第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当企業グループは次に掲げる「経営理念」のもとに、経営・業務を変革し、お客様第一に徹した企業を目指しております。

① 高い倫理性を持ったオープンでフェアな企業活動を通じて、社会から信頼される良き企業市民を目指す。

② 時代を先取りした研究開発に努め、将来にわたりお客様の期待に応え、新たな価値を創造する。

③ 安全・環境・品質・リードタイム・コスト全ての面でトップを目指したオリジナルな製品・生産プロセスを実現する。

④ 労使相互信頼を基本に、一人ひとりが個性と能力を発揮し誇りを持って働くことができ、自らの成長を実現・実感できる企業風土を作る。

 

(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当企業グループは、将来の持続的成長を念頭に置き、2015年に「2020年ビジョン」を策定、グループ各社の強み

弱みおよびグループ間の役割分担を踏まえ、販売面、技術開発面、生産面の重点戦略を実施してきました。

 しかし、フィルム製品の拡販などが一部の車種へ採用されるなど既に効果は出始めているものの、目標達成には当初の想定以上に時間がかかる見通しとなりました。今後、決算説明会などを通じ、経営見通しについて説明を行っていく予定です。

 今後の見通しにつきましては、依然として続く世界的な半導体供給不足に加え、ウクライナ情勢や円安の影響による資源価格の更なる高騰などにより、景気の先行きは厳しさを増しております。

 当企業グループにおきましても、原材料・燃料価格や輸出に係る物流費の高騰の影響が非常に大きく、収益環境は大幅に悪化しております。このような状況の中、材料や費用などのムダの徹底的排除や今まで以上の負荷変動にも対応できるものづくりにより、収益の確保に努めてまいります。さらに、DXによる働き方改革や生産の効率化などにより、競争力を向上してまいります。

 また、カーボンニュートラル達成に向け、今後、環境にやさしい商品を開発し、環境に負荷を与えない資源循環型の会社を目指してまいります。加えて、SDGsに取り組み、地域社会との共生を図ってまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。但し全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予測できない、または重要が低いと判断したリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当企業グループといたしましては、これらのリスクを最小化するための様々な対応を行っております。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1)新製品開発力

 当企業グループにおける売上のかなりの部分は、車両用内装表皮材の販売に依っております。塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系といった製品が主流となっております。各製品群の市場ニーズに合わせた製品開発が必要となっており、価格、性能、意匠といった全般的な取り組みが必要となっています。市場ニーズに合わせた製品開発をタイムリーに実施できずに競合先の製品への置き換え等で受注が減少した場合、当企業グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)公的規制

 当企業グループは国内外での事業展開にあたって諸般の公的規制を受けております。中でも、日本国内での環境関連法規制については、2006年4月1日に施行された大気汚染防止法の揮発性有機化合物(VOC)排出規制により既存設備について2010年3月末に法規制対策は完了済みでありますが、今後の法規制見直し如何によっては、規制遵守のためのコスト増加につながる可能性があります。また海外においても同様の規制が強化されており、対策は実施しておりますが、今後さらに見直しがなされた場合には追加コストの発生や生産能力の低下に繋がる可能性があります。

 他に当企業グループが使用している原材料が、各国の公的規制により使用できなくなる可能性があります。事前の情報収集により当該原材料を使用しない製品の開発など対策は実施しておりますが、開発費や設備投資、原材料切り替えのためのコスト増加に繋がる可能性があります。

 

(3)災害等による影響

 当企業グループは製造ラインの中断による潜在的なマイナス影響を最小化するために設備における定期的な災害発生防止検査と点検を行っておりますが、生産設備で発生する災害、またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従って、大規模な地震やその他の事象によって操業を中断する場合、各製品の生産能力が大きく低下する可能性があります。

 

(4)感染症等による影響

 当企業グループは、国内外で事業活動を行っております。大規模な感染症などの発生により自動車市場や住宅市場が悪化した場合、当企業グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また、社員の感染により操業の一部または全部の中断があった場合、原材料の供給元での生産阻害による原材料の不足が発生した場合、各製品の生産能力が大きく低下する可能性があります。

 

