第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、追い求めていくべき不変の基本的価値観である「自然と健康を科学する」という経営理念と、社会から必要とされ存在し続ける目的である「漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献します」という企業使命を基本的な理念と位置づけ、理念に基づく経営を実践すべく、諸施策に取り組んでおります。

 

(2)経営戦略等

当社では2012年に長期経営ビジョン「2021年ビジョン」を掲げ、その実現に向けた取り組みを続けてまいりました。2019年5月9日に公表した、「第3期中期経営計画(2019年度-2021年度)“漢方”のイノベーションによる新たな価値の創造 -Next Stage-」では、国内事業の戦略を「漢方医学の確立」、中国事業の戦略を「中国国民の健康への貢献」とし、戦略課題を以下のとおり定めました。

 

① 漢方市場の持続的拡大とプレゼンスの確立

② 中国における成長投資と事業基盤の構築

③ 新技術を活用した生産性の向上 -AI、ロボット化、RPA※1-

④ 理念経営による企業文化の醸成と多様な人財※2 の開発

⑤ 漢方バリューチェーンを通じたSDGsの推進

 

本計画は、2022年以降の国内・中国事業を「飛躍」させるための「成長投資」のステージと位置付けております。上記5つの戦略課題に取り組み、持続的な成長を果たすとともに、企業価値の向上を図ってまいります。

 

健康長寿社会の実現に向け、当社が果たすべき役割は大きいと考えております。これからも当社は、「国内のどの医療機関・診療科においても、患者様が必要に応じて“漢方”を取り入れた治療を受けられる医療現場の実現に貢献」することを目指し、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第3期中期経営計画(2019年度-2021年度)における数値目標は以下のとおりです。

 

2021年度

売上高

1,350億円以上

営業利益

190億円以上

ROE

6%以上

前提条件:[薬価改定] 2019年度、2020年度、2021年度

[為替レート]112円/米ドル、16.5円/元

 

第3期中期経営計画(2019年度-2021年度)の概要

 

-事業戦略-

 国内事業「漢方医学の確立」

 中国事業「中国国民の健康への貢献」

 

 

-戦略課題-

① 漢方市場の持続的拡大とプレゼンスの確立

漢方医学に対する医療関係者のニーズは多様化しており、医師への面談、医療機関説明会、漢方医学セミナーを基本とし、基礎・臨床エビデンス、漢方製剤掲載の診療ガイドライン及び漢方医学的な処方の使い分け等に関する適切な情報提供活動を実施いたします。

・「高齢者関連領域」「がん領域(支持療法)※3」「女性関連領域」を重点3領域と位置付け、集中的に活動する。

・育薬処方※4、Growing 処方※5、重点3領域の関連処方によるネットワークを構築する。

・患者様の治療効果(安全性・有効性)を高めるためエビデンスを構築し、診療ガイドラインへの掲載を目指す。

 

② 中国における成長投資と事業基盤の構築

・「薬食同源」製品や飲片(刻み生薬)※6など既存製品の販売を通じて、2021年度売上高約40億円(約2.4億元 / 元=16.5 円)を目指す。

・中成薬※7事業本格化に向けた基盤構築を進めるため、500~1,000億円規模の投資をする。

・分析研究センターを2021年度に稼働させ、生薬・中成薬の品質標準の確立を目指す。

・天津工場(津村盛実製薬有限公司)で日本向けエキス粉末の生産を2021年度から開始する。将来的には中国向け製剤の主要生産拠点とする。

 

③ 新技術を活用した生産性の向上 -AI、ロボット化、RPA-

・生薬選別作業の自動化や生産工程のロボット化などにより、効率化を進める。

・高付加価値業務への転換を図るため、RPA導入により定型業務を自動化する。

・需要予測から生薬手配計画までのSCM※8 を改革することにより、最適な在庫配置を実現する。

 

④ 理念経営による企業文化の醸成と多様な人財の開発

・社内外講師による体系的な教育プログラムを企画・運営することにより、当社グループの基本理念に基づく経営を実践できる人財を養成し、連綿と輩出する。

・当社グループ社員に理念の浸透を図り、コーチングセミナーや人間力向上を目指したプログラムを実施し、基本基調に則した企業文化を醸成する。

 

