文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念として、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にしてお届けし、人々の生活や産業界に深く関わりながら、豊かな社会の創造を追求してきました。今後もこの理念のもと、株主の皆様からこれまで以上に期待され、ステークホルダーから信頼される企業となるため、2019年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画『NEW HARIMA2021』を策定して、企業価値の一層の向上をめざします。
当社は、中期経営計画 NEW HARIMA 2021(対象期間:2019年度~2021年度)を策定し、以下を基本方針としております。
①目標計数
2021年度に売上高1,000億円、営業利益70億円、ROE(自己資本当期純利益率)10.0%の達成をめざします。
②目標達成に向けた基本方針
・基盤事業の更なる体質強化と未参入市場の開拓をめざします。
・成長領域への研究開発先行投資を増強し、新たなビジネスモデルや新製品の早期実績化をめざします。
・安全操業を最優先し、リスク管理の徹底と継続的な改善活動に取り組むとともに、
環境負荷の少ないものづくりをめざします。
・本社部門の事業支援機能高度化と業務の効率化に取り組みます。
・従業員の個性を尊重し、明るく活力のある企業風土を実現します。
(3)当社グループを取り巻く経営環境
当連結会計年度は、中国の景気が減速するなか、米中貿易摩擦の深刻化が世界の景気にマイナス影響を与えたのに加え、日本では年度後半から消費増税や相次ぐ台風等の天災被害で景気が悪化しました。更に、第4四半期(2020年1~3月)には新型コロナウイルス感染の全世界的な拡大により深刻な景気下降に直面しました。
また、近年、人々の経済活動や生活の諸局面でデジタル機器が広く普及した結果、印刷物全般に対する需要が減少しており、当社事業と直接関係する業界でも、印刷用紙や平版インキ等の生産の減少が続いており、当社が生産する製紙用薬品やインキ用樹脂の需要にも影響が出ています。
これとは別に、当社グループは、製品価格・原料価格とも市況に応じて変動する製品群を多く有しているため、当社グループの業績は市況動向の影響を受けやすい性格があります。当連結会計年度は、昨年度来続いたテレピン油価格の活況が一段落する一方でロジン価格の低迷が続いた他、粗トール油価格は上昇しました。
このような環境の中、当社の当連結会計年度の業績は、第1四半期から第3四半期までは堅調に推移してきましたが、第4四半期には大幅な売上減、営業利益減を喫する結果となりました。
(4)中期経営計画の目標達成に向けた主な課題
①デジタル化進展などの外部環境の変化により、一部の製品群では売上が減少や収益性の低下がみられます。
これらの事業内容を見直して、より収益性の高い事業にシフトしてゆく事により、基盤事業の体質強化を図り
ます。
②当社グループは、海外事業を主要な収益源の一つとしていますが、進出先の国で未展開の事業や製品群も少な
くありません。未進出国への進出も含め、未参入市場の開拓を進めます。
③製造業として安全操業が何よりも重要ですが、リスクアセスメント活動の深化を図るとともに、IT活用による
製造管理の高度化とそれに対応した安全対策を推進します。
④当社グループにとって、新事業の創出は成長戦略の最も大きな柱であり、新事業の早期実績化に向けた研究開
発投資の増強を続けます。
(5)新型コロナウイルス感染対策
お客様ならびに当社従業員の新型コロナウイルス感染を防止するため、当社では、管理部門、営業部門を中心に
在宅勤務制度を本格的に実施しています。製造現場でも一般的な感染予防策に加え、勤務体制の変更等により感染リスク対策を強化して操業を継続しています。
また、景気悪化が長期深刻化するリスクに備えて経営体質の強化にも努めます。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況
当社グループの全世界における製品の需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料価格の上昇
当社グループは、石油化学関連原料及びロジン等の諸原材料を購入して製品を製造・販売しております。
そのため国際市況及び国内市況による原材料購入価格の変動リスクがあり、その変動により製品価格への修正が遅れることなどで、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 為替レートの変動
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における収益、費用、資産、負債を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。円安は当社グループにおいて輸入原料の調達コストを押し上げる可能性があり、製品価格の修正が遅れると業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新製品開発力
当社グループの収入の増加は新規商品が大半を占めております。今後の成長には主に新製品の開発と販売に依存すると予想しております。当社グループは継続して斬新で魅力ある新製品を開発できると考えておりますが、新製品の開発と販売のプロセスは、その性質から複雑かつ不確実なものであり、以下をはじめとする様々なリスクが含まれます。
①新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を、今後十分充当できる保証はありません。
②長期的な投資と大量の資源投入が、成功する新製品または新技術の創造へつながる保証はありません。当社グループは需要予測に対応するため、生産拠点など重要な資源を投下し事業を拡大しておりますが、この実需が需要予測と乖離する可能性があります。
③当社グループが市場からの支持を獲得できる新製品または新技術を正確に予想できるとは限らず、また、これらの製品の販売が成功する保証はありません。
④新たに開発した製品または技術が、独自の知的財産権として保護される保証はありません。
⑤技術の急速な進歩とニーズの変化により、当社グループ製品が陳腐化する可能性があります。
⑥現在開発中の新技術の商品化遅れにより、市場の需要について行けなくなる可能性がありますので、この製品の市場における大きなシェアの確保ができないおそれがあります。
