第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社は創業以来、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にしてお届けし、人々の生活や産業界に深く関わってまいりました。
 今では、地球をひとつのフィールドと考えたグローバルな企業として、幅広い事業展開を推し進めております。「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念としており、それは「人と自然、そしてテクノロジーの調和」を願うものであり、また、豊かな社会の創造を追求するものであります。当社はその理念を基に、株主から期待され、取引先から信頼される企業を目指し、企業価値を高めるよう努めております。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

 当社は、中期経営計画 NEW HARIMA 2018(対象期間:2016年度~2018年度)を策定し、以下を基本方針としております。
①事業成長方針
 当社の強みを活かして事業を持続的に成長させるため、主要原材料であるロジンはグループ内調達率を60%以上に高める等、収益構造の変革により高収益体質への転換を図るとともに、当社のコア技術を活かすことができる成長市場で事業を展開してまいります。
②未来のハリマ化成グループを担う人財の育成
 グローバルな視点で業務が遂行できる人財の育成を強化することにより、多様な人財が活躍できる仕組みを構築します。
③グローバル経営管理の向上
 2016年度からグローバル統合基幹業務システム(SAP)を導入し、持株会社であるハリマ化成グループ株式会社に経営情報がリアルタイムに集約されることで経営判断の迅速化を図ります。
 

(3)会社の対処すべき課題

 中期経営計画NEW HARIMA 2018では、当社基盤事業において市場開拓及び新製品構築を優先して実施する項目に分類して新規事業の創出に繋げていきます。
①市場開拓は当社製品の競争力を活かし、成長が期待できる国内外市場を積極的に開拓します。
②新製品構築は基盤事業で培ったコア技術を基に顧客ニーズに合致した新製品を構築します。
③新規事業は当社に不足している技術、製品及び市場に関してM&A投資も含め成長市場での事業展開を目指します。
 

2 【事業等のリスク】

  当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経済状況

当社グループの全世界における製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの事業は、競合他社が製造を行う地域の経済状況から間接的に影響を受ける場合があります。

競合他社が低廉な人件費の労働力を雇用した場合、当社グループと同種の製品を低価格で提供できることになり、その結果、当社グループの売上が悪影響を受ける可能性があります。また、原材料を製造する地域の現地通貨が下落した場合、当社グループのみならず他のメーカーでも、製造原価が下がる可能性があります。このような傾向により、輸出競争や価格競争が熾烈化し、いずれも当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料価格の上昇

当社グループは、石油化学関連原料及びロジン等の諸原材料を購入して製品を製造・販売しております。

そのため国際市況及び国内市況による原材料購入価格の変動リスクがあり、その変動により製品価格への修正が遅れることなどで、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動

当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。円安は当社グループにおいて輸入原料の調達コストを押し上げる可能性があり、製品価格の修正が遅れると業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 新製品開発力

当社グループの収入の増加は新規商品が大半を占めております。今後の成長には主に新製品の開発と販売に依存すると予想しております。当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えておりますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。

 ①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。

 ②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。当社グループは需要予測に対応するため、生産拠点など重要な資源を投下し事業を拡大しておりますが、この実需が需要予測と乖離する可能性があります。

 ③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、また、これらの製品の販売が成功する保証はありません。

 ④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。

 ⑤技術の急速な進歩とニーズの変化により、当社グループ製品が陳腐化する可能性があります。

 ⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性がありますので、この製品の市場における大きなシェアの確保ができないおそれがあります。

     上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 国際的活動および海外進出に潜在するリスク

当社グループの生産および販売活動は適地生産のグローバル化により、北米、南米、アジア及び欧州等の日本国外で行われております。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。これらの事象は、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

  ①予期しない法律または規制の変更

  ②不利な政治または経済要因 

  ③人材の採用と確保の難しさ

  ④未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性

  ⑤潜在的に不利な税の影響

  ⑥テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱

 

