文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念として、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にする循環型ビジネスモデルを通じて、地球環境に配慮した事業の展開を基本的な考え方としています。
今後もこの基本理念のもと、企業価値の一層の向上をめざします。
①当社グループが目指すもの
当社グループは、松から得られるロジン(松やに)、脂肪酸、テレピン油などを使って化学素材をつくるパインケミカル事業を中心に発展してきました。パインケミカル事業は天然資源を有効活用するため環境負荷が小さく、資源循環的なビジネスモデルを有しています。近年、地球温暖化や気候変動激甚化への懸念が世界的に高まり、環境にやさしく、サステナブルな事業モデルへの転換を目指すことが企業の責務とされるようになっていますが、当社グループのビジネスモデルは持続可能性の高い社会を建設する目標と親和性の高いものです。
当社グループは、これからもパインケミカル事業をさらに深掘りして、新たな用途開発と事業基盤の強化に努め、世界的な業界トップティア企業の地位を目指してチャレンジします。
また、当社グループは1970年代から海外進出に取り組み、現在では収益性の高い海外事業に強みを持つグローバル企業に成長しています。今後も、成長性の高い海外市場で事業領域の拡大と市場開拓に努め、サステナブルな社会建設に役立つ当社グループ製品を世界に届けることを目標とします。
この目標を達成するためには、高い技術力を背景にした競争力のある新製品開発とお客様に信頼される安心安全なものづくりが欠かせません。引き続き、研究開発投資の強化とM&Aを通じた、サステナブルな新製品の開発と新規事業領域への参入にチャレンジします。
②長期ビジョン「Harima Vision 2030」
地球温暖化による気候変動を放置すれば、現在の社会生活を維持継続することが困難になる、という危機感は人類社会共通のものになっています。持続可能な社会を構築するために、企業が「カーボンニュートラル」の実現に努めることは、もはや当然の社会的責務と考えられます。しかし「カーボンニュートラル」の実現は容易ではなく、社会全体での長期継続的な取り組みが不可欠であることから、最近では、2030年までの長期目標と推進策を掲げる企業が増えています。当社グループも中期経営計画策定に合わせ、財務的な目標に加えて非財務的な企業価値向上策を含む長期ビジョンを設定しました。
長期ビジョン「Harima Vision 2030」
当社グループは、上記の長期ビジョンを標榜し、2030年を目処に下記業績目標の達成を目指します。
「Harima Vision 2030」業績目標
※1 海外子会社は進出国の規制に則った削減計画を立案し、当社グループ全体では2050年にカーボンニュートラルを目指します。
※2 2013年度比、ハリマ化成株式会社の日本国内事業ベース
③「自然の恵み製品」の拡販計画
当社グループは、資源循環的なビジネスモデルを有するパインケミカル事業の製品群に加え、その他の事業分野でも環境負荷を軽減しSDGsなどの社会的課題の解決に役立つ製品群を有しています。当社グループではこれらを「自然の恵み製品」と名付け、これらの拡販を通じ、より良い社会の創造に貢献する企業としての企業価値向上を目指します。「自然の恵み製品」の拡販目標として、2026年度の売上高を2021年度実績対比30%増加させることを目指します。
※「自然の恵み製品」には、粘接着剤用樹脂、インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤、トール油製品、サイズ剤など
のパインケミカル製品の他、塗料用樹脂、水系樹脂、紙力増強剤、バリアコート剤などの環境配慮製品を含み
ます。
④中期経営計画「NEW HARIMA 2026」
当社グループは、2022年度より5年間の中期経営計画「NEW HARIMA 2026」を設定しました。本計画では2026年度の売上高1,100億円、営業利益70億円を目標とし、「事業基盤の強化と事業領域の拡充」、「新規事業、成長分野に向けた研究開発」、「新時代に向けた経営の革新」を基本方針とします。
「NEW HARIMA 2026」業績目標
基本方針1: 事業基盤の強化と事業領域の拡充
1)パインケミカル総合メーカーとしての競争力強化
パインケミカル事業分野では、トール油事業分野での用途開発と新製品投入・新規事業創出を進める他、粗トール油精留技術の高度化、長期安定的な原料確保などの施策を推進します。また、パインケミカル事業分野も最近の急激な資源価格高騰の影響を受けているため、採算確保に取り組むと共に採算観点からの製品ポートフォリオの見直しも進めます。
当社グループはグループ内で多様なロジン生産拠点を有し、ブラジル、アルゼンチンでガムロジンを生産している他、日本、ニュージーランド、スウェーデン(サンパイン社)でトールロジンを生産しています。これらロジンのグループ内調達強化を通じた競争力アップにも取り組みます。
2)海外事業領域の拡充
ドイツ大手化学メーカーのヘンケル社から買収した資産に関するはんだ材料事業は、欧米の自動車部品業界や産業機器業界、中国を中心とする通信機器業界に顧客基盤を有し、当社グループ既存事業とのシナジー効果が期待できるため、早期に業績寄与するよう事業統合を急ぎます。中国、東南アジアや米国で強みを有する製紙用薬品事業は、地域事情に応じて販売品種の拡充による売上増とサプライチェーンの見直しにより事業採算の改善に努め、市場での競争激化に対応します。