上記のリスクをはじめとして、当社グループが業界と市場の変化を十分に予測できず、魅力ある新製品を開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 国際的活動および海外進出に潜在するリスク
当社グループの生産および販売活動は適地生産のグローバル化により、北米、南米、アジア及び欧州等の日本国外でも行われております。これらの海外市場への事業進出には以下に掲げるようないくつかのリスクが内在しております。これらの事象は、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
①予期しない法律または規制の変更
②不利な政治または経済要因
③人材の採用と確保の難しさ
④未整備の技術インフラが、製造等の当社グループの活動に悪影響を及ぼす、または当社グループの製品やサービスに対する顧客の支持を低下させる可能性
⑤潜在的に不利な税の影響
⑥テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
(6) 製品の欠陥
当社グループは各国の工場で各種の製品を製造しております。製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。さらに、引き続き当社グループがこのような保険に許容できる条件で加入できるとは限りません。大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(7) 他社との提携等の成否
当社グループは技術開発の一環として、経営資源を最適化し、技術の集約による相乗効果を利用するために、コラボレーション、技術提携や合弁の形で多くの他社と共同での活動を行っております。当社グループは引き続きこのような機会を前向きに活用する予定であります。しかし、経営、財務またはその他の理由により当事者間で不一致が生じた場合、効果的な開発による結果を享受できず、当社グループの業績と財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(8) 公的規制
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの活動が制限される可能性があります。また、規制を遵守できなかった場合は、コストの増加につながる可能性があります。従いまして、これらの規制は当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)災害や停電等による影響
当社グループは製造停止による潜在的なマイナス影響を最小化するために、全ての設備における定期的な災害防止検査と設備点検を行っております。しかし、生産施設で発生する災害、停電またはその他の中断事象による影響を完全に防止または軽減できる保証はありません。従いまして、当社グル―プが展開している地域で大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下することで、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)資金調達
当社グループの事業に係る事業買収資金、設備投資資金等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、金利が上昇した場合には、資金調達コストが増加することにより当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)固定資産の減損会計適用による影響
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
2019年12月以降、日本を含む世界各地で新型コロナウイルス感染症の患者発生報告は続いており、世界保健機関(WHO)も2020年3月に当該感染症をパンデミックと宣言しております。今後当社グループや取引先等で当該感染症が発生し拡大した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当該感染症の拡大に伴い世界景気の悪化も懸念されており、市況が大きく減退した場合には当社グループの業績と財務状況に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
日本経済は、緩やかに回復していたものの、昨年10月からの消費税増税により、設備投資、生産の一部に弱さが続いていました。
第4四半期に入り、世界経済、日本経済ともに、新型コロナウイルス感染症の影響により、さらに厳しい状況になっています。
このような中、当社グループは新中期経営計画『NEW HARIMA 2021』の初年度に当たり、更なる事業の成長に取り組んでおります。
当社グループの海外事業は、中国は堅調も、欧州および北米での販売数量の減少があり、売上高は前期に比べ減少しました。利益面では、売上高減少により、前期に比べて減少しました。
国内事業は、売上高、利益面とも前期に比べ減少しました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は717億9千9百万円となり、前期に比べ67億8千9百万円(△8.6%)の減収となりました。
利益面では、営業利益は37億5千2百万円となり、前期に比べ9億1千4百万円(△19.6%)の減益となりました。経常利益は35億8千9百万円となり、前期に比べ12億2千8百万円(△25.5%)の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は22億1千7百万円となり、前期に連結子会社の繰延税金資産の追加計上に伴い、法人税等調整額(△は益)を△12億3千9百万円計上しましたが、当連結会計年度は追加計上がなかったため、前期に比べ19憶1千3百万円(△46.3%)の減益となりました。
当社グループのセグメント別経営成績の概況は次の通りであります。
国内の印刷インキ業界の生産量は、前期に比べ減少しました。塗料業界の生産量は、前期に比べ減少しました。
売上高は、印刷インキ用樹脂の販売減少や塗料用樹脂についても自然災害や消費税増税の影響によって販売が低迷したことで、前期に比べ減少しました。
また、営業利益につきましては、売上高減、主原材料価格の上昇により前期に比べ減少しました。
その結果、売上高は、181億8千8百万円となり、前期に比べ21億2千万円(△10.4%)の減収となりました。営業利益は4億1千9百万円と前期に比べ9億5千6百万円(△69.5%)の減益となりました。
b.製紙用薬品