(6) 特定のグループへの供給依存

当社グループは一部重要原料の供給を特定のグループに依存しております。当社グループは供給元と通常、更新可能な中期契約を結んでおります。当社グループは必要に応じてその他の措置で供給を確保しておりますが、不足が生じないという保証はありません。もし、当社グループが供給元と契約を変更しなければならなくなった場合、重要原料の供給状況の悪化あるいは当社グループの原価上昇という結果をもたらす可能性があります。また、当社グループが必要とする製品を予定通りに生産できない可能性があります。重要原料が不足すると、価格高騰、供給不足、品質管理などの問題が発生し、当社グループの業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 製品の欠陥

当社グループは各国の工場で各種の製品を製造しております。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(8) 他社との提携等の成否

当社グループは技術開発の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために、コラボレーション、技術提携や合弁の形で多くの他社と共同での活動を行っております。当社グループは引き続きこのような機会を前向きに活用する予定であります。しかし、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、効果的な開発による結果を享受できず、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(9) 公的規制

当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)災害や停電等による影響

当社グループは製造停止による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従いまして、当社グル―プが展開している地域で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下することで、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)資金調達

当社グループの事業に係る事業買収資金、設備投資資金等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加することにより当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)固定資産の減損会計適用による影響

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)需要業界の動向

当社グループの製品は中間原材料であり、デジタル化の進展による出版物の減少等、最終製品の市場の変化により当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国の景気は回復が続き、欧州は緩やかに回復しました。中国の景気は、持ち直しの動きが見られました。一方、日本経済は、企業収益が改善し、設備投資も緩やかに増加しました。
  当社グループの海外事業は、欧米を主力市場とするローター社は、販売価格の修正や販売数量の減少により、売上高は前連結会計年度に比べ減少しましたが、中国の子会社の売上が増加したこともあり、海外事業全体では増収減益となりました。  

国内事業は、売上高、利益面とも前連結会計年度に比べ増加しました。

 その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高は733億1千万円となり、前連結会計年度に比べ19億2千6百万円(2.7%)の増収となりました。

  利益面では、営業利益は40億1千万円となり、前連結会計年度に比べ3千5百万円0.9%)の増益となりました。経常利益は、40億8百万円となり、前連結会計年度に比べ7千6百万円(2.0%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は27億2千5百万円となり、前連結会計年度に比べ3億4百万円(12.6%)の増益となりました。

 当社グループの部門別経営成績の概況は次の通りであります。

 

a.樹脂化成品

 印刷インキ業界は、商業印刷や新聞の発行部数の減少等により、生産量は前年に比べ減少しました。当部門の印刷インキ用樹脂は、新規商品の採用等もありましたが、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 塗料業界は、生産量は前年並みでした。当部門の塗料用樹脂は、建築・外装用塗料向けが堅調に推移したことから、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。

 その結果、当部門の売上高は、190億8千6百万円となり、前連結会計年度に比べ8億円(4.4%)の増収となりました。当部門の営業利益は11億7千6百万円と前連結会計年度に比べ2億3千3百万円24.7%)の増益となりました。

 

b.製紙用薬品

 国内の製紙業界は、印刷情報用紙の需要が減少する一方、板紙の需要が増加して、紙・板紙の生産量は、前年並みとなりました。当部門の主な海外市場である中国では、紙・板紙の生産量は増加しましたが、米国では、板紙が増加したものの、印刷情報用紙が減少したため、紙・板紙の生産量は前年並みとなりました。
  当部門におきましては、国内および中国の売上高は前連結会計年度に比べ増加しましたが、米国の売上高は前連結会計年度並みとなりました。

 その結果、当部門の売上高は、173億3千4百万円となり、前連結会計年度に比べ11億2千5百万円(6.9%)の増収となりました。また、当部門の営業利益は、17億4千9百万円と前連結会計年度に比べ3千3百万円2.0%)の増益となりました。

 

c.電子材料

  当部門が主に関連する自動車業界の生産台数は、北米では前年に比べ減少したものの、国内、欧州、中国では増加しました。
 当部門におきましては、はんだ付け材料、自動車熱交換器用のろう付け材料および半導体用機能性樹脂などの販売が増加し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。