⑤ 漢方バリューチェーンを通じたSDGsの推進

価値創造の源泉である漢方・生薬を通じて、持続可能な社会の実現に取り組む。

・漢方の有効性解明をさらに進め、さまざまな疾病構造に対応し、より多くの方の健康と福祉に貢献する。

・再生可能エネルギー等の循環型システムを取り入れ、水をはじめとした資源の有効活用・保全を推進する。

・生薬の栽培・研究を通じて、天然資源の持続的利用や産地の雇用機会創出、農福連携等を拡げる。

 

※1 RPA

Robotic Process Automation の略。

※2 人財

当社グループの全役職員が財産という概念から「財」の文字を使用。

※3 がん領域(支持療法)

がんそのものに伴う症状や、がん治療による副作用の症状を軽減させる等の治療。

※4 育薬処方

近年の疾病構造を見据え、医療ニーズの高い領域において新薬治療で難渋している疾患で、医療用漢方製剤が特異的に効果を発揮する疾患に的を絞り、エビデンス(科学的根拠)を確立する処方。

※5 Growing 処方

育薬5処方に続く戦略処方として、治療満足度や薬剤貢献度の低い領域でのエビデンス構築(安全性・有効性データ等)により診療ガイドライン掲載を目指す処方。

※6 飲片(刻み生薬)

全形生薬を小片または小塊に切断または粉砕したもの、あるいは粗切、中切または細切したもの。

(日本漢方生薬製剤協会の表記を参照)

※7 中成薬

中薬(中国の伝統医学である中医学で用いる薬剤)を工業的方法で製剤化した薬物。

(日本漢方生薬製剤協会の表記を参照)

※8 SCM

サプライチェーンマネジメント。当社が目指すSCMの目的は、販売計画、生産計画、原料生薬の栽培・手配・調達・加工・移動及び在庫計画について、需要を起点として連携させ、自動化・迅速化を実現すること。

 

(4)経営環境

近年、超高齢社会において、医療費の増大にともなう各種制度変更、地域医療のあり方や、生活者のセルフメディケーション意識の向上など、製薬会社が直面する課題は少なくありません。

国の施策においては“漢方”への期待と役割が大きくなっています。2015年、厚生労働省より公表された「医薬品産業強化総合戦略」の中のひとつに、漢方薬は『わが国の医療において重要な役割を担っている』と明記されました。また、同じく厚生労働省より公表された「がん対策加速化プラン」では、支持療法の開発・普及のために実施すべき具体策として、『術後の合併症・後遺症を軽減する観点から』進める研究のひとつに、漢方薬を用いた支持療法があげられています。

当社は、このような政策に準ずる施策はもちろん、「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」や総合診療医・在宅医療の推進などを含む「地域包括ケアシステム」の構築などの医療政策、人口動態にともなう疾病構造の変化(高齢者疾患、女性特有の疾患など)を踏まえた取り組みを進めてまいります。

また、2016年に発足した「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(日本東洋医学会・日本漢方生薬製剤協会共催)において、医療関連のオーソリティによって、漢方医療を取り巻く課題と対応策が「提言書」として取りまとめられました。当社は、日本漢方生薬製剤協会の活動を通じて、この提言を実現するために、産官学共同の課題として取り組んでおります。

2019年2月には、提言書に基づく研究事業の成果発表を目的として、「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」が開催されました。そこでは、高齢者医療や漢方製剤の薬物動態、医療経済性などのテーマについて講演があり、議論と意見交換が行われました。

当社は、このような“漢方”を取り巻く外部環境の変化を踏まえ、中長期的な観点から事業計画を立案し、活動していくことにより、国民医療に貢献してまいります。

 

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

① 第3期中期経営計画に基づく取組み

「(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

 

② 品質の追及・安全性重視体制の更なる強化

当社は、品質と安全性を追求し、さらに向上させていくという品質重視体制の考えを基本として、その仕組みを整えております。以下、その重要な仕組みについて、さらなる運用の改善と強化に取り組んでまいります。

1)「ツムラ品質マネジメントシステム」

当社は、品質方針のもと、品質保証システムのさらなる充実を目指した「ツムラ品質マネジメントシステム」の体制を整え、品質を重視する取り組みを推進しております。このシステムは、ツムラグループ全体を取り込む包括的なものであり、これによって経営陣の関与をさらに明確にしました。

また、グローバル化(PIC/S※対応を含む)や法改正などにも適正に対応できる仕組みとなっております。

※ PIC/S:

Pharmaceutical Inspection Convention and Pharmaceutical Inspection Co-operation Schemeの呼称。

医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキームのことであり、GMP基準などの国際化を推進する枠組み。

