第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、円安による企業収益の改善や堅調な設備投資に支えられ、前年度に引き続き緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、個人消費の回復が遅れていることに加え、中国経済の減速傾向が鮮明となったことから、景気回復の足取りは鈍いものとなっています。米国における金融緩和政策からの転換の影響も懸念されており、景気の先行きは全般的に不透明感を増してきています。

国内農業につきましては、農業従事者の高齢化と後継者不足、耕作放棄地の増加などの構造的課題を抱えております。政府は昨年3月に農政の中長期ビジョンとして新たな「食料・農業・農村基本計画」を策定し、諸課題の解決と農業の成長産業化に向けた施策に順次着手しているところです。さらに、懸案であったTPP(環太平洋経済連携協定)交渉が大筋合意したことを受け、政府は「攻めの農林水産業への転換」と「経営安定・安定供給のための備え」を進めていくこととしています。

このような状況のもと、当社グループは、農薬事業においては新製品の普及拡販、ファインケミカル事業においては新規受注の獲得を目指して、販売活動を強化してまいりましたが、当連結会計年度における当社グループの売上高は、ほぼ前年並みの422億5千1百万円(前年同期比1億6千5百万円の減少、同0.4%減)となりました。

利益面では海外販売の増加および円安効果などにより、営業利益は27億7千9百万円(前年同期比7億9千5百万円の増加、同40.1%増)、経常利益は29億5千6百万円(前年同期比11億6千6百万円の増加、同65.1%増)となりました。なお、当期純利益は東京・日本橋室町の再開発事業による本社移転補償金の特別利益計上などもあり19億円(前年同期比9億3百万円の増加、同90.5%増)となりました。

 

報告セグメント別の概況は以下のとおりです。

 

〔農薬事業〕

農薬製品は、国内販売において新規水稲用除草剤が伸長し、海外販売において受注が増加しましたが、子会社における家庭園芸用農薬の販売減少により、減収となりました。この結果、本セグメントの売上高は286億7千9百万円(前年同期比1億5千7百万円の減少、同0.5%減)、一方、営業利益は海外販売の増加および円安効果などにより、11億円(前年同期比2億8千8百万円の増加、同35.5%増)となりました。

 

〔ファインケミカル事業〕

ファインケミカル製品の販売は、主要分野の樹脂添加剤や医農薬中間体が減少しましたが、その他の受託品が好調に推移したことから、若干の増収となりました。この結果、本セグメントの売上高は135億3千8百万円(前年同期比2千9百万円の増加、同0.2%増)、営業利益は16億6千3百万円(前年同期比5億1百万円の増加、同43.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、11億8千9百万円の収入超過(前期は33億3千6百万円の収入超過)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、8億1千6百万円の支出超過(前期は10億9千6百万円の支出超過)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、3億7千2百万円の支出超過(前期は19億3百万円の支出超過)となりました。これは主に、短期借入金の減少によるものです。

 

(現金及び現金同等物の期末残高)

 当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は期首残高より3千5百万円増加し、16億1千2百万円となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

(百万円)

前年同期比(%)

農薬事業

17,143

106.5

ファインケミカル事業

8,989

98.7

合計

26,132

103.7

(注)1.金額は、製品製造原価で表示しております。

2.その他につきましては、生産実績がないため記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

(百万円)

前年同期比(%)

農薬事業

5,186

89.2

ファインケミカル事業

1,449

132.2

その他

25

40.5

合計

6,660

95.6

(注)1.金額は、実際仕入額で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)受注状況

 当社グループは、受注生産の規模は小さいため、受注実績は記載しておりません。

 

(4)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

(百万円)

前年同期比(%)

農薬事業

28,679

99.5

ファインケミカル事業

13,538

100.2

その他

35

48.4

合計

42,251

99.6

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成25年12月1日

至 平成26年11月30日)

当連結会計年度

(自 平成26年12月1日

至 平成27年11月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

全国農業協同組合連合会

19,122

45.1

20,605

48.8

信越化学工業株式会社

4,814

11.4

4,868

11.5

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴う食糧需要の増加などを背景に、海外の農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化および後継者不足や耕作放棄地の増加などの影響により、市場縮小の継続が懸念されます。また、国内における少子高齢化や中国をはじめとする新興国・資源国の成長鈍化による工業製品需要の減少の影響など、当社グループを取り巻く環境は、不確実性が増していくものと予想されます。

