文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」を基本理念として、植物資源「松」から得られる有効物質を化学製品にする循環型ビジネスモデルを通じて、地球環境に配慮した事業の展開を基本的な考え方としております。
今後もこの基本理念のもと、企業価値の一層の向上をめざします。
当社事業の主軸であるパインケミカル事業は、松から得られるロジン(松やに)、トール油(松の油)、テレピン油などの天然素材を有効活用した、資源循環的なビジネスモデルが特徴です。この特徴を活かした2022年を初年度とする中期経営計画「NEW HARIMA 2026」では、2026年度の売上高1,100億円、営業利益70億円と「事業基盤の強化と事業領域の拡充」、「新規事業、成長分野に向けた研究開発」、「新時代に向けた経営の革新」の実現を目標としております。
〈NEW HARIMA 2026 業績目標〉
〈NEW HARIMA 2026の主な進捗状況〉
基本方針1:事業基盤の強化と事業領域の拡充
1)パインケミカル総合メーカーとしての競争力強化
パインケミカル事業分野では、ローター社ニュージーランドの工場に続く当社2か所目の「ミルセン」生産設備を加古川製造所に新設しました。ミルセンは、松から得られるテレピン油に含まれる植物成分で、主にアロマオイルや香料の原料として利用されますが、世界的な環境志向の高まりに伴い、需要が増加しております。
また、長期安定的な原料確保と販売価格の適正化による採算確保への取り組みを継続して進める他、ロジンのグループ内調達強化を通じた競争力アップにも努めております。
2)海外事業領域の拡充
ヘンケル社から買収したはんだ材料事業は、英国に技術営業拠点を設立した他、マレーシアの生産拠点統合など、当初計画に沿った買収後の事業統合作業が進んでおります。自動車の電動化や通信機器の高度化に伴い、高性能はんだ材料の需要増加が見込まれており、成長市場でのシェアアップと既存事業とのシナジー効果追求に取り組んでおります。
また、製紙用薬品事業は、市場での競争激化に対応すべく販売品種の増加やサプライチェーン見直しによる売上増と収益改善に取り組んでおります。
3)事業ポートフォリオの見直し
今後、需要拡大が見込まれる半導体用機能性樹脂事業では、生産能力の拡充を進めております。他方、市場が成熟している平版インキ用樹脂事業や塗料用樹脂事業、国内の製紙用薬品事業は、事業運営を見直し、生産体制の効率化を進めております。
基本方針2:新規事業、成長分野に向けた研究開発
当社は、粘接着剤用樹脂、インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤、トール油製品、サイズ剤などのパインケミカル事業の他、塗料用樹脂、水系樹脂、紙力増強剤、バリアコート剤などの事業分野でも環境負荷の軽減に役立つ製品を数多く展開しております。また、半導体用機能性樹脂や高耐久はんだなど、成長性の高い電子材料分野の製品群も有していることから、次の時代を牽引する新製品を生み出すべく、引き続き研究開発投資へ重点的な資源配分を継続します。
基本方針3:新時代に向けた経営の革新
1)デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくりの推進
デジタル人材の育成と業務プロセスのデジタル化を推進する為に、社内にDX推進企画の専担部署を新たに設けました。これにより、生産部門や営業部門、研究開発部門と情報システム部門の連携を強化し、AIやデジタル技術を活用した最適生産体制の構築、安全操業に向けた予防保全体制の確立、在庫管理や構内物流の効率化、製品開発のスピードアップなどを目指します。
2)企業理念に沿ったESG経営の推進
当社は、2013年度の温室効果ガス排出量を2027年に46%、2030年には50%削減し、2050年までにカーボンニュートラル達成を目指しております。加古川製造所のバイオマス発電、高砂市伊保基地の太陽光発電に続き、2023年3月には加古川市・狩ヶ池で「ため池水上太陽光発電」事業を開始しました。また、「カーボンニュートラル都市ガス」の導入、「再エネ指定の非化石証書」を活用した加古川製造所の電力CO2排出量ゼロ化など、温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けた取り組みを進めております。
また、当社は非財務情報の開示の充実にも取り組んでおります。気候変動(TCFD提言に基づく開示)ではリスク・機会の分析や財務影響の情報開示を開始しました。また、人的資本では、開示義務化への対応と開示内容の拡充に取り組み、経営理念に沿ったESG経営を推進します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。参照先の書類等将来に関する記述は、本報告書作成時点で当社グループが入手している情報を踏まえた仮定、予期および見解に基づくものであります。既知および未知のリスクや不確実性およびその他の要素を内包しており、2「事業等のリスク」などに記載された事項およびその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは異なる可能性があります。
当社グループの企業理念「自然の恵みをくらしに活かす」は、「人と自然、そしてテクノロジーの調和」を願うものであり、豊かな社会の創造を追求するものであります。この基本理念のもと、グループ全体の能力を結集させ、パインケミカル事業を通して、人々のくらしに貢献していきます。その実現にあたっては、地球環境と共存し、社会とともに発展することを目指しております。当社グループの中期経営計画、長期ビジョンも、こういった企業理念、サステナビリティの考え方に基づいて策定しております。
<当社グループのサステナビリティに関する考え方>
・事業活動を通じて、社会価値、環境価値を高めます。
・すべてのステークホルダーとの対話を深め、経営に反映します。
・持続的成長を支えるガバナンスやリスク管理の基盤を整えます。
(1) ガバナンス
当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、2021年11月10日付で経営企画グループに「サステナビリティ推進室」を設置しました。グループ全体のSDGsやESGへの取り組みを一元的に取りまとめ、現状や課題を共有し、方針や具体的対策を迅速に決定・推進するための体制強化を図っております。情報開示の拡充などを通じて、当社への理解をあらゆるステークホルダーにより一層深めて頂くための取り組みを行っております。
当社はサステナビリティにかかる委員会等を設置しておりませんが、重要な経営課題として引続き取締役会に付議・報告されます。取締役会は、サステナビリティを含む当社の事業全般のリスクおよび機会を監督し、対応方針および実行計画等についての審議・監督を行っております。各取締役のリスクおよび機会への対応状況、成果は報酬額の算定に反映されます。代表取締役が議長を務める経営会議においては、サステナビリティに関する重要課題に関するリスクおよび機会に対応するための実行計画の立案、目標の進捗管理を行います。そのグループ経営会議は月1回実施され、社外取締役、監査等委員である取締役を含む取締役会メンバーが直接参加しております。
