文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は国内唯一のワックス専業メーカーとして独自の技術により多種多様かつ高品質のワックス製品およびワックスを原料とする各種変性品並びにローサルファー重油を製造しております。また、永年にわたり蓄積された技術を基に需要家に対するきめ細かなサービスの提供はもとよりあらゆるご要望にもお応えできるよう基礎研究から製品の改良、新用途の開拓、新製品の開発まで幅広い販売開発活動に取り組んでおります。近年、加速する技術革新、環境問題、省エネルギーの観点から、情報化社会に求められている素材、環境問題に対応する素材、快適生活に役立つ素材の提供等、時代の要求にも応じられる新製品を数多く創出・提供することを目指し、社会・文化の発展に貢献することを基本方針としております。
2期連続の赤字決算の内容、結果を重く受け止めながら、2020年後半より、当社の抱える課題、2018年にスタートした実行計画チャレンジ90の実行進捗の遅滞を再認識し、2029年の創業100年に向けて、原点に立ち返り、ありたい姿、そのための具体的な事業計画・実行、タイムスケジュールを明確化しました。2029年までの9年間を3期に分け、まず2021年~2024年の4年間を「体質改善期」と位置付け「中期計画21-24」を策定、2月26日に開示いたしており、その概略は以下の通りです。
中期計画(21-24)の概要(2021年2月26日公表)
① チャレンジ90の取組みの総括
2018年にスタートした実行計画チャレンジ90は、(1)タイヤ向け市場でのシェアアップ(2)高機能領域を対象とした分子蒸留事業の拡大(3)生産体制の再構築(4)教育制度の拡充、を骨子としておりますが、現時点において必ずしも当初目指した状態に進捗しておりません。その理由は以下の通りと認識しております。
・チャレンジ90の実現に向けた具体的な戦略と推進力に欠けていたこと
・経営企画・管理機能が脆弱で、適切なアクションプラン・進捗管理がなされなかったこと
・その結果、対応が対処療法的になり、後手後手に回ってしまったこと
加えて、業績悪化に伴い、抜本的な方策を実行する上で原資確保が困難な状況も相俟って、チャレンジ90への取り組みは不十分な状況に留まりました。
② 中期計画の骨子
チャレンジ90の総括を踏まえて、本計画は具体的に次の3点に取り組んでまいります。
[1] “高機能・高品質製品”と“成長市場”の追求
・過去の反省を踏まえて改めてマーケットイン思想を徹底し、お客様のニーズに対して真摯に向き合い、用途開発を実践してまいります。国内外問わず成長が見込める市場において、当社の技術と弛まぬコスト低減努力による競争力をもって確固たるプレゼンスを確立することを目指します。加えて、当社の技術・体制を結集し、他社には簡単に真似のできない“高機能・高品質の製品”を追求してまいります。
・本中計期間においては、チャレンジ90から取り組んでいる、自動車タイヤ向け市場でのプレゼンス確立につき特にアジアを対象として加速化します。また、分子蒸留法(高分子成分のみを抽出する技術)を用いた高機能・高品質プリンタトナー向けの拡販強化に加え、その他の用途開発も本格化いたします。
[2] “経営管理”の高度化・適正化
・原料油コストの市況変動に左右されたこれまでの反省を踏まえ、当該リスクを管理・抑制する仕組みを構築・改善してまいります。
・具体的には、原料油購入・重油販売における価格決定時期のズレを一定の枠内に留めるようバランス管理を徹底する仕組みを構築し、かつあらたに監査部を設置し、当該運用を管理・監督するための組織体制を整備いたします。
・加えて、これまで課題であった経営管理を強化するため、新たに経営企画部を設置して中期計画の進捗管理をはじめ経営の効率化・適正化を図ってまいります。
・また、組織の活性化・優秀な人材確保のために、脱年功序列も踏まえた人事制度の見直し、外部からの経営人材の登用等も検討し、組織を刷新してまいる所存です。
[3] 持続可能な開発目標(SDGs)・長期的な事業の発展に向けた“脱重油”への移行準備
・当社の事業は、重油使用量・販売量の多い構造とはなりますが、昨今のサステナビリティ意識の高まりと市況変動リスク抑制・経営安定化の観点から、“脱重油”とのスローガンの下、2029年までには重油依存度をゼロとした事業構造を目指してまいりたいと考えております。
・かかる中で、本中計期間では、蒸留原料油投入量・生産量を半減させるため、新製法の検討・開発と品質管理体制の構築を完了し、お客様からのご承認取得を進めてまいる所存です。
・また、前述を実現するために徳山工場のさらなる高度化・強靭化を図るべく、各設備の停止リスクを定量化し、更新投資要否を判断するリスクベースメンテナンス導入、毎年実施していた定期修理を隔年で行う2年連続運転プロジェクトの実施、物流・タンク管理のシステム化、等も検討してまいります。
③ 業績目標(連結)
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2021年度 |
2024年度 |
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売上高 (百万円) |
23,700 |
26,200 |
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営業利益(百万円) |
330 |
1,500 |
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当期利益(百万円) |
220 |
1,220 |
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配 当 (円/1株) |
復配(金額は未定) |
10 |
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大により景気を下振れさせるリスクが懸念され、また、わが国経済においても、総じて予断を許さない厳しい状況が続くものと見込まれます。
