文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「社会貢献」「環境」「技術」を経営のキーワードとし、全ての人々の幸せのため、食糧の安定供給に寄与する安全で安心な農薬製品および産業活動を幅広く支えるファインケミカル製品を社会に提供していくことを企業理念としています。
この企業理念のもと、立案した事業計画を着実に実行することにより、持続的かつ安定的な成長を実現し、国内外の産業の発展と豊かな社会づくりに貢献します。また、取締役会を中心とした経営の自己規律のもと、企業価値の向上を図るとともに、社会に信頼される企業であり続けます。
(2)新経営計画
2020年度は、世界的に感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症により、新しい生活様式が確立されると共に、世間の見方、考え方に大きな変化が生じ、企業においても変革が求められる年度となりました。
当社グループの業績は、同感染症による影響を大きく受けなかったものの、足元の業績は見通せない状況となっています。そのような状況下において、10年後の当社グループのあるべき姿を明確にして、持続的な成長を成し遂げ、社会課題の解決へ貢献し続けるために新経営計画を策定しました。
新経営計画は、持続的成長を成し遂げるため必要な投資を進めてまいりますが、その効果実現には10年程度を要することから、計画のゴールを2030年度といたします。最初の5年間を1st Stage for Creationとし、業務改革を推進することにより基盤強化を図り、次の5年間の2nd Stage for Advanceであるべき姿へ到達することを目指します。
また、当社グループの持続的な成長とサステナブルな社会の実現への寄与のため、SDGsの達成に取り組みます。
■長期経営計画
①長期業績目標
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売上高 |
500+α 億円 |
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経常利益 |
50+α 億円 |
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前3ヵ年経営計画において近い将来に目指すターゲットとしていた売上高500億円、経常利益50億円を期間中に超えていきます
②スローガン
未来は創造できる ~強く、豊かなHOKKO~
③ゴール(2030年度)のあるべき姿
[全体像]
・高品質・高付加価値な製品を市場に弛まなく提供しサステナブルな社会の実現に貢献している。
また、サステナブルな社会の実現に際し、SDGsを意識した取り組みが進んでいる。
・すべての従業員が持ち前の個性と能力を十分に発揮できる環境が整備され、活躍することによりパーヘッド生産性が継続的に向上している。
・自然災害、感染症、経済危機など、想定されるリスクに計画的かつ柔軟に対応できる体質を有している。
[農薬事業グループ]
・園芸市場におけるシェアを拡大しているとともに、新規原体が開発・上市され収益構造が改善している。
・農作業の短縮、コストの削減が可能な高拡散性粒剤等の新製剤を開発、普及し、日本の農業に貢献している。
・イプフェンカルバゾン剤の普及が東南アジア各国で拡大している。
[ファインケミカル事業グループ]
・フラッグシップ工場(岡山工場;合成第1工場から第9工場)のスマート化の推進、必要に応じたスクラップ&ビルドによる整備、拡張が順次進められ、生産性の向上、省エネ・省力化、予防保全が実現されている。
・受託販売では、当社技術の革新を進め拡大させており、収益基盤が拡充されている。また、製品販売では、新技術の獲得により、独自の新製品が開発され、競争力が強化されている。
・M&A等による技術の融合、製造場所の拡大、新規分野への進出により、新しいファインケミカル事業グループが創造されている。
[繊維資材事業]
・変遷する繊維資材ニーズにあった高付加価値製品を開発し、新規顧客が創造されている。
・消費者向けのニッチな市場を開拓している。
④取り巻く環境
世界的な人口増加や新興国の経済発展に伴う食糧需要の増加などを背景に、海外の農薬市場は長期的には拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化および後継者不足や耕作放棄地の増加などの影響により、市場縮小が継続しています。また、工業製品における製品ニーズの多様化に伴う多品種少量化の進行や求められる技術の高度化への対応など、当社グループを取り巻く環境は一段と厳しさが増していくと予想されます。
なお、新型コロナウイルス感染症が及ぼす当社グループへの影響は、食糧の安定供給に携わる農薬事業においては、軽微だと考えておりますが、ファインケミカル事業においては、サプライチェーンの川上に位置するため、その影響度については不透明な状態です。
[農薬事業]
機会(チャンス)
・世界的な食料増産と新興国の購買力増大による農薬市場の拡大
・新しい栽培技術や施用技術による防除体系の変化
・日本農産物のブランド力強化
脅威(リスク)
・生産者の高齢化による耕作地減少
・ジェネリック農薬の台頭
・農薬規制の変化
[ファインケミカル事業]
機会(チャンス)