 その結果、当部門の売上高は、56億3千3百万円となり、前連結会計年度に比べ3億8百万円(5.8%)の増収となりました。当部門の営業利益は4億4百万円と前連結会計年度に比べ9千4百万円30.5%)の増益となりました。

 

 

d.ローター

 当部門の主要製品である粘接着剤用樹脂は、販売数量は前連結会計年度並みとなりましたが、販売単価の修正に伴い、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。
 印刷インキ用樹脂は、情報のデジタル化を背景として世界的に需要が低迷しています。販売数量の減少や販売価格の修正があり、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。

 その結果、当部門の売上高は297億円で、前連結会計年度に比べ1億5千4百万円△0.5%)の減収となりました。利益面では、合理化やコスト削減、高付加価値商品の販売増加など、事業利益の増加要因がありましたが、前連結会計年度に減価償却費の調整があったため、当部門の営業利益は12億7千2百万円と前連結会計年度に比べ、1億1千9百万円(△8.6%)の減益となりました。

 

当連結会計年度における当社グループの総資産は前期末に比べ24億1千9百万円の増加となりました。自己資本比率は48.3%となりました。増減の主なものは、流動資産では現金及び預金が4億1百万円減少し、主原料の価格上昇に伴い、商品及び製品が3億7千6百万円増加し、原材料及び貯蔵品が1億9千4百万円増加しました。負債では短期借入金が60億5千6百万円増加し、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)は返済及び為替の影響により60億4千8百万円減少しました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が減少したことにより、前連結会計年度に比べ3億4千2百万円(△8.6%)の減少となりました。

 

a.営業活動によるキャッシュ・フローは、27億7千7百万円の収入となりました。これは主として、たな卸資産の増加が6億9千8百万円あったものの、仕入債務の増加額が5億7千9百万円、税金等調整前当期純利益が39億5千4百万円、減価償却費が19億4千8百万円等、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。前連結会計年度と比べ、40億6千2百万円(△59.4%)の減少となりました。

 

b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、15億2千7百万円の支出(前連結会計年度は23億2千4百万円の支出)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入が8億7千7百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が16億4千3百万円、投資有価証券の取得による支出8億7百万円等により資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。

 

c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、15億5千1百万円の支出(前連結会計年度は61億7千4百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入が14億3千1百万円、短期借入れによる収入が54億7千3百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が77億6千2百万円等、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

 a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

樹脂化成品

19,086,641

131.6

製紙用薬品

18,527,911

117.3

電子材料

5,295,223

106.5

ローター

41,228,191

102.5

その他

205,871

89.4

合計

84,343,839

111.4

 

(注) 1. 金額は、販売価格によっております。

   2. 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

 b.受注状況

当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。

 

 c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

樹脂化成品

19,086,556

104.4

製紙用薬品

17,334,479

106.9

電子材料

5,633,930

105.8

ローター

29,700,118

99.5

その他

1,605,061

95.2

合計

73,360,145

102.8

 

  (注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。

       3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a.貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。

b.投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%以下に下落した場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。

c.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得及び過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来実現できないと判断した場合、及び計上された繰延税金資産を上回る金額を今後実現できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は697億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億1千9百万円増加しております。これは主として、受取手形及び売掛金23億2千3百万円増加したためであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は336億7千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億3千4百万円増加しております。これは主として、短期借入金が60億5千6百万円増加し、長期借入金(1年内返済予定含む)が60億4千8百万円減少したためであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は360億9千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億8千4百万円増加しております。これは主として、利益剰余金が増加したためであります。

 

(自己資本比率)

自己資本比率は前連結会計年度末の47.0%から48.3%へと1.3ポイントの増加となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,219.68円から1,295.79円と76.11円の増加となりました。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、733億1千万円となり前連結会計年度に比べ19億2千6百万円の増収となりました。これは主として、国内事業の出荷量の増加に伴うもの等によるものであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の売上原価は、原材料費の高騰等により売上原価率が0.3ポイント増加し76.1%となりました。