国内の製紙業界は、板紙および印刷情報用紙の需要がいずれも低迷し紙・板紙生産量は、前期に比べ減少しました。中国の紙・板紙生産量は前期に比べ増加しましたが、米国の紙・板紙生産量は前期に比べ減少しました。
売上高は、中国が引き続き堅調に推移したものの、国内および米国は減少したため、前期に比べ減少しました。
その結果、売上高は、189億2千8百万円となり、前期に比べ10億2千1百万円(△5.1%)の減収となりました。営業利益は、18億3千8百万円と前期に比べ4千3百万円(△2.3%)の減益となりました。
c.電子材料
主に関連する自動車業界の生産台数は、前期に比べ国内は消費税増税の影響もあり減少しました。海外では欧州は環境規制前の駆け込み需要もあり微増、北米は景気減速で減少。中国は米中貿易摩擦と景気減速による影響で大幅減少となりました。
売上高は、前期に比べてソルダペーストの販売は増加しましたが、自動車熱交換器用のろう付け材料、半導体用機能性樹脂、導電性ペーストが大きく減少しました。また、新型コロナウイルス感染症による影響で中国での販売が減少しました。
その結果、売上高は、52億9千7百万円となり、前期に比べ4億3千9百万円(△7.7%)の減収となりました。営業利益は1億5千7百万円と前期に比べ2億6千3百万円(△62.6%)の減益となりました。
d.ローター
粘接着剤用樹脂の需要は堅調に推移しており、欧州および南米の販売が好調であったことから、販売数量は前期に比べ増加しました。
出版印刷インキ用樹脂は、情報のデジタル化を背景に世界的に需要が低迷しており、欧州と北米において販売が低調であったことから、販売数量は前期に比べ減少しました。
営業利益は、販売数量および売上高は減少したものの、商品構成の変化および製造原価の低減を主要因として、前期に比べ増加しました。
その結果、売上高は276億5千5百万円で、前期に比べ33億2千4百万円(△10.7%)の減収となりました。営業利益は16億5千4百万円と前期に比べ、1億5千2百万円(10.1%)の増益となりました。
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ14億7千5百万円の減少となりました。自己資本比率は49.2%となりました。増減の主なものは、流動資産では現金及び預金が6億5千4百万円増加し、受取手形及び売掛金が39億5千万円減少、原材料及び貯蔵品が14億1千6百万円増加しました。投資その他の資産では投資有価証券が7億1百万円減少しました。負債では短期借入金を長期借入金に借換えたため、短期借入金が10億3千9百万円減少し、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が5億7千1百万円増加しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が61億8千6百万円あったものの、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が34億6千3百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が20億4千5百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ6億2千1百万円(18.9%)の増加となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、61億8千6百万円の収入(前連結会計年度は41憶7千9百万円の収入)となりました。これは主として、売上債権の減少額が37億6千7百万円や税金等調整前当期純利益が35億1千3百万円、減価償却費22億5千8百万円等、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、34億6千3百万円の支出(前連結会計年度は50億3千5百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が34億8千4百万円、無形固定資産の取得による支出が1億7千7百万円等、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、20億4千5百万円の支出(前連結会計年度は5億8千万円の収入)となりました。これは主として、長期借入れによる収入21億9千8百万円あったものの、配当金の支払額9億6千7百万円、長期借入金の返済による支出が15憶9千4百万円、自己株式の取得による支出6憶5百万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は、販売価格によっております。
2. 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は713億9千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億7千5百万円減少しております。これは主として、現金及び預金が6億5千4百万円増加し、受取手形及び売掛金が39億5千万円減少、原材料及び貯蔵品が14億1千6百万円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は336億4千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億9百万円減少しております。これは主として、短期借入金を長期借入金に仮換えたため、短期借入金が10億3千9百万円減少し、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が5億7千1百万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は377億4千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ6千5百万円減少しております。これは主として自己株式取得によるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の48.5%から49.2%へと0.7ポイントの増加となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,378.35円から1,399.48円と21.13円の増加となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は717億9千9百万円となり、前連結会計年度に比べ67億8千9百万円の減収となりました。