こうした経済情勢にあって、当社グループを取り巻く事業環境も厳しい状況で推移するものと予測されますが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、終息に向けて最大限尽力するとともに、中期計画(21-24)に基づく諸施策を実行し、当社グループの企業価値の向上に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 原材料の調達
当社グループの原料油は良質なワックスの含有量が多い東南アジア産の原油にその多くを依存しております。代替原料の多様化等の対応を行っておりますが、産出国の政策や国情により原料の安定的な調達が出来ない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原油価格変動
当社グループの製品コストの大半を占める原料油価格は、原油価格の動向に左右されるため、その変動が当社のコストに大きな影響を与えます。原料油価格の変動リスクを回避するためにデリバティブ取引等を行っておりますが、リスクの完全な回避・低減を保証するものではなため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 需要及び市況変動等
当社グループの主製品のワックス販売は、国内・海外市場の多方面で産業用素材として使われておりますので、各国経済および各業界の需要動向の影響を受けます。また、中国をはじめとする競合先の動向に影響を受けます。重油販売は内外の市況に大きく影響されます。当社グループは製品の高付加価値化等によりこれを吸収していく方針でありますが、これら製品の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 金利及び為替の変動
当社グループは有利子負債が多いため、金利の上昇は借入コストの増加につながり、また、為替の変動は輸入原料のコストや輸出製品の販売に影響を与えます。金利変動リスクや為替変動リスクを回避するためにデリバティブ取引等を行っておりますが、リスクの完全な回避・低減を保証するものではなため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 災害や事故
地震や台風などの自然災害等が発生した場合は操業を停止する等の緊急措置をとるため、生産および販売活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは人為的操業事故や災害を未然に防止するため、定期的な設備点検等安全対策の徹底を図っておりますが、生産や販売活動の低下は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて計算されています。年金資産の運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合などは、将来の退職給付費用が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資産価値の変動
当社グループが保有するたな卸資産、固定資産や投資有価証券は、資産価値の下落による評価損や減損リスクにさらされております。当社グループは会計基準に従い適切な処理を行っておりますが、今後更に資産価値が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 情報の管理
当社グループは社内情報システムのセキュリティ強化のために、ウイルス対策はもとより全PCの常時集中監視、使用できる外部記録媒体の制限を設けるなどの対策を講じております。また、システムインフラをクラウド化することによるBCP対策も進めております。しかしながら情報システムに障害が発生する可能性はゼロではないことから、生産及び販売活動に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外での事業活動について
当社グループはタイ王国において事業展開を行っております。事業展開にあたっては、現地の法令、行政上の手続、商慣習等に即した事業活動を行っておりますが、予期しない政治状況の激変や法制度の変更、さらに地政学的なリスクが内在しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)新型コロナウイルス感染症
当社グループは新型コロナウイルスの感染症拡大を受け、従業員や関係者の健康と安全に配慮しつつ、在宅勤務や時差出勤の推進など事業への影響を最小限に抑えるべく努力を継続しております。しかし、更に拡大し、国内外の景気が大きく下振れする場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2020年1月1日~2020年12月31日)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、感染防止のための緊急事態宣言の発令も行われ、行動変容を強いられながらの経済活動となりました。政府の金融・経済対策が打たれ一時的な持ち直しの動きがあったものの、11月以降に感染再拡大がみられるなど、厳しい状況が続いております。
当社損益に大きく影響する原油相場は3月に大暴落し、年初のUS$70/bblから4月にはUS$10/bbl台まで下落しました。その後徐々に上昇し6月以降はUS$40/bbl台で推移しておりましたが、12月に入り再びUS$50/bbl台をつけるに至り、経済、需給状況が反映されているとは思えない変動の激しい値動きとなり、当社にとっては厳しい環境となりました