・ファブレス(自社工場を持たないメーカー)化の進展に伴う受託増加
・顧客要求の多様化
・技術進歩による購買意欲の向上
脅威(リスク)
・顧客要求の高度化
・化学品に対する規制強化
・新興国の台頭
[繊維資材事業]
機会(チャンス)
・環境問題意識の高まりによる環境対応品の需要増
・災害に対する備えから、防災関連資材の増加
・新型コロナウイルスによる高機能素材の需要増
脅威(リスク)
・新型コロナウイルスによる繊維業界の低迷
・国内生産現場(機屋・染工場・縫製工場等)の後継者問題
・海外の低価格製品の拡大
⑤長期経営戦略
[グループ共通]
・海外市場への取り組み強化
・環境変化に対応できる人材育成設備の拡充による原価低減
・付加価値の高い製品の拡大
[農薬事業]
・農業の明日を見据えた製品開発とラインナップの強化
・グローバル化に対応した新原体の創製
[ファインケミカル事業]
・コア技術の進化と独自製品の開発
・アライアンス等による新規ビジネス創出
[繊維資材事業]
・調達供給構造の再構築
・製品開発力・収益力の強化
・各事業グループとのシナジー効果の拡大
■中期経営計画 「HOKKO Value Up Plan 2030 1st Stage for Creation」
①基本方針
企業価値向上と社会課題の解決に向け、ムリ、ムダ、ムラを排除し、筋肉質で骨太な企業体質を造り上げ、強く、豊かなHOKKOを実現します。
そのために、『収益構造改革』、『造り方改革』、『働き方改革』の三つの改革を柱とし、それぞれにKPIを設定し、進捗を管理します。
『収益構造改革』においては、「成長・財務基盤」を実現することで、安定的な売上高と収益額を確保していきます。
『造り方改革』においては、「高効率化・省力化・環境対策」を強化し、高品質・高付加価値な製品を市場に提供していきます。
『働き方改革』においては、「業務効率化・人材育成」に重視して取り組み、全ての従業員が個性と能力を十分に発揮できる環境を整備していきます。
②経営目標
次の経営指標を2025年度までに達成すること、または計画期間中維持することを目標といたします。
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業績目標 |
目標値 |
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売上高 |
465億円 |
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経常利益 |
44億円 |
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KPI |
目標値 |
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収益構造改革 |
収益性 |
売上高経常利益率 |
9%以上 |
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ROE |
8%以上 |
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財務健全性 |
自己資本比率 |
60%以上を維持 |
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造り方改革 |
農薬事業 |
製造原価 (2020年度実績物量基準) |
2021~2025年 累計8億円削減 |
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ファインケミカル事業 |
製造能力 (2020年度実績出来高基準) |
2025年度に20%向上 |
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働き方改革 |
売上高販管費比率 (委託研究費を除く) |
17%以下 |
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上記の基本方針並びに数値目標を実現させるための具体的な事業戦略については次のとおりです。
[農薬事業]
(ア)農業の明日を見据えた製品開発とラインナップの強化
・省力化志向に対し、新たに投入する高拡散性粒剤の普及拡大に努めてまいりま
す。
・新規園芸剤の普及により、園芸剤シェアの向上を目指してまいります。
(イ)付加価値の高い製品の拡大
・スマート農業(防除AI、ドローン散布等)に対応する新規製剤を開発し、その普及拡大に努めてまいります。
・環境負荷低減のため、少量・高濃度・低投薬量散布に対応する製剤技術を確立し、その製品化を実現してまいります。
(ウ)環境変化に対応できる人材育成
・進化する農業技術を習得し、実務に活用してまいります。
・専門知識の向上に努め、その共有化を図ってまいります。
・海外展開を支える人材を育成してまいります。
(エ)海外市場への取り組み強化
・東南アジアへ普及拠点を新設してまいります。
・イプフェンカルバゾンの登録国を拡大し、その普及推進に努めてまいります。
(オ)グローバル化に対応した新原体の創製
・海外におけるマーケットや農薬規制に関する情報を収集してまいります。
・研究開発活動の効率化を進め、海外市場への展開を目指した新規原体の創製に注力してまいります。