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、運搬費等の増加により2億3百万円増加しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ0.2ポイント減少の18.5%となりました。

この結果、当連結会計年度の営業利益は、40億1千万円となり、前連結会計年度に比べ3千5百万円の増益となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は6億4千8百万円、営業外費用は6億5千万円で、営業外損失は2百万円となり、前連結会計年度に比べ4千1百万円の増加となりました。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、40億8百万円となり前連結会計年度に比べ7千6百万円の増益となりました。

 

(特別利益、特別損失)

当連結会計年度は、特別利益として投資有価証券売却益5億9千4百万円、特別損失として減損損失6億4千7百万円計上しております。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は27億2千5百万円となり、前連結会計年度に比べ3億4百万円の増益となりました。

 

 

セグメント毎ごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

a.樹脂化成品

 当部門の売上高は、190億8千6百万円となり、前連結会計年度に比べ8億円(4.4%)の増収となりました。当部門の営業利益は11億7千6百万円と前連結会計年度に比べ2億3千3百万円24.7%)の増益となりました。

 

b.製紙用薬品

 当部門の売上高は、173億3千4百万円となり、前連結会計年度に比べ11億2千5百万円(6.9%)の増収となりました。また、当部門の営業利益は、17億4千9百万円と前連結会計年度に比べ3千3百万円2.0%)の増益となりました。

 

c.電子材料

 当部門の売上高は、56億3千3百万円となり、前連結会計年度に比べ3億8百万円(5.8%)の増収となりました。当部門の営業利益は4億4百万円と前連結会計年度に比べ9千4百万円30.5%)の増益となりました。

 

d.ローター

 当部門の売上高は297億円で、前連結会計年度に比べ1億5千4百万円△0.5%)の減収となりました。

 利益面では、合理化、コスト削減に加えて、高付加価値商品の販売増加などにより、前期に比べ増加しましたが、前連結会計年度に減価償却費の調整があったため、当部門の営業利益は12億7千2百万円と前連結会計年度に比べ1億1千9百万円△8.6%)の減益となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーとして、原料基盤を強化する中で再生可能なバイオマス原料の機能を追求し、さらに創業以来培ってきた高分子合成・評価、乳化・分散などの界面制御、接着・接合などコア技術の融合により先進的な研究開発を進めています。
 主力のパインケミカル関連事業は海外市場展開を見据えた製品開発に注力しました。その基本コンセプトは「グローバル展開」、「ロジンの可能性の追求」です。その観点で、海外安全基準認証品、顧客の新たな機能付加につながる等の商品開発に注力してきました。
 その結果、樹脂、製紙薬品、電子材料いずれの事業分野においても大きな足掛かりを得ることができました。引き続いて同コンセプトに基づいた商品開発に注力するとともに、開発した商品の市場導入を強力に進めていきます。またグローバル展開という観点では、ローターをはじめとした海外グループ会社との一層の緊密化を図り、国内開発品の海外への導入や新規開発テーマでの連携が進展しました。
 新規分野に関しては機能性コート剤をはじめとする物質の表面、界面を科学し新しいテーマ創出を進めていきます。同時に大学等の社外研究機関との連携を活発化させ、強い要素技術の開発を進め、2~5年後をターゲットとする中期テーマの拡充を進めてまいります。

当連結会計年度の研究開発費は、24億6千4百万円、特許の登録件数は国内12件、海外が24件、国内の出願件数は19件でした。

 