このような環境下、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度に比べ、1,720百万円減少し、30,785百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度に比べ、1,145百万円増加し、23,505百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度に比べ、2,866百万円減少し、7,280百万円となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高22,234百万円(前年同期比18.5%減)、営業損失2,079百万円(前年同期は営業損失655百万円)、経常損失2,852百万円(前年同期は経常損失767百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失2,878百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失848百万円)となりました。
なお、当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比較して552百万円減少し1,401百万円となりました。
当連結会計年度末における区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、2,367百万円(前年同期は1,477百万円の収入)となりました。これは主として税金等調整前当期純損失2,829百万円、減価償却費995百万円、売上債権の減少額325百万円、たな卸資産の減少額978百万円、仕入債務の減少額1,561百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、1,231百万円(前年同期比202百万円の支出増)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出1,408百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、3,096百万円(前年同期比2,964百万円の収入増)となりました。これは主として短期借入金の純増額3,492百万円、長期借入れによる収入1,115百万円、長期借入金の返済による支出1,069百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しております。
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区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
72,625t |
0.4 |
15,526 |
△11.6 |
|
重油 |
165,911kl |
△4.9 |
6,475 |
△28.0 |
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合計 |
|
- |
22,002 |
△17.1 |
(注)1 金額は、販売価格をもって算出しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループの生産においては、そのほとんどを見込生産で行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績については、事業部門ごとに表示することに合理性がないため、主な製品ごとに表示しております。
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区分 |
数量 |
前年同期比(%) |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ワックス (パラフィン・マイクロクリスタリン) |
73,803t |
0.6 |
15,848 |
△11.2 |
|
重油 |
159,315kl |
△10.9 |
6,217 |
△32.6 |
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その他仕入商品 |
|
|
168 |
△13.4 |
|
合計 |
|
|
22,234 |
△18.5 |
(注)1 ワックスには輸入ワックスの仕入販売を含んでおります。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
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三菱商事エネルギー株式会社 |
3,108 |
11.4 |
- |
- |
|
太陽石油株式会社 |
2,732 |
10.0 |
- |
- |
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度については、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客がないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べて1,720百万円減少の30,785百万円となりました。これは主として現金及び預金の減少額552百万円、受取手形及び売掛金の減少額335百万円、たな卸資産の減少額1,007百万円、建物及び構築物の増加額400百万円等によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比較して1,145百万円増加の23,505百万円となりました。これは主として支払手形及び買掛金の減少額1,580百万円、短期借入金の増加額3,380百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少額149百万円、長期借入金の増加額194百万円等によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比較して2,866百万円減少の7,280百万円となりました。これは主として利益剰余金の減少額2,894百万円、繰延ヘッジ損益による増加額169百万円等によるものです。
2) 経営成績
(売上高)
ワックス国内販売は販売数量では前年同期に比較し4,393トン減の30,240トン、売上高では1,661百万円減の9,586百万円の実績、輸出販売は販売数量では前年同期に比較して4,850トン増の43,562トン、売上高で339百万円減の6,261百万円の実績となりました。