(2) 戦略
当社グループは、事業を通じた社会課題・環境課題への取り組みで解決持続可能社会の建設に貢献し続けるべく、持続的成長に向けた取り組みを行っております。
<当社グループの事業活動とSDGsへの貢献>
2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に対して、当社グループは事業活動を通じて貢献し、社会とともに持続的な成長を実現していきます。
「169の達成基準」・・・17の世界的目標を達成するための具体的な考え方や対策をまとめたもの
<中期経営計画におけるサステナビリティ関連の基本方針>
「新時代に向けた経営の革新」として、以下を中期経営計画の基本方針に掲げ、推進しております。
〇デジタル技術を活用したものづくりとDX体制づくり
・AI、IoT活用による生産性向上
・AI活用による研究開発のスピードアップ
・システム内製化による業務プロセスの効率化
〇企業理念に沿ったESG経営の推進
・事業活動を通じた社会課題解決・SDGs達成への貢献
・温室効果ガス削減目標の達成に向けた、各施策の計画的な実施
・コーポレート・ガバナンスに沿ったガバナンス強化
・気候変動リスクの分析と開示(TCFD対応)
・情報開示、ステークホルダーとの対話の拡大
<国際機関、産官学連携などへの関与、認証取得>
当社グループは、グローバル企業として国際機関や産官学連携などに積極的に関与し、国際的なサステナビリティ規格の評価取得を進めております。引き続き、グローバルベースでのパートナーシップを深化させ、社会的インパクトを高めていきます。

<サステナビリティ関連情報について>
サステナビリティ関連の情報については、当社のホームページにて適時適切に開示を進めます。
(3) リスク管理
当社グループは、
(4) 指標および目標
当社グループを取り巻く事業環境、持続可能社会の建設に向けた環境課題や社会課題の解決、などの特性を鑑みて、指標と目標を管理しております。
(5) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)
・人的資本
それぞれの項目にかかる当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
① 気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)
当社グループは2021年12月に「TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明しました。またカーボンニュートラル実現を成長の機会として捉え、自ら以外のステークホルダーも含めた経済社会システム全体の変革を行うための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として2022年3月に設立された「GXリーグ」に賛同を表明し、2023年度からの本格稼働にも参画しております。
TCFD提言に基づき、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
<TCFD提言における推奨開示項目>
出典:2021年10月気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の実施(日本語訳)
https://tcfd-consortium.jp/pdf/about/2021_TCFD_Implementing_Guidance_2110_jp.pdf
ガバナンス
気候変動を含むサステナビリティに関する重要な経営課題は取締役会に付議・報告されます。経営組織その他コーポレートガバナンス体制に関する詳細な情報については、
当社は執行役員制度を導入しております。執行役員の業務執行機能を分離し、取締役会がその監督を行うことで、経営環境の変化に効率的かつ迅速に対応できる体制をとっております。
毎月1回開催されるグループ経営会議は、取締役、執行役員および部門責任者を構成員とし、気候変動を含む業務執行状況が報告されます。取締役会メンバーはそれを監督・点検し、今後の経営方針および計画について審議するなど、経営環境の変化やリスクに対して各部門が迅速に対応できる体制をとっております。
戦略
■ 社会的課題解決に向けたサステナブルな製品の拡販
パインケミカル事業の主要原料である粗トール油は、EUにおける再生可能エネルギー指令(RED II)で先進型バイオ燃料として規定されるなど、近年、急速にニーズが高まっております。当社は国内で唯一、粗トール油を原料としたトールロジン、トール油脂肪酸を生産しており、再生可能原料を使用するパインケミカル製品をはじめ、環境負荷を低減する化学工業製品をさまざまな用途へ提供し続けております。
中期経営計画では、当社グループの強みを活かし、再生可能原料の使用、有害性物質・VOC低減、3R、脱プラといった環境負荷を低減する社会的課題の解決に役立つ製品(サステナブル製品)を拡販する戦略を掲げております。

■ 脱炭素社会実現に向けた取り組み
当社グループは、経営理念「自然の恵みをくらしに活かす」のもと、再生可能資源であるロジン(松やに)を原料に、パインケミカル(松の化学)の「循環型事業」を中心に成長してきました。「自然に負荷をかけない生産システム」と「自然環境にやさしい製品」を通じて、潤いのある、豊かな社会の創造を使命に、人と技術を大切にするグローバルカンパニーを目指します。
製品の製造には、松材からパルプを製造するときに副生する粗トール油を原料として活用しております。また、粗トール油を精留しトールロジン、トール油脂肪酸などを生産する過程で得られる副生物は、カーボンニュートラルのバイオマス燃料(自然循環型エネルギー)として有効利用しております。
当社グループの循環型事業の成長と脱炭素社会実現に向けた取り組みには比較的長い歴史があります。1958年に国内で初めてトール油精留事業に参入し、1973年には人と地球にやさしい世界初の完全クローズドシステムのトール油精留プラントを建設しました。また、加古川製造所(兵庫県加古川市)にバイオマス発電設備(2005年)を稼働、伊保基地(兵庫県高砂市)には太陽光発電システム(2014年、発電能力1,129kW)を稼働させるなど、予てより脱炭素社会の実現に向けた取り組みを行っております。2022年にはカーボンニュートラル都市ガスを導入し、2023年には地域行政・住民との価値共創・課題解決プロジェクトとして「ため池水上太陽光発電事業」を開始しました。2023年4月には加古川製造所に実質CO2フリーのプラント運営を目指すミルセン(香料原料)の製造設備を完工しました。また、再エネ指定の非化石証明書を組み合わせることでCO2排出量をゼロとする仕組みを導入し、加古川製造所の電力CO2排出量のゼロ化を実現する取り組みを行い、その他の国内工場でも同様の取り組みを進めております。
