第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における世界経済は、米国の景気は回復が続き、欧州の景気は緩やかに回復しました。中国の景気は緩やかに減速したものの、10月ごろから持ち直しの動きが続きました。一方、日本経済は、雇用、企業収益が改善し、設備投資も持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復基調が続きました。
  このような中、当社グループは当年度を初年度とする中期経営計画『NEW HARIMA 2018』をスタートし、更なる  事業の成長を目指してまいりました。
 当社グループの海外事業につきましては、欧米を主力市場とするローター社の売上高は、為替の影響及び、原材料価格の下落による販売価格の修正があり、前期に比べ減少しました。しかしながら、コスト削減等により、利益は回復しました。国内事業につきましては、販売数量の減少に伴い、売上高は減少したものの、利益面では前期並みとなりました。

 その結果、当社の当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高は713億8千4百万円となり、前連結会計年度に比べ95億9千3百万円(△11.8%)の減収となりました。

  利益面では、営業利益は39億7千5百万円となり、前連結会計年度に比べ15億3千8百万円63.1%)の増益となりました。経常利益は、39億3千1百万円となり、前連結会計年度に比べ7億6百万円(21.9%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は24億2千1百万円となり、前連結会計年度に比べ11億9千8百万円(98.0%)の増益となりました。

 当社グループのセグメント別経営成績の概況は次の通りであります。
 なお、当連結会計年度より、部門別の業績をより適切に評価するために費用の配賦基準を変更しております。以下の前期比較については、前期の営業利益を変更後の営業利益に置き換えて比較しております。

 

①樹脂化成品

 印刷インキ業界、塗料業界、自動車タイヤ等に使用される合成ゴムともに生産量が伸びませんでした。
 当部門におきましては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、合成ゴム製造に使用される乳化剤ともに前期に比べ売上高が減少しました。

 その結果、当部門の売上高は、182億8千6百万円となり、前連結会計年度に比べ18億5百万円(△9.0%)の減収となりました。当部門の営業利益は9億4千2百万円と前連結会計年度に比べ1億1千1百万円△10.6%)の減益となりました。

 

②製紙用薬品

 国内の製紙業界は、板紙生産量が前期に比べやや増加しましたが、印刷情報用紙は減少しました。米国は、新聞、印刷情報用紙の需要減少が続いており、紙・板紙生産量は減少しました。一方、中国の紙・板紙生産量は増加しました。
  当部門におきましては、売上高は、海外、国内ともに、前期を下回りましたが、営業利益は、収益改善に努めましたことにより、前期を上回りました。

 その結果、当部門の売上高は162億9百万円で、前連結会計年度に比べ19億2千1百万円(△10.6%)の減収となりました。また、当部門の営業利益は、17億1千5百万円と前連結会計年度に比べ2千2百万円1.3%)の増益となりました。

 

③電子材料

  当部門が主に関連する自動車業界の生産台数は、欧州、北米、中国は、前期に比べ上回ったものの、国内は前期に比べ横ばいとなりました。
 当部門におきましては、ソルダペーストの売上高は前期に比べ減少しましたが、自動車熱交換器用のろう付け材料、半導体用機能性樹脂、導電性ペーストの販売が増加し、売上高は前期に比べ増加しました。

 その結果、当部門の売上高は、53億2千5百万円となり、前連結会計年度に比べ3億1千7百万円(6.3%)の増収となりました。当部門の営業利益は3億9百万円と前連結会計年度に比べ3千1百万円11.2%)の増益となりました。

 

 

④ローター

 当部門の主要製品である粘接着剤用樹脂は、北米およびオセアニアでは、低調に推移しましたが、欧州、南米ならびにアジアは、堅調に推移したことで、全体としては前期に比べ販売数量が増加しました。
 一方、印刷インキ用樹脂は、情報のデジタル化を背景として世界的に需要が低迷しておりますが、主力である欧州では、主原料であるトールロジンの安定的な調達が始まったこともあり、販売数量は堅調に推移しました。南米、アジアは低調でしたが、欧州、北米が好調に推移したことにより、全体としては販売数量が前期に比べ上回りました。
このような販売状況で、主原料であるロジン価格の世界的な下落に伴い販売価格が低下したことにより、売上高は減少しましたが、合理化、コスト削減に努めた結果、利益面では前期に比べ大幅に改善しました。