また、海外で市場シェアの高いローターの粘接着剤用樹脂事業は、更なるシェア向上と新製品の開発投入を目指します。
3)事業ポートフォリオの見直し
既存事業の中で市場が成熟して構造的に需要が減少しているものは、収益確保を重視して品種構成や事業運営を見直し、事業/製品ポートフォリオの入れ替えを進めます。他方、弱溶剤塗料用樹脂や半導体用機能性樹脂など販売増が見込まれる製品群については、生産体制の拡充強化に取り組みます。
基本方針2: 新規事業、成長分野に向けた研究開発
前中期経営計画「NEW HARIMA 2021」から実施している、成長分野に向けた研究開発投資への重点的な資源配分を継続し、新製品開発による新市場参入の早期実績化を目指します。
1)粗トール油精留プラント改良のためのプロセス開発を進め、多様な粗トール油を活用できる高度な精留技術を実現します。
2)ゴムの機能発現のメカニズムを解明し、減衰性、耐オゾン性、耐候性などの機能を備えた新しいゴム添加剤の技術開発と市場創出に取り組みます。
3)半導体用機能性樹脂では、半導体需要の拡大と加速する技術革新に追従する研究開発を推進します。
4)紙素材に撥水性、耐水性を付与する薬剤を開発しプラスチック代替市場への参入を目指します。
5)環境に配慮した水系樹脂、無溶剤樹脂の開発を進めます。
6)バイオプロセスによる効率的な樹脂酸、医薬品原体等の合成技術の研究に取り組みます。
7)CO₂吸着と再利用技術の開発に取り組み、革新的な技術の導入を目指します。
基本方針3: 新時代に向けた経営の革新
1)デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくりの推進
生産活動におけるAIやIoT技術の活用を積極的に進め、現場の人員不足や技能継承課題の補完、生産性向上など業務改善効果の獲得を目指します。生産現場では、データ活用による最適生産体制の構築、予兆・予防保全体制の確立による安全操業、デジタル技術による在庫管理、構内物流の効率化などを推進します。
研究開発活動においては、MI(マテリアルズインフォマティクス)の活用と研究データのデジタル化を進め、製品開発をスピードアップします。
また、システム内製化によりデジタル人材教育と育成を図ると共に、業務プロセスのデジタル化を推進します。
2)企業理念に沿ったESG経営の推進
当社グループは、企業理念として「自然の恵みをくらしに活かす」を掲げ、自然と共生しながら、自然の恵みを有効活用して人々の生活を豊かにすることを目指す事業展開を進めてきました。近年高まりを見せるサステナブル経営への取り組み要請は、当社グループ企業理念と共鳴するものであり、今後更に事業活動を通じた社会課題解決とSDGsへの貢献を目指します。また、コーポレートガバナンス・コード対応やリスク管理体制の強化など企業統治のレベルアップに努める他、統合報告書の発行や気候変動リスク(TCFD対応)開示など情報開示とIR活動も推進し、持続可能な社会の実現に貢献する企業に相応しい業務運営や経営体制の整備に取り組みます。
また、温室効果ガス削減目標は、日本政府が掲げる「2030年度に2013年度比46%削減」という目標を3年前倒しして2027年度に達成した後、2030年度には同50%削減、2050年迄にはカーボンニュートラルを達成することを目指し、設備投資とさまざまな施策を計画的に実施します。海外拠点においても、それぞれの国情に応じた目標設定と削減計画を策定します。
ハリマ化成グループ(国内)のCO₂排出量削減ロードマップ

<当社グループの事業活動とSDGsへの貢献>
「169の達成基準」・・・17の世界的目標を達成するための具体的な考え方や対策をまとめたもの
<国際機関、産官学連携などへの関与、認証取得>
当社グループは、グローバル企業として国際機関や産官学連携などに積極的に関与し、国際的なサステナビリ
ティ規格の評価取得を進めています。引き続き、グローバルベースでのパートナーシップを深化させ、社会的
インパクトを高めていきます。

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境に関するリスク
① 各国の経済状況、世界情勢(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの製品需要は販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、政情不安、貿易摩擦などの世界情勢、及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想では、世界のマクロ経済の動向や規制動向、市場動向を調査し、想定に沿った現実的な目標設定を行っております。
② 原材料の調達(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、ロジン、粗トール油及び石油化学製品などの原材料を購入して製品を製造・販売しております。そのため、市況によって原材料購入価格の変動リスクがあります。
また、戦争、暴動、テロ、自然災害、感染症、環境規制、ストライキ、サプライヤーの工場における事故災害やサプライチェーンの混乱などにより原材料の調達が制限された場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想は、原材料価格の動向や契約状況、仕入れ先の原材料提供可能量を踏まえて策定しております。また、原材料調達の制限といったリスクを極小化するために、仕入れ先の分散などサプライチェーンの冗長化などに取り組んでおります。
