文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念として、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にする循環型ビジネスモデルを通じて、地球環境に配慮した事業の展開を基本的な考え方としています。
今後もこの基本理念のもと、企業価値の一層の向上をめざします。
2021年度は、3ヵ年の中期経営計画『NEW HARIMA 2021』の最終年度に当たります。当社グループも新型コロナウイルス感染拡大による需要減の影響を大きく受け、一方では、原材料価格の上昇などの要因もあり、売上高1,000億円、営業利益70億円の中期計画目標は、達成が難しい状況となっています。2021年度は、コロナ禍により落ち込んだ業績の回復をめざし次の取り組みを推進し、更なる成長をめざした次期中期経営計画を策定します。
・当社が強みを有する米国、中国など開拓余地の大きい海外市場を中心に、シェア拡大や新規市場参入に挑戦しま
す。
・印刷インキ用樹脂や製紙用薬品などの中で需要成熟期を迎えた製品は、生産体制の見直しにより、生産性を改善
し、収益を向上させます。
・研究開発先行投資を増強して、基盤事業のパインケミカルを中心とする新規用途開発や、機能性材料や電子材料
など成長性の高い製品分野で事業拡大に取り組みます。
・デジタル技術を活用した生産管理の高度化に加え、リスク管理の徹底と継続的な改善活動を通じて、安全で環境
負荷の少ないものづくりをめざします。
気候変動への対応
地球温暖化への対処や脱炭素社会の実現が世界的な喫緊の課題とされています。持続可能な社会の実現に向けて、政府は、2050年に脱炭素社会をめざし、2030年までにCO₂排出量を2013年度比46%削減する目標を設定しました。当社グループは、従来から環境に配慮した新製品の開発や国内ではバイオマス発電事業(2005年稼働)や太陽光発電事業(2014年稼働)など、CO₂排出量の削減に積極的に取り組んできましたが、2030年に向けた具体的なロードマップを策定しました。
新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループは、世界11ヵ国28拠点で事業を展開していますが、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大では、従業員の安全と健康を最優先に感染予防に努めました。アフターコロナを見据えて、テレワークに対応できる業務プロセスの見直し、出勤人数に応じた本社面積の削減など、新しい働き方への変革に取り組みます。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営環境に関するリスク
① 各国の経済状況、世界情勢(影響度:高、発生可能性:中)
当社グループの製品需要は販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、政情不安、貿易摩擦などの世界情勢、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想では、世界のマクロ経済の動向や規制動向、市場動向を調査し、想定に沿った現実的な目標設定を行っております。
② 原材料の確保(影響度:高、発生可能性:低)
当社グループは、ロジン、粗トール油及び石油化学製品などの原材料を購入して製品を製造・販売しております。そのため、市況によって原材料購入価格の変動リスクがあります。
また、戦争、暴動、テロ、自然災害、感染症、環境規制、ストライキ、サプライヤーの工場における事故災害やサプライチェーンの混乱などにより原材料の確保が制限された場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想は、原材料価格の動向や契約状況、仕入れ先の原材料提供可能量を踏まえて策定しております。また、原材料確保の制限といったリスクを極小化するために、仕入れ先の分散などサプライチェーンの冗長化などに取り組んでおります。
③ 自然災害や感染症(影響度:高、発生可能性:低)
当社グループが事業展開している地域で大規模な自然災害や想定を超える感染症の拡大により操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自然災害につきましては、国内外各地に配置する生産拠点の相互広域バックアップ体制の構築を進めて参りました。また、感染症につきましては各国・各地域の行政の方針に沿った社内ガイドラインを策定し、当社グループ内で周知徹底の上、日々の管理・監視を行っております。
④ 為替レートの変動(影響度:中、発生可能性:高)
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における財務諸表の現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。これらの項目は外貨建数値に変動がない場合でも、円換算後の当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融市場の動向を踏まえつつ、為替予約などでリスク回避に努めております。
⑤ 公的規制(影響度:中、発生可能性:中)
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理制度、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらをはじめとする規制の改正によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各国法規制を順守すべく、グローバル行動指針や社内規程を整備の上、社員教育を行い、監査体制を整備しております。また、各国法規制の改正についても適時に対応する体制としております。
(2)事業運営に関するリスク
① 生産活動における事故(影響度:高、発生可能性:低)
当社グループは、生産活動で爆発や有害物質の漏洩などが生じた場合、近隣住民ならびに従業員の安全確保、復元処置を速やかに行いますが、そのためのコストが発生し、生産能力や信頼の低下を招く可能性があります。
当社グループでは、生産拠点の重要な設備すべてについて定期点検・保守を行っております。また、排水処理施設には異常値を即時に検知する常時監視システムを備えております。加えて、従事する監督者や従業員の資格取得、研修を実施しております。