(1)樹脂化成品

当事業においては、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、粘接着剤用樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム141万トン、塗料165万トン、印刷インキ35万トン、粘接着剤95万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下、当社は、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
 塗料用樹脂においては、合成樹脂調合ペイント用にホルムアルデヒド放散量を低減した弱溶剤可溶型樹脂の開発を進め、新製品として販売を開始しました。印刷インキにおいては、縮小傾向が続く平版インキ用の樹脂を、当社独自の原料であるトール油製品を利用した新製品に切り替えを進めました。また、インキの中でも市場が拡大している紫外線硬化型インキ向けにも同様の原料を使用した新製品の開発を進め、顧客での評価が進んでいます。加えて、リキッドインキ市場にロジン樹脂を投入するべく開発を進めています。粘接着剤用樹脂に関しては、粘着力を向上させた水系粘着付与剤樹脂の新製品開発を進めており、製造プロセスの改良にも着手しています。ゴム用の添加剤については、乳化重合時に使用するロジンの高機能化、後添して分散性や接着性、ポリマーの相溶化などに機能を発揮するロジン誘導体の開発を推進しており、顧客評価が進んでいます。
 海外においては世界的なUV印刷化の流れに対応した樹脂の開発に取り組み始め、ローター社、海外開発拠点との協業により世界市場に投入できる製品の開発を進めています。また、水系粘着付与剤樹脂についてもグローバルでのシェアを拡大するために、樹脂とプロセス両面からの開発をローター社と進めています。
 また、機能性樹脂分野では、光学フィルム用のハードコート剤など可視光の透過率に影響なく機能を付与することができる製品の量産化を進めるとともに、培った技術で光学フィルム以外の機能性フィルムへの新製品開発に着手し、一部量産化しました。また、耐擦傷性、防汚性機能を発現するコート剤を開発し、プロテクションフィルム用に販売を開始するとともに新規用途での顧客評価が進んでいます。
 我々はアジア圏でトップのトールロジンメーカーとして、ロジンの機能を様々な用途に展開する開発をスタートしています。

当セグメントに係る研究開発費の金額は5億9千1百万円でありました。

 

(2)製紙用薬品

当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、紙の吸水性を制御して水性インクのにじみを防止するサイズ剤、紙の強度を高める紙力増強剤、紙の表面に塗ることで防滑性や撥水性および耐水性を付与する塗工剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
 日本国内における2017年の紙・板紙の内需量は前年比0.3%減の2,662万トン、2018年は同0.9%減の2,638万トンと予測され、8年連続のマイナス成長となる見込みです。しかし、段ボールに使用される板紙では、2018年の内需量が前年比0.8%増の1,200万トンと予測されており、3年連続のプラス成長が見込まれています。国内の製紙会社は、省資源化(省エネ・省人・省原材料など)、工場の統廃合、紙・板紙の価格修正による収益改善と共に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を進めています。
 このような環境の中、国内では、板紙の中性化や軽量化(商品力向上による販売数量確保)に対応できるサイズ剤を開発し、販売を開始しました。とくにロジン系サイズ剤と硫酸バンドによるサイジングシステムの基礎研究を基に開発したロジン系エマルションサイズ剤“CESシリーズ”と新規添加法“Co-mingle®”は、従来品に対して大幅な機能向上が検証され、大手製紙会社での評価が進みつつあります。また、新たに販売を開始した、製紙工程での操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)“ASシリーズ”も、パルプ化や抄紙といった製紙工程での効果が確認でき、顧客評価が進んでいます。さらに、FDA(米国食品医薬品局)の認証を得たアニオン性ロジンエマルションサイズ剤“NeuRoz®シリーズ”は、BfR(ドイツ)やGB9685(中国)といった紙製食品包装用材料に対する安全規制要件をも満たし、これら認証品としての取り扱いが可能となりました。FDA認証品であるポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤“ハーマイドKSシリーズ”と併せて、紙・板紙の国際的な物流環境に対応できる商品開発を進めています。
 海外においては、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の年間生産量が世界第一位(1億1129万トン/2016年)の中国では、杭州杭化哈利瑪化工有限公司(浙江省)における研究開発を強化しています。今夏稼働を目指し、山東省での新工場建設も進んでおり、紙力増強剤を軸とした中期的な需要増に対応していきます。また紙・板紙の年産量が世界第二位(7,212万トン/2016年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.において、FDA認証品である“NeuRoz®シリーズ”や“ハーマイドKSシリーズ”の販売活動を強化しています。また、ピッチコントロール剤についても顧客評価が進んでおり、北米でも高い評価を得ています。
 海外の製紙会社では、顧客からの要求項目が国内と異なっており、適合する技術開発や法規制への対応を進めることで製紙用薬品のラインナップを充実し、個別顧客の要求に応えています。

