当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針、経営戦略等
赤道近くの国々では、蚊が媒介するマラリアやデング熱などの伝染病でいまだに多くの命が奪われています。そこでは、殺虫剤は命を守るために欠かせない必需品です。
当社グループは、「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。」という経営理念のもと、殺虫剤、家庭用品、園芸用品をコア事業と位置づけ、世界中の人々がいつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献する商品を提供しています。このことは当社グループの事業そのものがSDGsの目標3.「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」のターゲット3.3「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。」を実践していることに他なりません。
世界全体が様々な要因によって不確実性を増しており、景気の先行きは見通せない状況のなか、当社グループは経営理念を実現するため、それぞれの国に最適な高効力・高品質の商品を提供し、世界中のより多くの人々に安心を届けることを目指しています。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、事業の成長性と収益性を重視する観点から、売上高、経常利益及び新製品寄与率を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。当連結会計年度における連結売上高は676億72百万円となり、2023年11月8日に開示いたしました連結売上高目標670億円に比べ、6億72百万円(1.0%増)の増収となりました。連結経常利益は27億98百万円となり、連結経常利益目標26億円に比べ、1億98百万円(7.6%増)の増益となりました。当社が国内市場において毎期発売する新製品につきましては、初年度新製品売上寄与率15%以上を経営目標の一つとしておりますが、当事業年度につきましては、29.3%となっております。引き続き、当該指標の改善に邁進していく所存です。
また、株主重視の視点から、株主資本利益率(ROE)を重視し、企業価値の向上を目指してまいります。
(3)経営環境
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、ウィズコロナの中で回復基調にある一方、急激な為替変動や長期化する不安定な国際情勢など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中で、当社は主力の殺虫剤事業において、2014年に国内で発生したデング熱を契機に、2015年を感染症対策元年として位置づけ、蚊やマダニが媒介する感染症の脅威や外来種等の危険害虫の問題が深刻化していることへの啓発活動や、今までにない高効力を実現した「効きめプレミアシリーズ」を始めとするワンランク上の製品の開発を進めてまいりました。
また、家庭用品においても、ウイルス・細菌・アレルゲンなど暮らしの周りに潜む見えないリスクへの対策等消費者の生活シーンに安心安全を提供する製品として「アルコール除菌剤」や「ウイルス・細菌・アレルギー対策商品」等の開発を進めてまいりました。
今後、日本において人・モノがますますグローバルに行きかう中で、こうした感染症に対するリスクは年々高まっていくと考えられることから、お客様の虫よけ商品や害虫駆除への意識の変化やコロナ禍への不安を背景として、殺虫剤や虫よけ剤、除菌剤の市場は堅調に推移していくと見ております。
また、海外におきましても、東南アジアを中心に、蚊が媒介する感染症による被害が拡大しており、殺虫剤の需要はますます高まっていくものと予想しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の国内外の景気につきましては、国内は円安に歯止めがかからない中、エネルギー価格の高騰による原材料価格の高止まりが続き、海外は長期化するウクライナ情勢による影響が続くなど、国内・海外共に厳しい経営環境が続くと予想しております。
このような状況の中、当社グループは、この数年でグループ全体の事業領域と欧州展開をはじめとする地理的な拡大が進んだため、それらの経営基盤強化と事業展開のスピードアップを積極的に進めてまいります。
これからも、多様なリスクが複雑に絡み合う状況に対し、より柔軟に対応するため、以下のような経営課題に取り組んでまいります。
(日本のフマキラーグループの課題)
当社グループは、これまでに培ってきた技術とノウハウを結集した画期的で魅力的な新商品の開発、高品質で効率的な生産、販売力の強化、流通チャネルの拡大などによって、お客様が必要なときに十分な量をできるだけ早く手に取っていただけるように開発・生産・販売体制を整備し、事業の拡大に取り組んでまいります。
その一環として、研究開発体制及び生産体制の強化を実現するため、当社広島工場内に研究開発棟及び生産設備から構成されるブレーンズ・パーク広島の建設・拡充を進めております。
特に研究開発棟は中長期的に新たな価値を創り出す拠点としてフマキラーグループの未来を担います。私たちは、こうした研究開発環境の改革を通じて、ウイルス・細菌・アレルゲンなど暮らしの周りに潜む見えないリスクへの対策等消費者の生活シーンに安心安全を提供する製品を提案し、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
また、外来種問題に対しては、既に日本に定着しているアルゼンチンアリやクビアカツヤカミキリ、セアカゴケグモ、薬剤抵抗性トコジラミといった害虫の防除に繋がる製剤開発のみならず、次々に侵入が確認されるヒアリ等の外来生物の水際対策法の確立といった予防策の立案にも注力し、官公庁や各自治体、公共機関等とも連携しつつ日本の生態系を守る研究開発を推進してまいります。
(海外のフマキラーグループの課題)
世界では害虫が媒介する感染症によって健康が損なわれ多くの命が奪われています。当社グループは持てる経営資源を投入し、一人でも多くの人々を感染症の被害から守っていきます。海外では現在、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、インド、メキシコ、イタリアの子会社で製造販売または販売を行っています。また、中南米・アフリカ・中近東等の3ヶ国で技術指導による現地生産を行っており、世界約70ヶ国に及ぶ海外ネットワークを構築しております。