これは主として、国内事業及び海外子会社の出荷量の減少に伴うもの等によるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は538億4千2百万円となり、製造原価の低下や商品構成の変化等により売上原価率が0.7ポイント減少し75.0%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は142億3百万円となり、旅費交通費等の減少により2億5千7百万円減少しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ1.4ポイント増加の19.8%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は37億5千2百万円となり、前連結会計年度に比べ9億1千4百万円の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は3億7千1百万円、営業外費用は5億3千4百万円で、営業外損失は1億6千3百万円となりました(前連結会計年度の営業外利益は1億5千1百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、35億8千9百万円となり前連結会計年度に比べ12億2千8百万円の減益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別損失は7千6百万円となり、減損損失として7千6百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は22億1千7百万円となり、前連結会計年度に比べ19億1千3百万円の減益となりました。
セグメント毎ごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
売上高は、181億8千8百万円となり、前連結会計年度に比べ21億2千万円(△10.4%)の減収となりました。当部門の営業利益は4億1千9百万円と前連結会計年度に比べ9億5千6百万円(△69.5%)の減益となりました。
b.製紙用薬品
売上高は、189億2千8百万円となり、前連結会計年度に比べ10億2千1百万円(△5.1%)の減収となりました。また、当部門の営業利益は、18億3千8百万円と前連結会計年度に比べ4千3百万円(△2.3%)の減益となりました。
c.電子材料
売上高は、52億9千7百万円となり、前連結会計年度に比べ4億3千9百万円(△7.7%)の減収となりました。当部門の営業利益は1億5千7百万円と前連結会計年度に比べ2億6千3百万円(△62.6%)の減益となりました。
d.ローター
売上高は276億5千5百万円となり、前連結会計年度に比べ33億2千4百万円(△10.7%)の減収となりました。商品構成の変化および製造原価の低下などにより、当部門の営業利益は16億5千4百万円と前連結会計年度に比べ1億5千2百万円(10.1%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が61億8千6百万円あったものの、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が34億6千3百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が20億4千5百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ6億2千1百万円(18.9%)の増加となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が123億8千4百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が45億7千9百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入が61億8千6百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を39億1千1百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%以下に下落した場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得及び過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、及び計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュフローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産するメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松由来の天然資源の生成メカニズムの探索や工業的活用に発展させることを視野に外部機関や大学と連携し研究開発を推進しています。
新規分野については、喫緊の課題となる環境負荷問題に対し、プラスチックフィルムの減容化を目的に表面を機能化する材料開発を進めています。また、有害物質の使用量削減の観点からは、有機溶剤の代わりに水を用いることが増えると予想されます。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かせる水系化技術の領域に着目して取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム148万トン、塗料162万トン、印刷インキ31万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社グループは、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持ち建築外装に適した耐久性を持つ樹脂を開発しました。また、建築外装以外の水系塗料に価値を与えるべく複数用途での開発に着手しました。
印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場に対して海外拠点での生産を見据えた新製品を複数完成させ、まずは国内ユーザーにて採用いただいています。また、平版用UV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品の販売を開始しました。さらに堅調に推移しているフレキソ、グラビアインキ向けに、当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用した水系向けの樹脂開発を進めています。
