程度となっておりますが、今後さらに増加していく見込みです。また、障がいのある方の採用活動を積極的に行うとともに、能力や適性を最大限に発揮し活躍できる環境と、定着を図る雇用制度を進めています。現在の雇用率は1.8%であり、法定雇用率である2.5%の達成に向けて、引き続き取り組んでまいります。その他にも事業の広がりへの対応のため、多様な経験・技能等を有する人材の中途採用に取り組んでおります。過去5年間における中途採用者に占める管理職比率は25%となっておりますが、今後も積極的な登用を進めてまいります。
当社グループは、新入社員から経営層までの職位に応じた研修を実施、それぞれの階層に必要な教育制度を充実させることで、人材の成長を支援し、人的資本の価値最大化を図っております。また、従業員自らの積極的な自己啓発、能力開発への支援を目的として、英語を中心とした語学をはじめ、マネジメントやビジネススキル、資格取得や個人のライフスタイルに関わる内容など、それぞれの興味や必要に応じた通信教育講座を設けております。さらに、仕事と生活の調和を保ちながら充実して働けるよう、育児支援や介護支援など社内環境の整備にも積極的に取り組んでいます。
(注)管理職に占める女性割合及び障がいのある方の雇用率については各国の法規制や慣習の違いを考慮し、連結グループ全体として統一的な数値目標は設定しておりません。そのため、記載されている数値目標は提出会社のものであります。
3 【事業等のリスク】
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応及び仕組み作りを行っております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは「人にやさしく、環境にやさしく」をスローガンとする『Vision 2040』のもと、中期経営計画『New Global Plan-2(NGP-2)』(2024-2026年度)を推進してまいりました。
(経営成績の状況)
当連結会計年度の売上高は、前期比17.0%増の229,207百万円となりました。部門別売上高では、フレーバー部門は、米国子会社において飲料向け等が堅調に推移したことで、前期比9.8%増の119,834百万円、フレグランス部門は、米国子会社において、出荷調整の状況が改善し、前期比18.8%増の74,471百万円、アロマイングリディエンツ部門は、スペシャリティ品が好調に推移し、前期比20.7%増の15,672百万円、ファインケミカル部門は、医薬品中間体等が好調に推移し、前期比84.0%増の17,820百万円となりました。その他不動産部門は、前期比0.1%減の1,408百万円となりました。
利益面では、営業利益は前期比562.4%増の15,341百万円、経常利益は前期比225.3%増の15,311百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比393.8%増の13,325百万円となりました。
セグメントにつきましては、日本は、当社のフレーバー部門において飲料向け等が堅調に推移し、売上高は73,552百万円(前期比1.7%増)となり、アロマイングリディエンツ部門での製品構成の最適化やファインケミカル部門でのセグメント間の内部売上高増加を主因として利益率が改善し、営業利益は4,478百万円(前期比229.5%増)となりました。米州は、前期末に米国子会社で新基幹システム導入に伴い発生した出荷調整の状況が概ね改善した他、製品構成・販売価格・原材料の最適化を通じて売上総利益が改善したことにより、売上高は66,535百万円(前期比32.2%増)、営業利益は2,582百万円(前期比1,514.5%増)となりました。欧州は、フランス子会社及びドイツ子会社等が好調に推移し、売上高は39,324百万円(前期比18.2%増)となりました。製品構成・販売価格・原材料の最適化を通じて売上総利益が改善したことにより、営業利益は2,455百万円(前期は営業損失1,247百万円)となりました。アジアは、シンガポール子会社及びインドネシア子会社等が好調に推移したことにより、売上高は49,794百万円(前期比24.5%増)、営業利益は4,949百万円(前期比122.9%増)となりました。
(財政状態の状況)
総資産は、前連結会計年度末と比較して33,746百万円増加し、262,174百万円となりました。主なものは、現金及び預金の増加17,256百万円、売掛金の増加5,257百万円であります。
負債は、前連結会計年度末と比較して18,232百万円増加し、115,779百万円となりました。主なものは、短期借入金の増加8,033百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末と比較して15,514百万円増加し、146,394百万円となりました。主なものは、利益剰余金の増加11,094百万円、為替換算調整勘定の増加5,341百万円であります。