 

品質方針

当社グループは、価値創造企業を目指し、"KAMPO"で人々の健康に寄与するため、以下の品質方針を定めております。

・高品質かつ安全で信頼される製品を安定的に供給します

・医薬品に関する薬事関連法規を遵守します

・お客様の声を聴き、継続的な品質改善に努めます

・安全な生薬の安定確保を実現します

・研究の信頼性を確保し、研究成果を適切に提供します

・全役職員に対し、適切な教育を実施し、高い意識を持つ人財を育成します

・これらを実現するため、経営資源を適正に配分します

2)「ツムラ生薬GACP※」

当社は、生薬の安全性・品質保証体制をより強固なものにするため「株式会社ツムラ 生薬生産の管理に関する基準(ツムラ生薬GACP)」を制定し、運用しております。

ツムラ生薬GACPは、「ツムラ生薬GACPガイドライン」「生薬生産標準書」「生薬トレーサビリティ」「教育・監査・認証」で構成されています。

そのひとつである生薬トレーサビリティは、原料生薬の生産地から生薬加工場に納入される各段階で、栽培・加工・流通・保管などの記録を収集・保管し、情報の追跡と遡及を可能とする仕組みであり、漢方製剤の製造工程、流通過程の履歴情報と併せ、医療機関から原料生薬生産地までの全履歴情報の追跡・遡及を可能としています。

今後も、生薬の安全性・品質保証体制をより強固なものにし、安全で安心できる生薬の安定確保のために、ツムラ生薬GACPを確実に運用してまいります。

※ GACP:Good Agricultural and Collection Practice

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループにおきましては、これらの事項に対しまして、発生を回避すべく対応してまいります。また、発生した場合におきましても、その悪影響を最小限に留めることができるよう対応に努めてまいります。

 なお、以下に記載する事項については、将来に関する事項が含まれておりますが、これらは有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)医療制度

 医薬品業界においては、医療制度の変更が医薬品市場環境に大きく影響し、その方向性によっては医薬品業界全体及び当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競争

 当社グループの収益の柱である医療用漢方製剤は、国内市場において長く優位性を保っておりますが、国内外の大手製薬会社等が漢方市場に参入した場合、今まで以上に競争が激化し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)製品の供給

 当社グループは、漢方製剤の主要原料である生薬の約80%を中国から輸入しており、また、漢方製剤の生産工程の一部を中国の合弁会社に委託しております。生薬の多くは天然物であることから、将来に備えて主な生薬の栽培化研究を進めております。しかし、予期せぬ法規制の変更、政治や経済状況の変化等が発生した場合、必要な数量の確保や輸入が困難となる可能性があります。また、製品製造において国内外で調達する原資材につきましても、天候や自然災害及び紛争などの不安定な社会情勢を起因とする需要、供給等の流通不安により、市場価格の高騰や原資材不足による製品供給に悪影響を及ぼす可能性があります。日本国内における生産施設につきましては、耐震施工や、定期的な設備の点検等を行っておりますが、大規模な地震等の災害や火災、停電等による機能の低下や喪失を完全に回避できる保証はありません。

 以上の事態により、製品の供給に停止や遅延が生じた場合、当社グループの社会的信用や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)製品の安全性及び副作用問題

 当社グループは、製品の製造に関し、当該国や地域の品質管理基準を遵守しており、また原料生薬に関しては自社基準を設けていますが、未知の農薬が漢方製剤の原料である生薬に残留する可能性等、何らかの理由により生じる製品の欠陥や安全上の問題を完全に回避できる保証はありません。また、当社グループが販売する医薬品に予期せぬ副作用問題が発生した場合、従来の使用方法が制限されることや、当社グループ及び販売する医薬品の社会的信用の失墜による投薬抑制や服薬拒否等が起こる可能性があります。

 以上の結果、販売数量の減少や多額の損害賠償請求、大規模なリコール等につながるような事態が生じた場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)研究開発

 当社グループは、将来の成長や業績の維持・向上を目的とし、国内及び海外において新製品や新技術に関する研究開発活動を行っております。しかし、このような当社グループの研究開発活動が、すべてにおいて成功する保証はありません。何らかの理由によりこれらの研究開発活動に中止や遅延、大幅なコスト増等が生じた場合、当社グループの将来の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)国際事業

 当社グループは、中国、韓国等、海外の国や地域において、生産及び販売活動を展開しております。このような当社グループの国際事業展開は、予期せぬ法規制の変更や政治的、経済的状況の変化等により悪影響を受ける可能性があります。