③ 自然災害や感染症(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループが事業展開している地域で大規模な自然災害や想定を超える感染症の拡大により操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自然災害につきましては、国内外各地に配置する生産拠点の相互広域バックアップ体制の構築を進めて参りました。また、感染症につきましては各国・各地域の行政の方針に沿った社内ガイドラインを策定し、当社グループ内で周知徹底の上、日々の管理・監視を行っております。
④ 為替レートの変動(影響度:2、発生可能性:3)
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における財務諸表の現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。これらの項目は外貨建数値に変動がない場合でも、円換算後の当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融市場の動向を踏まえつつ、為替予約などでリスク回避に努めております。
⑤ 公的規制(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理制度、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらをはじめとする規制の改正によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各国法規制を順守すべく、グローバル行動指針や社内規程を整備の上、社員教育を行い、監査体制を整備しております。また、各国法規制の改正についても適時に対応する体制としております。
(2)事業運営に関するリスク
① 生産活動における事故(影響度:4、発生可能性:1)
当社グループは、生産活動で爆発や有害物質の漏洩などが生じた場合、近隣住民並びに従業員の安全確保、復元処置を速やかに行いますが、そのためのコストが発生し、生産能力や信頼の低下を招く可能性があります。
当社グループでは、生産拠点の重要な設備すべてについて定期点検・保守を行っております。また、排水処理施設には異常値を即時に検知する常時監視システムを備えております。加えて、従事する監督者や従業員の資格取得、研修を実施しております。
② 製造物責任(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥により売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ品質方針を定め、品質マネジメントシステムの運用と改善を継続することで、お客さまからのご要請と各種法規制に適合する質の高い製品を提供し続ける体制を整備しております。
③ 知的財産(影響度:1、発生可能性:1)
当社グループの事業分野に関する知的財産権については、特許権、商標権を取得しております。当該知的財産権に基づく具体的な製品ノウハウについては、当社グループ内に蓄積しているため、知的財産権が侵害されることにより当社グループの業績に重大な影響を受ける可能性は低いと想定しておりますが、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、リスクの低減に努めております。
④ 情報セキュリティ(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの財務、人事、顧客、戦略、技術など、紙、電子媒体、ネットワーク上にある機密情報が毀損、漏洩した場合、事業活動に支障を来たすことがあります。また、情報インフラの増強で投資・経費が増加することがあります。これらによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子情報については各種セキュリティ対策及び研修による社員のセキュリティレベル向上により、機密情報の毀損・漏洩の防止に努めております。
(3)経理・財務に関するリスク
① 資金調達リスク(影響度:2、発生可能性:1)
当社グループの事業に必要な資金は、株主や金融機関より調達しています。金融市場の不測の混乱により、借入コストの大幅な上昇や、借入そのものが困難になることで、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、資金調達の効率化及び安定化を図るため、国内外取引銀行との特定融資枠契約を締結しております。
② 固定資産の減損(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。このため、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは2021年12月に「TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
① ガバナンス
取締役会は、全社の環境経営の推進と各拠点の環境管理活動を統括する全社環境委員会より、気候関連をはじめとする環境課題への取組み状況について報告を受け、その監督を行います。また、取締役会は、戦略、業務計画、リスク管理方針、年間予算、業務目標・計画、実行・進捗管理、設備投資、企業買収・事業分離などの評価・指導時には、気候関連の課題を考慮します。
② 戦略
当社グループはTCFDが提言する気候変動のシナリオ分析を行うとともに、そのシナリオに伴うリスクや機会による財務インパクトの評価を実施します。リスク・機会については低炭素経済への移行に関する移行リスクと、気候変動によってもたらされる物理的リスクに大別し、事業への影響を考慮したうえで戦略策定を行います。