(カ)設備の充実による原価低減
・新除草剤工場を建設し安定稼働に努めてまいります(造り方改革推進プロジェクト)。
・新規製剤の製造技術を習得し、その向上に努めてまいります。
[ファインケミカル事業]
(ア)付加価値の高い製品の拡大
・提案型受託業務を強化してまいります。
・カップリング反応における触媒配位子(リガンド)を充実してまいります。
・電子材料分野での製品成長期に合わせて、計画的な増産体制を構築してまいります。
・高機能設備を導入し、顧客ニーズへ対応してまいります。
・高度な分析機器を導入し、製品の品質を高めてまいります。
(イ)設備の充実による原価低減
・合成第9工場の自動化設備のノウハウを他工場へ展開してまいります。
・岡山工場のスマート化を推進してまいります。
・新工場の建設やスクラップ&ビルドにより、製造設備を効果的に配置してまいります。
(ウ)コア技術の深化と独自新製品の開発
・グリニャール反応工程の能力と品質の向上を目指してまいります。
・様々な金属種を利用した反応を開拓してまいります。
・自社製品(リン化合物)を活かした新しいコア技術を開発してまいります。
(エ)海外市場への取り組み強化
・ホスフィン触媒配位子の需要を発掘し、シェア拡大に努めてまいります。
・海外展示会、学会等を利用し、製品と技術をPRしてまいります。
・海外営業拠点を充実してまいります。
・海外展開を支える人材を育成してまいります。
(オ)アライアンス等による新規ビジネスの創出
・生産、販売の効率化を目的とした他社との業務提携を目指してまいります。
・アライアンス等も視野に入れた新規分野でのビジネス拡大に注力してまいります。
[繊維資材事業]
(ア)調達供給構造の再構築
・中国市場に日本製高付加価値製品を供給してまいります。
・輸入品の比率を増やし、売上・利益率の向上に努めてまいります。
・新規委託生産拠点の構築に注力してまいります。
・新規販売先を開拓してまいります。
(イ)製品開発力・収益力の強化
・環境に配慮した商品を開発し、販売を強化してまいります。
・介護・防災関連商品を開発し、販売を強化してまいります。
・企業向け完成製品の受注販売に注力してまいります。
・新基幹システムを構築し、在庫管理の強化による収益力の向上に努めてまいります。
(ウ)各事業グループとのシナジー効果の拡大
・農業従事者向けブランドを開発し、販売してまいります。
・繊維資材の専門知識を活かし、作業着、防保護具を供給することで収益の拡大に努めてまいります。
・繊維資材のサプライチェーンに防カビ剤の使用を提案してまいります。
[HOKKO業務改革推進プロジェクト]
中期経営計画を実効的に推進するため、全社的な課題に組織横断的に対応するプロジェクト
(ア)“New HOKKO Style”(新しい業務体制)の構築による業務効率性の向上、代替性の確保
・業務解析による業務改革の推進
・最適業務体制・配置の実現
・DXの推進(RPAの活用等)
(イ)高品質、低原価製品の開発・製造(良いものを安く作る)
・工場のスマート化の実現
・管理強化による在庫低減
・効果的な製造、研究設備の配置検討と提言
・新工場の建設検討(農薬:製剤工場、ファインケミカル:合成第10工場)
(ウ)人材への投資とパーヘッド生産性の向上
・全ての従業員の活躍推進
■SDGsへの取り組み
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取り組み方針 |
Social KPI |
2025年度 |
2030年度 |
SDGs |
|
全ての人々が幸福である社会の実現に貢献する。 |
健康経営優良法人の認定取得(経済産業省の顕彰制度) |
2025年度までに取得 |
維持 |
8.8 |
|
製品の開発から廃棄に至る全ライフサイクルにわたり環境負荷を最小限に抑える。 |
エネルギー原単位(2020年度比) |
5%以上削減 |
10%以上削減 |
7.3 |
|
農薬製品の提供を通じて、持続可能な農業を支援する。 |
高拡散性粒剤の水稲作付面積割合 |
5%以上 |
10%以上 |
2.4 8.2 |
|
ファインケミカル製品の提供を通じて、産業の技術革新に貢献する。 |
新製品の上市数 |
2025年度までに累計60製品以上 |
2030年度までに累計130製品以上 |
8.2 9.5 |
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繊維資材の提供を通じて、産業の発展と豊かな社会づくりに 貢献する。 |
リサイクル繊維の使用率 |
10%以上 |
30%以上 |
12.5 |
SDGsの達成に向けた当社グループの取り組みを、総合的かつ効果的に推進するため、「SDGs委員会」を設置し、取り組みへの提言と進捗管理、評価を実施していきます。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクには以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
1.農薬製品販売に対する諸条件の影響
当社グループは、農薬事業とファインケミカル事業を収益確保の主な柱として事業展開していますが、農薬製品の販売は、農業政策の変化、市場動向、天候、病害虫の発生状況等によって影響を受けます。特に、予期せぬ急激で大きな変動が生じた場合には、当社グループの事業が大きな影響を受ける可能性があります。