ワックスの販売量は、国内販売の大幅減を、輸出販売でカバーしたことで、前連結会計年度に比べ若干のプラスながら、売上高は国内減販の影響が大きく約2,000百万円減と約12%減となりました。
重油販売は販売数量で19,552キロリットル減の159,315キロリットル、売上高では3,003百万円減の6,217百万円の実績となり、総売上高はその他商品を含めて前連結会計年度に比べ、5,031百万円減の22,234百万円となりました
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度に比べ、3,584百万円減の21,875百万円となりました。また、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、21百万円減の2,438百万円となりました。
(営業利益)
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によるワックス販売の大幅減、上期に発生した原料デリバティブ損失、重油売上大幅減、棚卸資産評価損等により採算は大きく悪化し、営業損益は、前連結会計年度に比べ1,424百万円減の営業損失2,079百万円となりました。
(営業外損益)
営業外損益は、前連結会計年度に比べ659百万円損失が増大し、772百万円の損失となりました。これは、為替差損93百万円(前連結会計年度は為替差益19百万円)、デリバティブ損失増579百万円等によるものです。
この結果、経常損益は、前連結会計年度に比べ2,084百万円減の経常損失2,852百万円となりました。
(税金等調整前当期純利益)
特別損益は、補助金収入が65百万円減少する一方、減損損失が78百万円減少したことにより、前連結会計年度に比べ16百万円増の22百万円の利益となりました。この結果、税金等調整前当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,067百万円減の税金等調整前当期純損失2,829百万円となりました。
(法人税等)
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ21百万円減の18百万円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ14百万円減の30百万円となりました。この結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ36百万円減の49百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,030百万円減の親会社株主に帰属する当期純損失2,878百万円となりました。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
実行計画チャレンジ90
2019年が創業90年にあたり、2018~2019年の2年間は、次の10年、2029年の創業100年に向けての構造改革、基盤強化と位置付けておりましたが、2020年においても継続して重油市況変動の影響を最小限化し、ワックス専業メーカーとして技術力・現場力を強化し、規模ではなく質の充実を図ることを目的とし、以下の4項目に取組みました。
1) タイヤ向けワックスにおけるトップメーカーとなるために、技術力・開発力を強化し、日本、タイからの供給体制、および誇れる製品設計、品質の確立。
2) 徳山、つくば2拠点での分子蒸留設備の効率的な運用による当社ならではの製品供給の実現。加えて、グローバル化を視野に入れた更なる拡大計画。
3) 徳山工場の設備等のレビュー、スクラップ&ビルドによる効率的なワックス製造設備への転換。
4) 個人力・現場力強化に向けた教育機会の付与。教育ができる管理職とするための強化。
(進捗・結果)
1) タイヤ向けワックスにつきましては、世界に蔓延している新型コロナウイルスの影響を受け、第2四半期において世界各国でのロックダウンや、それに伴う自動車会社の操業停止の影響により、販売数量は前年比40.4%ダウンと大きく落ち込みました。第3四半期から徐々に需要が戻り、第4四半期には前年比約90%以上の需要迄戻りましたが、年間では前年比14.1%減販となりました。
2) 分子蒸留事業につきましては、残念ながら国内における新型コロナウィルス感染症拡大および緊急事態宣言の発令を受けてのテレワーク推進により、オフィス出社率が大きく下がったことから、主要用途であるインク・トナー等の需要が第2四半期から第3四半期にかけ大きく落ち込む結果となり、前年比17.4%減販となりました。依然厳しい状況は続いているものの、徐々に販売も回復しつつあり、2021年は2019年レベルまで回復するものと期待します。設備の稼働率アップに向け、海外大手取引先との間でも価値アップ、拡大戦略につき協議を続けております。
3) 徳山工場の設備、建屋等のレビューにつきましては、まず、老朽化設備・建屋の安全確保に向けての施策、動力源リスク対応としての特別高圧受変電設備設置へのスケジュール化、マーケットインからの必要製品⇒必要原料⇒必要設備を意識した更新・増強計画策定に向けてのフィージビリティスタディに取り組んでおります。
一方で工場設備管理費予算編成にあたっては、リスクベースメンテナンス手法を導入し、リスクの定量評価が可能となり、判断基準が明確化されたことで設備管理費の圧縮が期待できるとともに、技術・設備管理担当者の技量アップにも繋がると確信しております。また、徳山工場は毎年5月に運転を停止して法定点検含め定修を実施しておりますが、プロジェクトチームを編成し、2021年中に2年連続運転が可能となるよう、ボイラー、第一種圧力容器設備の国家認定取得に取り組んでおります。これにより定修コストの削減、運転日数増による機会損失防止、在庫低減化が可能となり、大きく収益にも寄与するものと考えます。