③ リスク管理
気候関連リスク・機会は、取締役会の監督のもと、全社環境委員会で協議し、対応策を推進します。気候関連リスクのうち重大なものは当社グループのグローバル経営におけるリスクマネジメントに関する基本方針を定める「リスクマネジメント委員会」において顕在化を未然防止する方策を検討し、組織戦略のレジリエンス説明を添えて取締役会に報告・付議するとともに、これを開示します。
④ 指標と目標
当社グループの環境マネジメントシステムでは、温室効果ガス(GHG)排出量など気候関連リスクを含む環境指標について、そのターゲットとともに進捗状況を開示します。特にGHG排出量については、2030年に46%削減(2013年度比)という日本国政府の目標に対し、2027年に46%削減、2030年に50%削減することを表明しています。また、海外拠点においても、各国政府の排出削減方針に沿って取り組みます。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は760億9千3百万円となり、前期に比べ132億4千2百万円(21.1%)の増収となりました。
利益面では、営業利益は32億5千万円となり、前期に比べ16億7千4百万円(106.2%)の増益となりました。経常利益は34億3千3百万円となり、前期に比べ23億4千万円(214.0%)の増益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は17億4千6百万円となり、前期に比べ6億5千4百万円(60.0%)の増益となりました。
当社グループのセグメント別経営成績の概況は次の通りであります。
売上高は、ほぼ全ての品目で前期を上回り、175億6千6百万円となり、前期に比べ27億8千2百万円(18.8%)の増収となりました。営業利益は期後半に原料高の影響を受けましたが、9千万円と前期に比べ5億8千1百万円の増益となりました。
塗料用樹脂は、新型コロナウイルス感染症の影響による塗装工事の遅延も緩やかに解消したことから、売上高は増加しました。
印刷インキ用樹脂は、前期に比べ期初から需要が回復していましたが、8月以降、新型コロナウイルス感染症再拡大の影響を受け、商業印刷や新聞などに使用されるインキの需要が減少し、売上高は前期並となりました。
合成ゴム用乳化剤は、半導体不足により自動車の生産が減少した影響はありましたが、履き替え用市販タイヤの需要が増加し、売上高は増加しました。
b.製紙用薬品
売上高は、段ボール需要の増加を背景に、211億7千4百万円となり、前期に比べ26億9千2百万円(14.6%)の増収となりました。営業利益は16億5千万円となり、原材料価格の高騰の影響もあり、前期に比べ3億3千7百万円(△17.0%)の減益となりました。
国内では、加工食品や通販の市場拡大による段ボール需要の増加に加え、商業印刷や新聞広告などの需要が緩やかに回復したことから、紙、板紙の生産量が増加し、売上高は増加しました。
中国では、紙、板紙の生産量回復に加え、古紙輸入規制強化による紙力増強剤の需要が拡大したことから、売上高は堅調に推移しました。しかし、原材料価格の高騰に伴い営業利益は減少しました。
米国では、段ボール原紙の需要が拡大し、紙、板紙の生産量が増加したことから、売上高は増加しました。しかし、原材料価格の高騰に伴い営業利益は減少しました。
(単位:百万円)
c.電子材料
売上高は、全ての主要品目で前期を上回り、旺盛な半導体需要の継続もあり、63億4百万円となり、前期に比べ12億9千8百万円(25.9%)の増収となりました。営業利益は売上高の増加に伴い、6億5千8百万円と前期に比べ3億8千5百万円(141.8%)の増益となりました。
熱交換器用ろう付け材料は、自動車生産台数の増加に伴い、自動車用熱交換器の需要が増加したこと、また前期は新型コロナウイルス感染症による販売減少により、当期の売上高は増加しました。
はんだ付け材料は、自動車業界の回復に加え、自動運転や電動化により電子部品の需要が増加傾向にあることから、売上高は増加しました。
半導体用機能性樹脂は、テレワークに伴うパソコンや5G通信インフラの拡大など旺盛な半導体需要が継続していることから、売上高が増加しました。
(単位:百万円)
d.ローター
売上高は、新型コロナウイルスワクチンの接種が進んだ欧米での経済活動の回復もあり、295億1千8百万円で、前期に比べ64億5千万円(28.0%)の増収となりました。営業利益は売上高の増加に加え、欧州、米国での生産の合理化や原材料価格の上昇に対する販売単価への転嫁が進んだことにより、17億2千1百万円と前期に比べ、13億3千5百万円(345.8%)の増益となりました。
粘接着剤用樹脂は、南米、オセアニア地域で物流の混乱に伴い販売数量が減少しましたが、全体としては通販市場の拡大に伴い宛名用ラベルシールに使用される粘着剤用樹脂の需要が世界的に増加したことから販売は好調に推移しました。また、路面標示塗料用樹脂の需要も堅調に推移したことから売上高は増加しました。
印刷インキ用樹脂は、情報のデジタル化を背景に需要の低迷が継続しているものの、北米、南米など一部の地域で需要が回復しました。また、原材料価格の上昇に伴い、販売単価も上昇したことにより売上高は増加しました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ95億1千4百万円の増加となり、増減の主な内容は以下の通りとなりました。