以上により、自己資本比率は56.5%から55.0%に減少いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より17,251百万円増加し(前期は3,364百万円の増加)、35,585百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、18,922百万円(前期は10,011百万円の増加)となりました。主なものは、棚卸資産の増加3,786百万円であった一方、税金等調整前当期純利益17,690百万円、減価償却費8,114百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の流出は、9,127百万円(前期は6,818百万円の流出)となりました。主なものは、有形固定資産の取得による支出11,302百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、6,882百万円(前期は453百万円の流出)となりました。主なものは、長期借入金による収入12,800百万円、短期借入金の純増加額6,789百万円であった一方、長期借入金の返済による支出9,808百万円、配当金の支払額2,236百万円であります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
当社グループは、受注生産の規模は小さいため、受注実績は記載しておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等
当社グループは、2024年度より中期経営計画『New Global Plan-2(NGP-2)』(2024-2026年度)(以下『NGP-2』という。)に取り組んでまいりました。『NGP-2』においては、3つの基本方針及び重要成功要因(Key Success Factors)を定め、連結売上高及び連結営業利益等の数値目標を設定し、着実かつ確実な達成を目指してまいりました。
『NGP-2』の初年度である当連結会計年度の売上高は、前期比17.0%増(為替の影響を除くと前期比11.7%増)の229,207百万円となりました。フレーバー部門では、米州及びアジアにおいて飲料用香料等が好調に推移いたしました。フレグランス部門では、米州のエアケア、欧州のファインフレグランス、アジアのファブリックケア向け香料等が好調に推移いたしました。アロマイングリディエンツ部門では、当社のスペシャリティ品関連が好調に推移いたしました。ファインケミカル部門では、欧米向け医薬品中間体が好調に推移いたしました。
利益面では、営業利益は前期比562.4%増(為替の影響を除くと前期比538.2%増)の15,341百万円となりました。増収の他、製品構成・販売価格・原材料の最適化を通じて売上総利益が改善いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比393.8%増の13,325百万円となりました。
セグメントにつきましては、日本では、フレーバー部門において飲料向け等が堅調に推移した他、ファインケミカル部門において、米国子会社を経由している医薬品中間体が好調に推移し、増収となりました。米州では、前期末に米国子会社で新基幹システム導入に伴い発生した出荷調整が概ね改善した他、ファインケミカル部門において医薬品中間体が好調に推移し、増収となりました。欧州では、フレーバー部門において、アフリカ市場向けセイボリーが好調に推移した他、フレグランス部門において、ファブリックケア、ファインフレグランス関連が好調に推移し、増収となりました。アジアでは、フレーバー部門において、注力カテゴリーである飲料部門が好調に推移した他、フレグランス部門でも新規製品獲得等により好調に推移いたしました。なお、当連結会計年度の期中平均為替レートは、1ドルは152円と前期比で11円の円安、1ユーロは164円と前期比で12円の円安で推移したため、海外売上高の押し上げ要因となっております。国内売上高は73,552百万円、海外売上高は155,655百万円、海外売上比率は68%となっております。
b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況)
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループにおける主な資金需要は、設備投資資金、運転資金、借入の返済及び利息の支払、配当金の支払並びに法人税の支払であります。
(資金の源泉)
当社グループは、主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入等を資金の源泉としております。なお、当連結会計年度末における長期借入金等の年度別返済予定額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑤連結附属明細表 借入金等明細表」に記載のとおりであります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
不動産の有効活用のため当社所有の東京都大田区蒲田の土地の再開発に関して、当社所有地を日本生命保険相互会社へ賃貸し、同社と協力して共同ビルを建設する旨の「基本協定書」を1990年12月26日に締結し、その後1993年7月30日に「土地賃貸借契約」を締結しております。