粘接着剤用樹脂においては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用添加剤に関しては、各種ゴムの要求特性、例えば振動吸収性や摩擦性などに適した様々な新規ロジン誘導体の開発を進め、一部用途では採用に向けた市場テストに入っています。また、ゴムの特性を変えるメカニズムを解明しながら開発を進めており、新たな用途に価値を創造できる製品開発を進め、顧客評価へ移行していく段階になっています。
機能性樹脂分野においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については、耐候性をより高めた製品の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(2)製紙用薬品
水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナスで推移しています。これは電子化等の影響によって、出版・広告向けの印刷用紙が減少したことが原因となっています。一方、日常生活で使用される衛生用紙、段ボール等のパッケージングに使用される板紙については、堅調な推移を示しています。2020年も、印刷用紙は減少となる一方で、衛生用紙や段ボール原紙の伸びが続くと予想されています。国内の製紙会社は工場の統廃合を進めると同時に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を加速させています。
このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。ポリアクリルアミド系紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適した製品の開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)についても実績が出てきました。現在、高品質のパルプを生産いただくために必要な薬剤として、お客様である製紙会社様に認められつつあります。さらに、食品包装用途の紙・板紙に安心してご使用いただくため、海外法規制にも対応可能な間接食品添加物としての製品の拡充を進めています。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズは、新たにドイツのBfRによる食品接触材料に対する推奨基準や中国国家衛生・計画生育委員会によるGB9685といった認証を取得しました。またポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズについても、米国に加えて中国の認証を取得しています。これらは、北米や東南アジア地域に加え、紙製包装材料への関心が高まっている日本のお客様でも実績が出てきています。
海外では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億0,996万トン/2018年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点で事業展開を進めています。また世界第二位(7,206万トン/2018年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国では、それぞれの地域において薬剤に要求される機能が異なっており、適合する技術開発や法規制に対応できる製品を開発しています。今後は、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(3)電子材料
主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向について、新車販売台数は新興国市場を中心に中長期的には成長が予測される一方で、2019年度は米中貿易摩擦や景気減速の影響により前年を下回る実績、加えて新型コロナウィルスによる世界的な経済への影響など直近は厳しい市場環境となっています。
こうした環境の中、当事業では自動車内に搭載される電子機器の小型化、高機能化を推進し安全で快適な運転の実現に貢献する自動車用接合材料として、大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ対応の鉛フリーペーストの販売が本年度も順調に増加し、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しました。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加を計画しています。
また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示され、当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を加速し、早期の実績化に向けた準備を進めています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上は景気減速の影響を受け低調な推移となりました。しかしながら、自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望は大きく、熱交換器の小型化、高機能化に大きな期待が持たれています。接点の微細化や形状の変化へ対応するため、多様化する塗布工法に適したろう付け材製品群の拡充を図ると共に、環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発を推進しています。さらには、自動車用熱交換器だけでなく、給湯器やルームエアコンに用いられる熱交換器向けのろう付け材料の開発にも注力しています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(4)ローター
印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのSunPine ABで製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成㈱の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進めており、ハリマ化成㈱の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は