2年前、イタリアにおいて、「FUMAKILLA EUROPE S.R.L.」の操業を開始し、「ZAPI INDUSTRIE CHIMICHE S.P.A.」を株式取得によって子会社化しました。これらはそれぞれの強みを発揮することで、欧州市場における当社の事業基盤強化に貢献しております。
これまで海外商品の研究開発は、日本以外ではインドネシア、マレーシアの開発拠点で行っておりましたが、イタリアの2社が加わることで、ヨーロッパにも開発拠点が加わりました。
なお、インドネシアの研究開発棟(ブレーンズ・パーク インドネシア)では、新しい施設を活用することで、海外での研究開発はさらに強化されました。
今後は、国内と海外子会社間の連携強化とグループ・シナジー効果を高めて海外事業の拡大と収益力の強化を図り、グローバルな競争力を持つ企業を目指してまいります。
(収益力と財務状況の改善)
当社グループの収益性を改善するために、国内外の開発、生産、営業の各部門において、商品アイテムの見直し、製造原価の低減、在庫の適正化、製品価値に基づいた適正価格での販売、広告宣伝費や販売推進費等のマーケティング費用を含めた販管費の効率的・効果的運用等の課題により一層取り組んでまいります。
(エステー株式会社との協業の推進)
当社はエステー株式会社と資本業務提携しております。営業・開発・生産・海外の各分野でそれぞれ課題を取り上げ、一定の成果を上げつつあります。引き続き業務提携の取り組みを通じて、業容拡大並びに企業価値及び株主共同利益の向上に努めてまいります。
(5)次期(2025年3月期)の業績見通し
2025年3月期の業績見通しにつきましては売上高740億円、経常利益29億円を予定しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
基本的な考え方
当社は、「誠魂長才※」を社是とし、「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。わたしたちは、世界中の人々がいつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献していきます。」という経営理念のもとで、中長期的な視点から経営を行い、グローバルな競争力を持つ企業として企業価値の向上に努めております。
※「誠魂長才」=何事に対しても誠心誠意、真心をもって事に当り、常に努力して才能を伸ばし、知識を広め、社会・国家に貢献します。
取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催しております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認いたしております。また、内部監査部門を設置し、内部監査を実施し、監査結果を定期的に代表取締役社長に報告しております。
ディスクロージャーに関しましては、会社法、金融商品取引法に定められた情報開示はもとより、東京証券取引所が定める「上場有価証券の発行者の会社情報の適時開示等に関する規則(適時開示規則)」に基づく情報開示は、上場会社としての当然の責務と考えております。また、株主・機関投資家・個人投資家・顧客等に向けたIR活動も重要な企業責任であるとの認識に立っており、一般に公正妥当と認められた企業会計基準を尊重し、監査法人のアドバイス等を積極的に受け入れ、制度としてのディスクロージャーの他、リスク情報を含めた自発的なディスクロージャーにも重点を置き、透明性、迅速性、継続性を基本として開示に努めております。
(2)戦略
赤道近くの国々では、蚊が媒介するマラリアやデング熱などの伝染病でいまだに多くの命が奪われています。また、地球温暖化により感染症を媒介する生物の分布地域が拡大する可能性など、気候変動による人々の健康への影響も懸念されています。
殺虫剤は命を守るために欠かせない必需品です。当社は経営理念のもと、世界中の人々がいつまでも安心して、快適に暮らすことができる社会づくりに貢献すべく効力にこだわった商品を提供しております。
これからも世界中のお客様に商品をご使用いただくため、当社のビジネスを持続、拡大しつつ、環境負荷に配慮した事業活動を行うことでサステナブルな社会の維持に繋がるものであると認識しております。
このような方針のもとに、製造メーカーの責務として環境負荷低減への取組みと、この数年で事業領域と地理的な拡大が進んだ当社グループの経営基盤強化を図るため、持続的に人的資本やその他の資本を補強することを進めております。
(3)リスク管理
当社は、取締役会及び経営会議において、グループを取り巻く外部経営環境の動向や経営状況を分析し、リスクに対する意思決定を行っております。
内部監査部門の総合統括部が、各部門・グループ会社の内部監査を行い、損失の危険を早期に発見することに努めております。
(4)指標及び目標
1.環境への取組み
当社は、自社工場を含む当社の企業活動におけるScope1+Scope2におけるCO2排出量を継続的に計測、定量的に捉え、2031年3月期には2023年3月期比で30%以上の削減を目標として実現に取り組んでおります。
2024年3月期の実績は、自社工場に太陽光パネルを導入したことに加えて、重油使用量の削減などを行ったことから、基準値である2023年3月期に対してCO2排出は5.0%の減少を実現いたしました。
単位:tCO2
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主な戦略 |
指標 (2023年3月期) |
実績 2024年3月期 |
削減率 |
目標値 (2031年3月期) |
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CO2排出量の削減 |
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△5.0% |
30%以上削減 |
2.人的資本の補強に関する方針と目標
社員が仕事と子育てを両立させることができるよう、社内規程の見直しなどを行っております。75期においては育児短時間勤務の対象年齢を未就学から小学校4年生まで引き上げるなど、働きやすい職場をつくることによって女性社員の離職、また社員の能力を発揮できるよう引き続き社内規程の見直しを行いました。また、男性育児休業取得率が伸びるよう該当者には個別で育児休業内容の説明など積極的に育児取得に向けた活動を行っております。
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目標 |
75期 |
74期 |
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男性 |
女性 |
全社 |
男性 |
女性 |