(流動資産)現金及び預金が18億8千7百万円増加し、同じく受取手形及び売掛金が26億8千4百万円増加しました。
(固定資産)有形固定資産が9億5千万円増加し、同じく無形固定資産が1億5千4百万円増加しました。
(流動負債)支払手形及び買掛金が25億4百万円増加し、短期借入金が9億1百万円減少しました。
(固定負債)長期借入金が49億3千4百万円増加し、退職給付に係る負債が1億5千万円減少しました。
(純資産) 親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が7億9千万円増加しました。
その結果、総資産の増加もあり、当連結会計年度末における自己資本比率は46.6%となりました。
(単位:百万円)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は53億3千8百万円となり、前連結会計年度と比べ19億1千7百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、28億3千3百万円の収入となりました。
これは主として、棚卸資産の増加額が25億7千2百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が29億9千4百万円、減価償却費21億7千5百万円等、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、34億3千8百万円の支出となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出が25億8千9百万円、無形固定資産の取得による支出が2億6千6百万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、21億6百万円の収入となりました。
これは主として、短期借入金の返済による支出11億4千3百万円、配当金の支払額9億5千5百万円があったものの、長期借入金による収入50億円等により、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. 金額は、販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は789億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ95億1千4百万円増加しております。これは主として、流動資産では増収増益に伴い、現金及び預金が18億8千7百万円増加し、同じく受取手形及び売掛金が26億8千4百万円増加しました。固定資産では設備投資の増加に伴い、有形固定資産が9億5千万円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は388億円となり、前連結会計年度末に比べ68億5千2百万円増加しております。これは主として、流動負債では支払手形及び買掛金が25億4百万円増加し、短期借入金が9億1百万減少しました。固定負債では長期借入金が49億3千4百万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は401億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億6千2百万円増加しております。これは主として、為替換算調整勘定が14億3千3百万円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が7億9千万円増加したことによるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の49.8%から46.6%へと3.2ポイントの減少となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,375.27円から1,459.97円と84.70円の増加となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は760億9千3百万円となり、前連結会計年度に比べ132億4千2百万円の増収となりました。これは主として、新型コロナウイルスワクチン接種の進展と積極的な経済対策による影響により、世界経済が緩やかに回復し、国内事業及び海外子会社の出荷量が増加したことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は581億1千5百万円となり、原材料価格の高騰の影響等により売上原価率が0.2ポイント増加し76.4%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は147億2千6百万円となり、販売の増加に伴う運搬費の増加や、旅費交通費等の増加等により13億4千万円増加しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ1.9ポイント減少の19.4%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は32億5千万円となり、前連結会計年度に比べ16億7千4百万円の増益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は7億円、営業外費用は5億1千7百万円で、為替差益や持分法による投資利益が増加したため、営業外利益は1億8千3百万円となりました(前連結会計年度の営業外損失は4億8千3百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