当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千7百万円でありました。

 

(3)電子材料

当事業においては、主として自動車、電子機器に搭載される電子制御装置用のはんだ材料、及び自動車用熱交換器の製造に用いるろう付け材料を展開しており、「クリーン&ハイリライアビリティ」をコンセプトに、環境配慮と高性能の両立を目指した電子材料製品の開発に注力しております。
 主な事業対象分野である自動車産業は、「電気自動車」、「自動運転」、「カーシェアリング」、「コネクテッド」といったキーワードで表現される大変革期にまさに突入しようとしております。このような技術革新を実現するためには、これまで以上に自動車に小型高性能化な電子制御装置を搭載する必要性が高まり、結果として、高信頼性に加えて微細性や高耐久性といった特長がはんだ接合技術に求められています。
 こうした背景のもと、当事業では大手自動車部品メーカーと共同で開発した次世代対応の微細接合用鉛フリーソルダペーストの販売量が順調に伸びております。今後はグローバル拠点での採用も加速され、販売量のさらなる増加を見込んでおります。また、電動化、低燃費化を達成するための新型電子制御装置には、接合部に大きな応力負荷がかかるため耐久性の高いはんだ材料が求められております。当社ではこの要求に応えるために高耐久性鉛フリーソルダペーストを新たに開発し、現在、様々なお客様においてご評価を実施いただいている状況です。

もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上も堅調に推移しています。低燃費化を目的とした自動車の軽量化では熱交換器も小型化が進んでおり、このような技術動向に対応するため、微細なろう付けを可能とする熱分解性に優れたろう付け材製品を拡充しております。また、最近ではルームエアコンも冷暖房機能の高性能化を追求するために部材を従来の銅からアルミニウムへ変更する動きが見られます。そこで、当社では自動車分野で培ったろう付け材料技術を民生分野へ展開することを視野に入れて開発活動を進めております。
 また、銅の粉末を熱硬化性の樹脂を主成分とするビヒクルと混合した当社の銅ペーストは、銅粉末の酸化膜制御により、高い導電性を実現しています。この銅ペーストは、プリント配線板の表裏の電気配線を電気的に接続する用途で、自動車用の基板やパソコン周辺機器、家電等の電子基板に広く使用されています。今後の電子基板の小型化に対応するため、微細な配線の接続にも対応可能な材料開発も進めており、更なる市場拡大を狙っています。これまで銀ペーストが使用されてきた電子部品の電極用途においても、高い導電性を有する当社の銅ペーストの展開を目指しております。
 電子機器の省エネを実現するため、より高効率な半導体モジュールが求められており、半導体素子の材料が従来のシリコンから炭化ケイ素へと変化すると考えられています。新しい半導体素子材料である炭化ケイ素は、シリコンより高温での動作が想定されており、これまで半導体素子を基板に接合していたはんだでは対応が困難となります。そのため、高耐熱性の半導体接合材料が求められています。当社の焼結性接合材料は、金属のナノ粒子が持つ低温焼結性を活用し、接合は低温で行い、接合終了後は金属単体と同等の高い耐熱性を有する材料です。また、当社独自の密着性付与成分の添加により、様々な基材への高い密着性を実現しております。

当セグメントに係る研究開発費の金額は6億6千4百万円でありました。

 

(4)ローター 

当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
 出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。
 一方、包装インキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなってきています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。また、伸長が著しい紫外線硬化型または電子線硬化型のインキ市場では、ロジンの特性を活かして密着性、流動性、印刷適性等の付加価値を付与し、低エネルギーかつ短時間で硬化可能で、揮発性有機化合物(VOC)を含有しないインキ用樹脂の開発に取り組んでおります。
 粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。
 さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から今後市場伸長が見込める新規事業の開発を推し進めるため、研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。

当セグメントに係る研究開発費の金額は5億4千1百万円であります。