 その結果、当部門の売上高は298億5千4百万円で、前連結会計年度に比べ62億6千8百万円△17.4%)の減収となりました。利益面では主原料の安定的な調達が始まったことによる欧州での改善が大きく寄与したこともあり、当部門の営業利益は13億9千1百万円(前連結会計年度は営業損失3億1千1百万円)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における、連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に財務活動によるキャッシュ・フローの支出が増加したことにより前連結会計年度に比べ18億7千8百万円△31.9%)の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって得られた資金は、仕入債務の増加額が5億7千5百万円、たな卸資産の減少額が8億8千2百万円、税金等調整前当期純利益が37億6千9百万円、減価償却費が20億3千7百万円等、資金の収入が支出を上回ったことにより、68億4千万円の収入となり、前連結会計年度と比べ26億3千万円(62.5%)の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は、投資有価証券の売却による収入が3億1千1百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が20億3千9百万円、投資有価証券の取得による支出が4億1千5百万円等、資金の支出が収入を上回ったことにより、23億2千4百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ3億9千4百万円(△14.5%)の減少となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果使用した資金は、長期借入れによる収入が9億7千7百万円あったものの、短期借入金の返済による支出が32億9千2百万円、長期借入金の返済による支出が32億9千7百万円等、資金の支出が収入を上回ったことにより、61億7千4百万円の支出となり、前連結会計年度と比べ52億7千8百万円(589.3%)の増加となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

樹脂化成品

14,503,820

87.4

製紙用薬品

15,791,596

96.2

電子材料

4,973,363

104.5

ローター

40,228,943

78.6

その他

230,161

180.3

合計

75,727,884

85.0

 

(注) 1. 金額は、販売価格によっております。

   2. 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

樹脂化成品

18,286,324

91.0

製紙用薬品

16,209,281

89.4

電子材料

5,325,581

106.3

ローター

29,854,519

82.6

その他

1,685,147

102.8

合計

71,360,853

88.1

 

  (注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

       3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は創業以来、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にしてお届けし、人々の生活や産業界に深く関わってまいりました。
 今では、地球をひとつのフィールドと考えたグローバルな企業として、幅広い事業展開を推し進めております。「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念としており、それは「人と自然、そしてテクノロジーの調和」を願うものであり、また、豊かな社会の創造を追求するものであります。当社はその理念を基に、株主から期待され、取引先から信頼される企業を目指し、企業価値を高めるよう努めております。

 

(2)目標とする経営指標

 2018年度に売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE 8.0%の達成を目指します。
 

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、中期経営計画 NEW HARIMA 2018(対象期間:2016年度~2018年度)を策定し、以下を基本方針としております。
①事業成長方針
 当社の強みを活かして事業を持続的に成長させるため、主要原材料であるロジンはグループ内調達率を60%以上に高める等、収益構造の変革により高収益体質への転換を図るとともに、当社のコア技術を活かすことができる成長市場で事業を展開してまいります。
②未来のハリマ化成グループを担う人財の育成
 グローバルな視点で業務が遂行できる人財の育成を強化することにより、多様な人財が活躍できる仕組みを構築します。
③グローバル経営管理の向上
 2016年度からグローバル統合基幹業務システム(SAP)を導入し、持株会社であるハリマ化成グループ株式会社に経営情報がリアルタイムに集約されることで経営判断の迅速化を図ります。
 

(4)会社の対処すべき課題

 中期経営計画NEW HARIMA 2018では、当社基盤事業において市場開拓及び新製品構築を優先して実施する項目に分類して新規事業の創出に繋げていきます。
①市場開拓は当社製品の競争力を活かし、成長が期待できる国内外市場を積極的に開拓します。
②新製品構築は基盤事業で培ったコア技術を基に顧客ニーズに合致した新製品を構築します。
③新規事業は当社に不足している技術、製品及び市場に関してM&A投資も含め成長市場での事業展開を目指します。
 

4 【事業等のリスク】

  当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況

当社グループの全世界における製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。

競合他社が低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品を低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。また、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の上昇

当社グループは、石油化学関連原料及びロジン等の諸原材料を購入して製品を製造・販売しております。

そのため国際市況及び国内市況による原材料購入価格の変動リスクがあり、その変動により製品価格への修正が遅れることなどで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動

当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。円安は当社グループにおいて輸入原料の調達コストを押し上げる可能性があり、製品価格の修正が遅れると業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新製品開発力

当社グループの収入の増加は新規商品が大半を占めております。今後の成長には主に新製品の開発と販売に依存すると予想しております。当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えておりますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

 ①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

 ②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。当社グループは需要予測に対応するため、生産拠点など重要な資源を投下し事業を拡大しておりますが、この実需が需要予測と乖離する可能性があります。

 ③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、また、これらの製品の販売が成功する保証はありません。