 

このような状況のもと、当社グループは、持続的な成長の実現と企業価値の向上を図るために、「利益計画の確実な実行」および「自己資本の充実に向けた財務体質改善の取り組み」を基本方針とした3ヵ年経営計画を策定し、最終年度となる平成29年度において、下記の数値目標の達成を目指しています。

 

《数値目標(連結)》

項目

平成29年11月期

売上高

422

億円

経常利益

25

億円

自己資本金額

210

億円

自己資本比率

47

 

上記の基本方針並びに数値目標を実現させるための具体的な事業戦略については次のとおりです。

 

〔農薬事業〕

国内販売については、水稲、園芸の各市場におけるシェアを維持する一方、自社開発製品、共同開発製品の販売に注力していきます。また、高利益品目の構成を高めるとともに、在庫削減、原価低減を図ります。

海外販売については、世界的な食糧需要の増加に伴い成長を続ける農薬市場をターゲットに、販売体制やマーケティング機能を強化する一方、海外における農薬登録の取得を進め、販売対象国の拡大を進めていきます。また、需要が増している輸出用製品の安定供給のため、新潟工場第二工場の建設を進めていきます。

 

〔ファインケミカル事業〕

技術革新に対応した材料開発と提供に努め、新規ビジネスの創生に注力する一方、高付加価値製品の販売を強化いたします。

製造面においては、販売品目の変動に柔軟に対応するため、製造部門のフレキシブル化を推進し、効率的な生産体制を構築していきます。また、新製品および販売増加製品の製造能力や収率のアップに注力し、生産性の向上を図るとともに、製造固定費の削減を引き続き進めていきます。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

 なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

1.農薬製品販売に対する諸条件の影響

 当社グループの農薬製品の販売は、農業情勢、市場動向、天候、病害虫の発生状況等によって影響を受けます。急激な変動が生じた場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.農業政策の変化の影響

 当社グループの農薬製品は主として日本国内で販売しており、国の食糧政策の変更により輸入食糧が増加し、農産物の国内生産が減少した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.価格競争の厳しい市場

 ファインケミカル製品の市場は、新規企業の市場参入や、廉価製品あるいは新規商品の台頭などにより、価格競争にさらされており、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.原材料価格の変動

 当社グループで製造しているファインケミカル製品に用いる原材料等の購入価格は、国内、国外の状況、並びに原油、ナフサ価格などの動向等の影響を受けます。

 購入価格の引き下げ、販売価格への転嫁等によりその影響を極力回避する努力をいたしますが、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.為替レートの変動

 当社グループは、中国に設立した子会社でファインケミカル製品の生産を行っております。中国人民元の通貨価値が上昇した場合、生産コストを押し上げ、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの海外との取引は、主として外貨建てで行っておりますので為替レートの変動が事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.中国法人の影響

 当社グループは、中国に設立した子会社でファインケミカル製品の生産を行っております。中国国内での法規制の変更や社会情勢の変化などにより、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.新製品の開発

 新製品の開発には、多大な技術的、財務的、人的資源と長期にわたる時間を必要とします。開発期間中の市場環境の変化、技術水準の進歩等により、新製品の開発可否判断、開発後の成長と収益性に影響を及ぼす可能性があります。また、研究テーマの実用化が困難となり新製品の開発が著しく遅延したり、また断念する場合には、競争力が低下し、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.予期せぬ事故等の発生

 厳格な原材料の受入れ検査、製品の品質管理、定期的な設備点検等を実施し、国際基準に基づく品質、環境管理システムにより操業、運営しておりますが、事故、自然災害等によるトラブルで操業停止、生産供給不足、品質異常、製品の保管条件の悪化などの不測の事態が発生する可能性があります。さらに、事故等による工場および工場周辺の物的・人的被害を完全に回避することはできません。製造物にかかる賠償責任については保険(PL保険)に加入しておりますが、すべてをカバーすることは困難であります。