2.急速な技術革新による影響
ファインケミカル製品の市場は、新規企業の市場参入や、廉価製品あるいは新規商品の台頭などにより、価格競争にさらされております。当社グループでは、得意とするグリニャール反応を活用し、顧客のニーズに合わせた付加価値の高い製品を市場に提供しておりますが、想定外の技術革新や急激な市場変化が発生した場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
3.原材料の調達による影響
当社グループで製造している製品の原材料等の調達(購入価格を含む)は、国内外の状況、並びに原油、ナフサ価格などの動向等の影響を受けます。
これに対し、当社グループは、調達ルートの多様化、調達方法の高度化を推進しておりますが、購入先における法規制の強化や、故障・事故等によりこの取り組みに支障が生じた場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
4.為替レートの変動による影響
当社グループは、中国に設立した子会社でファインケミカル製品の一部を生産しております。連結決算における財務諸表項目の円換算額は為替相場に左右されますので、大きな為替相場の変動が生じた場合、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。また、当社グループと海外との取引は、主として外貨建てで行っております。外貨建ての債権債務によって一部ヘッジを行っておりますが、大きな為替相場の変動が生じた場合は、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
5.中国現地法人の影響
当社グループの中国現地法人は、中国国内での法規制の変更や社会情勢の変化などに影響を受けます。これに対し当社グループは、積極的な情報収集に努め、中国の政策に合致した対応や環境負荷低減のための設備投資等を行っておりますが、予想の範囲を超える大きな法改正や経済・社会情勢の変化があった場合は、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
6.新製品の開発による影響
新製品の開発には、多大な人的・経済的資源と長期にわたる時間を必要とします。開発期間中の市場環境の変化、技術の進歩等により、新製品の開発可否判断、開発後の収益計画が影響を受ける可能性があります。これに対し当社グループは、研究・検査体制の充実による開発のスピードアップ、定期的な市場動向の調査、収益試算の検証等により対応しておりますが、新製品の開発が著しく遅延した場合、または困難となった場合には、競争力が低下し、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
7.予期せぬ事故等の発生による影響
当社グループは、厳格な原材料の受入検査、製品の品質管理、定期的な設備の整備点検等を実施し、国際基準に基づく品質マネジメントシステム(ISO9001)、環境マネジメントシステム(ISO14001)、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)により操業、運営しておりますが、事故、自然災害等のトラブルで操業停止、生産供給不足、品質異常、製品の保管条件の悪化などの不測の事態が発生する可能性があります。また、事故等による工場および工場周辺の物的・人的被害を完全に回避することはできません。製造物にかかる賠償責任については保険(PL保険)に加入しておりますが、すべてをカバーすることは困難であります。
当社グループは、法令および諸規則に適合した製品を製造・販売しておりますが、品質問題や副次的に発生する環境問題、社会問題等を起こした場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
また、想定される災害毎に事業継続計画(BCP)を作成し、速やかな事業復旧のための訓練を行っておりますが、想定外の災害が発生した場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
8.法規制等への対応による影響
当社グループは、日本国内における農薬取締法、製造物責任法、化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)、PRTR(化学物質排出移動量届出制度)、環境に関する諸法規、また、事業展開中の諸外国におけるさまざまな法規制等のもとで事業活動を行っております。当社グループは、北興化学工業グループ行動規範、コンプライアンス基本方針を定め、法令遵守の姿勢を明確にし、社会に信頼される企業として行動しております。また常に関係法令の動向を確認し、最新の法規制を理解して事業活動を行っておりますが、法規制の大幅な改正によりその遵守のために多額の費用が発生した場合や事業活動が制限された場合には、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
9.新型コロナウイルス感染症による影響