全社 |
||
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- |
- |
25.0% |
- |
- |
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男女ともに平均 |
70.9% |
83.4% |
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66.4% |
84.1% |
73.4% |
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|
75期 |
74期 |
||||
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全労働者 |
うち正社員 |
うち非正社員 |
全労働者 |
うち正社員 |
うち非正社員 |
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78.0% |
71.3% |
57.9% |
78.1% |
68.9% |
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また組織を支える社員ひとりひとりが能力を向上させ、成長し続けることが新たな価値を生み出し、持続的な発展につながると考え、社訓として掲げる「従業員を大切に」の実現を目指し、一人ひとりの自己成長を促す研修体制づくりに積極的に取り組んでいます。
フマキラーの人材育成ビジョン「従業員をひとり一人の個性を活かし、フマキラーグループの未来を自ら切り開く人材を育む」を掲げ、年齢・性別を問わず階層別研修を行い、将来にわたって活躍できる人材育成に取り組んでまいります。
2023年度研修実施実績 単位:千円
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研修 |
目的 |
対象人数 |
受講対象者 |
受講率 |
実施時間 |
金額 |
|
新入社員研修 |
基礎スキルの向上と経営理念、業務上必要となる各部の役割や業務の理解 |
30 |
新卒/中途入社者 |
100% |
397.5 |
800 |
|
2年目フォローアップ研修 |
若手社員としての役割認識と業務スキルのレベルアップ |
5 |
新卒入社2年目 |
100% |
7.5 |
0 |
|
3年目フォローアップ研修 |
中堅社員として視座を高め、自身の成長だけではなく、チームや組織、そして後輩社員の成長に対しての働きかけができる状態を作る |
4 |
新卒入社3年目 |
75% |
7.5 |
0 |
|
中途フォローアップ研修 |
中途入社者として今までの経験をどのように活用していくのかを整理すると共に、周囲からの求められる役割を理解する |
10 |
中途入社者 |
90% |
7.5 |
540 |
|
新任管理職研修 |
管理職として求められる役割と、その役割の中でのあるべき労務管理について理解を深め、今後の自己の啓発点を知る |
31 |
新任管理職 |
100% |
15 |
1,100 |
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中においては将来に関する事項が含まれていますが、別段の記載がない限り、当該事項は当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
<主要なリスク>
(1) 新製品、改良品の需要予測
当社グループは継続的な成長を実現するために、既存領域に捉われない市場創造型の新製品開発や商品のリニューアル改良を行っています。しかしながら、これらの新製品や改良品の市場ニーズを正確に予測できるとは限らず、販売が成功しない場合は、将来の成長性と収益性を低下させ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、消費者調査による新製品の受容性評価や、市場調査会社が発行している消費者の購買活動の分析情報等を市場ニーズの予測に活用しております。また、新製品の発売後の販売状況につきましては、販売システムにより品目別に日々の販売状況を入手できる体制を整えており、開発・営業・生産の各部門の計画に反映させております。
(2) 競争環境の激化
当社グループの主要製品は一般消費者向けの製品で、競合他社や新規参入会社との間で常に厳しい競合状況にあります。
対応策として、市場調査や競合品の分析をもとに、新製品の開発計画及び販売計画を立案し、他社と差別化された新製品の開発や需要喚起のためのマーケティング投資を行っていますが、今後の競合環境次第ではこれらの要因が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 商品の季節性
当社グループの業績は、売上構成比率が42.3%の日本市場において殺虫剤や花粉対策商品、園芸用品など季節商品の売上構成比が高いため、各季節の長短や気温の高低によって大きく影響を受けます。主力商品である殺虫剤については、国内の需要期である夏季に向けた製造・出荷が年前半に集中するため、第4四半期と第1四半期の売上高が高くなる一方、需要期を過ぎた第3四半期においては返品も発生する等、季節により売上高や営業損益が偏る季節変動要因があります。
対応策として、家庭用品部門の主力であるアルコール除菌剤など年間を通じて販売が見込める商品の開発・販売強化や、花粉・ウイルス対策剤など殺虫剤の需要期と異なる商品の販売に努めております。また、殺虫剤の返品削減につきましては、年間定番品の拡大、インターネット販売企業における売上拡大、需要期終盤の店頭消化策の強化、卸店と協力して流通在庫の調整等の取り組みを行っています。
(4) 商品・製品在庫の評価減
上記(1)~(3)のリスクで挙げました新製品や改良品の需要予測、競合他社との競争、季節変動等により計画どおりの販売が実現しない場合、商品・製品が滞留し評価減が必要となる可能性があります。また、次の(5)の①で述べる原材料の高騰などによる価格面の変動によっても商品・製品の評価減が必要となり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、上記(1)~(3)で述べた取組みを行ってまいります。
(5) その他
①原材料の高騰
当社グループが主に使用する原材料は、溶剤、噴射剤、化学薬品、樹脂、鋼材(缶)等です。これらの原材料の調達に関しては、国内外のサプライヤーから購入していますが、為替変動や国際情勢による影響等で原材料価格が変動した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、複数のサプライヤーからの購買により安定仕入を図るとともに、VA/VE活動も行うことで価格変動のリスクを軽減し、製造原価を悪化させることがないように取り組んでおります。