2021年6月には、国内の温室効果ガス削減ロードマップを公表しました。2030年46%削減(2013年度比)という政府の温室効果ガス削減目標に対して3年前倒しし、2027年に46%削減、2030年には50%削減を目標にしております。その実現に向けて、再生可能エネルギーやバイオマスエネルギーの拡大、エネルギーの効率化に取り組んでおります。
<温室効果ガス削減ロードマップ(CO2換算)>

これらの戦略への取り組み状況は、定期的に進捗を確認し、後述の「指標と目標」で開示します。
■ 気候関連リスク・機会の影響について
気候関連のリスクと機会が当社の事業、戦略、財務計画に及ぼす実際の影響と潜在的な影響について、重要(マテリアル)な財務影響を与える可能性のある気候関連リスク・機会を、2℃未満、4℃以上のシナリオごとに、後述のリスク管理プロセスで特定しました。的確なリスク認識の下、適時適切に対応策を図り、レジリエンスを備えます。
尚、具体的な気候関連リスク・機会と対応策(レジリエンス)につきましては、当社グループのホームページに公表している
(https://www.harima.co.jp/environment/tcfd_recommendations.html)
リスク管理
気候関連のリスクは、脱炭素社会実現に向けた社会の変容を捉えるべく、長期的かつリスク規模も大きくなる可能性があり、これはその他のリスクとも相互に関係し合うものであることから、統合的なリスク管理が重要と認識しております。
当社グループは、事業等のリスクを、経営環境に関するリスク、事業運営に関するリスク、経理・財務に関するリスクに大別して有価証券報告書等で開示しておりますが、気候関連リスクは「経営環境に関するリスク」の一つと捉え、相互の関連を認識したリスク管理を行っております。
気候関連リスクを識別・評価・管理するにあたって、以下のリスク管理プロセスを執っております。
<リスク管理プロセス>
指標と目標
温室効果ガス排出削減目標(Scope1,2)に向けた進捗管理に加え、2022年度よりScope3のモニタリングを開始しました。また、炭素利益率(温室効果ガス排出量1,000tあたりの営業利益)も今後の戦略にどのように反映していくかの検討を開始しております。各目標の達成に向けて取り組みを進めていきます。
具体的な指標・目標と実績につきましては、当社グループのホームページに公表している
(https://www.harima.co.jp/environment/tcfd_recommendations.html)
② 人的資本について
当社グループは、「自然の恵みをくらしに活かす」、「人と技術を大切にするグローバルカンパニー」を企業理念とし、従業員は会社にとって最大の財産で、その成長が会社全体の発展に繋がるという意識のもとに、従業員一人ひとりが安心して仕事に全力投球でき、仕事を通して自己実現できる環境の整備に取り組んでおります。
特に2015年に導入した、統一された価値観“バリュー”を中心に据えた人材育成制度は、企業の経営戦略と人事戦略を連動させるための制度です。この制度では、“バリュー”を採用や教育、評価等に組み込み、多様化する価値観の中で従業員の方向性を統一します。この制度により、企業価値の創造や企業理念の実現に求められる人材ポートフォリオを実現できると考えております。
また、2022年度を初年度とする中期経営計画「NEW HARIMA 2026」では、基本方針3本柱の一つとしている「新規事業、成長分野に向けた研究開発」において、成長分野への資源配分と新製品開発による市場参入を目指しております。
今後も、企業理念の実現とその時代に求められる社会課題解決に柔軟に対応できる人材育成に努めてまいります。
ガバナンス
重要な組織変更や人事異動、幹部の採用、人事諸制度の新設・改廃は取締役会で決議されます。また、人事委員会は、資格等級審査や重要な人材開発施策、人事制度に関する事項を決議し、その結果を取締役会に報告します。人事に関する諸制度(評価、福利厚生、労働組合、採用、人材育成、等)の企画・立案・管理・推進・運営は、人事グループが統括します。各事業カンパニーやカンパニーに属さない子会社、グループ本社管理部門は、所管組織の人材育成・指導・管理を行い、その運営状況を人事グループに報告します。また、海外拠点における従業員の採用や労働組合との対話は各拠点長が担い、そのための人事組織をそれぞれ有し、その運営状況はその拠点を所管するカンパニー長に報告されます。

戦略
当社グループは、長期ビジョン「Harima Vision 2030」において、2030年度に売上高1,200億円以上、営業利益85億円以上、ROE10%以上、海外売上高比率65%以上、温室効果ガス排出量50%削減、という目標を設定しており、その達成に向け中期経営計画を策定しております。
この中期経営計画の達成に必要となる人材開発を、達成目標よりバックキャストし人材開発計画を策定しております。

<as-is to-be分析によるリスキル・リカレント能力開発領域>
■事業基盤の強化と事業領域の拡充
当社の達成目標からのバックキャストで、次世代幹部候補生の育成、およびそれを補佐する人材の育成、ならびに、今までとは異なった事業領域での新規事業を創出できる人材の育成という課題を認識しております。人材ポートフォリオにおけるスキルセット拡充に向けて、リスキル・リカレントを推進します。
■新規事業、成長分野に向けた研究開発
研究開発投資の強化とM&Aを通じたサステナブルな新製品の開発と新規事業領域への参入にチャレンジし、そのための人材育成・採用を進めております。研究分野の採用では、化学はもとよりその製造プロセスや戦略事業分野ほか幅広い分野の人材を採用しております。
また、国際機関・産官学連携をはじめとする様々なパートナーシップを深化させ、社会インパクトとともに人材ポートフォリオの厚みを増していくために、機動的な人材派遣を行い、派遣先でもより活躍しやすい環境の構築に努めております。
■新時代に向けた経営の革新への対応
AI・IoT活用による製造現場での生産性・安全性向上、AI活用による研究開発のスピードアップ、ならびにDXの推進に必要な人材を育成していきます。
■人材育成方針
従業員一人ひとりの能力向上を支援する教育研修では、特にフォローアップに注力し、研修の内容を確実に習慣として身につけ「能力」とすることを研修の主眼としております。また、これらの教育研修と併せてキャリア面談を実施し、「自己の明確な目標に向かって、自己の成長を感じ、働きがいを持って仕事に取り組める」環境づくりを推進しております。
■Harima Growth Program System(H-GPS)
キャリア開発プログラム(CDP)は、統一された価値観“バリュー”を基軸とし、従業員の10年後のキャリアからバックキャストした計画を実践するという人材育成制度で、従業員の自己成長と上司による部下育成を同時実現する制度です。