、34億3千3百万円となり前連結会計年度に比べ23億4千万円の増益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別損失は、減損損失として4億3千9百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は17億4千6百万円となり、前連結会計年度に比べ6億5千4百万円の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの収入が28億3千3百万円あったものの、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が34億3千8百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの収入が21億6百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ19億1千7百万円(56.0%)の増加となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が77億2千4百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が129億7千4百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入が28億3千3百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を53億3千8百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しています。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客及び金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%程度以上、下回る場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得及び過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、及び計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用及び収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュフローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松に含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明やその仕組みを活かした生産技術を外部機関と連携しながら推進しています。新規分野については、環境対応への関心の高まりから有機溶剤から水に代替する技術の必要性がさらに加速すると予想しています。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かすべく研究に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。当期は、前期にコロナ禍により落ち込んだ市場が回復し、総売り上げは年度計画を達成しました。しかし、印刷インキ用樹脂に関しては当社の主力市場である平版インキの市場の縮小が続いており、厳しい状況が続いています。回復する市場に対し、新たな価値を提供する新製品投入に注力するとともに、近年の環境意識の高まりもあり、当社の材料・技術で環境に貢献できる新製品の開発にも注力しています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組んでいます。水系ながら高光沢で高付着性、耐水性を併せ持つとともに、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持つ樹脂の開発を進めています。
印刷インキ用樹脂においては、環境意識の高まりを受け、プラスチック基材に高い密着性を示す水系樹脂の開発を進めています。従来の平版用途ではなく、フィルム用グラビア・フレキソインキ向けを目指すとともに、その高い密着性を活かした用途展開を図るべく開発を進めています。当社の強みであるロジン、脂肪酸を組み込んでおり、バイオマス樹脂としても高い機能発現を目指しています。
粘接着剤用樹脂においては、より高温な使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、この用途では従来ガムロジンが主流でしたが、当社の強みであるトールロジンを使用した新製品開発も進めています。ゴム用添加剤については、自然災害が年々増加する中、ビル、建物を守る制振ゴム用の添加剤を開発しました。これは従来以上に揺れに対する減衰性を示しており、今後の拡大が見込まれます。また、各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めています。
機能性樹脂においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めるとともに、新規用途展開を図っており、複数の開発テーマを進めています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに塗工し、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については開発を完了し、顧客への提案、最終調整を行っている段階です。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学用途以外に展開する事を進めており、顧客評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しています。