 ④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

 ⑤技術の急速な進歩とニーズの変化により、当社グループ製品が陳腐化する可能性があります。

 ⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性がありますので、この製品の市場における大きなシェアの確保ができないおそれがあります。

     上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 国際的活動および海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産および販売活動は適地生産のグローバル化により、北米、南米、アジア及び欧州等の日本国外で行われております。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。これらの事象は、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  ①予期しない法律または規制の変更

  ②不利な政治または経済要因 

  ③人材の採用と確保の難しさ

  ④未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性

  ⑤潜在的に不利な税の影響

  ⑥テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(6) 特定のグループへの供給依存

当社グループは一部重要原料の供給を特定のグループに依存しております。当社グループは供給元と通常、更新可能な中期契約を結んでおります。当社グループは必要に応じてその他の措置で供給を確保しておりますが、不足が生じないという保証はありません。もし、当社グループが供給元と契約を変更しなければならなくなった場合、重要原料の供給状況の悪化あるいは当社グループの原価上昇という結果をもたらす可能性があります。また、当社グループが必要とする製品を予定通りに生産できない可能性があります。重要原料が不足すると、価格高騰、供給不足、品質管理などの問題が発生し、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥

当社グループは各国の工場で各種の製品を製造しております。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(8) 他社との提携等の成否

当社グループは技術開発の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために、コラボレーション、技術提携や合弁の形で多くの他社と共同での活動を行っております。当社グループは引き続きこのような機会を前向きに活用する予定であります。しかし、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、効果的な開発による結果を享受できず、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(9) 公的規制

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害や停電等による影響

当社グループは製造停止による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従いまして、当社グル―プが展開している地域で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下することで、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)資金調達

当社グループの事業に係る事業買収資金、設備投資資金等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加することにより当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)固定資産の減損会計適用による影響

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)需要業界の動向

当社グループの製品は中間原材料であり、デジタル化の進展による出版物の減少等、最終製品の市場の変化により当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
 主力のパインケミカル関連事業は国内市場が縮小傾向の中、当会計年度におきましては当社独自製品の開発、及び海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「安全・安心、健康、持続可能社会に貢献する商品開発」です。その観点で、植物資源の高度活用、ノンVOC、ノンハロゲン、海外安全基準認証品、顧客の省エネにつながる等の商品開発に注力してきました。
 その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
 新規分野に関しては従来から注力している導電性ペーストや機能性コート剤をはじめとする新規テーマを大学等の社外研究機関との連携を活用しつつ継続していきます。また2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。

当連結会計年度の研究開発費は、24億9千5百万円、特許の登録件数は国内18件、海外が26件、国内の出願件数は20件でした。

 セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

(1)樹脂化成品

当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム140万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
  塗料用樹脂においては、比較的堅調な建築外装用途向けに、環境に配慮した弱溶剤型樹脂新製品の開発を進め、耐久性に優れた新製品の販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ市場でのシェアを確保するために、当社独自の原料であるトール油製品を応用した樹脂の開発を進め、新製品として開始しています。また、インキの中でも市場が拡大しているUV硬化型インキ向けの新製品を販売開始しました。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させたタッキファイヤーの新製品が完成し、エマルションタイプの開発に移行しています。ゴム用の添加剤についてもロジンを使用した新製品の開発に着手し、顧客評価が進んでいます。
 海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業を進めており世界市場に投入できる製品の開発を進めていきます。
 また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の開発に注力し、顧客評価が進んでいると共に、一部は量産化しました。また、傷つきを防止するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始しました。

当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千6百万円でありました。

 

(2)製紙用薬品

当事業においては、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった機能性薬剤について、水系樹脂の合成をコア技術とした研究開発を行っています。
 日本国内における2016年の紙・板紙の内需量は、昨年比0.5%減の2,672万トンとなり、10年連続のマイナスとなっています。しかし段ボールに使用される板紙はほぼプラスで推移しており、2016年も前年を上回りました。国内の製紙メーカー各社は、紙・板紙の国内需要の大幅な増加が望めない状況において、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正により収益改善を進めています。同時に、海外事業に加えて、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
 当社では、このような製紙業界のニーズに応えるため、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できる高機能性薬剤を開発し、販売しています。また従来の機能性薬剤に加えて、製紙工程における操業性や生産性を改善する工程薬剤を開発し、販売を開始しました。さらに、紙・板紙の国際的な物流環境に対応するために、間接食品添加物として海外の安全規制要件を満たした商品を開発しています。FDA等から間接食品添加物としての認証を取得した、アニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズやポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズは、北南米、東南アジアをはじめ、日本においても販売を開始し、顧客からの高い評価を得ています。
 海外における事業展開では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年産量が世界第一位(1億919万トン/2015年)の中国では杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)において、また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,267万トン/2015年)の米国ではプラズミン・テクノロジー,Inc.において、研究開発活動並びに販売活動を強化しています。さらに2012年に開設したタイ駐在員事務所を通じ、東南アジアやオセアニア地域への事業展開も推進しています。これら諸外国では顧客からの要求項目がそれぞれ異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。