②為替変動の影響
当社グループの当連結会計年度における海外売上高は390億20百万円、海外売上構成比率は57.7%となっております。為替変動が当社グループの連結業績に与える影響につきましては、海外売上高の円換算後数値の変動や海外からの仕入高への影響によっては当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
③買収・提携による影響
当社グループは、将来の事業拡大のために事業戦略の一環としてM&Aや業務提携等を行うことがありますが、事後的に発生した想定外の事象や環境変化が生じた場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④資金調達の影響
当社グループは、銀行借入等により運転資金及び事業投資資金の資金調達を実施しております。借入環境の悪化や当社グループの信用力低下等が起きた場合には、資金調達が制約されることにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、これら銀行借入等による資金調達においては、金利変動の影響を受けます。
対応策として、2024年3月31日現在における当社グループの借入金のうち90%を超える借入主体となっている当社において、複数の銀行と充分な借入枠を設定しており、日常の取引に支障がない体制を構築しております。
⑤有価証券の価値の変動
当社グループは投資有価証券を保有しており、証券市場の悪化等により評価損が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、保有株式について定期的に個別銘柄の取引状況を検証し、継続保有や新規保有の判断を行っております。
⑥法的規制
当社グループは、日本国内に加えて、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、インド、メキシコ、イタリアの子会社で製造販売または販売を行っており、その他当社グループが事業を行う地域(ヨーロッパ・中南米・アフリカ・中近東等)も含めて、様々な法令による規制を受けています。これらの規制は、当社グループの商品の製造、表示、広告宣伝並びに販売等の事業活動に適用され、社会情勢の変化等に応じて今後も適宜、改正や解釈の変更等が行われる可能性があります。当社グループに適用される法規制に違反した場合、当社グループの信用が失われるとともに、罰則又は多額の損害を伴う規制上の処分又は私法上の訴訟提起が行われ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、関係法令の改正情報等を早期に入手し、その影響を検討して対策をとるとともに、関係法令に関する社員教育を実施して、法令遵守の徹底を図っております。
⑦情報管理のリスク
当社グループは、個人情報や機密情報等多くの重要情報を保有しておりますが、万一情報漏洩等の不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
この対応策として、当社では個人情報、顧客情報の管理は「プライバシーポリシー」にて方針を定め、社内規程や行動規範に沿って運用しております。加えて、漏洩防止のためにハード及びソフト面でのセキュリティー対策を行うことにより、情報資産の保護の継続的な徹底に努めております。
⑧知的財産権の侵害
万一第三者による当社グループの知的財産権の侵害が生じた場合には、期待される収益が損なわれるリスクがあります。また、当社グループが認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害し、トラブルに発展する可能性もあります。このような場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、開発部門が他社の知的財産権に関する公表情報を逐次入手し、専門家を交えて侵害の有無を協議の上で、当社の知的財産権に対する第三者からの侵害リスク及び当社グループが第三者の知的財産権を侵害することによる訴訟リスクを排除する体制を構築しております。
⑨品質のリスク
当社製品の中には、医薬品、医薬部外品、農薬等があり、高い品質水準を確保することが求められるところ、万一品質不良等により消費者に被害を与えるようなことが発生した場合には、被害の状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、関係法令に基づき製造に関する社内基準を設けることにより、イレギュラーな作業や製造環境が発生し得ない仕組みと教育体制を整えております。また、品質を高める為 「ISO9001-2015」を取得し、製品の設計・検証から、資材の受入検査に始まり、製造・出荷迄、徹底したモノづくりを実施しております。
⑩訴訟のリスク
将来重大な訴訟が発生し、当社グループに不利な判断をされた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社の各部門の業務状況及び海外子会社の経営状況については毎月開催される経営会議にて逐次報告され、経営上の重要な問題について審議しております。また、複数の専門家と顧問契約を締結しており、法的な対応について確認できる体制を構築しております。
⑪海外での事業活動リスク
当社グループは、アジア地域や欧州地域、中南米地域をはじめとして、海外事業を積極的に展開しています。海外拠点ごとに責任者を定め、現地の最新情報の入手に努めるなどの対応を図っておりますが、これら地域において、予期せぬテロ、内乱、人権問題等の経済的・政治的・社会的な突発事象が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫自然災害等の影響
当社グループは国内及び海外で生産活動を行っておりますが、今後予期せぬ自然災害や事故等が発生し、生産設備への影響が生じた場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、関連法令の制約はありますが、生産拠点の確保の為に国内外を問わず、複数の生産拠点で生産が行えるよう分散化を進めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)におけるわが国経済は、ウィズコロナの中で回復基調にある一方、急激な為替変動や長期化する不安定な国際情勢など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中で、当社グループは「ひとの命を守る。ひとの暮らしを守る。ひとを育む環境を守る。わたしたちは、世界中の人々がいつまでも安心して快適に暮らすことのできる社会づくりに貢献していきます。」という経営理念のもとで、それぞれの国に最適な高効力・高品質の商品を提供し、世界中のより多くの人々に安心を届けることを目指しています。