 

(7)財政状況

 株価の下落、割引率引き下げによる退職給付債務の増加等は、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産

 当社グループが有する、漢方製剤に関する知的財産を完全に保護できる保証はありません。これらの流出により競争力が低下し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)為替レートの変動

 当社グループが販売する漢方製剤の主原料である生薬は、主に中国から輸入していることから、為替相場が大きく変動した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 財政状態につきましては、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用環境の改善により、緩やかに伸長しました。世界経済全体では、米中貿易摩擦や不透明な欧州の政治情勢に加え、新興国の経済減速等による不確実性が高まる中においても、堅調な米国経済が支えとなり、景気の底堅さを維持しました。

 一方、国内医薬品業界におきましては、昨年4月に薬価改定が実施される等、医療費抑制策の基調は変わらず、引き続き厳しい環境下で推移しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a 財政状態

総資産は、前連結会計年度末に比べて5,056百万円減少し、287,322百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べて14,665百万円減少し、81,181百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べて9,608百万円増加し、206,141百万円となりました。

 

b 経営成績

売上高は、医療用漢方製剤の販売が引き続き伸長したこと等により前連結会計年度に比べ2.6%増の120,906百万円となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ0.3%減の49,451百万円となり、その結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ4.7%増の71,455百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3.3%増の52,935百万円となり、その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ8.6%増の18,520百万円となりました。

経常利益は、前連結会計年度に比べ10.0%増の19,702百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ0.6%増の14,593百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、5,450百万円の収入となりました。前連結会計年度との比較では、前渡金の増減額の減少及びたな卸資産の増減額の減少等により15,615百万円収入が減少しております。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、7,697百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、定期預金の増減額の増加ならびに有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入の増加等により15,656百万円支出が減少しております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、18,528百万円の支出となりました。前連結会計年度との比較では、社債発行による収入の減少及び株式発行による収入の減少等により68,833百万円収入が減少しております。

 以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて22,069百万円減少し、56,243百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

124,759

+6.2

合計

124,759

+6.2

(注)1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b 受注実績

 当社グループは、見込生産を主体としているため記載を省略しております。

 

c 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品事業

120,906

+2.6

合計

120,906

+2.6

(注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アルフレッサ ホールディングス㈱

29,852

25.3

30,923

25.6

㈱メディパルホールディングス

25,806

21.9

25,800

21.3

㈱スズケン

20,016

17.0

21,104

17.5

東邦ホールディングス㈱

13,899

11.8

14,482

12.0

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 上記の相手先のうち、持株会社制を採用している会社は当該持株会社の名称を付すとともに、属する関係会社の取引高を集計して記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

なお、連結財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態

総資産は、1年内返済予定の長期借入金の返済による現預金の減少等により、前連結会計年度末に比べて5,056百万円減少し、287,322百万円となりました。

負債は、1年内返済予定の長期借入金の返済等により、前連結会計年度末に比べて14,665百万円減少し、81,181百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べて9,608百万円増加し、206,141百万円となりました。

 

b 経営成績

売上高は、医療用漢方製剤の販売が引き続き伸長したこと等により、前連結会計年度に比べ2.6%増の120,906百万円となりました。

売上原価は、前連結会計年度に比べ0.3%減の49,451百万円となり、その結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ4.7%増の71,455百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ3.3%増の52,935百万円となり、その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ8.6%増の18,520百万円となりました。

経常利益は、前連結会計年度に比べ10.0%増の19,702百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ0.6%増の14,593百万円となりました。

また、生薬関連コストの低減等により売上原価率が前連結会計年度に比べ1.2ポイント低下しました。

これらの結果として、営業利益率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント上昇し15.3%となりました。

医療用漢方製剤全体の売上高は、前連結会計年度に比べ2.7%伸長しました。漢方医学に対する医療関係者のニーズは益々多様化しており、医師への面談、医療機関説明会、漢方医学セミナーを基本とし、基礎・臨床エビデンス、漢方製剤掲載の診療ガイドライン及び漢方医学的な処方の使い分け等に関する適切な情報提供活動を実施しております。

引き続き、漢方医学及び漢方製剤に関する情報提供の拡充を図り、「高齢者関連領域」「がん領域(支持療法)」「女性関連領域」の重点3領域を中心に、潜在市場の大きい漢方市場の拡大を進めてまいります。