人事評価制度(GPS)は、CDPを基に単年ごとの目標に落とし込み、「テーマ達成度(成果評価)」と「バリュー実践度(バリュー評価)」を評価軸とすることを特長としており、単年の積み上げがキャリア形成に繋がっていく仕組みとしております。

■ 社内環境整備方針
従業員が持てる能力を最大限発揮できる環境づくりとして、福利厚生の充実を図っております。
人的資本に関する詳細な情報については、当社グループのホームページ
リスク管理
取締役会や人事委員会などにおける議論の過程で特定される重要なリスクについて、そのレジリエンスも含めコントロールをしております。
指標と目標
従業員エンゲージメント向上に必要な施策を実施していきます。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下があります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境に関するリスク
① 各国の経済状況、世界情勢(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの製品需要は販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従いまして、日本、北米、南米、アジア、欧州等の主要市場における景気後退、政情不安、貿易摩擦などの世界情勢、およびそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想では、世界のマクロ経済の動向や規制動向、市場動向を調査し、想定に沿った現実的な目標設定を行っております。
② 原材料の調達(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、ロジン、粗トール油および石油化学製品などの原材料を購入して製品を製造・販売しております。そのため、市況によって原材料購入価格の変動リスクがあります。
また、戦争、暴動、テロ、自然災害、感染症、環境規制、ストライキ、サプライヤーの工場における事故災害やサプライチェーンの混乱などにより原材料の調達が制限された場合は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの業績予想は、原材料価格の動向や契約状況、仕入れ先の原材料提供可能量を踏まえて策定しております。また、原材料調達の制限といったリスクを極小化するために、仕入れ先の分散などサプライチェーンの冗長化などに取り組んでおります。
③ 自然災害や感染症(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループが事業展開している地域で大規模な自然災害や想定を超える感染症の拡大により操業を中断する事象が発生した場合、生産能力が著しく低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自然災害を想定して、国内外各地に配置する生産拠点の相互広域バックアップ体制の構築を進めて参りました。また、感染症につきましては各国・各地域の行政の方針に沿った社内ガイドラインを策定し、当社グループ内で周知徹底の上、日々の管理・監視を行っております。
④ 為替レートの変動(影響度:2、発生可能性:3)
当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各国における財務諸表の現地通貨建ての各項目は、連結財務諸表作成のため円換算されております。これらの項目は外貨建数値に変動がない場合でも、円換算後の当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融市場の動向を踏まえつつ、為替予約などでリスク回避に努めております。
⑤ 公的規制(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許認可、国家安全保障またはその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管理制度、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらをはじめとする規制の改正によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各国法規制を遵守すべく、グローバル行動指針や社内規程を整備の上、社員教育を行い、監査体制を整備しております。また、各国法規制の改正についても適時に対応する体制としております。
(2)事業運営に関するリスク
① 生産活動における事故(影響度:4、発生可能性:1)
当社グループは、生産活動で爆発や有害物質の漏洩などが生じた場合、近隣住民ならびに従業員の安全確保、復元処置を速やかに行いますが、そのためのコストが発生し、生産能力や信頼の低下を招く可能性があります。
当社グループは、生産拠点の重要な設備すべてについて定期点検・保守を行っております。また、排水処理施設には異常値を即時に検知する常時監視システムを備えております。加えて、従事する監督者や従業員の資格取得、研修を実施しております。
② 製造物責任(影響度:3、発生可能性:1)
当社グループは、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模なクレ―ムや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥により売上が低下し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ品質方針を定め、品質マネジメントシステムの運用と改善を継続することで、顧客からのご要請と各種法規制に適合する質の高い製品を提供し続ける体制を整備しております。
③ 知的財産(影響度:1、発生可能性:1)
当社グループの事業分野に関する知的財産権については、特許権、商標権を取得しております。当該知的財産権に基づく具体的な製品ノウハウについては、当社グループ内に蓄積しているため、知的財産権が侵害されることにより当社グループの業績に重大な影響を受ける可能性は低いと想定しておりますが、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、適切な知財管理を行うための組織を設置することにより、リスクの低減に努めております。
④ 情報セキュリティ(影響度:3、発生可能性:2)
当社グループの財務、人事、顧客、戦略、技術など、紙、電子媒体、ネットワーク上にある機密情報が毀損、漏洩した場合、事業活動に支障を来たすことがあります。また、情報インフラの増強で投資・経費が増加することがあります。これらによって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、電子情報については各種セキュリティ対策および研修による社員のセキュリティレベル向上により、機密情報の毀損・漏洩の防止に努めております。