(5)特定の取引先への依存

 当企業グループは、車両用内装材を主にトヨタグループ向けに販売しており、当連結会計年度の売上高に占める同グループへの割合は約50%となっております。そのため、同グループの自動車生産および販売動向によっては、当企業グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在のトヨタ自動車㈱による当社の議決権の所有割合は、直接所有割合34.7%、間接所有割合0.0%であります。

 

(6)原材料の仕入れ

 当企業グループの主原材料が、石油関連であるため、原油/ナフサ価格の変動や需給の状況が当企業グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当企業グループの生産は、原材料を複数の供給元に依存しております。当企業グループは、供給元と基本取引契約を結び、原材料の安定的な取引を安定的な生産の前提としておりますが、供給逼迫による世界的品不足や供給元の不慮の事故、自然災害による供給元の設備損傷や物流への影響などにより、原材料の不足が生じないという保証はありません。その場合、生産の遅れを招き、また、原価を上昇させる可能性があります。

 

(7)為替レートの変動

 当企業グループの事業には、海外における製品の生産・販売が含まれております。一般的に現地通貨に対する円高は当企業グループの事業に悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。為替レートの大幅な変動は、当企業グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。

 

(8)減損

 当企業グループでは、実施した設備投資がその後の市場環境の変化などにより投資回収期間が長期化する見込みとなることで、減損損失を計上するリスクがあります。

 

(9)得意先の経営破綻

 当企業グループは、国内外の様々な国で事業活動を行っております。貸倒リスクに対しましては、得意先の情報収集に基づく与信管理を実施しておりますが、予期せぬ経営破綻などによる損失により、当企業グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)国際活動および海外進出

 当企業グループは、様々な国で事業活動を行っております。その国々における予期しない政治的要因、テロ・戦争などの社会的混乱、経済状況の変化などは当企業グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報セキュリティリスク

 当企業グループは、情報共有や業務効率化のため、情報システムを構築・運用しています。情報システム運営上の安全性確保のため、サイバーセキュリティリスク等を考慮し、危機管理対応の徹底に取組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスや、コンピューターウィルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備の損壊・通信回線のトラブルによる情報システムや製造の停止等のリスクを完全に回避できるものではなく、被害の規模によっては当企業グループの経営成績および財政状況に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」と

いう。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益は回復傾向にありましたが、年間を通した新型コロナウイルス感染症の影響、半導体供給不足による生産阻害や資源価格上昇による原材料高、輸出コストの高騰などにより、予断を許さない状況で推移しました。

 このような状況のもと、当企業グループの連結売上高は、470億7千4百万円、連結営業利益は、18億1千9百万円、連結経常利益は22億8千5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は16億8千4百万円となりました。

 なお、当企業グループは各種合成表皮材の単一セグメントで事業活動を展開しております。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3.1%増加し、542億7千5百万円となりました。

 資産の部では、流動資産は前連結会計年度末に比べ2.7%増加し、300億8千3百万円となりました。これは主として商品及び製品が増加したことによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ3.6%増加し、241億9千1百万円となりました。これは主として機械装置及び運搬具が増加したことによります。

 負債の部では、流動負債は前連結会計年度末に比べ2.5%増加し、170億1千1百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金が増加したことによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ0.9%減少し、25億8千3百万円となりました。これは主として、その他に区分されているリース債務が減少したことによります。

 純資産の部は、前連結会計年度末に比べ3.7%増加し、346億8千万円となりました。これは主として利益剰余金が増加したことによります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ11億8千万円減少し、88億8千2百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは29億6千6百万円の収入となりました。

 これは主に税金等調整前当期純利益および減価償却費によるもので、前期に比べ2億1千3百万円の収入増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、27億4千7百万円の支出となりました。

 これは主に有形固定資産の取得によるもので、前期に比べ3億7千9百万円の支出増加となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、14億1千9百万円の支出となりました。

 これは主に配当金の支払いによるもので、前期に比べ6億3千8百万円の支出増加となりました。

 

 

④生産、受注及び販売の実績

 当企業グループは各種合成表皮材の単一セグメントで事業活動を展開しております。

 

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績を用途別に示すと、次のとおりであります。

用途別

当連結会計年度

生産高(百万円)