特に、この数年でグループ全体の事業領域と欧州展開をはじめとする地理的な拡大が進んだため、それらの経営基盤強化と事業展開のスピードアップを積極的に進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度における総資産額は、49億95百万円増加し、623億66百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が19億55百万円、売掛金が10億81百万円、商品及び製品が6億53百万円、原材料及び貯蔵品が5億70百万円、投資有価証券が3億74百万円、電子記録債権が3億11百万円増加した一方で、建設仮勘定が68百万円減少したこと等によるものであります。
負債につきましては、22億82百万円増加し、367億63百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金が14億71百万円、電子記録債務が4億32百万円、返金負債が3億58百万円、長期借入金が1億25百万円、退職給付に係る負債が1億13百万円増加した一方で、短期借入金が9億70百万円減少したこと等によるものであります。
純資産につきましては、27億12百万円増加し256億2百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が10億88百万円、利益剰余金が10億14百万円、その他有価証券評価差額金が2億96百万円、非支配株主持分が2億38百万円増加したこと等によるものであります。
以上から、前連結会計年度末から自己資本比率は1.1ポイント増加し、37.2%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は676億72百万円となりました。
利益面では、営業利益24億3百万円、経常利益27億98百万円、親会社株主に帰属する当期純利益13億77百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
なお、セグメント別の売上高は連結相殺後の数値を、セグメント利益又は損失は、連結相殺消去前の数値を記載しております。
(1)日本
売上高は、殺虫剤部門が、2024年殺虫剤シーズンのスタートとなる2024年3月に天候不順の影響を受け前年対比で減収となったものの、上期から第3四半期にかけては外出機会の増加に伴う殺虫剤市場の拡大や、残暑の影響による返品の減少もあったことから増収となりました。
家庭用品部門においては、主力のアルコール除菌剤の売上が前期を下回った結果、減収となりました。
園芸用品部門は、主力の除草剤が伸長した一方で、園芸用ハンドスプレー、園芸用不快害虫商品の売上が前期を下回った結果、増収となりました。
その結果、外部顧客に対する売上高は292億8百万円(前年同期は290億44百万円)、セグメント損失は6億14百万円(前年同期は4億78百万円のセグメント損失)となりました。
(2)東南アジア
売上高は、主力のインドネシアの売上が現地通貨ベースで前期を上回り、さらに円安の影響を受けたことから、外部顧客に対する売上高は269億8百万円(前年同期は241億27百万円)となりました。また、セグメント利益は22億93百万円(前年同期は17億70百万円のセグメント利益)となりました。
(3)欧州
事業活動が本格化した欧州は現地通貨ベースの売上も前期を上回り、外部顧客に対する売上高は97億10百万円(前年同期は72億31百万円)、またセグメント利益は2億94百万円(前年同期は3億18百万円のセグメント利益)となりました。
(4)その他
インドとメキシコを中心に販売し、外部顧客に対する売上高は18億44百万円(前年同期は13億10百万円)となりました。また、セグメント利益は2百万円(前年同期は20百万円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ19億56百万円増加し、81億72百万円となりました。
営業活動によって獲得した資金は43億27百万円(前年同期は66百万円の獲得)となりました。これは税金等調整前当期純利益が27億66百万円、減価償却費が14億64百万円、売上債権の増加額が14億7百万円、仕入債務の増加額が19億3百万円、法人税等の支払額が7億88百万円あったこと等によるものであります。
投資活動によって使用した資金は、12億19百万円(前年同期は11億68百万円の使用)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が11億53百万円あったこと等によるものであります。
財務活動によって使用した資金は17億65百万円(前年同期は8億23百万円の獲得)となりました。これは短期借入金の純増減額の減少が9億98百万円、配当金の支払が3億62百万円あったこと等によるものです。なお、当連結会計年度末における借入金残高は、前期末に比べ9億8百万円減少して、149億84百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
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日本(百万円) |
35,470 |
114.5 |
|
東南アジア(百万円) |
19,730 |
105.6 |
|
欧州(百万円) |
2,458 |
102.0 |
|
報告セグメント計(百万円) |
57,659 |
110.7 |
|
その他(百万円) |
- |
- |
|
合計(百万円) |
57,659 |
110.7 |
(注) 1.生産実績には、外注先に委託した生産分を含んでおります。
2.セグメント間取引については、相殺消去しております。
3.上記金額は卸売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
9,352 |
114.6 |
|
東南アジア(百万円) |
529 |
138.5 |
|
欧州(百万円) |
2,679 |
117.6 |
|
報告セグメント計(百万円) |
12,560 |
116.1 |
|
その他(百万円) |
132 |
124.4 |
|
合計(百万円) |
12,692 |
116.1 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額は仕入金額によっております。