当社グループは、新型コロナウイルス感染防止のため、テレワークや時差出勤、Web会議の促進、アクリル板による勤務スペースの隔離、国内外の出張制限、工場・研究所への見学制限等を実施しております。
同感染症の蔓延状況によっては、原材料の調達などの生産活動への支障や経済全体の低迷に伴う需要の減少により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
10.知的財産権の侵害による影響
当社グループは、製品開発や製造の過程において、多くの技術やノウハウを蓄積しております。それらの保護のため、積極的な知的財産権の取得に取り組んでおりますが、海外においては、知的財産権の保護が不十分な国があり、当社グループの知的財産権が第三者により侵害される可能性があります。
また、当社グループでは他社の知的財産権を侵害しないように開発・製造を進めておりますが、他社から知的財産権の侵害を訴えられ、差し止めや多額の損害賠償により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
11.情報漏洩による影響
当社グループは、事業活動を通じて取引先の個人情報や当社グループの営業機密等、多くの情報資産を保有しております。それらの情報管理については、全役職員に対する情報セキュリティ教育の実施、サイバー攻撃に対応するソフトやメール誤送信防止システムの導入等の対策を講じておりますが、高度化するサイバー攻撃や不測の事情による情報漏洩により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、厳しい状況が続いております。景気の先行きについては、経済活動の再開により一部で持ち直しの動きがみられるものの、引き続き国内外の新型コロナウイルス感染症の動向や金融経済・社会への影響等から目を離せない状況が続いております。
当社グループは、国内農業では、農業従事者の高年齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加など依然として厳しい状況の中、政府は、ロボット技術やICTを活用した「スマート農業」の取り組みを進めるなど、農業の成長産業化に向け検討を進めております。一方、海外では、世界的な人口の増加や新興国経済の成長による農作物需要の拡大基調が今後も続くと予想されます。
ファインケミカル業界は、コロナ禍により低迷した自動車業界が急速に回復したこと、テレワークの拡大に伴う通信機器の需要増や次世代高速通信(5G)の本格始動等により、上向き傾向にあります。一方、中国においては、工場の爆発事故を発端とした化学工場の本格的な淘汰や規制強化が進んだことから、サプライチェーンの混乱による原料の調達難など、厳しい状況が続いております。
繊維業界では、アパレル分野において、コロナ禍によりウェブサイトでの販売は伸びているものの、店舗での集客が低迷しており、近年堅調だった産業資材用途においても、航空機業界の不振のため、依然として厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、2018年度からスタートした3ヵ年経営計画「HOKKO Growing Plan 2020」の目標達成に向けて、新製品の開発や新規受託品の受注活動に注力してまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高396億4千1百万円(前年同期比5.6%減)、営業利益22億8千7百万円(同21.2%減)、経常利益32億5千8百万円(同13.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益24億円(同14.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
〔農薬事業〕
農薬事業は、売上高249億2千1百万円(前年同期比8.1%減)、営業損失2億7千1百万円となりました。
〔ファインケミカル事業〕
ファインケミカル事業は、売上高132億1千4百万円(前年同期比2.6%減)、営業利益25億4千6百万円(同5.4%増)となりました。
〔繊維事業〕
繊維事業は、売上高14億8千6百万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は17百万円(同42.3%増)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産の残高は482億1百万円となり、前連結会計年度比48億3百万円の増加となりました。主な内訳として、現金及び預金、投資有価証券が増加した一方、商品及び製品、有形固定資産が減少しております。
負債の残高は178億3千8百万円となり、前連結会計年度比7億9千6百万円の増加となりました。主な内訳として、長期借入金、未払消費税等、繰延税金負債が増加した一方、支払手形及び買掛金、未払金が減少しております。