また、当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、複数の取引銀行と特定融資枠契約を締結しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※5 特定融資枠契約」に記載しております。
当社グループは、中期経営計画『New Global Plan-2 (NGP-2)』(2024-2026年度)に則り、グローバルマーケットを視野において、食品用香料及び香粧品用香料の開発を進めるとともに医薬品中間体や工業薬品関連製品、機能性材料の開発研究を行ってまいりました。また、研究開発及び他部門間の共同作業によるプロジェクト化や集中化を推進し、研究開発活動の効率化と事業化、グローバル化のスピードアップも図ってまいりました。2022年7月には、既存の事業部と連動する研究所から有機合成とバイオの研究機能を分離、集約することにより、それぞれ分子変換研究所及びバイオデザイン研究所を設立し、8研究所体制の下、コンセプト/プロダクト/プロセスの3つのイノベーションのシナジーによるユニークで優位性のある技術や製品の開発を推し進めております。また、グリーンサステナブルケミストリー推進に向けて、磐田工場内にあるプロセス開発研究所の研究開発設備を増設し、より安全でエネルギー効率の良い製造プロセスの開発基盤も整えております。
グローバルでは、各国の市場特性に合致したビジネス展開を図るためのGSPC(Global Strategy Planning Committee)やマーケティング・CIMR(Consumer Insights and Market Research)と連携しながら、市場ニーズに応える新商品の開発及び次世代新技術の開発に取り組んでおります。SDGs(持続可能な開発目標)に貢献できる研究開発を念頭に置きつつ、環境に配慮した生分解性を有するアロマイングリディエンツの開発、フロー技術や触媒を最大限利用した省エネルギーで洗練されたプロセス開発、食糧問題解決に向けたプラントベース・フードへの取組み、Well-Being貢献を目指した香料の機能性探索等、着実に進めてまいります。欧米を中心とした天然嗜好の高まりへの対応においては、ナチュラルアロマイングリディエンツや天然香料素材の開発等にもさらに注力し、ナチュラルフレーバー素材の開発やバイオによるものづくりを加速させ、バイオエコノミー実現に向けた歩みを確実なものにしてまいります。また、再生可能原料を利用したアロマイングリディエンツの開発強化を視野に、先端のバイオ技術を有するスタートアップベンチャーとのアライアンスも推進してまいりましたが、今後は生分解性を有しバイオベースドカーボン50%以上のアロマイングリディエンツ「Sustainable Scent®」のラインナップ拡充をさらに進めてまいります。
国内では、技術の振興、発展を通して社会及び産業界への貢献にも努めております。当社社外取締役である野依良治氏が2001年ノーベル化学賞を受賞されたことを記念して、2003年より高砂香料国際賞「野依賞」を設けておりますが、2024年度受賞者はミュンヘン工科大学のThorsten Bach教授に決定し、2025年2月18日に開催された2024年度高砂香料国際賞「野依賞」表彰式において、有機合成化学協会の生頼一彦会長より賞状や楯、賞金が授与されました。
こうした研究開発活動は、4つの事業部門毎に独自のシナジー効果を発揮すべく、地域の枠組みを越え横断的に取り組んでおります。2024年度より開始した中期経営計画(NGP-2)を念頭に、さらなる飛躍に向け、グローバルのニーズやオープンイノベーションも取り入れた基盤研究の強化を着実に行ってまいります。
当社グループにおける事業部門別の研究開発活動は、以下のとおりであります。
① フレーバー部門
当部門は飲料、製菓、調理食品等の加工食品に使用されるフレーバーや食品素材の開発を行っております。近年は香料、特に天然香料素材に加え、食品原材料の高騰が加工食品業界全体に多大な影響を与えています。
このような厳しい環境の中、フロリダの果汁メーカー敷地内にあるCitrus Research Center、欧州子会社内に設置したVanilla Research Centerでそれぞれ研究を進める等、天然香料素材の開発に力を入れております。また、より本物感のあるフレーバーの開発を推進し、本格的なテイストを表現したいという要望に加え、シトラス・バニラなどの天然原料への依存度を減らしてコストや調達リスクを抑えたフレーバー、果汁等の最終商品に使用される原材料の低減に寄与できるフレーバーを通じて、顧客のさまざまな課題に応えてきました。加えて低糖、低脂肪、プラントベース食品をよりおいしくするための素材、フレーバー開発に注力しており、Well-Being貢献に取り組んでおります。これらの成果はその価値をわかりやすく伝えるために、それぞれの顧客向けにアプリケーションを開発し、積極的に提案を行っております。
海外におきましては海外子会社の研究体制の強化を進めております。各国の開発部門と連携し、調合香料だけでなく生化学反応を利用した素材をはじめとする、日本で開発された様々な技術のグローバル展開を積極的に行っております。これにより現地顧客の課題解決、日本顧客の海外進出に応えています。