c.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)の生産は、ほとんど見込生産であり受注によるものは例外であり、受注残高は僅少であります。また、期中の受注高と販売実績がほぼ対応するため、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本(百万円) |
29,208 |
100.6 |
|
東南アジア(百万円) |
26,908 |
111.5 |
|
欧州(百万円) |
9,710 |
134.3 |
|
報告セグメント計(百万円) |
65,828 |
109.0 |
|
その他(百万円) |
1,844 |
140.8 |
|
合計(百万円) |
67,672 |
109.7 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、その割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は423億87百万円となり、前連結会計年度末より41億93百万円増加しました。現金及び預金の増加(69億19百万円から88億74百万円へ19億55百万円の増加)、売掛金の増加(156億43百万円から167億24百万円へ10億81百万円の増加)、商品及び製品の増加(78億89百万円から85億42百万円へ6億53百万円増加)、原材料及び貯蔵品の増加(34億6百万円から39億76百万円へ5億70百万円増加)、電子記録債権の増加(1億74百万円から4億85百万円へ3億11百万円増加)が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は199億78百万円となり、前連結会計年度末より8億1百万円増加しました。投資有価証券の増加(48億67百万円から52億41百万円へ3億74百万円増加)、繰延税金資産の増加(3億47百万円から5億59百万円へ2億11百万円増加)、建物及び構築物(純額)の増加(54億12百万円から55億13百万円へ1億1百万円増加)が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は331億5百万円となり、前連結会計年度末より15億93百万円増加しました。支払手形及び買掛金の増加(62億99百万円から77億71百万円へ14億71百万円増加)、電子記録債務の増加(27億40百万円から31億72百万円へ4億32百万円増加)、返金負債の増加(20億76百万円から24億35百万円へ3億58百万円増加)、短期借入金の減少(151億62百万円から141億91百万円へ9億70百万円減少)が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は36億58百万円となり、前連結会計年度末より6億89百万円増加しました。繰延税金負債の増加(7億71百万円から11億25百万円へ3億54百万円増加)、長期借入金の増加(3億95百万円から5億21百万円へ1億25百万円増加)、退職給付に係る負債の増加(6億53百万円から7億67百万円へ1億13百万円増加)が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は256億2百万円となり、前連結会計年度末と比較して27億12百万円増加しました。為替換算調整勘定の増加(9億15百万円から20億3百万円へ10億88百万円増加)、利益剰余金の増加(94億42百万円から104億57百万円へ10億14百万円増加)、その他有価証券評価差額金の増加(18億20百万円から21億17百万円へ2億96百万円増加)、非支配株主持分の増加(21億86百万円から24億25百万円へ2億38百万円増加)が主な要因であります。
2)経営成績
当期の経営成績
(単位:百万円)
|
指標等 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
売上高 |
61,712 |
67,672 |
5,960 |
9.7 |
|
売上原価 |
43,971 |
47,661 |
3,690 |
8.4 |
|
売上総利益 |
17,741 |
20,011 |
2,269 |
12.8 |
|
販売費及び一般管理費 |
15,847 |
17,607 |
1,759 |
11.1 |
|
営業利益 |
1,894 |
2,403 |
509 |
26.9 |
|
営業外損益 |
420 |
394 |
△25 |
△6.2 |
|
経常利益 |
2,315 |
2,798 |
483 |
20.9 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
668 |
1,377 |
708 |
106.0 |
|
1株当たり当期純利益 |
40円58銭 |
83円58銭 |
|
|
当期の国内・海外売上成績
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
国内 |
27,856 |
28,652 |
796 |
2.9 |
|
海外 |
33,856 |
39,020 |
5,163 |
15.3 |
|
合計 |
61,712 |
67,672 |
5,960 |
9.7 |
|
海外売上構成比 |
54.9% |
57.7% |
|
|
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の売上高は676億72百万円となりました。
国内売上は、主力の殺虫剤が2024年殺虫剤シーズンのスタートとなる2024年3月に天候不順の影響を受け前年対比で減収となったものの、上期から第3四半期にかけては外出機会の増加に伴う殺虫剤市場の拡大や、残暑の影響による返品の減少もあったことから前年同期比2.9%増の286億52百万円となりました。
一方、海外売上は、主力のインドネシアや事業活動が本格化したイタリアにおいて現地通貨ベースで前年を上回り、さらに円安の影響を受けた結果、前年同期比15.3%増の390億20百万円(為替変動の影響を除くと6.4%増)となりました。
売上原価は、前年同期比36億90百万円増加し476億61百万円、売上原価率は70.4%となり、前年同期より0.9ポイント減となりました。売上総利益は200億11百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、人件費、販促経費等が増加した結果、前年同期比11.1%増の176億7百万円となりました。
これらの結果、営業利益は前年同期より5億9百万円増加し、24億3百万円(前年同期比26.9%増)となりました。