 当社グループは、国の法律および諸規制に適合した製品を製造・販売しておりますが、新たに品質問題や副次的作用が発見され、環境問題、社会問題等を起こした場合は、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.法規制等の改正の影響

 当社グループの事業は、日本国内における農薬取締法、製造物責任法、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)、PRTR(化学物質排出移動量届出制度)、環境に関する諸法規、また、事業展開しております諸外国におけるさまざまな法規制の下で事業活動を行っております。これら法規則の改正等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

提出会社

契約締結先

契約内容

契約締結年月日

有効期間

全国農業協同組合連合会

農薬製品の売買に関する売買基本契約

平成16年3月2日

平成15年10月1日から平成16年11月30日までとする。ただし、期間満了の1か月前までに甲・乙いずれからも文書による別段の意思表示がないときは、さらに1年間延長するものとし、以後これに準じ延長できるものとする。

 

契約締結先

契約内容

契約締結年月日

有効期間

全国農業協同組合連合会

平成27年度の農薬の売買価格等を定めた契約

平成27年2月23日

平成26年12月1日から平成27年11月30日出荷分とする。

 

契約締結先

契約内容

契約締結年月日

有効期間

全国農業協同組合連合会

平成28年度の農薬の売買価格等を定めた契約

平成28年1月29日

平成27年12月1日から平成28年11月30日出荷分とする。

 

6【研究開発活動】

 新製品の研究開発につきましては、自社独自品の研究開発を重点的に推進するとともに、市場の変化と新しいニーズに対応できる高い商品性と競争力のある新製品の開発・導入に努め、商品の品揃えと品目構成の拡充強化をはかっております。

 なお当連結会計年度の研究開発費は、15億5千7百万円であり、セグメント別の研究開発活動の概要は次のとおりであります。

 

① 農薬事業

 農薬事業では、新製品の開発に鋭意努め、水稲用除草剤「キマリテジャンボ・フロアブル」、水稲箱施用剤「Dr.オリゼプリンススピノ粒剤6および10」、「ファーストオリゼプリンススピノ粒剤6および10」、水稲用殺菌剤「ゴウケツ粒剤」、水稲用殺虫殺菌剤「ゴウケツモンスター粒剤」などが新規に農薬登録されました。

 なお、当事業に係る研究開発費は、12億6千3百万円であります。

 

② ファインケミカル事業

 ファインケミカル事業では、付加価値の高い製品開発のために電子材料原料、医農薬中間体、有機合成触媒、高機能性無機素材などの製品開発を行っております。

 なお、当事業に係る研究開発費は、2億9千4百万円であります。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

  当連結会計年度末における資産の残高は438億7千4百万円となり、前期比15億9千万円の増加となりました。これは、商品及び製品の増加が主な要因です。

  負債の残高は253億9百万円となり、前期比16億8千5百万円の減少となりました。これは、退職給付に係る負債の減少が主な要因です。

  純資産の残高は185億6千5百万円となり、前期比32億7千6百万円の増加となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」を参照下さい。

 

(3)経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高は、ほぼ前年並みの422億5千1百万円(前期比1億6千5百万円の減少、同0.4%減)となりました。セグメント別の売上高の状況は「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (1)業績」を参照下さい。

 売上総利益につきましては、売上原価の減少などにより108億2千8百万円(前期比5億9千6百万円の増加、同5.8%増)となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては80億4千9百万円と前期比1億9千8百万円の減少となり、当連結会計年度の営業利益は27億7千9百万円(前期比7億9千5百万円の増加、同40.1%増)となりました。

 営業外収益につきましては前期比7千万円減少し8億5千7百万円、営業外費用につきましては、たな卸資産廃棄損の減少などにより前期比4億4千万円減少し6億8千1百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、29億5千6百万円(前期比11億6千6百万円の増加、同65.1%増)となりました。

 特別利益につきましては、東京・日本橋室町の再開発事業による本社移転補償金の計上などにより前期比2億1千5百万円増加し2億6千万円、特別損失につきましては、グループ子会社の事業改革による事業整理損の計上などにより前期比1億1千4百万円増加し2億6千9百万円となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の当期純利益は19億円(前期比9億3百万円の増加、同90.5%増)となりました。