(3)経理・財務に関するリスク
① 資金調達リスク(影響度:2、発生可能性:1)
当社グループの事業に必要な資金は、株主や金融機関より調達しております。金融市場の不測の混乱により、借入コストの大幅な上昇や、借入そのものが困難になることで、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、資金調達の効率化および安定化を図るため、国内外取引銀行との特定融資枠契約を締結しております。
② 固定資産の減損(影響度:2、発生可能性:2)
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。このため、今後の土地等の時価や事業環境の大幅な変動によって、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績および
キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は945億1千万円となり、前期に比べ184億1千7百万円(24.2%)の増収となりました。
利益面では、営業利益は17億6百万円となり、原材料価格高騰の影響を受け、前期に比べ15億4千4百万円(△47.5%)の減益となりました。経常利益は25億4千1百万円となり、持分法投資利益が10億4千2百万円ありましたが、為替差損が2億7百万円あったため、前期に比べ8億9千2百万円(△26.0%)の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、投資有価証券売却益1億9千3百万円、負ののれん発生益1億8千6百万円がありましたが、訴訟損失引当金繰入4億9千2百万円、固定資産解体撤去費1億5百万円があったため、前期に比べ8億6千万円(△49.3%)の減益となりました。
当社グループのセグメント別経営成績の概況は次のとおりであります。
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより192億5千1百万円と、前期に比べ16億8千5百万円(9.6%)の増収となりました。営業利益は、3千5百万円と原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ5千5百万円(△61.5%)の減益となりました。
塗料用樹脂は、物価高騰の影響で一般家庭や工場などの塗替え需要が低迷し建築関連の需要が減少したことから、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
印刷インキ用樹脂は、商業印刷や新聞などに使用されるインキの需要が前期を下回り、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
合成ゴム用乳化剤は、タイヤ生産量が前期比で微減となり、合成ゴムの在庫調整の影響もあり販売数量は前期比で減少しました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
b.製紙用薬品
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、および円安の影響により、249億3千3百万円と前期に比べ37億5千9百万円(17.8%)の増収となりました。営業利益は15億3千4百万円となり、原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ1億1千6百万円(△7.0%)の減益となりました。
紙力増強剤は、国内では、段ボール需要は前期並みとなりましたが、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、東南アジアでの需要拡大により、売上高は増加しました。中国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、円安の影響により、売上高は増加しました。
サイズ剤は、国内では、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより売上高は増加しました。米国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、原材料価格の高騰により市場価格が上昇したことから、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
c.電子材料
売上高は、買収したはんだ材料事業の立ち上げにより、92億4千1百万円となり、前期に比べ29億3千7百万円(46.6%)の増収となりました。営業利益は1億6千3百万円となり、原材料価格高騰およびはんだ材料事業の償却費増加で、前期に比べ4億9千4百万円(△75.1%)の減益となりました。
はんだ付け材料は、はんだ材料事業の買収と原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
熱交換器用ろう付け材料は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
半導体用機能性樹脂は、5G通信インフラなどの需要拡大により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
d.ローター
売上高は、世界的な景気後退懸念に伴う需要減少の兆しは見られるものの、原材料価格高騰に対して販売価格への転嫁が進んだことにより、387億9千7百万円となり、前期に比べ92億7千9百万円(31.4%)の増収となりました。営業利益は、13億1千5百万円となり、エネルギー価格の高騰や世界的なインフレの影響で製造原価が上昇したことにより、前期に比べ4億5百万円(△23.6%)の減益となりました。
粘接着剤用樹脂の分野では、南米、オセアニア地域で物流の混乱に伴い販売数量は減少しましたが、全体としては通販市場の拡大に伴い宛名用ラベルシールに使用される粘着剤用樹脂の需要が世界的に増加し、また、路面標示塗料用樹脂の需要も北米を中心に堅調に推移したことから売上高は増加しました。
印刷インキ用樹脂の分野では、情報のデジタル化を背景に需要の低迷は継続しているものの、コロナ禍からの経済回復に伴って全地域で需要が回復し、販売数量は増加しました。また、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ135億3千4百万円増加し、924億3千9百万円となりました。増減の主な内容は以下のとおりとなりました。
(流動資産)受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加し、商品及び製品が12億9百万円増加し、原材料及び貯蔵品
が23億3千9百万円増加しました。