当セグメントに係る研究開発費の金額は7億4百万円でありました。

 

 

(3)電子材料

当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開しており、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と高信頼性を重視した電子材料製品の開発に注力しております。
 昨今の自動車産業の動向は、世界的にはその販売台数は伸び続けている状況であり、特に北米市場は好調となっています。またアジアの新興国などの市場も成長を見せています。さらに、技術面に目を向けると、環境に配慮した低燃費の次世代型自動車の普及に加えて、自動運転機能の実現に向けてこの分野への情報技術関連企業の積極的な進出も大きな動きとなっています。
 こうした環境の中、当事業では自動車用新規材料として大手自動車部品メーカーと共同で開発した次期鉛フリーソルダペーストの販売が順調に増加しており、ソルダペースト全体の販売促進に寄与しております。今後もグローバル拠点への展開を通して販売量増加の計画を立てています。また、多くの自動車部品装置メーカーでは低燃費化を達成するために新型の電子制御装置の導入が重要となっており、特にそれら装置の接合箇所には、非常に高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示されています。従って、当社もこのような市場の要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペーストを重点開発分野と位置づけて、その開発を加速しています。
 もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望が高く、熱交換器も小型化、高機能化が求められています。そのためこれらの動向に合致する微細な接合にも適用可能な塗布性、熱分解性に優れたろう付け材料の製品群を拡充しています。また、アルミニウム以外の母材を使用する熱交換器用のろう付け材料も展開しています。さらにクリーンな技術が望まれる世界で環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型ろう付け材料の開発を強力に推進しています。今後も益々これらのろう付け材料を適用する熱交換器が拡大すると予想しています。
 また、銅の粉末を特殊な樹脂に分散させたハリマ化成の銅ペーストはプリント配線板の表裏を電気的に接合できる製品であり、既存の工法である銅めっきによる電気的な接合に比べ大幅にコストを下げられる技術として注目を集めております。本用途に関する当社の銅ペーストは現在、世界トップシェアの販売量となっております。現在はこの技術を活かした電子部品の電極用材料としての展開にも力を入れております。
 金属のナノ粒子を溶媒に分散した“ナノペースト”は低温で加熱する事により金属粒子どうしが融着し、極めて低い電気抵抗で、かつ熱を伝えやすい硬化物になります。この特性を活かし、スマートフォンやタブレット端末の高輝度LEDなどの接合材に加え、金型の補修材の様な新規用途にも採用されています。また、現在注目を浴びているプリンテッドエレクトロニクス(印刷による電気配線の形成技術)分野においては、ディスプレイ用配線等への適用について顧客評価が進んでおります。

当セグメントに係る研究開発費の金額は7億6百万円でありました。

 

(4)ローター 

当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
 印刷インキ用樹脂においては、これまでに様々な産地のトールロジンやガムロジンを柔軟に使用することができる商品の開発体制を構築してきました。特に欧州の出版インキ市場では、デジタル化の進展により年率5-10%の割合で市場規模が縮小しており、競争が激化、収益改善が喫緊の課題となっておりました。このような状況の中、本年度は、2012年に出資しました粗トール油からバイオディーゼルの原料を製造、販売するスウェーデンのサンパイン社のロジン製造設備が稼働を開始したことに伴い、欧州で安定的なトールロジンの調達が可能となり、本ロジンを使用した製品の製造、販売を致しました。これまでは、収益面でロジンの市場価格に大きく影響されましたが、サンパイン社のロジンを使用することで、品質面、価格面でも優位性を持たせ、収益改善に大きく寄与することができました。

また、ロジン変性技術に石油樹脂重合技術を組み合わせたハイブリットタイプのインキ用樹脂では、新たにアルキルフェノールを使用しないタイプの新製品を開発する等、ラインアップ拡充に継続して取り組んでおります。一方、市場縮小が続く出版用インキ市場に対し、包装用インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と、電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されます。そこで当社の強みであるロジン変性技術と水分散技術を組み合わせることで、高性能かつ環境にやさしい新製品の開発で包装インキ市場への販売拡大を目指しております。
 粘接着剤用樹脂においては、強みである連続乳化技術(ROBUST)を駆使した水系粘着付与剤市場において高いシェアを維持しつつ、汎用紙ラベル用だけでなく、高軟化点樹脂を使用した水系粘接着付与剤も開発中で、テクニカルテープ市場への参入を目指しております。また、現在は比較的市場占有シェアの低いホットメルト接着剤市場において、ロジンエステルの淡色化技術とサンパイン社ロジンを駆使し、新たな市場獲得を目指し取り組んでおります。
 既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な研究、マーケティングを進めております。