また、当社の基盤技術である表面・界面制御から、離型フィルムや帯電防止コート剤などの新規開発を進め基本設計まで完成しました。
当事業における研究開発費の金額は
(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、2020年にかけてマイナスで推移しました。とくに2020年は、電子化等の影響による出版・広告向けの印刷用紙の減少に加え、コロナ禍の影響を受け、リーマン・ショック直後の2009年を上回るマイナス幅(9.5%減)となりました。しかし、2021年は、コロナ禍におけるネット通販の拡大、食品・化粧品・健康関連市場の伸び等からパッケージング用紙が増加し、紙・板紙の合計では11年ぶりにプラス(1.6%増)に転じました。また、2022年4月からプラスチック資源循環促進法が施行され、これまで以上に脱プラスチックによる紙化の動きが期待されます。この様な状況を受け、国内の製紙会社は、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった分野への事業展開を進めています。
このような業界の動向を踏まえ、研究開発では、ポリアクリルアミド系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化(Alum使用量の削減)や軽量化(紙力効果及び操業性の改善)に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程においては、操業性や生産性を改善する工程薬剤であるピッチコントロール剤を開発しています。薬剤と併せて適切な使用方法も提案することで、高品質パルプの生産に欠かせない薬剤として、大手製紙会社様での実績が拡大しています。さらに、脱プラスチックの動きの中で、紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発も進めています。耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性等を付与できるコート剤の開発により、紙化を望まれるお客様のニーズに応え、紙製素材の普及に貢献していきます。
これら製品開発においては、世界中で安心してご使用いただくことを目的に、安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めています。ロジン系エマルションサイズ剤『NeuRoz シリーズ』は、米国のFDA、ドイツのBfR、中国のGB9685といった認証を取得しています。またPAM系乾燥紙力増強剤『ハーマイド KSシリーズ』は米国のFDAと中国のGB9685を取得しており、現在はFDAとBfRの認証を取得した『ハーマイド T2』についてGB9685の申請を進めている段階です。なお、ピッチコントロール剤『ASシリーズ』はFDAとGB9685、バリアコート剤『ハイコートBCシリーズ』はFDAとBfR、といった認証を取得しています。
海外市場においては、中国、北米、東南アジア地域における市場拡大に注力しています。紙・板紙の生産量が世界一位(1億1,260万トン/2020年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点にて事業展開を進めています。また世界二位(6,796万トン/2020年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。日本を含め、世界の紙・板紙生産量の50%以上を占めるこれら市場にて、各地域における最適なアプリケーションや必要となる法規制に対応できる製品を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。
当事業における研究開発費の金額は
(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料、半導体製造に用いられるレジスト用樹脂を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発を推進しています。
2021年の自動車の生産台数は世界的な新型コロナウィルス感染や半導体不足の影響を受け、2020年より5%増加に転じたものの8,014万台の生産に留まりました。2022年はこれらの影響が収まり復調に転じる期待の中でスタートしましたが、コロナ感染による経済活動や物流への影響、半導体不足の長期化、ウクライナ情勢、各原材料の高騰など非常に厳しい市場環境が継続しています。
このような動向の中ではんだ材料においては、より一層の電子機器の高機能化や精細な電子制御を実現し安全で快適な運転を実現する商品や大きなストレスにも壊れない接合耐久性を有する高耐久はんだ材料の開発、上市を推進しています。また、ヘンケル社のはんだ事業の買収を受け、各々が保有する技術の統合、革新による新製品開発と商品力強化を図ります。
熱交換器等に用いられるろう付け材料においては、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開の推進と、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しています。熱交換器の更なる軽量化、低燃費化だけでなく生産各工程における使用エネルギーの削減にも取り組んでいます。