② 製造物責任(影響度:高、発生可能性:低)
当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥により売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ品質方針を定め、品質マネジメントシステムの運用と改善を継続することで、お客さまからのご要請と各種法規制に適合する質の高い製品を提供し続ける体制を整備しております。
③ 製品開発(影響度:中、発生可能性:低)
当社グループの製品開発にあたっては、多額の開発投資をしても成功する保証はありません。また、開発が成功しなければ、当社の製品が陳腐化して競争力を失う結果、シェアの低下、採算の悪化などにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各事業年度において研究開発予算を定めております。また、各研究開発案件は定期的に開発継続の是非を検討しております。なお、実現性の高い案件は業績予想に織り込んでおります。
④ 情報セキュリティ(影響度:中、発生可能性:低)
当社グループの財務、人事、顧客、戦略、技術など、紙、電子媒体、ネットワーク上にある機密情報が毀損、漏洩した場合、事業活動に支障を来たすことがあります。また、 情報インフラの増強で投資・経費が増加することがあります。これらによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子情報については各種セキュリティ対策及び研修による社員のセキュリティレベル向上により、機密情報の毀損・漏洩の防止に努めております。
(3)経理・財務に関するリスク
① 資金調達リスク(影響度:中、発生可能性:低)
当社グループの事業に必要な資金は、株主や金融機関より調達しています。金融市場の不測の混乱により、借入コストの大幅な上昇や、借入そのものが困難になることで、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資金調達の効率化および安定化を図るため、国内外取引銀行との特定融資枠契約を締結しております。
② 固定資産の減損(影響度:低、発生可能性:低)
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。このため、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
このように受注環境が厳しい中、当社グループにおいても、新型コロナウイルス感染症の影響により、減収減益は避けられない状況となり、経費削減等によるコストダウンを実施しながら、拡販に努めました。
当社グループの海外事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、販売数量が大幅に減少し、中国での製紙用薬品事業が堅調であったものの、売上高、利益面とも前期に比べ減少しました。
国内事業も、新型コロナウイルス感染症の影響により、販売数量が減少し、売上高、利益面とも前期に比べ減少しました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は628億5千万円となり、前期に比べ89億4千8百万円(△12.5%)の減収となりました。
利益面では、営業利益は15億7千6百万円となり、前期に比べ21億7千5百万円(△58.0%)の減益となりました。経常利益は為替差損や持分法投資損失を営業外費用として計上したことにより10億9千3百万円となり、前期に比べ24億9千6百万円(△69.5%)の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益として計上したことにより10億9千1百万円となり、前期に比べ11億2千6百万円(△50.8%)の減益となりました。




当社グループのセグメント別経営成績の概況は次の通りであります。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、国内の印刷インキ業界では商業用印刷や新聞発行部数が減少しました。合成ゴム業界では、自動車タイヤ向けスチレンブタジエンゴムの生産量が大幅に減少しましたが、期後半には回復傾向が見られました。塗料業界では、建築向け塗料の生産が減少しました。
当部門では、前期に比べ売上高は、機能性ナノ粒子分散液の販売が堅調に推移したものの、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤、塗料用樹脂の販売が大幅に減少しました。
また、売上高減および原料価格の上昇により営業損失となりました
その結果、売上高は、147億8千3百万円となり、前期に比べ34億4百万円(△18.7%)の減収となりました。営業損失は4億9千万円と前期に比べ9億9百万円の減益となりました。
b.製紙用薬品
国内の製紙業界は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、板紙および印刷情報用紙の需要がいずれも低迷し、紙、板紙生産量は、前期に比べ減少しました。中国の紙・板紙生産量は前期に比べ増加、米国の紙・板紙生産量は減少しました。
当部門では、前期に比べ売上高は、中国は紙力増強剤の需要が高まり、好調に推移したものの、国内および米国は減少しました。
その結果、売上高は、184億8千1百万円となり、前期に比べ4億4千7百万円(△2.4%)の減収となりました。営業利益は、19億8千7百万円と前期に比べ1億4千9百万円(8.1%)の増益となりました。
(単位:百万円)
c.電子材料
半導体関連業界は、在宅勤務によるパソコン需要及び通信インフラ拡大など堅調に推移しました。一方、自動車業界の生産台数は、新型コロナウイルス感染症の影響により前期に比べ減少しました。
当部門では、前期に比べ売上高は、半導体用機能性樹脂、ソルダペーストの販売は増加しましたが、導電性ペースト、自動車熱交換器用のろう付け材料が減少しました。
その結果、売上高は、50億5百万円となり、前期に比べ2億9千2百万円(△5.5%)の減収となりました。営業利益は2億7千2百万円と合理化、コスト削減効果もあり前期に比べ1億1千4百万円(72.8%)の増益となりました。
(単位:百万円)
d.ローター