純資産の残高は303億6千3百万円となり、前連結会計年度比40億7百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は63.0%となり、前連結会計年度の60.7%から2.3ポイント増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益31億1百万円等の増加により、前連結会計年度末に比べ30億5千2百万円増加し、当連結会計年度末は39億5千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、45億9千万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益31億1百万円、減価償却費の計上14億9千6百万円の増加があった一方、法人税等の支払9億3千9百万円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、18億8千5百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得19億1千7百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は、3億6千1百万円となりました。これは主に、長期借入金の純増7億円、短期借入金の純増1億6千1百万円による増加があった一方、配当金の支払5億円の減少によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
農薬事業 |
13,618 |
82.9% |
|
ファインケミカル事業 |
8,194 |
102.7% |
|
合計 |
21,813 |
89.4% |
(注)1.金額は、製品製造原価で表示しております。
2.繊維資材事業及びその他につきましては、生産実績がないため記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2) 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
農薬事業 |
4,642 |
93.0% |
|
ファインケミカル事業 |
1,375 |
109.0% |
|
繊維資材事業 |
1,074 |
88.8% |
|
その他 |
13 |
47.2% |
|
合計 |
7,103 |
94.8% |
(注)1.金額は、実際仕入額で表示しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3) 受注実績
当社グループは、受注生産の規模は小さいため、受注実績は記載しておりません。
4) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
農薬事業 |
24,921 |
91.9% |
|
ファインケミカル事業 |
13,214 |
97.4% |
|
繊維資材事業 |
1,486 |
116.7% |
|
その他 |
20 |
82.4% |
|
合計 |
39,641 |
94.4% |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年12月1日 至 2019年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) |
||
|
金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
|
|
全国農業協同組合連合会 |
19,617 |
46.7 |
18,897 |
47.7 |
|
信越化学工業株式会社 |
5,300 |
12.6 |
5,463 |
13.8 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、農薬事業は、国内販売において、主に海外からの原材料の入荷遅れに伴う生産・出荷の遅れの影響などにより、前年同期比で減収となりました。この結果、農薬事業の売上高は249億2千1百万円(前連結会計年度比22億5百万円の減少、同8.1%減)となりました。売上の減少に加え、将来のリスク発生に備えるべく返品調整引当金に関わる会計上の見積りを変更した結果、同引当金の繰入額が増加したことなどにより、営業損失は、2億7千1百万円(前連結会計年度比7億6千6百万円の減少)となりました。
ファインケミカル事業は、電子材料分野での販売が好調に推移したものの、医農薬分野の販売が減少したことにより、減収となりました。この結果、ファインケミカル事業の売上高は132億1千4百万円(前連結会計年度比3億5千万円の減少、同2.6%減)となりました。営業利益は、高利益品目の売上構成比の上昇や海外子会社の製造コストの低減などにより、25億4千6百万円(前連結会計年度比1億3千万円の増加、同5.4%増)となりました。
繊維資材事業は、2019年3月に村田長株式会社を子会社化し、当社グループにおけるシナジー効果の実現に努めたものの、同社の売上構成比率の高い家具・車両用基布分野においては、主力であるアメリカ市場での需要後退により、従前比、大幅な売り上げ減少を余儀なくされました。さらにアパレル分野においては、業界全体の低迷により、業績は低調に推移しました。この結果、繊維資材事業の売上高は、、売上高14億8千6百万円(前連結会計年度比2億1千3百万円の増加、同16.7%増)、営業利益は17百万円(前連結会計年度比5百万円の増加、同42.3%増)となりました。
以上より、当社グループの営業利益は、22億8千7百万円(前連結会計年度比6億1千5百万円の減少、同21.2%減)となりました。