前期比(%)

車両用

42,062

17.9

住宅・住設用

3,051

9.1

ファッション・生活資材用

3,833

25.8

48,946

17.9

(注)金額は販売価格によります。

 

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注高および受注残高を用途別に示すと、次のとおりであります。

用途別

当連結会計年度

受注高

受注残高

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

車両用

40,470

13.1

2,126

15.7

住宅・住設用

3,142

9.1

381

25.3

ファッション・生活資材用

3,953

48.1

170

285.1

47,566

15.1

2,678

22.5

 

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績を用途別に示すと、次のとおりであります。

用途別

当連結会計年度

販売高(百万円)

前期比(%)

車両用

40,181

13.8

住宅・住設用

3,065

8.0

ファッション・生活資材用

3,827

25.5

47,074

14.3

 

(注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

林テレンプ㈱

13,817

33.6

14,052

29.9

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当企業グループの当連結会計年度における経営成績等は、連結売上高は470億7千4百万円と前期(411億8千2百万円)に比べ14.3%の増加となりました。連結営業利益は18億1千9百万円と前期(15億7千1百万円)に比べ15.8%の増加となり、連結経常利益は22億8千5百万円と前期(19億7百万円)に比べ19.8%の増加となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は16億8千4百万円と前期(14億4千2百万円)に比べ16.8%の増加となりました。
 

a.連結売上高

 連結売上高は、470億7千4百万円と前期(411億8千2百万円)に比べ14.3%の増加となりました。

 売上高を用途別にみますと、車両用につきましては、主として当社の主要顧客である自動車メーカーからの受注

回復などにより、401億8千1百万円と前期(352億9千4百万円)に比べ13.8%の増加となり、住宅・住設用につきましては、30億6千5百万円と前期(28億3千7百万円)に比べ8.0%増加となり、ファッション・生活資材用につきましては、38億2千7百万円と前期(30億5千万円)に比べ25.5%の増加となりました。

 

b.連結営業利益

 連結営業利益は、売上高の増加による影響が大きく、18億1千9百万円と前期(15億7千1百万円)に比べ15.8%の増加となりました。

 

c.連結経常利益

 連結営業外収益は、為替差益の増加などにより、5億9千2百万円と前期(5億4千2百万円)に比べ、9.3%の増加となりました。

 連結営業外費用は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおり売上割引の表示区分を変更したことなどにより、1億2千6百万円と前期(2億5百万円)に比べ、38.5%の減少となりました。

 以上の結果、連結経常利益は22億8千5百万円と前期(19億7百万円)に比べ19.8%の増加となりました。

 

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、16億8千4百万円と前期(14億4千2百万円)に比べ16.8%の増加となり、1株当たり当期純利益は68円85銭となりました。

 

 当企業グループの当連結会計年度における財政状態は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に

記載のとおりです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

 当企業グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.資金需要

 資金需要の主なものは、設備投資等の長期資金需要と製品の製造のための原材料等購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要であります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

 経営環境の急速な悪化などの不測の事態や大規模投資に対応できる強固な財務体質を維持しつつ、成長投資と株主還元充実に努めております。通常の運転資金に加え設備投資等の長期資金需要に対しては主に内部留保により対応しております。

 

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要といたします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたり、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については 「第5 経理の状況」にある注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当企業グループでは、お客様の真のニーズを探り快適な空間造りに向け、またカーボンニュートラル達成に向け、創造的かつ高度な技術力で積極的な研究開発を進めております。その主な活動は、高品位で機能性を有する魅力的な製品の開発と生産技術開発、コスト競争力の強化などであります。

主要な開発課題は次のとおりであります。

(1)車両用内装材

高品位・高質感要求に対応する新しい合成表皮材開発

軽量化、リサイクル、低コスト化、環境保全、快適性向上に対する材料、製品開発

(2)車両用外装材

高意匠、機能性、加工性の向上、環境保全を追及した外装用フィルムの開発

(3)住設用高級フィルム

高意匠、高機能性多層フィルムの開発

(4)ファッション・生活資材用表皮材

ファッション性や機能性に主眼を置いた合成皮革等の開発

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は827百万円であります。