(固定資産)ヘンケル社資産譲受により顧客基盤が40億4千6百万円増加しました。
(流動負債)支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少しましたが、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。
(固定負債)長期借入金が64億7千6百万円減少しました。
(純資産) 為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加したことにより純資産は増加しましたが、総資産も増加し
たことにより、自己資本比率は40.1%となりました。
(単位:百万円)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は62億1千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ8億7千9百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、4億6千6百万円の支出となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益が23億2千3百万円、減価償却費24億6千9百万円等があったものの、棚卸資産の増加額が20億4千3百万円、仕入債務の減少額が11億9千万円、持分法による投資利益10億4千2百万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、66億4千9百万円の支出となりました。
これは主として、顧客基盤の取得による支出が40億6千万円、有形固定資産の取得による支出が35億2千3百万円、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、76億5千7百万円の収入となりました。
これは主として、配当金の支払額9億9千8百万円、自己株式の取得による支出8億6千7百万円等があったものの、短期借入れによる収入101億3千万円等により、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
③生産、受注および販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は924億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億3千4百万円増加しております。これは主として、流動資産では増収に伴い、受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加しました。固定資産では設備投資の増加に伴い、有形固定資産が37億1千6百万円増加し、無形固定資産が45億1千4百万円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は516億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ128億1千8百万円増加しております。これは主として、流動負債では支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少し、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。固定負債では長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)が3億1千万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は408億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ7億1千5百万円増加しております。これは主として、為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加し、自己株式が8億2千9百万円増加したことによるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の46.6%から40.1%へと6.5ポイントの減少となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,459.97円から1,533.01円と73.04円の増加となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は945億1千万円となり、前連結会計年度に比べ184億1千7百万円の増収となりました。これは主として、買収したはんだ材料事業立ち上げと、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進んだことによるものです。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は753億円となり、原材料価格の高騰の影響等により売上原価率が3.3ポイント増加し79.7%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は175億4百万円となり、販売の増加に伴う運搬費の増加や、旅費交通費等の増加等により27億7千7百万円増加しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少の18.5%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は17億6百万円となり、前連結会計年度に比べ15億4千4百万円の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は14億9千7百万円、営業外費用は6億6千2百万円で、持分法による投資利益が増加したため、営業外利益は8億3千5百万円となりました(前連結会計年度の営業外利益は1億8千3百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、25億4千1百万円となり前連結会計年度に比べ8億9千2百万円の減益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別利益は3億7千9百万円となり、投資有価証券売却益として1億9千3百万円、負ののれん発生益として1億8千6百万円計上しております。