営業外損益につきましては、受取配当金や技術指導料の営業外収益が5億80百万円、支払利息等の営業外費用が1億85百万円となり、差し引き3億94百万円の利益(純額)となりました。
これらの結果、経常利益は前年同期より4億83百万円増加し、27億98百万円(前年同期比20.9%増)となりました。
以上から税金等調整前当期純利益は前年同期比61.2%増の27億66百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用や非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、前年同期比106.0%増の13億77百万円となりました。
(単位:百万円)
|
|
上半期 |
下半期 |
合計 |
|||
|
売上高 |
構成比(%) |
売上高 |
構成比(%) |
売上高 |
構成比(%) |
|
|
国内 |
15,905 |
55.5 |
12,746 |
44.5 |
28,652 |
100.0 |
|
海外 |
21,184 |
54.3 |
17,835 |
45.7 |
39,020 |
100.0 |
|
合計 |
37,090 |
54.8 |
30,582 |
45.2 |
67,672 |
100.0 |
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の売上高の期間推移につきましては、国内海外合計では、ほぼ平均した売上となっております。
(部門別売上高)
(単位:百万円)
|
|
上半期 |
下半期 |
合計 |
|||
|
金額 |
構成比 (%) |
金額 |
構成比 (%) |
金額 |
構成比 (%) |
|
|
殺虫剤部門 |
29,664 |
55.1 |
24,204 |
44.9 |
53,868 |
100.0 |
|
家庭用品部門 |
926 |
45.5 |
1,110 |
54.5 |
2,036 |
100.0 |
|
園芸用品部門 |
2,448 |
58.4 |
1,741 |
41.6 |
4,189 |
100.0 |
|
防疫剤部門 |
983 |
66.2 |
501 |
33.8 |
1,484 |
100.0 |
|
その他の部門 |
3,068 |
50.4 |
3,025 |
49.6 |
6,093 |
100.0 |
|
合計 |
37,090 |
54.8 |
30,582 |
45.2 |
67,672 |
100.0 |
次に、部門別の概況は以下のとおりです。
殺虫剤部門
国内におきましては、2024年3月の気温が前年より低温に推移したことで市場が縮小し、2024年シーズンのスタートとなる第4四半期は前年対比で減収となりました。一方で、上期から第3四半期にかけては外出機会の増加に伴う殺虫剤市場の拡大と、残暑が長引き販売期間が伸びたことによる返品減により増収となったことから、最終的な結果は150億39百万円(前年同期比7億15百万円増、5.0%増)となりました。
海外におきましては、主力のインドネシア、事業活動が本格化したイタリアが現地通貨ベースで前期を上回り、さらに円安の影響を受けたことから、最終的な円貨ベースでは388億29百万円(前年同期比50億86百万円増、前年同期比15.1%増)となりました。
国内及び海外の殺虫剤合計の売上高は538億68百万円(前年同期比58億2百万円増、12.1%増)となりました。
家庭用品部門
家庭用品部門は、主力のアルコール除菌剤の売上が前期を下回った結果、家庭用品の売上高は20億36百万円(前年同期比2億43百万円減、10.7%減)となりました。
園芸用品部門
園芸用品部門は、主力の除草剤が伸長した一方で、園芸用ハンドスプレー、園芸用不快害虫商品の売上が前期を下回った結果、園芸用品合計の売上高は41億89百万円(前年同期比40百万円増、1.0%増)となりました。
防疫剤、その他の部門
防疫剤部門の売上高は、14億84百万円(前年同期比2億38百万円減、13.8%減)となりました。
その他の部門の売上高は、子会社のフマキラー・トータルシステム㈱のシロアリ施工工事が好調で、60億93百万円(前年同期比5億99百万円増、10.9%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、次の事項が挙げられます。
1)競争環境の激化
当社グループの主要製品は一般消費者向けの製品で、競合他社や新規参入会社との間で常に厳しい競合状況にあります。今後の競合環境次第ではこれらの要因が当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループといたしましては、他社と差別化された新製品の開発や需要喚起のためのマーケティング投資を行い、ブランドの強化と売上拡大につなげていきたいと考えております。
2)天候の影響、季節変動
当社グループの業績は、殺虫剤や花粉対策商品、園芸用品など季節商品の売上構成比が高いため、天候によって大きく影響を受けます。主力商品である殺虫剤については、国内の需要期である夏季に向けた製造・出荷が年前半に集中するため、第4四半期から第1四半期の売上高が高くなる一方、需要期を過ぎた第3四半期においては返品が発生する等、季節により売上高や営業損益が偏る季節変動要因があります。
当社グループといたしましては、ウイルス・細菌・アレルゲンなど暮らしの周りに潜む見えないリスクへの対策等消費者の生活シーンに安心安全を提供する製品の推進や海外子会社の売上拡大等により天候に左右されない強固な事業基盤の構築に取り組んでいきたいと考えております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
1)資金需要の内容
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、納税資金と設備投資・出資等の投資資金等であります。
運転資金の主な内容は、当社グループ製品の製造のための原材料の購入のほか、商品仕入、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。製造費の内訳は、人件費、外注費、動力費等であります。販売費及び一般管理費の内訳は、人件費、広告宣伝費、販売促進費、研究開発費、運送費等であります。設備投資の主な内容は、生産設備関連等の有形固定資産であります。
2)資金調達の方針
資金調達につきましては、運転資金及び納税資金は営業キャッシュ・フロー、内部留保資金での充当を基本とし、必要に応じて金融機関からの短期借入による資金調達を実施しております。