経常利益は、為替差損の減少等があったものの、32億5千8百万円(前連結会計年度比4億9千3百万円の減少、同13.1%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の要因に加え、海外の化学品メーカーに対する損害賠償金として、250百万円を特別損失に計上したことにより、24億円(前連結会計年度比4億1千9百万円の減少、同14.9%減)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、原材料調達や価格の動向、市場動向、為替動向、国内外の法令及び政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、調達ルートの多様化、調達方法の高度化を推進しております。
市場動向、顧客ニーズの変化につきましては以下のとおりです。
農薬事業においては、国内生産者の高齢化による耕作地減少や新興国を中心とした購買力増大による海外市場拡大等を踏まえ、付加価値の高い製品開発とラインナップの強化、グローバル化に対応した新原体の創製に取り組んでまいります。
ファインケミカル事業においては、顧客要求の高度化・多様化やファブレス化の進展に伴う受託機会の増加傾向等を踏まえ、コア技術のさらなる進化と独自製品の開発、アライアンス等による新規ビジネス創出に取り組んでまいります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、企画部を中心に、情報を入手するとともに、海外子会社及び関係会社と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきましては、「事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等にかかる研究開発費や開発途中の剤の生産設備の設置及び既存剤の生産効率化に係る設備投資であり、これらは主に自己資金並びに金融機関からの借入金により調達しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は39億5千6百万円であり、資金の流動性を確保しております。
④重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、売上高、経常利益、売上高経常利益率、ROE、自己資本比率を重要な経営指標と認識し、目標を設定しています。
当該数値目標および数値目標を実現させるための具体的な事業戦略については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)新経営計画 中期経営計画 ②経営目標」に記載のとおりです。
当連結会計年度の売上高は396億4千1百万円、経常利益は32億5千8百万円、売上高経常利益率は8.2%、D/Eレシオは0.07倍となりました。
提出会社
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契約締結先 |
契約内容 |
契約締結年月日 |
有効期間 |
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全国農業協同組合連合会 |
農薬製品の売買に関する売買基本契約 |
平成16年3月2日 |
平成15年10月1日から平成16年11月30日までとする。ただし、期間満了の1か月前までに甲・乙いずれからも文書による別段の意思表示がないときは、さらに1年間延長するものとし、以後これに準じ延長できるものとする。 |
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契約締結先 |
契約内容 |
契約締結年月日 |
有効期間 |
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全国農業協同組合連合会 |
令和2年度の農薬の売買価格等を定めた契約 |
令和2年1月6日 |
令和元年12月1日から令和2年11月30日出荷分とする。 |
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全国農業協同組合連合会 |
令和3年度の農薬の売買価格等を定めた契約 |
令和3年1月28日 |
令和2年12月1日から令和3年11月30日出荷分とする。 |
新製品の研究開発につきましては、自社独自品の研究開発を重点的に推進するとともに、市場の変化と新しいニーズに対応できる高い商品性と競争力のある新製品の開発・導入に努め、商品の品揃えと品目構成の拡充強化をはかっております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は、
① 農薬事業
農薬事業では、新製品の開発に鋭意努め、主に、育苗箱用殺虫剤「リディア箱粒剤」、「プリンススピノ粒剤6」、育苗箱用殺虫殺菌剤「Dr.オリゼリディア箱粒剤」、水稲用除草剤「カイリキZ1キロ粒剤」、「ウイニングラン1キロ粒剤」などが新規に農薬登録されました。
なお、当事業に係る研究開発費は、
② ファインケミカル事業
ファインケミカル事業では、付加価値の高い製品開発のために電子材料原料、医農薬中間体、有機合成触媒、高機能性無機素材などの製品開発を行っております。
なお、当事業に係る研究開発費は、