特別損失は5億9千8百万円となり、訴訟損失引当金繰入額として4億9千2百万円、固定資産解体撤去費として1億5百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、前連結会計年度に比べ8億6千万円の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が66億4千9百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの収入が76億5千7百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ8億7千9百万円(16.5%)の増加となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が183億4千9百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が132億8千4百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を62億1千8百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客および金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%程度以上、下回る場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得および過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、および計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、松から得られる再生可能な植物資源であり、特性が異なるトールロジンとガムロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産する唯一のメーカーです。当社グループでは、この強みをさらに活かすために、各種誘導体製品の開発はもとより、ロジンや脂肪酸の組成や純度をコントロールする技術開発や、松やにに含まれる天然資源の生成に関する代謝経路の解明とその仕組みを活かした生産技術開発等を推進しております。
また、昨今の環境対応への関心の高まりを受けて、化学素材のバイオリニューアブル化への流れを意識した製品開発を進めるとともに、有機溶剤を媒体とした製品から水を媒体とする乳化・分散技術を利用した製品の研究開発に取り組んでおります。
先端技術分野では、当社グループの保有技術である樹脂合成や界面制御技術、金属接合技術を応用し、半導体製造工程に使用されるレジスト用樹脂、光学フィルム向け各種材料、導電性材料などの研究を推進しております。
当連結会計年度の研究開発費は、
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム用乳化剤および脂肪酸誘導体などの研究開発を行っております。
印刷インキ用樹脂については、主力市場である平版インキ市場の縮小が続いていますが、当期は印刷適性に優れた複数の新製品を上市するに至りました。これら新たな価値を提供する新製品開発に注力するとともに、当社の材料や技術で、印刷業界における環境保全の取り組みに貢献できる新製品の開発にも注力しております。
塗料用樹脂については、建築外壁用の環境配慮型弱溶剤系樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組んでおります。水系塗料用樹脂では高光沢で高密着性と耐水性を併せ持ち、建築外装だけでなく鉄部等の塗装に適した耐久性を持つ樹脂を開発し、拡販活動を開始しております。
粘接着剤用樹脂については、高温使用環境下でも粘着力を維持できる耐熱性を重視した新規タッキファイヤーを開発中です。また、この分野では使用が限定的であったトールロジンを使用した新製品開発を進めており、トレーサビリティの観点からもトールロジンを原料とする粘着剤用樹脂は注目を集めつつあります。
ゴム用添加剤については、建物を守る制振ゴム用添加剤の販売を開始しました。この技術を用いて制振、防振分野に投入できる新製品の開発を進めております。また、各ゴム製品に求められる性能を最大化するように機能発現のメカニズムを踏まえながら新しい添加剤の開発を進めており、タイヤ用添加剤の分野では顧客評価へと進んでおります。
機能性樹脂分野では、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品開発を進めるとともに、新規用途展開を図っており、複数の開発テーマを推進しております。加えて、ナノ粒子を分散する技術を光学用途以外に展開する検討を進めており、顧客での評価を進めながら製品の高機能化に挑戦しております。また、当社の基盤技術である表面・界面制御技術を応用し、離型フィルムや帯電防止コート剤などの新規開発を進めております。
当事業における研究開発費の金額は
(2)製紙用薬品
当事業においては、水性樹脂の合成をコア技術とし、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド(PAM)系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、主に製紙工程で使用される機能性薬剤の開発を行っております。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナス傾向で推移していますが、当期は、4月からプラスチック資源循環促進法が施行されたことや、これまでのコロナ禍による行動規制が緩和されたことより、包装用紙や段ボールといったパッケージング用紙の需要が2年連続で増加となりました。
このような業界の動向を踏まえ、PAM系紙力増強剤やロジン系サイズ剤を中心に、日本国内、紙板紙生産量の約50%を占める中国と米国、板紙の生産量が増加している東南アジアに適用できる製品やアプリケーションの開発を進めております。また、紙の原料となるパルプを生産する工程には操業性や生産性を改善する工程(改善)薬剤であるピッチコントロール剤、脱プラスチックの動きの中で紙製素材の利用を推進できるバリアコート剤の開発も進めております。バリアコート剤では、耐水性や耐油性に加え、ヒートシール性等を付与できるコート剤の開発により、紙化を望む顧客のニーズに応え、紙製素材の普及に貢献していきます。
紙板紙製品の世界的な輸出入、脱プラで需要が高まりつつある食品包装用紙向けとしては、米国食品医薬品局(FDA)、ドイツ・BfR、中国・GB9685の三法規制に対応可能な安心で安全な製品(間接食品添加物として海外法規制に対応可能な製品)の拡充を進めております。アニオン性のロジン系エマルジョンサイズ剤「NeuRoz」全シリーズとPAM系乾燥紙力増強剤「ハーマイドC-10」に加え、両イオン性のPAM系乾燥紙力増強剤「ハーマイドT2」が新たに三法規制に対応可能となりました。FDAとGB9685に対応する「ハーマイドKS」シリーズと併せて、多様化する国内外の顧客ニーズに応えていきます。また、ピッチコントロール剤のASシリーズはFDAとGB9685、バリアコート剤のハイコートBCシリーズもFDAとBfRに対応しております。