当部門では食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるISO22000を取得している等、商品の安全性に十分配慮し、コンプライアンスを徹底しながら商品設計を行っております。
② フレグランス部門
当部門は商品設計をサポートする、得意先ニーズに合った創香とアイデア提案による販売支援活動の徹底に力を注ぎ、ファブリックケア用(洗剤、柔軟剤)、パーソナルケア用(シャンプー、ボディシャンプー、スキンケア)、室内芳香剤用調合香料の開発を行っております。香料を科学的側面から追求し、基材に対して安定な香料、高い残香性や拡散性を持つ香料や悪臭対策香料、さらには再生可能原料を用いたSustainable Scent®の活用や生分解性に優れた調合香料など、人に優しく環境に配慮した香料開発を積極的に進めております。また、パーソナルケア素材としてヒト型光学活性セラミド、冷温感剤、抗菌活性や消臭効果を持つ素材など、新規機能性素材の開発と拡販を推進しております。「においの生理、心理的効果」に関するエモーショナルな研究分野では、基盤研究部門と連携し、引き続き新商品開発への応用に取り組んでおります。また、自社開発したシステムを用いて、AIを活用した香料処方の作成にも注力しております。
既に各国で導入されている自社開発の香料開発(依頼管理、処方エディター、ライブラリ管理、安全性と各種規制チェック)システムの改善を重ね、顧客対応のスピードアップ、データの拡充、共有化と標準化、法規対応及び安全性確保、グローバル対応等を推進してまいりました。グローバル化する得意先への対応としてミッションチームによる集中的アプローチや共同創香、共同評価方法の導入を行うなど、日米欧亜に拠点を持つフレグランス研究部門の協力により、多様化と効率化を図っております。同時に、消費者のニーズを的確に捉えるためのマーケティング・CIMR部門との連携強化を進めております。
③ アロマイングリディエンツ部門
当部門は新規香料素材の開発を中心に研究を行っておりますが、中期経営計画『New Global Plan-2 (NGP-2)』における基本方針であるサステナブルな経営に対して、「SDGsとグリーンサステナブルケミストリーを考慮した環境に優しい研究開発」ならびに「自然との共生」を掲げ、人にやさしく、環境にやさしいアロマ素材開発を積極的に行ってまいりました。有機合成およびバイオ技術の研究機能をそれぞれ集約することで再生可能原料を用いた香料素材やバイオ生産プロセスなどの研究開発を一層加速し、自社アロマイングリディエンツポートフォリオの更なる拡充、フレグランス及びフレーバー調合香料の差別化の推進に加え、アロマイングリディエンツ販売ラインナップの充実など、トップクラスのグローバル香料会社としての基盤強化をさらに進めております。香料の天然らしさを追求するために、当社のコア技術である触媒的不斉合成技術の応用や、微生物発酵や酵素反応などの生化学的手法を活用し、CHIRAL SWITCHとして光学活性香料を選択的に製造することによって、Chiraroma®のブランドで展開しております。
近年では、従来の化石原料を、植物由来や再生可能原料へと切り替えるBIOSWITCH®を新たに掲げた研究開発を推進してまいりました。また、生分解性に優れ、環境に負担をかけない香料素材や、再生可能原料を用いたSustainable Scent®の香料や新規温感剤、新規冷感剤の開発など新しい機能を持つ化合物の開発を行ってまいりました。さらに、触媒反応を有効に活用したテルペン化合物の新規製造法の確立を目指した研究も進めております。同時にバイオマスや未利用資源のアップサイクリングによるバイオものづくりに関しても、注力しております。
④ ファインケミカル部門
当部門は医薬品中間体のプロセス開発、電子写真感光体(OPC)をはじめとする機能性材料の開発、独自設計した配位子や有機金属錯体を用いた触媒反応の開発を行ってまいりました。
近年では、連続フロー製造技術の導入を行い、医薬品中間体の効率的製造法の開発に成功しております。連続反応装置は制御が難しい反応にも有効です。例えば、これまで大量に扱うことが困難であったLithium Aluminum Hydride (LAH)を用いる還元反応を、Continuously Stirred Tank Reactor (CSTR)装置を活用することにより安全かつ効率的に行う技術を2018年に確立し、今日まで安定的にトンスケールでのGMP製造を行っております。
触媒反応の利用は「グリーンケミストリーの12箇条」の一つであり、原材料、廃棄物、エネルギー消費を削減するだけでなく、より安全な原料の使用を可能にします。新たな触媒反応の開発に加えて、配位子や触媒の製造プロセスの最適化および触媒使用後の貴金属回収についての取組みを強化しております。当社で開発したBINAP、SEGPHOS®、BRIDP®等の配位子やRu-MACHO®、DENEB®、RUCY®等の有機金属錯体触媒は自社内で使用するだけでなく顧客への販売も行っております。
研究開発活動は神奈川県平塚市を中心とする当社の研究開発全部門307名のスタッフと、米州、欧州、アジア各地の海外子会社の研究所656名及び国内子会社の研究所3名のスタッフとの連携で行ってまいりました。また、当社グループの研究開発費は、日本