粘接着剤用樹脂の販売は、欧州、南米は前期に比べ増加しましたが、他地域での販売が減少したことから前期に比べ減少しました。
出版印刷インキ用樹脂の販売は、情報のデジタル化を背景に総じて需要が低迷しており、特に当期は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、前期に比べ大幅に減少しました。
営業利益は、販売の減少に加え、一部商品の原価率の上昇もあり、前期に比べて大幅に減少しました。
その結果、売上高は230億6千8百万円で、前期に比べ45億8千6百万円(△16.6%)の減収となりました。営業利益は3億8千6百万円と前期に比べ、12億6千8百万円(△76.7%)の減益となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ20億5百万円の減少となりました。自己資本比率は49.8%となりました。増減の主なものは、流動資産では現金及び預金が5億2千8百万円減少し、同じく原材料及び貯蔵品が5億2千4百万円減少しました。負債では支払手形及び買掛金が7億8千1百万円減少し、退職給付に係る負債が6億3百万円減少しました。短期借入金を長期借入金に借換えたため、短期借入金が37億5千7百万円減少し、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が35億8千2百万円増加しております。
(単位:百万円)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が30億7百万円あったものの、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が18億5千8百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が15億6千4百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ4億8千9百万円(△12.5%)の減少となりました。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、30億7百万円の収入(前連結会計年度は61億8千6百万円の収入)となりました。これは主として、政策保有株式縮減等ために実施した投資有価証券売却による投資有価証券売却益15億6千7百万円があったものの、たな卸資産の減少額が5億5千3百万円や税金等調整前当期純利益が23億1千6百万円、減価償却費23億5千3百万円等、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、18億5千8百万円の支出(前連結会計年度は34億6千3百万円の支出)となりました。これは主として、政策保有株式縮減等のための投資有価証券の売却による収入26億4千9百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出が22億2千6百万円、投資有価証券の取得による支出17億8千8百万円等、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、15億6千4百万円の支出(前連結会計年度は20億4千5百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入れによる収入50億4百万円あったものの、短期借入金の減少39億7千9百万円、株主還元のため、安定した配当として9億5千4百万円配当金の支払いを計上、長期借入金の返済による支出が13億8千万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は、販売価格によっております。
2. 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
3. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は693億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ20億5百万円減少しております。これは主として、流動資産では減収減益に伴い、現金及び預金が5億2千8百万円減少し、商品及び製品が3億6千6百万円減少、原材料及び貯蔵品が5億2千4百万円減少しました。固定資産では設備投資の減少に伴い、有形固定資産の建設仮勘定が5億6千4百万円減少したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は319億4千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億1百万円減少しております。これは主として、流動負債では支払手形及び買掛金が7億8千1百万円減少し、税金等調整前当期純利益の減少に伴い未払法人税等が1億8千5百万減少しました。固定負債では退職給付に係る負債が6億3百万円減少したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は374億4千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億4百万円減少しております。これは主として、その他有価証券評価差額金が5億1千5百万円減少したことによるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の49.2%から49.8%へと0.6ポイントの増加となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,399.48円から1,375.27円と24.21円の減少となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は628億5千万円となり、前連結会計年度に比べ89億4千8百万円の減収となりました。