 

c キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

当社は、リスク管理主管部門による業務担当部門、グループ会社のトップへのリスクヒアリングを通じ、「リスク管理委員会」及び「リスク管理推進会議」をそれぞれ開催し、経営リスクに対する取組み状況の確認及び今後発生し得るリスクについて、必要な対処方法を確認しております。また、企業活動に重大な影響を及ぼす恐れがある緊急事態が発生した場合には、「リスク管理規程」に則って対応しております。

 

e 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金及び設備投資資金については、自己資金、社債、金融機関からの借入金により資金調達を行っております。運転資金は自己資金及び短期借入金を基本としており、設備投資資金は社債及び長期借入金を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は49,905百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は56,243百万円となっております。

 

f 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」「営業利益」「売上高営業利益率」「親会社株主に帰属する当期純利益」「EPS」「ROE」を、目指すべき方向性等を示す数値目標として設定しております。

2018年度計画との比較では、売上高は120,906百万円(計画比0.3%増)、営業利益は18,520百万円(計画比5.8%増)、売上営業利益率は15.3%(計画比0.8ポイント増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は14,593百万円(計画比14.0%増)となりました。

EPSは190.87円(計画比23.46円増)となり、ROEは7.4%(計画比1.0ポイント増)となりました。

 

g セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは医薬品事業の単一セグメントであります。

(医薬品事業)

 売上高は、前連結会計年度に比べ2.6%増の120,906百万円となりました。

 セグメント利益は、前連結会計年度に比べ8.6%増の18,520百万円となりました。

 セグメント資産は、前連結会計年度に比べ5,056百万円減少の287,322百万円となりました。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

 

 

5【研究開発活動】

漢方・生薬研究への更なる重点化と集中化を推し進めることで、当社グループの課題を解決すべく研究開発活動を実施しております。

2016年度から漢方市場の拡大と安定成長のための基本戦略として、「高齢者関連領域」「がん領域(支持療法)」「女性関連領域」を重点3領域として定め活動を行ってきました。高齢者関連疾患においては、認知症の行動・心理症状(BPSD)、加齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態であるフレイルなどを重点に活動しております。がん領域の支持療法においては、抗がん剤や化学療法などの治療による食欲不振、末梢神経のしびれ、下痢、口内炎などの副作用の軽減や痛み、精神的なケア、生活の質の維持・改善のケアなどを重点に活動しております。女性関連疾患においては、冷え症、めまい、片頭痛、便秘、更年期障害、月経困難症などを重点に活動しております。

従来の育薬5処方においては、臨床エビデンス、作用機序、副作用発現頻度調査、薬物動態、医療経済学的データを揃える活動を推進しており、データ集積が着実に進んでおります。そして、2016年度から育薬処方に続く戦略処方であるGrowing5処方を定め、治療ガイドラインに掲載を目指して、エビデンスの構築に取り組んでおります。

漢方製剤の生産量増加に対応するため、引き続き原料生薬の栽培及び加工技術の改良研究、野生生薬の栽培化研究に取り組んでおります。国内栽培生薬の拡大を目指す中、北海道の株式会社夕張ツムラにおいては、生産量拡大に向けた栽培研究、技術改良、及び機械化研究などを進めております。また、ラオス人民民主共和国のLAO TSUMURA CO.,LTD.においても生薬における生産性の向上及び品質の安定化に向けた研究を進めております。

当社では、生薬の品質と安全性を担保するために、生薬の残留農薬、重金属及び微生物汚染対策研究を推進しております。

漢方の国際化の推進にあたっては、漢方・生薬事業を通じて培った技術・ノウハウと、日本国内の「育薬」研究による基礎・臨床の最新データを米国開発に連携させる体制を整え、大建中湯の米国における医療用医薬品としての承認取得・上市を目標に活動しております。

臨床試験につきましては、IBS(過敏性腸症候群)、POI(術後腸管機能障害)、クローン病を対象に、探索試験を進めてまいりました。2017年度までに、これら3つの領域に対するPhaseⅡ前期臨床試験及び、それらの医療ニーズに対する調査を終了しました。2018年度より、対象領域をPOIに集約し、その開発を進めていくための社内外の体制づくりを行っております。POIは、腹腔鏡手術が広く普及している米国においても、重要な医療ニーズがある領域との評価が得られています。

当連結会計年度における研究開発費は、5,926百万円であります。なお、当社グループは単一セグメントであるため、研究開発費は全て医薬品事業に関するものであります。