半導体製造に用いられるレジスト用樹脂においては、テレワークや巣ごもり需要の拡大、企業でのデジタルトランスフォーメーションの推進などの旺盛な需要を受け2021年も大きな成長となりました。当社の得意である有機合成技術を更に磨き、今後も半導体産業に貢献していきます。
当事業における研究開発費の金額は
(4)パインケミカル
当事業においては、当社の強みである粗トール油精留事業を更に活かすため、その精留向上技術を開発しています。精留によりトールロジンやトール油脂肪酸が得られる原料粗トール油は、製紙会社から得られるバイオマス資源です。一方で、バイオマス資源自体のニーズが、いま世界的に急激に高まっています。このような動向の中で、当社は、世界の粗トール油を使いこなす、また使い分けられる技術についての構築を進めています。
粗トール油の精製技術は、石油精製とは異なりニッチな技術ですが、社内独自の評価体制を整え、日々アップグレードしています。今後ともトール油関連製品を安心してお使い頂けるよう、安定供給に貢献できる技術開発を続けます。
また、そこから得られるロジンや脂肪酸を使った商品開発においては、トール油製品の価値向上のため、世界に続き日本でも2022年夏までに指針が策定される予定の人権デューデリジェンスへの対応、また、産地証明のためのISCC、RSBなどの認証取得を進めています。一方で当社は、独自の購買ルートにより、世界中のロジンや脂肪酸も活用できます。松種違いによる製品性能への影響差の解明を続けており、万一のBCP対応への貢献、またその差を生かした製品価値の向上に活かしていきます。
環境対応については、日本の加古川製造所にはバイオマス発電プラントを有しており、隣接する粗トール油精留プラントで分離した、製品原料として活かせない成分をバイオマス燃料とすることで、環境にやさしい電力や熱源を発生させ、活用しています。現在、そこから排出されるCO2を商品に組み込んで、さらにカーボンニュートラルに貢献できる商品開発にも注力しています。
当事業における研究開発費の金額は435百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。
(5)ローター
当事業においては、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルなどの研究開発を行っています。
粘接着剤用樹脂においては、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とするラベル・シール用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への用途拡大をめざしています。また、省エネルギーの観点から水系粘着付与剤樹脂の高濃度化、乾燥工程を必要としないUV粘着剤向け粘着付与剤樹脂の開発にも着手しています。さらに、自動車部品などに使用される当分野の製品については、顧客から事業継続計画(BCP)の策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点で共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発も推進しています。
印刷インキ用樹脂においては、特にフレキソ、グラビアインキ市場においては、食品包装材料や電子商取引の伸長により今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキ市場では、持続可能な社会の創造をめざす顧客が掲げる二酸化炭素削減目標を達成するために、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤の原料を従来の石油由来から植物由来に置換したいという需要が高まっています。その需要に対応すべく開発したロジンをベースにした水系フレキソインキ用樹脂(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、商業化の段階に入りました。一方、商業出版印刷インキ市場においては、コロナ禍の影響で世界的に生産量の落ち込みが加速しましたが、ローターが出資するスウェーデンのサンパイン社で製造されたトールロジンを活用し、高懸念物質であるアルキルフェノールを使用しない環境対応型インキ用樹脂(商品名:EcorezTMシリーズ)の商品群を拡充しました。
アロマケミカルにおいては、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めています。香料市場においては、昨今の環境志向の高まりにより、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっています。ローターでは、ニュージーランドで、松材を原料としたパルプ製造工程で副生する粗サルフェートテレピン油を蒸留し得られた成分から香料原料の製造を行っていますが、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めています。また、ハリマ化成の研究開発部門と協働で新規香料原料の開発も進めています。
さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っています。今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当事業における研究開発費の金額は