これは主として、新型コロナウイルス感染拡大による影響により、国内事業及び海外子会社の出荷量が減少したことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は478億8千8百万円となり、製造原価の低下や商品構成の変化等により売上原価率が1.2ポイント増加し76.2%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は133億8千5百万円となり、販売の減少に伴う運搬費の減少や、旅費交通費等の減少等により8億1千7百万円減少しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ1.5ポイント増加の21.3%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は15億7千6百万円となり、前連結会計年度に比べ21億7千5百万円の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は3億2千6百万円、営業外費用は8億9百万円で、為替差損や持分法による投資損失が増加したため、営業外損失は4億8千3百万円となりました(前連結会計年度の営業外損失は1億6千3百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、10億9千3百万円となり前連結会計年度に比べ24億9千6百万円の減益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別利益は15億6千5百万円となり、投資有価証券売却益として15億5千3百万円計上しております。特別損失は3億4千2百万円となり、減損損失として3億4千2百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は10億9千1百万円となり、前連結会計年度に比べ11億2千6百万円の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が30億7百万円あったものの、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が18億5千8百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの支出が15億6千4百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ4億8千9百万円(△12.5%)の減少となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が86億2千6百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が81億6千1百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入が30億7百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を34億2千1百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%以下に下落した場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得及び過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、及び計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュフローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松に含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明やその仕組みを活かした生産技術を外部機関と連携しながら推進しています。
新規分野については、環境対応への関心の高まりから有機溶剤から水に代替する技術の必要性がさらに加速すると予想しています。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かすべく研究に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。今年度前半はコロナ禍により市場は低調に推移、後半は持ち直していますが計画未達成に終わっています。現行市場に対する新製品投入に注力するとともに、近年の環境意識の高まりもあり、当社の材料・技術で環境に貢献できる新製品の開発に注力しています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持つとともに、建築外装だけでなく鉄部等に適した耐久性を持つ樹脂の開発を進めています。
印刷インキ用樹脂においては、環境意識の高まりを受け、プラスチック基材に高い密着性を示す水系樹脂を開発しました。従来の平版用途ではなく、フィルム用グラビア・フレキソインキ向けを目指すとともに、その高い密着性を活かした用途展開を図るべく開発を進めています。当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用しており、バイオマス樹脂としても高い機能を発現しています。
粘接着剤用樹脂に関しては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。ゴム用添加剤については、自然災害が年々増加する中、ビル、建物を守る制振ゴム用の添加剤を開発しました。これは従来以上に揺れに対する減衰性を示しており、今後の拡大が見込まれます。また各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めています。
機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については開発を完了し、顧客へ提案、最終的に耐候性を確認中です。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学フィルムだけではなく、他の用途に展開するテーマに着手しており、顧客評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降マイナスで推移しています。電子化等の影響によって出版・広告向けの印刷用紙が減少していましたが、コロナ禍の影響を受けた2020年は減少ペースが加速、リーマン・ショック直後の2009年(9.2%減)を上回るマイナス幅となりました。一方、ネット通販等の普及や、コロナ禍における衛生意識の高まりによる衛生用紙の需要増といったプラス面も出てきています。また、脱プラスチックによる紙化の動きも期待され、国内の製紙会社は、引き続き、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった分野への事業展開を加速させています。