当セグメントに係る研究開発費の金額は5億3千8百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

①貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。

②投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%以下に下落した場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。

 

③繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得及び過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、及び計上された繰延税金資産を上回る金額を今後実現できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。

 

(2)当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析

①財政状態

当社グループは、債権の流動化、借入金の圧縮等をはかり、総資産のスリム化及び財務指標の改善を方針としております。

 

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は673億5千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億1千9百万円減少しております。これは主として、借入金の返済等により現金及び預金が17億7千3百万円等減少したためであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は335億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億7千万円減少しております。これは主として、短期借入金が34億2千6百万円減少し、長期借入金(1年内返済予定含む)が29億6千7百万円減少したためであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は338億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億5千万円増加しております。これは主として、利益剰余金が増加したためであります。

 

(自己資本比率)

自己資本比率は前連結会計年度末の41.3%から47.0%へと5.7ポイントの増加となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,126.65円から1,219.68円と93.03円の増加となりました。

 

②経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、713億8千4百万円となり前連結会計年度に比べ95億9千3百万円の減収となりました。これは主として、国内事業の出荷量の減少に伴うもの等によるものであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の売上原価は、原材料費の低減、合理化等により売上原価率が3.5ポイント減少し75.8%となりました。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、運搬費等の減少により10億3百万円減少しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ1ポイント増加の18.7%となりました。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、39億7千5百万円となり、前連結会計年度に比べ15億3千8百万円の増益となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は5億2千3百万円、営業外費用は5億6千6百万円で、営業外損失は4千3百万円となりました。(前連結会計年度は営業外利益7億8千8百万円)これは主に、為替差損の計上によるものであります。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、39億3千1百万円となり前連結会計年度に比べ7億6百万円の増益となりました。

 

(特別利益、特別損失)

当連結会計年度は、特別利益として4千5百万円、特別損失として2億7百万円計上しております。これは主として減損損失1億5千1百万円等を計上しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は24億2千1百万円となり、前連結会計年度に比べ11億9千8百万円の増益となりました。

 

(3)戦略的現状と見通し

21世紀の科学技術のキーワードは「環境」「ナノ」「エネルギー」と言われております。天産物であるロジンの環境対応商品としての機能を追求し独創的な発想と先進的な技術で開発に取り組んでおります。今後もグループ全体で高収益・高成長分野への事業の選択と集中を促進し頑強な企業体質を作り、グローバル企業としての事業基盤の確立を目指しております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末より18億7千8百万円少ない40億2百万円となりました。

 

①営業活動によるキャッシュ・フローでは、68億4千万円の収入となりました。これは主として、仕入債務の増加額が5億7千5百万円あったものの、たな卸資産の減少額が8億8千2百万円、税金等調整前当期純利益が37億6千9百万円、減価償却費が20億3千7百万円等、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。 

 

 

②投資活動によるキャッシュ・フローでは、23億2千4百万円の支出となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入が3億1千1百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が20億3千9百万円、投資有価証券の取得による支出4億1千5百万円等により資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フローでは、61億7千4百万円の支出となりました。これは主として、長期借入れによる収入が9億7千7百万円あったものの、短期借入金の返済による支出が32億9千2百万円、長期借入金の返済による支出が32億9千7百万円等、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。

 

(5)経営者の問題認識と今後の方針

当社グループの経営陣は、「人と自然、そしてテクノロジーの調和を願い、自然の恵みを暮らしに活かす」を企業理念とし、研究開発に重きをおいた経営を進めております。また、当社グループは、パインケミカル分野における世界有数の企業であることから、その規模を活かして既存事業における競争力を一層強化していきます。また、グローバルに展開するグループネットワークを最大限に活用することで、新規事業創出に全力をあげております。

今後の世界経済は緩やかながらも上昇すると見込まれますが、原油価格の動向、一部新興・途上国の成長鈍化、中東情勢などを巡る地政学的リスクなど不透明な状況が続いております。日本においては、企業業績は回復トレンドにあるものの、当社グループにおきましては為替変動など不透明な事業環境が続くことが見込まれます。このような状況下でも安定的な収益を確保していくことが当社グループにおける課題と考えております。