4) 教育については、引き続き社内各部署講師による実効性のある管理職教育に注力しました。年央には管理職へのアンケートを通じて、教育の効果が表れてきていることを確認しております。しかしながら、新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受け、集合教育を一時中断せざるを得ない状況となりました。また制度疲労もあり、これからの働き方を意識した新たな人事評価制度の素案の策定も開始しております。
c. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、石油精製及び石油製品の製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金及び設備資金を内部留保及び借入により調達することを基本としております。運転資金及び設備資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金償還時期等を考慮の上、適宜判断して調達していくこととしております。
また、当社グループは金融機関との長期にわたる良好な取引関係の維持により、当社グループの事業活動に必要な運転資金及び設備資金の調達に関しては今後とも問題なく実施可能と考えております。
新型コロナウイルス感染症による資金繰りに与える影響は軽微と見ており、当初の資金計画に基づいた資金調達を行う予定であります。なお、今後新型コロナウイルス感染症が更に拡大し、当社グループの事業に大きな影響を与える場合には、別途資金調達を行う可能性があります。
③重要な会計上の見積り方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するのにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所等見込額は中期計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、課税所得の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
b. 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位にてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額は、将来見積キャッシュ・フロー、正味売却価額等をもとに算出しております。将来見積キャッシュ・フローに使用される前提は、中期計画に基づいて算出しており、市場データや現在及び今後見込まれる経済状況を考慮しております。そのため、将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提に影響を与える要因が発生した場合は、固定資産の減損が発生し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、当第2四半期連結会計期間をピークとし、その後は徐々に回復に向かうと想定しておりますが、更に拡大し当社グループ事業に大きな影響を与えた場合には、繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損損失の見積りに影響を与える可能性があります。
(1) 当社は、SHELL MDS(MALAYSIA) SENDIRIAN BERHAD社と同社が天然ガスより製造する合成ワックスを、当社が輸入し日本国内で独占的に販売する契約を締結しております。契約期間は1993年より3年間を契約期間とし、期間満了の3ヶ月前までに書面による通告で解除されない限り1年間契約期間を延長します。
(2) 当社は、機動的な資金調達手段を確保することにより、手元流動性を圧縮し、資金効率を高めることを目的として、取引銀行5行(株式会社三菱UFJ銀行、株式会社広島銀行、株式会社みずほ銀行、株式会社山口銀行、株式会社西京銀行)と総額60億円の特定融資枠契約(貸出コミットメントライン契約)を締結しております。
当社の研究開発活動は、経営方針チャレンジ 90に掲げる“創業100年に向けての構造改革・基盤強化”の一環として、石油ワックスは元より、合成ワックスや天然ワックスを含めた幅広い原料ソースをベースに、高度な分離・反応・配合技術を駆使することで、お客様に必要とされる商品の開発に取り組んでおります。特に、天然蝋由来のアルコール成分を配合することで外観性能を飛躍的に向上させたゴム老化防止用ワックス、希少天然蝋であるカルナバワックス・キャンデリラワックスの代替品の開発に注力しております。
研究開発体制は、素材開発およびその素材を使った応用研究・工程研究を担当するグループ、水分散物の開発に特化したグループ、ゴム老化防止用ワックスの開発に特化したグループの3グループで構成されております。また、複数の大学への委託研究、お客様との共同研究及び技術交流を通じ、研究開発活動の活性化・高度化も図っております。
(1) ゴム老化防止用ワックス
地球温暖化によるタイヤの外観トラブルが頻発する中、大手タイヤメーカーでの新規ワックスの評価は好評であり、量産化に向けての製造体制を整えております。尚、新規ワックスとは、特定の天然蝋を加水分解して得られたアルコール成分がタイヤの外観性能を飛躍的に向上させるという発見に基づき設計されたもので、国内外に特許申請中であります。
(2) 希少天然蝋代替品
高硬度とシャープメルトという特性を併せ持つカルナバワックス・キャンデリラワックスは、他のワックス類での代替が困難とされる中、汎用天然蝋と特殊な合成ワックスの組合せによりほぼ同等の性能を有するワックスの開発に成功しました。イメージング材料分野を中心にワークを開始、併行して量産化のための製造体制構築を進めております。
(3) 分子蒸留品
成長分野であるトナーやインクジェット・熱転写といったイメージング材料分野、二次電池部品やホットメルト接着剤・エンジニアリングプラスチックといった樹脂添加剤分野をターゲットに、合成ワックスを中心とした分留品や量産検討中の天然蝋とのブレンド品を中心に継続的に取り組んでおります。
当連結会計年度における研究開発費は