海外市場においては、中国、北米、東南アジア地域における市場拡大に注力しており、紙・板紙の生産量が世界一位の中国では三拠点で事業展開を進めております。昨年は、PAM系紙力増強剤の添加率上昇によって頭打ちとなる効果を高めるために開発した助剤を実績化しており、今後は、成長する東南アジア市場等、他の地域へも展開したいと考えております。また、米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業を展開しております。古紙利用による強度低下や操業性改善に加え、これまで紙力増強剤として使用されてきた澱粉をPAM系紙力増強剤に置換する動きが出てきており、主要製品であるサイズ剤と共に、これまでに得たノウハウを基に展開を進めていきます。
当事業における研究開発費の金額は
(3)電子材料
当事業においては、主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料、半導体製造に用いられるレジスト用樹脂を展開し、顧客が安心して利用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品開発を行っております。
はんだ材料については、鉛フリーペーストや高耐久ペーストを通して、より一層の車載電子機器の高機能化や精細な電子制御の実現と、大きなストレスでも壊れない接合耐久性など、安全で快適な運転に貢献しております。
また、ヘンケル社のはんだ事業の買収により、各々が保有する技術の統合と革新による新製品開発と商品力強化を図っております。
ろう付け材料については、自動車用アルミニウム熱交換器接合用材料の海外展開推進と、給湯器などへの搭載が拡大しているステンレス熱交換器を接合するろう付け材料の開発に注力しております。熱交換器の更なる軽量化、熱効率化だけでなく顧客での生産各工程における使用エネルギーの削減提案にも取り組んでおります。
レジスト用樹脂については、コロナ禍で加速したデジタル化の動きが一服して足元の半導体市況は調整局面にあるものの、次世代の半導体パッケージを中心とした材料開発は一層加速しております。当社の得意とする高分子合成技術や有機合成技術に更に磨きをかけ、今後も半導体産業の進歩に貢献する開発を進めていきます。
当事業における研究開発費の金額は
(4)パインケミカル
当事業においては、当社の強みである粗トール油精留事業をさらに活かすため、その精留能力を高める技術を開発しております。粗トール油は、製紙に用いられる松材から工業的に得られるバイオマス資源です。バイオマス資源は温室効果ガスの排出量削減に貢献できるため、そのニーズが世界的にかつ急激に高まっております。そのような環境のもと、当社グループでは、特性の異なる世界中の粗トール油を余りなく精留して活用できる技術構築に取り組んでおります。さらに、粗トール油から得られるロジンや脂肪酸を使った商品開発においては、トール油製品の価値向上のため、トレーサビリティに関わる認証取得を進めております。
当社グループでは、グローバルな生産体制と独自の購買ルートで世界中の多彩なロジンや脂肪酸が活用できます。それらの松種の違いによる性能への影響の解明、顧客における事業継続計画(BCP)への貢献、またその特性を活かした製品価値の向上に注力しております。
環境問題への取り組みについては、精留プラントで分離した製品原料にならない成分もバイオマス発電プラントの燃料とすることで、環境にやさしい電力や熱源を発生させ、活用しております。現在、さらにそこから排出される二酸化炭素まで低減でき、カーボンニュートラル実現に一層の貢献ができる生産技術開発を行っております。
当事業における研究開発費の金額は430百万円であり、報告セグメントに帰属しない全社費用であります。
(5)ローター
当事業においては、サステナビリティをキーワードとして粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、合成ゴム用乳化剤およびアロマケミカルなどの研究開発を行っております。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂(商品名:SnowTackTM)の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とするラベル・シール用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への用途拡大をめざしております。また、省エネルギーの観点から水系粘着付与剤樹脂の高濃度化、熱乾燥工程を必要としないUV粘着剤向け粘着付与剤樹脂の開発も進んでおり、量産準備段階に入っております。さらに、自動車部品などに使用される当分野の製品については、顧客から事業継続計画(BCP)の策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成の日本国内拠点とローターのグローバル拠点で共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発も推進しております。
印刷インキ用樹脂の分野では、印刷のデジタル化、小ロット化に伴い、紫外線硬化型インキが伸長しております。当社開発品(商品名:ReactolTM UVシリーズ)は、紫外線硬化型インキに優れた顔料分散性、耐乳化性を付与できることから大手印刷インキメーカーで採用となり、欧州、米国、アジアへのグローバル展開を進めております。水系フレキソインキ市場では、持続可能な社会の創造をめざす顧客が掲げる温室効果ガス削減目標を達成するために、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤の原料を従来の石油由来から植物由来に置換したいという需要が高まっております。その需要に対応すべく開発したロジンをベースにした水系フレキソインキ用樹脂(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、商業化の段階に入りました。
アロマケミカルの分野では、テレピン油から派生する香料原料の開発を進めております。香料市場においては、昨今の環境志向の高まりにより、石油由来香料から植物由来香料への原料置換ニーズが高まっております。ローターでは、ニュージーランドで、松材を原料としたパルプ製造工程で副生する粗サルフェートテレピン油を蒸留し得られた成分から香料原料の製造を行っておりますが、今後の需要拡大に対応すべく生産効率向上をめざした製造技術の開発を進めております。
さらに、ローターでは中長期的な視野で研究開発を行う部門を設け、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、石油化学品を代替できるグリーンな製品の開発を行っております。今後、市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進め、ハリマ化成の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当事業における研究開発費の金額は