このような業界の動向を踏まえ、研究開発では、ポリアクリルアミド系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化(Alum使用量の削減)や軽量化(紙力効果および操業性の改善)に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)でも、薬剤と併せて適切な使用方法を提案しています。これにより、高品質パルプの生産に欠かせない薬剤として認めていただき、大手製紙会社様での実績に繋がっています。さらに、脱プラスチックの動きの中で、紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発にも取り組んでいます。耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性や水蒸気バリア性を付与できるコート剤の開発により、紙製素材の普及に貢献していきます。
これら製品開発においては、世界中で安心してご使用いただくことを目的に、安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めています。ロジン系エマルションサイズ剤『NeuRoz CF50』は、米国のFDA、ドイツのBfR、中国のGB9685といった認証を取得しています。また近年では、FDAの認証を取得したPAM系乾燥紙力増強剤『ハーマイド KSシリーズ』および ピッチコントロール剤『ASシリーズ』のGB9685の認可に加え、FDAとBfRの認証を取得した新たなPAM系乾燥紙力増強剤を開発しました。現在は、新規開発品のGB9685の申請を進めています。
海外市場においては、南北アメリカ、中国、東南アジア地域における市場拡大に注力しています。紙・板紙の生産量が世界一位(1億867万トン/2019年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点にて事業展開を進めています。また世界二位(6,913万トン/2019年)の米国では、プラズミン・テクノロジー,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。今後は、これら諸外国における最適なアプリケーションや必要となる法規制に対応できる製品を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発を推進しています。
2020年の自動車の生産台数は新型コロナウィルス感染の拡大の影響を大きく受け前年比1455万台減の7762万台に留まりました。2021年に入り中国市場で回復基調が見られる一方、日本、米国、欧州域では新型コロナウィルスの再拡大や世界的な半導体不足の影響など非常に厳しい市場環境に置かれています。このような動向の中で研究開発においては、より一層の電子機器の高機能化や精細な電子制御が推進でき、安全で快適な運転を実現するはんだ材料の開発に注力しています。
これらの電子機器においては、はんだ接合部に従来よりも大きなストレスがかかるため高い耐久性を有する材料が必要なことから、当社ではこの市場要求に応える高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を完了し2021年度からの販売開始に向けた準備を進めています。
熱交換器等に用いられるろう付け材料においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開を推進しています。更なる軽量化、低燃費化に貢献すると共に、環境負荷を低減するため有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発と、これまでに培った技術を活かし、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発にも注力し商品群の拡充を図ります。
半導体製造に用いられるレジスト用樹脂は、企業において在宅勤務、リモート会議が普及し、教育現場でも同様の動きが起こった中、大きく成長しました。当社の得意である有機合成技術を更に磨き、今後も半導体産業に貢献していきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は
(4)ローター
当事業においては、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、路面標示塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルなどの研究開発を行っています。
出版印刷インキ市場は、コロナ禍の影響で昨年の春から夏にかけて世界的に大きく生産量が落ち込みました。欧州においては、当社が出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉印刷インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、インキ成分が紙を通じて食品に移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション性の機能を有し、かつ低臭気のインキ用ワニス(商品名:PacksetTM)の開発に成功し、販売を開始しております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造をめざす顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパーパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野は、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。今後も高性能な水系粘接着剤用樹脂の需要拡大が見込まれており、特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門では、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は