設備投資・出資等につきましては、自己資金、金融機関からの長期借入等、金利コスト等を勘案し調達方法を検討し対応しております。
重要な設備の新設の予定及び資金調達につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)における研究開発活動は、当社及びPT. FUMAKILLA INDONESIA、Fumakilla Malaysia Berhad、FUMAKILLA EUROPE S.R.L、ZAPI INDUSTRIE CHIMICHE S.P.A.、フマキラー・トータルシステム株式会社、FSブルーム株式会社が行っております。
当社は、ひとの命、ひとの暮らし、ひとを育む環境を守る。という経営理念のもと、企画・設計の段階から製造・販売に至るまで、レスポンシブル・ケアの精神に則り、環境負荷を低減した、クオリティの高い商品を社会に提供し、明るく健康で快適な生活環境づくりに貢献します。また、消費者視点に立った新価値創造型商品を開発・上市することで、世界に感動を与え、世界中のお客様から愛される企業になることが我々の企業使命です。この目標に向かい、絶え間なく研究開発を行っております。
日本における研究開発活動
害虫が媒介する感染症の患者数増加や外来生物の日本上陸、そして昨今、猛威を振るうウイルスや細菌による「見えないリスク」に対応する研究開発を国内外の研究拠点と連携し、重点的に実施しています。
くわえて、防除用医薬品・医薬部外品をはじめ、農薬・肥料、ウイルス対策剤・除菌剤やアレルギー対策商品に代表される家庭用品及びしろあり駆除・木材保存剤等の研究分野でも、国内外の研究開発機関との共同研究をはじめ、生物的、化学的、物理的に最新の技術と長年に亘る基礎科学研究と応用開発研究によって、独自の商品開発を行っております。また、世界戦略に基づく知的財産権の権利化を積極的に行っております。
現在の日本における研究開発体制は、開発本部の下に、応用開発研究部、基礎科学研究部、開発企画室、海外開発研究部及び開発管理部の5部門で構成されており、当連結会計年度における研究開発費用は
事業部門別の研究開発活動は、次のとおりであります。
(1)殺虫剤部門
各種の疾病原因となる害虫の被害から人々を守り、健康で快適な生活環境を確保するため、蚊・ゴキブリ・ハエ等の衛生害虫を駆除する医薬品・防除用医薬部外品の殺虫剤、忌避剤をはじめとし、アリ・ハチ・アブ・ムカデ等の不快害虫駆除剤、忌避剤等、安心で使いやすい商品の研究開発を行っております。殺虫剤開発部門は当社の研究開発の中心でもあり、日々、最新の研究開発に取り組んでおります。
(2)家庭用品部門
キッチン・トイレ・浴槽等の水回り場所、リビング、寝室、玄関、下駄箱、押入れ・ロフト等の生活・居住空間と人の身の回りのアメニティを追求し、それらを向上する商品を提供するため、ウイルス対策剤・除菌剤、洗浄剤、消臭剤、除湿剤、花粉等のアレルギー対策商品等の研究開発を行っております。特に除菌剤と花粉対策商品については、市場を牽引するリーダーとして、お客様のニーズに対応した商品のラインナップ拡充に努めております。
(3)園芸用品部門
植物を害虫・病気・冷夏や酷暑といった様々な要因や鳥獣の害から守り、植物の生活環境を人のそれと同様、健康で快適にする商品を提供するため、農薬・肥料等をはじめとし、各種の害虫やナメクジ駆除剤、犬猫忌避剤等の研究開発を行っております。特に園芸用品部門においては、お客様の望まれる、安心安全、脱ケミカル、天然志向などに配慮した商品開発に注力した研究開発を行っております。
また、FSブルーム株式会社では、成田シードセンター(千葉)にて、花の各品種における日本の気候下でのパフォーマンスを調査するとともに、カダンブランドの花苗と薬剤の効力実験などを共同で行っています。
(4)防疫剤、その他売上部門
健康で快適な生活環境を確保するため、業務(PCO,TCO,公共団体)用の蚊・ゴキブリ・ハエ等の衛生害虫を駆除する医薬品・防除用医薬部外品の殺虫剤をはじめ、(社)日本しろあり対策協会認定のしろあり駆除・木材保存剤、チョウバエ、ユスリカに代表される不快害虫駆除剤、床下用調湿剤・機材、その他生活環境保全に関する研究開発も行っております。
家庭用殺虫剤分野で培った製剤技術を応用し、工場、鉄道・航空運輸、店舗等向けの製剤や機器の開発にも注力しております。
東南アジアにおける研究開発活動
東南アジアでは、年中、蚊やハエが生活環境に存在します。熱帯で蚊に刺されることは、重大な疾病感染のリスクにさらされたことを意味します。それはマラリア、デング熱、ジカウイルス感染症、チクングニア熱、日本脳炎など人命に関わる重篤な症状を引き起こす疾病を、蚊が媒介しているからです。従って、何よりも、まず、人命を守る上で、大切な殺虫剤分野に注力して、研究開発を行っています。誰もが使いやすく、本当に効果のある商品を、適正な価格で、社会の隅々まで、お届けするのが、我々の使命です。
なお、東南アジアにおける当連結会計年度の研究開発費用は
(1)殺虫剤部門
東南アジアの蚊は、日本の蚊と比べると数倍の薬剤抵抗性があります。日本から単純に同じ商品を持っていっても、期待した効果を発揮することはできません。現地の蚊に合わせて効果を発揮する配合処方の開発をする必要があります。実際の生活の場面で、効果をしっかりと発揮する商品を目指して、処方開発、商品形態などの研究開発を行っています。
(2)家庭用品部門
キッチン・トイレの生活・居住空間や車、ロッカー・押入れ・下駄箱等の小空間用として芳香・消臭・脱臭剤等、また、ウイルス対策剤・除菌剤の研究開発も行っております。
欧州における研究開発活動
害虫等による被害から人々を守り、健康で快適な生活環境を確保するための製剤研究開発に取り組んでおります。当地での研究開発においては、欧州BPR(EU 殺生物性製品規則)や各種EU法規制に適合した製品開発が必要となります。そのため健康および環境に対するリスクが低く、かつ有害な生物を効果的に抑制するための研究開発を行っております。
(1)殺虫剤部門
欧州法規に適合しつつ高い効力を持つ製剤の研究開発活動を行っております。また日本や東南アジアにおいて培った技術を導入し、グループとしてのシナジー最大化に取り組んでまいります。
また、ZAPI INDUSTRIE CHIMICHE S.P.A.ではイタリア国内販売および世界各国への輸出を行っています。各国の法規制変更に対応するため、新製品の開発・登録を行っております。
なお、欧州における当連結会計年度の研究開発費用は
その他の研究開発活動
FUMAKILLA INDIA PRIVATE LIMITED及びFUMAKILLA AMERICA S.A. DE C.V.は、独自の研究開発組織を持たないため、日本のフマキラーの研究開発組織が必要な開発業務をサポートしております。